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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1335737
審判番号 不服2016-14055  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-20 
確定日 2017-12-28 
事件の表示 特願2015-536325「両面保護フィルム付偏光板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月 7日国際公開、WO2016/002504〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年6月16日(優先権主張平成26年7月4日)を国際出願日とする出願であって、平成27年10月2日付けで拒絶理由が通知され、同年12月7日に意見書の提出とともに手続補正がなされ、さらに、平成28年2月16日付けで拒絶理由が通知され、同年4月25日に意見書の提出とともに手続補正がなされ、同年6月14日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し同年9月20日に拒絶査定不服審判の請求と同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
その後、平成28年12月28日付けで前置報告書が作成され、これに対し、平成29年5月24日付けで上申書が提出されている。


第2 本件補正の補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年9月20日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであって、平成28年4月25日付けの手続補正の特許請求の範囲
「 【請求項1】
基材フィルム、ヨウ素系偏光子及び第1保護フィルムをこの順で含む多層フィルムから基材フィルムを剥離除去して、片面保護フィルム付偏光板を得る工程と、
前記片面保護フィルム付偏光板におけるヨウ素系偏光子の外面に活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて第2保護フィルムを貼合して、両面保護フィルム付偏光板を得る工程と、
を含み、
前記第1保護フィルム及び前記第2保護フィルムは、透湿度100g/m^(2)/24hr以下の熱可塑性樹脂フィルムであり、
前記ヨウ素系偏光子は、その厚みが10μm以下であり、
前記第2保護フィルムを貼合するときの前記ヨウ素系偏光子の水分率が6重量%未満である、両面保護フィルム付偏光板の製造方法。
【請求項2】
ヨウ素系偏光子及びその片面に積層される第1保護フィルムを含む片面保護フィルム付偏光板におけるヨウ素系偏光子の外面に活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて第2保護フィルムを貼合して、両面保護フィルム付偏光板を得る工程を含み、
前記第1保護フィルム及び前記第2保護フィルムは、透湿度100g/m^(2)/24hr以下の熱可塑性樹脂フィルムであり、
前記ヨウ素系偏光子は、その厚みが10μm以下であり、
前記第2保護フィルムを貼合するときの前記ヨウ素系偏光子の水分率が6重量%未満である、両面保護フィルム付偏光板の製造方法。
【請求項3】
ヨウ素系偏光子と、その一方の面に第1接着剤層を介して積層される第1保護フィルムと、他方の面に第2接着剤層を介して積層される第2保護フィルムとを含み、
前記第2接着剤層は、活性エネルギー線硬化性接着剤の硬化物であり、
前記ヨウ素系偏光子は、その厚みが10μm以下であり、
前記第1保護フィルム及び前記第2保護フィルムはいずれも、透湿度100g/m^(2)/24hr以下の熱可塑性樹脂フィルムであり、
前記ヨウ素系偏光子の水分率が6重量%未満である、両面保護フィルム付偏光板。」(以下、「補正前の特許請求の範囲」という。)を、
「 【請求項1】
基材フィルム、ヨウ素系偏光子及び第1保護フィルムをこの順で含む多層フィルムから基材フィルムを剥離除去して、片面保護フィルム付偏光板を得る工程と、
前記片面保護フィルム付偏光板におけるヨウ素系偏光子の外面に活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて第2保護フィルムを貼合して、両面保護フィルム付偏光板を得る工程と、
を含み、
前記第1保護フィルム及び前記第2保護フィルムは、透湿度100g/m^(2)/24hr以下の熱可塑性樹脂フィルムであり、
前記ヨウ素系偏光子は、その厚みが2μm以上10μm以下であり、
前記第2保護フィルムを貼合するときの前記ヨウ素系偏光子の水分率が6重量%未満である、両面保護フィルム付偏光板の製造方法。
【請求項2】
ヨウ素系偏光子及びその片面に積層される第1保護フィルムを含む片面保護フィルム付偏光板におけるヨウ素系偏光子の外面に活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて第2保護フィルムを貼合して、両面保護フィルム付偏光板を得る工程を含み、
前記第1保護フィルム及び前記第2保護フィルムは、透湿度100g/m^(2)/24hr以下の熱可塑性樹脂フィルムであり、
前記ヨウ素系偏光子は、その厚みが2μm以上10μm以下であり、
前記第2保護フィルムを貼合するときの前記ヨウ素系偏光子の水分率が6重量%未満である、両面保護フィルム付偏光板の製造方法。
【請求項3】
ヨウ素系偏光子と、その一方の面に第1接着剤層を介して積層される第1保護フィルムと、他方の面に第2接着剤層を介して積層される第2保護フィルムとを含み、
前記第2接着剤層は、活性エネルギー線硬化性接着剤の硬化物であり、
前記ヨウ素系偏光子は、その厚みが2μm以上10μm以下であり、
前記第1保護フィルム及び前記第2保護フィルムはいずれも、透湿度100g/m^(2)/24hr以下の熱可塑性樹脂フィルムであり、
前記ヨウ素系偏光子の水分率が6重量%未満である、両面保護フィルム付偏光板。」(下線部は補正箇所を示す。)
と補正するものである。

2 補正の目的
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1?3に係る発明のそれぞれにおいて、ヨウ素系偏光子の厚みに「2μm以上」とする限定を付加するものである。

本願の願書に最初に添付した明細書の段落[0025]には、「ヨウ素系偏光子5の厚みは通常、2μm以上である。」と記載されている。したがって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の記載に基づくものであるから、新規事項の追加には当たらない。

また、本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1?3に係る発明の構成要件であった「ヨウ素系偏光子」について、限定を付加するものであるり、本件補正の前後において請求項1?3に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一のものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

3 引用文献の記載及び引用発明
(1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張の日前の平成26年1月23日に公開された刊行物である特開2014-12819号公報(以下、「引用文献」という。)には以下の事項が記載されている。(下線部は、発明の認定に用いた箇所を示す。以下同様)

ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性成分として、ラジカル重合性化合物(A)、(B)および(C)を含有する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物であって、組成物全量を100重量%としたとき、
SP値が29.0(kJ/m^(3))^(1/2)以上32.0以下(kJ/m^(3))^(1/2)であるラジカル重合性化合物(A)を1.0?30.0重量%、
SP値が18.0(kJ/m^(3))^(1/2)以上21.0(kJ/m^(3))^(1/2)未満であるラジカル重合性化合物(B)を35.0?98.0重量%、および
SP値が21.0(kJ/m^(3))^(1/2)以上23.0(kJ/m^(3))^(1/2)以下であるラジカル重合性化合物(C)を1.0?30.0重量%含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。

(中略)

【請求項24】
偏光子の少なくとも一方の面に、接着剤層を介して波長365nmの光線透過率が5%未満である透明保護フィルムが設けられている偏光フィルムの製造方法であって、
前記偏光子および前記透明保護フィルムの少なくとも一方の面に、請求項1?18のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗工する塗工工程と、
前記偏光子および前記透明保護フィルムを貼り合わせる貼合工程と、
前記偏光子面側または前記透明保護フィルム面側から活性エネルギー線を照射して、前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させることにより得られた接着剤層を介して、前記偏光子および前記透明保護フィルムを接着させる接着工程とを含むことを特徴とする偏光フィルムの製造方法。

(中略)

【請求項26】
前記偏光フィルムが、偏光子の両面に、接着剤層を介して波長365nmの光線透過率が5%未満である透明保護フィルムが設けられているものであり、
最初に、一方の透明保護フィルム側から活性エネルギー線を照射し、次いで他方の透明保護フィルム側から活性エネルギー線を照射して、前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させることにより得られた接着剤層を介して、前記偏光子および前記透明保護フィルムを接着させる接着工程を含む請求項24または25に記載の偏光フィルムの製造方法。

(中略)

【請求項29】
前記貼合工程時の前記偏光子の水分率が15%未満である請求項24?28のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。」

イ 「【0005】
また水系接着剤を使用する場合には、偏光子との接着性を高めるために、偏光子の水分率も相対的に高くしておかないと(通常偏光子の水分率は30%程度)、接着性が良好な偏光フィルムを得ることができない。しかし、このようにして得られた偏光フィルムでは、高温や、高温高湿度下での、寸法変化が大きく、光学特性が悪いなどの問題を有している。一方、寸法変化を抑えるには、偏光子の水分率を下げたり、透湿度の低い透明保護フィルムを用いたりすることができる。しかし、こうした偏光子と透明保護フィルムとを、水系接着剤を用いて貼り合わせると、乾燥効率が下がったり、偏光特性が下がったり、または外観の不具合が発生し実質上有用な偏光フィルムを得ることができない。
【0006】
また、特にTVで代表されるように、近年、画像表示装置の大画面化が進むにつれ、偏光フィルムの大型化も生産性やコストの面(歩留まり、取り数アップ)から非常に重要になっている。しかし、前述の水系接着剤を用いた偏光フィルムでは、バックライトの熱により偏光フィルムが寸法変化を引き起こし、それがムラになって画面全体のうち一部分で黒表示が白く見えるといったいわゆる光抜け(ムラ)が顕著になってくるという問題がある。」

ウ 「【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一般に、偏光子に対する接着剤層の接着性を高める手段として、原料となる接着剤組成物中の親水性成分比率を高める方法がある。しかしながら、近年では偏光フィルムなどに対し、過酷な湿熱環境下(例えば60℃-95%湿度環境下で1000時間放置)でも耐久性を確保することが要求されつつあり、上記方法により接着性を高めた接着剤層では、過酷な湿熱環境下で耐久性が不十分となる場合もある。つまり、過酷な湿熱環境下では、接着性と耐久性との両立が困難であり、これらが二律背反する傾向があった。
【0013】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、2以上の部材、特には偏光子と透明保護フィルム層との接着性が良好で、かつ耐久性および耐水性を向上した接着剤層、特には湿熱環境下においても耐久性(湿熱耐久性)と接着性とを両立可能な接着剤層を形成できる活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を提供することにある。
【0014】
ところで、近年では市場において生産性のさらなる改善が要求され、特に偏光子と透明保護フィルムとを貼合(ラミネート)する場合に、偏光子の水分率を低減することで、ラミネート後に得られる偏光フィルムの乾燥負荷を低減する試みがなされている。しかしながら、従来の活性エネルギー線硬化型接着剤組成物では、低水分率である偏光子の接着性が不十分である場合があり、さらなる接着性の向上が要求されているのが実情である。
【0015】
したがって本発明は、低水分率である偏光子を使用する場合であっても、偏光子と透明保護フィルムとの接着性に優れ、かつ接着剤層の耐久性および耐水性に優れた接着剤層を備える偏光フィルムおよびその製造方法、光学フィルムならびに画像表示装置を提供することをも目的とする。」

エ 「【発明の効果】
【0054】
本発明に係る活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の硬化物により接着剤層を形成した場合、2以上の部材、特には偏光子と透明保護フィルム層との接着性を向上し、かつ耐久性および耐水性を向上した接着剤層、特には湿熱環境下においても耐久性(湿熱耐久性)と接着性とを両立可能な接着剤層を形成できる。さらに本発明に係る偏光フィルムは、低水分率である偏光子を使用する場合であっても、偏光子と透明保護フィルムとの接着性に優れ、かつ接着剤層の耐久性および耐水性に優れた接着剤層を備える。
【0055】
本発明に係る接着剤層を備える場合、寸法変化が小さい偏光フィルムを作製できるため、偏光フィルムの大型化にも容易に対応でき、歩留まり、取り数の観点から生産コストを抑えることができる。また、本発明に係る偏光フィルムは寸法安定性がよいことから、バックライトの外部熱による画像表示装置のムラの発生を抑えることができる。」

オ 「【0123】
本発明に係る偏光フィルムの製造方法は、偏光子の少なくとも一方の面に、接着剤層を介して波長365nmの光線透過率が5%未満である透明保護フィルムが設けられている偏光フィルムの製造方法であって、前記偏光子または前記透明保護フィルムの少なくとも一方の面に、前記いずれかに記載の活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗工する塗工工程と、前記偏光子および前記透明保護フィルムとを貼り合わせる貼合工程と、前記偏光子面側または前記透明保護フィルム面側から活性エネルギー線を照射して、前記活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させることにより得られた接着剤層を介して、前記偏光子および前記透明保護フィルムを接着させる接着工程とを含む。前記貼合工程時の前記偏光子の水分率が15%未満である場合、貼合工程(ラミネート)後に得られる偏光フィルムの乾燥負荷を低減できるため好ましい。かかる低水分率の偏光子としては、加熱乾燥時に水分率低下が容易に行える薄型偏光子が挙げられる。薄型偏光子については後述する。

(中略)

【0128】
なお、偏光子の両面に、接着剤層を介して波長365nmの光線透過率が5%未満である透明保護フィルムが設けられている偏光フィルムを製造する場合は、最初に、一方の透明保護フィルム側から活性エネルギー線を照射し、次いで他方の透明保護フィルム側から活性エネルギー線を照射して、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させることにより得られた接着剤層を介して、偏光子および前記透明保護フィルムを接着させる接着工程を含んでも良い。」

カ 「【0130】
本発明に係る偏光フィルムを連続ラインで製造する場合、ライン速度は、接着剤の硬化時間によるが、好ましくは1?500m/min、より好ましくは5?300m/min、さらに好ましくは10?100m/minである。ライン速度が小さすぎる場合は、生産性が乏しい、または透明保護フィルムへのダメージが大きすぎ、耐久性試験などに耐えうる偏光フィルムが作製できない。ライン速度が大きすぎる場合は、接着剤の硬化が不十分となり、目的とする接着性が得られない場合がある。」

キ 「【0178】
<透明保護フィルム>
透明保護フィルムとして、厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TAC)(SP値23.3、透湿度560g/m^(2)/24h)を、ケン化・コロナ処理等を行わずに用いた(以下、ケン化・コロナ処理等を行っていないTACを、「未処理TAC」ともいう)。さらに、透明保護フィルムとして、厚み40μmのアクリルフィルム(SP値22.2、透湿度70g/m^(2)/24h)を、ケン化・コロナ処理等を行わずに用いた(以下、ケン化・コロナ処理等を行っていないアクリルフィルムを、「未処理アクリルフィルム」ともいう)。」

ク 「【0180】
(活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の調整)
実施例1?9、比較例1?2
表2に記載の配合表に従い、各成分を混合して50℃で1時間撹拌し、実施例1?9、比較例1?2に係る活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を得た。表中の数値は組成物全量を100重量%としたときの重量%を示す。なお、実施例4において組成物全量を100重量%に換算すると、ラジカル重合性化合物(A)は20.10重量%、ラジカル重合性化合物(B)は58.29重量%、ラジカル重合性化合物(C)は20.10重量%、光重合性開始剤(一般式(2))は1.51重量%となる。
該接着剤組成物の相溶性を下記の条件に基づき評価した。使用した各成分は以下のとおりである。」

ケ 「【0182】
(薄型偏光膜Xの作製とそれを用いた偏光フィルム1の作製)
薄型偏光膜Xを作製するため、まず、非晶性PET基材に24μm厚のPVA層が製膜された積層体を延伸温度130℃の空中補助延伸によって延伸積層体を生成し、次に、延伸積層体を染色によって着色積層体を生成し、さらに着色積層体を延伸温度65度のホウ酸水中延伸によって総延伸倍率が5.94倍になるように非晶性PET基材と一体に延伸された10μm厚のPVA層を含む光学フィルム積層体を生成した。このような2段延伸によって非晶性PET基材に製膜されたPVA層のPVA分子が高次に配向され、染色によって吸着されたヨウ素がポリヨウ素イオン錯体として一方向に高次に配向された高機能偏光膜Yを構成する、厚さ10μmのPVA層を含む光学フィルム積層体を生成することができた。更に、当該光学フィルム積層体の薄型偏光膜X(水分率2.0%)の表面に実施例1?9、比較例1?2に係る活性エネルギー線硬化型接着剤組成物をMCDコーター(富士機械社製)(セル形状:ハニカム、グラビアロール線数:1000本/inch、回転速度140%/対ライン速)を用いて、厚み0.5μmになるように塗布し、透明保護フィルムとして、片面に前記未処理TACを接着剤塗布面から貼り合わせ、上記紫外線を照射して実施例1?9、比較例1?2に係る活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させた後、非晶性PET基材を剥離し、剥離した面に同様に活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗布し、未処理アクリルフィルムを接着剤塗布面から貼り合わせた。その後、上記紫外線を照射して実施例1?9、比較例1?2に係る活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させた後、貼り合わせた透明保護フィルム側から、IRヒーターを用いて50℃に加温し、70℃で3分間熱風乾燥し薄型偏光膜Xを用いた偏光フィルムを作製した。貼り合わせのライン速度は25m/minで行った。得られた各偏光フィルムの接着力(対TACおよび対アクリルフィルム)、耐水性(温水浸漬試験)、耐久性(ヒートショック試験)および湿熱耐久性を下記の条件に基づき評価した。
(薄型偏光膜Xの作製とそれを用いた偏光フィルム2の作製)
保護フィルムとして、偏光子の両面に未処理アクリルフィルムを使用した以外は偏光フィルム1と同様にして、偏光フィルム2を得た。」

コ 「【0186】
<湿熱耐久性>
偏光フィルムのアクリルフィルム面に粘着剤層を積層し、偏光子の延伸方向に200mm、垂直方向に400mmの長方形にカットし、偏光フィルムの端部をフルバック端面処理を実施した。この粘着剤層付き偏光フィルムを無アルカリガラス板にラミネートし、60℃95%R.H.環境下で1000時間処理後の偏光フィルムを目視で観察し、下記の基準に基づき評価した。
○:ハガレなし
△:偏光フィルム端部から1mm未満のハガレが発生
×:偏光フィルム端部から1mm以上のハガレが発生
【0187】
【表2】



(2)以上の記載事項キ、ケに基づけば、引用文献には、偏光フィルム2の作製方法として、以下の発明が記載されていると認められる。
「非晶性PET基材に製膜されたPVA層のPVA分子が高次に配向され、染色によって吸着されたヨウ素がポリヨウ素イオン錯体として一方向に高次に配向された高機能偏光膜Yを構成する、厚さ10μmのPVA層を含む光学フィルム積層体の薄型偏光膜X(水分率2.0%)の表面に活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗布し、透明保護フィルムとして、片面に、ケン化・コロナ処理等を行っていない厚み40μmの未処理アクリルフィルム(SP値22.2、透湿度70g/m^(2)/24h)を接着剤塗布面から貼り合わせ、紫外線を照射して活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させ、非晶性PET基材を剥離し、剥離した面に活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗布し、透明保護フィルムとして、前記未処理アクリルフィルムを接着剤塗布面から貼り合わせ、紫外線を照射して活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させた後、貼り合わせた透明保護フィルム側から、IRヒーターを用いて50℃に加温し、70℃で3分間熱風乾燥する、保護フィルムとして、偏光子の両面に未処理アクリルフィルムを使用した偏光フィルム2の作製方法。」(以下、「引用発明」という。)

3 対比
本件補正の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「非晶性PET基材」、「染色によって吸着されたヨウ素がポリヨウ素イオン錯体として一方向に高次に配向された高機能偏光膜Y」、「透明保護フィルムとして、片面に、ケン化・コロナ処理等を行っていない厚み40μmの未処理アクリルフィルム(SP値22.2、透湿度70g/m^(2)/24h)」は、それぞれ、本件補正発明の「基材フィルム」、「ヨウ素系偏光子」、「第1保護フィルム」に相当する。そして、引用発明の「非晶性PET基材に製膜されたPVA層のPVA分子が高次に配向され、染色によって吸着されたヨウ素がポリヨウ素イオン錯体として一方向に高次に配向された高機能偏光膜Yを構成する、厚さ10μmのPVA層を含む光学フィルム積層体の薄型偏光膜X(水分率2.0%)の表面に活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗布し、透明保護フィルムとして、片面に、ケン化・コロナ処理等を行っていない厚み40μmの未処理アクリルフィルム(SP値22.2、透湿度70g/m^(2)/24h)を接着剤塗布面から貼り合わせ、紫外線を照射して活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させ」たとの記載に基づけば、引用発明は、本件補正発明の「基材フィルム、ヨウ素系偏光子及び第1保護フィルムをこの順で含む多層フィルム」との要件を満たすといえる。

(2)引用発明の「非晶性PET基材を剥離」する工程は、「非晶性PET基材」、「染色によって吸着されたヨウ素がポリヨウ素イオン錯体として一方向に高次に配向された高機能偏光膜Y」、「透明保護フィルムとして、片面に、ケン化・コロナ処理等を行っていない厚み40μmの未処理アクリルフィルム(SP値22.2、透湿度70g/m^(2)/24h)」をこの順で含む多層フィルムから「非晶性PET基材」を剥離する工程であり、高機能偏光膜Yの片面に透明保護フィルムが貼り合わされた片面保護フィルム付偏光板を得るものといえる。したがって、引用発明の「非晶性PET基材を剥離」する工程は、本件補正発明の「基材フィルム、ヨウ素系偏光子及び第1保護フィルムをこの順で含む多層フィルムから基材フィルムを剥離除去して、片面保護フィルム付偏光板を得る工程」に相当する。

(3)引用発明の「剥離した面に活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗布し、透明保護フィルムとして、前記未処理アクリルフィルムを接着剤塗布面から貼り合わせ、紫外線を照射して活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させた」とする工程は、本件補正発明の「前記片面保護フィルム付偏光板におけるヨウ素系偏光子の外面に活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて第2保護フィルムを貼合して、両面保護フィルム付偏光板を得る工程」に相当する。

(4)引用発明の両面に用いられる「透明保護フィルム」は、「ケン化・コロナ処理等を行っていない厚み40μmの未処理アクリルフィルム」であり、「SP値22.2、透湿度70g/m^(2)/24h」という物性を有する。したがって、引用発明の両面に用いられる「透明保護フィルム」は、透湿度100g/m^(2)/24hr以下であって、熱可塑性樹脂フィルムであるといえる。以上より、引用発明は、本件補正発明の「前記第1保護フィルム及び前記第2保護フィルムは、透湿度100g/m^(2)/24hr以下の熱可塑性樹脂フィルム」とする要件を満たしている。

(5)引用発明の「厚さ10μmのPVA層を含む光学フィルム積層体の薄型偏光膜X」は、その厚みが2μm以上10μm以下であるといえる。したがって、引用発明は、本件補正発明の「前記ヨウ素系偏光子は、その厚みが2μm以上10μm以下」とする要件を満たしている。

(6)引用発明の「保護フィルムとして、偏光子の両面に未処理アクリルフィルムを使用した偏光フィルム2の作製方法」は、本件補正発明の「両面保護フィルム付偏光板の製造方法」に相当する。

以上より、本件補正発明と引用発明とは、
「基材フィルム、ヨウ素系偏光子及び第1保護フィルムをこの順で含む多層フィルムから基材フィルムを剥離除去して、片面保護フィルム付偏光板を得る工程と、前記片面保護フィルム付偏光板におけるヨウ素系偏光子の外面に活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて第2保護フィルムを貼合して、両面保護フィルム付偏光板を得る工程と、を含み、前記第1保護フィルム及び前記第2保護フィルムは、透湿度100g/m^(2)/24hr以下の熱可塑性樹脂フィルムであり、前記ヨウ素系偏光子は、その厚みが2μm以上10μm以下である、両面保護フィルム付偏光板の製造方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]本件補正発明は、第2保護フィルムを貼合するときのヨウ素系偏光子の水分率が6重量%未満であるのに対し、引用発明は、透明保護フィルム(第1保護フィルム)を貼り合わせる前の薄型偏光膜Xの水分率は2.0%であるものの、透明保護フィルム(第2保護フィルム)を接着剤塗布面から貼り合わせるときの薄型偏光膜Xの水分率が明らかでない点。

4 判断
(1)引用発明は、光学フィルム積層体の薄型偏光膜X(水分率2.0%)の一方の面に活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗布し、未処理アクリルフィルム(第1保護フィルム)を貼り合わせ、紫外線を照射して活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させ、非晶性PET基材を剥離し、剥離した面である他方の面に活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗布し、未処理アクリルフィルム(第2保護フィルム)を貼り合わせるものであるから、他方の面の未処理アクリルフィルム(第2保護フィルム)を貼り合わせるときの薄型偏光膜Xの水分率は、一方の面に活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗布し、未処理アクリルフィルム(第1保護フィルム)を貼り合わせ、紫外線を照射して活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を硬化させ、非晶性PET基材を剥離し、剥離した面である他方の面に活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗布する直前までの工程(以下、便宜上「水分率増加工程」という。)の間に、周囲の環境からどの程度水分を吸収するのかによって決まるものと考えられる。
しかし、引用文献において、記載事項ウには、「近年では市場において生産性のさらなる改善が要求され、特に偏光子と透明保護フィルムとを貼合(ラミネート)する場合に、偏光子の水分率を低減することで、ラミネート後に得られる偏光フィルムの乾燥負荷を低減する試みがなされている。しかしながら、従来の活性エネルギー線硬化型接着剤組成物では、低水分率である偏光子の接着性が不十分である場合があり、さらなる接着性の向上が要求されているのが実情である。」と記載されており、記載事項エにも、「さらに本発明に係る偏光フィルムは、低水分率である偏光子を使用する場合であっても、偏光子と透明保護フィルムとの接着性に優れ、かつ接着剤層の耐久性および耐水性に優れた接着剤層を備える。」と記載されている。以上より、引用文献には、偏光子と透明保護フィルムとを貼合(ラミネート)する場合に、ラミネート後に得られる偏光フィルムの乾燥負荷を低減するために、低水分率の偏光子を用いることを前提としており、低水分率の偏光子と透明保護フィルムとの接着性や耐久性等に優れた活性エネルギー線硬化型接着剤組成物について記載されているといえる。そして、引用発明は、当該活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を用いて、偏光フィルムを作製する方法の発明である。そうであれば、引用発明において、水分率を2.0%にまで低減した薄膜型偏光膜Xについて、前記「水分率増加工程」やその後の他方の面への活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の塗布及び未処理アクリルフィルムの貼り合わせ工程を、水分率が大幅に増加してしまい、得られる偏光フィルムの乾燥負荷が大きく増加してしまうような高湿度環境下で長時間かけて行うとは、引用文献の記載からみておよそ考えられない。
そして、前記「水分率増加工程」におけるほとんどの期間で、薄型偏光膜Xは、一方の面が活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の層、あるいは未処理アクリルフィルム(第1保護フィルム)及び活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の層で覆われ、他方の面が非晶性PET基材で覆われているのであるから、そもそも周囲の環境に曝される期間は短いものであり、周囲の環境から水分を吸収する速度が決して高いとはいえないことを併せ考えれば、引用発明において、未処理アクリルフィルム(第2保護フィルム)を貼り合わせるときの薄型偏光膜Xの水分率は、2.0%と同程度と考えるのが自然であり、6.0%以上となるとは到底考えられない。
したがって、上記[相違点]は、実質的な相違点ではない。
よって、本件補正発明は、引用発明と同一の発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(2)仮に、2つめの未処理アクリルフィルム(第2保護フィルム)を貼り合わせるときの薄型偏光膜Xの水分率が6重量%未満であるとまで断定できないとした場合であっても、引用文献の記載事項ウ及びエによれば、引用発明も、透明保護フィルム(第2保護フィルム)を接着剤塗布面から貼り合わせるときの薄型偏光膜Xの水分率を低いものを用いようとするものである。したがって、前記「水分率増加工程」やその後の他方の面への活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の塗布及び未処理アクリルフィルム(第2保護フィルム)を貼り合わせる工程を、水分率があまり増加しないような低湿環境下で行い、2つめの未処理アクリルフィルム(第2保護膜)を貼り合わせるときの薄型偏光膜Xの水分率が6.0%未満となるよう構成すること、すなわち引用発明を、[相違点]に係る本件補正発明のように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明の効果について確認すると、段落[0017]の記載によれば、「耐湿熱性と耐熱性とを兼備する」というものであり、さらに、段落[0006]には、「透湿度の低い保護フィルムをヨウ素系偏光子の両面に貼合すれば、外部からの水分の侵入が低減されるため、偏光板の耐湿熱性を高めることができる。しかしながらその一方で、このような透湿度の低い保護フィルムを両面に用いた従来の両面保護フィルム付偏光板は、一般の耐湿熱性試験よりも高い温度環境下に晒す耐熱性試験を実施すると、クロスニコル下での光漏れ(退色して偏光板から赤色領域の光が漏れて偏光板が赤く見える現象。赤変ともいう。)が生じたり、偏光特性が低下したりすることが本発明者の検討により明らかとなった。この耐熱性不良の問題は、ヨウ素系偏光子の厚みが小さいほど顕著である。」と記載されている。以上の記載に基づけば、本件補正発明の効果における耐熱性とは、耐熱性試験を実施しても、クロスニコル下での光漏れが生じず、偏光特性が低下しないというものといえる。
一方、引用文献には、記載事項エに「特には湿熱環境下においても耐久性(湿熱耐久性)と接着性とを両立可能な接着剤層を形成できる。」、「また、本発明に係る偏光フィルムは寸法安定性がよいことから、バックライトの外部熱による画像表示装置のムラの発生を抑えることができる。」と記載されている。さらに、記載事項イに「バックライトの熱により偏光フィルムが寸法変化を引き起こし、それがムラになって画面全体のうち一部分で黒表示が白く見えるといったいわゆる光抜け(ムラ)が顕著になってくるという問題がある。」と記載されている。これらの記載によれば、引用発明も、湿熱耐久性つまり、耐湿熱性を高めるものであって、さらに、外部熱による寸法変化で偏光フィルムの光漏れが発生するのを抑える、つまり、耐熱性も兼備するというものである。そうすると、本件補正発明の効果は、引用文献に記載されたものであって、格別なものということはできない。
よって、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

(3)請求人は、偏光子の水分率が仮にかなり低いとしても、偏光子がその後に置かれる環境や経過時間によって、第2保護フィルムを貼合するときの水分率は大きく変化し得ること、実験成績証明書に示されるとおり、偏光子は吸湿性が高いため、23℃65%RHの環境下において4時間程度静置しただけで水分率が6重量%以上となること、実験成績証明書での実験では、引用発明よりも水分を通しにくい保護膜を使用しているので、6重量%以上である蓋然性は一層高くなること、6重量%未満としたことにより、当業者が予測し得ない効果の差異があると主張している。
しかしながら、偏光子がその後に置かれる環境や経過時間によって、第2保護フィルムを貼合するときの水分率は大きく変化するとしても、すでに前記4(1)及び(2)において検討したとおり、「水分率増加工程」を、23℃65RHの環境下で4時間もかけて行うなどとは、引用文献の記載からみて到底考えられないし、少なくとも水分率が6重量%未満となるような
低湿環境で「水分率増加工程」を行うことは当業者が容易に想到し得たことであるから、請求人の主張は採用できない。
次に、第1保護フィルムの透湿度の違いによる第2保護フィルムを貼合するときの偏光子の水分率への影響を確認すると、保護フィルムの透湿度のみが異なる本願の実施例2,3と実施例4,5では、水分率がそれぞれ、実施例2及び実施例3では4.6重量%及び4.4重量%、実施例4及び実施例5では4.2重量%及び4.8重量%とされており、第1保護フィルムの透湿度の違いによって得られる偏光子の水分率に有意差は見られない。したがって、実験成績証明書での実験が引用発明よりも水分を通しにくい保護膜を使用しているものであっても引用発明の水分率が6重量%以上である蓋然性は一層高くなるとはいえない。そもそも、請求人が行った実験は、実験成績証明書の図からみて、偏光子の一方の面に保護膜を設けただけの状態で他方の面を開放してなされたものと解されるから、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物等を順次塗布、貼り合わせしてなされる引用発明より、厳しい条件での実験ということもできない。
最後に、6重量%未満としたことにより、当業者が予測し得ない効果の差異があるといえるかについて検討すると、すでに前記4(2)において検討したとおり、引用文献にも、外部熱による寸法変化で偏光フィルムの光漏れが発生するのを抑えるという効果が開示されている。6重量%未満としたことにより、当業者が予測し得ない効果を奏するとはいえない。

5 補正却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができたものとはいえない。したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本件発明について
1 本件発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?3に係る発明は、平成28年4月25日付けの手続補正の特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される、前記第2の1に補正前の特許請求の範囲として記載したとおりのものと認められる。(以下、補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明を「本件発明」という。)

2 引用文献の記載及び引用発明
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献の記載事項及び引用文献の記載に基づいて認定できる引用発明は、前記第2の3に記載したとおりである。

3 対比・判断
本件発明は、本件補正発明において、ヨウ素系偏光子の厚みにした「2μm以上」とする限定を除くものである。
そうすると、本件発明に限定を付した本件補正発明が、引用発明と同一の発明である、または、引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本件発明も、同様に理由により、引用発明と同一の発明である、または、引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものといえる。

4 むすび
以上のとおりであるから、本件発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、または、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-10-30 
結審通知日 2017-10-31 
審決日 2017-11-13 
出願番号 特願2015-536325(P2015-536325)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (G02B)
P 1 8・ 121- Z (G02B)
P 1 8・ 575- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加藤 昌伸  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 清水 康司
宮澤 浩
発明の名称 両面保護フィルム付偏光板の製造方法  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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