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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B41J
管理番号 1335771
審判番号 不服2017-8057  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-05 
確定日 2018-01-16 
事件の表示 特願2016-143241「インクジェット式記録装置」拒絶査定不服審判事件〔、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年7月21日の出願であって、平成29年1月5日付けで手続補正がされ、同年3月1日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年6月5日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。


第2 原査定の概要
原査定(平成29年3月1日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・請求項 :1?9
・引用文献1:特開2013-154612号公報
引用文献2:実願昭54-162000号(実開昭56-77845号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
引用文献3:特開2013-39737号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開2009-234208号公報(周知技術を示す文献)


第3 平成29年6月5日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)の適否
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)から下記(2)へと補正することを含むものである。
(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
長尺な記録媒体にインクを吐出するノズルを備え、前記記録媒体の幅方向である主走査方向に移動可能なインクヘッドと、
前記インクヘッドの下方に配置され、前記記録媒体が配置されるプラテンと、
前記主走査方向と直交する副走査方向において前記プラテンより上流側に配置され、横断面円弧状に形成された上流側円弧部を備え、前記記録媒体を案内する上流側ガイドと、
前記副走査方向において前記プラテンより下流側に配置され、横断面円弧状に形成された下流側円弧部を備え、前記記録媒体を案内する下流側ガイドと、
前記上流側ガイドより下方に配置され、前記記録媒体が巻き付けられた供給軸と、
前記プラテンに設けられ、前記供給軸から巻き解かれた前記記録媒体を前記副走査方向に搬送する搬送装置と、
前記下流側ガイドより下方に配置され、印刷後の前記記録媒体を巻き取る巻き取り軸と、
前記プラテンを加熱する第1ヒータと、
前記上流側ガイドの前記上流側円弧部を加熱する第2ヒータと、
前記下流側ガイドの前記下流側円弧部を加熱する第3ヒータと、を備え、
前記主走査方向から見て、前記上流側ガイドの前記上流側円弧部の第1曲率は、前記下流側ガイドの前記下流側円弧部の第2曲率より大きく設定され、
前記主走査方向から見て、前記上流側円弧部の前記第1曲率は、前記供給軸に前記記録媒体が最も長く巻き付けられたときの前記記録媒体の第3曲率より小さい、インクジェット式記録装置。
【請求項2】
長尺な記録媒体にインクを吐出するノズルを備え、前記記録媒体の幅方向である主走査方向に移動可能なインクヘッドと、
前記インクヘッドの下方に配置され、前記記録媒体が配置されるプラテンと、
前記主走査方向と直交する副走査方向において前記プラテンより上流側に配置され、横断面円弧状に形成された上流側円弧部を備え、前記記録媒体を案内する上流側ガイドと、
前記副走査方向において前記プラテンより下流側に配置され、横断面円弧状に形成された下流側円弧部を備え、前記記録媒体を案内する下流側ガイドと、
前記上流側ガイドより下方に配置され、前記記録媒体が巻き付けられた供給軸と、
前記プラテンに設けられ、前記供給軸から巻き解かれた前記記録媒体を前記副走査方向に搬送する搬送装置と、
前記下流側ガイドより下方に配置され、印刷後の前記記録媒体を巻き取る巻き取り軸と、
前記プラテンを加熱する第1ヒータと、
前記上流側ガイドの前記上流側円弧部を加熱する第2ヒータと、
前記下流側ガイドの前記下流側円弧部を加熱する第3ヒータと、を備え、
前記主走査方向から見て、前記上流側ガイドの前記上流側円弧部の第1曲率は、前記下流側ガイドの前記下流側円弧部の第2曲率より大きく設定され、
前記主走査方向から見て、前記下流側円弧部の前記第2曲率は、前記巻き取り軸に前記記録媒体が最も長く巻き取られたときの前記記録媒体の第4曲率より小さい、インクジェット式記録装置。
【請求項3】
前記上流側円弧部の前記副走査方向の長さは、前記下流側円弧部の前記副走査方向の長さより短い、請求項1または2に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項4】
前記主走査方向から見て、前記上流側円弧部の円弧の長さは、前記下流側円弧部の円弧の長さより短い、請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項5】
前記主走査方向から見て、前記上流側円弧部の第1中心角は45度以上90度以下であり、前記下流側円弧部の第2中心角は45度以上90度以下であり、前記第1中心角は、前記第2中心角以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項6】
前記主走査方向から見て、前記上流側円弧部の前記第1曲率は、前記供給軸の第5曲率より小さい、請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項7】
前記主走査方向から見て、前記下流側円弧部の前記第2曲率は、前記巻き取り軸の第6曲率より小さい、請求項1から6のいずれか一項に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項8】
前記上流側円弧部の第1曲率をM1とし、前記下流側円弧部の第2曲率をM2としたとき、M1/M2は1.1?2.0である、請求項1から7のいずれか一項に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項9】
前記第1ヒータは、前記プラテンに設けられ、
前記第2ヒータは、前記上流側ガイドに設けられ、
前記第3ヒータは、前記下流側ガイドに設けられている、請求項1から8のいずれか一項に記載のインクジェット式記録装置。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
長尺な記録媒体にインクを吐出するノズルを備え、前記記録媒体の幅方向である主走査方向に移動可能なインクヘッドと、
前記インクヘッドの下方に配置され、前記記録媒体が配置され、上面が平坦状に形成されたプラテンと、
前記主走査方向と直交する副走査方向において前記プラテンより上流側に配置され、横断面円弧状に形成された上流側円弧部を備え、前記記録媒体を案内する上流側ガイドと、
前記副走査方向において前記プラテンより下流側に配置され、横断面円弧状に形成された下流側円弧部を備え、前記記録媒体を案内する下流側ガイドと、
前記上流側ガイドより下方に配置され、前記記録媒体が巻き付けられた供給軸と、
前記プラテンに設けられ、前記供給軸から巻き解かれた前記記録媒体を前記副走査方向に搬送する搬送装置と、
前記下流側ガイドより下方に配置され、印刷後の前記記録媒体を巻き取る巻き取り軸と、
前記プラテンを加熱する第1ヒータと、
前記上流側ガイドの前記上流側円弧部を加熱する第2ヒータと、
前記下流側ガイドの前記下流側円弧部を加熱する第3ヒータと、を備え、
前記主走査方向から見て、前記上流側ガイドの前記上流側円弧部の第1曲率は、前記下流側ガイドの前記下流側円弧部の第2曲率より大きく設定され、
前記主走査方向から見て、前記上流側円弧部の前記第1曲率は、前記供給軸に前記記録媒体が最も長く巻き付けられたときの前記記録媒体の第3曲率より小さい、インクジェット式記録装置。
【請求項2】
長尺な記録媒体にインクを吐出するノズルを備え、前記記録媒体の幅方向である主走査方向に移動可能なインクヘッドと、
前記インクヘッドの下方に配置され、前記記録媒体が配置され、上面が平坦状に形成されたプラテンと、
前記主走査方向と直交する副走査方向において前記プラテンより上流側に配置され、横断面円弧状に形成された上流側円弧部を備え、前記記録媒体を案内する上流側ガイドと、
前記副走査方向において前記プラテンより下流側に配置され、横断面円弧状に形成された下流側円弧部を備え、前記記録媒体を案内する下流側ガイドと、
前記上流側ガイドより下方に配置され、前記記録媒体が巻き付けられた供給軸と、
前記プラテンに設けられ、前記供給軸から巻き解かれた前記記録媒体を前記副走査方向に搬送する搬送装置と、
前記下流側ガイドより下方に配置され、印刷後の前記記録媒体を巻き取る巻き取り軸と、
前記プラテンを加熱する第1ヒータと、
前記上流側ガイドの前記上流側円弧部を加熱する第2ヒータと、
前記下流側ガイドの前記下流側円弧部を加熱する第3ヒータと、を備え、
前記主走査方向から見て、前記上流側ガイドの前記上流側円弧部の第1曲率は、前記下流側ガイドの前記下流側円弧部の第2曲率より大きく設定され、
前記主走査方向から見て、前記下流側円弧部の前記第2曲率は、前記巻き取り軸に前記記録媒体が最も長く巻き取られたときの前記記録媒体の第4曲率より小さい、インクジェット式記録装置。
【請求項3】
前記上流側円弧部の前記副走査方向の長さは、前記下流側円弧部の前記副走査方向の長さより短い、請求項1または2に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項4】
前記主走査方向から見て、前記上流側円弧部の円弧の長さは、前記下流側円弧部の円弧の長さより短い、請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項5】
前記主走査方向から見て、前記上流側円弧部の第1中心角は45度以上90度以下であり、前記下流側円弧部の第2中心角は45度以上90度以下であり、前記第1中心角は、
前記第2中心角以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項6】
前記主走査方向から見て、前記上流側円弧部の前記第1曲率は、前記供給軸の第5曲率より小さい、請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項7】
前記主走査方向から見て、前記下流側円弧部の前記第2曲率は、前記巻き取り軸の第6曲率より小さい、請求項2に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項8】
前記上流側円弧部の第1曲率をM1とし、前記下流側円弧部の第2曲率をM2としたとき、M1/M2は1.1?2.0である、請求項1から7のいずれか一項に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項9】
前記第1ヒータは、前記プラテンに設けられ、
前記第2ヒータは、前記上流側ガイドに設けられ、
前記第3ヒータは、前記下流側ガイドに設けられている、請求項1から8のいずれか一項に記載のインクジェット式記録装置。」(下線は平成29年6月5日付けの手続補正書のとおり。)

2 補正の適否
審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項乃至第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1乃至9に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。


第4 本願発明
本願請求項1乃至9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」乃至「本願発明9」という。)は、平成29年6月5日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至請求項9に記載された事項により特定される、上記「第3 1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」に記載したとおりのものと認める。


第5 引用刊行物等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成25年8月15日に頒布された引用文献1(特開2013-154612号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線は審決で付した。以下同じ。)
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って上流側から下流側へ搬送されるターゲットに対して低蒸気圧溶媒を含む液体をノズルから噴射可能な液体噴射ヘッドと、
前記搬送経路の一部を形成し、前記ターゲットを前記液体噴射ヘッドと対向するように支持するメイン支持部と、
前記メイン支持部を加熱するメイン加熱部と、
前記メイン支持部の温度が35?40℃となるように前記メイン加熱部を制御する制御部と
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記搬送経路の一部を形成し、前記搬送経路における前記メイン支持部の上流側で前記ターゲットを支持する上流側支持部と、
前記上流側支持部を加熱する上流側加熱部と
を備え、
前記制御部は、前記上流側支持部の温度が35?40℃となるように前記上流側加熱部を制御することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。」
(2)「【0019】
搬送ユニット13は、搬送経路の上流側でロール状のフィルムFを支持するとともに該フィルムFを巻き解きながら搬送経路に沿って下流側へ繰り出す繰出軸15と、繰出軸15から繰り出されたフィルムFを下流側で巻き取る巻取軸16とを備えている。繰出軸15は巻取軸16よりも高い位置に配置されるとともに、フィルムFの搬送経路は全体として略円弧状をなしている。
【0020】
繰出軸15及び巻取軸16は、フィルムFの搬送方向と直交する幅方向に延びる軸線を中心に回転可能に構成されるとともに、互いに平行となるように延びている。繰出軸15には、フィルムFが繰り出される方向に該繰出軸15を回転駆動する繰出モーター17(図3参照)が設けられている。一方、巻取軸16には、フィルムFが巻き取られる方向に該巻取軸16を回転駆動する巻取モーター18(図3参照)が設けられている。
【0021】
フィルムFの搬送経路の途中位置には、該搬送経路の一部を形成するとともに繰出軸15から巻取軸16に向かって搬送されるフィルムFを一方側(図1では下側)から支持する略矩形板状のメイン支持部20が配置されている。そして、メイン支持部20におけるフィルムFを支持する面は、水平な印刷支持面20aとされている。
【0022】
フィルムFの搬送経路におけるメイン支持部20の上流側には、該搬送経路の一部を形成するとともにフィルムFを一方側(図1では下側)から支持する板状の上流側支持部21がメイン支持部20と隣り合うように配置されている。上流側支持部21は、下流側へ向かうほど高さが高くなるように湾曲(屈曲)されている。そして、上流側支持部21におけるフィルムFを支持する面は、上流側支持面21aとされている。
【0023】
フィルムFの搬送経路におけるメイン支持部20の下流側には、該搬送経路の一部を形成するとともにフィルムFを一方側(図1では下側)から支持する板状の下流側支持部22がメイン支持部20と隣り合うように配置されている。下流側支持部22は、下流側へ向かうほど高さが低くなるように湾曲(屈曲)されている。そして、下流側支持部22におけるフィルムFを支持する面は、下流側支持面22aとされている。」
(3)「【0025】
図1及び図2に示すように、メイン支持部20における印刷支持面20aとは反対側の面には、メイン支持部20を加熱するメイン加熱部としての印刷ヒーター23が蛇行状に這うように設けられている。さらに、メイン支持部20における印刷支持面20aとは反対側の面には、メイン支持部20の温度を検出する印刷温度センサー24が設けられている。
【0026】
上流側支持部21における上流側支持面21aとは反対側の面には、上流側支持部21を加熱する上流側加熱部としての上流側ヒーター25が蛇行状に這うように設けられている。さらに、上流側支持部21における上流側支持面21aとは反対側の面には、上流側支持部21の温度を検出する上流側温度センサー26が設けられている。
【0027】
下流側支持部22における下流側支持面22aとは反対側の面には、下流側支持部22を加熱する下流側ヒーター27が蛇行状に這うように設けられている。さらに、下流側支持部22における下流側支持面22aとは反対側の面には、下流側支持部22の温度を検出する下流側温度センサー28が設けられている。
【0028】
図1に示すように、フィルムFの搬送経路におけるメイン支持部20と上流側支持部21との間には、上流側支持面21a上のフィルムFを挟持しながら印刷支持面20a上へ搬送する第1搬送ローラー対30が配置されている。一方、フィルムFの搬送経路におけるメイン支持部20と下流側支持部22との間には、印刷支持面20a上のフィルムFを挟持しながら下流側支持面22a上へ搬送する第2搬送ローラー対31が配置されている。各ローラー対30,31は、搬送モーター32(図3参照)によって回転駆動される。」
(4)「【0031】
図1に示すように、液体噴射ユニット14は、メイン支持部20の上方に配置されたキャリッジ40と、キャリッジ40の下端部にメイン支持部20の印刷支持面20aと対向するように支持された液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド41とを備えている。したがって、メイン支持部20は、フィルムFを記録ヘッド41と対向するように支持する。
【0032】
キャリッジ40は、本体フレーム12に設けられたガイド部材42によってフィルムFの搬送方向と直交する幅方向に移動可能に支持されている。ガイド部材42は、キャリッジ40よりもフィルムFの搬送経路の上流側に位置するとともに、フィルムFの搬送方向と直交する幅方向に延びている。」
(5)上記(4)より、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド41を下端部に備えキャリッジ40がフィルムFの搬送方向と直交する幅方向に移動可能に支持されていることから、液体噴射ヘッドは、フィルムの搬送方向と直交する幅方向に移動可能であるといえる。
(6)上記(2)、及び図1より、搬送経路の上流側でロール状のフィルムFを支持するとともに該フィルムFを巻き解きながら搬送経路に沿って下流側へ繰り出す繰出軸15を備え、上流側支持部21は、下流側へ向かうほど高さが高くなるように湾曲(屈曲)されているから、繰出軸は、上流側支持部より下方に配置された、といえる。また、下流側支持部22は、下流側へ向かうほど高さが低くなるように湾曲(屈曲)され、巻取軸16は、繰出軸15から繰り出されたフィルムFを下流側で巻き取るから、巻取軸は、下流側支持部より下方に配置された、といえる。

そうすると、上記(1)乃至(6)の記載事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「搬送経路に沿って上流側から下流側へ搬送されるターゲットに対して低蒸気圧溶媒を含む液体をノズルから噴射可能で、フィルムの搬送方向と直交する幅方向に移動可能である液体噴射ヘッドと、
前記搬送経路の一部を形成し、前記ターゲットを前記液体噴射ヘッドと対向するように支持するメイン支持部と、
前記メイン支持部を加熱するメイン加熱部と、
前記メイン支持部の温度が35?40℃となるように前記メイン加熱部を制御する制御部と
を備え、
前記搬送経路の一部を形成し、前記搬送経路における前記メイン支持部の上流側で前記ターゲットを支持する上流側支持部と、
前記上流側支持部を加熱する上流側加熱部と
を備え、
前記制御部は、前記上流側支持部の温度が35?40℃となるように前記上流側加熱部を制御し、
搬送ユニットは、搬送経路の上流側でロール状のフィルムを支持するとともに該フィルムを巻き解きながら搬送経路に沿って下流側へ繰り出し、上流側支持部より下方に配置された繰出軸と、繰出軸から繰り出されたフィルムを下流側で巻き取り、下流側支持部より下方に配置された巻取軸とを備え、
フィルムの搬送経路の途中位置には、該搬送経路の一部を形成するとともに繰出軸から巻取軸に向かって搬送されるフィルムを一方側から支持する略矩形板状のメイン支持部が配置され、メイン支持部におけるフィルムを支持する面は、水平な印刷支持面とされ、
フィルムの搬送経路におけるメイン支持部と上流側支持部との間には、上流側支持面上のフィルムを挟持しながら印刷支持面上へ搬送する第1搬送ローラー対が配置され、一方、フィルムの搬送経路におけるメイン支持部と下流側支持部との間には、印刷支持面上のフィルムを挟持しながら下流側支持面上へ搬送する第2搬送ローラー対が配置され、
フィルムの搬送経路におけるメイン支持部の上流側には、該搬送経路の一部を形成するとともにフィルムを一方側から支持する板状の上流側支持部がメイン支持部と隣り合うように配置され、上流側支持部は、下流側へ向かうほど高さが高くなるように湾曲(屈曲)され、上流側支持部におけるフィルムを支持する面は、上流側支持面とされ、
フィルムの搬送経路におけるメイン支持部の下流側には、該搬送経路の一部を形成するとともにフィルムを一方側から支持する板状の下流側支持部がメイン支持部と隣り合うように配置され、下流側支持部は、下流側へ向かうほど高さが低くなるように湾曲(屈曲)され、下流側支持部におけるフィルムを支持する面は、下流側支持面とされ、
下流側支持部における下流側支持面とは反対側の面には、下流側支持部を加熱する下流側ヒーターが蛇行状に這うように設けられている、液体噴射装置。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の昭和56年6月24日に頒布された引用文献2(実願昭54-162000号(実開昭56-77845号)のマイクロフィルム)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「2 実用新案登録請求の範囲
ロール複写紙を使用する複写機の帯電部に、複写紙の巻きぐせに応じた曲率を持つペーパーガイドを設け、前記複写紙が前記ペーパーガイドに沿つて搬送されるようにしたことを特徴とする、帯電部におけるペーパーガイド。」(1頁4?9行)
(2)「技術分野
本考案はロール複写紙を使用する電子写真複写機又はリーダープリンタ等の複写機において、複写紙上に均一な帯電を施すための帯電部におけるペーパーガイドの形状に関するものである。」(1頁11?15行)
(3)「目的
本考案は以上のような問題点に鑑みてなされたもので、巻きぐせを持つ複写紙にも均一な帯電を施して、良好な画像の複写紙を得ることができるようにすることを目的としている。」(2頁19行?3頁3行)
(4)「複写紙(P)は図面下向の巻きぐせを持つているが、ペーパーガイド(3)は上述の通り、この巻きぐせに応じた曲率を持つているため、同複写紙(P)はペーパーガイド(3)から浮きあがることなくチヤージヤ(4)の下を通過する。」(4頁3?7行)

そうすると、上記(1)乃至(4)の記載事項から、引用文献2には、次の技術事項(以下「引用文献2記載の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

「ロール複写紙を使用する複写機の帯電部に、複写紙の巻きぐせに応じた曲率を持つペーパーガイドを設け、前記複写紙が前記ペーパーガイドに沿つて搬送されるようにした、帯電部におけるペーパーガイド。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成25年2月28日に頒布された引用文献3(特開2013-39737号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。」
(2)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、インクの乾燥に関して、着弾時の記録媒体の記録面温度は高温であるほど好ましいが、印字領域において記録媒体を急激に加熱してしまうと、熱膨張による伸び等によって印字不良の原因となるシワが発生する。このシワに対し、従来では、上記予熱装置を設け、印字領域に入る前に記録媒体を予熱して熱膨張差を軽減することによるシワ対策を講じている。すなわち、印字領域における目標温度と、予熱装置における加熱温度とを同等にするよう温度制御している。
【0006】
しかしながら、このように温度制御しても、実際問題、予熱装置における加熱が不十分となって、記録媒体にシワが発生する事例がみられている。この原因としては、例えば、上記従来技術のように、記録媒体を支持する支持部材の加熱による熱伝導方式を採用する場合、記録媒体との接触不良によって、加熱が不十分となることが考えられる。また、他の外乱(例えば周囲の温度や湿度等)の影響によるものも考えられる。」

そうすると、上記(1)及び(2)の記載事項から、引用文献3には、次の技術事項(以下「引用文献3記載の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

「記録媒体を支持する支持部材の加熱による熱伝導方式を採用する場合、記録媒体との接触不良によって、加熱が不十分となって、記録媒体にシワが発生するという課題。」

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成21年10月15日に頒布された引用文献4(特開2009-234208号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドと対向配置された支持板と、
前記支持板の表面に沿って移動して用紙を搬送する搬送ベルトとを有し、
前記支持板の表面は、前記用紙の搬送方向を含む基準平面に対して湾曲する湾曲面に形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記湾曲面は、前記用紙の変形特性に応じて設定されることを特徴とする画像形成装置。」
(2)「【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。」
(3)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
シワ等の紙クセを有する用紙が搬送された場合には、紙クセが除去しきれない状態で用紙を吸着してしまう可能性があり、やはりインクの着弾精度が十分に確保されているとはいえなかった。
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、用紙のクセによる悪影響を排除して画像形成精度を向上できる画像形成装置を提供することを目的とする。」

そうすると、上記(1)乃至(3)の記載事項から、引用文献4には、次の技術事項(以下「引用文献4記載の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。

「記録ヘッドと対向配置された支持板と、
前記支持板の表面に沿って移動して用紙を搬送する搬送ベルトとを有し、
前記支持板の表面は、前記用紙の搬送方向を含む基準平面に対して湾曲する湾曲面に形成され、
前記湾曲面は、前記用紙の変形特性に応じて設定される、画像形成装置。」


第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
そこで、本願発明1と引用発明1とを対比すると、
後者の「ロール状のフィルム」、「『低蒸気圧溶媒を含む液体を噴射可能な』『ノズル』」、「フィルムの搬送方向と直交する幅方向に移動可能である液体噴射ヘッド」、「『フィルムを支持する面が、水平な印刷支持面』である『搬送経路の一部を形成し、ターゲットを液体噴射ヘッドと対向するように支持するメイン支持部』」、「『メイン支持部と隣り合うように配置され』、『フィルムを支持する面は、上流側支持面』であり、『フィルムの搬送経路におけるメイン支持部の上流側で、該搬送経路の一部を形成するとともにフィルムを一方側から支持する板状の上流側支持部』」、「『メイン支持部と隣り合うように配置され』、『フィルムを支持する面は、下流側支持面』であり、『フィルムの搬送経路におけるメイン支持部の下流側には、該搬送経路の一部を形成するとともにフィルムを一方側から支持する板状の下流側支持部』」、「搬送経路の上流側でロール状のフィルムを支持するとともに該フィルムを巻き解きながら搬送経路に沿って下流側へ繰り出し、上流側支持部より下方に配置された繰出軸」、「『フィルムの搬送経路におけるメイン支持部と上流側支持部との間で、上流側支持面上のフィルムを挟持しながら印刷支持面上へ搬送する第1搬送ローラー対』、及び『フィルムの搬送経路におけるメイン支持部と下流側支持部との間には、印刷支持面上のフィルムを挟持しながら下流側支持面上へ搬送する第2搬送ローラー』」、「繰出軸から繰り出されたフィルムを下流側で巻き取り、下流側支持部より下方に配置された巻取軸」、「メイン支持部を加熱するメイン加熱部」、「上流側支持部を加熱する上流側加熱部」、「下流側支持部を加熱する下流側ヒーター」は、それぞれ、前者の「長尺な記録媒体」、「インクを吐出するノズル」、「記録媒体の幅方向である主走査方向に移動可能なインクヘッド」、「インクヘッドの下方に配置され、前記記録媒体が配置され、上面が平坦状に形成されたプラテン」、「主走査方向と直交する副走査方向において前記プラテンより上流側に配置され、前記記録媒体を案内する上流側ガイド」、「副走査方向において前記プラテンより下流側に配置され、前記記録媒体を案内する下流側ガイド」、「上流側ガイドより下方に配置され、前記記録媒体が巻き付けられた供給軸」、「プラテンに設けられ、前記供給軸から巻き解かれた前記記録媒体を前記副走査方向に搬送する搬送装置」、「下流側ガイドより下方に配置され、印刷後の前記記録媒体を巻き取る巻き取り軸」、「プラテンを加熱する第1ヒータ」、「上流側ガイドの前記上流側円弧部を加熱する第2ヒータ」、「下流側ガイドの前記下流側円弧部を加熱する第3ヒータ」に相当する。

したがって、両者は、
「長尺な記録媒体にインクを吐出するノズルを備え、前記記録媒体の幅方向である主走査方向に移動可能なインクヘッドと、
前記インクヘッドの下方に配置され、前記記録媒体が配置され、上面が平坦状に形成されたプラテンと、
前記主走査方向と直交する副走査方向において前記プラテンより上流側に配置され、前記記録媒体を案内する上流側ガイドと、
前記副走査方向において前記プラテンより下流側に配置され、前記記録媒体を案内する下流側ガイドと、
前記上流側ガイドより下方に配置され、前記記録媒体が巻き付けられた供給軸と、
前記プラテンに設けられ、前記供給軸から巻き解かれた前記記録媒体を前記副走査方向に搬送する搬送装置と、
前記下流側ガイドより下方に配置され、印刷後の前記記録媒体を巻き取る巻き取り軸と、
前記プラテンを加熱する第1ヒータと、
前記上流側ガイドの前記上流側円弧部を加熱する第2ヒータと、
前記下流側ガイドの前記下流側円弧部を加熱する第3ヒータと、を備えた、インクジェット式記録装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願発明1が、「横断面円弧状に形成された上流側円弧部を備え」た記録媒体を案内する上流側ガイドと、「横断面円弧状に形成された下流側円弧部を備え」た記録媒体を案内する下流側ガイドと、を備え、「主走査方向から見て、上流側ガイドの上流側円弧部の第1曲率は、下流側ガイドの下流側円弧部の第2曲率より大きく設定され、主走査方向から見て、上流側円弧部の前記第1曲率は、供給軸に記録媒体が最も長く巻き付けられたときの記録媒体の第3曲率より小さい」のに対し、引用発明1は、「下流側へ向かうほど高さが高くなるように湾曲(屈曲)され」た上流側支持面と、「下流側へ向かうほど高さが低くなるように湾曲(屈曲)され」た下流側支持面を備えている点。

(2)判断
上記相違点1について以下検討する。
上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項の「主走査方向から見て、上流側ガイドの上流側円弧部の第1曲率は、下流側ガイドの下流側円弧部の第2曲率より大きく設定され、主走査方向から見て、上流側円弧部の前記第1曲率は、供給軸に記録媒体が最も長く巻き付けられたときの記録媒体の第3曲率より小さい」は、上記各引用文献に記載の技術事項のいずれにも、記載も示唆もされていないし、設計的事項といえる理由はない。
そして、本願発明1は、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項により、「本発明のインクジェット式記録装置によると、主走査方向から見て、上流側円弧部の第1曲率は、下流側円弧部の第2曲率より大きく設定されている。このため、冷えた状態の記録媒体に第2ヒータが予備的に熱を加えることによって記録媒体の反りを矯正するために、上流側円弧部の曲率を、供給軸から搬送される記録媒体の反りに合わせて設定することができる。これにより、上流側ガイドにおいて未矯正で反りが大きい記録媒体が上流側ガイドから浮き上がることによって発生し得るしわや弛みを抑制することができる。」(【0009】参照。)という作用効果を奏するものである。

したがって、本願発明1は、引用発明1、及び上記各引用文献に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

2 本願発明2について
(1)対比
そこで、本願発明2と引用発明1とを対比すると、本願発明1と本願発明2とは、
「長尺な記録媒体にインクを吐出するノズルを備え、前記記録媒体の幅方向である主走査方向に移動可能なインクヘッドと、
前記インクヘッドの下方に配置され、前記記録媒体が配置され、上面が平坦状に形成されたプラテンと、
前記主走査方向と直交する副走査方向において前記プラテンより上流側に配置され、横断面円弧状に形成された上流側円弧部を備え、前記記録媒体を案内する上流側ガイドと、
前記副走査方向において前記プラテンより下流側に配置され、横断面円弧状に形成された下流側円弧部を備え、前記記録媒体を案内する下流側ガイドと、
前記上流側ガイドより下方に配置され、前記記録媒体が巻き付けられた供給軸と、
前記プラテンに設けられ、前記供給軸から巻き解かれた前記記録媒体を前記副走査方向に搬送する搬送装置と、
前記下流側ガイドより下方に配置され、印刷後の前記記録媒体を巻き取る巻き取り軸と、
前記プラテンを加熱する第1ヒータと、
前記上流側ガイドの前記上流側円弧部を加熱する第2ヒータと、
前記下流側ガイドの前記下流側円弧部を加熱する第3ヒータと、を備え、
前記主走査方向から見て、前記上流側ガイドの前記上流側円弧部の第1曲率は、前記下流側ガイドの前記下流側円弧部の第2曲率より大きく設定された、インクジェット式記録装置。」
である点で共通するものであるから、上記「1(1)」を踏まえると、本願発明2と引用発明1とは、
「長尺な記録媒体にインクを吐出するノズルを備え、前記記録媒体の幅方向である主走査方向に移動可能なインクヘッドと、
前記インクヘッドの下方に配置され、前記記録媒体が配置され、上面が平坦状に形成されたプラテンと、
前記主走査方向と直交する副走査方向において前記プラテンより上流側に配置され、前記記録媒体を案内する上流側ガイドと、
前記副走査方向において前記プラテンより下流側に配置され、前記記録媒体を案内する下流側ガイドと、
前記上流側ガイドより下方に配置され、前記記録媒体が巻き付けられた供給軸と、
前記プラテンに設けられ、前記供給軸から巻き解かれた前記記録媒体を前記副走査方向に搬送する搬送装置と、
前記下流側ガイドより下方に配置され、印刷後の前記記録媒体を巻き取る巻き取り軸と、
前記プラテンを加熱する第1ヒータと、
前記上流側ガイドの前記上流側円弧部を加熱する第2ヒータと、
前記下流側ガイドの前記下流側円弧部を加熱する第3ヒータと、を備えた、インクジェット式記録装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点2]
本願発明2が、「横断面円弧状に形成された上流側円弧部を備え」た記録媒体を案内する上流側ガイドと、「横断面円弧状に形成された下流側円弧部を備え」た記録媒体を案内する下流側ガイドと、を備え、「主走査方向から見て、上流側ガイドの上流側円弧部の第1曲率は、下流側ガイドの下流側円弧部の第2曲率より大きく設定され、主走査方向から見て、下流側円弧部の第2曲率は、巻き取り軸に記録媒体が最も長く巻き取られたときの記録媒体の第4曲率より小さい」のに対し、引用発明1は、「下流側へ向かうほど高さが高くなるように湾曲(屈曲)され」た上流側支持面と、「下流側へ向かうほど高さが低くなるように湾曲(屈曲)され」た下流側支持面を備えている点。

(2)判断
上記相違点2について以下検討する。
上記相違点2に係る本願発明2の発明特定事項の「主走査方向から見て、上流側ガイドの上流側円弧部の第1曲率は、下流側ガイドの下流側円弧部の第2曲率より大きく設定され、主走査方向から見て、下流側円弧部の第2曲率は、巻き取り軸に記録媒体が最も長く巻き取られたときの記録媒体の第4曲率より小さい」は、上記各引用文献に記載の技術事項のいずれにも、記載も示唆もされていないし、設計的事項といえる理由はない。
そして、本願発明2は、上記相違点2に係る本願発明2の発明特定事項により、「印刷後の記録媒体に加わる物理的な負荷を抑えながら第3ヒータによって乾燥を仕上げるために、下流側円弧部の曲率を、第2ヒータおよび第1ヒータによって反りが矯正された印刷後の記録媒体の反りに合わせて設定することができる。これにより、下流側ガイドにおいて印刷後の記録媒体が必要以上に反った状態で第3ヒータによって加熱されることによって発生し得るインクの割れを抑制することができる。」(【0009】参照。)という作用効果を奏するものである。

したがって、本願発明2は、引用発明1、及び上記各引用文献に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

3 本願発明3乃至9について
本願発明3乃至9は、本願発明1、または本願発明2の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、上記「1 (2)」または上記「2 (2)」と同様の理由により、本願発明3乃至9は、引用発明1、及び上記各引用文献に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


第7 原査定について
本願発明1は、上記「第6 1 (2)」のとおり、当業者が引用発明1、及び上記各引用文献に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
また、本願発明2は、上記「第6 2 (2)」のとおり、当業者が引用発明1、及び上記各引用文献に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
また、本願発明3乃至9は、本願発明1または本願発明2の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、上記「第6 1 (2)」または上記「第6 2 (2)」と同様の理由により、引用発明1、及び上記各引用文献に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。


よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2017-12-26 
出願番号 特願2016-143241(P2016-143241)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B41J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 村石 桂一下村 輝秋  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 藤本 義仁
森次 顕
発明の名称 インクジェット式記録装置  
代理人 後藤 高志  

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