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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04N |
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管理番号 | 1335839 |
審判番号 | 不服2016-12840 |
総通号数 | 218 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-02-23 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-08-25 |
確定日 | 2018-01-16 |
事件の表示 | 特願2011-244633「送信装置、表示制御装置、コンテンツ送信方法、記録媒体、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月23日出願公開、特開2013-102345、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件出願は、平成23年11月8日の出願であって、手続の概要は以下のとおりである。 拒絶理由通知 平成27年10月14日(起案日) 手続補正 平成27年12月14日 拒絶査定 平成28年 5月25日(起案日) 審判請求 平成28年 8月25日 手続補正 平成28年 8月25日 第2 拒絶査定の概要 平成28年5月25日付け拒絶査定の概要は次のとおりである。 本願の請求項1?19に係る発明は、引用文献1、2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2009-284551号公報 引用文献2:特開2003-223415号公報 なお、拒絶査定には、請求項1?9、17、18、19に係る発明の「前記注視点の位置に表示されている前記オブジェクトの有する情報に関連付けて生成する」なる記載、請求項10?16に係る発明の「前記コンテンツ内において前記オブジェクトの有する情報に関連付けられた注視点の位置を示す注視点情報」なる記載は、不明確であり、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨の付記が記載されている。 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正は、新規事項を追加する補正でなく、発明の特別な技術的特徴を変更する補正でもない。 また、審判請求時の補正は、拒絶査定時に付記として記載した、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないと判断した構成要件についての明瞭でない記載の釈明を目的とした補正である。 したがって、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第5項までの要件に違反しているものとはいえない。 第4 本願発明 本願請求項1?18に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明18」という。)は、平成28年8月25日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?18に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 複数のオブジェクトを含むコンテンツ内における注視点の位置を示す注視点情報を、前記注視点の位置に表示されているオブジェクトを特定する情報と、当該オブジェクト内における前記注視点の相対位置の情報とを含めて生成する注視点情報生成部と、 前記注視点情報と、前記コンテンツ又は前記コンテンツを取得するための情報と、を送信する送信部と、 を備える、送信装置。 【請求項2】 生成された前記注視点情報に対する更新情報を生成する更新情報生成部、 をさらに備え、 前記送信部は、前記更新情報をさらに送信する、 請求項1に記載の送信装置。 【請求項3】 前記更新情報生成部は、表示される前記注視点を擦る操作が検知されると、前記注視点を消去する前記更新情報を生成する、 請求項2に記載の送信装置。 【請求項4】 前記更新情報生成部は、前記コンテンツの再生開始から所定時間経過後に前記注視点を更新する前記更新情報を生成する、 請求項2に記載の送信装置。 【請求項5】 前記注視点の上又は近傍に表示させる付加情報を生成する付加情報生成部、 をさらに備え、 前記送信部は、前記付加情報をさらに送信する、 請求項1に記載の送信装置。 【請求項6】 表示される前記コンテンツ上で指定される特定の点からのフリック操作が検出されると、 前記注視点情報生成部は、前記特定の点を前記注視点とする前記注視点情報を生成し、 前記送信部は、前記フリック操作に応じて、前記注視点情報と、前記コンテンツ又は前記コンテンツを取得するための情報と、を送信する、 請求項1に記載の送信装置。 【請求項7】 前記送信装置の筐体の傾きを検出する傾き検出部、 をさらに備え、 前記送信部は、前記筐体の傾きが検出されると、前記注視点情報と、前記コンテンツ又は前記コンテンツを取得するための情報と、を送信する、 請求項1に記載の送信装置。 【請求項8】 前記オブジェクトは動画像オブジェクトであり、 前記注視点情報生成部は、経時的に変化する前記注視点の位置を示す前記注視点情報を生成する、 請求項1に記載の送信装置。 【請求項9】 複数のオブジェクトを含むコンテンツと、前記コンテンツ内における注視点の位置を示し、前記注視点の位置に表示されているオブジェクトを特定する情報及び当該オブジェクト内における前記注視点の相対位置の情報を含む注視点情報と、を受信する受信部と、 前記注視点情報に従って、前記コンテンツと共に、前記オブジェクトを特定する情報と前記オブジェクト内における前記注視点の相対位置の情報とにより決定される位置に前記注視点を表示させる表示制御部と、 を備える、表示制御装置。 【請求項10】 前記表示制御部は、前記注視点が表示画面内に表示されるように前記コンテンツを表示させる、 請求項9に記載の表示制御装置。 【請求項11】 前記表示制御部は、前記注視点が前記表示画面の中心となるように前記コンテンツを表示させる、 請求項10に記載の表示制御装置。 【請求項12】 前記表示制御部は、前記コンテンツの表示領域を変更するスクロール操作に応じて、前記注視点が前記オブジェクト上となるように、前記注視点の表示画面上の位置を変更する、 請求項9に記載の表示制御装置。 【請求項13】 前記受信部は、前記注視点に対する付加情報をさらに受信し、 前記表示制御部は、前記注視点の上又は近傍に前記付加情報を重畳して表示させる、 請求項9に記載の表示制御装置。 【請求項14】 前記受信部は、前記注視点情報に対する更新情報をさらに受信し、 前記表示制御部は、前記更新情報に基づいて前記注視点情報を更新する、 請求項9に記載の表示制御装置。 【請求項15】 前記更新情報は、前記コンテンツの表示開始から前記注視点を消去するまでの時間の情報を含み、 前記表示制御部は、前記更新情報に従って、所定時間経過後に前記注視点を消去する、 請求項14に記載の表示制御装置。 【請求項16】 演算装置が、 複数のオブジェクトを含むコンテンツ内における注視点の位置を示す注視点情報を、前記注視点の位置に表示されているオブジェクトを特定する情報と、当該オブジェクト内における前記注視点の相対位置の情報とを含めて生成することと、 前記注視点情報と、前記コンテンツ又は前記コンテンツを取得するための情報と、を送信することと、 を含む、コンテンツ送信方法。 【請求項17】 コンピュータを、 複数のオブジェクトを含むコンテンツ内における注視点の位置を示す注視点情報を、前記注視点の位置に表示されているオブジェクトを特定する情報と、当該オブジェクト内における前記注視点の相対位置の情報とを含めて生成する注視点情報生成部と、 前記注視点情報と、前記コンテンツ又は前記コンテンツを取得するための情報と、を送信する送信部と、 を備える、送信装置として機能させるためのプログラムを記録した記録媒体。 【請求項18】 コンピュータを、 複数のオブジェクトを含むコンテンツ内における注視点の位置を示す注視点情報を、前記注視点の位置に表示されているオブジェクトを特定する情報と、当該オブジェクト内における前記注視点の相対位置の情報とを含めて生成する注視点情報生成部と、 前記注視点情報と、前記コンテンツ又は前記コンテンツを取得するための情報と、を送信する送信部と、 を備える、送信装置として機能させるためのプログラム。 第5 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0598】 (Webページの共有) 次に、本実施形態において、送信側および受信側の両方の多機能テレビ10Tが、インターネット接続が可能となっているとともに、Web(World Wide Web)ブラウザの機能を有しており、送信側および受信側で共有される画像が、Webページの画像である実施例を示す。この実施例では、送信側と受信側とで同じWebページを表示した状態で、ポインティング動作を行いながらテレビ電話によって会話をするというような利用形態が想定される。このような利用形態によれば、例えば、図29に示すように、ネットワーク上にあるおもちゃ屋さんのサイトのWebページを表示し、表示されているおもちゃの画像のうちあるおもちゃに対して目印221をつけて相手に指し示し、「このぬいぐるみが欲しい」といった会話を楽しむことができる。 【0599】 このとき問題になるのは、送信側の多機能テレビ10Tにおいて表示されているWebページと、受信側の多機能テレビ10Tにおいて選択されている表示されているWebページとが異なる場合である。この場合には、目印情報の送受信が行われたとしても、送信側と受信側とで目印によって指し示されているものが異なることになるので、目印情報の送受信は無意味なものとなる。 【0600】 このような状況を防ぐために、送信側の多機能テレビ10Tは、目印情報の送信に先立って、現在表示しているWebページを指定するアドレス情報を受信側の多機能テレビ10Tに送信する。受信側の多機能テレビ10Tでは、目印情報の受信に先立って送信側の多機能テレビ10Tからアドレス情報を受信し、受信したアドレスによってネットワークにアクセスし、取得したWebページを表示する。 【0601】 ここで、送信側の多機能テレビ10Tおよび受信側の多機能テレビ10Tにおける処理の流れについて、図30(a)および図30(b)を参照しながら以下に説明する。同図(a)は、送信側の多機能テレビ10Tにおける処理の流れ、同図(b)は、受信側の多機能テレビ10Tにおける処理の流れを示している。 【0602】 まず、送信側の多機能テレビ10Tにおける処理について、図30(a)を参照しながら説明する。なお、以下の処理に先立って、送信側の多機能テレビ10Tと受信側の多機能テレビ10Tとの間で、テレビ電話機能または音声電話機能によって通信が確立している状態であるものとする。 【0603】 S2021では、利用者によって入力部5におけるコンテンツ共有ボタン212が押されることにより、コンテンツ共有の開始指示が受信側の多機能テレビ10Tに送信される。これにより、受信側の多機能テレビ10Tは、コンテンツ共有の待機状態に移行する。 【0604】 次にS2022において、自装置において、現時点でネットワークコンテンツ受信部204のWebブラウジング機能によって表示しているWebページのアドレス(URL(Uniform Resource Locator))がネットワークコンテンツ受信部204によって取得される。なお、ここでは、テレビ電話機能を利用しながら、同時にWebページの閲覧を行っていることを想定している。この場合、テレビ電話による映像とWebページの映像とを、マルチ画面形式で表示部4に表示してもよいし、表示内容切り替えボタン211によって切り替えながら表示してもよい。 【0605】 次にS2023において、ネットワークコンテンツ受信部204によって取得されたURL情報が通信制御部13に伝送され、通信制御部13の制御に基づいて通信部7からURL情報が受信側の多機能テレビ10Tに送信される。これにより、受信側の多機能テレビ10Tは、表示すべきWebページのアドレスを認識することが可能となる。 【0606】 その後、表示部4に目印が表示され、入力部4からの入力動作に応じて、目印情報移動制御部14によって、前記したような目印の位置指定動作、種類指定動作、形状指定動作などが行われる。そして、これらの動作に基づいて、目印情報作成部11によって目印情報が生成される(S2024)。なお、目印情報の生成の方法は、前記した実施の形態で示した方法と同様であるので、ここではその説明を省略する。 【0607】 なお、テレビ電話による映像とWebページの映像とを、マルチ画面形式で表示部4に表示している場合には、目印の位置情報は、Webページの映像が表示される領域内での相対位置情報として、受信側の多機能テレビ10Tに送信されることになる。 【0608】 次にS2025において、目印情報作成部11によって作成された目印情報が、通信制御部13の制御に基づいて通信部7から受信側の多機能テレビ10Tに送信される。これにより、受信側の多機能テレビ10Tは、受信した目印情報に基づいてポインティング動作を行うことが可能となる。」 「【図29】 」 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「複数のおもちゃの画像を含むおもちゃ屋さんのサイトのWebページにおけるWebページの映像が表示される領域内での相対位置情報である目印の位置情報を生成する目印情報作成部と、 目印の位置情報と、現在表示しているWebページを指定するアドレス情報と、を送信する通信部と、 を備える送信側の多機能テレビ。」 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0036】本説明において、携帯機器200はネットワーク400を介して通信可能な状態となっており、表示装置300も同様に、ネットワーク400を介して通信可能な状態となっているものとする。また、携帯機器200の表示デバイス203は、プレゼンテーション資料をグラフィックスで表示するには小さく、資料に関する情報をテキストで表示するものとし、表示装置300は、資料をグラフィックスで表示可能とする。 【0037】図5を参照するに、まずユーザが携帯機器200で資料リストを要求すると、携帯機器200は資料リスト要求を送信する(ステップS1)。 【0038】情報サーバ100は、携帯機器200からの資料リスト要求を受信すると(ステップS2)、資料リストを送信する(ステップS3)。ここで、情報サーバ100が管理する資料リストは、図6に示すように、資料番号とオブジェクト・テーブル(後述)へのポインタとの組のリストとから構成される。上記資料リストを送信する際、情報サーバ100は、資料リスト要求が携帯機器200からの要求であることを判別して、テキストデータからなる資料リストを送信する。 【0039】携帯機器200は資料リストを受信すると(ステップS4)、受信した資料リストを表示デバイス203に表示する(ステップS5)。 【0040】次に、ユーザが携帯機器200に表示された資料リストを見て、表示したい資料を選択すると、携帯機器200は、選択された資料に関する情報、例えば、資料番号などを送信する(ステップS6)。 【0041】情報サーバ100は、資料情報を受信すると(ステップS7)、受信した資料情報に対応する資料を資料データ格納部102から読み込み(ステップS8)、資料を構成するオブジェクトを抽出する(ステップS9)。ここで、資料を構成するオブジェクトとは、資料を表示したときに描画される文字列、グラフィックス(線、矩形など)、貼り付けられた画像のことであり、各オブジェクトの位置、サイズが抽出される。 【0042】情報サーバ100は、資料を構成するオブジェクトを抽出すると、図7に示すようなオブジェクト・テーブルを生成する(ステップS10)。このオブジェクト・テーブルにおける表示位置は、オブジェクトの左上隅の画面上での座標を示しており、表示位置およびサイズの単位は画面上の画素数である。また、このときに、各オブジェクトに対する名前(オブジェクト名称)が生成され、オブジェクト・テーブルに登録される。オブジェクト名称は、オブジェクトが文字列の場合には、その文字列の全部もしくは一部となり、オブジェクトが矩形の場合は、矩形を表す言葉(四角、丸、三角など)となる。また、同じ名前が発生しないようにオブジェクト名称の末尾にはシリアル番号が付与される。そして、(図示していないが)さらに、オブジェクトを説明する文章などをオブジェクトに関連付けて登録することも可能である。これにより、例えば、プレゼンテーションのときの「あんちょこ」のような機能が提供されることになる。 【0043】次に、情報サーバ100は、上記ステップS10で生成したオブジェクト・テーブルを参照して、オブジェクト構成情報を生成し、それを携帯機器200に送信する(ステップS11)。オブジェクト構成情報は、テキスト・データであり、オブジェクト・テーブルそのものを送信しても構わない。 【0044】携帯機器200がオブジェクト構成情報を受信すると(ステップS12)、携帯機器200は、その情報を表示デバイス203に表示する(ステップS13)。 【0045】上記ステップS11でオブジェクト構成情報を送信した情報サーバ100は、次に、グラフィックス表示のための画面データを生成する(ステップS14)。ここで生成する画面データは、送信先の表示装置300がグラフィックスのレンダリング・エンジンを搭載している場合は、グラフィックス情報となり、表示装置300がレンダリング・エンジンを持たない場合は、グラフィックス情報をレンダリングした結果であるビットマップ情報となる。そして、情報サーバ100は、生成したグラフィックス画面データを送信する(ステップS15)。 【0046】表示装置300は、グラフィックス画面データを受信し(ステップS16)、受信したデータに基づいて画面を表示(投影)する(ステップS17)。 【0047】次に、本実施の形態の情報協調システムにおいて、ポインタ表示モードのときの動作について図8ないし図10を参照しながら説明する。図8は図1の情報協調システムにおけるポインタ表示モードのときの動作手順を示すフローチャート、図9は図1の携帯機器200の画面例を示す図、図10は図1の表示装置300の画面例を示す図である。 【0048】本実施の形態の情報システムにおいては、ポインタ表示モードの設定および解除が可能である。ポインタ表示モードを設定した場合、携帯機器200では、選択したオブジェクトが反転表示され、表示装置300では、携帯機器200で選択されたオブジェクトに対応する位置にポインタが重畳して表示される。 【0049】ここで、携帯機器においては、図9に示すような画面が表示される。図9(a)は、情報サーバ100から資料データを受信して、その内容を表示する画面を示す。図9(b)は、ポインタ表示モードを設定したときの画面を示しており、画面右上には、ポインタ表示モードの設定を表すマーク(黒い四角)601が表示されている。図9(c)は、図9(b)に示す画面において、ユーザがオブジェクトを選択したときの様子を示しており、選択したオブジェクトの部分が反転表示されている。 【0050】ユーザがポインタ表示モードになっている携帯機器200を操作して、ポインティングしたいオブジェクトを選択すると、図8に示すように、選択されたオブジェクトに対応するオブジェクト番号を送信する(ステップS20)。 【0051】情報サーバ100は、上記オブジェクト番号を受信すると(ステップS21)、受信したオブジェクト番号に対応するオブジェクトのポインタ表示位置を算出する(ステップS22)。ここでは、オブジェクトの中心をポインタ表示位置とし、表示位置(X,Y)、サイズ(W,H)の場合、(X+W/2,Y+H/2)となる。これらの値は、図7に示すオブジェクト・テーブルから取得される。 【0052】次いで、情報サーバ100は、グラフィックス表示のための画面データを生成する(ステップS23)。ここで生成する画面データは、送信先の表示装置300がグラフィックスのレンダリング・エンジンを搭載している場合は、グラフィックス情報となり、表示装置300がレンダリング・エンジンを搭載していない場合は、グラフィックス情報をレンダリングした結果であるビットマップ情報となる。続いて、上記ステップS23で生成した画面データにおける上記ステップS22で算出したポインタ表示位置にポインタ画像が重畳される(ステップS24)。そして、情報サーバ100は、上記ステップS24で作成した画面データを送信する(ステップS25)。 【0053】表示装置300は、画面データを受信し(ステップS26)、受信したデータにもとづいて画面を表示(投影)する(ステップS27)。このとき、携帯機器200でユーザが選択したオブジェクトにポインタが表示される。この場合、表示装置300の表示部302により、例えば図10に示すように、選択されたオブジェクト701と、それに重畳されたポインタ702とが表示(投影)される。 【0054】このように、本実施の形態では、情報サーバ100にある資料データを、携帯機器200および表示装置300に適した形式に変換して送信するので、異なる端末(携帯機器200、表示装置300)間での協調動作を可能にし、手持ちの携帯機器200から、表示装置300で表示される資料データの操作を簡単に行うことができる。」 「 」 したがって、上記引用文献2には次の技術が記載されている。 「オブジェクト番号、表示位置、サイズ、オブジェクト名称から成るオブジェクト・テーブルを参照して生成されたオブジェクト構成情報を情報サーバから受信すると、表示デバイスに表示し、ユーザがオブジェクトを選択すると、選択したオブジェクトの部分が反転表示され、選択されたオブジェクトに対応するオブジェクト番号を情報サーバに送信する携帯機器、 オブジェクト構成情報を生成し、携帯機器に送信し、携帯機器からオブジェクト番号を受信すると、オブジェクト番号に対応するオブジェクトのポインタ表示位置を、オブジェクトの中心、すなわち、表示位置(X,Y)、サイズ(W,H)の場合、(X+W/2,Y+H/2)となるように算出し、グラフィックス情報もしくはビットマップ情報である画面データを生成し、ポインタ表示位置にポインタ画像を重畳し、作成した画面データを表示装置に送信する情報サーバ、 情報サーバから画面データを受信し、受信したデータにもとづいて画面を表示することにより、携帯機器でユーザが選択したオブジェクトにポインタが表示される表示装置 からなる、携帯機器、表示装置間での協調動作を可能にする技術。」 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。 ア 引用発明における「おもちゃの画像」、「おもちゃ屋さんのサイトのWebページ」、「目印情報作成部」、「通信部」、「送信側の多機能テレビ」は、本願発明1における「オブジェクト」、「コンテンツ」、「注視点情報生成部」、「送信部」、「送信装置」に相当する。 イ 引用発明における「相対位置情報である目印の位置情報を生成する」ことと、本願発明1の「注視点の位置を示す注視点情報を、前記注視点の位置に表示されているオブジェクトを特定する情報と、当該オブジェクト内における前記注視点の相対位置の情報とを含めて生成する」ことは、「注視点の位置を示す注視点情報を、前記注視点の相対位置の情報を含めて生成する」という点で共通する。 ウ 引用発明における「現在表示しているWebページを指定するアドレス情報」は、Webページを取得するための情報であるから、本願発明1の「コンテンツを取得するための情報」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明は、以下の一致点、相違点がある。 (一致点) 複数のオブジェクトを含むコンテンツ内における注視点の位置を示す注視点情報を、前記注視点の相対位置の情報を含めて生成する注視点情報生成部と、 前記注視点情報と、前記コンテンツ又は前記コンテンツを取得するための情報と、を送信する送信部と、 を備える、送信装置。 (相違点) 注視点情報に関して、本願発明1は、「前記注視点の位置に表示されているオブジェクトを特定する情報と、当該オブジェクト内における前記注視点の相対位置の情報とを含めて生成する」のに対し、引用発明は、「Webページの映像が表示される領域内での相対位置情報」であり、「前記注視点の位置に表示されているオブジェクトを特定する情報」を含むものでなく、「当該オブジェクト内における前記注視点の相対位置の情報」でない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点について検討する。 第5の「2.引用文献2について」に記載のとおり、引用文献2には、 「オブジェクト番号、表示位置、サイズ、オブジェクト名称から成るオブジェクト・テーブルを参照して生成されたオブジェクト構成情報を情報サーバから受信すると、表示デバイスに表示し、ユーザがオブジェクトを選択すると、選択したオブジェクトの部分が反転表示され、選択されたオブジェクトに対応するオブジェクト番号を情報サーバに送信する携帯機器、 オブジェクト構成情報を生成し、携帯機器に送信し、携帯機器からオブジェクト番号を受信すると、オブジェクト番号に対応するオブジェクトのポインタ表示位置を、オブジェクトの中心、すなわち、表示位置(X,Y)、サイズ(W,H)の場合、(X+W/2,Y+H/2)となるように算出し、グラフィックス情報もしくはビットマップ情報である画面データを生成し、ポインタ表示位置にポインタ画像を重畳し、作成した画面データを表示装置に送信する情報サーバ、 情報サーバから画面データを受信し、受信したデータにもとづいて画面を表示することにより、携帯機器でユーザが選択したオブジェクトにポインタが表示される表示装置 からなる、携帯機器、表示装置間での協調動作を可能にする技術。」 が記載されている。 引用文献2に記載された技術において、携帯機器から送信される「選択されたオブジェクトに対応するオブジェクト番号」は、オブジェクトを特定する情報といえる。 しかし、携帯機器は、「オブジェクト番号」を送信するのみであり、本願発明1のように、「当該オブジェクト内における前記注視点の相対位置の情報」を含めて送信するものでない。 また、前置報告書において、周知技術として提示されたKaj Groenbaek et al.、Webvise: browser and proxy support for open hypermedia structuring mechanisms on the World Wide Web、Computer Networks、Volume 31, Issues 11-16、Pages 1331-1345をみても、上記相違点に係る構成を見いだすことはできない。 そして、本願発明1は、上記相違点に係る構成を有することにより、本願明細書の段落0006に記載されたような「送信装置のユーザが、受信する側のユーザに対してコンテンツ中の特に注視しているポイントを共有したい場面に好適である」という各引用文献から予測できない効果を有しているものである。 したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 また、審判請求時の補正により、拒絶査定時に付記として記載した、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの判断を維持することはできない。 2.本願発明2?本願発明8について 本願発明2?本願発明8は、本願発明1を直接的もしくは間接的に引用する発明であり、上記1.で検討した相違点に係る構成を有しているものであるから、本願発明1と同様に、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 また、審判請求時の補正により、拒絶査定時に付記として記載した、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの判断を維持することはできない。 3.本願発明9?本願発明15について 本願発明9は、本願発明1に対応する表示制御装置の発明であり、また、本願発明10?本願発明15は、本願発明9を直接的もしくは間接的に引用する発明であるから、本願発明1と同様に、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 また、審判請求時の補正により、拒絶査定時に付記として記載した、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの判断を維持することはできない。 4.本願発明16、本願発明17、本願発明18について 本願発明16、本願発明17、本願発明18は、それぞれ、本願発明1に対応する方法、記録媒体、プログラムの発明であり、本願発明1と同様に、当業者であっても引用発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 また、審判請求時の補正により、拒絶査定時に付記として記載した、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの判断を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-12-25 |
出願番号 | 特願2011-244633(P2011-244633) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(H04N)
P 1 8・ 121- WY (H04N) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 後藤 嘉宏 |
特許庁審判長 |
鳥居 稔 |
特許庁審判官 |
篠原 功一 渡辺 努 |
発明の名称 | 送信装置、表示制御装置、コンテンツ送信方法、記録媒体、及びプログラム |
代理人 | 亀谷 美明 |