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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G03B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G03B
管理番号 1335901
審判番号 不服2017-1092  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-01-25 
確定日 2018-01-23 
事件の表示 特願2012- 47090「プロジェクター」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月12日出願公開、特開2013-182207、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年3月2日の出願であって、その手続の概要は、以下のとおりである。
平成27年 2月23日:手続補正書の提出
平成27年12月18日:拒絶理由の通知
平成28年 2月10日:意見書、手続補正書の提出
平成28年 5月13日:拒絶理由の通知
平成28年 6月27日:意見書、手続補正書の提出
平成28年10月17日:拒絶査定(同年10月25日送達)
平成29年 1月25日:審判請求書、手続補正書の提出
平成29年 9月 5日:拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。) の通知
平成29年11月 7日:意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明(以下「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、平成29年11月7日付け手続補正で補正された請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、本願発明1は以下のとおりである 。

「直線偏光を射出する固体光源と、
前記固体光源から射出された前記直線偏光を拡散する拡散素子と、
前記拡散素子から射出された拡散光を円偏光または楕円偏光に変換する複屈折素子と、
前記複屈折素子から射出された光を第1の偏光方向に偏光した第1の偏光光と第2の偏光方向に偏光した第2の偏光光とに分離し、該第1の偏光光の偏光方向を該第2の偏光方向に変換して射出する偏光変換素子と、を備え、
前記拡散素子と前記複屈折素子との間の光路上に、前記拡散素子から射出された前記拡散光を平行化して前記複屈折素子に入射させる光学手段が設けられ、
前記複屈折素子と前記偏光変換素子との間の光路上にレンズアレイが設けられ、
前記拡散素子から前記偏光変換素子の光路上において、前記拡散素子、前記光学手段、前記複屈折素子、前記レンズアレイ、前記偏光変換素子の順に配置されているプロジェクター。」

本願発明2は、本願発明1を減縮したものである。

第3 当審拒絶理由の概要
1 当審拒絶理由で通知した理由1の概要は、本件出願の特許請求の範囲の請求項1ないし3に係る発明(審決注:平成29年1月25日付け手続補正で補正された請求項1ないし3に係る発明である。)は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。


<引用文献等一覧>
1.特開2012-13977号公報(以下「引用文献1」という。)
2.特開2007-163619号公報(以下「引用文献2」という。)

2 当審拒絶理由で通知した理由2の概要は、本件出願は、特許請求の範囲の請求項2の記載(審決注:平成29年1月25日付け手続補正で補正された請求項2の記載である。)が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないというものである。

第4 理由1(特許法第29条第2項)について
1 引用文献の記載事項
(1)引用文献1には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付した。以下同様である。)
ア 「【0001】
本発明は、光源装置及びプロジェクターに関する。」

イ 「【0036】
実施形態1に係るプロジェクター1000は、図1に示すように、照明装置100と、第2照明装置200と、色分離導光光学系300と、光変調装置としての3つの液晶光変調装置400R,400G,400Bと、クロスダイクロイックプリズム500と、投写光学系600とを備える。」

ウ 「【0041】
固体光源34は、励起光として青色光(発光強度のピーク:約460nm、図4(a)参照。)を射出する半導体レーザーからなる。当該半導体レーザーは、図3に示すように、長方形形状の発光領域を有する。半導体レーザーにおける発光領域の大きさは、例えば、長辺が8μm、短辺が2μmである。半導体レーザーとしては、発光領域の短辺方向に沿った拡がり角が、発光領域の長辺方向に沿った拡がり角の3倍以上の大きさとなる半導体レーザーを好適に用いることができる。
なお、励起光としての青色光としては、蛍光体での変換効率を考慮して、比較的短波長(440nm?450nm)の青色光を用いてもよい。
固体光源34は、第1励起光反射部50に対してs偏光からなる青色光を射出する。このため、固体光源アレイ20から射出された青色光は、s偏光からなる青色光として第1励起光反射部50に入射する。なお、固体光源アレイから射出された励起光がs偏光からなる励起光として第1励起光反射部に入射するようになるためには、上記のようにs偏光からなる励起光を射出する固体光源を用いる他にも、第1励起光反射部に対してp偏光からなる励起光を射出する固体光源とλ/2板とを用いてもよい。」

エ 「【0054】
偏光変換素子140は、第1レンズアレイ120により分割された各部分光束の偏光方向を、偏光方向の揃った略1種類の直線偏光光として射出する偏光変換素子である。
偏光変換素子140は、光源装置10からの光に含まれる偏光成分のうち他方の直線偏光成分をそのまま透過し、一方の直線偏光成分を照明光軸100axに垂直な方向に反射する偏光分離層と、偏光分離層で反射された一方の直線偏光成分を照明光軸100axに平行な方向に反射する反射層と、反射層で反射された一方の直線偏光成分を他方の直線偏光成分に変換する位相差板とを有している。」

オ 「【0056】
第2照明装置200は、図1に示すように、第2光源装置210と、第1レンズアレイ260と、第2レンズアレイ270と、偏光変換素子280と、重畳レンズ290とを備える。第2照明装置は、青色光を射出する。
【0057】
第2光源装置210は、青色光生成部220及び青色光散乱部250を備える。
青色光生成部220は、第2固体光源アレイ230及びコリメーターレンズアレイ240を有する。
第2固体光源アレイ230は、基本的には固体光源アレイ30と同様の構成を有する。すなわち、第2固体光源アレイ230は、基板32に対応する基板232(符号を図示せず。)及び25個の固体光源34に対応する25個の固体光源234(符号を図示せず。)を有する。ただし、第2固体光源アレイ230が射出するのは励起光としての青色光ではなく、色光としての青色光である。
固体光源234は、色光として青色光(発光強度のピーク:約460nm、図4(c)参照。)を射出する半導体レーザーからなる。
【0058】
コリメーターレンズアレイ240は、コリメーターレンズアレイ40と同様の構成を有する。図1において符号242で示すのは、コリメーターレンズアレイ240におけるコリメーターレンズである。
【0059】
青色光散乱部250は、第2固体光源用集光光学系252と、散乱板254と、散乱板用コリメート光学系256とを備える。青色光散乱部250は、青色光生成部220からの青色光の均一性を高める機能を有する。
第2固体光源用集光光学系252は、青色光を集光する機能を有する。第2固体光源用集光光学系252は、2枚の両凸レンズからなる。なお、第2固体光源用集光光学系を構成するレンズの形状及びレンズの枚数は上記形状に限定されるものではなく、要するに、第2固体光源用集光光学系が、青色光を集光する機能を有するようになるような形状及び枚数であればよい。
【0060】
散乱板254は、第2固体光源用集光光学系252からの青色光を散乱し、均一性を高める機能を有する。散乱板254としては、例えば、光学ガラスからなる磨りガラスを用いることができる。散乱板254は、第2固体光源用集光光学系252で集光された青色光がデフォーカス状態で入射する位置に配置されている。
【0061】
散乱板用コリメート光学系256は、散乱板254で散乱された青色光を略平行化する機能を有する。散乱板用コリメート光学系256は、2枚の両凸レンズからなる。なお、散乱板用コリメート光学系を構成するレンズの形状及びレンズの枚数は上記形状に限定されるものではなく、要するに、散乱板用コリメート光学系が、青色光を略平行化する機能を有するようになるような形状及び枚数であればよい。
【0062】
第1レンズアレイ260は第1レンズアレイ120と、第2レンズアレイ270は第2レンズアレイ130と、偏光変換素子280は偏光変換素子140と、重畳レンズ290は重畳レンズ150と、それぞれ同様の構成を有するため、説明を省略する。
第1レンズアレイ260、第2レンズアレイ270及び重畳レンズ290は、レンズインテグレーター光学系として、光源装置210からの光をより均一にするインテグレーター光学系を構成する。なお、レンズインテグレーター光学系の代わりにインテグレーターロッドを備えるロッドインテグレーター光学系を用いることもできる。」

カ 図1の記載から、散乱板254から偏光変換素子280の光路上において、散乱板254、散乱板用コリメート光学系256、第1レンズアレイ260、第2レンズアレイ270、偏光変換素子280の順に配置されていることが見て取れる。

キ 引用文献1に記載された発明
上記アないしカによれば、引用文献1には、以下の発明が記載されている。なお、上記オには「第2固体光源アレイ230は、基本的には固体光源アレイ30と同様の構成を有する。」、「25個の固体光源34に対応する25個の固体光源234」と記載されていることから、固体光源234は、固体光源34と同様な構成を有している。
「照明装置と、第2照明装置と、色分離導光光学系と、光変調装置としての3つの液晶光変調装置と、クロスダイクロイックプリズムと、投写光学系とを備えるプロジェクターであって、
第2照明装置は、第2光源装置と、第1レンズアレイと、第2レンズアレイと、偏光変換素子とを備えて、青色光を射出し、
第2光源装置は、s偏光からなる青色光を射出する固体光源と、青色光散乱部とを備え、青色光散乱部は、第2固体光源用集光光学系からの青色光を散乱する散乱板と、散乱板で散乱された青色光を略平行化する機能を有する散乱板用コリメート光学系とを備え、
偏光変換素子は、光源装置からの光に含まれる偏光成分のうち他方の直線偏光成分をそのまま透過し、一方の直線偏光成分を照明光軸に垂直な方向に反射する偏光分離層と、偏光分離層で反射された一方の直線偏光成分を照明光軸に平行な方向に反射する反射層と、反射層で反射された一方の直線偏光成分を他方の直線偏光成分に変換する位相差板とを有し、
散乱板から偏光変換素子の光路上において、散乱板、散乱板用コリメート光学系、第1レンズアレイ、第2レンズアレイ、偏光変換素子の順に配置されている
プロジェクター。」(以下「引用発明1」という。)

(2)引用文献2には、以下の事項が記載されている。
ア 「【0001】
本発明は、複数の光源を用いた照明光学部、これを用いた投射型表示装置及び映像表示方法に関するものである。」

イ 「【0020】
光合成部3の出射端面3cを出射した光は、偏光変換素子5の偏光ビームスプリッタ51の入射端面51bに入射する。まず入射光は、偏光ビームスプリッタ51によってP偏光とS偏光に分離される。ここではP偏光が偏光ビームスプリッタ51を透過し、S偏光が反射する場合について説明する。偏光ビームスプリッタ51で反射したS偏光は、全反射ミラー52によってP偏光と略平行な方向に反射される。一方偏光ビームスプリッタ51を透過したP偏光は、偏光ビームスプリッタ51の出射端面51cに位置する1/2波長板53によってS偏光に変換される。上記の作用により、偏光変換素子5を出射した光は概略S偏光に揃えられる。」

ウ 「【0034】
実施例2における、1つの光源のみを使用する際の照度ムラは、光合成部3’の出射端面3c’近傍に、1/4波長板を配置し、偏光ビームスプリッタ31’の出射光を円偏光とすることで改善できる。以下、上記の構成をとった実施例3について図4を用いて説明する。
【0035】
図4は、実施例3を示す照明光学部の一部の斜視図である。図4において、41は、1/4波長板で、その他の要素は、図3に示す実施例2と同じである。
【0036】
光源1(1A,1B)から出射した光は、リフレクタ2(2A,2B)で反射して、光合成部3’に入射する。ここで、例えば、光源1Aのみを使用する場合、偏光ビームスプリッタ31’で反射して出射する光はS偏光、偏光ビームスプリッタ31’を透過して全反射ミラー32で反射して出射する光はP偏光となる。光合成部3’を出射するこれらの光は、光合成部3’の出射側に位置する1/4波長板41に入射する。1/4波長板41は、各偏光方向に対して45度傾斜した遅相軸42を有しており、1/4波長板41の作用によって、入射したP偏光,S偏光共に、円偏光へと変換される。両円偏光が偏光変換素子5に入射すると、偏光ビームスプリッタ51の作用によって、円偏光のうちの偏光ビームスプリッタ51に対するP偏光成分は偏光ビームスプリッタ51を透過し、第1のレンズアレイ6上に光照射範囲61Pを形成する。また、円偏光のうちの偏光ビームスプリッタ51に対するS偏光成分は偏光ビームスプリッタ51で反射し、さらに全反射ミラー52で反射して、第1のレンズアレイ6上に光照射範囲61Sを形成する。1/4波長板41で直線偏光から変換された円偏光は、P偏光成分とS偏光成分を等量含むので、光照射範囲61P,61Sの間の照度ムラは低減される。なお、ここでいう光照射範囲61のP,Sは、偏光ビームスプリッタ51に対する偏光をいう。」

エ 引用文献2に記載された発明
上記アないしウによれば、引用文献2には、以下の発明が記載されている。
「光源と、出射光を円偏光とする1/4波長板と、偏光ビームスプリッタの作用によって、円偏光のうちの偏光ビームスプリッタに対するP偏光成分は偏光ビームスプリッタを透過し、偏光ビームスプリッタの出射端面に位置する1/2波長板によってS偏光に変換され、第1のレンズアレイ上に光照射範囲61Pを形成し、円偏光のうちの偏光ビームスプリッタに対するS偏光成分は偏光ビームスプリッタで反射し、さらに全反射ミラーで反射して、第1のレンズアレイ上に光照射範囲61Sを形成する偏光変換素子とを用い、1/4波長板で直線偏光から変換された円偏光は、P偏光成分とS偏光成分を等量含むので、光照射範囲61P,61Sの間の照度ムラは低減される投射型表示装置。」(以下「引用発明2」という。)

2 対比
本願発明1と引用発明1を対比する。
(1)引用発明1の「s偏光からなる青色光を射出する固体光源」は、本願発明1の「直線偏光を射出する固体光源」に、引用発明1の「第2固体光源用集光光学系からの青色光を散乱する散乱板」は、本願発明1の「固体光源から射出された前記直線偏光を拡散する拡散素子」に、引用発明1の「『偏光成分のうち他方の直線偏光成分をそのまま透過し、一方の直線偏光成分を照明光軸に垂直な方向に反射する偏光分離層と、偏光分離層で反射された一方の直線偏光成分を照明光軸に平行な方向に反射する反射層と、反射層で反射された一方の直線偏光成分を他方の直線偏光成分に変換する位相差板とを有している』『偏光変換素子』」は、本願発明1の「第1の偏光方向に偏光した第1の偏光光と第2の偏光方向に偏光した第2の偏光光とに分離し、該第1の偏光光の偏光方向を該第2の偏光方向に変換して射出する偏光変換素子」に、引用発明1の「散乱板で散乱された青色光を略平行化する機能を有する散乱板用コリメート光学系」は、本願発明1の「『前記拡散素子から射出された前記拡散光を平行化』『させる光学手段』」に、引用発明1の「第1レンズアレイ、第2レンズアレイ」は、本願発明1の「レンズアレイ」に、引用発明1の「プロジェクター」は、本願発明1の「プロジェクター」に、それぞれ相当する。

(2)引用発明1の「散乱板から偏光変換素子の光路上において、散乱板、散乱板用コリメート光学系、第1レンズアレイ、第2レンズアレイ、偏光変換素子の順に配置されている」と、本願発明1の「前記拡散素子から前記偏光変換素子の光路上において、前記拡散素子、前記光学手段、前記複屈折素子、前記レンズアレイ、前記偏光変換素子の順に配置されている」とは、「『前記拡散素子から前記偏光変換素子の光路上において、前記拡散素子、前記光学手段、』『前記レンズアレイ、前記偏光変換素子の順に配置されている』」点で一致する。

(3)上記(1)及び(2)からみて、本願発明1と引用発明1とは、
「直線偏光を射出する固体光源と、
前記固体光源から射出された前記直線偏光を拡散する拡散素子と、
第1の偏光方向に偏光した第1の偏光光と第2の偏光方向に偏光した第2の偏光光とに分離し、該第1の偏光光の偏光方向を該第2の偏光方向に変換して射出する偏光変換素子と、を備え、
前記拡散素子から射出された前記拡散光を平行化させる光学手段が設けられ、
レンズアレイが設けられ、
前記拡散素子から前記偏光変換素子の光路上において、前記拡散素子、前記光学手段、前記レンズアレイ、前記偏光変換素子の順に配置されているプロジェクター。」である点で一致し、次の相違点で相違する。

相違点:
本願発明1においては、「拡散素子から射出された拡散光を円偏光または楕円偏光に変換する複屈折素子」を備え、「複屈折素子」が、「前記光学手段、前記複屈折素子、前記レンズアレイ」「の順に配置されている」のに対し、引用発明1においては、複屈折素子を備えているか特定されていない点。

3 判断
上記相違点について検討する。
(1)引用発明2は「出射光を円偏光とする1/4波長板」について特定されているものの、「出射光を円偏光とする1/4波長板」が、「前記光学手段、前記複屈折素子、前記レンズアレイ」「の順に配置されている」点については特定されておらず、また、引用文献2には、上記相違点の構成は記載されていないから、本願発明1は、引用発明1に引用文献2に記載された技術を採用して当業者が容易に想到し得たものではない。
そして、本願発明1は、複屈折素子の当該配置により回転拡散板から射出された拡散光は複屈折素子に対して概ね垂直に入射するため、当該拡散光を所望の偏光状態に確実に変換することができるとの効果を奏するものである。
したがって、本願発明1は、当業者が引用発明1及び引用発明2に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2)本願発明2について
本願発明2は、本願発明1を減縮した発明であるから、本願発明1と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第5 理由2(特許法第36条第6項第2号)について
平成29年1月25日付け手続補正で補正された請求項2は、平成29年11月7日付け手続補正により削除された結果、この理由2の拒絶理由は解消した。

第6 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1?4について、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2012-3042号公報)、引用文献2(当審で引用された上記引用文献2)に記載された発明及び周知技術(原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2011-197594号公報)、引用文献4(当審で引用された上記引用文献1))に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1ないし4には、上記相違点の構成は記載されていない。そうすると、平成29年11月7日付け手続補正で補正された請求項1及び2は、上記のとおり、当業者が原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1に記載された発明、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(当審で引用された上記引用文献2)に記載された発明及び周知技術(原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3、引用文献4(当審で引用された上記引用文献1))に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-01-05 
出願番号 特願2012-47090(P2012-47090)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G03B)
P 1 8・ 121- WY (G03B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 南川 泰裕田井 伸幸  
特許庁審判長 小松 徹三
特許庁審判官 松川 直樹
野村 伸雄
発明の名称 プロジェクター  
代理人 大浪 一徳  
代理人 志賀 正武  
代理人 佐伯 義文  

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