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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1336053
審判番号 不服2016-10032  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-04 
確定日 2018-01-04 
事件の表示 特願2015- 22568「携帯端末装置及びそれに用いる機能リスト提供方法並びにそのプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月 2日出願公開、特開2015-122784〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2007年7月26日(優先権主張2006年 8月16日、日本国)を国際出願日とする出願である特願2008-529839号の一部を、平成25年9月13日に新たな特許出願とした特願2013-190319号の一部を、平成27年2月6日に新たな特許出願としたものであって、同年11月16日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月17日付けで手続補正がされ、同年4月7日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年7月4日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに同時に手続補正がされたものである。

第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年7月4日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
平成28年7月4日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項7に係る発明である
「【請求項1】
自装置内の複数の機能を機能リストとして表示する携帯端末本体と、
前記機能の使用履歴を作成して保存する収集手段と、
前記使用履歴を分析して前記機能リストを作成する分析手段と
を有し、
前記収集手段は、前記機能が使用された際に生成された前記機能に対応する識別番号を収集し、収集した識別番号をもとに前記使用履歴を作成し、
前記分析手段は、使用時期が新しい機能を上位にリストアップして前記機能リストを作成する
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
外部より入力された時間帯を設定する時間帯設定機能を備え、
前記収集手段は、前記時間帯設定機能により設定された時間帯における前記機能の使用履歴を作成して保存する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記分析手段は、使用頻度の高い機能を上位にリストアップして前記機能リストを作成することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記分析手段は、前記収集手段で前記使用履歴が作成される毎に前記機能リストを更新することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記分析手段は、複数の前記機能リストを保存し、
前記携帯端末本体は、前記機能リストの表示指示に応答し、表示指示を受け付けた時刻を含む前記時間帯に対応する機能リストを前記複数の機能リストの中から選択して表示する
ことを特徴とする請求項2記載の携帯端末装置。
【請求項6】
自装置内の複数の機能を機能リストとして表示する機能リスト基本ステップと、
前記機能の使用履歴を作成して保存する収集ステップと、
前記使用履歴を分析して前記機能リストを作成する分析ステップと
を有し、
前記収集ステップでは、前記機能が使用された際に生成された前記機能に対応する識別番号を収集し、収集した識別番号をもとに前記使用履歴を作成し、
前記分析ステップでは、使用時期が新しい機能を上位にリストアップして前記機能リストを作成する
ことを特徴とする機能リスト提供方法。
【請求項7】
自装置内の複数の機能を機能リストとして表示する携帯端末装置に、
前記機能の使用履歴を作成して保存する収集機能と、
前記使用履歴を分析して前記機能リストを作成する分析機能と
を実現させるためのプログラムであって、
前記収集機能は、前記機能が使用された際に生成された前記機能に対応する識別番号を収集し、収集した識別番号をもとに前記使用履歴を作成する機能を含み、
前記分析機能は、使用時期が新しい機能を上位にリストアップして前記機能リストを作成する機能を含むことを特徴とするプログラム。」

という発明(以下、「補正前発明1」ないし「補正前発明7」という。)を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項5に係る発明である

「【請求項1】
自装置内の複数の機能を機能リストとして表示する携帯端末本体と、
前記機能の使用履歴を作成して保存する収集手段と、
前記使用履歴を分析して前記機能リストを作成する分析手段と
を有し、
前記収集手段は、前記機能が使用された際に生成された前記機能に対応する識別番号を収集し、収集した識別番号をもとに前記使用履歴を作成し、
前記分析手段は、使用頻度が同じである前記機能のうち使用時期が新しい機能を上位にリストアップして前記機能リストを作成し、
前記分析手段は、複数の前記機能リストを保存し、
前記携帯端末本体は、前記機能リストの表示指示に応答し、表示指示を受け付けた時刻を含む前記時間帯に対応する機能リストを前記複数の機能リストの中から選択して表示することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
外部より入力された時間帯を設定する時間帯設定機能を備え、
前記収集手段は、前記時間帯設定機能により設定された時間帯における前記機能の使用履歴を作成して保存する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記分析手段は、前記収集手段で前記使用履歴が作成される毎に前記機能リストを更新することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
自装置内の複数の機能を機能リストとして表示する機能リスト基本ステップと、
前記機能の使用履歴を作成して保存する収集ステップと、
前記使用履歴を分析して前記機能リストを作成する分析ステップと
を有し、
前記収集ステップでは、前記機能が使用された際に生成された前記機能に対応する識別番号を収集し、収集した識別番号をもとに前記使用履歴を作成し、
前記分析ステップでは、使用頻度が同じである前記機能のうち使用時期が新しい機能を上位にリストアップして前記機能リストを作成し、
前記分析ステップでは、さらに複数の前記機能リストを保存し、
前記機能リスト基本ステップでは、前記機能リストの表示指示に応答し、表示指示を受け付けた時刻を含む前記時間帯に対応する機能リストを前記複数の機能リストの中から選択して表示することを特徴とする機能リスト提供方法。
【請求項5】
自装置内の複数の機能を機能リストとして表示する携帯端末装置に、
前記機能の使用履歴を作成して保存する収集機能と、
前記使用履歴を分析して前記機能リストを作成する分析機能と
を実現させるためのプログラムであって、
前記収集機能は、前記機能が使用された際に生成された前記機能に対応する識別番号を収集し、収集した識別番号をもとに前記使用履歴を作成する機能を含み、
前記分析機能は、使用頻度が同じである前記機能のうち使用時期が新しい機能を上位にリストアップして前記機能リストを作成する機能を含み、
前記分析機能は、さらに複数の前記機能リストを保存する機能を含み、
前記機能リストの表示指示に応答し、表示指示を受け付けた時刻を含む前記時間帯に対応する機能リストを前記複数の機能リストの中から選択して表示する機能リスト表示機能を前記携帯端末装置に実現させるためのプログラム。」
という発明(以下、「補正後発明1」ないし「補正後発明5」という。)に補正することを含むものである。

請求項1に係る本件補正は、補正前発明1の「前記分析手段は、使用時期が新しい機能を上位にリストアップして前記機能リストを作成する」を補正後発明1の「前記分析手段は、使用頻度が同じである前記機能のうち使用時期が新しい機能を上位にリストアップして前記機能リストを作成し、」に構成を変更する補正事項を含む。

2.補正の適否
・新規事項の有無、シフト補正、補正の目的要件について
事案に鑑みて、上記補正事項について検討する。上記補正事項は、補正前の「使用時期が新しい機能を上位にリストアップ」を、「使用頻度が同じである前記機能のうち使用時期が新しい機能を上位にリストアップ」とすることで、一見すると「リストアップ」の条件を限定しているように見える。
しかしながら、上記補正事項により、「使用頻度が同じである前記機能」以外の「機能」については、補正前の「使用時期が新しい機能を上位にリストアップ」との条件が削除されることとなり、どのようにリストアップするかの条件がなくなることから、限定的減縮を目的とするものには該当しない。また、上記補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げる他のいずれの事項にも該当しない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
なお、本件補正について、請求人は、平成28年7月4日の審判請求書の「(3)本願発明が特許されるべき理由」の「(b)補正の根拠の明示」において、「本願の請求項1に係る補正は、補正前の請求項3及び請求項5に基づいてしたものであり、新規事項の追加にあたらず、限定的減縮を目的としたものである。」と主張しているが、上記理由で述べたとおりであるから、上記請求人の主張は採用できない。

3.独立特許要件
上記2.のとおりであるが、更に進めて、仮に本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとした場合について、本件補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうか(特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するかどうか)について以下に検討する。

(1)補正後の発明
請求項1に係る発明は、上記「1.補正の内容」の項中で、「補正後発明1」としたものと認める。

(2)引用発明
原審拒絶査定に引用された特開2006-39615号公報(以下、「引用例1」という。)には、「端末装置およびメニュー表示方法」の発明に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【0001】
本発明は、機能ごとの使用頻度に基づいて、複数の機能の順序を並べ替えてメニューを表示する端末装置およびメニュー表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話等の端末装置は、電子メール送信機能、インターネット接続(WEB)機能、アラーム機能、画像撮影機能等の各種の機能を備えている。これらの機能を実行する、各機能に対応したアプリケーションを呼び出す場合に、利用可能な機能の一覧を示すメニューが利用される。例えば、ユーザが機能キー等の特定のキーを押下すると、画面にメニューが表示され、ユーザがメニューの中から必要な機能を選択すると、その機能に対応したアプリケーションが起動するようになっている。
【0003】
従来、メニューのデザインを変更可能とすること等により、メニューのカスタマイズが行われていた。特許文献1には、各種データを記憶する記憶部に各機能項目の呼出し回数を記憶するように構成し、機能キーを押下して機能メニューを呼び出す場合に、記憶部に記憶されている各機能項目の呼出し回数を読み出して、呼出し回数の多い機能項目から順に表示画面に表示する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002-101181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の端末装置においては、メニューがカスタマイズできず固定されていたり、1種類のカスタマイズ画面しか用意されていない場合等に、普段利用しない、利用頻度の低い機能が常にメニューの上位に表示されることがある。また、平日、休日等の時間によってユーザの使用状況は異なる。例えば、カメラ付携帯端末の場合、休日にカメラを使用することが多く、平日はあまり使用しない等の使用状況が考えられる。
【0005】
今後、決まった曜日等にコンテンツを端末装置に自動的に配信するサービスが普及すると、ユーザによる端末装置の使用状況に時間傾向性がより現れることが予想される。しかし、上述した従来の端末装置においては、メニューのデザイン変更や使用頻度に応じた表示順序の変更を行うことはできるが、時間に応じた機能の使用状況には対応していなかったため、ユーザによる各機能の使用状況をより正確に反映したメニューを表示することができなかった。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、ユーザによる各機能の使用状況をより正確に反映したメニューを表示することができる端末装置およびメニュー表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、複数の機能の識別情報と、該機能が使用された時に対応した時間枠を特定する時間情報と、前記機能の使用頻度を示す頻度情報とが関係付けられたメニュー情報を記憶する記憶手段と、前記機能が使用された場合に、前記記憶手段によって記憶されている前記メニュー情報を、前記時間枠における前記機能の使用頻度に基づいて更新するメニュー更新手段と、前記メニュー情報に基づいて、現時点に対応した時間枠において使用頻度の高い複数の機能を示すメニューを生成するメニュー生成手段と、前記メニューを表示するメニュー表示手段とを具備することを特徴とする端末装置である。」(2?3頁)

ロ.「【0013】
以下、図面を参照し、本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態による端末装置の構成を示すブロック図である。本実施形態による端末装置は、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistance)等の、通信機能を備えた端末装置(携帯端末)であるが、通信機能を備えていないものであってもよい。この端末装置は、図示せぬ基地局との通信を介して他の端末装置やコンテンツサーバ等と通信を行う。以下、図中の各構成について説明する。」(4頁)

ハ.「【0015】
メモリー7は、後述するメニューテーブル(メニュー情報)、登録アプリケーションテーブル、メニューリストテーブル等のメニューに関するデータや、アンテナ1を介して受信された受信データ、アプリケーションプログラム等を記憶する。制御部8は、端末装置内の各部を制御すると共に、メニュー表示に係る各種の処理を行う。表示部9は、情報を表示する液晶画面や液晶の駆動回路等を備えている。操作部10は、ユーザによって操作される各種のキーを備えており、ユーザによるキーの操作結果を示す信号を生成して制御部8へ出力する。
【0016】
・・・・(中略)・・・
【0017】
次に、メモリー7に格納されているメニューテーブル、登録アプリケーションテーブル、およびメニューリストテーブルについて説明する。図2(a)はメニューテーブルの内容を示している。図示されたメニューテーブル100において、横方向は曜日および休日(祝日)別にセルが区切られ、縦方向は時間帯別にセルが区切られている。曜日(休日・祝日等を含む)および時間帯からなる時間情報によって、一つの時間枠が特定される。このメニューテーブル100によって、各時間枠における登録アプリケーションテーブル(メニューに登録可能なアプリケーションの情報を管理するテーブル)へのリンクポインタが管理される。
【0018】
各曜日の各時間帯には、登録アプリケーションテーブルへの先頭リンクポインタと登録アプリケーションテーブルへの最終リンクポインタとが関係付けられている。登録アプリケーションテーブルへの先頭リンクポインタは、特定の曜日の特定の時間帯に関係付けられている登録アプリケーションテーブル列の先頭の登録アプリケーションテーブルへのリンクを示している。また、登録アプリケーションテーブルへの最終リンクポインタは、同じ曜日・時間帯に関係付けられている登録アプリケーションテーブル列の最後尾の登録アプリケーションテーブルへのリンクを示している。
【0019】
図2(b)は登録アプリケーションテーブルの内容を示している。図示された登録アプリケーションテーブル200には、一つ前の登録アプリケーションテーブルへのポインタ、一つ後の登録アプリケーションテーブルへのポインタ、アプリケーション名(アプリケーションの識別番号等の識別情報)、カウンタ(使用された回数・頻度等の頻度情報)、最後に起動された際の日付を示す最終起動日付、および最後に起動された際の時刻を示す最終起動時間が関係付けられている。
【0020】
図3は、メニューテーブルに関係付けられた登録アプリケーションテーブルのリンクの様子を示している。図示されたメニューテーブル100の月曜日2時の時間枠において、その先頭リンクポインタは登録アプリケーションテーブル201へのリンクを示しており、最終リンクポインタは登録アプリケーションテーブル203へのリンクを示している。登録アプリケーションテーブル201において、ポインタ201aはメニューテーブル100の特定時間枠へのリンクを示しており、ポインタ201bは次の登録アプリケーションテーブル202へのリンクを示している。
【0021】
同様に、登録アプリケーションテーブル202において、ポインタ202aは前の登録アプリケーションテーブル201へのリンクを示しており、ポインタ202bは次の登録アプリケーションテーブル203へのリンクを示している。また、登録アプリケーションテーブル203において、ポインタ203aは前の登録アプリケーションテーブル202へのリンクを示しており、ポインタ203bにはNULLポインタが格納され、登録アプリケーションテーブル203が登録アプリケーションテーブル列の最後尾であることが示されている。メニューテーブルの各曜日・各時間帯に関係付けられている登録アプリケーションテーブルは、使用回数の多い順にリンクされている。後述するように制御部8は、特定のアプリケーションプログラムをメモリー7から読み出して実行(起動)した際に、メニューテーブルおよび登録アプリケーションテーブルの内容を更新する。
【0022】
図4は、メニューリストテーブルの内容を示している。メニューリストテーブルは、メニュー表示を行う場合に作成される。図示されたメニューリストテーブル300には、上位のアプリケーション(特定曜日の特定時間帯において使用回数の多いアプリケーション)の識別番号等の、アプリケーションを識別するためのアプリケーションに固有の情報が最上位から順に格納されている。図のようにメニューリストテーブル300には、アプリケーションの識別情報を介して、上位のアプリケーションに対応した登録アプリケーションテーブル200A,200B,・・・,200MAXが関係付けられている。
【0023】
後述するように、制御部8はアプリケーションの起動時にメニューテーブルおよび登録アプリケーションテーブルをメモリー7から読み出し、その時点の曜日および時間帯におけるアプリケーションの使用頻度に基づいて、メニューテーブルの該当曜日・該当時間帯に関係付けられた登録アプリケーションテーブルを使用頻度順にソートする。また、制御部8はメニュー表示時に、メニューテーブルの該当曜日・該当時間帯に関係付けられた登録アプリケーションテーブルのリンク順にアプリケーションをメニューリストテーブルに設定する。したがって、メニューリストテーブルには、各曜日・各時間帯において使用頻度の高いアプリケーションが頻度順に関係付けられていることになる。制御部8は、このメニューリストテーブルに基づいてメニューを作成する。
【0024】
次に、本実施形態による端末装置の動作について説明する。図5はメニューリストテーブルの内容を更新する場合の動作を示すフローチャートである。この動作はアプリケーションの起動時に実行される。まず制御部8は、メモリー7に格納されているメニューテーブルを読み出して参照し、現在時刻に対応した曜日および時間帯(時間枠)に登録されている登録アプリケーションテーブルの中から、起動されたアプリケーションの登録アプリケーションテーブルを検索する(ステップS501)。続いて、制御部8は、検索の結果、起動されたアプリケーションの登録アプリケーションテーブルがメニューテーブルの該当時間枠に存在したかどうか判定する(ステップS502)。
【0025】
起動されたアプリケーションの登録アプリケーションテーブルがメニューテーブルの該当時間枠に存在しなかった場合、制御部8は、現在時刻に対応したメニューテーブルの該当時間枠に新たに登録アプリケーションテーブルを関係付け、登録する。このアプリケーションは、現在時刻に対応した曜日・時間帯において初めて起動されたアプリケーションであるので、これに対応した登録アプリケーションテーブルは、該当時間枠に関係付けられている登録アプリケーションテーブル列の最後尾に追加される(ステップS503)。一方、起動されたアプリケーションの登録アプリケーションテーブルがメニューテーブルの該当時間枠に存在した場合、制御部8はその登録アプリケーションテーブルをメモリー7から読み出して参照し、アプリケーションの最終起動日時を判断する(ステップS504)。
【0026】
アプリケーションの最終起動日時に対応した曜日および時間帯が現在時刻と同じ曜日かつ同じ時間帯であった場合、制御部8は登録アプリケーションテーブルのカウンタ(使用回数)を1増加し(ステップS505)、最終起動日時を更新する(ステップS506)。また、アプリケーションの最終起動日時に対応した曜日および時間帯が現在時刻と同じ曜日かつ同じ時間帯でなかった場合、制御部8は登録アプリケーションテーブルの最終起動日時を更新する(ステップS506)。ステップS503またはステップS506に続いて制御部8は、現在時刻に対応したメニューテーブルの時間枠に関係付けられている登録アプリケーションテーブルを参照し、登録アプリケーションテーブルを使用回数の多い順に並べ替えてリンクを更新し、更新が終了したメニューテーブルおよび登録アプリケーションテーブルをメモリー7に格納する(ステップS507)。
【0027】
図6はメニュー表示を行う場合の動作を示すフローチャートである。待ち受け状態において、ユーザによって操作部10が操作され、メニュー表示が指示されたとする。この場合、操作部10は、操作結果を示す信号を制御部8へ出力する。制御部8は、この信号に基づいてメニュー表示が指示されたと判断する(ステップS601)。続いて、制御部8は、メモリー7に格納されているメニューテーブルを読み出して参照し、現在時刻に対応した曜日および時間帯(時間枠)に登録されている登録アプリケーションテーブルを検索する(ステップS602)。制御部8は、検索の結果、登録アプリケーションテーブルがメニューテーブルの該当時間枠に一つでも存在したかどうか判定する(ステップS603)。
【0028】
登録アプリケーションテーブルがメニューテーブルの該当時間枠に一つも登録されていなかった場合、制御部8はメモリー7からデフォルト値を読み出し、メニューリストテーブルに設定する。デフォルト値とは、メニューに含まれるアプリケーションの初期設定項目順を示すものであり、メモリー7に予め格納されている(ステップS604)。一方、登録アプリケーションテーブルがメニューテーブルの該当時間枠に少なくとも一つは登録されていた場合、制御部8はメニューテーブルの該当時間枠に関係付けられた登録アプリケーションテーブルのリンク順に、アプリケーションの識別情報をメニューリストテーブルに設定する(ステップS605)。
【0029】
続いて、制御部8は、設定可能な最大数までアプリケーションがメニューリストテーブルに設定されているかどうか判定する(ステップS606)。設定可能な最大数までアプリケーションがメニューリストテーブルに設定されていた場合はステップS608に進む。また、設定可能な最大数までアプリケーションがメニューリストテーブルに設定されていなかった場合、制御部8はメモリー7から前述したデフォルト値を読み出し、未設定項目に対し、デフォルト値の中から必要数だけ項目を設定する(ステップS607)。続いて、制御部8は、メニューリストテーブルに設定されている順にアプリケーションが並んだメニューを表示するための表示データを作成し、表示部9へ出力する。表示部9は、表示データに基づいてメニューを表示する(ステップS608)。」(4?7頁)

ニ.「【0032】
また、メニューテーブルに設定される曜日や時間帯の区分の仕方は本実施形態に限定されない。例えば、曜日を平日と休日とに区分したり、時間帯を午前と午後あるいは昼と夜とに区分したりしてもよい。
【0033】
上述したように、本実施形態においては、複数のアプリケーションの識別情報と、各アプリケーションが使用された時に対応した時間枠を特定する曜日および時間帯等の時間情報と、アプリケーションの使用頻度を示す頻度情報とが関係付けられたメニューテーブルがメモリー7に格納される。特定のアプリケーションが使用された場合には、図5に示されるように制御部8は、その使用された時(曜日・時間帯)に関係付けられているアプリケーションの頻度情報に基づいて、登録アプリケーションテーブルのリスト順を頻度順に更新する。
【0034】
また、メニューを表示する場合には、図6に示されるように、制御部8は、メニューテーブルに基づいて、現時点に対応した時間枠において使用頻度の高い順にアプリケーションが並んだメニューを作成し、表示部9はこのメニューを表示する。これにより、ユーザによる各機能の使用状況をより正確に反映したメニューを表示することができ、各時間帯においてユーザの操作性の向上が期待できる。」(7頁)

引用例1の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、

a.摘記事項イ.の【0002】の「これらの機能を実行する、各機能に対応したアプリケーションを呼び出す場合に、利用可能な機能の一覧を示すメニューが利用される。」と、摘記事項ロ.の【0013】の「端末装置は、携帯電話」と、摘記事項ニ.の【0034】の「メニューテーブルに基づいて、現時点に対応した時間枠において使用頻度の高い順にアプリケーションが並んだメニューを作成し、表示部9はこのメニューを表示する。」との各記載によれば、引用例1には、「携帯電話の複数のアプリケーションをメニューとして表示する携帯電話」が記載されていると認められる。

b.摘記事項ハ.の【0021】の「特定のアプリケーションプログラムをメモリー7から読み出して実行(起動)した際に、メニューテーブルおよび登録アプリケーションテーブルの内容を更新する。」と、摘記事項ハ.の【0023】の「制御部8はアプリケーションの起動時にメニューテーブルおよび登録アプリケーションテーブルをメモリー7から読み出し、その時点の曜日および時間帯におけるアプリケーションの使用頻度に基づいて、メニューテーブルの該当曜日・該当時間帯に関係付けられた登録アプリケーションテーブルを使用頻度順にソートする。また、制御部8はメニュー表示時に、メニューテーブルの該当曜日・該当時間帯に関係付けられた登録アプリケーションテーブルのリンク順にアプリケーションをメニューリストテーブルに設定する。したがって、メニューリストテーブルには、各曜日・各時間帯において使用頻度の高いアプリケーションが頻度順に関係付けられていることになる。制御部8は、このメニューリストテーブルに基づいてメニューを作成する。」と、摘記事項ハ.の【0026】の「アプリケーションの最終起動日時に対応した曜日および時間帯が現在時刻と同じ曜日かつ同じ時間帯であった場合、制御部8は登録アプリケーションテーブルのカウンタ(使用回数)を1増加し(ステップS505)、最終起動日時を更新する(ステップS506)。また、アプリケーションの最終起動日時に対応した曜日および時間帯が現在時刻と同じ曜日かつ同じ時間帯でなかった場合、制御部8は登録アプリケーションテーブルの最終起動日時を更新する(ステップS506)。ステップS503またはステップS506に続いて制御部8は、現在時刻に対応したメニューテーブルの時間枠に関係付けられている登録アプリケーションテーブルを参照し、登録アプリケーションテーブルを使用回数の多い順に並べ替えてリンクを更新し、更新が終了したメニューテーブルおよび登録アプリケーションテーブルをメモリー7に格納する(ステップS507)。」と、摘記事項ハ.の【0028】の「一方、登録アプリケーションテーブルがメニューテーブルの該当時間枠に少なくとも一つは登録されていた場合、制御部8はメニューテーブルの該当時間枠に関係付けられた登録アプリケーションテーブルのリンク順に、アプリケーションの識別情報をメニューリストテーブルに設定する(ステップS605)。」との各記載によれば、「制御部は、アプリケーションの起動時に起動された前記アプリケーションに基づいてメニューテーブルに関連付けられた登録アプリケーションテーブルをアプリケーションの使用回数の多い順に並び替えてリンクを更新し、更新が終了した前記メニューテーブル及び前記登録アプリケーションテーブルをメモリに格納し」が記載されていると認められる。

c.摘記事項ハ.の【0026】の「ステップS503またはステップS506に続いて制御部8は、現在時刻に対応したメニューテーブルの時間枠に関係付けられている登録アプリケーションテーブルを参照し、登録アプリケーションテーブルを使用回数の多い順に並べ替えてリンクを更新し、更新が終了したメニューテーブルおよび登録アプリケーションテーブルをメモリー7に格納する(ステップS507)。」と、同【0027】の「待ち受け状態において、ユーザによって操作部10が操作され、メニュー表示が指示されたとする。この場合、操作部10は、操作結果を示す信号を制御部8へ出力する。・・(略)・・制御部8は、メモリー7に格納されているメニューテーブルを読み出して参照し、現在時刻に対応した曜日および時間帯(時間枠)に登録されている登録アプリケーションテーブルを検索する」と、同【0028】の「制御部8はメニューテーブルの該当時間枠に関係付けられた登録アプリケーションテーブルのリンク順に、アプリケーションの識別情報をメニューリストテーブルに設定する」と、同【0029】の「制御部8は、メニューリストテーブルに設定されている順にアプリケーションが並んだメニューを表示するための表示データを作成し、表示部9へ出力する。表示部9は、表示データに基づいてメニューを表示する(ステップS608)。」との各記載より、「メニュー表示が指示されると、前記制御部は、前記メニューテーブルを参照して、現在時刻に対応する時間帯の前記登録アプリケションテーブルの前記アプリケーションの使用回数が多い順に前記メニューリストテーブルを設定して前記メニューを作成し、前記メニューを表示する」ことが記載されていると認められる。

以上a.?c.を総合すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。

「携帯電話の複数のアプリケーションをメニューとして表示し、
制御部は、アプリケーションの起動時に起動された前記アプリケーションに基づいてメニューテーブルに関連付けられた登録アプリケーションテーブルをアプリケーションの使用回数の多い順に並び替えてリンクを更新し、更新が終了した前記メニューテーブルおよび前記登録アプリケーションテーブルをメモリーに格納し、
メニュー表示が指示されると、前記制御部は、前記メニューテーブルを参照して現在時刻に対応する時間帯の前記登録アプリケーションテーブルの前記アプリケーションの使用回数の多い順に前記メニューリストテーブルを設定して前記メニューを作成し、前記メニューを表示する
携帯電話。」

(3)対比
補正後発明1と引用発明とを対比すると、
a.引用発明の「アプリケーション」と、補正後発明1の「機能」との対応について、引用例1の段落【0002】に「機能に対応したアプリケーション」の記載がある。引用発明の「アプリケーション」、「メニュー」は、補正後発明1の「機能」、「機能リスト」に相当する。そして、引用発明の「携帯電話」の「複数のアプリケーション」が、「携帯電話」内、すなわち自装置内にあることは明らかであるから、「自装置内の複数のアプリケーション」と言える。
b.引用発明の「メニューテーブルに関連付けられた登録アプリケーションテーブル」は、アプリケーションの使用履歴に基づいてリンクを記憶するものであるから、引用発明の「起動された前記アプリケーションに基づいてメニューテーブルに関連付けられた登録アプリケーションテーブルをアプリケーションの使用回数の多い順に並び替えてリンクを更新し、更新が終了した前記メニューテーブル及び前記登録アプリケーションテーブル」は、補正後発明1の「前記機能の使用履歴を作成して」に含まれる。そして、引用発明の「メモリに格納」は、補正後発明1の「保存」と実質的に同じ意味である。よって、引用発明の「制御部」が、「起動された前記アプリケーションに基づいてメニューテーブルに関連付けられた登録アプリケーションテーブルをアプリケーションの使用回数の多い順に並び替えてリンクを更新し、更新が終了した前記メニューテーブル及び前記登録アプリケーションテーブルをメモリに格納し」と、補正後発明1の「前記機能の使用履歴を作成して保存する収集手段」とは、「前記機能の使用履歴を作成して保存する収集する手段」で共通する。

c.引用発明の「前記メニューを作成」にあたり、「アプリケーションの使用回数の多い順にメニューリストテーブルを設定」するため「前記メニューテーブルを参照して現在時刻に対応する時間帯の前記登録アプリケーションテーブル」の内容を「制御部」が「分析」しているといえる。また、上記a.より、引用発明の「前記メニューを作成」は、補正後発明1の「前記機能リストを作成」に相当する。そして、上記b.の結果を踏まえると、引用発明の「前記制御部は、前記メニューテーブルを参照して現在時刻に対応する時間帯の前記登録アプリケーションテーブルの前記アプリケーションの使用回数の多い順に前記メニューリストテーブルを設定して前記メニューを作成し」と、補正後発明1の「前記使用履歴を分析して前記機能リストを作成する分析手段」とは、「前記使用履歴を分析して前記機能リストを作成する分析する手段」で共通する。

d.引用発明の「アプリケーションの起動時に」は、補正後発明1の「前記機能が使用された際に」相当する。そして、前記b.の結果を踏まえると、引用発明の「制御部は、アプリケーションの起動時に起動された前記アプリケーションに基づいてメニューテーブルに関連付けられた登録アプリケーションテーブルをアプリケーション使用回数の多い順に並び替えてリンクを更新し、更新が終了した前記メニューテーブル及び前記登録アプリケーションテーブル」と補正後発明1の「前記収集手段は、前記機能が使用された際に生成された前記機能に対する識別機能を収集し、収集した識別番号をもとに前記使用履歴を作成し」とは、「前記収集する手段は、前記機能が使用された際に前記使用履歴を作成し」で共通する。

e,引用発明の「アプリケーションの使用回数の多い順にメニューリストテーブルを設定」することにより「メニュー」において、使用回数の多いアプリケーションが上位にリストアップされることは、明らかである。そして、上記a.及びc.の結果を踏まえると、引用発明の、「前記制御部は、前記メニューテーブルを参照して現在時刻に対応する時間帯の前記登録アプリケーションテーブルの前記アプリケーションの使用回数の多い順にメニューリストテーブルを設定して前記メニューを作成し」と補正後発明1の「前記分析手段は、使用頻度が同じである前記機能のうち使用時期が新しい機能を上位にリストアップして機能リストを作成し」とは、「前記分析する手段は、所定の条件に基づく機能を上位にリストアップして機能リストを作成し」で共通する。

f.引用発明の「メニュー表示が指示」は、補正後発明1の「前記機能リストの表示指示」に相当する。そして、引用発明の「前記メニューテーブルを参照して現在時刻に対応する時間帯の前記登録アプリケーションテーブルの前記アプリケーションの使用回数の多い順にメニューリストテーブルを設定して前記メニューを作成し、前記メニューを表示する」は、「メニュー表示が指示」の「応答」によるものであることは明らかである。更に、引用発明の「現在時刻」は、「メニュー表示が指示された」時刻と解するのが自然であるから、引用発明の「現在時刻に対応する時間帯」は、補正後発明1の「表示指示を受け付けた時刻を含む時間帯」に相当する。そうすると、引用発明の「メニュー表示が指示されると、前記制御部は、前記メニューテーブルを参照して現在時刻に対応する時間帯の前記登録アプリケーションテーブルのアプリケーションの使用回数の多い順にメニューリストテーブルを設定して前記メニューを作成し、前記メニューを表示する」と補正後発明1の「前記機能リストの表示指示に応答し、表示指示を受け付けた時刻を含む前記時間帯に対応する機能リストを前記複数の機能リストの中から選択して表示する」とは、「前記機能リストの表示指示に応答し、表示指示を受け付けた時刻を含む前記時間帯に対応する機能リストを表示する」で共通する。

g.引用例1(段落【0014】、【0015】、図1)には、「携帯電話」として、「制御部」に加えて、「アンテナ」、「表示部」及び「操作部」を備えることが記載されている。そして、「制御部」のうち、引用発明の「アプリケーションの起動時に起動されたアプリケーションに基づいてメニューテーブルに関連付けられた登録アプリケーションテーブルをアプリケーションの使用回数の多い順に並び替えてリンクを更新し、更新が終了した前記メニューテーブル及び前記登録アプリケーションテーブルをメモリに格納し」及び「前記メニューテーブルを参照して現在時刻に対応する時間帯の前記登録アプリケーションテーブルのアプリケーションの使用回数の多い順にメニューリストテーブルを設定して前記メニューを作成し」に係る制御以外の制御を実行する「制御部」と「アンテナ」、「表示部」及び「操作部」とを備えた構成を「携帯電話本体」と称することは、任意である。そうすると、引用発明の「携帯電話の複数のアプリケーションをメニューとして表示し」、「メニュー表示が指示される」、「前記メニューを表示する」の主体は、「携帯電話本体」であることは明らかである。他方、補正後発明1の「携帯端末本体」について、明細書(段落【0011】)には、「本実施例1の携帯端末装置1は、アンテナ11,メモリ12、制御部13、表示部14、及び入力部15よりなる従来公知の携帯端末本体1’を備えている」と記載されているから、引用発明の「携帯電話本体」は、補正後発明1の「携帯端末本体」に含まれる。そして、上記a.の結果を踏まえると、引用発明の「携帯電話の複数のアプリケーションをメニューとして表示し」は、補正後発明1の「自装置内の複数の機能を機能リストとして表示する携帯端末本体」に含まれる。
以上を総合すると、補正後発明1と引用発明とは、以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「自装置内の複数の機能を機能リストとして表示する携帯端末本体と、
前記機能の使用履歴を作成して保存する収集する手段と、
前記使用履歴を分析して前記機能リストを作成する分析する手段と、
を有し、
前記収集する手段は、前記機能が使用された際に前記使用履歴を作成し、
前記分析する手段は、所定の条件に基づく機能を上位にリストアップして前記機能リストを作成し、
前記携帯端末本体は、前記機能リストの表示指示に応答し、表示指示を受け付けた時刻を含む前記時間帯に対応する機能リストを表示することを特徴とする携帯端末装置。」

(相違点1)
一致点の「収集する手段」と「分析する手段」に関し、補正後発明1が「収集手段」と「分析手段」とを別々に有するのに対し、引用発明では、共通の「制御部」しか有さない点。

(相違点2)
一致点の「前記機能が使用された際に」「前記使用履歴を作成し」に関し、補正後発明1が、「生成された前記機能に対応する識別番号を収集し、収集した識別番号をもとに」作成するのに対し、引用発明の「アプリケーション」が(「識別番号」を備えるものの)「識別番号」をもとに作成するかどうか明記されていない点。

(相違点3)
一致点の「所定の条件に基づく機能を上位にリストアップ」の「所定の条件」が、補正後発明1では、「使用頻度が同じである前記機能のうち使用時期が新しい機能」であるのに対して、引用発明では、「アプリケーションの使用回数の多い順」である点。

(相違点4)
一致点の「機能リストを表示する」の「機能リスト」に関し、補正後発明1では、「前記複数の機能リストの中から選択」するのに対し、引用発明は「メニューリストテーブルを設定して前記メニューを作成」する点。
それに伴い、補正後発明1では、「前記分析手段」は「複数の前記機能リストを保存し」の構成を有するのに対し、引用発明の「制御部」は、そのような構成を有さない点。

(4)相違点についての判断
(相違点1)について検討する。
装置内で、各種制御を実行する制御手段を複数の手段に分けて実行させることは周知慣用の事項であるから、引用発明の「制御部」で実行する制御毎に手段を分けて実行させることは、当業者が容易に想到し得たものである。その場合に、引用発明において「アプリケーションの起動時に起動された前記アプリケーションに基づいてメニューテーブルに関連付けられた登録アプリケーションテーブルをアプリケーションの使用回数の多い順に並び替えてリンクを更新し、更新が終了した前記メニューテーブルおよび前記登録アプリケーションテーブルをメモリーに格納し、」に係る制御、「前記メニューテーブルを参照して現在時刻に対応する時間帯の前記登録アプリケーションテーブルの前記アプリケーションの使用回数の多い順に前記メニューリストテーブルを設定し前記メニューを作成し」に係る制御のそれぞれを実行する手段に分けることは当業者が必要に応じて適宜なし得る事項にすぎず、その際、前者を「収集手段」、後者を「分析手段」と称することは任意である。

(相違点2)について検討する。
引用発明の「登録アプリケーションテーブル」に関し、引用例1には、「図2(b)は登録アプリケーションテーブルの内容を示している。図示された登録アプリケーションテーブル200には、・・・(省略)・・・アプリケーション名(アプリケーションの識別番号等の識別情報)、・・・(省略)・・・が関係付けられている。」(段落【0019】)、「制御部8はメニューテーブルの該当時間枠に関係付けられた登録アプリケーションテーブルのリンク順に、アプリケーションの識別情報をメニューリストテーブルに設定する(ステップS605)。」(段落【0028】)と記載されているから、「アプリケーション」に「アプリケーションの識別情報」が関連付けられ、「制御部8」が「アプリケーションの識別情報」に基づいて、「アプリケーション」を「識別する機能」を有することは明らかである。そうすると、引用発明において、「起動された前記アプリケーションに基づいて」「更新」するため「起動されたアプリケーション」を識別していることは当然に理解できる事項である。してみると、引用発明の「制御部」が、「アプリケーションの識別情報」を「収集」して、「起動された前記アプリケーション」を識別し、識別した「アプリケーションの識別情報」をもとに「メニューテーブルに関係付けられた登録アプリケーションテーブル」の「更新」を行うことは、当業者に自明の事項であり、仮に自明でないとしても、当事者が容易になし得たものである。

(相違点3)について検討する。
「使用頻度の高い順に機能をリストアップする際に、頻度が同じものについては履歴が新しいものを上位に機能をリストアップすること。」は、周知の技術(例えば、特開2001-5597号公報(段落【0016】)、特開昭64-76218号公報(4頁左上欄3-10行)参照)である。引用発明の「メニュー」の「作成」に上記周知の技術を適用し、使用頻度が同じアプリケーションのうち、最終起動日時の新しいアプリケーションを上位にリストアップすること、すなわち、「使用頻度が同じである前記機能のうち、使用時期が新しい機能を上位にリストアップ」することは、当業者が容易に想到し得たことである。

(相違点4)について検討する。
各種リストの表示に関して、「表示指示を受ける前から表示用の複数のリストを(あらかじめ用意して)保存しておき、表示指示に応答して保存している複数のリストから選択して表示すること。」は周知の技術(例えば、特開2002-135399号公報(段落【0010】、【0011】、【0013】、【0014】、【0017】)、国際公開第2006/082809号(段落[0172]、[0173]、[0185]?[0189]、[0215]、[0216])、特開平10-234007号公報(段落【0027】?【0029】、【0037】、【0041】、【0044】、【0047】)参照)である。
引用発明の「メニュー」の「表示」に上記周知の技術を適用し、各時間帯の「メニュー」をあらかじめ保存しておき、「メニュー表示が指示される」ことにより、あらかじめ保存している「メニュー」の中から、現在時刻に対応する時間帯の「メニュー」を選択して表示することは、当業者が容易に想到し得たものである。その場合に「制御部」が、「メニューテーブルと関連付けられた登録アプリケーションテーブル」を「更新」する毎に「メニュー」を作成して保存することは当然の設計変更にすぎない。

そして、補正後発明1が奏する効果も引用発明及び周知の技術から容易に予測できる範囲内のものである。

(5)小括
以上のとおり、補正後発明1は、引用発明に基づいて周知の技術を参酌することにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.結語
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて採用する同法第53条第1項に規定により却下するものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
上記「第2 補正却下の決定」に記載したとおり、本件補正は却下されたので、本願発明は、上記「第2 補正却下の決定」に記載された「補正前発明1」ないし「補正前発明7」と認める。

2.引用発明
上記「第2 補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件」の「(2))引用発明」で、「引用発明」と認めたものである。

3.対比・判断
(1)対比
補正前発明1(以下、「本願発明1」という。)を再掲する。

「自装置内の複数の機能を機能リストとして表示する携帯端末本体と、
前記機能の使用履歴を作成して保存する収集手段と、
前記使用履歴を分析して前記機能リストを作成する分析手段と
を有し、
前記収集手段は、前記機能が使用された際に生成された前記機能に対応する識別番号を収集し、収集した識別番号をもとに前記使用履歴を作成し、
前記分析手段は、使用時期が新しい機能を上位にリストアップして前記機能リストを作成する
ことを特徴とする携帯端末装置。」

本願発明1と引用発明とを対比すると、一致点は、以下のとおりである。
(一致点)
「自装置内の複数の機能を機能リストとして表示する携帯端末本体と、
前記機能の使用履歴を作成して保存する収集する手段と、
前記使用履歴を分析して前記機能リストを作成する分析する手段と、
を有し、
前記収集する手段は、前記機能が使用された際に前記使用履歴を作成し、
前記分析する手段は、所定の条件に基づく機能を上位にリストアップして前記機能リストを作成する
携帯端末装置。」

そして、相違点は、上記「第2 補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件」の「(3)対比」の(相違点1)と(相違点2)に加えて、以下の(相違点5)がある。

(相違点5)
一致点の「所定の条件に基づく機能を上位にリストアップ」の「所定の条件」が、本願発明では、「使用時期が新しい機能」であるのに対して、引用発明では「アプリケーションの使用回数の多い順」である点。

(2)相違点についての判断
(相違点1)と(相違点2)は、上記「第2補正却下の決定」の「(4)相違点についての判断」で(相違点1)、(相違点2)についてと同じ理由で、当業者が容易に想到し得たものである。
次に(相違点5)について検討する。
「使用時期が新しい機能を上位にリストアップすること。」は周知の技術(例えば、特開2001-5597号公報(段落【0005】-【0007】)、特開昭64-76218号公報(4頁左上欄3-10行)参照)である。
引用発明の「メニュー」の「作成」に上記周知の技術を適用し、使用回数の多いアプリケーションに代えて、使用時期が新しいアプリケーションを上位にリストアップすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて周知の技術を参酌することにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
したがって、本願はその余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-07-31 
結審通知日 2017-08-01 
審決日 2017-08-22 
出願番号 特願2015-22568(P2015-22568)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西巻 正臣中木 努圓道 浩史  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 吉田 隆之
山中 実
発明の名称 携帯端末装置及びそれに用いる機能リスト提供方法並びにそのプログラム  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
代理人 丸山 隆夫  

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