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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08J
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08J
管理番号 1336144
異議申立番号 異議2017-700291  
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-03-21 
確定日 2017-11-24 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5995996号発明「タイヤインナーライナー用フィルム、タイヤインナーライナー用フィルムの製造方法及び空気入りタイヤ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5995996号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし8及び18〕並びに〔9ないし17〕について訂正することを認める。 特許第5995996号の請求項1、2、4ないし12、14ないし18に係る特許を維持する。 特許第5995996号の請求項3及び13に係る特許についての特許異議申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5995996号の請求項1ないし18に係る特許についての出願は、2013年3月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理、2012年3月8日 韓国(2件)、2012年3月9日 韓国、2012年3月29日 米国(2件)、2012年4月5日 米国、2013年3月8日 韓国(2件))を国際出願日とする特許出願であって、平成28年9月2日にその特許権の設定登録(請求項数:18)がされ、その後、その特許に対し、平成29年3月21日付け(受理日:同年3月22日)で特許異議申立人 山本 千惠子(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立て(対象請求項:請求項1ないし18)がされ、当審において同年5月18日付けで取消理由(以下、「取消理由」という。)が通知され、同年8月18日付け(受理日:同年8月21日)で特許権者 コーロン インダストリーズ インク(以下、「特許権者」という。)から意見書が提出されるとともに訂正の請求(以下、「本件訂正の請求」という。)がされ、同年8月29日付け(受理日:同年8月30日)で特許権者から訂正請求書を補正する手続補正書(方式)及び意見書を補正する手続補正書(方式)が提出され、同年9月7日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、それに対し特許異議申立人から何らの応答がされなかったものである。

第2 訂正の適否について
1 訂正の内容
本件訂正の請求による訂正の内容は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「第1方向に5%?50%延伸または配向し、第1方向に垂直な第2方向には未延伸状態の基材フィルム及び該基材フィルムの少なくとも一面に形成された接着層を含み、
前記第1方向は、前記基材フィルムの横方向(TD)と同一であり、前記第2方向は、基材フィルムの縦方向(MD)と同一であり、
前記第1方向が空気入りタイヤ製造用タイヤ成形ドラムの軸方向と平行に設定され、
前記基材フィルムの第1方向および第2方向の引張強度比が1.1:1?2:1であるタイヤインナーライナー用フィルム。」とあるのを、
「第1方向に5%?50%延伸または配向し、第1方向に垂直な第2方向には未延伸状態の基材フィルム及び該基材フィルムの少なくとも一面に形成された接着層を含み、
前記第1方向は、前記基材フィルムの横方向(TD)と同一であり、前記第2方向は、基材フィルムの縦方向(MD)と同一であり、
前記基材フィルムがポリアミド系セグメントとポリエーテル系セグメントとを含む共重合体(i);またはポリアミド系セグメントを含む重合体およびポリエーテル系セグメントを含む重合体の間の樹脂混合物(ii)を含み、
前記共重合体のポリエーテル系セグメントの含有量、または前記ポリエーテル系セグメントを含む重合体の含有量が、前記基材フィルムの全体重量中、5?50重量%であり、
前記基材フィルムの第1方向および第2方向の引張強度比が1.1:1?2:1である、タイヤ成形ドラムによる空気入りタイヤの製造に用いられるタイヤインナーライナー用フィルムであって、
前記タイヤインナーライナー用フィルムは、前記第1方向が空気入りタイヤ製造用タイヤ成形ドラムの軸方向と平行に設定され、かつ
タイヤの円周方向(Circumferential Direction)における変形率がタイヤのラジアル方向(Radial Direction)に対比して高くなるように配置されるタイヤインナーライナー用フィルム。」に訂正する。
併せて、特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項2、4ないし8及び18についても、請求項1を訂正したことに伴う訂正をする。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4において、「請求項3に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。」とあるのを、「請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5において、「請求項3に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。」とあるのを、「請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。」に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6において、「請求項3に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。」とあるのを、「請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。」に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8において、「前記基材フィルムの少なくとも一面に形成され、レゾルシノール-ホルマリン-ラテックス(RFL)系接着剤を含む接着層をさらに含む請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。」とあるのを、「前記接着層がレゾルシノール-ホルマリン-ラテックス(RFL)系接着剤を含む請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。」に訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項9において、「基材フィルム用原料を溶融および押出して基材フィルムを形成する段階と;
前記基材フィルムを横方向(TD)に5%?50%延伸する段階と;
前記基材フィルムの少なくとも一面に接着層を形成する段階とを含み、
前記基材フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)の引張強度比が1:1.1?1:2であるタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。」とあるのを、
「基材フィルム用原料を溶融および押出して基材フィルムを形成する段階と;
前記基材フィルムを横方向(TD)に5%?50%延伸する段階と;
前記基材フィルムの少なくとも一面に接着層を形成する段階とを含む、タイヤ成形ドラムによる空気入りタイヤの製造に用いられるタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法であって、
前記基材フィルムを形成する段階は、i)前記ポリアミド系セグメントとポリエーテル(poly-ether)系セグメントとを含む共重合体、またはii)ポリアミド系セグメントを含む重合体およびポリエーテル系セグメントを含む重合体の間の樹脂混合物を含む基材フィルム用原料を230?300℃で溶融して押出して、30μm?300μmの厚さを有する段階を含み、
前記共重合体のポリエーテル系セグメントの含有量、または前記ポリエーテル系セグメントを含む重合体の含有量が、前記基材フィルムの全体重量中、5?50重量%であり、
前記基材フィルムは、縦方向(MD)には未延伸状態であり、
前記基材フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)の引張強度比が1:1.1?1:2であり、
前記タイヤインナーライナー用フィルムは、横方向が空気入りタイヤ製造用の前記タイヤ成形ドラムの軸方向と平行に設定され、かつ
タイヤの円周方向(Circumferential Direction)における変形率がタイヤのラジアル方向(Radial Direction)に対比して高くなるように配置される、タイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。」に訂正する。
併せて、特許請求の範囲の請求項9を引用する請求項10ないし12及び14ないし17についても、請求項9を訂正したことに伴う訂正をする。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項13を削除する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項14において、「請求項13に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。」とあるのを、「請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。」に訂正する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項15において、「請求項13に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。」とあるのを、「請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。」に訂正する。

(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項16において、「請求項13に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。」とあるのを、「請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、一群の請求項、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明に、「前記基材フィルムがポリアミド系セグメントとポリエーテル系セグメントとを含む共重合体(i);またはポリアミド系セグメントを含む重合体およびポリエーテル系セグメントを含む重合体の間の樹脂混合物(ii)を含み、
前記共重合体のポリエーテル系セグメントの含有量、または前記ポリエーテル系セグメントを含む重合体の含有量が、前記基材フィルムの全体重量中、5?50重量%であり、」、「タイヤ成形ドラムによる空気入りタイヤの製造に用いられるタイヤインナーライナー用フィルムであって」、「前記タイヤインナーライナー用フィルムは、」及び「タイヤの円周方向(Circumferential Direction)における変形率がタイヤのラジアル方向(Radial Direction)に対比して高くなるように配置され」という発明特定事項を追加して、さらに特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1は、訂正前の請求項3並びに願書に添付した明細書の【0020】、【0028】及び【0030】に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3ないし5について
訂正事項3ないし5は、訂正前の請求項4ないし6が、訂正前の請求項3を引用する記載であったのを、訂正事項1により訂正前の請求項3に記載された事項が請求項1に組み込まれ、また、訂正事項2により訂正前の請求項3が削除されたことに伴い、引用先を請求項3から請求項1にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項3ないし5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項3ないし5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項8に記載された「前記基材フィルムの少なくとも一面に形成され、レゾルシノール-ホルマリン-ラテックス(RFL)系接着剤を含む接着層」が、訂正前の請求項1に記載された「接着層」以外にさらに含まれるものなのか、訂正前の請求項1に記載された「接着層」のことなのかが明確でなかったものを、訂正前の請求項1に記載された「接着層」のことであることを明確にした上で、訂正前の請求項8が、訂正前の請求項3を引用する記載であったのを、訂正事項1により訂正前の請求項3に記載された事項が請求項1に組み込まれ、また、訂正事項2により訂正前の請求項3が削除されたことに伴い、引用先を請求項3から請求項1にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項6は、願書に添付した明細書の【0075】に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5)訂正事項7について
訂正事項7は、訂正前の請求項9に係る発明に、「タイヤ成形ドラムによる空気入りタイヤの製造に用いられるタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法であって、
前記基材フィルムを形成する段階は、i)前記ポリアミド系セグメントとポリエーテル(poly-ether)系セグメントとを含む共重合体、またはii)ポリアミド系セグメントを含む重合体およびポリエーテル系セグメントを含む重合体の間の樹脂混合物を含む基材フィルム用原料を230?300℃で溶融して押出して、30μm?300μmの厚さを有する段階を含み、
前記共重合体のポリエーテル系セグメントの含有量、または前記ポリエーテル系セグメントを含む重合体の含有量が、前記基材フィルムの全体重量中、5?50重量%であり、
前記基材フィルムは、縦方向(MD)には未延伸状態であり」及び「前記タイヤインナーライナー用フィルムは、横方向が空気入りタイヤ製造用の前記タイヤ成形ドラムの軸方向と平行に設定され、かつ
タイヤの円周方向(Circumferential Direction)における変形率がタイヤのラジアル方向(Radial Direction)に対比して高くなるように配置される」という発明特定事項を追加して、さらに特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項7は、訂正前の請求項13並びに願書に添付した明細書の【0020】、【0028】及び【0030】に基づくものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項7は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(6)訂正事項8について
訂正事項8は、訂正前の請求項13を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(7)訂正事項9ないし11について
訂正事項9ないし11は、訂正前の請求項14ないし16が、訂正前の請求項13を引用する記載であったのを、訂正事項7により訂正前の請求項13に記載された事項が請求項9に組み込まれ、また、訂正事項8により訂正前の請求項13が削除されたことに伴い、引用先を請求項13から請求項9にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項9ないし11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項9ないし11は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(8)一群の請求項
本件訂正の請求による訂正の内、訂正後の請求項1ないし8及び18についての訂正は、一群の請求項である訂正前の請求項1ないし8及び18についてされたものである。
また、本件訂正の請求による訂正の内、訂正後の請求項9ないし17についての訂正は、一群の請求項である訂正前の請求項9ないし17についてされたものである。
したがって、本件訂正の請求は、一群の請求項ごとに対してされたものである。

3 むすび
以上のとおり、本件訂正の請求は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。
また、特許異議の申立ては、訂正前の全ての請求項に対してされているので、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
したがって、本件訂正の請求は適法なものであり、訂正後の請求項〔1ないし8及び18〕並びに〔9ないし17〕について訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許発明
上記第2のとおり、訂正後の請求項〔1ないし8及び18〕並びに〔9ないし17〕について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1ないし18に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいう。)は、平成29年8月18日付け(受理日:同年8月21日)で提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「第1方向に5%?50%延伸または配向し、第1方向に垂直な第2方向には未延伸状態の基材フィルム及び該基材フィルムの少なくとも一面に形成された接着層を含み、
前記第1方向は、前記基材フィルムの横方向(TD)と同一であり、前記第2方向は、基材フィルムの縦方向(MD)と同一であり、
前記基材フィルムがポリアミド系セグメントとポリエーテル系セグメントとを含む共重合体(i);またはポリアミド系セグメントを含む重合体およびポリエーテル系セグメントを含む重合体の間の樹脂混合物(ii)を含み、
前記共重合体のポリエーテル系セグメントの含有量、または前記ポリエーテル系セグメントを含む重合体の含有量が、前記基材フィルムの全体重量中、5?50重量%であり、
前記基材フィルムの第1方向および第2方向の引張強度比が1.1:1?2:1である、タイヤ成形ドラムによる空気入りタイヤの製造に用いられるタイヤインナーライナー用フィルムであって、
前記タイヤインナーライナー用フィルムは、前記第1方向が空気入りタイヤ製造用タイヤ成形ドラムの軸方向と平行に設定され、かつ
タイヤの円周方向(Circumferential Direction)における変形率がタイヤのラジアル方向(Radial Direction)に対比して高くなるように配置されるタイヤインナーライナー用フィルム。
【請求項2】
前記基材フィルムの第1方向の長さが1000mm以下である請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記共重合体は、ポリアミド系セグメントおよびポリエーテル(poly-ether)系セグメントを、7:3?3:7の重量比で含む請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。
【請求項5】
前記樹脂混合物は、前記ポリアミド系セグメントを含む重合体およびポリエーテル系セグメントを含む重合体を、7:3?3:7の重量比で含む請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。
【請求項6】
前記基材フィルムは、3.0?4.0の相対粘度(硫酸96%溶液)を有するポリアミド系樹脂をさらに含む請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。
【請求項7】
前記基材フィルムが前記ポリアミド系樹脂と前記共重合体(i)または樹脂混合物(ii)を、7:3?3:7の重量比で含む請求項6に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。
【請求項8】
前記接着層がレゾルシノール-ホルマリン-ラテックス(RFL)系接着剤を含む請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。
【請求項9】
基材フィルム用原料を溶融および押出して基材フィルムを形成する段階と;
前記基材フィルムを横方向(TD)に5%?50%延伸する段階と;
前記基材フィルムの少なくとも一面に接着層を形成する段階とを含む、タイヤ成形ドラムによる空気入りタイヤの製造に用いられるタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法であって、
前記基材フィルムを形成する段階は、i)前記ポリアミド系セグメントとポリエーテル(poly-ether)系セグメントとを含む共重合体、またはii)ポリアミド系セグメントを含む重合体およびポリエーテル系セグメントを含む重合体の間の樹脂混合物を含む基材フィルム用原料を230?300℃で溶融して押出して、30μm?300μmの厚さを有する段階を含み、
前記共重合体のポリエーテル系セグメントの含有量、または前記ポリエーテル系セグメントを含む重合体の含有量が、前記基材フィルムの全体重量中、5?50重量%であり、
前記基材フィルムは、縦方向(MD)には未延伸状態であり、
前記基材フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)の引張強度比が1:1.1?1:2であり、
前記タイヤインナーライナー用フィルムは、横方向が空気入りタイヤ製造用の前記タイヤ成形ドラムの軸方向と平行に設定され、かつ
タイヤの円周方向(Circumferential Direction)における変形率がタイヤのラジアル方向(Radial Direction)に対比して高くなるように配置される、タイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記基材フィルム用原料を溶融および押出した結果物が横方向(TD)に500mm以上の長さを有する請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項11】
前記基材フィルムを横方向(TD)に5%?50%延伸する段階を、100?180℃の温度で行う請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項12】
前記延伸段階の前に、前記基材フィルムを100?180℃の温度で熱処理する段階;または
前記延伸段階の後に、前記5%?50%延伸した基材フィルムを100?180℃の温度で熱処理する段階をさらに含む請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項13】
(削除)
【請求項14】
前記基材フィルム用原料は、ポリアミド系樹脂をさらに含む請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項15】
前記基材フィルム用原料は、前記ポリアミド系樹脂および前記共重合体または樹脂混合物を、7:3?3:7の重量比で含む請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項16】
前記共重合体は、ポリアミド系セグメントおよびポリエーテル系セグメントを、7:3?3:7の重量比で含み、
前記樹脂混合物は、前記ポリアミド系セグメントを含む重合体およびポリエーテル系セグメントを含む重合体を、7:3?3:7の重量比で含む請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項17】
前記接着層は、レゾルシノール-ホルマリン-ラテックス(RFL)系接着剤を含み、0.1μm?20μmの厚さを有する請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項18】
請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルムを用いて製造されたことを特徴とする空気入りタイヤ。」

2 取消理由の概要
取消理由の概要は次のとおりである。

「第1 本件特許発明
・・・(略)・・・
第2 取消理由
(理由1)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記第3の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願についてされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
(理由2)本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記第4の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願についてされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
第3 取消理由1について
・・・(略)・・・
1.本件特許発明1ないし18について
(1)本件特許発明1について
・・・(略)・・・
そうすると、本件特許発明1は、「タイヤインナーライナー用」との特定はあるが、タイヤの成形および製造過程について何ら限定がないが、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載から、本件特許発明1の課題を解決することができると当業者が認識できるものは、タイヤインナーライナーのタイヤの円周方向における変形率がタイヤのラジアル方向に対比してはるかに高い状態となるタイヤの成形および製造過程に適用する場合に限られるものと解され、そのようなタイヤ成形手段としては、空気注入によるタイヤ成形(例えば、シェーピングブラダ、加硫ブラダ等を使用するタイヤ成形手段)のみであると認められる。
これに対して、その他のタイヤの成形および製造過程、例えば、剛体のコアを用いる方法では、剛体コアの外周面に製品タイヤの最終寸法に近い寸法を有するグリーンタイヤを加硫成形するから、インナーライナーのタイヤの円周方向における変形率とタイヤのラジアル方向の変形率はほとんど差がないと認められるので(例えば、特開2006-103106号公報:特許異議申立書の甲第6号証)、そのようなタイヤ成形を行った場合には、本件特許発明1の課題を解決することができると当業者が認識できるものではない。
・・・(略)・・・
よって、本件特許発明1の範囲についてまで、本件特許発明1の課題を解決できると当業者が認識できるとはいえないから、本件特許発明1は、発明の詳細な説明に記載したものを超えて特許を請求するものである。
(2)本件特許発明2ないし18について
・・・(略)・・・
2.本件特許発明9ないし17について
(1)本件特許発明9について
・・・(略)・・・
そうすると、本件特許発明9は、基材フィルムの第1方向の向き及び縦方向(MD)が未延伸であることについて何ら限定がないが、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載から、本件特許発明9の課題を解決することができると当業者が認識できるものは、基材フィルムの第1方向の向きが、横方向(TD)であって、タイヤのラジアル方向(成形ドラムの軸方向)に適用され、かつ、縦方向(MD)が未延伸である場合のみである。
よって、本件特許発明9の範囲についてまで、本件特許発明9の課題を解決できると当業者が認識できるとはいえないから、本件特許発明9に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものを超えて特許を請求するものである。
(2)本件特許発明10ないし17について
・・・(略)・・・
3.本件特許発明1、2、8ないし12、17、18について
(1)本件特許発明1について
・・・(略)・・・
そうすると、本件特許発明1は、基材フィルムの材質について何ら限定がないが、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載から、本件特許発明の課題を解決することができると当業者が認識できるものは、上記(i)又は(ii)が含まれる材質のみである。
したがって、本件特許発明1の範囲についてまで、本件特許発明1の課題を解決できると当業者が認識できるとはいえないから、本件特許発明1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものを超えて特許を請求するものである。
(2)本件特許発明2、8ないし12、17、18について
・・・(略)・・・
4.取消理由1のまとめ
・・・(略)・・・
第4 取消理由2について
1.本件特許発明8について
本件特許発明8は、本件特許発明1において、「前記基材フィルムの少なくとも一面に形成され、レゾルシノール-ホルマリン-ラテックス(RFL)系接着剤を含む接着層をさらに含む」ことを特定するものである。
しかしながら、本件特許発明8は「接着層をさらに含む」と記載されていることから、本件特許発明8は、
本件特許発明1の「接着層」とは異なる別の「接着層」を含むことを意味しているのか、あるいは、
本件特許明細書の【0075】の「前記タイヤインナーライナー用フィルムは、前記基材フィルムの少なくとも一面に形成され、レゾルシノール-ホルマリン-ラテックス(RFL)系接着剤を含む接着層をさらに含むことができる。」との記載や、本件特許発明17の「前記接着層は、レゾルシノール-ホルマリン-ラテックス(RFL)系接着剤を含み」との記載と同様に、本件特許発明1の「接着層」が特定の接着剤である「レゾルシノール-ホルマリン-ラテックス(RFL)系接着剤」を含むことを意味しているのか不明である。
2.取消理由2のまとめ
・・・(略)・・・」

3 取消理由についての判断
(1)取消理由1について
本件訂正の請求は認められるので、本件特許発明1並びに請求項1を引用する本件特許発明2、4ないし8及び18は、取消理由において「発明の課題を解決することができると当業者が認識できる」ために必要な事項として示された事項に相当する「前記基材フィルムがポリアミド系セグメントとポリエーテル系セグメントとを含む共重合体(i);またはポリアミド系セグメントを含む重合体およびポリエーテル系セグメントを含む重合体の間の樹脂混合物(ii)を含み、
前記共重合体のポリエーテル系セグメントの含有量、または前記ポリエーテル系セグメントを含む重合体の含有量が、前記基材フィルムの全体重量中、5?50重量%であり」、「タイヤ成形ドラムによる空気入りタイヤの製造に用いられる」及び「タイヤの円周方向(Circumferential Direction)における変形率がタイヤのラジアル方向(Radial Direction)に対比して高くなるように配置される」という事項をその発明特定事項として有するものとなった。
また、本件訂正の請求は認められるので、本件特許発明9並びに請求項9を引用する本件特許発明10ないし12及び14ないし17は、取消理由において「発明の課題を解決することができると当業者が認識できる」ために必要な事項として示された事項に相当する「タイヤ成形ドラムによる空気入りタイヤの製造に用いられる」、「前記基材フィルムを形成する段階は、i)前記ポリアミド系セグメントとポリエーテル(poly-ether)系セグメントとを含む共重合体、またはii)ポリアミド系セグメントを含む重合体およびポリエーテル系セグメントを含む重合体の間の樹脂混合物を含む基材フィルム用原料を230?300℃で溶融して押出して、30μm?300μmの厚さを有する段階を含み、
前記共重合体のポリエーテル系セグメントの含有量、または前記ポリエーテル系セグメントを含む重合体の含有量が、前記基材フィルムの全体重量中、5?50重量%であり」、「前記基材フィルムは、縦方向(MD)には未延伸状態であり」及び「前記タイヤインナーライナー用フィルムは、横方向が空気入りタイヤ製造用の前記タイヤ成形ドラムの軸方向と平行に設定され、かつ
タイヤの円周方向(Circumferential Direction)における変形率がタイヤのラジアル方向(Radial Direction)に対比して高くなるように配置される」という事項をその発明特定事項として有するものとなった。
したがって、本件特許発明1、2、4ないし12及び14ないし18は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるといえ、取消理由1によっては、それらの特許を取り消すことはできない。

(2)取消理由2について
本件訂正の請求は認められるので、本件特許発明8は、本件特許発明1の「接着層」が特定の接着剤である「レゾルシノール-ホルマリン-ラテックス(RFL)系接着剤」を含むことを特定したものであることが明確になった。
したがって、本件特許発明8に関して、特許請求の範囲の請求項8の記載は明確であり、取消理由2によっては、その特許を取り消すことはできない。

(3)むすび
したがって、取消理由によっては、本件特許発明1、2、4ないし12及び14ないし18の特許は取り消すことはできない。

4 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由は、次の2つである。

(1)申立理由1(進歩性)
本件特許発明1ないし18は、甲第1号証(特開2007-30691号公報)に記載された発明並びに甲第2号証(特開2012-31405号公報)、甲第3号証(国際公開第2011/122876号)、甲第4号証(国際公開第2012/002750号)及び甲第5号証(特開昭59-93345号公報)に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、取り消すべきである。

(2)申立理由2(サポート要件)
本件特許発明1ないし18では、製造工程でのタイヤの円周方向/ラジアル方向の変形率比を特定しておらず、また、基材フィルムの厚さを特定していないから、本件特許発明1ないし18は発明の詳細な説明に記載されたものではなく、それらの特許は、取り消すべきである。

そこで、検討する。
<申立理由1について>
本件特許発明1、2、4ないし8及び18の発明特定事項である「第1方向に5%?50%延伸または配向し、第1方向に垂直な第2方向には未延伸状態の基材フィルム」が「前記第1方向が空気入りタイヤ製造用タイヤ成形ドラムの軸方向と平行に設定され、かつタイヤの円周方向(Circumferential Direction)における変形率がタイヤのラジアル方向(Radial Direction)に対比して高くなるように配置される」ことについて、甲第1ないし5号証の何れにも記載されていないし、示唆もされていない。
したがって、本件特許発明1、2、4ないし8及び18は、甲第1号証記載の発明及び甲第2ないし5号証記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件特許発明9ないし12及び14ないし17の発明特定事項である「前記基材フィルムを横方向(TD)に5%?50%延伸する段階」を含むこと及び「前記基材フィルムは、縦方向(MD)には未延伸状態であり」「前記タイヤインナーライナー用フィルムは、横方向が空気入りタイヤ製造用の前記タイヤ成形ドラムの軸方向と平行に設定され、かつタイヤの円周方向(Circumferential Direction)における変形率がタイヤのラジアル方向(Radial Direction)に対比して高くなるように配置される」ことについて、甲第1ないし5号証の何れにも記載されていないし、示唆もされていない。
したがって、本件特許発明9ないし12及び14ないし17は、甲第1号証記載の発明及び甲第2ないし5号証記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、申立理由1によっては、本件特許発明1、2、4ないし12及び14ないし18の特許を取り消すことはできない。

<申立理由2について>
本件特許発明1、2、4ないし12及び14ないし18において、製造工程でのタイヤの円周方向/ラジアル方向の変形率比を特定しておらず、また、基材フィルムの厚さを特定していないとしても、発明の詳細な説明の記載及び本件特許の出願時の技術常識によれば、本件特許発明1、2、4ないし12及び14ないし18が、当該発明の課題を解決することができることを当業者は認識できる。
したがって、本件特許発明1、2、4ないし12及び14ないし18は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるといえ、本件特許の明細書はサポート要件を満たしている。
よって、申立理由2によっては、本件特許発明1、2、4ないし12及び14ないし18の特許を取り消すことはできない。

第4 結語
上記第3のとおりであるから、取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1、2、4ないし12及び14ないし18に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、2、4ないし12及び14ないし18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項3及び13は、訂正により削除されたため、請求項3及び13に対して、特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に5%?50%延伸または配向し、第1方向に垂直な第2方向には未延伸状態の基材フィルム及び該基材フィルムの少なくとも一面に形成された接着層を含み、
前記第1方向は、前記基材フィルムの横方向(TD)と同一であり、前記第2方向は、基材フィルムの縦方向(MD)と同一であり、
前記基材フィルムがポリアミド系セグメントとポリエーテル系セグメントとを含む共重合体(i);またはポリアミド系セグメントを含む重合体およびポリエーテル系セグメントを含む重合体の間の樹脂混合物(ii)を含み、
前記共重合体のポリエーテル系セグメントの含有量、または前記ポリエーテル系セグメントを含む重合体の含有量が、前記基材フィルムの全体重量中、5?50重量%であり、
前記基材フィルムの第1方向および第2方向の引張強度比が1.1:1?2:1である、タイヤ成形ドラムによる空気入りタイヤの製造に用いられるタイヤインナーライナー用フィルムであって、
前記タイヤインナーライナー用フィルムは、前記第1方向が空気入りタイヤ製造用の前記タイヤ成形ドラムの軸方向と平行に設定され、かつ
タイヤの円周方向(Circumferential Direction)における変形率がタイヤのラジアル方向(Radial Direction)に対比して高くなるように配置されるタイヤインナーライナー用フィルム。
【請求項2】
前記基材フィルムの第1方向の長さが1000mm以下である請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記共重合体は、ポリアミド系セグメントおよびポリエーテル(poly-ether)系セグメントを、7:3?3:7の重量比で含む請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。
【請求項5】
前記樹脂混合物は、前記ポリアミド系セグメントを含む重合体およびポリエーテル系セグメントを含む重合体を、7:3?3:7の重量比で含む請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。
【請求項6】
前記基材フィルムは、3.0?4.0の相対粘度(硫酸96%溶液)を有するポリアミド系樹脂をさらに含む請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。
【請求項7】
前記基材フィルムが前記ポリアミド系樹脂と前記共重合体(i)または樹脂混合物(ii)を、7:3?3:7の重量比で含む請求項6に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。
【請求項8】
前記接着層がレゾルシノール-ホルマリン-ラテックス(RFL)系接着剤を含む請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルム。
【請求項9】
基材フィルム用原料を溶融および押出して基材フィルムを形成する段階と;
前記基材フィルムを横方向(TD)に5%?50%延伸する段階と;
前記基材フィルムの少なくとも一面に接着層を形成する段階とを含む、タイヤ成形ドラムによる空気入りタイヤの製造に用いられるタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法であって、
前記基材フィルムを形成する段階は、i)前記ポリアミド系セグメントとポリエーテル(poly-ether)系セグメントとを含む共重合体、またはii)ポリアミド系セグメントを含む重合体およびポリエーテル系セグメントを含む重合体の間の樹脂混合物を含む基材フィルム用原料を230?300℃で溶融して押出して、30μm?300μmの厚さを有する段階を含み、
前記共重合体のポリエーテル系セグメントの含有量、または前記ポリエーテル系セグメントを含む重合体の含有量が、前記基材フィルムの全体重量中、5?50重量%であり、
前記基材フィルムは、縦方向(MD)には未延伸状態であり、
前記基材フィルムの縦方向(MD)および横方向(TD)の引張強度比が1:1.1?1:2であり、
前記タイヤインナーライナー用フィルムは、横方向が空気入りタイヤ製造用の前記タイヤ成形ドラムの軸方向と平行に設定され、かつ
タイヤの円周方向(Circumferential Direction)における変形率がタイヤのラジアル方向(Radial Direction)に対比して高くなるように配置される、タイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記基材フィルム用原料を溶融および押出した結果物が横方向(TD)に500mm以上の長さを有する請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項11】
前記基材フィルムを横方向(TD)に5%?50%延伸する段階を、100?180℃の温度で行う請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項12】
前記延伸段階の前に、前記基材フィルムを100?180℃の温度で熱処理する段階;または
前記延伸段階の後に、前記5%?50%延伸した基材フィルムを100?180℃の温度で熱処理する段階をさらに含む請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項13】
(削除)
【請求項14】
前記基材フィルム用原料は、ポリアミド系樹脂をさらに含む請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項15】
前記基材フィルム用原料は、前記ポリアミド系樹脂および前記共重合体または樹脂混合物を、7:3?3:7の重量比で含む請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項16】
前記共重合体は、ポリアミド系セグメントおよびポリエーテル系セグメントを、7:3?3:7の重量比で含み、
前記樹脂混合物は、前記ポリアミド系セグメントを含む重合体およびポリエーテル系セグメントを含む重合体を、7:3?3:7の重量比で含む請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項17】
前記接着層は、レゾルシノール-ホルマリン-ラテックス(RFL)系接着剤を含み、0.1μm?20μmの厚さを有する請求項9に記載のタイヤインナーライナー用フィルムの製造方法。
【請求項18】
請求項1に記載のタイヤインナーライナー用フィルムを用いて製造されたことを特徴とする空気入りタイヤ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-11-13 
出願番号 特願2014-558689(P2014-558689)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (C08J)
P 1 651・ 121- YAA (C08J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大村 博一  
特許庁審判長 小野寺 務
特許庁審判官 堀 洋樹
加藤 友也
登録日 2016-09-02 
登録番号 特許第5995996号(P5995996)
権利者 コーロン インダストリーズ インク
発明の名称 タイヤインナーライナー用フィルム、タイヤインナーライナー用フィルムの製造方法及び空気入りタイヤ  
代理人 山下 託嗣  
代理人 山下 託嗣  

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