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審決分類 |
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 A63F 審判 一部申し立て 2項進歩性 A63F |
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管理番号 | 1336156 |
異議申立番号 | 異議2017-700367 |
総通号数 | 218 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-02-23 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-04-12 |
確定日 | 2017-12-04 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6006774号発明「プログラム、情報処理装置、及び情報処理装置の制御方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6006774号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔2?9〕、10、及び11について、訂正することを認める。 特許第6006774号の請求項3?11に係る特許を維持する。 特許第6006774号の請求項1に係る特許についての申立てを却下する。 |
理由 |
第1.手続の経緯 特許第6006774号の請求項1、及び3?11に係る特許についての出願は、平成25年7月31日に特許出願した特願2013-158651号の一部を平成26年11月7日に新たな特許出願としたものであって、平成28年9月16日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人上杉則亮により特許異議の申立てがされ、当審において平成29年5月29日付けで取消理由を通知し、その指定期間内である同年7月31日付けで意見書の提出及び訂正の請求がなされ、当審において同年8月3日付けで特許異議申立人に対して通知書を通知し、その指定期間内である同年8月31日付けで意見書の提出がなされたものである。 第2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。 ア.訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 イ.訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2の 「ユーザ操作に基づいて対戦を進行する第1のモードよりもユーザ操作の数を低減して対戦を進行する第2のモードによる対戦において、前記第1の閾値が大きいコマンドを優先的に選択する、請求項1に記載のプログラム。」を、 「ターン制で進行する対戦ゲームを実行する情報処理装置に、 対戦に用いられる複数のコマンドにそれぞれ設定される第1の閾値を記憶するステップと、 ユーザ操作に基づいて前記対戦を行う画面を表示させるステップと、 前記画面上に、前記複数のコマンドのうち少なくとも一部のコマンドを選択可能に表示させるステップと、 ユーザ操作に基づいてコマンドが選択されると、該コマンドについて経過ターン数のカウントを開始するステップと、 選択された前記コマンドをユーザが選択できないように制御するステップと、 前記経過ターン数と、選択された前記コマンドに設定された第1の閾値と、の比較に基づいて、前記画面上の前記コマンドに対応させて前記コマンドを再度選択可能となるまでに必要なターン数を表示させるステップと、 前記経過ターン数が前記第1の閾値と等しくなれば、選択された前記コマンドをユーザが再度選択可能となるように制御するステップと、 を実行させ、 ユーザ操作に基づいて対戦を進行する第1のモードよりもユーザ操作の数を低減して対戦を進行する第2のモードによる対戦において、前記第1の閾値が大きいコマンドを優先的に選択する、プログラム。」(下線は審決で付した。以下同じ。)と訂正する。 ウ.訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3の 「前記情報処理装置に、前記複数のコマンドにそれぞれ設定される第2の閾値を記憶するステップを更に実行させ、 前記第2の閾値は、コマンドが選択されてから当該コマンドを実行するまでに要するターン数である、請求項1又は2に記載のプログラム。」を、 「ターン制で進行する対戦ゲームを実行する情報処理装置に、 対戦に用いられる複数のコマンドにそれぞれ設定される第1の閾値及び第2の閾値を記憶するステップと、 ユーザ操作に基づいて前記対戦を行う画面を表示させるステップと、 前記画面上に、前記複数のコマンドのうち少なくとも一部のコマンドを選択可能に表示させるステップと、 ユーザ操作に基づいてコマンドが選択されると、該コマンドについて経過ターン数のカウントを開始するステップと、 選択された前記コマンドをユーザが選択できないように制御するステップと、 前記経過ターン数と、選択された前記コマンドに設定された第1の閾値と、の比較に基づいて、前記画面上の前記コマンドに対応させて前記コマンドを再度選択可能となるまでに必要なターン数を表示させるステップと、 前記経過ターン数が前記第1の閾値と等しくなれば、選択された前記コマンドをユーザが再度選択可能となるように制御するステップと、 を実行させ、 前記第2の閾値は、コマンドが選択されてから当該コマンドを実行するまでに要するターン数である、プログラム。」と訂正する。 エ.訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5の 「請求項1乃至4の何れか一項に記載のプログラム。」を、 「請求項2乃至4の何れか一項に記載のプログラム。」と訂正する。 オ.訂正事項5 特許請求の範囲の請求項9の 「請求項1乃至8の何れか一項に記載のプログラム。」を、 「請求項2乃至8の何れか一項に記載のプログラム。」と訂正する。 カ.訂正事項6 特許請求の範囲の請求項10の 「ターン制で進行する対戦ゲームを実行する情報処理装置であって、 対戦に用いられる複数のコマンドにそれぞれ設定される第1の閾値を記憶する記憶部と、 ユーザ操作に基づいて前記対戦を行う画面を表示させ、前記画面上に、前記複数のコマンドのうち少なくとも一部のコマンドを選択可能に表示させる制御部と、 ユーザ操作に基づいてコマンドが選択されると、該コマンドについて経過ターン数のカウントを開始するターン算出部と、 選択された前記コマンドをユーザが選択できないように制御する処理部と、を備え、 前記処理部は、 前記経過ターン数と、選択された前記コマンドに設定された第1の閾値と、の比較に基づいて、前記画面上の前記コマンドに対応させて前記コマンドを再度選択可能となるまでに必要なターン数を表示させ、 前記経過ターン数が前記第1の閾値と等しくなれば、選択された前記コマンドをユーザが再度選択可能となるように制御する、 情報処理装置。」を、 「ターン制で進行する対戦ゲームを実行する情報処理装置であって、 対戦に用いられる複数のコマンドにそれぞれ設定される第1の閾値及び第2の閾値を記憶する記憶部と、 ユーザ操作に基づいて前記対戦を行う画面を表示させ、前記画面上に、前記複数のコマンドのうち少なくとも一部のコマンドを選択可能に表示させる制御部と、 ユーザ操作に基づいてコマンドが選択されると、該コマンドについて経過ターン数のカウントを開始するターン算出部と、 選択された前記コマンドをユーザが選択できないように制御する処理部と、を備え、 前記処理部は、 前記経過ターン数と、選択された前記コマンドに設定された第1の閾値と、の比較に基づいて、前記画面上の前記コマンドに対応させて前記コマンドを再度選択可能となるまでに必要なターン数を表示させ、 前記経過ターン数が前記第1の閾値と等しくなれば、選択された前記コマンドをユーザが再度選択可能となるように制御し、 前記第2の閾値は、コマンドが選択されてから当該コマンドを実行するまでに要するターン数である、 情報処理装置。」と訂正する。 キ.訂正事項7 特許請求の範囲の請求項11の 「ターン制で進行する対戦ゲームを実行する情報処理装置の制御方法であって、 対戦に用いられる複数のコマンドにそれぞれ設定される第1の閾値を記憶するステップと、 ユーザ操作に基づいて前記対戦を行う画面を表示させるステップと、 前記画面上に、前記複数のコマンドのうち少なくとも一部のコマンドを選択可能に表示させるステップと、 ユーザ操作に基づいてコマンドが選択されると、該コマンドについて経過ターン数のカウントを開始するステップと、 選択された前記コマンドをユーザが選択できないように制御するステップと、 前記経過ターン数と、選択された前記コマンドに設定された第1の閾値と、の比較に基づいて、前記画面上の前記コマンドに対応させて前記コマンドを再度選択可能となるまでに必要なターン数を表示させるステップと、 前記経過ターン数が前記第1の閾値と等しくなれば、選択された前記コマンドをユーザが再度選択可能となるように制御するステップと、 を含む、情報処理装置の制御方法。」を、 「ターン制で進行する対戦ゲームを実行する情報処理装置の制御方法であって、 対戦に用いられる複数のコマンドにそれぞれ設定される第1の閾値及び第2の閾値を記憶するステップと、 ユーザ操作に基づいて前記対戦を行う画面を表示させるステップと、 前記画面上に、前記複数のコマンドのうち少なくとも一部のコマンドを選択可能に表示させるステップと、 ユーザ操作に基づいてコマンドが選択されると、該コマンドについて経過ターン数のカウントを開始するステップと、 選択された前記コマンドをユーザが選択できないように制御するステップと、 前記経過ターン数と、選択された前記コマンドに設定された第1の閾値と、の比較に基づいて、前記画面上の前記コマンドに対応させて前記コマンドを再度選択可能となるまでに必要なターン数を表示させるステップと、 前記経過ターン数が前記第1の閾値と等しくなれば、選択された前記コマンドをユーザが再度選択可能となるように制御するステップと、 を含み、 前記第2の閾値は、コマンドが選択されてから当該コマンドを実行するまでに要するターン数である、情報処理装置の制御方法。」と訂正する。 (2)訂正の適否についての判断 ア.訂正事項1について 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 イ.訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1の記載を引用した記載であったものを、請求項1の記載を引用しない独立形式の記載としたものであって、請求項間の引用関係を解消するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 そして、訂正事項2は、上記のとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 ウ.訂正事項3について 訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用した記載であったものを、請求項1、及び2の記載を引用しない独立形式の記載としたものであって、請求項間の引用関係を解消するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 そして、訂正事項3は、上記のとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 エ.訂正事項4 訂正事項4は、訂正前の請求項5が請求項1?4の記載を引用した記載であったものを、訂正事項1に伴い、請求項2?4の記載を引用した記載とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項4は、上記のとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 オ.訂正事項5 訂正事項5は、訂正前の請求項9が請求項1?8の記載を引用した記載であったものを、訂正事項1に伴い、請求項2?8の記載を引用した記載とするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項5は、上記のとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲において訂正をするものであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 カ.訂正事項6、及び7 訂正事項6、及び7は、対戦に用いられる複数のコマンドに関して、それを具体的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項6、及び7は、願書に添付した明細書(段落【0027】、【0028】)、特許請求の範囲(請求項3)において訂正をするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 オ.一群の請求項について これらの訂正は、一群の請求項ごとに請求されたものである。 また、訂正後の請求項2?9は、一群の請求項である。 (3)むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔2?9〕、10、及び11について訂正を認める。 第3.特許異議の申立てについて (1)本件特許発明 本件訂正請求により訂正された訂正請求項3?11に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項3?11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(以下、それぞれ「本件特許発明3」、・・・「本件特許発明11」という。)。 なお、訂正前の請求項1に係る特許は、訂正により、削除された。 「【請求項3】 ターン制で進行する対戦ゲームを実行する情報処理装置に、 対戦に用いられる複数のコマンドにそれぞれ設定される第1の閾値及び第2の閾値を記憶するステップと、 ユーザ操作に基づいて前記対戦を行う画面を表示させるステップと、 前記画面上に、前記複数のコマンドのうち少なくとも一部のコマンドを選択可能に表示させるステップと、 ユーザ操作に基づいてコマンドが選択されると、該コマンドについて経過ターン数のカウントを開始するステップと、 選択された前記コマンドをユーザが選択できないように制御するステップと、 前記経過ターン数と、選択された前記コマンドに設定された第1の閾値と、の比較に基づいて、前記画面上の前記コマンドに対応させて前記コマンドを再度選択可能となるまでに必要なターン数を表示させるステップと、 前記経過ターン数が前記第1の閾値と等しくなれば、選択された前記コマンドをユーザが再度選択可能となるように制御するステップと、 を実行させ、 前記第2の閾値は、コマンドが選択されてから当該コマンドを実行するまでに要するターン数である、プログラム。 【請求項4】 前記情報処理装置に、 選択された前記コマンドの前記経過ターン数が前記第2の閾値と等しい場合、当該コマンドを実行するように制御するステップを更に実行させる、請求項3に記載のプログラム。 【請求項5】 前記情報処理装置に、 前記画面上に、前記対戦における対戦相手を表示させるステップと、 前記画面上の前記対戦相手に対応させて前記対戦相手が次に行動するまでの敵待機ターン数を表示させるステップと、 を更に実行させる、請求項2乃至4の何れか一項に記載のプログラム。 【請求項6】 前記対戦相手は、前記対戦相手の行動に対応するコマンドを有しており、 前記情報処理装置に、 前対戦相手の前記コマンドに応じて、前記対戦相手が次に行動するまでの敵待機ターン数を設定するステップを更に実行させる、請求項5に記載のプログラム。 【請求項7】 前記情報処理装置に、 ターンが開始すると前記敵待機ターン数を減少させるステップと、 前記敵待機ターン数がゼロである場合、前記対戦相手の前記コマンドによる行動を前記対戦相手が行うように制御するステップと、を更に実行させる、請求項6に記載のプログラム。 【請求項8】 前記情報処理装置に、 前記行動を前記対戦相手が行うように制御するステップの後、前記行動により前記ユーザに関する所定のパラメータが減少してゼロとなった場合、前記ユーザの敗北を決定するステップを更に実行させる、請求項7に記載のプログラム。 【請求項9】 前記情報処理装置に、前記ユーザの所持するカードを記憶部に記憶するステップを更に実行させ、 前記ユーザの所持するカードには前記コマンドが設定されている、請求項2乃至8の何れか一項に記載のプログラム。 【請求項10】 ターン制で進行する対戦ゲームを実行する情報処理装置であって、 対戦に用いられる複数のコマンドにそれぞれ設定される第1の閾値及び第2の閾値を記憶する記憶部と、 ユーザ操作に基づいて前記対戦を行う画面を表示させ、前記画面上に、前記複数のコマンドのうち少なくとも一部のコマンドを選択可能に表示させる制御部と、 ユーザ操作に基づいてコマンドが選択されると、該コマンドについて経過ターン数のカウントを開始するターン算出部と、 選択された前記コマンドをユーザが選択できないように制御する処理部と、を備え、 前記処理部は、 前記経過ターン数と、選択された前記コマンドに設定された第1の閾値と、の比較に基づいて、前記画面上の前記コマンドに対応させて前記コマンドを再度選択可能となるまでに必要なターン数を表示させ、 前記経過ターン数が前記第1の閾値と等しくなれば、選択された前記コマンドをユーザが再度選択可能となるように制御し、 前記第2の閾値は、コマンドが選択されてから当該コマンドを実行するまでに要するターン数である、 情報処理装置。 【請求項11】 ターン制で進行する対戦ゲームを実行する情報処理装置の制御方法であって、 対戦に用いられる複数のコマンドにそれぞれ設定される第1の閾値及び第2の閾値を記憶するステップと、 ユーザ操作に基づいて前記対戦を行う画面を表示させるステップと、 前記画面上に、前記複数のコマンドのうち少なくとも一部のコマンドを選択可能に表示させるステップと、 ユーザ操作に基づいてコマンドが選択されると、該コマンドについて経過ターン数のカウントを開始するステップと、 選択された前記コマンドをユーザが選択できないように制御するステップと、 前記経過ターン数と、選択された前記コマンドに設定された第1の閾値と、の比較に基づいて、前記画面上の前記コマンドに対応させて前記コマンドを再度選択可能となるまでに必要なターン数を表示させるステップと、 前記経過ターン数が前記第1の閾値と等しくなれば、選択された前記コマンドをユーザが再度選択可能となるように制御するステップと、 を含み、 前記第2の閾値は、コマンドが選択されてから当該コマンドを実行するまでに要するターン数である、情報処理装置の制御方法。」 (2)取消理由の概要 当審において、訂正前の請求項1、5?11に係る特許に対して平成29年5月29日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 ア.請求項1、10、及び11に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、請求項1、10、及び11に係る特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。 イ.請求項5?9に係る明は、甲第1?5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到し得るものであるから、請求項5?9に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (3)甲各号証の記載 ア.甲第1号証 甲第1号証(“GEARSofDRAGOON”、[online]、公知日:平成24年11月10日、保存日:平成25年1月5日、[平成29年4月7日検索]、インターネット:<URL:http://web.archive.org/web/20130105020952/http://ninetail.tk/tn04/GEARSofDRAGOON_sys.html>)には、次の事項が記載されている。 (ア)1頁の上部には、「GEARSofDRAGOON」、「製品情報」、「3DダンジョンRPG」、「1 5 2013」と記載されている。 (イ)2頁の中部には、「個性的な仲間たちから共に戦うメンバーを選ぼう!」、「でも冒険に連れて行けるのは6人まで。気になるメンバーと共にダンジョンに挑もう!」、「バトル概要」と記載されている。 (ウ)3頁の中部には、「バトル概要」、下部には、「ダンジョンの探索及びバトルは、6人パーティで行われる。」と記載されている。 (エ)動画6:33の画面1の左上部には、「GEARSofDRAGOON プレー動画「旧坑道」」、右上部には、「ラウンド 1」、左中部には、「スキルパレット 攻撃・・・セイクリッド・クロス セイクリッド・レイブ・・・」と記載されている。 (オ)動画6:36の画面2には、上記(エ)と同様の記載を有すると共に、中部には、「【セイクリッド・クロス】スキル:攻撃・・・リキャスト:1・・・」と記載され、左中部に記載された「セイクリッド・クロス」を選択したことが示されている。 (カ)動画7:19の画面3の左上部には、「GEARSofDRAGOON プレー動画「旧坑道」」、右上部には、「ラウンド 2」、左中部には、「スキルパレット 攻撃・・・1セイクリッド・クロス セイクリッド・レイブ・・・」と記載され、「セイクリッド・クロス」がグレイダウンしたことが示されている。 (キ)動画7:23の画面4には、上記(カ)と同様の記載を有すると共に、中部には、「【セイクリッド・レイブ】スキル:攻撃・・・リキャスト:3・・・」と記載され、左中部に記載された「セイクリッド・レイブ」を選択したこと、「セイクリッド・クロス」がグレイダウンしたままであることが示されている。 (ク)動画7:57の画面5の左上部には、「GEARSofDRAGOON プレー動画「旧坑道」」、右上部には、「ラウンド 3」、左中部には、「スキルパレット 攻撃・・・セイクリッド・クロス 3セイクリッド・レイブ・・・」と記載され、上記の「セイクリッド・レイブ」がグレイダウンしたこと、「セイクリッド・クロス」がグレイダウンから画面1と同様の表示に戻ったことが示されている。 (ケ)動画9:00の画面6の左上部には、「GEARSofDRAGOON プレー動画「旧坑道」」、右上部には、「ラウンド 4」、左中部には、「スキルパレット 攻撃・・・1セイクリッド・クロス 2セイクリッド・レイブ・・・」と記載され、「セイクリッド・クロス」がグレイダウンし、「セイクリッド・レイブ」がグレイダウンしたままであることが示されている。 (コ)動画9:34の画面7の左上部には、「GEARSofDRAGOON プレー動画「旧坑道」」、右上部には、「ラウンド 5」、左中部には、「スキルパレット 攻撃・・・セイクリッド・クロス 1セイクリッド・レイブ・・・」と記載され、「セイクリッド・レイブ」がグレイダウンしたままであること、「セイクリッド・クロス」がグレイダウンから画面2と同様の表示に戻ったことが示されている。 (サ)動画10:09の画面8の左上部には、「GEARSofDRAGOON プレー動画「旧坑道」」、右上部には、「ラウンド 6」、左中部には、「スキルパレット 攻撃・・・1セイクリッド・クロス セイクリッド・レイブ・・・」と記載され、「セイクリッド・レイブ」に付された数字が消えたこと、「セイクリッド・クロス」がグレイダウンしたことが示されている。 イ.甲第1号証の1 甲第1号証の1(“GEARSofDRAGOON”、[online]、公知日:平成24年11月10日、保存日:平成24年12月28日、[平成29年4月7日検索]、インターネット<URL:http://web.archive.org/web/20121228010009/http://ninetail.tk/tn04/GEARSofDRAGOON.html>)には、次の事項が記載されている。 (ア)1頁の上部には、「GEARSofDRAGOON」、「3DダンジョンRPG」、「2013/1/25」、「Coming Soon」、「12 28 2012」と記載されている。 (イ)1頁の中部には、「11/10 システムページとホームにプレイ動画を追加しました。」と記載されている。 ウ.甲第1号証の2 甲第1号証の2(甲第1号証で示すWebページのソース(抜粋))には、次の事項が記載されている。 (ア)1頁の1行には、「view-source:web.archive.org/web/20130105020952/http://ninetail.tk/tn04/GEARSofDRAGOON_sys.html」と記載されている。 (イ)1頁の下から2行には、「・・・/https://www.youtube.com/embed/5oKE2pBM0eg・・・」と記載されている。 エ.甲第1号証の3 甲第1号証の3(“GEARSofDRAGOON プレイ動画「旧坑道」 YouTube”、[online]、公知日:平成24年11月9日、[平成29年4月3日検索]、インターネット<URL:http://www.youtube.com/watch?v=5oKE2pBMOeg>)には、次の事項が記載されている。 (ア)1頁の上部には、「GEARSofDRAGOON プレイ動画「旧坑道」」、「2012/11/09に公開」、「GEARSofDRAGOON?迷宮のウロボロス?プレイ動画 1章のクエスト「汚染竜骸回収」の前半をアップロード。」と記載されている。 オ.甲第1号証の4 甲第1号証の4(“GEARSofDRAGOON”、[online]、公知日:平成25年1月25日以前、[平成29年4月3日検索]、インターネット<URL:https://ninetail.tk/tn04/GEARSofDRAGOON_spec.html?tag=venusblood-frontier>)には、次の事項が記載されている。 (ア)1頁の上部には、「GEARSofDRAGOON」、「3DダンジョンRPG」、「2013/1/25」、「Coming Soon」と記載されている。 (イ)1頁の中部には、「製品情報」、「【OS】 Windows XP/Vista/7」、「【発売日・価格】 型番tn04 2013/1/25発売予定 9230円(税込)」、「【メディア】 DVD-ROM(1枚組み)」、「【必須環境】(推奨環境) CPU PentiumIV 2Ghz以上(Core2 Duo以上)メモリ 1024(2048)MB以上 V-RAM 128(256)MB以上」と記載されている。 カ.甲第2号証 甲第2号証(“イリスのアトリエ エターナルマナ 公式パーフェクトガイド”、第1版、株式会社エンターブレイン、発行日:平成16年7月22日、p200-201,228-229,244-249)には、次の事項が記載されている。 (ア)201頁の2?12行には、「攻撃タイプ以外にも、そのスキル自体の発動パターンからスキルを分類することができる。発動パターンで分類すると、ここで述べる「時間経過」によるものと、以下の項で述べる「行動」によるものの2種類に分けられる。時間経過による分類では、そのスキルが1ターン中に何回発動できるかが問題になる。以下のリストからもわかるように、1ターン中に2回発動できるものを「ハーフターン」、1回発動できるものを「ワンターン」と呼ぶ。1回発動するのに2ターンもかかる「ツーターン」と呼ばれるものもあるが、これは冒険者のスキルにはなく、モンスターのなかのガンナーがもつ「炸裂弾」(P248参照)のみだ。」と記載されている。 (イ)201頁の中部には、時間経過による分類の表には、「ハーフターン(0.5) スキルを1ターンに2回使用できる。素早さがウリの攻撃」、「ワンターン(1) スキルを1ターンに1回使用できる。基本的な攻撃」、「ツーターン(2) 1ターン目にスキルコマンドを実行するが、発動するのは2ターン目」と記載されている。 (ウ)228頁の2行には、「最後に仲間となる女騎士マレッタ」と記載され、また、下部のマレッタ・リクシスのスキルについての表には、スキル名として、「ソードアタック」、「ハルベルト」、「ハーケン」、「異界奉還」、「ブレイブ」、「いやし」、「雷神」と記載され、ターンとして、上記のスキルに対応して、それぞれ「1」、「1」「1」、「1」、「1」、「1」、「0.5」と記載されている。 (エ)248頁の中部のガンナーについての表には、「2/S 炸裂弾」と記載されている。 (4)甲各号証に記載された発明 ア.甲第1号証に記載された発明(以下「引用発明1」という。) (ア)公知性について 上記(3)ア.(ア)の「1 5 2013」の記載から、甲第1号証の保存日は、2013年1月5日である。 また、上記(3)イ.(ア)の「12 28 2012」の記載から、甲第1号証の1の保存日は、2012年12月28日である。 また、上記(3)エ.(ア)の「2012/11/09に公開」、「GEARSofDRAGOON?迷宮のウロボロス?プレイ動画 1章のクエスト「汚染竜骸回収」の前半をアップロード。」の記載から、「GEARSofDRAGOON?迷宮のウロボロス?プレイ動画 1章のクエスト「汚染竜骸回収」の前半」が、2012年11月9日に公開されたと推認される。 また、上記(3)イ.(ア)の「GEARSofDRAGOON」、「3DダンジョンRPG」、「2013/1/25」、「Coming Soon」、上記(3)オ.(ア)の「GEARSofDRAGOON」、「3DダンジョンRPG」、「2013/1/25」、「Coming Soon」、及び上記(3)オ.(イ)の「【発売日・価格】 型番tn04 2013/1/25発売予定 9230円(税込)」の記載から、GEARSofDRAGOONの3DダンジョンRPGは2013年1月25日が発売日であると推認される。 以上を踏まえると、遅くとも、甲第1号証に記載された「GEARSofDRAGOONの3DダンジョンRPG」は、2013年1月25日には、公知になったものと認める。 (イ)引用発明1の構成について 上記(3)ア.(ア)の「GEARSofDRAGOON」、「3DダンジョンRPG」(なお、RPGとは、Role Playing Game(ロールプレイングゲーム)の略である。)と記載され、上記(3)エ.(イ)の「製品情報」、「【OS】 Windows XP/Vista/7」、「【メディア】 DVD-ROM(1枚組み)」、「【発売日・価格】 型番tn04 2013/1/25発売予定 9230円(税込)」、「【必須環境】(推奨環境) CPU PentiumIV 2Ghz以上(Core2 Duo以上)メモリ 1024(2048)MB以上 V-RAM 128(256)MB以上」と記載されているから、甲第1号証のGEARS of DRAGOON は、パソコンで動作するゲームソフトであることが明らかである。 また、上記(3)ア.(イ)の「個性的な仲間たちから共に戦うメンバーを選ぼう!」、「バトル概要」と記載され、上記(3)ア.(ウ)の「バトル概要」、「ダンジョンの探索及びバトルは、6人パーティで行われる。」と記載されているから、甲第1号証のGEARS of DRAGOON は、対戦ゲームであることは明らかである。 以上を踏まえると、甲第1号証のGEARS of DRAG00Nは、パソコンで動作する対戦ゲームであるから、対戦ゲームを実行させるプログラムを有していることは明らかである。 また、上記(3)ア.(エ)?(サ)に記載された画面1?8から、甲第1号証には、GEARS of DRAGOON プレイ動画「旧坑道」と題する以下のとおりの動画が示されている。 上記(3)ア.(エ)の記載から、ラウンド1において、「スキルパレット」、すなわち「スキル」として、「セイクリッド・クロス」、「セイクリッド・レイヴ」が示されている。 上記(3)ア.(オ)の記載から、ラウンド1において、スキルとしてセイクリッド・クロスを選択し、セイクリッド・クロスは、スキルが攻撃であり、リキャストが1であると示されている。 上記(3)ア.(カ)の記載から、ラウンド2において、セイクリッド・クロスがグレイダウンして選択できなくなり、また、セイクリッド・クロスのリキャストが1であることが示されている。そして、1との数字は、上記のセイクリッド・クロスのリキャストに対応している。 上記(3)ア.(キ)の記載から、ラウンド2において、セイクリッド・レイヴを選択し、セイクリッド・レイヴは、スキルが攻撃であり、リキャストが3であると示されている。 上記(3)ア.(ク)の記載から、ラウンド3において、セイクリッド・クロスの1との数字が消え、セイクリッド・クロスが選択できるようになり、また、セイクリツドッド・レイヴはグレイダウンして選択できなくなり、セイクリッド・レイヴのリキャストが1であることが示されている。 上記(3)ア.(ケ)の記載から、ラウンド4において、セイクリッド・レイヴのリキャストが3から2に減っていることが示されている。 上記(3)ア.(コ)の記載から、ラウンド5において、セイクリッド・レイヴのリキャストが2から1に減っていることが示されている。 上記(3)ア.(サ)の記載から、ラウンド6において、セイクリッド・レイヴの1との数字が消え、セイクリッド・クロスが選択できるようになっていることが示されている。 以上を踏まえると、上記(3)ア.(エ)?(サ)に記載された画面1?8は、パソコンの画面に表示される画面であって、ユーザの操作に基づいて対戦を行う画面であることは明らかである。 また、「セイクリッド・クロス」、「セイクリッド・レイヴ」は攻撃スキルであり、対戦時にスキルパレットから使用するスキルを選択することができるものといえる。そして、上記の攻撃スキルには「リキャスト」が設定されており、上記の攻撃スキル選択時に表示されるリキャストに対応した数字が、選択された上記の攻撃スキルに対応して次のラウンド以降表示され、当該数字が表示されている間は、当該攻撃スキルを選択することはできない。さらに、ゲームが進行し、ラウンド数が1増加すると、攻撃スキルのリキャストに対応した数字が1減少している。 してみると、上記のプログラムは、攻撃スキル毎に経過ターン数をカウントしているといえる。また、リキャストとは攻撃スキルを選択後、再度同じ攻撃スキルを選択可能になるまでに要するラウンド数であることは明らかである。また、上記のプログラムは、選択不可能になった攻撃スキルはリキャストに対応するターン数が経過すると、選択可能となるから、経過ラウンド数とリキャストとを比較しているといえる。 これらの記載を総合すると、甲第1号証には、次の発明が記載されているものと認められる。 「ラウンド制で進行する対戦ゲームを実行するパソコンに、 対戦に用いられる複数の攻撃スキルにそれぞれ設定されるリキャストを記憶するステップと、 ユーザ操作に基づいて前記対戦を行う画面を表示させるステップと、 前記画面上に、前記複数の攻撃スキルのうち少なくとも一部の攻撃スキルを選択可能に表示させるステップと、 ユーザ操作に基づいて攻撃スキルが選択されると、該攻撃スキルについて経過ラウンド数のカウントを開始するステップと、 選択された前記攻撃スキルをユーザが選択できないように制御するステップと、 前記経過ラウンド数と、選択された前記攻撃スキルに設定されたリキャストと、の比較に基づいて、前記画面上の前記攻撃スキルに対応させて前記攻撃スキルを再度選択可能となるまでに必要なラウンド数を表示させるステップと、 前記経過ラウンド数が前記リキャストと等しくなれば、選択された前記攻撃スキルをユーザが再度選択可能となるように制御するステップと、 を実行させる、ゲームプログラム。」 イ.甲第2号証に記載された発明(以下、「引用発明2」という。) 上記(3)カ.(ウ)の記載から、マレッタがユーザの仲間となる、つまりユーザが操作するキャラクタであること、また、上記キャラクタ(マレッタ)が複数のスキルを有し、各スキルには発動するまでのターン数(以下「発動ターン数」)が設定されていることが示されている。 また、上記(3)カ.(ア)?(エ)の記載から、甲第2号証、すなわちイリスのアトリエがパソコンで動作するゲームソフトであって、ゲームプログラムにより作動することは明らかである。 これらの記載を総合すると、甲第2号証には、次の発明が記載されているものと認められる。 「ユーザが操作するキャラクタが複数のスキルを有し、各スキルには発動するまでの発動ターン数が設定されているゲームプログラム。」 (5)判断 ア.本件特許発明3について (ア)対比 本件特許発明3と引用発明1とを対比すると、 後者における「ラウンド」は、その機能、作用等からみて、前者における「ターン」に相当し、以下同様に、「パソコン」は「情報処理装置」に、「攻撃スキル」は「コマンド」に、「リキャスト」は「(第1の)閾値」に、「ゲームプログラム」は「プログラム」に、それぞれ相当する。 したがって、両者は、 「ターン制で進行する対戦ゲームを実行する情報処理装置に、 対戦に用いられる複数のコマンドにそれぞれ設定される第1の閾値及び第2の閾値を記憶するステップと、 ユーザ操作に基づいて前記対戦を行う画面を表示させるステップと、 前記画面上に、前記複数のコマンドのうち少なくとも一部のコマンドを選択可能に表示させるステップと、 ユーザ操作に基づいてコマンドが選択されると、該コマンドについて経過ターン数のカウントを開始するステップと、 選択された前記コマンドをユーザが選択できないように制御するステップと、 前記経過ターン数と、選択された前記コマンドに設定された第1の閾値と、の比較に基づいて、前記画面上の前記コマンドに対応させて前記コマンドを再度選択可能となるまでに必要なターン数を表示させるステップと、 前記経過ターン数が前記第1の閾値と等しくなれば、選択された前記コマンドをユーザが再度選択可能となるように制御するステップと、 を実行させ、 前記第2の閾値は、コマンドが選択されてから当該コマンドを実行するまでに要するターン数である、プログラム。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点] 本件特許発明3においては、対戦に用いられる複数のコマンドにそれぞれ設定される「第2の閾値」を記憶するステップと、を実行させ、「前記第2の閾値は、コマンドが選択されてから当該コマンドを実行するまでに要するターン数である」のに対し、引用発明1においては、その点を備えていない点。 (イ)判断 上記相違点について以下検討する。 引用発明2は、上記(4)イ.のとおりであって、引用発明2における「スキル」は、その機能、作用等からみて、本件特許発明3における「コマンド」に相当し、以下同様に、「発動ターン数」は「閾値」に、それぞれ相当する。 しかしながら、引用発明1と引用発明2とは、共にターン制のゲームといえるが、それぞれのゲームの具体的な内容は明らかでない。 また、引用発明1の目的、課題、作用、及び効果は、甲第1号証には記載や示唆されていない。同様に、引用発明2の目的、課題、作用、及び効果は、甲第2号証には記載や示唆されていない。 したがって、引用発明1に引用発明2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものではない。 また、上記相違点に係る本件特許発明3の発明特定事項が、当業者にとって設計事項とする根拠もない。 したがって、引用発明1において、上記相違点に係る本件特許発明3の発明特定事項を備えるものとすることについて、当業者が容易に想到し得るものではない。 なお、他の証拠である甲第3?5号証にも、上記相違点に係る本件特許発明3の発明特定事項を備えるものではない。 よって、本件特許発明3は、引用発明1、及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 なお、特許異議申立人は、平成29年8月31日付け意見書において、参考資料1を提出して、本件特許発明3は、引用発明1、2、及び参考資料1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張しているが、上記第2.(2)ウ.のとおり、訂正後の請求項3は、訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用した記載であったものを、請求項1、及び2の記載を引用しない独立形式の記載としたものであって、請求項3に記載された事項は、訂正の前後において実質的に何ら変わることはないので、特許異議申立人の上記主張は、新たな申立理由ということになるから、採用しない。 イ.本件特許発明4?9について 本件特許発明4?9は、本件特許発明3の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件特許発明4?9は、上記ア.と同様の理由により、引用発明1、2、及び甲第3、4、または5号証に記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 ウ.本件特許発明10、及び11について 本件特許発明3は、「プログラム」であるのに対して、本件特許発明10、及び11は、それぞれ「情報処理装置」、及び「情報処理装置の制御方法」であって、両者のカテゴリーは相違するものではあるが、両者に特定されている発明特定事項は、実質的に相違するものではないから、本件特許発明10、及び11は、上記ア.と同様の理由により、引用発明1、及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、上記ア.のとおり、本件特許発明10、及び11と引用発明1とは、上記相違点が存在するから、同一とすることはできない。 なお、特許異議申立人は、平成29年8月31日付け意見書において、参考資料1を提出して、本件特許発明10、及び11は、引用発明1、2、及び参考資料1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張しているが、上記第2.(2)カ.のとおり、訂正後の請求項10、及び11は、訂正前の請求項3の「前記情報処理装置に、前記複数のコマンドにそれぞれ設定される第2の閾値を記憶するステップを更に実行させ、前記第2の閾値は、コマンドが選択されてから当該コマンドを実行するまでに要するターン数である」との事項を実質的に付加したものであるので、特許異議申立人の上記主張は、新たな取消理由ということになるから、採用しない。 (6)むすび 以上のとおりであるから、上記取消理由によっては、本件特許発明3?11に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許発明3?11に係る特許を取り消すべき理由をを発見しない。 また、請求項1に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項1に対して、特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】(削除) 【請求項2】 ターン制で進行する対戦ゲームを実行する情報処理装置に、 対戦に用いられる複数のコマンドにそれぞれ設定される第1の閾値を記憶するステップと、 ユーザ操作に基づいて前記対戦を行う画面を表示させるステップと、 前記画面上に、前記複数のコマンドのうち少なくとも一部のコマンドを選択可能に表示させるステップと、 ユーザ操作に基づいてコマンドが選択されると、該コマンドについて経過ターン数のカウントを開始するステップと、 選択された前記コマンドをユーザが選択できないように制御するステップと、 前記経過ターン数と、選択された前記コマンドに設定された第1の閾値と、の比較に基づいて、前記画面上の前記コマンドに対応させて前記コマンドを再度選択可能となるまでに必要なターン数を表示させるステップと、 前記経過ターン数が前記第1の閾値と等しくなれば、選択された前記コマンドをユーザが再度選択可能となるように制御するステップと、 を実行させ、 ユーザ操作に基づいて対戦を進行する第1のモードよりもユーザ操作の数を低減して対戦を進行する第2のモードによる対戦において、前記第1の閾値が大きいコマンドを優先的に選択する、プログラム。 【請求項3】 ターン制で進行する対戦ゲームを実行する情報処理装置に、 対戦に用いられる複数のコマンドにそれぞれ設定される第1の閾値及び第2の閾値を記憶するステップと、 ユーザ操作に基づいて前記対戦を行う画面を表示させるステップと、 前記画面上に、前記複数のコマンドのうち少なくとも一部のコマンドを選択可能に表示させるステップと、 ユーザ操作に基づいてコマンドが選択されると、該コマンドについて経過ターン数のカウントを開始するステップと、 選択された前記コマンドをユーザが選択できないように制御するステップと、 前記経過ターン数と、選択された前記コマンドに設定された第1の閾値と、の比較に基づいて、前記画面上の前記コマンドに対応させて前記コマンドを再度選択可能となるまでに必要なターン数を表示させるステップと、 前記経過ターン数が前記第1の閾値と等しくなれば、選択された前記コマンドをユーザが再度選択可能となるように制御するステップと、 を実行させ、 前記第2の閾値は、コマンドが選択されてから当該コマンドを実行するまでに要するターン数である、プログラム。 【請求項4】 前記情報処理装置に、 選択された前記コマンドの前記経過ターン数が前記第2の閾値と等しい場合、当該コマンドを実行するように制御するステップを更に実行させる、請求項3に記載のプログラム。 【請求項5】 前記情報処理装置に、 前記画面上に、前記対戦における対戦相手を表示させるステップと、 前記画面上の前記対戦相手に対応させて前記対戦相手が次に行動するまでの敵待機ターン数を表示させるステップと、 を更に実行させる、請求項2乃至4の何れか一項に記載のプログラム。 【請求項6】 前記対戦相手は、前記対戦相手の行動に対応するコマンドを有しており、 前記情報処理装置に、 前対戦相手の前記コマンドに応じて、前記対戦相手が次に行動するまでの敵待機ターン数を設定するステップを更に実行させる、請求項5に記載のプログラム。 【請求項7】 前記情報処理装置に、 ターンが開始すると前記敵待機ターン数を減少させるステップと、 前記敵待機ターン数がゼロである場合、前記対戦相手の前記コマンドによる行動を前記対戦相手が行うように制御するステップと、を更に実行させる、請求項6に記載のプログラム。 【請求項8】 前記情報処理装置に、 前記行動を前記対戦相手が行うように制御するステップの後、前記行動により前記ユーザに関する所定のパラメータが減少してゼロとなった場合、前記ユーザの敗北を決定するステップを更に実行させる、請求項7に記載のプログラム。 【請求項9】 前記情報処理装置に、前記ユーザの所持するカードを記憶部に記憶するステップを更に実行させ、 前記ユーザの所持するカードには前記コマンドが設定されている、請求項2乃至8の何れか一項に記載のプログラム。 【請求項10】 ターン制で進行する対戦ゲームを実行する情報処理装置であって、 対戦に用いられる複数のコマンドにそれぞれ設定される第1の閾値及び第2の閾値を記憶する記憶部と、 ユーザ操作に基づいて前記対戦を行う画面を表示させ、前記画面上に、前記複数のコマンドのうち少なくとも一部のコマンドを選択可能に表示させる制御部と、 ユーザ操作に基づいてコマンドが選択されると、該コマンドについて経過ターン数のカウントを開始するターン算出部と、 選択された前記コマンドをユーザが選択できないように制御する処理部と、を備え、 前記処理部は、 前記経過ターン数と、選択された前記コマンドに設定された第1の閾値と、の比較に基づいて、前記画面上の前記コマンドに対応させて前記コマンドを再度選択可能となるまでに必要なターン数を表示させ、 前記経過ターン数が前記第1の閾値と等しくなれば、選択された前記コマンドをユーザが再度選択可能となるように制御し、 前記第2の閾値は、コマンドが選択されてから当該コマンドを実行するまでに要するターン数である、 情報処理装置。 【請求項11】 ターン制で進行する対戦ゲームを実行する情報処理装置の制御方法であって、 対戦に用いられる複数のコマンドにそれぞれ設定される第1の閾値及び第2の閾値を記憶するステップと、 ユーザ操作に基づいて前記対戦を行う画面を表示させるステップと、 前記画面上に、前記複数のコマンドのうち少なくとも一部のコマンドを選択可能に表示させるステップと、 ユーザ操作に基づいてコマンドが選択されると、該コマンドについて経過ターン数のカウントを開始するステップと、 選択された前記コマンドをユーザが選択できないように制御するステップと、 前記経過ターン数と、選択された前記コマンドに設定された第1の閾値と、の比較に基づいて、前記画面上の前記コマンドに対応させて前記コマンドを再度選択可能となるまでに必要なターン数を表示させるステップと、 前記経過ターン数が前記第1の閾値と等しくなれば、選択された前記コマンドをユーザが再度選択可能となるように制御するステップと、 を含み、 前記第2の閾値は、コマンドが選択されてから当該コマンドを実行するまでに要するターン数である、情報処理装置の制御方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2017-11-20 |
出願番号 | 特願2014-227342(P2014-227342) |
審決分類 |
P
1
652・
113-
YAA
(A63F)
P 1 652・ 121- YAA (A63F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 柴田 和雄 |
特許庁審判長 |
吉村 尚 |
特許庁審判官 |
黒瀬 雅一 藤本 義仁 |
登録日 | 2016-09-16 |
登録番号 | 特許第6006774号(P6006774) |
権利者 | グリー株式会社 |
発明の名称 | プログラム、情報処理装置、及び情報処理装置の制御方法 |
代理人 | 岡野 大和 |
代理人 | 田中 伸次 |
代理人 | 甲原 秀俊 |
代理人 | 岡野 大和 |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 河野 英仁 |
代理人 | 甲原 秀俊 |