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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01L
管理番号 1336441
審判番号 不服2016-5866  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-20 
確定日 2018-01-11 
事件の表示 特願2011- 94169「接触センサと触覚アクチュエータとの透明複合圧電材結合体」拒絶査定不服審判事件〔平成23年12月 1日出願公開、特開2011-242386〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
特許出願: 平成23年4月20日
(パリ条約による優先権主張2010年4月23日(優先日)、米国)
拒絶査定: 平成27年12月17日(送達日:同年同月22日)
拒絶査定不服審判の請求: 平成28年4月20日
手続補正: 平成28年4月20日
拒絶理由通知: 平成28年12月20日
(以下、「当審拒絶理由」という。発送日:同年同月27日)
手続補正: 平成29年5月19日(以下、「本件補正」という。)
意見書: 平成29年5月19日


2 本願発明
本願の請求項1ないし22に係る発明は、本件補正によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし22に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項16に係る発明は次のとおりである。

「センサ・セルのアレイを含む実質的に透明な圧電性センサ・レイヤと、
独立に作動可能なアクチュエータ・セルのアレイを含む実質的に透明な圧電性アクチュエータ・レイヤと、
前記実質的に透明な圧電性センサ・レイヤ及び前記実質的に透明な圧電性アクチュエータ・レイヤから可視の画像を表示するように構成されたディスプレイと、
前記独立に作動可能なアクチュエータ・セルのアレイ又は前記センサ・セルのアレイの隣接する圧電セルの間に配置され、前記隣接する圧電セルの一つにおける振動を前記独立に作動可能なアクチュエータ・セルのアレイ又は前記センサ・セルのアレイの他のセルと絶縁するように構成された振動遮断部と、を備える触覚装置。」(以下、「本願発明」という。)


3 当審拒絶理由
これに対し、当審拒絶理由の概要は、本願の請求項1-22に係る発明は、本願の優先日前に頒布された刊行物である国際公開第2008/150600号(以下、「引用例」という。)に記載された発明、及び周知技術に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。


4 引用例記載の事項・引用発明
(1)記載事項
引用例には、次の事項(a)が図面とともに記載されている。(下線は当審が付した。以下同様。)

(a)
「[0050] FIG. 3 is a side-view block diagram illustrating a structure of a flexible displaying device 300 having multiple layers in accordance with one embodiment of the present invention. Flexible displaying device 300 includes a flexible touch sensitive surface 302, a first flexible actuator layer 304, a flexible display 306, a second flexible actuator layer 308, and a flexible circuitry layer 310. It should be noted that the thickness of each layer is not drawn to scale. Flexible touch sensitive surface 302, which is deposited over flexible display 306, is capable of receiving inputs from a user. Flexible touch sensitive surface 302, in one embodiment, is substantially transparent thereby the contents displayed by flexible display 306 can be viewed through flexible touch sensitive surface 302. As discussed earlier, flexible touch sensitive surface 302 is divided into multiple regions, wherein each region is configured to represent a specific function. For example, if a displaying image shown behind a region is a symbol of "quit", the current application is terminated if the region showing the "quit" symbol is touched. In an alternative embodiment, flexible touch sensitive surface 302, first flexible actuator layer 304, flexible display 306, second flexible actuator layer 308, and/or flexible circuitry layer 310 are combined and/or integrated into a single flexible touch sensitive display device.

[0051] Flexible actuator layer 304, in one embodiment, is placed between flexible touch sensitive surface 302 and flexible display 306 for generating haptic feedback. As mentioned earlier, flexible actuator layer 304 can be composed of EAPs, piezoelectric elements, and/or SMA. For example, thin strips of piezoceramic (or piezoelectric), SMA, and/or EAP may be interlaced with flexible display 306 or flexible touch sensitive surface 302 or both for creating haptic sensation. The strips of flexible actuator can either be made in a layer or multiple individual strips. Alternatively, the strips could be placed on the back side of flexible display 306 as flexible actuator layer 308. It should be noted that flexible actuator layer 308 and flexible actuator layer 304 can be substantially the same layer. Alternatively, one of flexible actuator layers 304 and 308 may be required in flexible display device 300. If the strips are anchored at several places on flexible display 306, the strips would create a vibration when they are activated. A single or multiple strips may be used to vibrate entire flexible display 306.」

(当審訳: 図3は、本発明の一実施形態に従い、複数の層を有する可撓性表示装置300の構造を示す側面ブロックダイアグラムである。可撓性表示装置300は、可撓性タッチ感知表面302と、第1の可撓性アクチュエータ層304と、可撓性表示部306と、第2の可撓性アクチュエータ層308と、可撓性回路層310と、を含む。各層の厚さは一定の縮尺で描かれていないことに注意されたい。可撓性タッチ感知表面302は、可撓性表示部306上に配置され、ユーザからの入力を受信することができる。可撓性タッチ感知表面302は、一実施形態において、実質的に透明であり、それにより可撓性表示部306によって表示されるコンテンツは、可撓性タッチ感知表面302を通して視認可能である。上記のように、可撓性タッチ感知表面302は複数の領域に分割され、各領域は特定の機能を示すように構成される。例えば、領域の後方に表示される画像は、「終了(quit)」の記号で、「終了」記号を表示している領域にタッチすると現在のアプリケーションは終了する。代替の実施形態において、可撓性タッチ感知表面302、第1の可撓性アクチュエータ層304、可撓性表示部306、第2の可撓性アクチュエータ層308、および/または可撓性回路層310は、単独の可撓性タッチ感知表示装置に組み合わされるおよび/または統合される。
【0052】
一実施形態において、可撓性アクチュエータ層304は、触覚フィードバックを生成するために、可撓性タッチ感知表面302と可撓性表示部306との間に配置される。上記のように、可撓性アクチュエータ層304は、EAP、圧電素子、および/またはSMAから成り得る。例えば、圧電セラミック(または圧電物質)、SMAおよび/またはEAPの細いストリップは、触覚感覚を作るために、可撓性表示部306または可撓性タッチ感知表面302または両方と組み合わせられ得る。ストリップ状の可撓性アクチュエータは、一層または個別の複数ストリップのいずれかに作成可能である。代替として、ストリップは可撓性アクチュエータ層308として可撓性表示部306の背面に配置される。可撓性アクチュエータ層308と可撓性アクチュエータ層304は実質的に同一の層であり得ることに注意されたい。代替として、可撓性アクチュエータ層304及び308のうちの1つは、可撓性表示装置300に必要とされ得る。ストリップが可撓性表示部306上の数箇所に固定されるならば、ストリップは作動すると振動を生成する。可撓性表示部306全体を振動させるには、単独または複数のストリップを用いることができる。)


(2)引用発明
前記記載の内容を総合勘案すると、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。

「複数の領域に分割され、各領域は特定の機能を示すように構成され、実質的に透明である可撓性タッチ感知表面302と、
圧電素子から成り得る可撓性アクチュエータ層304と、
表示されるコンテンツが可撓性タッチ感知表面302を通して視認可能である可撓性表示部306と、を含む可撓性表示装置300。」(以下、「引用発明」という。)


5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

まず、引用発明における「複数の領域に分割され、各領域は特定の機能を示すように構成され、実質的に透明である可撓性タッチ感知表面302」と、本願発明における「センサ・セルのアレイを含む実質的に透明な圧電性センサ・レイヤ」とは、「実質的に透明なセンサ・レイヤ」である点で共通する。
次に、引用発明の「可撓性アクチュエータ層304」は、「可撓性タッチ感知表面302」と共に「可撓性表示部306」上に配置されるものであるから、「可撓性タッチ感知表面302」と同様に、「実質的に透明であり、それにより可撓性表示部306によって表示されるコンテンツは、・・・視認可能である」ことは明らかといえる。そうすると、引用発明における「圧電素子から成り得る可撓性アクチュエータ層304」と、本願発明における「独立に作動可能なアクチュエータ・セルのアレイを含む実質的に透明な圧電性アクチュエータ・レイヤ」とは、「実質的に透明な圧電性アクチュエータ・レイヤ」である点で共通し、また、引用発明における「表示されるコンテンツが可撓性タッチ感知表面302を通して視認可能である可撓性表示部306」は、本願発明における「前記実質的に透明な圧電性センサ・レイヤ及び前記実質的に透明な圧電性アクチュエータ・レイヤから可視の画像を表示するように構成されたディスプレイ」に相当する。
また、引用発明の「可撓性表示装置300」は、「可撓性タッチ感知表面302」と「可撓性アクチュエータ層304」とを含むものであるから、下記の相違点を除き、本願発明の「触覚装置」に相当する。

してみると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
「実質的に透明なセンサ・レイヤと、
実質的に透明な圧電性アクチュエータ・レイヤと、
前記実質的に透明な圧電性センサ・レイヤ及び前記実質的に透明な圧電性アクチュエータ・レイヤから可視の画像を表示するように構成されたディスプレイと、
を備える触覚装置。」

(相違点)
相違点1
本願発明の「センサ・レイヤ」は「圧電性」とされているが、引用発明においては「可撓性タッチ感知表面302」が「圧電性」であるのか否かは不明である点。

相違点2
本願発明においては「圧電性センサ・レイヤ」は「センサ・セルのアレイを含」み、また、「圧電性アクチュエータ・レイヤ」は「独立に作動可能なアクチュエータ・セルのアレイを含む」とされているのに対し、引用発明においては、「可撓性タッチ感知表面302」が「複数の領域に分割され、各領域は特定の機能を示すように構成され」てはいるものの、「可撓性タッチ感知表面302」が「センサ・セルのアレイを含」み、また、「可撓性アクチュエータ層304」が「独立に作動可能なアクチュエータ・セルのアレイを含む」ように構成されているか否かは不明である点。

相違点3
本願発明が、「前記独立に作動可能なアクチュエータ・セルのアレイ又は前記センサ・セルのアレイの隣接する圧電セルの間に配置され、前記隣接する圧電セルの一つにおける振動を前記独立に作動可能なアクチュエータ・セルのアレイ又は前記センサ・セルのアレイの他のセルと絶縁するように構成された振動遮断部」を備えるのに対し、引用発明がそのような「振動遮断部」を備えるか否かは不明である点。


6 判断
上記相違点1ないし3についてそれぞれ検討する。

周知例1:当審拒絶理由において引用刊行物2として例示された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2007-317197号公報(以下、「周知例1」という。)には、図面と共に下記のように記載されている。
「【0023】
上述したタッチスクリーン120は、静電容量方式、抵抗性オーバレイ方式、赤外線ビーム方式、表面弾性波方式、統合ストレインゲージ方式、圧電方式及びこれと等価の機能の中で少なくとも一つで構成することができる。タッチスクリーン120は、ユーザーが表示された多様なアイコンの中で希望するアイコンを選択することができるようにし、移動通信端末100に命令語及び/または情報を入力するための入力部としての役割をする。」

周知例2:当審拒絶理由において引用刊行物3として例示された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特表2008-527681号公報(以下、「周知例2」という。)には、図面と共に下記のように記載されている。
(a)
「【0012】
(A.圧電セラミックセンサ)
センサ110は、好ましくは、圧電セラミックセンサのアレイである。例えば、センサ110は、化学的に不活性で湿気および他の環境条件に影響されない多結晶セラミック要素のアレイを備え得る。多結晶セラミックは、特定の所望された物理的、化学的、および/または圧電性の特性を有するように製造され得る。センサ110は、圧電セラミック要素のアレイを備えることに限定されない。センサ110は、例えば圧電フィルムを備え得る。フッ化ビニリデン(PVDF)フィルムまたはそのコポリマーのような有極フッ素ポリマーフィルムが使用され得る。」
(b)
「【0020】
図6に示されるように、本発明に従ったセンサアレイの要素の間の間隔は、任意の横波(shear wave)を抑止し、センサに改良された機械的特性を与えるために、フレキシブルなタイプの材料またはフィラー602を用いて充填され得る。重量を減らし、および/または横波の抑止を大きくするために、極小球体604(例えば、ビニルの極小の球体)がフィラー602に添加され得る。識別デバイスの信号対ノイズ比およびデバイス感度を最適化するために、高い音響的緩和と電気的絶縁を提供するフィラー(例えば、空気充填されたビニル極小球体で充填されたアラルダイト)が使用されるべきである。」

周知例3:当審拒絶理由において引用刊行物4として例示された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開昭63-105416号公報(以下、「周知例3」という。)には、図面と共に下記のように記載されている。
「〔実施例〕
第1図には本発明の一実施例としてのパネルスイッチがブロック的に示され、第2図には第1図に示されるスイッチマトリクスの一構成例が示される。
スイッチマトリクス1は、第2図に示されるようにパネル11とスイッチ素子アレイ12からなっている。パネル11には1から9までの数字が描かれた9個の入力用ラッチ部Qn(n=1?9)がマトリクス状に配列されている。また、パネル11内にはシートスイッチ(図示せず)が内蔵されており、このシートスイッチには後述するスキャン信号SCANおよび検出信号DET用の信号線が接続されている。パネル11は薄膜状形態を有し、好適には、各タッチ部Qnに触れる指先に振動を伝えることができるような材料で形成される。スイッチ素子アレイ12においては、上述の9個のタッチ部Q1?Q9に対応する位置にそれぞれ圧電素子P1?P9、例えば振動周波数50?500Hzの積層型圧電アクチュエータ素子が配置されており、これらの圧電素子Pnは、3本の行信号線および3本の列信号線によりそれぞれマトリクス状に結線されている。行信号線および列信号線にはそれぞれ、後述するタイミング信号TSすなわち(1)?(3)、制御電圧信号CSすなわち(A)?(C)が印加される。従って、例えばタイミング信号TSとして(2)が印加され、かつ制御電圧信号CSとして(B)が印加された場合には、P5の圧電素子が振動する。この振動は、対応するタッチ部Q5に伝達される。」(第3ページ左上欄第6行?同右上欄第16行)

相違点1について
周知例1にも記載されているように、タッチ感知型のスクリーンとして圧電方式を利用したものは周知であり、引用発明の「可撓性タッチ感知表面302」として圧電方式のものを採用し、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

相違点2について
周知例2,3にも記載されているように、センサもしくはアクチュエータの圧電素子(セル)のアレイを備えるものは周知であり、これを引用発明の「可撓性タッチ感知表面302」や「可撓性アクチュエータ層304」に採用して相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

相違点3について
周知例2にも記載されているように、圧電センサ(セル)のアレイの間に、任意の横波(振動)を抑止するフレキシブルな材料を充填した構成は周知である。これを引用発明の「可撓性タッチ感知表面302」や「可撓性アクチュエータ層304」に採用して相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び上記周知技術から当業者が予測可能なものであって、格別のものではない。
したがって、本願発明は引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明し得たものである。


7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は当審拒絶理由によって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-06-29 
結審通知日 2017-07-25 
審決日 2017-08-07 
出願番号 特願2011-94169(P2011-94169)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 濱本 禎広  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 中塚 直樹
関根 洋之
発明の名称 接触センサと触覚アクチュエータとの透明複合圧電材結合体  
復代理人 今村 光広  
代理人 村越 智史  
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