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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1336469
審判番号 不服2016-6697  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-06 
確定日 2018-01-10 
事件の表示 特願2013-504977「光学積層体」拒絶査定不服審判事件〔平成23年10月20日国際公開、WO2011/130155、平成25年 6月17日国内公表、特表2013-524299〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 理 由
第1 事案の概要
1 手続の経緯
特願2013-504977号(以下「本件出願」という。)は、2011年4月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年4月12日、同年月日、同年月日 アメリカ合衆国)の国際特許出願であって、その手続の概要は、以下のとおりである。
平成26年 4月10日提出:手続補正書
平成27年 1月14日付け:拒絶理由通知書
平成27年 7月15日提出:意見書
平成27年 7月15日提出:手続補正書
(以下「本件手続補正書」という。)
平成27年12月21日付け:拒絶査定
(以下「原査定」という。)
平成28年 5月 6日請求:審判請求書

2 本願発明
本件出願の特許請求の範囲の請求項1?3に係る発明は、本件手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載されたとおりのものであるところ、その請求項3に係る発明は、次のものである(以下、「本願発明」という。)。
「 複数の一体個別構造を含む光配向フィルムと、
前記光配向フィルムを表面に接着させるために前記光配向フィルム上に配置される光学接着層であって、一体個別構造それぞれの一部分が前記光学接着層に侵入し、一体個別構造それぞれの一部分が前記光学接着層に侵入しておらず、各一体個別構造が、侵入深さと、前記一体個別構造の前記侵入部分と前記非侵入部分との間の界面での侵入底面とを画定し、前記侵入底面は最小侵入底面寸法を有し、複数の一体個別構造が、平均侵入深さ及び平均最小侵入底面寸法を有し、前記平均侵入深さの前記平均最小侵入底面寸法に対する比が少なくとも2であり、前記光配向フィルムと前記表面との間の剥離強度が30グラム/インチ(11.8g/cm)超である、光学接着層と、
を含む、光学積層体。」

3 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、本願発明は、その優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、刊行物として頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。


引用例1:特開2008-122525号公報
引用例2:国際公開第2008/047855号
引用例3:米国特許出願公開第2007/0195421号明細書

第2 当合議体の判断
1 引用例の記載及び引用発明
(1) 引用例1の記載
本件出願の優先日前に刊行物として頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用例1(公開日:平成20年5月29日、発明の名称:光学シート積層体および液晶表示装置、出願番号:特願2006-304158号、出願日:平成18年11月9日、出願人:ソニー株式会社)には、以下の記載がある。(下線は、当合議体で付したものである。)
ア 「【請求項1】
一方の面に凹凸部が多数連続して配列された第1の光学シートの上に第2の光学シートが積層されてなる光学シート積層体であって、
前記第2の光学シートの接合面には、前記凹凸部の頂部と接合される接着層が形成されており、
前記凹凸部の配列ピッチをP、前記接着層に接合される前記凹凸部の頂部の接合部幅をPwとしたときに、
0<Pw/P≦0.2
の関係を満たす
ことを特徴とする光学シート積層体。
【請求項2】
前記凹凸部の配列ピッチ(P)は、110μm以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の光学シート積層体。」

イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、正面輝度の低下を最小限に抑えながら、シートのたわみ防止、副資材の削減、熱変形の防止を図ることができる光学シート積層体および液晶表示装置に関する。」

ウ 「【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)は,ブラウン管(CRT:Cathode Ray Tube)と比較して低消費電力かつ薄型化が可能であり、現在では携帯電話、デジタルカメラ等の小型機器から大型サイズの液晶テレビに至るまで、さまざまなサイズのものが幅広く使用されている。
【0003】
液晶表示装置は、透過型、反射型等に分類され、特に透過型液晶表示装置は、液晶層を一対の透明基板で挟んだ液晶表示パネルと、照明光源としてのバックライトユニットとを備えている。バックライトユニットは、光源を液晶表示パネルの直下に配置する直下型のほか、導光板を用いたエッジライト型がある。
【0004】
一般に、液晶表示装置用のバックライトユニットにおいては,光源光の出射方向を正面方向に配向させるプリズムシートやレンチキュラーレンズシート等の集光性のある光学シートあるいはフィルム(以下単にこれらを「シート」と称する。)が用いられている。例えば、プリズムシートは、光出射側の面に断面三角形状のプリズム体が多数配列された構成を有しており、プリズムシートに入射した光をプリズム斜面で屈折透過させることで正面方向に集光する作用を行う。また、プリズムシート以外の光学シートとしては、光拡散機能を有する拡散シートや偏光機能を有する反射型偏光子など、プリズムシートと組み合わせて用いられることで、液晶表示装置の輝度均一化、輝度向上が図られている。
【0005】
一方、プリズムシートのプリズム配列ピッチと液晶表示パネルの画素ピッチとの間で、光の干渉による明暗模様(モアレ)が発生する。このモアレの発生を防止するためには、プリズム配列ピッチを例えば100μm以下の狭ピッチ構造とする方法のほか、プリズムシートと液晶表示パネルとの間に拡散シートを配置する方法が知られている(下記特許文献1参照)。
【0006】
また、下記特許文献2には、プリズムシートの光入射面側または光出射面側に、第1の直線偏光を透過し第2の直線偏光を反射する反射型偏光分離素子を配置した液晶表示装置の構成が開示されている。
【0007】
ところで、近年、液晶テレビの分野においては画面サイズの大型化が顕著となっている。画面の大型化に伴い、拡散シート、プリズムシート(あるいはレンズシート)、反射型偏光シート等の光学シートのサイズも大型化し、特にプリズムシート(あるいはレンズシート)、反射型偏光シートについては厚さが薄いということもあって、たわみの発生により組立工程における取り扱いが非常に困難なものとなっている。また、シート単体での輸送時に使用される保護シート等の副資材についても、各シートの両面に貼られるため無駄が多く発生していた。
【0008】
加えて、画面サイズの大型化に伴い、表示面の明るさを保つために光源の照度が高くなる。このため、面積が増大した光学シートの表面に当たる熱も増加する。シートの面積が大きいため、この増加する熱はシート表面に均一に伝わることはなく、熱によるシートの変形も一様には起こらない。これにより、光学シート間の接触あるいは光学シートと液晶表示パネルとの間の接触が発生し、表示画像の画質劣化が生じてしまう。
【0009】
そこで、例えば下記特許文献3に記載されているように、積層する光学シート同士を積層順に透明接着剤で全面的に貼り合わせる方法が知られている。このような構成の光学シート積層体は、光学シートが2枚以上貼り合わされることによって剛性が向上し、組立て時におけるたわみの発生を防止して取扱い性を高められるとともに、副資材の使用量も半減できる。加えて、光学シートを貼り合わせることで、シートの剛度も高められ、熱変形に対して有利となる。
・・・(省略)・・・
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、光学シート同士を単に接着層を介して貼り合わせる構成では、積層される側の光学シートがプリズムシート等の凹凸部が表面に形成された光学シートである場合、プリズム構造部が接着剤層の厚みに食い込み、その部分においてはプリズム形状による集光効果が低減することで、正面輝度が低下するという問題がある。正面輝度の低下は、接着層の厚みが大きくなるほど顕著になる。一方、輝度低下を補うために光源の光量を増すと、電力の増加につながるので好ましくない。
【0012】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、正面輝度の低下を最小限に抑えながら、シートのたわみ防止、副資材の削減、熱変形の防止を図ることができる光学シート積層体および液晶表示装置を提供することを課題とする。」

エ 「【課題を解決するための手段】
【0013】
以上の課題を解決するに当たり、本発明の光学シート積層体は、一方の面に凹凸部が多数連続して配列された第1の光学シートの上に第2の光学シートが積層されてなる光学シート積層体であって、上記第2の光学シートの接合面には、上記凹凸部の頂部と接合される接着層が形成されており、上記凹凸部の配列ピッチをP、上記接着層に接合される上記凹凸部の頂部の接合部幅をPwとしたときに、0<Pw/P≦0.2の関係を満たすことを特徴とする。
【0014】
本発明の光学シート積層体においては、第1の光学シートと第2の光学シートとを接着層を介して貼り合わせた構成としているので、シートの剛性が高められ、たわみ防止による取扱い性の向上と熱変形の防止を図ることができる。また、保護フィルム等の副資材の使用量を半減することが可能となる。
【0015】
また、0<Pw/P≦0.2の関係を満たすように、即ち、接着層に対する凹凸部の頂部の接合部幅Pwが凹凸部の配列ピッチPの20%以下となるように構成することによって、第1の光学シートと第2の光学シートとの間の接着性を維持しながら、凹凸部による光の集光機能(またはレンズ機能)の低下を抑制し、接着層の介在による正面輝度の低下を最小限に抑えることが可能となる。Pw/P>0.2の場合、凹凸部と接着層との接触面積が大きくなり、その接触領域における光の屈折効果の低下が顕在化して、正面輝度の大きな低下が避けられなくなる。具体的に、第1、第2の光学シートを接合せずに単に重ね合わせた場合に得られる正面輝度と比較して、20%近く、場合によっては20%以上の輝度低下が起こる。
【0016】
ここで、凹凸部の配列ピッチPが例えば100μm以下というように狭ピッチの場合、第2の光学シートとの接着強度を確保しようとすると、配列ピッチPに対して接合部幅Pwを一定以上小さくすることができなくなることにより正面輝度が大きく低下することがある。逆に、正面輝度の低下を抑えるために接合部幅Pwを小さくしようとすると、第2の光学シートとの間に所要の接着強度を確保できなくなる場合がある。
【0017】
このため、凹凸部の配列ピッチPは、110μm以上であることが好ましい。凹凸部の配列ピッチPを広くすることにより、正面輝度を大きく低下させることなく接合部幅Pwの拡大が可能となる。これにより、正面輝度の低下を最小限に抑えながら、第2の光学シートとの間に所要の接着強度を確保することができる。また、凹凸部の配列ピッチを大きくすることにより、凹凸部を構成するプリズム斜面あるいはレンズ面の面積が増大するため、光の集光作用あるいはレンズ作用が高められ、100μm以下の狭ピッチ構造に比べて正面輝度を向上させることができる。」

オ 「【発明の効果】
【0023】
以上述べたように、本発明によれば、正面輝度の低下を最小限に抑えながら、シートのたわみ防止、副資材の削減、熱変形の防止を図ることができる。」

カ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態による液晶表示装置10の概略構成を示す断面図である。まず、液晶表示装置10の構成を概略的に説明する。
【0026】
図1に示すように、この液晶表示装置10は、バックライトユニット1および液晶表示パネル2を備えている。この例では、バックライトユニットが直下型である場合を説明するが,バックライトユニット1をエッジライト型で構成してもよい。
・・・(省略)・・・
【0029】
図1に示すように、バックライトユニット1は、例えば、反射板11、光源12、拡散板13、集光シート14、拡散シート17および反射型偏光分離シート18を備える。なお、拡散シート17および反射型偏光分離シート18に代えて、拡散機能層を有する反射型偏光分離シートを用いてもよい。また、拡散板13および反射型偏光分離シート18は、必要に応じて配置を省略することができる。
・・・(省略)・・・
【0032】
拡散板13は、光源12の上方に設けられている。拡散板13は、光源12からの出射光および反射板11による反射光を拡散させて輝度を均一にするためのものである。本例における拡散板13としては、例えば、透光性材料中に光拡散性の微粒子を分散させた比較的厚手のものが用いられている。」
(当合議体注:図1は以下の図である。)



キ 「【0036】
本実施形態において上述した集光シート14と拡散シート17は、接着層を介して一体接合された光学シート積層体3として構成されている。以下、この本発明に係る光学シート積層体3の構成の詳細について説明する。
【0037】
図2A,Bは、光学シート積層体3の構成例を模式的に示す全体斜視図である。集光シート14は、略四角形状のシート状を有しており、その一方側の主面に集光機能をもつ凹凸部が一方向(図においてX方向)に多数連続してプリズム体またはレンズ体が配列されたプリズムシートまたはレンチキュラーレンズシートで構成されている。そして、この集光シート14の上に、略平面状の拡散シート17が接合されることによって、光学シート積層体3が構成されている。なお、本明細書では、シートにはフィルムのみならず、柔軟性またはある程度の硬度あるいは剛度を有する種々の薄板状のものが含まれる。
【0038】
図2Aに示す光学シート積層体3は、上記凹凸部として、光出射側の面に断面略三角形状のプリズム体14Pが多数配列されたプリズムシートからなる集光シート14の上に、拡散シート17が接合された構成を示している。また、図2Bに示す光学シート積層体3は、上記凹凸部として、光出射側の面に双曲面、放物面あるいは高次の非球面を有するレンチキュラーレンズ体14Lが多数配列されたレンチキュラーレンズシートからなる集光シート14の上に、拡散シート17が接合された構成を有している。
【0039】
プリズム体14Pの断面形状は、本例では頂角90度の二等辺三角形で構成されているが、頂角は90度のものに限られない。また、プリズム高さやピッチ等も特に限定されないが、プリズム配列ピッチは後述するように上限が定められる。」
(当合議体注:図2は以下の図である。)


ク 「【0043】
図3に示す集光シート14においては、入射した光線は、その入射角によって透過経路が異なる。光束Ωは、プリズム斜面(AB面)を屈折透過する第1次透過光成分となり、正面輝度の向上に有効に活用される。光線Ψは、一方のプリズム斜面(AB面)で反射された後に他方のプリズム斜面(AC面)で再度反射されて入射側に戻される戻り光成分と、プリズム斜面(AC面)を透過してプリズム前面に出射される第2次透過光成分とに分けることができる。戻り光成分は、発光面(面光源)とみなされる拡散板13に入射して拡散反射され、発光面の輝度を増加させるのに有効な光束成分である。これに対し、第2次透過光成分は、液晶表示パネル2の有効視野角外の広角側に出射する光束成分であり、輝度の向上に寄与しない光束成分である。
【0044】
このように、図3に示す集光シート(プリズムシート)14においては、入射光が屈折透過することにより正面方向に集光され、正面輝度を増加するように指向特性が改善される。また、反射光が発光面(面光源)とみなされる拡散板13で拡散散乱され、発光面の輝度を増加させる結果、正面輝度が増加する。」
(当合議体注:図3は以下の図である。)


ケ 「【0049】
図6A、Bは、図2A、Bに示した光学シート積層体3における集光シート14と拡散シート17との間の接合部を模式的に示す要部断面図である。図6A、Bに示すように、集光シート14と拡散シート17は接着層20を介して接合されている。接着層20は、拡散シート17の光入射面側にあらかじめ形成されており、この接着層20に集光シート14の凹凸部(プリズム体14P、レンズ体14L)の頂部が接合されることによって、集光シート14と拡散シート17とが一体化されている。
【0050】
なお、接着層20を構成する接着材料としては、透光性を有するものであれば特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、エチレン酢酸ビニル重合体による粘着剤、ホットメルト系粘着剤、熱硬化性接着剤、反応性接着剤であるシアノアクリレート系接着剤、エポキシ接着剤、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂などを用いることができる。
【0051】
ここで、本実施形態においては、接着層20に対するプリズム体14Pあるいはレンズ体14Lの頂部の接合部幅Pwを、凹凸部14P,14Lの配列ピッチPとの関係において以下の(3)式を満たすように規定している。
0<Pw/P≦0.2 (3)
【0052】
上記のように、接着層20に対する凹凸部14P,14Lの頂部の接合部幅Pwが凹凸部の配列ピッチPの20%以下となるように構成することによって、集光シート14と拡散シート17との間の接着性を維持しながら、図3?図5を参照して説明した凹凸部14P,14Lによる光の集光機能あるいはレンズ機能の低下を抑制し、接着層20の介在による正面輝度の低下を最小限に抑えられるようにしている。
【0053】
すなわち、Pw/P>0.2の場合、凹凸部14P,14Lと接着層20との接触面積が大きくなり、その接触領域における光の屈折効果の低下が顕在化して、正面輝度の大きな低下を防げなくなる。具体的に、集光シート14と拡散シート17とを接合せずに単に重ね合わせた場合に得られる正面輝度と比較して20%近く、場合によっては20%以上の輝度低下が起こる(後述する実施例参照)。
【0054】
このため、本実施形態の光学シート積層体3においては、凹凸部14P,14Lの配列ピッチPと、接着層20に対する凹凸部14P,14Lの頂部の接合部幅Pwとが、上記(1)式で示す関係を満たすことで、輝度低下率を最小限に抑えながら、剛度向上によるたわみの発生防止、取扱い性の向上、熱変形の防止、保護フィルム等の副資材の削減といったシート接合構造による有利性を得ることができる。なお、Pw/Pの値は、凹凸部14P,14Lの頂部の形状、配列ピッチ、高さ、接着層20の接着強度等の関係で任意に設定可能であり、好適には、0<Pw/P<0.2、更に好適には、0<Pw/P≦0.16である。」
(当合議体注:図6は以下の図である。)


コ 「【0058】
図7は、凹凸部の配列ピッチPと光学シート積層体の正面輝度との関係の一例を示している。横軸は凹凸部の配列ピッチP[μm]、縦軸は、頂角90度のプリズム体が50μmピッチで配列されたプリズムシートの上に接着層を介在させることなく拡散シートを重ね合わせた比較用シート積層体(図中「プリズム形状+拡散シート上乗せ」に相当。)の正面輝度に対する相対輝度[%]である。
【0059】
なお、図7には、頂角90度のプリズム体14Pを有するプリズムシートの上に接着層(厚さ3μm)を介して拡散シートを接合した光学シート積層体と、上記(1)式で示される双曲面形状のレンズ体14Lを有するレンチキュラーレンズシートの上に接着層(厚さ3μm)を介して拡散シートを接合した光学シート積層体を示している。これらプリズムシートおよびレンズシートに接合される拡散シートには、比較用シート積層体を構成する拡散シートと同一のものを用いた。また、上記プリズムシートおよびレンズシートの配列ピッチは、30μm、50μm、85μm、110μm、160μm、200μm及び300μmとした。」
(当合議体注:図7は以下の図である。)


サ 「【0061】
このように、凹凸部14P、14Lの配列ピッチPを大きくすることにより、正面輝度の向上を図ることができる。また、配列ピッチPを110μm以上と大きくすることにより、比較用シート積層体に対する輝度低下を抑えることが可能となり、接着層の介在による輝度低下の影響を少なくできる。
【0062】
ところで、凹凸部14P、14Lの配列ピッチPを大きくすると、液晶表示パネル2の画素ピッチとの間の干渉によりモアレの発生が懸念される。一方、配列ピッチPを微細にすると、モアレの発生の懸念は解消されるが、得られる正面輝度は低下する(図7参照)。
【0063】
そこで、本実施形態においては、集光シート14の凹凸部14P、14Lの配列ピッチPを、拡散シート17の拡散特性および液晶表示パネル2の画素ピッチの大きさに応じて決定するようにしている。すなわち、本実施形態の液晶表示装置10は、凹凸部14P、14Lの配列ピッチをP[μm]、拡散シート17のヘイズ値をH[%]、拡散シート17の全光線透過率をTt[%]、液晶表示パネル2の画素ピッチをPp[μm]としたときに、以下の(4)式を満たすように構成されている。
(H/Tt)・(Pp/P)≧1.7 (4)
これをPについて解くと、
P≦(H・Pp)/(1.7Tt) (5)
【0064】
上記(5)式は、集光シート14の凹凸部14P、14Lの配列ピッチPの上限を表している。すなわち、配列ピッチPの大きさが、(H・Pp)/(1.7Tt)の値を超えると、後の実施例において説明するように、光学シート積層体3と液晶表示パネル2との間の光の干渉によりモアレが発生し易くなり、画質の低下を招く。従って、配列ピッチPの大きさを(H・Pp)/(1.7Tt)の値以下に制限することによって、モアレの発生のない高品質の画像を得ることができる。
【0065】
図1に示したように、拡散シート17は、集光シート14の光出射側に配置される。拡散シート17のヘイズ値Hおよび全光線透過率Ttは、個々の拡散シートに固有の特性値であり、使用される拡散シート17の構成、種類あるいは仕様等に応じて決定される。ヘイズ値Hは拡散度合を示し、Hが大きいほど光の拡散効果が高くなり、集光シート14から出射される配光分布の周期性を緩和する度合が大きくなる。Ttは拡散シートを透過する光の全光線透過率で、Ttが大きいほど輝度の向上に貢献する。
【0066】
これに対し、液晶表示パネル2の画素ピッチPpは、液晶表示パネル2の画面サイズあるいは画素数によって変化する。一例を挙げると、画面サイズ19インチの場合の画素ピッチは320μm、画面サイズ40インチのHD表示(ハイディフィニッション対応)の場合の画素ピッチは460μm、画面サイズ32インチの場合の画素ピッチは510μmである。従って、集光シート14の凹凸部の配列ピッチPの上限は、画素ピッチPpの大きさに比例して大きくなる。
【0067】
図8は、画素ピッチPpと配列ピッチPとの関係を示している。配列ピッチPの上限は、P=(H・Pp)/(1.7Tt)の一次式で定められる。本実施形態によれば、上記(5)式を踏まえて配列ピッチPを設計することにより、モアレによる画質劣化を回避しながら、求められる輝度特性に合わせた集光シート14の最適設計が可能となる。」
(当合議体注:図8は以下の図である。)


シ 「【0068】
配列ピッチPの上限は、拡散シート17の拡散特性(H,Tt)や液晶表示パネル2の画素ピッチPpの大きさによって変化するので特に制限されないが、画素ピッチ320μm以上510μm以下の場合、配列ピッチPを例えば110μm以上350μm以下の大きさに設定することができる。」

ス 「【0080】
次に,集光シート14の製造方法について説明する。本実施形態では、集光シート14は、溶融押出成形法により作製される。なおこれに限らず、熱プレス法や紫外線硬化樹脂を用いた転写法等によって、プリズム体やシリンドリカルレンズ体といった凹凸部をシート上に形成することも可能である。」

セ 「【実施例】
【0095】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0096】
(実施例1)
集光シートとして、光出射面に、凹凸部として断面直角二等辺三角形状のプリズム体が配列されたプリズムシート(配列ピッチP:30μm、50μm、85μm、110μm、160μm、200μm、300μm)をポリカーボネート樹脂の溶融押出成形により作製した。次に、これらのプリズムシートをポリカーボネート製の平坦な透明シートにアクリル系粘着剤を用いて接合して光学シート積層体を構成し、その後パネルサイズに打ち抜いてサンプルを用意した。その各々のサンプルについて正面輝度を測定するとともに、たわみの発生の有無を確認した。
・・・(省略)・・・
【0099】
測定の結果を表1に示す。表1において、サンプル1(1-1?8)及びサンプル2(2-1?7)は上記プリズムシートについての測定結果を示し、サンプル3(3-1?7)及びサンプル4(4-1?7)は上記双曲面形状のレンチキュラーレンズシートについての測定結果を示している。また、サンプル1についての接着層に対する接合部幅Pwは6μm、サンプル2についてはPwが10μm、サンプル3についてはPwが13μm、サンプル4についてはPwが17μmである。
【0100】
【表1】


【0101】
なお、正面輝度の測定値は、50μmピッチのプリズムシートを用いた光学シート積層体であって、接着層を介さずに当該プリズムシートを上記透明シートに積層したとき(サンプル1-8)の正面輝度測定値に対する相対値とした。また、たわみの発生の有無に関しては、表中○を「たわみ無し」、×を「たわみ有り」とした。
【0102】
表1に示したように、凹凸部の形状(プリズム、双曲面)が同じでも、配列ピッチPに対する接合部幅Pwの比(Pw/P)が大きいサンプルはすべて、正面輝度が低下していることがわかる。これは、Pw/Pが大きくなるほど凹凸部における光の集光機能が低下するからである。中でも、Pw/P>0.2のサンプルは、概して、輝度の低下率が大きく、特に、サンプル2-1及びサンプル4-2に関しては輝度の低下率が20%程度あり、サンプル3-1及びサンプル4-1に関しては輝度の低下率が20%を超える。
【0103】
これに対して、Pw/P≦0.2のサンプルは、概して、輝度の低下率が低く、特に、Pw/P<0.2の場合には輝度の低下率が10%以内であり、Pw/P≦1.6の場合には輝度の低下率を5%以内に抑えることができることが確認された。更に、サンプル3-6及びサンプル3-7に関しては、基準値と同等以上の正面輝度が得られた。なお、たわみの発生に関しては、サンプル1-8以外は認められなかった。
【0104】
以上のように、Pw/P≦0.2の条件において作製された本発明に係る光学シート積層体によれば、たわみの発生を防止できるとともに、正面輝度の低下を最小限に抑えることが可能となる。」

(2) 引用発明
ア 引用例1の(実施例1)の「光学シート積層体」をパネルサイズに打ち抜いて用意された各サンプルの測定の結果を示す段落【0100】の【表1】によれば、(実施例1)の各サンプルは、「配列ピッチ」を「P」として、所定の「Pw/P」を有するものである。
引用例1の(実施例1)に関する段落【0099】の「サンプル1についての接着層に対する接合部幅Pwは6μm、サンプル2についてはPwが10μm、サンプル3についてはPwが13μm、サンプル4についてはPwが17μmである。」という記載から、「接合部幅Pw」は「接着層」に対するものであることが分かる。
そうすると、(実施例1)の「プリズムシートをポリカーボネート製の平坦な透明シートにアクリル系粘着剤を用いて接合して」構成した「光学シート積層体」が、「アクリル系粘着剤」からなる「接着層」を有するものであることは明らかである。

イ 上記アより、引用例1の段落【0096】、【0099】及び【0100】には、段落【0100】の【表1】の実施例1のサンプル1-1に対応する「光学シート積層体」として、以下の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。)。

「集光シートとして、光出射面に、凹凸部として断面直角二等辺三角形状のプリズム体が配列されたプリズムシート(配列ピッチP:30μm)をポリカーボネート樹脂の溶融押出成形により作製し、プリズムシートをポリカーボネート製の平坦な透明シートにアクリル系粘着剤を用いて接合して構成した光学シート積層体であって、アクリル系粘着剤からなる接着層に対する接合部幅Pwが6μmである、
光学シート積層体。」

(3) 引用例2の記載
本件出願の優先日前に刊行物として頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用例2(国際公開日:平成20年4月24日、発明の名称:面光源素子およびその製造方法、国際出願番号:PCT/JP2007/070324、国際出願日:2007年10月18日、出願人:株式会社クラレ)には、以下の記載がある。
ア 「技術分野
[0001] 本発明は、パーソナルコンピュータ、コンピュータ用モニタ、ビデオカメラ、テレビ受信機、カーナビゲーションシステムなどに利用される面光源素子およびその製造方法に関する。」

イ 「背景技術
[0002] 液晶パネルに代表される透過型表示装置は、面状に光を発する面光源素子(バックライト)とドット状に画素が配置された表示パネルとで構成され、該表示パネルの各画素で面光源素子からの光の透過率がコントロールされることによって文字および映像が表示される。面光源素子としては、ハロゲンランプ、反射板、レンズ等が組み合わされて出射光の輝度の分布が制御されるもの、蛍光管が導光体の端面に設けられ、蛍光管からの光が端面と垂直な面から出射されるもの蛍光管が導光体の直下に設けられたもの(直下型)などが挙げられる。ハロゲンランプを利用した面光源素子は、高輝度を必要とする液晶プロジェクタに主に用いられる。一方、導光体を利用した面光源素子は薄型化が可能であるため、直視型の液晶TV、パーソナルコンピュータのディスプレイなどに用いられることが多い。
[0003] さらなる薄型化を実現する手段としては、従来技術である導光体の出射面側にプリズムシートや拡散シートを配置するのではなく、これらのシートの機能を持ち合わせた出射光制御板の入射面上のある凸部を、固定層を介して光学的に導光体と密着させることによって可能である(特許文献1参照)。出射光制御板の凸部形状は所望の視野角特性に合わせて決定されており、導光体と出射光制御板が平行に配置されることで光学性能を発現することができる。しかしながら、この出射光制御板では凸部の頂部が曲面形状を有していて平坦でないため、導光体との密着に適していない。そこで、凸部の頂部に平坦面を有するか、出射光制御板の外周に広幅の凸部(フレーム)を設けることにより、密着性を向上させることができる(特許文献2および3参照)。
[0004] 特許文献1:特開2001-338507号公報
特許文献2:特開2005-50789号公報
特許文献3:特開2001-76521号公報」

ウ 「発明の開示
発明が解決しようとする課題
[0005] しかしながら、従来技術に示した密着性向上の技術を用いたとしても、高温高湿となりやすい屋外や車内での厳しい環境下では、出射光制御板、固定層、導光体に寸法変化が起こり、密着が不十分となりやすいため、依然として密着力が不足している。また、固定層を直接導光体に設けようとすると、導光体の出射面のみに配置する必要があり、直接設けるためには固定層が液状である必要があるため位置合わせが難しいのと同時に、厚み、固さを制御することが困難であるため、歩留まりが低下するおそれがある。
[0006] また、例えば接着層または粘着層を用いた密着の場合、接着層または粘着層の厚み、固さに影響して凸部の頂部が埋まり、凸部と導光体との接着幅が変化してしまうことで光学性能が低下する原因となる。
[0007] そこで本発明は、前記の課題に鑑みてなされたもので、生産性の向上とともに、出射光制御板と導光体との密着性、密着力を向上させつつ、光学性能を維持した面光源素子を提供することを目的とする。」

エ 「課題を解決するための手段
[0008] 上記の課題を解決する本発明は、光源と、前記光源からの光を反射するリフレクタと、前記光源からの光および前記リフレクタで反射した光を受光する少なくとも1つの端面である入射面と該入射面と略垂直を成す主面の一つである出射面とを有する導光体と、前記導光体の出射面からの光を入射面上の凸部で受光して出射面から正面方向へ出射する出射光制御板と、前記導光体の少なくとも一部の出射面と前記出射光制御板の少なくとも一部の入射面を接合する固定層と、を備える面光源素子であって、前記出射光制御板が少なくとも一部の前記凸部の頂部に少なくとも一つ以上の突起状の固定部を有し、前記固定部の少なくとも一部が前記固定層の内部にあることを特徴とする。
[0009] また、本発明は、上記の面光源素子において、前記固定部の頂部が前記導光体の出射面と平行な平坦部を有する出射光制御板であることを特徴としていてもよい。
・・・(省略)・・・
[0011] また本発明は、上記の面光源素子において、前記固定部の高さが、該固定部がある固定層の厚さに対して50%?100%の範囲内であることを特徴としていてもよい。
[0012] また本発明は、上記の面光源素子において、前記出射光制御板における前記凸部の前記固定部が固定層を貫通していることを特徴としていてもよい。
[0013] また本発明は、上記の面光源素子において、前記固定層が、光硬化性樹脂であることを特徴としていてもよい。
[0014] さらに本発明は、上記の面光源素子において、前記固定層が前記出射面に略平行な支持層と前記光制御板との間に設けられており、該支持層が前記導光体に接着されていることを特徴としていてもよい。」

オ 「発明の効果
[0017] 起状の固定部を有し、その固定部を固定層の内部に入れることで、固定部と固定層との接着面積が増加し、高い密着性、密着力を得ることができる。」
(当合議体注:「起状」は「突起状」の誤記である。)

カ 「[0020] また、固定部の高さが固定層の厚さに対して50%?100%の範囲内であることで、接着面積が増加して高い接着力が得られると同時に、固定層に接合した凸部が設計した形状となり、光学性能を維持することが容易になる。
[0021] また、凸部の固定部が固定層を貫通することで、凸部が固定層に埋まらないので導光体と出射光制御板が一定の距離で接合し、導光体から固定層に導光した光が凸部形状の内面で反射することで設計通りの光学性能を維持することが容易になる。」

キ 「[0028] 以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳しく説明する。
図1は本発明の実施形態に係る面光源素子の一部断面を示す概略断面図を示す。この面光源素子は、左右の端面1側に光源2が設けられた導光体3と、導光体3から出射された光の出射角度の分布を制御する出射光制御板4からなっている。出射光制御板4は導光体3上に配置され、入射面5に入射した光が出射面(面光源素子の発光面)6から出射される。出射光制御板4の入射面5には、導光体3の出射面からの光を出射光制御板4の出射面6の正面方向に向かわせるために、多数の凸部7が形成されており、この凸部7の頂部が有する固定部8が導光体3上に設けられた固定層9に埋まることによって導光体3の出射面に密着している。光源2の周囲には、導光体の入射面1側と反対方向に進む光を反射し、導光体の入射面1側に進行させるリフレクタ10が設けられている。
・・・(省略)・・・
[0031] また、導光体と出射光制御板とを光学的に接合する固定層としては、接着剤、粘着剤、粘接着剤、光硬化性樹脂などが挙げられるが、取扱い性や生産性の面から光硬化性の粘接着剤が好適に用いられる。粘着剤には、例えばゴム系やアクリル系、ビニルアルキルエーテル系やシリコーン系、ポリエステル系やポリウレタン系、ポリエーテル系やポリアミド系、スチレン系などの適宜なポリマーをベースポリマーとするものが挙げられる。中でも、アクリル酸ないしメタクリル酸のアルキルエステルを主体とするポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が透明性や耐候性、耐熱性の点で優れるため、好適に用いられる。また、接着剤はそれに例えばシリカやアルミナ、チタ二アやジルコニア、酸化錫や酸化インジウム、酸化カドミウムや酸化ノンモン等の導電性のある無機系粒子や、架橋または未架橋ポリマー等の有機系粒子などの適宜な透明粒子を1種または2種以上含有させて光拡散型のものとすることもできる。
・・・(省略)・・・
[0033] また、出射光制御板の表面形状は、スタンパまたは雌金型などを用いて、熱プレス法、紫外線硬化による2P法、熱硬化によるキャスト法、射出成形法等によって透明な基材上に形成することができる。該透明な基材としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー等の樹脂またはガラスが用いられる。本発明においては、アクリル樹脂を用いた透明な基材上に光硬化性樹脂で形状を転写することが好適に用いられる。
[0034] 基材に転写する際に用いる光硬化性樹脂は、作製した出射光制御板の光学性能を決定するものであり、所望の性能に応じて適宜選択するのが好ましい。光硬化性樹脂の成分としては、ラジカル重合が可能なモノマー或いはオリゴマーを単独で或いは2種以上組み合わせて用いるが、通常2種以上を用いるのが好ましく、出射光制御板に要求される機械的強度、耐衝撃性、耐熱性、表面硬度などを付与することができる。成分の具体例としては、脂肪族、脂環族、芳香族系のモノまたはポリアルコールとアクリル酸またはメタクリル酸との縮合反応で得られるエステル型 (メタ)アクリレートや、分子内に 2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物とヒドロキシル基またはチオール基を含有する(メタ)アクリレートとのウレタン化反応で得られるウレタンポリ(メタ)アクリレートや分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物とアクリル酸またはメタクリル酸とのグリシジル基開環反応で得られるエポキシポリ(メタ)アクリレートや、飽和または不飽和多価カルボン酸、多価アルコールおよび (メタ)アクリル酸との縮合反応で得られるポリエステル (メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル官能性モノマー若しくはオリゴマーや、スチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン等のビニル化合物や、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ジアリルフタレート、ジアリルビフェニレート等の(メタ)アリル化合物が挙げられる。これらの単量体は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合してもよい。
[0035] 出射光制御板の作製に用いるスタンパは、例えばガラス基板上にネガ型あるいはポジ型の感光性樹脂をコーティングし、この感光性樹脂を、フォトマスクを介して露光するかまたはレーザー描画装置により露光し、現像後、電鋳を行うことにより作製することができるし、切削によって作製することもできる。
[0036] 出射光制御板の好適な厚さは0.1mm?3mmで、0.1mm?0.5mmのフィルム状であることで装置の薄型化、軽量化密着性低下につながる応力の低減などの効果が得られる。0.1mmを下回ると導光体との固定時の皺や物理的強度の低下から好ましくない。3mmを超えると装置が重量化するため好ましくない。
[0037] また、本発明における出射光制御板が備えた凸部は、1次元的配置のレンチキュラーレンズのようなパターンのほかに2次元的配置のレンズアレイタイプでもよい。出射光制御板の光出射面にはマイクロレンズアレイのほかに微細な表面凹凸を直接転写してもよいし、光透過性微粒子を混合させた拡散剤液を塗工することによって拡散層を設けても良い。
[0038] 凸部の頂部に設けられた固定部は少なくとも一つ以上であればよく、また凸部の頂部から導光体の平面に向けて垂直に配置されていれば、形状が円錐、多角錐、多角柱、円柱、円錐台、角錐台など特に制限はないが、頂部が平坦な多角柱、円柱、円錐台、角錐台が好ましく応力が均一に働く円柱、円錐台が特に好ましく用いられる。また、固定部の位置は頂部のどの位置に設けられてもよいが、出射光制御板と導光体の平面を保つためには頂部の中心に設けることが好ましい。
・・・(省略)・・・
[0040] 凸部の頂部に設けられた固定部の高さは、固定部を固定する固定層の厚さに対して50%から100%の範囲であれば好ましく、特に50%以上であれば、従来技術に比べて接着面積が大きくなることによって接着強度を向上させることができる。また、80%以上であれば出射光制御板と導光体を平行にするための圧力調整が容易となり、特に固定部の頂部が平坦であるとき、その効果が大きくなる。また、95%以下であると前固定層への固定部の埋め込みによる固定層の隆起制御が容易となるためより好ましい。」

ク 「 実施例
[0041] 以下に本発明の実施例および本発明に対する比較例を示す。実施例および比較例は剥離強度により評価した。剥離強度を評価する方法としては、固定層を用いて導光体に固定した出射光制御板に50mm幅で切り込みを入れ、出射光制御板の端をデジタルフォースゲージ(IMADA製)につないだクリップで挟んで、導光体に対して90度で剥離させることにより荷重を測定した。
[0042] (実施例1)
本実施例では、図1を用いて概要を説明する。導光体3として、PMMA導光板を用い、出射面6およびその対向する面は平坦面とした。出射光制御板4としては、基材としてPMMAフィルムを用い、凸部7および固定部8の反対形状を有するスタンパに光硬化性樹脂を塗布したものを紫外線硬化することで基材上に転写して作製した。固定層9には、紫外線で硬化することにより固定層9となる光硬化性樹脂を用い、導光体3の出射面6に該光硬化性樹脂を塗布することで前固定層とした。その後、作製した出射光制御板4を、固定層9を介して導光体3に貼り合わせた。その後、出射光制御板4の90度剥離強度を測定したところ、15.7N/50mmであった。
[0043] (比較例1)
本比較例では、図2を用いて概要を説明する。出射光制御板4の凸部7に固定部8を有しておらず平坦面を有する他は実施例1と同様に、出射光制御板4を、固定層9を介して導光体3に貼り合わせた。出射光制御板4の90度剥離強度を測定したところ、7.8N/50mmであった。」
(当合議体注:図1、図2は以下の図である。上側の図が図1に対応し、下側の図が図2に対応する。)



(4) 引用例3の記載
本件出願の優先日前に刊行物として頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用例3(公開日:2007年8月23日、発明の名称:「SYNERGETICALLY ENHANCED OPTICAL FILM AND PROCESS FOR MAKING SAME」、出願番号:11/358349、出願日:2006年2月22日)には,以下の記載がある。
ア 「Example 1
[0054] Referring to the optical film 1 as shown in FIG.1, several data having been given for the related elements or structures of the optical film of this example are shown as follows:
[0055] 1. Upper apex (or dihedral) angle, θ_(1) . . . 90°;
[0056] 2. Lower apex angle, θ_(2) . . . 20°;
[0057] 3. Upper rib (or upper apex) height, H_(1) . . . 25μm;
[0058] 4. Lower rib (or lower apex) height, H_(2) . . . 5μm;
[0059] 5. Width of upper prism base W . . . 50μm;
[0060] 6. Thickness of supporting layer . . . 125μm;
・・・(省略)・・・
[0063] Simultaneously, the lower protrusion 4 of the upper layer 2 is firmly interlocked with the notch 6 in the supporting layer 5, the stiffness and the bonding strength of the optical film of this invention have been increased with 162% and 198% respectively in comparison with that of the conventional optical film of Example of Control Test without forming the lower prismatic protrusions 4 as taught by the present invention.」
(参考訳:
実施例1
[0054]FIG.1に示される光学フィルム1を参照すると,本実施例の光学フィルムの関連要素又は構造に与えられた幾つかのデータは,以下のとおりである:
[0055]1.上側頂部(又は面間)の角度θ_(1)…90°;
[0056]2.下側頂部の角度θ_(2)…20°;
[0057]3.上側リブ(又は上側頂部)の高さH_(1)…25μm;
[0058]4.下側リブ(又は下側頂部)の高さH_(2)…5μm;
[0059]5.上側プリズムの基材の幅W…50μm;
[0060]6.支持層の厚み…125μm;
…(省略)…
[0063]同時に、上側層2の下側突起4は、支持層5のノッチ6と強固に結合しており、本発明の光学フィルムの剛性及び結合力は、本発明に示されるとおり、下側のプリズム形状の突起4が形成されていない対照試験における通常の光学フィルムと比較して、それぞれ、162%及び198%に増大した。)
(当合議体注:FIG.1は以下の図である。)


イ 「Example 3
[0072] Example 2 is repeated, except that each lower protrusion 4 is modified to be a rectangular shape 4a, 4b, 4c (FIG.6) having a length of 10μm and a width of 5μm.
[0073] The testing result of optical simulation is obtained and shown on Curve X_(5) in FIG.4. The stiffness and bonding strength of the optical films of this example are respectively increased with 202% and 272% in comparison with that of the control test as aforementioned.」
(参考訳:
実施例3
[0072]実施例3は、各々の下側の突起4が、長さ10μm、幅5μmの長方形の形状4a、4b、4c(FIG.6)に変更された以外は、実施例2と同様である。
[0073]光学的シミュレーションによる試験結果が、FIG.4の曲線X_(5)として示されている。この実施例の光学フィルムの剛性及び結合力は、前記対照試験と比較して、それぞれ202%及び272%に増大している。)
(当合議体注:FIG.6は以下の図である。)


2 対比及び判断
(1) 対比
本願発明と、引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
ア 光配向フィルム
(ア) 引用発明の「集光シート」は、「光出射面に、凹凸部として断面直角二等辺三角形状のプリズム体が配列された」「プリズムシート」である。 したがって、引用発明の「集光シート」は、「光出射面」の側と反対の側に、光入射面を有することは明らかである。

(イ) 引用発明の「集光シート」の「光出射面」に、「凹凸部として」、「配列されている」、「断面直角二等辺三角形状のプリズム体」は、当業者の幾何光学に関する技術常識を考慮すると、「集光シート」の「光入射面」(上記(ア)参照。)から入射した光が「断面直角二等辺三角形状のプリズム体」で屈折透過することにより正面方向に集光され、正面輝度を増加するように指向特性を改善する機能、及び、「集光シート」の「光入射面」から入射した入射光が、「断面直角二等辺三角形状のプリズム体」からの反射光が拡散板や背面反射板等で拡散散乱されることによって、発光面の輝度や正面輝度を増加する機能を有するものである(「断面直角二等辺三角形状のプリズム体」のこれらの機能は、引用例1の図3や段落【0037】、【0043】及び【0044】の記載からも確認できる事項である。)。
そうすると、引用発明の「集光シート」は、本願発明の「光配向フィルム」に相当する。

イ 一体個別構造
(ア) 引用発明の「集光シート」には、「光出射面に、凹凸部として」、「断面直角二等辺三角形状のプリズム体が配列され」ている。
また、引用発明の「断面直角二等辺三角形状のプリズム体」は、「配列ピッチP」で「配列」されているから、複数存在している。
そうすると、引用発明の「集光シート」は、「断面直角二等辺三角形状のプリズム体」を「個別」の単位として、「複数」の「構造」を含むものである。

(イ) 引用発明の「集光シート」は、「断面直角二等辺三角形状のプリズム体が配列されたプリズムシート(配列ピッチP:30μm)」を、「ポリカーボネート樹脂の溶融押出成形により作製し」たものである。
そうすると、引用発明の「断面直角二等辺三角形状のプリズム体」は、連続的に作製されたものであり、その内部には界面はない。
してみると、引用発明の「断面直角二等辺三角形状のプリズム体」は、「一体」のものということができる。

(ウ) 上記(ア)と(イ)より、引用発明の「断面直角二等辺三角形状のプリズム体」は、本願発明の「一体個別構造」に相当する。
また、上記(ア)より、引用発明の「集光シート」は、「複数」の「断面直角二等辺三角形状のプリズム体」を有するものである。
そうすると、上記ア(イ)より、引用発明の「集光シート」は、本願発明の「複数の一体個別構造を含む光配向フィルム」の要件を満たす。

ウ 光学接着層
(ア) 引用発明の「アクリル系接着剤」の技術的意義は、プリズムシートをポリカーボネート製の平坦な透明シートの表面に接合し、プリズム体とプリズム体の周囲の空気とによる屈折及び全反射が行われる配置を維持するだけでなく、「光学シート積層体」として、プリズムシートからポリカーボネート製の平坦な透明シートへ伝達される光を吸収・損失せずに伝えることであることは、技術的にみて明らかなことである。
そうすると、「アクリル系接着剤」は、透光性を有するものである(引用発明の「アクリル系粘着剤」が、透光性を有するものであることは、引用例1の段落【0050】の「接着層20を構成する接着材料としては、透光性を有するものであれば特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤・・・などを用いることができる。」という記載からも確認できる事項である。)。
してみると、引用発明の「アクリル系粘着剤」からなる「接着層」は、本願発明の「光学接着層」に相当する。

(イ) 引用発明は、「集光シート」である「プリズムシートをポリカーボネート製の平坦な透明シートにアクリル系粘着剤を用いて接合して構成した」ものである。
そうすると、引用発明の「光学シート積層体」は、「集光シート」である「プリズムシート」、「接着層」、「ポリカーボネート製の平坦な透明シート」の順で積層、接合されたものである。

(ウ) 引用発明においては、「アクリル系粘着剤からなる接着層に対する接合部幅Pwが6μmである」。
ここで、引用発明の「接着層に対する接合部幅Pw」は、「接着層」に対して、侵入している「プリズム体」の頂部の「接合部幅Pw」であることは、引用発明の構成からみて明らかである(引用例1の段落【0051】の記載、あるいは【図6】の「A」からも確認できる事項である。)。
すると、引用発明において、「配列ピッチP」「30μm」の各「断面直角二等辺三角形状のプリズム体」の頂部が、「接合部幅Pw」が「6μm」となる位置まで「接着層」に侵入していることが把握できる。
そうすると、各「断面直角二等辺三角形状のプリズム体」は、「断面直角二等辺三角形状のプリズム体」の頂部の部分が「接着層」に侵入し、「断面直角二等辺三角形状のプリズム体」の頂部以外の部分が「接着層」に侵入していないこととなる。

(エ) 上記ウ(ア)、(ウ)及び上記イ(ウ)より、引用発明の「接着層」は、本願発明の「一体個別構造それぞれの一部分が前記光学接着層に侵入し、一体個別構造それぞれの一部分が前記光学接着層に侵入しておらず」の要件を満たす。

(オ) 上記(イ)より、引用発明においては、「集光シート」である「プリズムシート」と「接着層」とが積層されていることが分かる。
そうすると、「接着層」は、「集光シート」である「プリズムシート」の上に配置されているということができる。
また、上記(イ)より、引用発明においては、「接着層」により、「ポリカーボネート製の平坦な透明シート」の表面に「集光シート」である「プリズムシート」が接合されているということができる。
してみると、上記(ア)と上記ア(イ)より、引用発明は、本願発明の「前記光配向フィルムを表面に接着させるために前記光配向フィルム上に配置される光学接着層」という事項を備えている。

エ 侵入底面、(平均)侵入深さ、(平均)最小侵入底面寸法
(ア) 引用発明は、「プリズムシートをポリカーボネート製の平坦な透明シートにアクリル系粘着剤を用いて接合して構成」され、「接着層に対する接合部幅Pwが6μmである」。
また、引用発明において、「プリズム体」の稜線方向の長さ(以下、「L」とする。)は、「配列ピッチP」よりも大きいことは自明である(引用例1の図2からも看取できる事項である。)。

(イ) 上記(ア)及び上記ウ(ウ)より、幾何学的に考えると、各プリズム体は、その頂部が「接着層」に、幅「6μm」、長さ「L」の矩形領域において、最大深さ「3μm」で侵入し、各プリズム体の頂部以外の部分は「接着層」に侵入していないことが把握できる。

(ウ) 上記(イ)より、引用発明の「接着層」について、各プリズム体が、「3μmの侵入深さ」と、「接着層」に侵入している部分と「接着層」に侵入していない部分との間の界面において、「6μm×Lの矩形面」をなし、「矩形面の最小寸法」は「6μm」であるということができる。

(エ) 技術的にみて「接着層」の厚みは均一と考えられることから、上記(ウ)の「3μmの侵入深さ」と、「6μm」の「矩形面の最小寸法」は、平均でもある。

(オ) 以上整理すると、引用発明の「3μmの侵入深さ」、「6μm×Lの矩形面」及び「6μmの矩形面の最小寸法」は、それぞれ、本願発明の「侵入深さ」、「侵入底面」及び「最小侵入底面寸法」に相当するとともに、引用発明の「3μmの侵入深さ」及び「6μmの矩形面の最小寸法」は、本願発明の「平均侵入深さ」及び「平均最小侵入底面寸法」にも相当するから、結局、引用発明の「接着層」と本願発明の「光学接着層」は、「各一体個別構造が、侵入深さと、前記一体個別構造の前記侵入部分と前記非侵入部分との間の界面での侵入底面とを画定し、前記侵入底面は最小侵入底面寸法を有し、複数の一体個別構造が、平均侵入深さ及び平均最小侵入底面寸法を有し」の構成において共通する。

オ 以上ア?エより、引用発明の「光学シート積層体」は、本願発明の「光学積層体」に相当する。

(2) 一致点及び相違点
ア 一致点
前記(1)の対比結果を踏まえると、本願発明と引用発明は、次の構成で一致する。
「複数の一体個別構造を含む光配向フィルムと、
前記光配向フィルムを表面に接着させるために前記光配向フィルム上に配置される光学接着層であって、一体個別構造それぞれの一部分が前記光学接着層に侵入し、一体個別構造それぞれの一部分が前記光学接着層に侵入しておらず、各一体個別構造が、侵入深さと、前記一体個別構造の前記侵入部分と前記非侵入部分との間の界面での侵入底面とを画定し、前記侵入底面は最小侵入底面寸法を有し、複数の一体個別構造が、平均侵入深さ及び平均最小侵入底面寸法を有する、光学接着層と、
を含む、光学積層体。」

イ 相違点
本願発明と引用発明は、以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明においては、「光学接着層」が、「前記平均侵入深さの前記平均最小侵入底面寸法に対する比が少なくとも2であ」るのに対して、
引用発明においては、「光学接着層」が、平均の侵入深さ(「平均侵入深さ」)が「3μm」、平均の矩形面の最小寸法(「平均最小侵入底面寸法」)が「6μm」であるから、「前記平均侵入深さの前記平均最小侵入底面寸法に対する比」が0.5である点。

(相違点2)
本願発明においては、「前記光配向フィルムと前記表面との間の剥離強度が30グラム/インチ(11.8g/cm)超である」のに対して、
引用発明においては、「前記光配向フィルムと前記表面との間の剥離強度が30グラム/インチ(11.8g/cm)超である」のかどうか明らかでない点。

(3) 判断
上記相違点1及び2について検討する。
ア 引用例1の段落【0100】の【表1】には、引用発明の集光シートを、ポリカーボネート製の平坦な透明シートにアクリル系接着剤を用いて接合して光学シート積層体を構成し、その後打ち抜いてなるサンプルについて、正面輝度を測定した結果が示されている(ここで、段落【0101】によれば、「正面輝度の測定値」は、「50μmピッチのプリズムシートを用いた光学シート積層体であって、接着層を介さずに当該プリズムシートを上記透明シートに積層したとき(サンプル1-8)の正面輝度測定値に対する相対値とした」ものである。)。
当該【表1】によれば、引用発明の「サンプル1-1」(「配列ピッチ(P)」「30μm」、「Pw/P」「0.2」)の「正面輝度測定値」は「87%」である。
また、当該【表1】によれば、引用発明と同じ「接合部幅Pw」を有する「サンプル1-4」(「配列ピッチ(P)」「110μm」)、「サンプル1-5」(「配列ピッチ(P)」「160μm」)、「サンプル1-6」(「配列ピッチ(P)」「200μm」)及び「サンプル1-7」(「配列ピッチ(P)」「300μm」)の「正面輝度測定値」は、それぞれ、「98%」、「99%」、「99%」及び「99%」である。
そして、当該【表1】からは、プリズム体の配列ピッチPに対する接着層に対する接合部幅Pwの比(Pw/P)が小さくなると、正面輝度測定値が良くなる(100%に近づく)ことが理解できる。引用例1の段落【0102】にも、「凹凸部の形状(プリズム、双曲面)が同じでも、配列ピッチPに対する接合部幅Pwの比(Pw/P)が大きいサンプルはすべて、正面輝度が低下していることがわかる。これは、Pw/Pが大きくなるほど凹凸部における光の集光機能が低下するからである。」と記載されている。
また、引用例1の段落【0102】、【0103】には、Pw/P>0.2のサンプルは、概して、輝度の低下率が大きく、輝度の低下率が20%を超えるサンプルがあり、これに対して、Pw/P≦0.2のサンプルは、概して、輝度の低下率が低く、特に、Pw/P<0.2の場合には輝度の低下率が10%以内であり、Pw/P≦0.16の場合には輝度の低下率を5%以内に抑えることができるという評価結果が示されている(当該【表1】の「正面輝度測定値」が「95%」のサンプルの「Pw/P」の各値及び引用例1の段落【0054】の記載によれば、段落【0103】における「Pw/P≦1.6」は、「Pw/P≦0.16」の誤記である。)。
さらに、この評価結果に関連して、引用例1の段落【0061】及び【0016】には、「配列ピッチPを110μm以上と大きくすることにより、比較用シート積層体に対する輝度低下を抑えることが可能となり、接着層の介在による輝度低下の影響を少なくできる。」及び「凹凸部の配列ピッチPが例えば100μm以下というように狭ピッチの場合、第2の光学シートとの接着強度を確保しようとすると、配列ピッチPに対して接合部幅Pwを一定以上小さくすることができなくなることにより正面輝度が大きく低下することがある。逆に、正面輝度の低下を抑えるために接合部幅Pwを小さくしようとすると、第2の光学シートとの間に所要の接着強度を確保できなくなる場合がある。」ということが示されている。
そうすると、「配列ピッチ(P)」「30μm」、「Pw/P」「0.2」、「正面輝度測定値」が「87%」である引用発明は、概して、輝度の低下率が低いとはいえるものの、配列ピッチPが30μmであり、100μm以下の狭ピッチであるため、接着強度を確保するために配列ピッチPに対して接合部幅Pwを一定以上としなければならない結果、配列ピッチが110μm以上のものに比較して、正面輝度測定値の低下を十分に抑えることができていないことが把握できる。

イ 一方、引用例1の段落【0062】には、「凹凸部14P,14Lの配列ピッチPを大きくすると、液晶表示パネル2の画素ピッチとの間の干渉によりモアレの発生が懸念される。一方、配列ピッチPを微細にすると、モアレの発生の懸念は解消されるが、得られる正面輝度は低下する(図7参照)。」、段落【0005】には、「このモアレの発生を防止するためには、プリズム配列ピッチを例えば100μm以下の狭ピッチ構造とする」と記載されている。
また、モアレの発生に関しては、引用例1の段落【0064】及び【0068】には、「配列ピッチPの大きさが、(H・Pp)/(1.7Tt)の値を超えると、後の実施例において説明するように、光学シート積層体3と液晶表示パネル2との間の光の干渉によりモアレが発生し易くなり、画質の低下を招く。従って、配列ピッチPの大きさを(H・Pp)/(1.7Tt)の値以下に制限することによって、モアレの発生のない高品質の画像を得ることができる。」及び「画素ピッチ320μm以上510μm以下の場合、配列ピッチPを例えば110μm以上350μm以下の大きさに設定することができる。」と記載されている(当合議体注:「H」はヘイズ値、「Pp」は画素ピッチ、「Tt」は全光線透過率である。)。
以上より、モアレの発生を抑制するという観点からは、「配列ピッチP」は大きくない方がよく、100μm以下の値が好ましいことが把握できる。
また、「配列ピッチP」の値が小さい・狭いことは、「配列ピッチP」の大きさを「(H・Pp)/(1.7Tt)」の値以下に制限するというモアレが発生しない上記条件を満たすための「H」、「Pp」、「Tt」に対する設計自由度が増すこととなり、液晶表示パネルの「画素ピッチ」として、より小さい高精細の構成のものを採用できる、拡散シートの「ヘイズ」としてより低いものを採用できる、「全光線透過率」としてより高いものが採用できるという点からも好ましいものである(「配列ピッチP」の値が小さいと、「画素ピッチ」を小さなものとしてもモアレの発生を抑制できることは、引用例1の図8からも明らかなことである。)。

ウ ところで、引用発明に接する当業者ならば、引用例2に記載された、面光源素子に関する技術も心得ていると考えられるところ、引用例2の[0006]には、「接着層または粘着層を用いた密着の場合、接着層または粘着層の厚み、固さに影響して凸部の頂部が埋まり、凸部と導光体との接着幅が変化してしまうことで光学性能が低下する原因となる」という、発明が解決しようとする課題が開示されている。そして、引用例2の[0007]、[0008]、[0017]及び[0040]には、(A)生産性の向上とともに、出射光制御板と導光体との密着性、密着力を向上させつつ、光学性能を維持した面光源素子を提供することを目的として、(B)出射光制御板が少なくとも一部の凸部の頂部に少なくとも一つ以上の突起状の固定部を有し、(C)その固定部を固定層の内部に入れることで、固定部と固定層との接着面積が増加し、高い密着性、密着力を得るという効果を奏する技術や、(D)凸部の頂部に設けられた固定部の固定層の厚さに対する高さを変えて、接着面積を大きくすることによって接着強度を向上するという技術が開示されている(以下、「引用例2記載技術」という。)。
ここで、引用例2記載技術の出射光制御板は、導光体の出射面からの光を入射面上の凸部で受光して出射面から正面方向へ出射するものであるから、引用発明の集光シートとは、機能上の相違がある。しかしながら、引用例2記載技術のうち、「固定部を固定層の内部に入れることで、固定部と固定層との接着面積が増加し、高い密着性,密着力を得る」という効果や、「固定部の固定層の厚さに対する高さを変えて、接着面積を大きくすることによって接着強度を向上できる」ということは、前記機能上の相違にかかわらず、物と物の接着一般に共通する知見であることは、一般常識に基づいて直ちに理解可能な事項である。

エ 引用発明は、引用例1の段落【0096】の記載によれば、「サンプル」として作製されたものである。
しかしながら、引用例1の段落【0022】の記載「第1の光学シートと接合される第2の光学シートは、拡散シートに限られず、例えば、第1の直線偏光を透過し第2の直線偏光を反射する反射型偏光シートや、拡散機能と反射型偏光分離機能を兼ね備えた光学シート、単なる透明シートなどであってもよい。」によれば、「光学シート積層体」としては、「プリズムシート」と「透明シート」とを接合した構成のものも使用されることから、引用発明は、実際に用いられる光学シート積層体として把握することができるものである。
そして、上記イによれば、「配列ピッチP」が「30μm」の引用発明は、モアレの発生を抑制するという観点から好ましいものである。あるいは、液晶表示パネルの「画素ピッチ」として、小さな高精細の構成のものを採用できる観点からも好ましいものである。
そうしてみると、引用発明は、上記アによれば、「配列ピッチP」が100μm以下と狭ピッチであるため、接着強度を確保するために配列ピッチPに対して接合部幅Pwを一定以上としなければならず、配列ピッチが110μm以上のものに比較して、正面輝度測定値の低下を十分に抑えることができていないものであるところ、上記ウの引用例2記載技術を心得ている当業者であれば、引用発明の、各プリズム体の頂部に突起状の固定部を一体に設けて一体個別構造とし、頂部に設けられた突起状の固定部部分が接着層に侵入した構成とするとともに、接着層に侵入している突起状の固定部部分の高さを高く、幅を細くすることにより、正面輝度をより高くしつつ、接着層との接着面積を増加させ、高い密着性、密着力、すなわち、高い接着強度を得て、「正面輝度の低下を最小限に抑えながら、シートのたわみ防止、副資材の削減、熱変形の防止を図る」という、引用例1の段落【0023】に記載された効果の改善を図ることは、容易に着想しうる事項である。
すなわち、上記アで述べたとおり、配列ピッチPに対して接合部幅Pwを小さくすることができれば、正面輝度測定値が良くなるのであるから、引用発明において、各プリズム体の頂部に突起状の固定部を設けて、頂部に設けられた突起状の固定部部分が接着層に侵入した構成とする際には、できるだけPwが小さく(狭く)、ただし、高い接着強度(密着性、密着力)が得られるように、接着面積を増加させるため、頂部にできるだけ高さが高い(長い)、幅が細い(狭い)突起状の固定部を設ければよく、各プリズム体における接着層に侵入している突起状の固定部部分の「高さ(長さ)」の「幅」に対する比が2以上である構成として、平均侵入深さ(接着層に侵入している突起状の固定部部分の「高さ」の平均)の平均最小侵入底面寸法(接着層に侵入している突起状の固定部部分の「幅」の平均)に対する比が少なくとも2である構成とすることは、当業者であれば容易になし得ることである(なお、突起状の固定部の製造・加工に際して、その幅や突起の高さには限度があるとも考えられるが、例えば、引用例3の[0072]には、幅5μm、長さ10μmの長方形の突起を設けたとの記載があるから、接着層に侵入する長方形形状の突起状の固定部分として、その幅と高さの比が1:2、あるいは、その延長線上の1:2以上の細長い形状のものを製造、加工する程度のことは、周知の材料及び製造方法・加工方法の範囲内で実現可能と考えられる。より微細な形状加工を行う技術として、必要に応じて、紫外線硬化樹脂を用いた2P法(Photo Polymerization法)や熱プレス法等を利用することができる。)。
そして、上記のように、引用例2記載技術に基づき、各プリズム体の頂部に突起状の固定部を設けて、頂部に設けられた突起状の固定部部分が接着層に侵入した構成とするとともに、突起状の固定部の高さを高くすることにより、接着層との接着面積を増加させ、高い密着性、密着力、すなわち、高い接着強度が得られるようにした結果として、光配向フィルムと表面との間の剥離強度が30グラム/インチ(11.8g/cm)超となる構成とすることは、十分な接着強度を確保しようと容易推考する当業者が達成し得る範囲内のものにすぎない。
なお、接着強度(あるいは密着性、密着力)の大きさ・程度を示す指標として、「剥離強度」を用いることは、当業者の技術常識であり、「剥離強度」を測定する際に、「180°剥離強度試験」を行うこと、「剥離速度」を「300mm/min」あるいは「12inch/min(30.5mm/min)」程度とすること、測定値の平均値を剥離強度とすることなどは、下記(ア)?(キ)に例示されているように、本件出願の優先日前に周知の技術的事項である。また、光配向フィルム・プリズムシートの剥離強度を測定する際の剥離方向をプリズムの稜線方向とすること、剥離強度をモデルSP-2000スリップ/剥離試験器(IMASS社、アコード、マサチューセッツ州)を使用して測定することや、剥離強度の値を例えば30g/インチ以上とすることなども、下記(ウ)?(カ)に例示されているように、本件出願の優先日前に周知の技術的事項である。

(ア)特開2009-223197号公報(下線部参照。以下、「引用例4」という。)
「【0085】
<剥離強度評価法>
光拡散板を7.5cm×12.5cmの大きさにカットしたものを準備する一方、1.5cm×28.0cmの大きさにカットした反射型偏光分離フィルム(スリーエム社製の「DBEF」)の片面に接着剤層が設けられてなる積層フィルムを準備する。次に、図4に示すように、前記カットされた光拡散板の凹凸面(31a)のプライマー層(32)に接着剤層(40)が接触するように光拡散板(33)と積層フィルム(42)とを重ね合わせて挟圧することによって、図2、6に示す構成の積層光学部材(3)を得た。
【0086】
前記積層光学部材の剥離強度を、東洋精機製のストログラフ機「R-200」を用いて測定した。即ち、10kgのロードセルを使用し、剥離速度300mm/秒、剥離角度180度の条件で、光拡散性基板と反射型偏光分離フィルムの間の剥離強度を測定した。測定データのうち、測定開始から最初の4秒間のデータは除外するものとし、その後の20秒間の測定結果から剥離強度を求めた。測定は、各実施例のサンプル毎にそれぞれ2回行い、その平均値を剥離強度とした。」

(イ)特開2007-69603号公報(下線部参照。以下、「引用例5」という。)
「【0140】
D.剥離強度F:
積層体を幅2cm×長さ12cmの短冊状に切り出し、厚さ2mmの表面平滑なアクリル板に基材層側を両面テープで張り付け、表面層側にポリエステル粘着テープ(日東電工(株)製No.31B、幅19mm)を張り付けて、アクリル板の上端をテンシロン引っ張り試験機(東洋測器(株)製UTMIII)のロードセルにつるした。次いで、粘着テープの上端に帯状のリード紙をはり、その一端を下部チャックで把持して、クロスヘッド速度300mm/minで下(180°)方向に引っ張り、基材層と表面層の層間の剥離力を測定した。剥離強度F(N/cm)は、SSカーブの立ち上がり部分を除いた剥離長さ50mm以上の平均剥離力T(N)から次式により算出した。
・剥離強度F(N/cm)=T/W
ここで、T(N):平均剥離力、W(cm):サンプル幅、である。」

(ウ)国際公開第2009/033017号(下線部参照。以下、「引用例6」という。)
「In an embodiment, a release layer that is deposited on a working mold can function to provide one or more advantageous properties to the working mold or molded articles formed using the working mold. In an embodiment, the release layer can provide the working mold with desired release properties, enhanced durability, the ability to create molded articles having high fidelity and the ability to create molded articles without significant transfer of the working mold or release layer material, for example. In an embodiment a release layer that is deposited on a working mold can function to provide the working mold with desirable release properties from materials that are contacted therewith (e.g. a third generation precursor) to form a molded article. Release and anti-adhesion are generally used interchangeably throughout. Generally, working molds having good release properties from a molded article are desired. A working mold with good release properties will generally have a low peel force. Peel force measurements can be measured as known by one of skill in the art. An exemplary method of measuring peel force includes use of a Slip/Peel Tester such as a Model SP-2000, commercially available from IMASS, Inc. (Accord, MA). Specific parameters surrounding a peel test measurement that can be carried out using a Model SP-2000 Slip/Peel Tester include a peel angle of 180° and a peel rate of 12 inches/minute.
In an embodiment, a working mold has a peel force between the working mold and a molded article of less than about 300 grams/inch. In an embodiment, a working mold has a peel force between the working mold and a molded article of less than about 100 grams/inch. In an embodiment a working mold has a peel force between the working mold and a molded article of less than about 50 grams/inch. In an embodiment, a working mold has a peel force between the working mold and a molded article of less than about 30 grams/inch. In an embodiment, a working mold has a peel force between the working mold and a molded article of less than about 10 grams/inch.」(21頁15行?22ページ2行)
(参考訳)
「・・・剥離強度の典型的な方法は、IMASS社(マサチューセッツ州アコード)が市販するモデルSP-2000のようなスリップ/剥離試験器の使用である。モデルSP-2000スリップ/剥離試験器を用いて実施される剥離試験測定に関わる具体的なパラメータには、180°の剥離角度かつ12インチ/分の剥離レートが挙げられる。
一つの実施例として、加工型は、加工型と成形品との間に、300g/インチ未満の剥離強度を有する。・・・」
「Peel force measurements were carried out on aged samples. Generally, a working mold that was about 8x10 inches had resin applied thereto, was covered with a primed PET film and was cured as discussed above. After UV curing, a one inch strip was cut from the structure parallel to the BEF line direction. The peel force was then measured with a model SP-2000 Slip/Peel Tester (IMASS, Inc. Accord, MA). The peel angle for the testing was 180° degree and the peel rate was 12 inch/min.」(26頁6?11行)
(参考訳)
「・・・UV硬化後、1インチのストリップがその構造物からBEFのライン方向に沿ってカットされた。剥離強度は、それからモデルSP-2000スリップ/剥離試験器(IMASS社、アコード、マサチューセッツ州)を用いて測定された。剥離角度は180°であり、剥離レートは、12インチ/分であった。」

(エ)国際公開第2010/029773号(下線部参照。以下、「引用例7」という。)
「[0089](1)成膜性
上記のようにして共押出しにより製膜した各表面保護フィルムの外観を目視にて評価し、外観上問題が無ければ「○」とした。
(2)初期粘着力
各表面保護フィルムを、凹凸を有するプリズムシートのレンズ面を覆うように貼り付けた。プリズムシートとしては、厚みが130μmのアクリル樹脂からなり、プリズムのピッチ50μm、高さ25μmであるものを用意した。貼り付け条件は、室温23℃および相対湿度50%の環境下、それぞれ2kgの圧着ゴムローラーを用いて、300mm/分の速度で貼り付け、その状態で30分間放置した後、JIS Z0237に準拠し、25mm幅における180度剥離強度を300mm/分の速度で測定した。この際の剥離方向はプリズムの稜線方向とした。このようにして測定された剥離強度を初期粘着力とした。
(3)経時粘着力
各表面保護フィルムを、室温23℃および相対湿度50%の環境下、(2)の初期粘着力評価に用いたプリズムシートの表面に、それぞれ2kgの圧着ゴムローラーを用いて、300mm/分の速度で貼り付けた。その後、ポリカーボネート板(厚み2mm)で表面保護フィルムを貼り付けたプリズムシートを挟み、6.0×10^(-3)MPaの圧力を加え、その状態で60℃および相対湿度90%の環境下、48時間放置した。これを室温に取り出し、30分間放置した後、JIS Z0237に準拠し、25mm幅における180度剥離強度を300mm/分の速度で測定した。
このようにして測定された剥離強度を経時粘着力とし、初期粘着力から経時粘着力の変化率(粘着昂進率)を次式で算出した。
変化率(粘着昂進率)=(経時粘着力/初期粘着力)×100
(4)展開力
実施例および比較例の各表面保護フィルムの50mm幅の巻回体を巻き戻し速度を変更したこと以外はJIS Z0237に準拠し、15m/分の巻戻し速度で巻戻し力を測定し、展開力とした。」

(オ)特表2007-502010号公報(下線部参照。以下、「引用例8」という。)
「【0050】
後硬化性接着剤が剥離強度を増加したことが分かった。前硬化性成分に対する後硬化性成分の比を調整することにより、高剥離強度を得ることができる。図6に与えられたプロットは剥離強度を接着剤厚さの関数として示している。曲線602、604および606はそれぞれ図5の曲線502、504および506に関して上述したUA接着剤層に相当する。同様に曲線608は図5の曲線508に関して上述したIOA/AA接着剤層に相当し、曲線610は図5の曲線510に関して上述したEA接着剤層に相当する。なお接着力は対数目盛で与えられている。剥離強度はすべて4インチ/分で180°剥離である。」
「【0051】
図7に呈示されている他のグラフは、接着剤のない交差TBEFフィルムに対して正規化した輝度を接着力の関数として示している。曲線702、704および706はそれぞれ図5および6の曲線502/602、504/604および506/606に関して上述したUA接着剤に相当する。曲線708は図5および6の曲線508および608に関して上述したIOO/AA接着剤に相当する。曲線710は図5および6の曲線510および610に関して上述したEA接着剤に相当する。積層構造の実用的な考えでは構造が比較的高輝度と比較的高接着力を有さなければならないと提案しているため、このグラフは有用な情報を提供する。そのため右上四分の一にあるこれらの点は接着剤強度と光学的輝度とのより望ましい組み合わせを提供していると思われる。30g/インチ以上の接着力を有する点は十分に強く、ライナー除去技術に関係なく切断動作およびその後の保護ライナーの除去中に離層に耐えることができると思われる。約30g/インチ未満の接着力を有する構造の残存はライナー除去プロセスに依存し得る。」
「【図7】




(カ)特開2008-127447号公報(下線部参照。以下、「引用例9」という。)
「【0025】
1)初期粘着力(対プリズム面)
プリズムシートとして、レンズ部がアクリル樹脂からなり、シートが厚み150μmのポリエチレンテレフタレートからなり、3角柱形状のレンズ部の断面寸法が、高さ23μm、底辺50μmであるものを用意した。
得られた表面保護フィルムを、このプリズムシートのレンズ部を覆うように貼り付けた。貼付に際しては5.9×10^(5)Paの圧力を表面保護フィルムの外側から加え、2m/分の速度で貼り付け、23℃±2℃の室内に30分間放置した。
しかる後、25mm幅における180度剥離強度(単位はN)を、プリズムの稜線に平行な方向に剥離速度300mm/分及び30m/分でそれぞれ測定し、初期粘着力(対プリズム)とした。」

(キ)特開2009-289444号公報(下線部参照。以下、「引用例10」という。)
「【0031】
<接着性>
光学シートを25mm幅に裁断し、オートグラフ引張試験機(島津製作所社製 AG-100kNG)にて片側のチャックにレンズシート5と接着層3とを、他方に光拡散層1をチャックし、180°引き剥がし接着力を測定した。
引き剥がしスピードは300mm/minとした。」

オ 小括
以上のとおりであるから、引用発明、引用例2記載技術を心得た当業者において、引用発明のプリズム体の頂部にできるだけ幅が狭く、かつ、長い突起状の固定部を設け、突起状の固定部部分が接着層に侵入した構成とすることにより、本願発明の構成に到ることは、引用例1の段落【0023】に記載された前記効果の延長線上の創意工夫にすぎない。

(4) 本願発明の効果について
本件出願の明細書には、発明の効果として明示された記載は存在しない。 ただし、本件出願の明細書の段落【0002】には、「本発明は特に、光学的特性の損失が全く又はほとんどなしに、厚さ低減と高い剥離強度を有する光学積層体に関する。」という、発明の効果と解され得る記載がある。
しかしながら、このような効果は、引用例1の段落【0023】に記載された効果の延長線上の効果にすぎないものであるか、また、引用例1や引用例2の記載に基づいて、当業者が予測可能なものであり、格別顕著なものではない。

(5) 小括
よって、本願発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、引用発明、引用例2記載技術に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。

第4 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-08-03 
結審通知日 2017-08-08 
審決日 2017-08-28 
出願番号 特願2013-504977(P2013-504977)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡▲辺▼ 純也  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 鉄 豊郎
河原 正
発明の名称 光学積層体  
代理人 石田 敬  
代理人 高橋 正俊  
代理人 青木 篤  
代理人 古賀 哲次  
代理人 出野 知  
代理人 胡田 尚則  
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