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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G21C
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G21C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G21C
管理番号 1336580
審判番号 不服2016-14821  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-04 
確定日 2018-01-17 
事件の表示 特願2013- 57466「核燃料集合体用の偏位制限外周スプリングを含むスペーサ及びその作製方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月 3日出願公開、特開2013-200307〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年(2013年)3月21日(パリ条約による優先権主張 2012年3月23日、米国)の出願であって、平成27年1月29日付けで拒絶理由が通知され、同年4月23日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、同年9月28日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年12月21日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、平成28年5月31日付けで前記平成27年12月21日付け手続補正について補正の却下の決定がなされるとともに、同日付け(送達 同年6月7日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年10月4日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成28年10月4日になされた手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、本件補正前(平成27年4月23日になされた手続補正)の特許請求の範囲を、以下のとおりに補正する内容を含むものである(下線は補正箇所を示す。)。
本件補正前の特許請求の範囲の請求項1につき、
「核燃料集合体(10)を作製する方法であって、本方法は、
燃料棒(14)を受け取るための複数のグリッド開口部(103)及び燃料スペーサ(100)の周囲に延在する外周バンド(101)を有する前記スペーサ(100)を形成するステップ
を含み、
前記形成するステップは、前記外周バンド(101)の同じ外側面上に、弾性抵抗部材(112)及び対応する偏位制限器(111)を設けるステップを含み、
前記弾性抵抗部材(112)は、前記燃料棒(14)と平行な横断方向に弾性的に運動し、
前記対応する偏位制限器(111)は、前記弾性抵抗部材(112)よりも横断方向に堅固である、
方法。」
とあったものを、
「核燃料集合体(10)を作製する方法であって、本方法は、
燃料棒(14)を受け取るための複数のグリッド開口部(103)及び燃料スペーサ(100)の周囲に延在する外周バンド(101)を有する前記スペーサ(100)を形成するステップ
を含み、
前記形成するステップは、前記外周バンド(101)の同じ外側面上に、弾性抵抗部材(112)及び対応する偏位制限器(111)を設けるステップを含み、
前記弾性抵抗部材(112)は、前記燃料棒(14)の軸方向に対して垂直な横断方向に弾性的に運動し、
前記対応する偏位制限器(111)は、前記弾性抵抗部材(112)よりも横断方向に堅固であり、
前記対応する偏位制限器(111)は、前記弾性抵抗部材(112)の前記外周バンド(101)周方向の両端に隣接して位置し、かつ、前記軸方向には存在せず、
前記対応する偏位制限器(111)および前記弾性抵抗部材(112)は、前記軸方向に長尺である、
方法。」
に補正。

2 補正の目的
(1)本件補正は、補正前の請求項1において、弾性抵抗部材(112)の弾性的に運動する方向に関して、「燃料棒(14)と平行な横断方向」とあったものを「燃料棒(14)の軸方向に対して垂直な横断方向」と補正して、弾性的に運動する方向について明りょうでない記載の釈明を行うとともに、「前記対応する偏位制限器(111)は、前記弾性抵抗部材(112)の前記外周バンド(101)周方向の両端に隣接して位置し、かつ、前記軸方向には存在せず、前記対応する偏位制限器(111)および前記弾性抵抗部材(112)は、前記軸方向に長尺である」との限定を付加するものである。

(2)上記補正について検討する。
上記(1)の補正は、明りょうでない記載を釈明し、限定を付加するものであるから、当該補正は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明及び特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか否か)について検討する。
(1)本願補正発明の認定
本願補正発明は、上記「1」において、本件補正後のものとして記載したとおりのものと認める。

(2)刊行物の記載及び引用発明
ア 原査定における拒絶理由に引用された、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開2009-133736号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体の燃料スペーサに関し、特に、耐震性能に優れた燃料スぺーサに関する。・・・
【0006】
地震時において、燃料集合体の軸方向に複数配置された燃料スペーサは、燃料棒により、(スペーサ間当たりの燃料棒重量)×(地震加速度)に相当する荷重を受ける。そのため、チャンネル内面と接触するバンド側面に形成されたバスタブによって荷重を支えることになり、スペーサの構成部材には種々の応力が発生する。特に、バンド中央部に生じる曲げモーメントに対するスペーサの耐震強度を高めるために、燃料スぺーサの各辺に設けられた複数のローブのうち、中央と両端部のローブの突出高さを他のローブよりも高くする先行技術も知られている(特許文献2)。」

(イ)「【0012】
本発明に係る燃料スペーサの実施形態について説明する。
図1(a)、(b)は本発明の第1の実施形態に係る燃料スペーサ24の上面図および側面図であり、図7に示した従来の格子型燃料スペーサ7と基本的には同様な全体構造を有しているが、本実施の形態に係る格子型燃料スペーサ24は、ローブ14の形状が改良されている。したがって、本実施の形態では従来例と異なった部分のみを説明し、スペーサの全体的な構造についてはその説明を省略する。
【0013】
図1(a)、(b)に示すように、格子型燃料スペーサ24は、バンド9、縦横に配列されたディバイダ11、燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数のセル12、フロータブ21、及びバンド9の各辺に設けられたローブ14から構成される。本第1の実施の形態では、バンド9の各辺に設けられた複数のローブ14のうち、バンドコーナ側に位置するローブ14aのチャンネル方向突出高さがバンド中央側に位置するローブ14bの高さよりも低く設定されている。
【0014】
前述したように沸騰水型原子炉の運転状態ではバンド中央部付近で燃料スぺーサとチャンネルとの間隙が最大となるが、本第1の実施形態に係る燃料スペーサによれば、ローブ14aを低く、ローブ14bを高く設定したため、チャンネル各側面の中央部が外側に湾曲しても、燃料スぺーサのローブ14a及び14bはチャンネルと均一に接触することができ、その結果、地震の際も、チャンネル内面に対する燃料スペーサの各ローブ接触面を広くすることができるので、局所的な集中荷重の発生を抑制し、スペーサの機械強度における健全性裕度を向上させることができる。・・・
【0018】
図4(a)、(b)は本発明の第4の実施形態に係る燃料スペーサ27の要部構造図である。図4(a)、(b)に示すように、格子型燃料スペーサ27は、バンド9の各辺に設けられた複数のローブ14において、バンド中央側に位置する少なくとも1個のローブがチャンネル方向に湾曲したスプリング状の弾性部材22から構成されるとともに、そのチャンネル方向突出高さがバンドコーナ側のローブ14aよりも高く設定されている。
【0019】
本第4の実施形態に係る燃料スペーサによれば、チャンネル方向に湾曲したスプリング状の弾性部材22を用いることにより、弾性部材22の弾性度、幅、突出高さを自由に変更できるので、設計自由度が大きい燃料スぺーサを得ることができる。
【0020】
図5(a)、(b)は本発明の第5の実施形態に係る燃料スペーサ28の要部構造図であって、円筒状のセル18を採用した円筒状セル型燃料スペーサ28に関する。
この円筒状セル型燃料スぺーサについても、上記第1乃至第4の実施形態で説明したローブ構造を適用し、局所的な集中荷重の発生を抑制し、スペーサの機械強度における健全性裕度を向上させることができる。」

(ウ)図1、4及び5は次のものである。


(エ)上記(ア)及び(イ)の記載を踏まえて、上記(ウ)の図5を見ると、第5の実施形態に係る、バンド9の各辺に設けられたローブ14a及び14bは燃料棒の軸方向に長尺であり、また、燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数の円筒状のセル18は縦横に配列されることがみてとれる。

(オ)引用発明
上記(ア)ないし(エ)によれば、第5の実施形態に係る、円筒状のセル18を採用した円筒状セル型燃料スペーサ28は、上記第1乃至第4の実施形態で説明したローブ構造を適用し、円筒状セル型燃料スペーサ28を燃料集合体の軸方向に複数配置して燃料集合体を構成するから、引用文献1には、次の発明(以下「引用物発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「バンド9、燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数の円筒状のセル18、フロータブ21、及び、バンド9の各辺に設けられたローブ14a及び14bから構成される円筒状セル型燃料スペーサ28を、軸方向に複数配置した燃料集合体であって、
前記バンド9の各辺に設けられたローブ14a及び14bは燃料棒の軸方向に長尺であり、
燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数の円筒状のセル18が縦横に配列されてなる、
燃料集合体。」
また、引用物発明1は、下記の方法(以下「引用方法発明1」という。)で作成されることは明らかである。
したがって、引用文献1には、次の引用方法発明1が記載されているものと認められる。
「バンド9、燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数の円筒状のセル18、フロータブ21、及び、バンド9の各辺に設けられたローブ14a及び14bから円筒状セル型燃料スペーサ28を構成し、
前記円筒状セル型燃料スペーサ28を燃料棒の軸方向に複数配置して燃料集合体を構成するものであって、
前記バンド9の各辺に設けられたローブ14a及び14bは燃料棒の軸方向に長尺であり、
燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数の円筒状のセル18が縦横に配列されてなる、
燃料集合体を作成する方法。」

イ 原査定における拒絶理由に引用された、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開平5-341074号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある)。
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は沸騰水型原子炉の燃料バンドルとその燃料棒スペーサおよびチャネルに係る。特に、バンドにより取り巻かれた燃料棒スペーサで、バンドの突起部において直接取り囲んでいるチャネルに対して寸法合わせをして燃料バンドル内で周辺にある燃料棒と燃料棒のチャネルとの間の最適なクリアランスを維持するものを開示する。その結果、臨界出力性能が改良される。」

(イ)「【0023】図3、4および5には、図2の従来技術の状態を防ぐためのバンド14の改良を示す。バンド14(スペーサSのバンド14。簡単にするためにスペーサの残りの部分は省略してある)は、それぞれ手前の側面31、32および向こう側の側面33、34が示されている。向こう側の側面33、34に関して、側面33には突起部45、46が形成され、側面34には突起部47、48が形成されている。図4の詳細図を参照すると分かるように、これらの突起部はバンド14の金属に対して設けられた「バスタブ」状の凹みであり、特に後述の突起部41?44と比較すると明らかなように比較的厚い。これら4つの突起部45?48の目的は、バンド14でチャネルCとスペーサSとの間に充分なセンタリング(心出し)用の間隔を占めることである(図6参照)。
【0024】手前の側面31、32に関して、側面31には突起部41、42が形成され、側面32には突起部43、44が形成されている。図5の詳細図を参照すると分かるように、これらの突起部は同様にバンド14の金属に対して設けられた「バスタブ」状の凹みであるが、特に突起部45?48と比較すると明らかなように比較的薄い。これら4つの突起部41?44の目的は、バンド14でチャネルCとスペーサSとの間に充分なセンタリング(心出し)用の間隔を占めることである(図6参照)。この突起部41?44によって定められるチャネルCに対する間隔は2つの目的を考慮して選択される。
【0025】第一に、組み立て時、組み立てられた残りの燃料バンドルB上にチャネルCを嵌めるにはクリアランスが必要である。したがって、突起部41?44は、この組み立て時クリアランスを設けるのに充分な間隔だけ突起部45?48より小さい。第二に、チャネルCに近い燃料棒Rから、「最悪の場合」の臨界出力限界を定めるための最小の間隔が決められる。したがって、突起部41?44の寸法は、この「最悪の場合」の臨界出力寸法を与えるものである。
【0026】最後に、手前の側面31、32には板バネ61?64があることが分かる。これについては、図5に示されている板バネ64について説明すれば充分である。他のバネ61?63も同様に構築される。図5で、板バネ64は65のところでなんらかの適切な手段によってバンド14に取り付けられている。板バネ64は、屈曲点65、66、67、68によって作られるほぼU字形の形状を有する。大きな盛り上がった中央の部分70はチャネルCを弾性的に押圧する。また、バネ64の取り付けられた部分65とは反対側の端69はバンド14の外面に摺動関係で当接する。
【0027】板バネ61?64はチャネルCの角に近い位置にあるのが好ましい。この位置だと、チャネルが最大の強度をもっている場合、板バネがチャネルに接する。バネ61?64の機能は図6から容易に理解できる。簡単にいって、バネ61?64は側面31、32上のバンド14のところでスペーサSを偏らせてチャネルCから離そうとする。そのため、突起部45?48はチャネルCに接し、突起部41?44はチャネルCから離れる。チャネルC中に閉じ込められた燃料棒Rのセンタリングは突起部45?48およびチャネルCに対するスペーサSの寸法により決まる最適の間隔で起こる。
【0028】板バネ61?64は垂直に配置するのが好ましい。同様に、金属中に設けた「バスタブ」状突起から形成された突起部を示した。しかし、突起部およびバネには種々の等価物が包含されるものと理解されたい。」

(ウ)図3及び6は次のものである。


(エ)上記(ア)ないし(ウ)によれば、引用文献2には次の事項(以下「引用文献2に記載の事項」という。)が記載されていると認められる。
「側面には突起部が形成され、また、板バネが設けられる燃料棒スペーサにおいて、前記板バネは垂直に配置するのが好ましい点。」

(3)対比・判断
ア 対比
本願補正発明と引用方法発明1を対比する。
(ア)引用方法発明1は、「バンド9、燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数の円筒状のセル18、フロータブ21、及び、バンド9の各辺に設けられたローブ14a及び14bから円筒状セル型燃料スペーサ28を構成」し、「燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数の円筒状のセル18が縦横に配列されてなる」方法の発明であるから、燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数の円筒状のセル18を縦横に配置して構成した開口、及び、周囲に設けられたバンド9を有する円筒状セル型燃料スペーサ28を作成するステップを備えるといえる。
したがって、引用方法発明1の、「バンド9、燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数の円筒状のセル18、フロータブ21、及び、バンド9の各辺に設けられたローブ14a及び14bから円筒状セル型燃料スペーサ28を構成」し、「燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数の円筒状のセル18が縦横に配列されてなる」ことは、本願補正発明の、「燃料棒(14)を受け取るための複数のグリッド開口部(103)及び燃料スペーサ(100)の周囲に延在する外周バンド(101)を有する前記スペーサ(100)を形成するステップを含」むことに相当する。

(イ)引用方法発明1の、「バンド9の各辺に設けられたローブ14a及び14bから円筒状セル型燃料スペーサ28を構成」することは、本願補正発明の、「前記形成するステップは、前記外周バンド(101)の同じ外側面上に、弾性抵抗部材(112)及び対応する偏位制限器(111)を設けるステップを含」むことと、「前記形成するステップは、前記外周バンド(101)の同じ外側面上に、対応する偏位制限器(111)を設けるステップを含」む点で一致する。

(ウ)引用方法発明1の、「前記バンド9の各辺に設けられたローブ14a及び14bは燃料棒の軸方向に長尺であ」ることは、本願補正発明の、「前記対応する偏位制限器(111)および前記弾性抵抗部材(112)は、前記軸方向に長尺である」ことと、「前記対応する偏位制限器(111)は、前記軸方向に長尺である」点で一致する。

(エ)引用方法発明1の「燃料集合体を作成する方法」は、本願補正発明の「核燃料集合体(10)を作製する方法」に相当する。

(オ)以上(ア)ないし(エ)での検討によれば、本願補正発明と引用方法発明1は、
「核燃料集合体(10)を作製する方法であって、本方法は、
燃料棒(14)を受け取るための複数のグリッド開口部(103)及び燃料スペーサ(100)の周囲に延在する外周バンド(101)を有する前記スペーサ(100)を形成するステップ
を含み、
前記形成するステップは、前記外周バンド(101)の同じ外側面上に、対応する偏位制限器(111)を設けるステップを含み、
前記対応する偏位制限器(111)は、前記軸方向に長尺である、
方法。」
である点で一致し、下記点で相違する。

・本願補正発明は、「前記燃料棒(14)の軸方向に対して垂直な横断方向に弾性的に運動し、前記対応する偏位制限器(111)は、前記弾性抵抗部材(112)よりも横断方向に堅固であり、前記対応する偏位制限器(111)は、前記弾性抵抗部材(112)の前記外周バンド(101)周方向の両端に隣接して位置し、かつ、前記軸方向には存在せず」、「前記軸方向に長尺である」「弾性抵抗部材(112)」を備えるのに対して、引用方法発明1はこのような弾性抵抗部材を備えるとは特定されない点(以下「相違点1」という。)。

イ 判断
相違点1について検討する。
引用方法発明1の「円筒状セル型燃料スぺーサ28」について、引用文献1には、「上記第1乃至第4の実施形態で説明したローブ構造を適用し、局所的な集中荷重の発生を抑制し、スペーサの機械強度における健全性裕度を向上させることができる」(上記「(2)」「ア」「(イ)」)と記載され、当該「第4の実施形態で説明したローブ構造」として、引用文献1には、「バンド9の各辺に設けられた複数のローブ14において、バンド中央側に位置する少なくとも1個のローブがチャンネル方向に湾曲したスプリング状の弾性部材22から構成されるとともに、そのチャンネル方向突出高さがバンドコーナ側のローブ14aよりも高く設定され」、「チャンネル方向に湾曲したスプリング状の弾性部材22を用いることにより、弾性部材22の弾性度、幅、突出高さを自由に変更できるので、設計自由度が大きい」「燃料スぺーサ」(上記「(2)」「ア」「(イ)」)が記載されている。
ここで、「側面には突起部が形成され、また、板バネが設けられる燃料棒スペーサにおいて、前記板バネは垂直に配置するのが好ましい」(引用文献2に記載の事項)ことが引用文献2に記載されている。
そうすると、引用方法発明1において、「局所的な集中荷重の発生を抑制し、スペーサの機械強度における健全性裕度を向上させる」ために「バンド9の各辺に設けられた複数のローブ14において、バンド中央側に位置する少なくとも1個のローブがチャンネル方向に湾曲したスプリング状の弾性部材22」を適用するに際して、設計自由度は大きいとされているのであるから、「弾性部材22の弾性度、幅、突出高さを自由に変更」して、引用文献2に記載された「垂直に配置する」「板バネ」の如くに構成することに格別の技術的困難性は認められない。
そして、引用方法発明1に「垂直に配置する」「板バネ」の如くに構成すれば、燃料棒の軸方向に対して垂直な横断方向に弾性的に運動するものとなり、また、「弾性部材22の弾性度、幅、突出高さを自由に変更」できるから、対応するローブ14aは、板バネよりも横断方向に堅固であってよく、板バネのバンド9周方向の両端に隣接して位置し、かつ、軸方向には存在せず、軸方向に長尺なものとなることは明らかである。
したがって、引用方法発明1に引用文献1の記載を踏まえて引用文献2に記載の事項を採用し、上記相違点1に係る本願補正発明の構成となすことは当業者が容易に想到し得ることである。

(4)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用方法発明1及び引用文献1、2に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 補正却下の決定についてのむすび
上記3の検討によれば、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項に係る発明は、平成27年4月23日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2」[理由]「1 補正の内容」において、本件補正前のものとして示したとおりのものである。

2 刊行物の記載及び引用発明
(1)引用文献1には、上記第2、[理由]3(2)ア(ア)ないし(エ)の事項が記載されている。

(2)引用発明
上記第2、[理由]3(2)ア(ア)ないし(エ)によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用物発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「バンド9、縦横に配列されたディバイダ11、燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数のセル12、フロータブ21、及びバンド9の各辺に設けられたローブ14から構成される格子型燃料スペーサ27を、軸方向に複数配置した燃料集合体であって、
前記バンド9の各辺に設けられた複数のローブ14において、バンド中央側に位置する少なくとも1個のローブがチャンネル方向に湾曲したスプリング状の弾性部材22から構成されるとともに、そのチャンネル方向突出高さがバンドコーナ側のローブ14aよりも高く設定され、
チャンネル方向に湾曲したスプリング状の弾性部材22を用いることにより、弾性部材22の弾性度、幅、突出高さを自由に変更できるので、設計自由度が大きい、
燃料集合体。」
また、引用物発明2は、下記の方法(以下「引用方法発明2」という。)で作成されることは明らかである。
したがって、引用文献1には、次の引用方法発明2が記載されているものと認められる。
「バンド9、縦横に配列されたディバイダ11、燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数のセル12、フロータブ21、及びバンド9の各辺に設けられたローブ14から格子型燃料スペーサ27を構成し、
前記格子型燃料スペーサ27を燃料棒の軸方向に複数配置して燃料集合体を構成するものであって、
前記バンド9の各辺に設けられた複数のローブ14において、バンド中央側に位置する少なくとも1個のローブをチャンネル方向に湾曲したスプリング状の弾性部材22から構成するとともに、そのチャンネル方向突出高さをバンドコーナ側のローブ14aよりも高く設定し、
チャンネル方向に湾曲したスプリング状の弾性部材22を用いることにより、弾性部材22の弾性度、幅、突出高さを自由に変更できるので、設計自由度が大きい、
燃料集合体の作成方法。」

3 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用方法発明2を対比する。
ア 引用方法発明2は、「バンド9、縦横に配列されたディバイダ11、燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数のセル12、フロータブ21、及びバンド9の各辺に設けられたローブ14から格子型燃料スペーサ27を構成」する方法の発明であるから、縦横に配列されたディバイダ11及び燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数のセル12からなる、縦横に配列して構成した開口、及び、周囲に設けられたバンド9を有する格子型燃料スペーサ27を作成するステップを備えるといえる。
したがって、引用方法発明2の、「バンド9、縦横に配列されたディバイダ11、燃料棒又はウォータロッドが挿通される複数のセル12、フロータブ21、及びバンド9の各辺に設けられたローブ14から格子型燃料スペーサ27を構成」することは、本願発明の、「燃料棒(14)を受け取るための複数のグリッド開口部(103)及び燃料スペーサ(100)の周囲に延在する外周バンド(101)を有する前記スペーサ(100)を形成するステップを含」むことに相当する。

イ 引用方法発明2の、「前記バンド9の各辺に設けられた複数のローブ14において、バンド中央側に位置する少なくとも1個のローブをチャンネル方向に湾曲したスプリング状の弾性部材22から構成するとともに、そのチャンネル方向突出高さをバンドコーナ側のローブ14aよりも高く設定し、チャンネル方向に湾曲したスプリング状の弾性部材22を用いることにより、弾性部材22の弾性度、幅、突出高さを自由に変更できるので、設計自由度が大き」くなすことは、本願発明の、「前記形成するステップは、前記外周バンド(101)の同じ外側面上に、弾性抵抗部材(112)及び対応する偏位制限器(111)を設けるステップを含み、前記弾性抵抗部材(112)は、前記燃料棒(14)と平行な横断方向に弾性的に運動し、前記対応する偏位制限器(111)は、前記弾性抵抗部材(112)よりも横断方向に堅固である」ことと、「前記形成するステップは、前記外周バンド(101)の同じ外側面上に、弾性抵抗部材(112)及び対応する偏位制限器(111)を設けるステップを含み、前記弾性抵抗部材(112)は、弾性的に運動」する点で一致する。

ウ 引用方法発明2の「燃料集合体を作成する方法」は、本願発明の「核燃料集合体(10)を作製する方法」に相当する。

エ 以上アないしウでの検討によれば、本願発明と引用方法発明2は、
「核燃料集合体(10)を作製する方法であって、本方法は、
燃料棒(14)を受け取るための複数のグリッド開口部(103)及び燃料スペーサ(100)の周囲に延在する外周バンド(101)を有する前記スペーサ(100)を形成するステップ
を含み、
前記形成するステップは、前記外周バンド(101)の同じ外側面上に、弾性抵抗部材(112)及び対応する偏位制限器(111)を設けるステップを含み、
前記弾性抵抗部材(112)は、前記燃料棒(14)と平行な横断方向に弾性的に運動し、
前記対応する偏位制限器(111)は、前記弾性抵抗部材(112)よりも横断方向に堅固である、
方法。」
である点で一致し、下記点で相違する。

・本願発明の「弾性抵抗部材(112)」は、「前記燃料棒(14)と平行な横断方向に」弾性的に運動し、「前記対応する偏位制限器(111)は、前記弾性抵抗部材(112)よりも横断方向に堅固である」のに対して、引用方法発明2の「スプリング状の弾性部材22」はこのようには特定されない点(以下「相違点2」という。)。

(2)判断
相違点2について検討する。
引用方法発明2の「スプリング状の弾性部材22」は、「チャンネル方向に湾曲したスプリング状の弾性部材22から構成」されるから、燃料棒の軸方向と平行な横断方向に弾性的に運動することは明らかである。
また、引用方法発明2の「スプリング状の弾性部材22」は、「そのチャンネル方向突出高さがバンドコーナ側のローブ14aよりも高く設定」するものであり、また、「弾性部材22の弾性度、幅、突出高さを自由に変更できる」ものであるから、これを「ローブ14a」は「弾性部材22」よりも横断方向に堅固であるものとなすことは「自由に変更できる」設計的事項にすぎない。
そうすると、本願発明は、引用方法発明2との間に実質的に相違するところは認められないから、本願発明は引用方法発明2である。

4 小括
以上のとおり、本願発明は、引用方法発明2であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は引用方法発明2であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができないものであり、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-08-18 
結審通知日 2017-08-22 
審決日 2017-09-05 
出願番号 特願2013-57466(P2013-57466)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G21C)
P 1 8・ 113- Z (G21C)
P 1 8・ 575- Z (G21C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青木 洋平  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 野村 伸雄
松川 直樹
発明の名称 核燃料集合体用の偏位制限外周スプリングを含むスペーサ及びその作製方法  
代理人 田中 拓人  
代理人 荒川 聡志  
代理人 黒川 俊久  
代理人 小倉 博  
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