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審決分類 審判 査定不服 発明同一 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1336897
審判番号 不服2017-4045  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-21 
確定日 2018-02-20 
事件の表示 特願2015-138339「半導体装置および半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月26日出願公開、特開2015-213190、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成20年8月20日に出願した特願2008-211962号の一部を平成27年7月10日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成27年 7月10日 審査請求・上申書
平成28年 5月23日 拒絶理由通知
平成28年 7月25日 意見書・手続補正書
平成28年12月22日 拒絶査定
平成29年 3月21日 審判請求・手続補正書
平成29年 6月26日 上申書
平成29年 9月27日 拒絶理由通知(当審)
平成29年12月 1日 意見書・手続補正書

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

この出願の請求項1ないし6に係る発明は、下記引用文献2ないし7に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
2.特開2006-310532号公報
3.特開2005-064218号公報
4.特表2003-530697号公報
5.特開2005-317685号公報
6.米国特許出願公開第2007/0164279号明細書
7.特開2008-021849号公報

第3 当審拒絶理由の概要
平成29年9月27日付けで当審より通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。

1 理由1(サポート要件)
(1)本願発明1、3、4及び6について
本願発明1、3、4及び6は、「第2の絶縁膜」のみによって「突起部」の全体を完全に被覆した上で、「外部接続端子」との接続のために「再配線層」を「第1伸長部」の側に延伸したものを包含するものと認められるが、そのような発明は「発明の詳細な説明」には記載されておらず、また、「発明の詳細な説明」に記載された課題に対応するものとはいえない。
よって、本願発明1、3、4及び6は、「発明の詳細な説明」に記載したものでない。

(2)本願発明1ないし6について
本願の請求項1に「前記半導体基板と前記電極パッドと前記突起部の少なくとも下方部分とを被覆すると共に前記第2領域から離間し且つ前記第1開口部内の前記第1領域の一部を露出させる第2開口部を備える第2絶縁膜」と記載されている。
しかしながら、「発明の詳細な説明」には、「第2絶縁膜」(絶縁膜13)が「半導体基板」(半導体基板10)の表面に接するものは、記載されていない。
請求項4の「前記半導体基板と前記電極パッドと前記突起部の少なくとも下方部分とを被覆すると共に前記第2領域から離間し且つ前記第1開口部内の前記電極パッドの前記第1領域の一部を露出させる第2開口部を備えた第2絶縁膜を形成する第2絶縁膜形成工程」との記載についても、上記と同様のことがいえる。
また、請求項1を引用する請求項2及び3、並びに請求項4を引用する請求項5及び6についても、上記と同様のことがいえる。
よって、本願発明1ないし6は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

2 理由2(明確性)
(1)本願発明1ないし3について
本願の請求項1に「前記第1開口部内の前記第2領域の一部に複数回にわたりプローブを当接させることにより前記第2領域内に形成された突起部」と記載されているが、「複数回にわたりプローブを当接させることにより形成された突起部」と、「1回だけプローブを当接させることにより形成された突起部」との構造上の相違が不明確であるから、上記記載により特定される技術事項の範囲を明確に特定することができない。
請求項1を引用する請求項2及び3についても、上記と同様のことがいえる。
よって、本願発明1ないし3は、明確でない。

3 理由3(進歩性)
この出願の請求項1ないし6に係る発明は、下記引用文献1、2、4ないし6に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4 理由4(拡大先願)
この出願の請求項1ないし6に係る発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた下記特許出願3の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2005-317685号公報
(当審注.原査定では「引用文献5」として引用されていた文献である。)
2.米国特許出願公開第2007/0164279号明細書
(当審注.原査定では「引用文献6」として引用されていた文献である。)
3.特願2007-72522号(特開2008-235539号)
4.特開2007-317860号公報
5.特開2005-39017号公報
6.特開2001-53075号公報

第4 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、平成29年12月1日付け手続補正書による補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載される事項により特定される、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
半導体基板上に形成された電極パッドと、
前記電極パッドの表面を被覆しかつ前記電極パッドの表面の互いに隣接する第1領域と第2領域とを露出させ、互いに対向する第1端部及び第2端部を有する第1開口部を備え、前記第1領域の前記第2領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第1端部に接し、前記第2領域の前記第1領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第2端部に接する第1絶縁膜と、
前記第1開口部内の前記第2領域の一部にプローブを当接させることにより前記第2領域内に形成された凹部及び突起部と、
前記第1絶縁膜と前記電極パッドと前記突起部の少なくとも下方部分とを被覆すると共に前記第2領域から離間し且つ前記第1開口部内の前記第1領域の一部を露出させる第2開口部を備える第2絶縁膜と、
前記第2開口部を介して前記電極パッドに接続された接続部と、前記接続部から伸長して前記電極パッドの前記凹部及び前記突起部を含む前記第2領域に対応する前記第2絶縁膜の表面の領域と前記第1開口部の前記第2端部に対応する前記第2絶縁膜の表面の領域とを被覆する第1伸長部と、前記接続部から前記第1伸長部とは異なる方向に伸長して外部接続端子に接続された第2伸長部と、を備える再配線層と、を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2絶縁膜の膜厚は1?10μmであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
電極パッドと、前記電極パッドの表面を被覆しかつ前記電極パッドの表面の互いに隣接する第1領域と第2領域とを露出させ、互いに対向する第1端部及び第2端部を有する第1開口部を備え、前記第1領域の前記第2領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第1端部に接し、前記第2領域の前記第1領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第2端部に接する第1絶縁膜とが形成された半導体基板を準備する工程と、
前記第1開口部内の前記第2領域の一部に複数回にわたりプローブを当接させて前記第2領域内に凹部及び突起部を形成する測定工程と、
前記第1絶縁膜と前記電極パッドと前記突起部の少なくとも下方部分とを被覆すると共に前記第2領域から離間し且つ前記第1開口部内の前記電極パッドの前記第1領域の一部を露出させる第2開口部を備えた第2絶縁膜を形成する第2絶縁膜形成工程と、
前記第2開口部と、前記第2絶縁膜の表面の第2伸長領域と、前記第2開口部を挟んで前記第2伸長領域とは異なる方向に伸長して前記第2絶縁膜の表面の前記凹部及び前記突起部を含む前記第2領域に対応する領域及び前記第1開口部の前記第2端部に対応する前記第2絶縁膜の表面の領域を含む第1伸長領域と、に再配線層を形成するためのレジストマスクを形成するレジストマスク形成工程と、
前記第2開口部を介して前記電極パッドに接続されると共に前記第1伸長領域に延在する第1伸長部と前記第2伸長領域に延在する第2伸長部とを備えた前記再配線層を形成する再配線層形成工程と、
前記第2伸長部に接続された外部接続端子を形成する外部接続端子形成工程と、を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2絶縁膜の膜厚は1?10μmであることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。」

第5 引用文献及び引用発明
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載事項
当審拒絶理由及び原査定において引用された特開2005-317685号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(当審注.下線は当審において付したもの。以下において同じ。)
「【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1及び図2は本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置を示し、図1は表面の部材を部分的にはがした状態を示す平面図であり、図2は図1におけるA-A’線部の断面構成を示している。また、図3は、同半導体装置において、半導体ウェハプロセス終了後、半導体チップの電気特性検査を行った段階での素子電極の周辺部分を拡大して示した平面図である。図4は、同半導体装置の断面構成を示した図2のうち、素子電極の周囲の部分を拡大して表示したものである。
【0034】
図1及び図2に示すように、半導体チップ10には半導体素子形成領域11に少なくとも1つの半導体素子が形成されており、半導体チップ10の上には、この半導体素子を含んだ半導体素子形成領域11とこの半導体素子の近傍に配置された素子配置禁止領域12とに跨って半導体チップ10の電極である素子電極13と、この素子電極13の上側を開口するチッ化シリコンからなる保護膜(パッシベーション膜)14とが形成されている。前記素子電極13は、前記半導体素子形成領域上に形成されている領域(接続用領域)13aと、前記素子配置禁止領域上に形成されている領域(検査用領域)13bとで構成されている。
【0035】
保護膜14の上には、素子電極13の上側に開口部を有する感光性絶縁材料からなる第1の絶縁膜15を介して、一方の端部が素子電極13と接続され、他方の端部がCuからなるランド18と接続された金属配線層17が形成されている。前記金属配線層17は、例えばスパッタ法によって形成されたTiからなるバリアメタルとCuからなる下部金属膜とからなる下部金属層16aと、その上方に電気めっき法によって形成されたCuからなる上部金属膜16bとによって構成されている。また、金属配線層17の上を含む第1の絶縁膜15の上にはランド18の上に開口部を有する熱硬化性のエポキシ樹脂からなる第2の絶縁膜19が形成されており、第2の絶縁膜19の開口部には、ランド18と接続される半田の金属バンプ20が形成されている。
【0036】
なお、第1の絶縁膜15を構成する材料は感光性絶縁材料に限られず、絶縁性を有する材料であればよい。また、下部金属層16aのバリアメタルを構成する材料はTiに限られず、保護膜14との強い密着性を有し、下部金属層16aの下部金属膜のエッチング液に対するバリア性を有する材料であれば良く、例えばTiWやCr等を用いても良い。また、下部金属層16aの下部金属膜および上部金属膜16bおよびランド18を構成する材料はCuに限られず、導電性を有する材料であれば良く、それぞれが異なる導電性材料により構成されていても良い。また、上部金属膜16bおよびランド18は、一工程で形成しても良いし、別々の工程で形成しても良い。また、第2の絶縁膜19についても熱硬化性エポキシ樹脂に限られず、絶縁性を有する材料であれば良く、例えば第1の絶縁膜15と同一の感光性絶縁材料でも良い。
【0037】
以上のように構成された本実施の形態の半導体装置において、図3、図4においても拡大して示すように、素子電極13は半導体チップ10の半導体素子形成領域11と素子配置禁止領域12に跨って形成されている。そして特に、半導体素子形成領域11上に形成された領域(接続用領域)13aは、外部接続用端子である金属バンプ20に接続するための金属配線層17との接続のための電極として用いられ、素子配置禁止領域12上に形成された領域(検査用領域)13bは半導体チップ10の電気特性検査のためのプローブ針接続用電極として使用される。また、保護膜14は素子電極13の上部に開口部を有している。
【0038】
また、半導体チップ10の主面において、複数の素子配置禁止領域12同士が半導体素子形成領域11において点在するように適宜間隔をあけて2次元的に配置されており、各素子電極18の接続用領域13aが半導体素子の近傍でかつ金属バンプ20の配設位置近傍に配置されている。
【0039】
ここで、本発明にかかる半導体装置は、半導体ウェハプロセス終了後、半導体チップの電気特性検査工程、外部接続端子形成工程を経て製造される。この場合に、電気特性検査工程においては、特性検査を素子配置禁止領域12上に形成された、素子電極13の検査用領域13bにプローブ針を接触させて行う。したがって、この素子電極13の検査用領域13bにはプローブ針が押し付けられるため、図3に示すように、プローブ痕21が残る。しかし、このようにプローブ痕21がついた場合でも、この検査用領域13bは素子配置禁止領域12上に形成されており、このプローブ痕21上には第1の絶縁膜15が形成されるのみであるので、プローブ針の機械的衝撃によって半導体素子や配線が損傷を受けることはなく、外部接続端子との接続に関与することもない。
【0040】
一方、外部接続端子と接続するための金属配線層17は素子電極13上の半導体素子形成領域11上に形成された、素子電極13の接続用領域13aに形成されるが、この部分にはプローブ痕21が存在しないので、素子電極13の接続用領域13aと金属配線層17は安定した接続状態を確保できる。
【0041】
また、金属配線層17はスパッタ法やめっき法を用いて形成されるが、これらの方法によれば、素子電極13の接続用領域13aとの接続部分に機械的衝撃はほとんど加わらないので、接続用領域13aの下部に配設された回路や配線に影響を与えることもない。
【0042】
また、素子電極13の大きさは従来に比較して大きくなるが、素子電極13のうち、金属配線層17と接続される接続用領域13aは、半導体素子形成領域11上にあるので、半導体チップ10の小型化を阻害することもない。
【0043】
また、外部接続端子としての金属バンプ20の直下には第1の絶縁膜15が存在するので、実装時の機械的衝撃や応力に対して応力緩和作用を有しており、金属バンプ20の配置は下部回路に何ら制約を受けない。
【0044】
さらに、素子電極13のうち、金属配線層17と接続される素子電極18の接続用領域13aは、金属バンプ20の配設位置近傍に配置されているため、金属バンプ20に接続するための金属配線層17の配線長を短くすることができ、半導体装置と外部機器との間で信号の高速伝送が可能となる。
・・・
【0057】
次に、前記のように構成された半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図7(a)?図7(e)および図8(a)?図8(e)および図9(a)?図9(d)は、本発明の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を示しており、図1のA-A’線における工程順の断面構成を示している。
【0058】
まず、図7(a)に示すように、半導体集積回路が半導体素子形成領域11に形成された半導体ウェハ30の主面上に、素子電極13として、半導体素子形成領域11と素子配置禁止領域12とに跨るように接続用領域13aおよび検査用領域13bを形成する。
【0059】
次に、図7(b)に示すように、半導体ウェハ30の主面上に、素子電極13上に開口部を有するように保護膜(パッシベーション膜)14を形成する。
次に、図7(c)に示すように、素子電極13上の素子配置禁止領域12上に形成された検査用領域13bにプローブ針22を接触させ、半導体チップの電気特性検査を行う。
【0060】
次に、図7(d)に示すように、半導体ウェハ30の主面上に、素子電極13上の半導体素子形成領域11上に形成された接続用領域13aに開口部を有するように、第1の絶縁膜15を形成する。
【0061】
次に、図7(e)に示すように、前記開口部の内部を含む、第1の絶縁膜15上に、スパッタリング法によりチタンからなるバリアメタルおよびCuからなる下部金属膜とから構成される下部金属層16aを形成する。なお、バリアメタル及び下部金属膜からなる下部金属層16aの形成は、スパッタリング法に限らず、真空蒸着法、CVD法または無電解めっき法等を用いても良い。また、下部金属層16aのバリアメタルに用いる材料はチタンに限られず、TiWまたはCrを用いても良い。
【0062】
次に、図8(a)に示すように、バリアメタルと下部金属膜で構成される下部金属層16a上の全面にポジ型またはネガ型の感光性レジスト材料を塗布し、所定の形状を有するマスクを用いて露光、現像することにより配線の形状を開口するめっきレジスト膜23を形成する。
【0063】
次に、図8(b)に示すように、めっきレジスト膜23をマスクとして用いた電解めっき法により、下部金属層16aをシードとしてCuからなる上部金属膜16bを形成する。
【0064】
次に、図8(c)に示すように、めっきレジスト膜23を分解して除去する。
次に、図8(d)に示すように、下部金属層16aおよび上部金属膜16b上にドライフィルムレジスト24を形成し、ランド18に対応する部分に開口部を設ける。
【0065】
次に、図8(e)に示すように、ドライフィルムレジスト膜24をマスクとして用いた電気めっき法により、下部金属層16aおよび上部金属膜16bをシードとしてCuからなるランド18を形成する。
【0066】
次に、図9(a)に示すように、ドライフィルムレジスト膜24を分解して除去する。
次に、図9(b)に示すように、まず、塩化第二鉄溶液を用いてウエットエッチングを行う。これにより、上部金属膜16b及びこの上部金属層16bの間に露出する下部金属層16aが溶解されるが、下部金属層16aと比べて上部金属膜16bは十分な厚さを有しており、下部金属層16aが上部金属膜16bよりも先に除去される。なお、ウエットエッチングに用いるエッチング液は塩化第二鉄溶液に限られず、硫酸と過酸化水素との混合液等からなり銅を溶解できるエッチング液であればよい。
【0067】
その後、チタンを溶解するエッチング液としてEDTA(エチレンジアミン四酢酸塩)溶液を用いてバリアメタルを除去して第1の絶縁膜15を露出する。これにより、バリアメタルおよび下部金属膜からなる下部金属層16a及び上部金属膜16bが積層された金属配線層17およびランド18が形成される。
【0068】
次に、図9(c)に示すように、半導体ウェハ10の主面上に、ランド18の上部に金属面が露出するように、熱硬化性のエポキシ樹脂を用いて第2の絶縁膜19を形成する。
次に、図9(d)に示すように、ランド18の上部に半田ボールを載置して溶融することにより外部接続端子である金属バンプ20を形成する。
【0069】
その後、半導体ウェハ10をチップ状態にダイシングすることにより本実施形態の半導体装置を得ることができる。」

(2)引用発明
ア 引用発明1(物の発明)
上記(1)より、引用文献1には下記の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「半導体チップ10上に形成された素子電極13と、
前記素子電極13の表面を被覆し、かつ、前記素子電極13の表面の接続用領域13a及び検査用領域13bの一部を露出させる開口部を有する保護膜14と、
前記検査用領域13bにプローブ針を接触させることにより前記検査用領域13b内に形成されたプローブ痕21と、
前記保護膜14と前記素子電極13とを被覆すると共に、前記接続用領域13aの一部を露出させる開口部を備える絶縁膜15と、
前記絶縁膜15の開口部を介して前記素子電極13に接続されるとともに金属バンプ20に接続された金属配線層17と、を備えることを特徴とする半導体装置。」
イ 引用発明2(製造方法の発明)
上記(1)より、引用文献1には下記の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「素子電極13と、前記素子電極13の表面を被覆し、かつ、前記素子電極13の表面の接続用領域13a及び検査用領域13bの一部を露出させる開口部を有する保護膜14とが形成された半導体ウエハを準備する工程と、
前記検査用領域13bにプローブ針を接触させることにより前記検査用領域13b内にプローブ痕21を形成する電気特性検査工程と、
前記保護膜14と前記素子電極13とを被覆すると共に、前記接続用領域13aの一部を露出させる開口部を備えた絶縁膜15を形成する工程と、
前記絶縁膜15の表面に金属配線層17を形成するためのめっきレジスト膜23を形成する工程と、
前記素子電極13に接続された前記金属配線層17を形成する工程と、
前記金属配線層17に接続された金属バンプ20を形成する工程と、を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。」

2 引用文献2
当審拒絶理由及び原査定において引用された米国特許出願公開第2007/0164279号明細書(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(訳は当審において作成した。)
ア「[0047] Refer to FIG.1. The semiconductor substrate 10 may be a silicon substrate, a GaAs substrate, or a SiGe substrate. A plurality of semiconductor devices 12 is formed in or on the semiconductor substrate 10.」
(訳.[0047] 図1を参照する。半導体基板10は、シリコン基板、GaAs基板、SiGe基板でもよい。複数の半導体装置12が半導体基板10の中または上に形成されている。)
イ「[0060] Refer to FIG.1. An opening 24 in the passivation layer 22 exposes a pad 26.」
(訳.[0060] 図1を参照する。パッシベーション層22における開口部24は、パッド26を露出させる。)
ウ「[0064] Refer to FIG.2C. During a step of testing, a testing probe 32 contacts with the testing area 28 of a pad 26 for electrical testing. Refer to FIG.2D. After the step of testing, the testing probe 32 is removed, and a probe mark 34 is left on the testing area 28. Refer to FIG.2E. A patterned polymer layer 36 is formed over the passivation layer 22 and the testing area 28, and the probe mark 34 is thus covered. An opening 38 in the patterned polymer layer 36 exposes the bond area 30 of the pad 26.」
(訳.[0064] 図2Cを参照されたい。試験工程の間に、検査用プローブ32は、電気的試験用のパッド26の検査領域28に接触する。図2Dを参照されたい。試験工程の後、検査用プローブ32を除去した後に、検査領域28上にプローブ痕34が残る。図2Eを参照されたい。パッシベーション層22および検査領域28の上にパターニングされたポリマー層36が形成され、プローブ痕34が覆われている。ポリマー層36の開口部38は、パッド26の接続領域30を露出させる。)
エ「[0071] In the present invention, the pad 26 has a testing area 28 for electrical testing and a bond area 30 to be electrically connected to an external system. In this embodiment, after the electrical testing is completed, the testing area 28 of the pad 26 is covered with a patterned polymer layer 36.」
(訳.[0071] 本発明においては、パッド26は、電気的検査のための検査領域28と、外部システムと電気的に接続するための接続領域30を有している。本実施の形態では、上記の電気的検査が終了した後、パッド26の検査領域28は、パターニングされたポリマー層36によって覆われている。)
オ「[0077]This embodiment exemplifies the application of the present invention to a redistribution layer (RDL).
・・・
[0078] Refer to FIG.4B. Next, a first metal layer 56 having a thickness of between 1 and 30 μm is electroplated on the seed layer 42 exposed by the first-photoresist-layer opening 54.
・・・
[0080] Refer to FIG.4G. Next, a second metal layer 66 having a thickness of between 1 and 200 μm, e.g. between 20 and 120 μm, is electroplated on the bond area 60 exposed by the second-photoresist-layer opening 64.
・・・
For example, the metal layer 48 may include a gold layer with a thickness of between 10 and 30 μm, for forming a metal bump, or between 1 and 10 μm, for forming a metal trace.」
(訳.[0077] 本実施形態は、本発明を再分配層(RDL)に適用している。
・・・
[0078] 図4Bを参照されたい。次に、第1フォトレジスト層の開口部54によって露出されたシード層42上に、電気めっきにより、厚さ1から30μmの第1金属層56が形成される。
・・・
[0080] 図4Gを参照されたい。次に、1から200μmの間(例えば20から120μm)の厚さを有する第2金属層66を第2フォトレジスト層の開口部64によって露出した接続領域60上に電気メッキにより形成する。
・・・
例えば、金属層48は、金属バンプを形成する場合には10から30μmの、金属トレースを形成する場合には1から10μmの厚さの金層を含んでよい。)

3 先願3
(1)先願3の明細書及び図面の記載事項
当審拒絶理由において引用された特願2007-72522号(特開2008-235539号)(以下、「先願3」という。)の明細書には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0025】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
最初に、本発明の第1の実施の形態における半導体装置の形態について説明する。
【0026】
図1は第1の実施の形態における半導体装置の構成を説明する図であり、(A)は要部断面模式図であり、(B)は拡大図である。
この図に示す半導体装置1は、一例として、ダイシングによって切断される前のウエハ状態の半導体装置の要部が示されている。また、この図の半導体装置1には、ウエハ状のまま、プローブピンによる電気的特性検査が施された状態が示されている。
【0027】
半導体装置1には、Si(シリコン)またはGaAs(ガリウムヒ素)等の半導体基材(半導体ウエハ)10の一方の主面に、所謂ウエハプロセスが適用されて、トランジスタ等の能動素子並びにコンデンサ等の受動素子が配設され(図示しない)、その上層に、これらの素子に接続された電子回路層11が形成されている。
【0028】
電子回路層11上には、さらに電子回路層11に電気的に接続された複数の電極パッド12,13が配設されている。但し、電極パッド12については、再配線用の電極パッドとプローブピン用の電極パッドとを共用する。また、電極パッド12,13の材質は、アルミニウムまたは銅(Cu)を主成分とする柔らかい金属で構成され、電極パッド12には、プローブピンによる接触により糸くず状に生成した突起物12aが生成している。そして、電子回路層11上には、半導体装置1を保護するために、窒化シリコン(SiN)等のパッシベーション膜20が形成されている。
【0029】
パッシベーション膜20並びに電極パッド12上には、電極パッド12上に生成した突起物12aを被覆するように、有機絶縁膜21が形成されている。この有機絶縁膜21の材質は、絶縁性樹脂であり、例えば、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂等で構成される。そして、有機絶縁膜21内には、電極パッド12表面まで貫通する開口部22が設けられている。但し、開口部22は、突起物12aの位置を外すように形成されている。そして、開口部22の底部において、電極パッド12表面が露出している。
【0030】
さらに、有機絶縁膜21上と開口部22の内壁並びに表面が露出した電極パッド12上には、シード層30が形成され、シード層30上に、外部接続用端子に導通させるための再配線層31が形成されている。なお、再配線層31は、銅を主成分とする。
【0031】
そして、半導体装置1は、再配線層31の一部を表出するように封止層40によって封止されている。封止層40の材質は、例えば、エポキシ系樹脂である。さらに、封止層40から表面が露出した再配線層31上には、外部接続用端子としてのバンプ電極(突出電極)50が配設されている。このバンプ電極50は、例えば、金(Au)、銅もしくはこれらの合金または半田等により構成されている。
【0032】
次に、このような半導体装置1の製造方法について、硬化前の有機絶縁膜21の塗布工程から、図2?図5を用いて説明する。なお、以下の図面では、図1と同一の部材には同一の符号を付し、既に説明した部材については、その説明の詳細を省略する。
【0033】
図2は有機絶縁膜塗布工程を説明する図であり、(A)は要部断面模式図であり、(B)は拡大図である。
この図では、プローブピンによる電気的特性検査が行われた後のウエハ状の半導体装置に、ペースト状の有機絶縁膜21aが塗布された状態が示されている。
【0034】
図示するように、半導体基材10上には、予め、素子並びに電子回路層11が形成され、電子回路層11上には、電子回路層11に導通する電極パッド12が形成されている。そして、電極パッド12の一部を被覆するように、パッシベーション膜20が形成されている。そして、電極パッド12には、プローブピンによる電気的特性検査によって発生した、糸くず状の突起物12aが生成している。
【0035】
このようなウエハ状の半導体装置上に、スピンコートにより感光性樹脂である有機絶縁膜21aを塗布する。ここで、有機絶縁膜21aの材質は、エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂等で構成され、光硬化前は、ペースト状である。従って、光硬化前の有機絶縁膜21aは、糸くず状の突起物12a周囲を被覆する程度の粘性を充分に備えている。即ち、有機絶縁膜21aをスピンコートにより半導体装置上に塗布すれば、糸くず状の突起物12aが有機絶縁膜21aによって完全に被覆し、パッシベーション膜20並びに電極パッド12上にも、有機絶縁膜21aが形成する。
【0036】
図3は有機絶縁膜パターニング工程を説明する図であり、(A)は要部断面模式図であり、(B)は拡大図である。この図では、前工程で塗布した有機絶縁膜21aが半導体装置上で硬化し、パターニングされた状態が示されている。
【0037】
前工程で塗布した有機絶縁膜21aに対し、露光用マスクの位置合わせを行い、リソグラフィによって、有機絶縁膜21aを硬化し、半導体装置上にパターニングされた有機絶縁膜21を形成する。
【0038】
ここで、リソグラフィによって、有機絶縁膜21内に電極パッド12表面まで貫通する開口部22を設ける。この開口部22については、上述した露光・リソグラフィによって、電極パッド12に生成した突起物12aが有機絶縁膜21から露出しないように、有機絶縁膜21中に形成する。なお、ここで形成する有機絶縁膜21の膜厚は2?20μmである。
【0039】
図4は再配線層鍍金工程を説明する図であり、(A)は要部断面模式図であり、(B)は拡大図である。この図では、電極パッド12上に再配線層31が鍍金された状態が示されている。
【0040】
電極パッド12表面、開口部22内壁並びに有機絶縁膜21表面に、予め、50?500nmのシード層30をスパッタリングによって成膜する。
そして、再配線層を形成するために、レジストを塗布し、リソグラフィによりパターンニングされたレジスト32から表出したシード層30上に電解鍍金によって、膜厚が3?50μmの再配線層31を形成する。
【0041】
図5は再配線層形成工程を説明する図であり、(A)は要部断面模式図であり、(B)は拡大図である。この図では、電極パッド12上に再配線層31が配設された状態が示されている。
【0042】
前工程で、パターニング形成したレジスト32並びにレジスト32下に位置する不要部分のシード層30をアッシング、エッチングによって除去し、再配線層31を電極パッド12上に形成する。
【0043】
この後については、図1に示す半導体装置1のように、再配線層31の一部を表出するように、封止層40を形成する。そして、封止層40から表面が露出した再配線層31上にバンプ電極50を形成し、バンプ電極50と電極パッド12とを電気的に接続させ、半導体装置1が完成する。ここで、バンプ電極50の形成法としては、金属ワイヤを用いたボールボンディング法、鍍金法、印刷法または転写法等が用いられる。そして、この後は、ダイシングによって、ウエハ状態から所定のチップサイズに個片化された半導体装置が製造される。
【0044】
このように、第1の実施の形態で説明した半導体装置1にあっては、プローブピンによる電気的特性検査によって発生した、糸くず状の突起物12aが有機絶縁膜21によって被覆されている。
【0045】
そして、突起物12aが有機絶縁膜21によって被覆された状態が維持されたまま、電極パッド12上に、再配線層31が形成される。さらに再配線層31上には、外部接続用端子としてのバンプ電極50が形成される。
【0046】
かかる有機絶縁膜21によって、突起物12a下部の被覆性の悪い部分は絶縁膜で覆われるため、電極パッドの表面の腐食が発生せず、その結果、電極パッド12とバンプ電極50との接触不良が低減し、信頼性の高い半導体装置が実現する。
【0047】
また、再配線層用並びに電気的特性検査用を共用する電極パッド12を備えることにより、半導体装置がコンパクトになり、半導体装置の高集積化、低コスト化を図ることができる。」

(2)先願発明
ア 先願発明1(物の発明)
上記(1)より、先願3の明細書及び図面には、下記の発明(以下、「先願発明1」という。)が記載されていると認められる。
「半導体基材10上に形成された電極パッド12と、
前記電極パッド12の表面を被覆し、かつ、前記電極パッド12の表面の一部を露出させる開口部を備えるパッシベーション膜20と、
前記電極パッド12にプローブピンを接触させることにより形成された突起物12aと、
前記パッシベーション膜20及び前記突起物12aを被覆するとともに、前記電極パッド12の表面の一部を露出させる開口部22を備える有機絶縁膜21と、
前記開口部22を介して電極パッド12に接続されるとともに、外部接続用端子に接続された再配線層31と、を備えることを特徴とする半導体装置。」
イ 先願発明2(製造方法の発明)
上記(1)より、先願3の明細書及び図面には、下記の発明(以下、「先願発明2」という。)が記載されていると認められる。
「電極パッド12と、前記電極パッド12の表面を被覆し、かつ、前記電極パッド12の表面の一部を露出させる開口部を備えるパッシベーション膜20とが形成された半導体基材10を準備する工程と、
前記電極パッド12にプローブピンを接触させて突起物12aを形成する電気的特性検査工程と、
前記パッシベーション膜20及び前記突起物12aを被覆するとともに、前記電極パッド12の表面の一部を露出させる開口部22を備える有機絶縁膜21を形成する工程と、
再配線層31を形成するためのレジスト32を形成する工程と、
前記電極パッド12に接続された前記再配線層31を形成する工程と、
前記再配線層31に接続された外部接続用端子を形成する工程と、を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。」

4 引用文献4
当審拒絶理由において引用された特開2007-317860号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0005】
これに対し、一般的に「ウエハレベルCSP」(以下、「ウエハレベルパッケージ」と称する場合がある)と呼ばれ、たとえば図11に示すように、電極103を有し、回路を形成したウエハ102の片面に、絶縁樹脂層104、シード層105、再配線層107、封止樹脂層108、半田バンプ109等が形成され、ウエハごと樹脂封止されたパッケージ構造がある。図11は、従来の半導体装置101の構造を説明する部分拡大図である。このウエハレベルパッケージの製法においては、ウエハ102の上に、絶縁樹脂層104を成膜する。また、前記電極103との電気的接続を得るための開口部を前記絶縁樹脂層104に形成した後、その上に密着層としてのCrをスパッタ法にて成膜すると共に、その上に給電層としてのCuをスパッタ法にて成膜した構造からなるシード層105を成膜する。さらに、その上に樹脂からなるめっきレジスト111を成膜し(図12参照)、目的のパターンに加工する。次いで、Cuの電解めっきを用いて再配線層107を形成し、さらに、前記めっきレジスト111を剥離すると共に、不要なシード層105をエッチングにより除去する。そして、封止樹脂層108を成膜し、Cuパッド107aとなる部分を開口した後、そのパッド107a上に半田バンプ109を形成する。このようにして、ウエハ形状のままパッケージングを済ませ、最終工程においてウエハを所定のチップ寸法にダイシング(切断)することで、パッケージ構造を具備した半導体チップ101を得ることができる。」

5 引用文献5
当審拒絶理由において引用された特開2005-39017号公報(以下、「引用文献5」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0028】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1の半導体装置であるウエハプロセスを応用して形成したCSP、いわゆるウエハレベルCSP(以下、WCSPと略記する)の完成状態を示す斜視図、図2は、WCSPのCu配線(再配線)およびボンディングパッドを示す斜視図、図3は、WCSPの要部拡大断面図である。
【0029】
本実施の形態1のWCSPは、単結晶シリコンからなる半導体チップ(以下、単にチップという)1B、このチップ1Bの主面に形成されたLSI(最上層配線4とボンディングパッドBPのみ図示)、チップ1Bの最上層に形成された複数個の半田バンプ14、ボンディングパッドBPと半田バンプ14とを接続するCu配線2などによって構成されている。
【0030】
上記最上層配線4の上部は、ボンディングパッドBPの上部を除き、表面保護膜3で覆われており、この表面保護膜3の上部は、感光性ポリイミド樹脂膜(有機パッシベーション膜)5で覆われている。
【0031】
上記感光性ポリイミド樹脂膜5の表面には、Cu配線2が形成されている。Cu配線2は、その一端部が感光性ポリイミド樹脂膜5に形成された開孔6を通じてボンディングパッドBPに接続されており、他端部はバンプランド2Aを構成している。そして、バンプランド2Aの表面には、WCSPの外部接続端子を構成する半田バンプ14が接続されている。
【0032】
上記Cu配線2の上部は、バンプランド2Aの上部を除き、最上層保護膜12で覆われている。この最上層保護膜12は、感光性ポリイミド樹脂で構成されているが、下層の感光性ポリイミド樹脂膜5が高温硬化型樹脂で構成されているのに対し、低温硬化型樹脂で構成されている。」

6 引用文献6
当審拒絶理由において引用された特開2001-53075号公報(以下、「引用文献6」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0003】配線材としては、従来よりアルミニウム(Al)が用いられているが、最近では、Alと比較して同じ配線断面積で低い配線抵抗を実現できるCuが用いられている。Cuは、Alと同じ配線ピッチで同じ配線抵抗では配線の厚みを薄くできるため、結果的に配線間容量を小さくすることができる。特に、近年要求されている半導体装置の小型化及び高密度化のニーズに応えるために開発されているチップ・サイズ・パッケージ(CSP)構造を有する半導体装置では、ウエハに作り込まれた各半導体素子(最終的に個々の半導体チップとして分離される部分)の電極パッドを、当該ウエハとの間にポリイミド層等の絶縁層を介して、パッケージ外部に連絡するための再配線を行う必要があるが、その再配線に使用する配線材として、電気的特性に優れているという観点から主にCuが用いられている。
・・・
【0019】次の工程では(図2(b)参照)、後の工程での被覆層形成のための空間を確保するために、Cuめっき層16(図2(a)参照)に対して等方性のエッチングを行い、図示のように配線パターンの形状を最終的な配線層17に対応した所要の配線パターンの形状となるまでパターン幅を細くする。このエッチング処理により、Cuめっき層16の表層部分(上面側及び側面側)が除去され、その除去された部分に等間隔の空間SPが確保される。一方、Cuめっき層16のうち残存した部分は、最終的な配線層17として画定される。この配線層17は「再配線層」とも呼ばれる。本実施形態では、この配線層17の厚さを数十μm程度に選定している。
・・・
【0037】このようなはんだボールを外部接続端子として用いた半導体装置は、その一例が図6に示されており、例えば以下のようにして作製することができる。先ず、第1の実施形態における図1(a)?図2(d)の工程と同様の工程を経た後、金属薄膜14と被覆層18の上にドライフィルム等の感光性のレジストをビア・ポストの形状に従うようにパターニングし、次いで金属薄膜(給電層)14からの給電による電解めっきにより、パターニングされたレジスト層をマスクにしてCuのビア・ポスト41を形成し、さらに必要に応じてビア・ポストの頂上部にバリヤメタル層を形成した後、レジスト層を除去し、露出している給電層14をエッチングにより除去し、さらにウエハ10を封止樹脂(封止樹脂層42)により封止した後、露出したビア・ポスト41の頂上部に外部接続端子としてのはんだボール43をリフローにより接着する。この後、ダイサー等により、封止樹脂層42と共にウエハ10を切断して個々の半導体チップに分離し、各半導体チップを実装基板上に実装する。」

7 引用文献7
原査定において引用された特開2006-310532号公報(以下、「引用文献7」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0040】
(第2実施形態)
図13はこの発明の第2実施形態としての半導体装置の断面図を示す。この半導体装置において、図1に示す半導体装置と異なる点は、半導体構成体2において、配線11の接続パッド部以外の適宜な箇所に対応する部分におけるオーバーコート膜12にテスト用開口部13aを形成し、このテスト用開口部13a内に上層絶縁膜15を埋め込んだ点である。
【0041】
すなわち、図5に示すように、オーバーコート膜12を形成した後において、図7に示すように、半導体構成体2をベース板1の上面に配置する前に、半導体構成体2の電気的テストを行なう必要がある場合には、図5に示すオーバーコート膜12形成工程後に、図14に示すように、配線11の接続パッド部以外の適宜な箇所に対応する部分におけるオーバーコート膜12に、レーザビームの照射によるレーザ加工により、テスト用開口部13aを形成する。そして、この状態において、または、図6に示すようなダイシング工程後に、半導体構成体2の電気的テストを行なう。
【0042】
この場合、テスト用開口部13aは、配線間の電気的接続を図るものではなく、単にテスト用のプローブを挿通してテストを可能とすることを目的とするので、その直径は30?70μm程度と極めて小さくすることができる。このため、配線11の上面はテスト用開口部13aを介して最小限の面積しか露出されない。したがって、図8に示すような工程において、テスト用開口部13a内に上層絶縁膜15を埋め込んだとき、テスト用開口部13aを介して露出された配線11の上面と上層絶縁膜15との密着性が大きく低減してしまうようなことはない。」

8 引用文献8
原査定において引用された特開2005-064218号公報(以下、「引用文献8」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0004】
一点目としては、プローブピンが当てられることにより、パッドの変形やボンディング位置のずれが起こるので、各層間の応力分布が変化する。よって、局所的な応力集中が発生するので、パッドが剥がれてしまうという問題点があった。
【0005】
二点目としては、プローブピンが複数回以上当てられた場合、パッド表面で損傷する部分の面積が増大し、その針痕に圧着ボールが部分的に入り込んでしまう。よって、超音波により接合を行うときにパッドとボールとの真正面どうしが接合されないので、圧着ボールがパッドに完全には接着せずボールが剥がれてしまうという問題点があった。」

9 引用文献9
原査定において引用された特表2003-530697号公報(以下、「引用文献9」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0003】
シリコンウェーハを電気的試験などにおいて探り針で調べる場合に、試験針が、特にAlCuのボンディングパッドが用いられている場合のボンディングパッドの軟らかい表面を傷つけ得ることがよく知られている。AlCuのボンディングパッド1には、図面の図1に示されているようにプローブ針2を用いる電気的試験が施される。プローブ針2は、軟らかい表面を傷つけ、所謂カール3を形成する。
【0004】
インターメタル誘電材料(intermetal dielectric material)4を付し、次いでこの構造(図2参照)を平坦化する(planarize)ために化学機械研磨(CMP)をする後続の処理の間に、カールの部分は、露出状態になり得る(露出カール3a)。
【0005】
更なる処理ステップにおいて、CMPにより露出されるこのカール3aは、図3に図示されているようにボンディングパッドにおける腐食を引き起こし得る。図3において、3bは、露出カール3aから生じる腐食した場所である。」

10 引用文献10
原査定において引用された特開2008-021849号公報(以下、「引用文献10」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0024】
以上のような構成を有する第1再配線層11は、第2層間絶縁膜120により覆われる。なお、第2層間絶縁膜120は、最上層の層間絶縁膜であるとする。また、この第2層間絶縁膜120は、第1層間絶縁膜110上全体に形成されている。第2層間絶縁膜120は、第1層間絶縁膜110と同様に、例えばポリイミドなどに代表される有機系樹脂などの絶縁膜で形成された絶縁膜である。また、第2層間絶縁膜120は、第1再配線層11上面からの膜厚を例えば5μm程度とすることができる。なお、第2層間絶縁膜120は、第1再配線層11上に、当該第1再配線層11の一部を露出させる開口を有する。また、第2層間絶縁膜120の構成材料も、第1層間絶縁膜110の構成材料と同様に、例えば感光性を有する材料(例えば感光性のポリイミドなど)を使用することで、第2層間絶縁膜120を加工する際のフォトリソグラフィ工程が不要となるため製造工程を削減することが可能となる。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)引用発明1との対比・判断
ア 対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1の「半導体チップ10」及び「素子電極13」は、それぞれ、本願発明1の「半導体基板」及び「電極パッド」に相当するといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明1とは、「半導体基板上に形成された電極パッド」を備える点において共通するといえる。
(イ)引用文献1の段落【0034】の記載より、引用発明1の「保護膜14」は「チッ化シリコン」で形成されているから、絶縁性を有することは明らかであり、当該「保護膜14」は、本願発明1の「第1絶縁膜」に相当するといえる。
また、引用発明1の「接続用領域13a」及び「検査用領域13b」のうち、「保護膜14」の開口部により露出された部分(以下、それぞれを単に「接続用領域」及び「検査用領域」という。)は、それぞれ、本願発明1の「第1領域」及び「第2領域」に相当するといえる。
そして、引用文献1の段落【0037】及び【図4】の記載より、引用発明1の「保護膜14」が有する「開口部」は、「『素子電極13』の表面の互いに隣接する『接続用領域』と『検査用領域』とを露出させ」るものであるといえ、当該「開口部」は、本願発明1の「第1開口部」に相当するといえる。
また、引用発明1の「保護膜14」が有する「開口部」の、「接続用領域」側の端部、及び、「検査用領域」側の端部は、それぞれ、本願発明1の「第1端部」及び「第2端部」に相当するといえ、これらの端部は、「互いに対向する」ものであるといえる。
さらに、引用文献1の段落【0037】及び【図4】の記載より、引用発明1の「『接続用領域』の『検査用領域』側とは反対側の端部」は、「『保護膜14』が有する『開口部』の『接続用領域』側の端部」に接しており、また、「『検査用領域』の『接続用領域』側とは反対側の端部」は、「『保護膜14』が有する『開口部』の『検査用領域』側の端部」に接しているといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明1とは、「前記電極パッドの表面を被覆しかつ前記電極パッドの表面の互いに隣接する第1領域と第2領域とを露出させ、互いに対向する第1端部及び第2端部を有する第1開口部を備え、前記第1領域の前記第2領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第1端部に接し、前記第2領域の前記第1領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第2端部に接する第1絶縁膜」を備える点において共通するといえる。
(ウ)引用文献1の段落【0059】及び【図7】の記載より、引用発明1の「プローブ痕21」は、「『保護膜14が有する開口部』内の『検査用領域』の一部にプローブを当接させることにより『検査用領域』内に形成された」ものであるといえる。
また、引用文献1の段落【0039】の記載より、引用発明1の「プローブ痕21」が、微少な「凹部」と「凸部」を有することは明らかであり、当該「凹部」及び「凸部」は、それぞれ、本願発明1の「凹部」及び「突起部」に相当するといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明1とは、「前記第1開口部内の前記第2領域の一部にプローブを当接させることにより前記第2領域内に形成された凹部及び突起部」を備える点において共通するといえる。
(エ)引用発明1の「絶縁膜15」は、本願発明1の「第2絶縁膜」に相当するといえる。
また、引用文献1の段落【0039】、【図3】及び【図4】の記載より、引用発明1の「絶縁膜15」は、「『保護膜14』と『素子電極13』と『プローブ痕21の凸部の少なくとも下方部分』とを被覆する」ものであるといえる。
さらに、引用文献1の段落【0039】、【図3】及び【図4】の記載より、引用発明1の「絶縁膜15」が備える「開口部」は、「『検査用領域』から離間し且つ『保護膜14が有する開口部』内の『接続用領域』の一部を露出させる」ものであるといえ、当該「開口部」は、本願発明1の「第2開口部」に相当するといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明1とは、「前記第1絶縁膜と前記電極パッドと前記突起部の少なくとも下方部分とを被覆すると共に前記第2領域から離間し且つ前記第1開口部内の前記第1領域の一部を露出させる第2開口部を備える第2絶縁膜」を備える点において共通するといえる。
(オ)引用発明1の「金属配線層17」は、後述する相違点1を除き、本願発明1の「再配線層」に相当するといえる。
また、引用発明1の「金属バンプ20」は、本願発明1の「外部接続端子」に相当するといえる。
そして、引用文献1の【図4】の記載より、引用発明1の「金属配線層17」は、「『絶縁膜15が備える開口部』を介して『素子電極13』に接続された部分」(以下、「部分A」という。)と、「前記『部分A』から図中右側に伸長した部分」(以下、「部分B」という。)と、「前記『部分A』から、前記『部分B』とは異なる方向に伸長して『金属バンプ20』に接続された部分」(以下、「部分C」という。)とを備えるものであるといえる。
ここで、上記「部分A」及び「部分C」は、それぞれ、本願発明1の「接続部」及び「第2伸長部」に相当するといえる。
そして、上記「部分B」と、本願発明1の「第1伸長部」とは、「第2絶縁膜(絶縁膜15)の表面を被覆する」点、及び、「伸長部」である点において、共通するといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明1とは、「前記第2開口部を介して前記電極パッドに接続された接続部と、前記接続部から伸長して前記第2絶縁膜の表面を被覆する第1伸長部と、前記接続部から前記第1伸長部とは異なる方向に伸長して外部接続端子に接続された第2伸長部と、を備える再配線層」を備える点において共通し、後述する相違点1において相違するといえる。
(カ)本願発明1と引用発明1とは、「半導体装置」である点において共通するといえる。
(キ)以上より、本願発明1と引用発明1とは、下記aにおいて一致し、下記bにおいて相違すると認める。
a 一致点
「半導体基板上に形成された電極パッドと、
前記電極パッドの表面を被覆しかつ前記電極パッドの表面の互いに隣接する第1領域と第2領域とを露出させ、互いに対向する第1端部及び第2端部を有する第1開口部を備え、前記第1領域の前記第2領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第1端部に接し、前記第2領域の前記第1領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第2端部に接する第1絶縁膜と、
前記第1開口部内の前記第2領域の一部にプローブを当接させることにより前記第2領域内に形成された凹部及び突起部と、
前記第1絶縁膜と前記電極パッドと前記突起部の少なくとも下方部分とを被覆すると共に前記第2領域から離間し且つ前記第1開口部内の前記第1領域の一部を露出させる第2開口部を備える第2絶縁膜と、
前記第2開口部を介して前記電極パッドに接続された接続部と、前記接続部から伸長して前記第2絶縁膜の表面を被覆する第1伸長部と、前記接続部から前記第1伸長部とは異なる方向に伸長して外部接続端子に接続された第2伸長部と、を備える再配線層と、を備えることを特徴とする半導体装置。」
b 相違点
・相違点1
本願発明1の「第1伸長部」は、「前記電極パッドの前記凹部及び前記突起部を含む前記第2領域に対応する前記第2絶縁膜の表面の領域と前記第1開口部の前記第2端部に対応する前記第2絶縁膜の表面の領域とを被覆する」のに対し、引用発明1は当該構成を特定しない点。
イ 判断
相違点1について、検討する。
まず、引用文献1、2、4ないし6、及び8ないし10には、相違点1に係る構成が記載又は示唆されているとはいえない。
次に、引用文献7についてみると、段落【0040】ないし【0042】及び【図13】に、「上層下地金属層17のうち、『半田ボール21』(本願発明1の『外部接続端子』に対応)の方向に延伸した部分が、配線11の接続パッド部(本願発明1の『電極パッド』に対応)以外の箇所に形成された『テスト用開口部13a』の位置に対応する『上層絶縁膜15』(本願発明1の『第2絶縁膜』に対応)の表面の領域を被覆する構成」が記載されているものの、上記「テスト用開口部13a」は「配線11」上に設けられたものであって「接続パッド」(本願発明1の「電極パッド」に対応)上に設けられたものではなく、また、上記「上層下地金属層17」のうち「テスト用開口部13a」の位置に対応する「上層絶縁膜15」を被覆する部分は、「半田ボール21」(本願発明1の「外部接続端子」に対応)の方向に延伸した部分(本願発明1の「第2伸長部」に対応)であって、「半田ボール21」(本願発明1の「外部接続端子」に対応)とは異なる方向に延伸した部分(本願発明1の「第1伸長部」に対応)ではないから、引用文献7に記載された上記構成は、本願発明1の相違点1に係る構成とは相違する。
したがって、引用文献7に、相違点1に係る構成が記載又は示唆されているとはいえない。
以上より、引用文献1、2、4ないし10に、相違点1に係る構成が記載又は示唆されているとはいえない。
そして、本願発明1は相違点1に係る構成を備えることにより、「半導体基板の検査工程において検査プローブが当接される電極パッドの検査用領域の上方には絶縁膜のみならず再配線層が形成されるので、複数回に亘るウエハ検査に起因して、電極パッドの検査用領域に比較的高さの高い突起状のプローブ痕が形成されプローブ痕の突起部先端が絶縁膜の表面から突出した場合でも、当該部分は再配線層によってカバーされる。従って、プローブ痕の突起部を介して電極パッドと封止樹脂とが直接接することを防止することができ、パッケージ内部に水分が侵入した場合でも、電極パッドの腐食の進行を抑制することができるので、高い信頼性を確保することが可能となる。」(本願明細書の段落【0011】)という、引用文献1、2及び4ないし10に記載された発明からは予測することのできない、格別の効果を奏するものである。
したがって、本願発明1は、引用文献1、2及び4ないし10に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)先願発明1との対比・判断
ア 対比
本願発明1と先願発明1とを対比する。
(ア)先願発明1の「半導体基材10」及び「電極パッド12」は、それぞれ、本願発明1の「半導体基板」及び「電極パッド」に相当するといえる。
そうすると、本願発明1と先願発明1とは、「半導体基板上に形成された電極パッド」を備える点において共通するといえる。
(イ)先願3の明細書(以下、「先願3明細書」という。)の段落【0028】の記載より、先願発明1の「パッシベーション膜20」は窒化シリコン(SiN)であるから「絶縁膜」であるといえ、当該「パッシベーション膜20」は、本願発明1の「第1絶縁膜」に相当するといえる。
また、先願3の図面(以下、「先願3図面」という。)の【図1】の記載より、先願発明1の「突起物12a」は、「電極パッド12」の表面の左寄りの位置に形成されているといえ、「電極パッド12」の露出した表面の領域のうち、「突起物12a」が形成された領域及びその左側の領域(以下、両領域を併せて「左領域」という。)は、本願発明1の「第2領域」に相当するといえ、「突起物12a」よりも右側の領域(以下、「右領域」という。)は、本願発明1の「第1領域」に相当するといえる。
そして、先願発明1の「パッシベーション膜20」が備える「開口部」は、本願発明1の「第1開口部」に相当するといえ、当該「開口部」の左側の端部(以下、「左端部」という。)、及び右側の端部(以下、「右端部」という。)は、それぞれ、本願発明1の「第2端部」及び「第1端部」に相当するといえ、先願3図面の【図1】の記載より、「右端部」と「左端部」は、「互いに対向する」ものであるといえる。
また、先願3明細書の段落【0028】及び先願3図面の【図1】の記載より、先願発明1の「パッシベーション膜20」が備える「開口部」は、「電極パッド12」の表面の互いに隣接する「右領域」と「左領域」とを露出させるものであるといえる。
さらに、先願3明細書の段落【0028】及び先願3図面の【図1】の記載より、先願発明1の「『右領域』の、『左領域』とは反対側の端部」は、「右端部」に接するものであり、「『左領域』の、『右領域』とは反対側の端部」は、「左端部」に接するものであるといえる。
そうすると、本願発明1と先願発明1とは、「前記電極パッドの表面を被覆しかつ前記電極パッドの表面の互いに隣接する第1領域と第2領域とを露出させ、互いに対向する第1端部及び第2端部を有する第1開口部を備え、前記第1領域の前記第2領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第1端部に接し、前記第2領域の前記第1領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第2端部に接する第1絶縁膜」を備える点において共通するといえる。
(ウ)先願3明細書の段落【0028】及び先願3図面の【図1】の記載より、先願発明1の「パッシベーション膜20」が備える「開口部」内の「左領域」には、プローブピンの接触により「突起物12a」が生成しているものと認められ、当該「突起物12a」は、本願発明1の「突起部」に相当するといえる。
また、先願発明1における「プローブピンの接触」は、「プローブを当接させること」であるといえる。
そうすると、本願発明1と先願発明1とは、「プローブを当接させることにより前記第2領域内に形成された突起部」を備える点において共通し、後述する相違点2において相違するといえる。
(エ)先願3明細書の段落【0029】及び先願3図面の【図1】の記載より、先願発明1の「有機絶縁膜21」は、「『パッシベーション膜20』と『電極パッド12』と『突起物12a』の少なくとも下方部分とを被覆する」ものであるといえ、当該「有機絶縁膜21」は、本願発明1の「第2絶縁膜」に相当するといえる。
また、先願3明細書の段落【0029】及び先願3図面の【図1】の記載より、先願発明1の「有機絶縁膜21」が有する「開口部22」は、「『左領域』から離間し且つ『パッシベーション膜20が備える開口部』内の『右領域』の一部を露出させる」ものであるといえ、当該「開口部22」は、本願発明1の「第2開口部」に相当するといえる。
そうすると、本願発明1と先願発明1とは、「前記第1絶縁膜と前記電極パッドと前記突起部の少なくとも下方部分とを被覆すると共に前記第2領域から離間し且つ前記第1開口部内の前記第1領域の一部を露出させる第2開口部を備える第2絶縁膜」を備える点において共通するといえる。
(オ)先願発明1の「再配線層31」及び「外部接続用端子」は、それぞれ、本願発明1の「再配線層」及び「外部接続端子」に相当するといえる。
また、先願3明細書の段落【0030】及び先願3図面の【図1】の記載より、先願発明1の「再配線層31」は、「『開口部22』を介して『電極パッド12』に接続された接続部」と、「前記接続部から伸長して『電極パッド12』の『突起部』を含む『左領域』に対応する『有機絶縁膜21』の表面の領域と、『パッシベーション膜20が備える開口部』の『左端部』に対応する『有機絶縁膜21』の表面の領域とを被覆する第1伸長部」と、「前記接続部から前記第1伸長部とは異なる方向に伸長して『外部接続用端子』に接続された第2伸長部」とを備えたものであるといえる。
そうすると、本願発明1と先願発明1とは、「前記第2開口部を介して前記電極パッドに接続された接続部と、前記接続部から伸長して前記電極パッドの前記突起部を含む前記第2領域に対応する前記第2絶縁膜の表面の領域と前記第1開口部の前記第2端部に対応する前記第2絶縁膜の表面の領域とを被覆する第1伸長部と、前記接続部から前記第1伸長部とは異なる方向に伸長して外部接続端子に接続された第2伸長部と、を備える再配線層」を備える点において共通し、後述する相違点2において相違するといえる。
(カ)本願発明1と先願発明1とは、「半導体装置」である点において共通するといえる。
(キ)以上より、本願発明1と先願発明1とは、下記aにおいて一致し、下記bにおいて相違すると認める。
a 一致点
「半導体基板上に形成された電極パッドと、
前記電極パッドの表面を被覆しかつ前記電極パッドの表面の互いに隣接する第1領域と第2領域とを露出させ、互いに対向する第1端部及び第2端部を有する第1開口部を備え、前記第1領域の前記第2領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第1端部に接し、前記第2領域の前記第1領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第2端部に接する第1絶縁膜と、
プローブを当接させることにより前記第2領域内に形成された突起部と、
前記第1絶縁膜と前記電極パッドと前記突起部の少なくとも下方部分とを被覆すると共に前記第2領域から離間し且つ前記第1開口部内の前記第1領域の一部を露出させる第2開口部を備える第2絶縁膜と、
前記第2開口部を介して前記電極パッドに接続された接続部と、前記接続部から伸長して前記電極パッドの前記突起部を含む前記第2領域に対応する前記第2絶縁膜の表面の領域と前記第1開口部の前記第2端部に対応する前記第2絶縁膜の表面の領域とを被覆する第1伸長部と、前記接続部から前記第1伸長部とは異なる方向に伸長して外部接続端子に接続された第2伸長部と、を備える再配線層と、を備えることを特徴とする半導体装置。」
b 相違点
・相違点2
本願発明1は、「前記第1開口部内の前記第2領域の一部にプローブを当接させることにより前記第2領域内に形成された凹部及び突起部」を備え、「第2領域」が「凹部を含む」のに対し、先願発明1は、プローブを「第2領域」(左領域)に当接させるとは特定せず、また、「第2領域」(左領域)に「凹部」が形成されるとは特定しない点。
イ 判断
相違点2について、検討する。
相違点2は、本願発明1が、電極パッドをコンタクト用の第1領域と検査用の第2領域に分離した電極パッド構造を技術的前提にした発明であるのに対して、先願発明1は、当該技術的前提を有しない点に起因する。
当該技術的前提について、先願3の明細書、特許請求の範囲又は図面には開示も示唆もなく、また、当該技術的前提がない以上、具体的構成を変更する契機もなく、相違点2が課題解決のための具体的手段における微差であるとはいえない。
したがって、本願発明1と先願発明1が同一であるとはいえない。

2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1の発明特定事項を全て備え、さらに他の構成を付加したものである。
そうすると、上記1(1)イのとおり、本願発明1が、引用文献1、2及び4ないし10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本願発明2は、引用文献1、2及び4ないし10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、上記1(2)イのとおり、本願発明1と先願発明1が同一であるとはいえない以上、本願発明2と先願発明1が同一であるとはいえない。

3 本願発明3について
(1)引用発明2との対比・判断
ア 対比
本願発明3と引用発明2とを対比する。
(ア)引用発明2の「素子電極13」は、本願発明3の「電極パッド」に相当するといえる。
また、引用文献1の段落【0034】の記載より、引用発明2の「保護膜14」は「チッ化シリコン」で形成されているから、絶縁性を有することは明らかであり、当該「保護膜14」は、本願発明3の「第1絶縁膜」に相当するといえる。
そして、引用発明2の「接続用領域13a」及び「検査用領域13b」のうち、「保護膜14」の開口部により露出された部分(以下、それぞれを単に「接続用領域」及び「検査用領域」という。)は、それぞれ、本願発明3の「第1領域」及び「第2領域」に相当するといえる。
また、引用文献1の段落【0037】、【0058】、【0059】、【図4】及び【図7】の記載より、引用発明2の「保護膜14」が有する「開口部」は、「『素子電極13』の表面の互いに隣接する『接続用領域』と『検査用領域』とを露出させ」るものであるといえ、当該「開口部」は、本願発明3の「第1開口部」に相当するといえる。
そして、引用文献1の段落【0037】、【0058】、【0059】、【図4】及び【図7】の記載より、引用発明2の「保護膜14」が有する「開口部」の、「接続用領域」側の端部、及び、「検査用領域」側の端部は、それぞれ、本願発明3の「第1端部」及び「第2端部」に相当するといえ、これらの端部は、「互いに対向する」ものであるといえる。
また、引用文献1の段落【0037】、【0058】、【0059】、【図4】及び【図7】の記載より、引用発明2の「『接続用領域』の『検査用領域』側とは反対側の端部」は、「『保護膜14』が有する『開口部』の『接続用領域』側の端部」に接しており、また、「『検査用領域』の『接続用領域』側とは反対側の端部」は、「『保護膜14』が有する『開口部』の『検査用領域』側の端部」に接しているといえる。
そして、引用発明2の「半導体ウエハ」は、本願発明3の「半導体基板」に相当するといえる。
そうすると、本願発明3と引用発明2とは、「電極パッドと、前記電極パッドの表面を被覆しかつ前記電極パッドの表面の互いに隣接する第1領域と第2領域とを露出させ、互いに対向する第1端部及び第2端部を有する第1開口部を備え、前記第1領域の前記第2領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第1端部に接し、前記第2領域の前記第1領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第2端部に接する第1絶縁膜とが形成された半導体基板を準備する工程」を備える点において共通するといえる。
(イ)引用文献1の段落【0059】及び【図7】の記載より、引用発明2の「前記検査用領域13bにプローブ針を接触させることにより前記検査用領域13b内にプローブ痕21を形成する工程」は、「『保護膜14』が有する『開口部』内の『検査用領域』の一部にプローブを当接させて『検査用領域』内に『プローブ痕21』を形成する測定工程」であるといえる。
また、引用文献1の段落【0039】の記載より、引用発明2の「プローブ痕21」が、微少な凹部と凸部を有することは明らかであり、当該「凹部」及び「凸部」は、それぞれ、本願発明3の「凹部」及び「突起部」に相当するといえる。
そうすると、本願発明3と引用発明2とは、「前記第1開口部内の前記第2領域の一部にプローブを当接させて前記第2領域内に凹部及び突起部を形成する測定工程」を備える点において共通し、後述する相違点3において相違するといえる。
(ウ)引用発明2の「絶縁膜15」は、本願発明3の「第2絶縁膜」に相当するといえる。
また、引用文献1の段落【0039】、【0060】、【図3】、【図4】及び【図7】の記載より、引用発明2の「絶縁膜15」は、「『保護膜14』と『素子電極13』と『プローブ痕21の凸部の少なくとも下方部分』とを被覆する」ものであるといえる。
さらに、引用文献1の段落【0039】、【0060】、【図3】、【図4】及び【図7】の記載より、引用発明2の「絶縁膜15」が備える「開口部」は、「『検査用領域』から離間し且つ『保護膜14が有する開口部』内の『接続用領域』の一部を露出させる」ものであるといえ、当該「開口部」は、本願発明3の「第2開口部」に相当するといえる。
そうすると、本願発明3と引用発明2とは、「前記第1絶縁膜と前記電極パッドと前記突起部の少なくとも下方部分とを被覆すると共に前記第2領域から離間し且つ前記第1開口部内の前記電極パッドの前記第1領域の一部を露出させる第2開口部を備えた第2絶縁膜を形成する第2絶縁膜形成工程」を備える点において共通するといえる。
(エ)引用発明2の「金属配線層17」は、後述する相違点4を除き、本願発明3の「再配線層」に相当するといえる。
また、引用発明2の「金属バンプ20」は、本願発明3の「外部接続端子」に相当するといえる。
そして、引用文献1の【図4】、【図8】及び【図9】の記載より、引用発明2の「金属配線層17」は、左右に伸長した部分を備えるものであるといえ、当該「金属配線層17」のうち、左側に伸長した部分は、本願発明3の「第2伸長部」に相当するといえ、右側に伸長した部分は、後述する相違点4を除き、本願発明3の「第1伸長部」に相当するといえ、これらの部分は「異なる方向に伸長」しているといえる。
また、上記「金属配線層17」のうち、左側に伸長した部分が形成される領域は、本願発明3の「第2伸長領域」に相当するといえ、右側に伸長した部分が形成される領域は、本願発明3の「第1伸長領域」に相当するといえる。
そして、引用発明2の「めっきレジスト膜23」は、本願発明3の「レジストマスク」に相当するといえる。
そうすると、本願発明3と引用発明2とは、「前記第2開口部と、前記第2絶縁膜の表面の第2伸長領域と、前記第2開口部を挟んで前記第2伸長領域とは異なる方向に伸長する第1伸長領域と、に再配線層を形成するためのレジストマスクを形成するレジストマスク形成工程」を備える点において共通し、後述する相違点4において相違するといえる。
(オ)引用文献1の【図8】及び【図9】の記載より、引用発明2の「前記素子電極13に接続された前記金属配線層17を形成する工程」は、本願発明3の「前記第2開口部を介して前記電極パッドに接続されると共に前記第1伸長領域に延在する第1伸長部と前記第2伸長領域に延在する第2伸長部とを備えた前記再配線層を形成する再配線層形成工程」に相当するといえる。
(カ)引用文献1の【図9】の記載より、引用発明2の「前記金属配線層17に接続された金属バンプ20を形成する工程」は、本願発明3の「前記第2伸長部に接続された外部接続端子を形成する外部接続端子形成工程」に相当するといえる。
(キ)本願発明3と引用発明2とは、「半導体装置の製造方法」である点において共通するといえる。
(ク)以上より、本願発明3と引用発明2とは、下記aにおいて一致し、下記bにおいて相違すると認める。
a 一致点
「電極パッドと、前記電極パッドの表面を被覆しかつ前記電極パッドの表面の互いに隣接する第1領域と第2領域とを露出させ、互いに対向する第1端部及び第2端部を有する第1開口部を備え、前記第1領域の前記第2領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第1端部に接し、前記第2領域の前記第1領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第2端部に接する第1絶縁膜とが形成された半導体基板を準備する工程と、
前記第1開口部内の前記第2領域の一部にプローブを当接させて前記第2領域内に凹部及び突起部を形成する測定工程と、
前記第1絶縁膜と前記電極パッドと前記突起部の少なくとも下方部分とを被覆すると共に前記第2領域から離間し且つ前記第1開口部内の前記電極パッドの前記第1領域の一部を露出させる第2開口部を備えた第2絶縁膜を形成する第2絶縁膜形成工程と、
前記第2開口部と、前記第2絶縁膜の表面の第2伸長領域と、前記第2開口部を挟んで前記第2伸長領域とは異なる方向に伸長する第1伸長領域と、に再配線層を形成するためのレジストマスクを形成するレジストマスク形成工程と、
前記第2開口部を介して前記電極パッドに接続されると共に前記第1伸長領域に延在する第1伸長部と前記第2伸長領域に延在する第2伸長部とを備えた前記再配線層を形成する再配線層形成工程と、
前記第2伸長部に接続された外部接続端子を形成する外部接続端子形成工程と、を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。」
b 相違点
・相違点3
本願発明3では、「測定工程」において、プローブを複数回にわたり当接させるのに対し、引用発明2は当該構成を特定しない点。
・相違点4
本願発明3では、「第1伸長領域」が「前記第2絶縁膜の表面の前記凹部及び前記突起部を含む前記第2領域に対応する領域及び前記第1開口部の前記第2端部に対応する前記第2絶縁膜の表面の領域を含む」のに対し、引用発明2は当該構成を特定しない点。
イ 判断
相違点4について、検討する。
引用文献1、2及び4ないし10に、相違点4に係る構成が記載又は示唆されているとはいえない。
そして、本願発明3は相違点4に係る構成を備えることにより、「半導体基板の検査工程において検査プローブが当接される電極パッドの検査用領域の上方には絶縁膜のみならず再配線層が形成されるので、複数回に亘るウエハ検査に起因して、電極パッドの検査用領域に比較的高さの高い突起状のプローブ痕が形成されプローブ痕の突起部先端が絶縁膜の表面から突出した場合でも、当該部分は再配線層によってカバーされる。従って、プローブ痕の突起部を介して電極パッドと封止樹脂とが直接接することを防止することができ、パッケージ内部に水分が侵入した場合でも、電極パッドの腐食の進行を抑制することができるので、高い信頼性を確保することが可能となる。」(本願明細書の段落【0011】)という、引用文献1、2及び4ないし10に記載された発明からは予測することのできない、格別の効果を奏するものである。
したがって、相違点3について検討するまでもなく、本願発明3は、引用文献1、2及び4ないし10に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

(2)先願発明2との対比・判断
ア 対比
本願発明3と先願発明2とを対比する。
(ア)先願発明2の「半導体基材10」及び「電極パッド12」は、それぞれ、本願発明3の「半導体基板」及び「電極パッド」に相当するといえる。
また、先願3明細書の段落【0028】の記載より、先願発明2の「パッシベーション膜20」は「絶縁膜」であるといえ、当該「パッシベーション膜20」は、本願発明3の「第1絶縁膜」に相当するといえる。
また、先願3図面の【図1】の記載より、先願発明2の「突起物12a」は、「電極パッド12」の表面の左寄りの位置に形成されているといえ、「電極パッド12」の露出した表面の領域のうち、「突起物12a」が形成された領域及びその左側の領域(以下、両領域を併せて「左領域」という。)は、本願発明3の「第2領域」に相当するといえ、「突起物12a」よりも右側の領域(以下、「右領域」という。)は、本願発明3の「第1領域」に相当するといえる。
そして、先願発明2の「パッシベーション膜20」が備える「開口部」は、本願発明3の「第1開口部」に相当するといえ、当該「開口部」の左側の端部(以下、「左端部」という。)、及び右側の端部(以下、「右端部」という。)は、それぞれ、本願発明3の「第2端部」及び「第1端部」に相当するといえ、先願3図面の【図1】の記載より、「右端部」と「左端部」は、「互いに対向する」ものであるといえる。
また、先願3明細書の段落【0029】及び先願3図面の【図1】の記載より、先願発明2の「パッシベーション膜20」が備える「開口部」は、「電極パッド12」の表面の、互いに隣接する「右領域」と「左領域」とを露出させるものであるといえる。
さらに、先願3明細書の段落【0029】及び先願3図面の【図1】の記載より、先願発明2の「『右領域』の、『左領域』とは反対側の端部」は、「右端部」に接するものであり、「『左領域』の、『右領域』とは反対側の端部」は、「左端部」に接するものであるといえる。
そうすると、本願発明3と先願発明2とは、「電極パッドと、前記電極パッドの表面を被覆しかつ前記電極パッドの表面の互いに隣接する第1領域と第2領域とを露出させ、互いに対向する第1端部及び第2端部を有する第1開口部を備え、前記第1領域の前記第2領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第1端部に接し、前記第2領域の前記第1領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第2端部に接する第1絶縁膜とが形成された半導体基板を準備する工程」を備える点において共通するといえる。
(イ)先願3明細書の段落【0028】及び【0034】、並びに先願3図面の【図1】の記載より、先願発明2の「前記電極パッド12にプローブピンを接触させて突起物12aを形成する電気的特性検査工程」においては、プローブピンを接触させて、「左領域」内に「突起物12a」が生成されるものと認められ、当該「突起物12a」は、本願発明1の「突起部」に相当するといえる。
また、先願発明2の「プローブピンを接触させ」ることは、「プローブを当接させること」であるといえ、先願発明2の「電気的特性検査工程」は「測定工程」であるといえる。
そうすると、本願発明3と先願発明2とは、「プローブを当接させて前記第2領域内に突起部を形成する測定工程」を備える点において共通し、後述する相違点5及び6において相違するといえる。
(ウ)先願3明細書の段落【0029】及び【0035】ないし【0038】、並びに先願3図面の【図1】及び【図3】の記載より、先願発明2の「有機絶縁膜21」は、「『パッシベーション膜20』と『電極パッド12』と『突起物12a』の少なくとも下方部分とを被覆する」ものであるといえ、当該「有機絶縁膜21」は、本願発明3の「第2絶縁膜」に相当するといえる。
また、先願3明細書の段落【0029】及び【0035】ないし【0038】、並びに先願3図面の【図1】及び【図3】の記載より、先願発明2の「有機絶縁膜21」が備える「開口部22」は、「『左領域』から離間し且つ『パッシベーション膜20が備える開口部』内の『右領域』の一部を露出させる」ものであるといえ、当該「開口部22」は、本願発明3の「第2開口部」に相当するといえる。
そうすると、本願発明3と先願発明2とは、「前記第1絶縁膜と前記電極パッドと前記突起部の少なくとも下方部分とを被覆すると共に前記第2領域から離間し且つ前記第1開口部内の前記電極パッドの前記第1領域の一部を露出させる第2開口部を備えた第2絶縁膜を形成する第2絶縁膜形成工程」を備える点において共通するといえる。
(エ)先願発明2の「再配線層31」、「外部接続用端子」及び「レジスト32」は、それぞれ、本願発明3の「再配線層」、「外部接続端子」及び「レジストマスク」に相当するといえる。
また、先願3明細書の段落【0030】及び【0039】ないし【0042】、並びに先願3図面の【図1】及び【図4】の記載より、先願発明2では、「レジスト32」によって、「開口部22」と、「『有機絶縁膜21』の表面の、外部接続用端子に向かって伸長した領域」(本願発明3の「第2伸長領域」に相当)と、「上記『外部接続用端子に向かって伸長した領域』とは異なる方向に伸長して、『有機絶縁膜21』の表面の『突起物12aを含む左領域に対応する領域』及び『パッシベーション膜20が備える開口部の左端部』に対応する『有機絶縁膜21』の表面の領域を含む領域」(本願発明3の「第1伸長領域」に相当)とに、「再配線層」を形成するといえる。
そうすると、本願発明3と先願発明2とは、「前記第2開口部と、前記第2絶縁膜の表面の第2伸長領域と、前記第2開口部を挟んで前記第2伸長領域とは異なる方向に伸長して前記第2絶縁膜の表面の前記突起部を含む前記第2領域に対応する領域及び前記第1開口部の前記第2端部に対応する前記第2絶縁膜の表面の領域を含む第1伸長領域と、に再配線層を形成するためのレジストマスクを形成するレジストマスク形成工程」を備える点において共通し、後述する相違点6において相違するといえる。
(オ)先願3明細書の段落【0030】及び【0039】ないし【0042】、並びに先願3図面の【図1】及び【図4】の記載より、先願発明2の「再配線層31」は、「開口部22」を介して「電極パッド12」に接続されると共に、「『有機絶縁膜21』の表面の、外部接続用端子に向かって伸長した領域(本願発明3の『第2伸長領域』に相当)に延在する部分」(本願発明3の「第2伸長部」に相当)と、「上記『外部接続用端子に向かって伸長した領域』(本願発明3の『第2伸長領域』に相当)とは異なる方向に伸長して、『有機絶縁膜21』の表面の『突起物12aを含む左領域に対応する領域』及び『パッシベーション膜20が備える開口部』の左端部に対応する『有機絶縁膜21』の表面の領域を含む領域(本願発明3の『第1伸長領域』に相当)に延在する部分」(本願発明3の「第1伸長部」に相当)とを備えるものであるといえる。
そうすると、本願発明3と先願発明2とは、「前記第2開口部を介して前記電極パッドに接続されると共に前記第1伸長領域に延在する第1伸長部と前記第2伸長領域に延在する第2伸長部とを備えた前記再配線層を形成する再配線層形成工程」を備える点において共通するといえる。
(カ)先願3明細書の段落【0045】並びに先願3図面の【図1】及び【図4】の記載より、先願発明2の「前記再配線層31に接続された外部接続用端子を形成する工程」は、本願発明3の「前記第2伸長部に接続された外部接続端子を形成する外部接続端子形成工程」に相当するといえる。
(キ)本願発明3と先願発明2とは、「半導体装置の製造方法」である点において共通するといえる。
(ク)以上より、本願発明3と先願発明2とは、下記aにおいて一致し、下記bにおいて相違すると認める。
a 一致点
「電極パッドと、前記電極パッドの表面を被覆しかつ前記電極パッドの表面の互いに隣接する第1領域と第2領域とを露出させ、互いに対向する第1端部及び第2端部を有する第1開口部を備え、前記第1領域の前記第2領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第1端部に接し、前記第2領域の前記第1領域側とは反対側の端部が前記第1開口部の前記第2端部に接する第1絶縁膜とが形成された半導体基板を準備する工程と、
プローブを当接させて前記第2領域内に突起部を形成する測定工程と、
前記第1絶縁膜と前記電極パッドと前記突起部の少なくとも下方部分とを被覆すると共に前記第2領域から離間し且つ前記第1開口部内の前記電極パッドの前記第1領域の一部を露出させる第2開口部を備えた第2絶縁膜を形成する第2絶縁膜形成工程と、
前記第2開口部と、前記第2絶縁膜の表面の第2伸長領域と、前記第2開口部を挟んで前記第2伸長領域とは異なる方向に伸長して前記第2絶縁膜の表面の前記突起部を含む前記第2領域に対応する領域及び前記第1開口部の前記第2端部に対応する前記第2絶縁膜の表面の領域を含む第1伸長領域と、に再配線層を形成するためのレジストマスクを形成するレジストマスク形成工程と、
前記第2開口部を介して前記電極パッドに接続されると共に前記第1伸長領域に延在する第1伸長部と前記第2伸長領域に延在する第2伸長部とを備えた前記再配線層を形成する再配線層形成工程と、
前記第2伸長部に接続された外部接続端子を形成する外部接続端子形成工程と、を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。」
b 相違点
・相違点5
本願発明3では、「測定工程」において、プローブを複数回にわたり当接させるのに対し、先願発明2は当該構成を特定しない点。
・相違点6
本願発明3では、「測定工程」において、第2領域の一部にプローブを当接させて前記第2領域内に凹部を形成し、「第2領域」が「凹部を含む」のに対し、先願発明2は、プローブを「第2領域」(左領域)に当接させるとは特定せず、また、「第2領域」(左領域)に「凹部」が形成されるとは特定しない点。
イ 判断
相違点6について、検討する。
相違点6は、本願発明3が、電極パッドをコンタクト用の第1領域と検査用の第2領域に分離した電極パッド構造を技術的前提にした発明であるのに対して、先願発明2は、当該技術的前提を有しない点に起因する。
当該技術的前提について、先願3の明細書、特許請求の範囲又は図面には開示も示唆もなく、また、当該技術的前提がない以上、具体的構成を変更する契機もなく、相違点6が課題解決のための具体的手段における微差であるとはいえない。
したがって、相違点5について検討するまでもなく、本願発明3と先願発明2が同一であるとはいえない。

4 本願発明4について
本願発明4は、本願発明3の発明特定事項を全て備え、さらに他の構成を付加したものである。
そうすると、上記3(1)イのとおり、本願発明3が、引用文献1、2及び4ないし10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本願発明4は、引用文献1、2及び4ないし10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、上記3(2)イのとおり、本願発明3と先願発明2が同一であるとはいえない以上、本願発明4と先願発明2が同一であるとはいえない。

5 まとめ
以上のとおり、本願発明1ないし4は、引用文献1、2及び4ないし10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本願発明1ないし4は、先願3の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された先願発明1又は2と同一であるとはいえない。

第7 原査定について
上記第6の5のとおり、本願発明1ないし4は、引用文献1、2及び4ないし10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、原査定の理由によって本願を拒絶することはできない。

第8 当審拒絶理由について
1 理由1(サポート要件)について
(1)当審拒絶理由の理由1(1)において、「本願発明1、3、4及び6は、『第2の絶縁膜』のみによって『突起部』の全体を完全に被覆した上で、『外部接続端子』との接続のために『再配線層』を『第1伸長部』の側に延伸したものを包含するものと認められるが、そのような発明は『発明の詳細な説明』には記載されておらず、また、『発明の詳細な説明』に記載された課題に対応するものとはいえない」旨が指摘されたが、平成29年12月1日付けの手続補正により、本願発明1ないし4は、「『第2の絶縁膜』のみによって『突起部』の全体を完全に被覆した上で、『外部接続端子』との接続のために『再配線層』を『第1伸長部』の側に延伸したもの」を包含しないこととなったから、上記拒絶の理由は解消した。
(2)当審拒絶理由の理由1(2)において、「『発明の詳細な説明』には、『第2絶縁膜』(絶縁膜13)が『半導体基板』(半導体基板10)の表面に接するものは、記載されていない。」旨が指摘されたが、平成29年12月1日付けの手続補正により、本願発明1ないし4は、「『第2絶縁膜』(絶縁膜13)が『半導体基板』(半導体基板10)の表面に接するもの」を包含しないこととなったから、上記拒絶の理由は解消した。

2 理由2(明確性)について
(1)当審拒絶理由の理由2(1)において、「『複数回にわたりプローブを当接させることにより形成された突起部』と、『1回だけプローブを当接させることにより形成された突起部』との構造上の相違が不明確である」旨が指摘されたが、平成29年12月1日付けの手続補正により、請求項1の「複数回にわたり」との記載が削除されたため、上記拒絶の理由は解消した。

3 理由3(進歩性)について
上記第6の5のとおり、本願発明1ないし4は、引用文献1、2及び4ないし10に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、当審拒絶理由の「理由3」によって本願を拒絶することはできない。

4 理由4(拡大先願)について
上記第6の5のとおり、本願発明1ないし4は、先願3の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された先願発明1又は2と同一であるとはいえないから、当審拒絶理由の「理由4」によって本願を拒絶することはできない。

第9 結言
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-02-05 
出願番号 特願2015-138339(P2015-138339)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H01L)
P 1 8・ 121- WY (H01L)
P 1 8・ 161- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 正山 旭  
特許庁審判長 飯田 清司
特許庁審判官 須藤 竜也
大嶋 洋一
発明の名称 半導体装置および半導体装置の製造方法  
代理人 藤村 元彦  
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