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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1336909
審判番号 不服2017-6243  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-28 
確定日 2018-02-20 
事件の表示 特願2012-221732「X線CT装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月24日出願公開、特開2014- 73212、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
特許出願: 平成24年10月3日
拒絶査定: 平成29年1月25日(送達日:同年同月31日)
拒絶査定不服審判の請求: 平成29年4月28日
手続補正: 平成29年4月28日
拒絶理由通知: 平成29年10月24日
(以下、「当審拒絶理由」という。発送日:同年11月7日)
手続補正: 平成29年12月25日(以下、「本件補正」という。)


第2 本願発明
本願請求項1-11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願発明は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
被検体にX線を照射するX線源を有し、前記X線源を被検体の体軸を中心に回転させる回転部と、
前記回転部を外周方向から挟むように支持する一対の縦フレームと、一対の縦フレームの下端部同士を連結する横フレームと、前記横フレーム及び前記縦フレームに両端部を連結する斜め部材と、を有する固定部と、
複数の電気機器と、
を有し、
前記複数の電気機器は、前記横フレーム、前記縦フレーム及び前記斜め部材各々の少なくとも一部によって構成されるコーナー部に互いに側面同士の重なり部分を減らすことによりずらして収納され、
前記斜め部材は、一対の縦フレームの間における前記回転部の収容空間と前記コーナー部とを仕切り、
前記横フレームと前記電気機器との間に外気が通る通気用の隙間が設けられていること、
を特徴とするX線CT装置。
【請求項2】
前記斜め部材は、前記収容空間と前記コーナー部とを連絡させる複数の連絡穴を有すること、
を特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記斜め部材は、前記回転部の回転軸と略平行な方向に幅を有すること、
を特徴とする請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記複数の電気機器は、高さ方向に互いにずらして配置されていること、
を特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記複数の電気機器は、前記斜め部材に沿った方向に互いにずらして配置されていること、
を特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記複数の電気機器は、前記斜め部材に対して直交する方向に互いにずらして配置されていること、
を特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項7】
被検体にX線を照射するX線源を有し、前記X線源を被検体の体軸を中心に回転させる回転部と、
前記回転部を外周方向から挟むように支持する一対の縦フレームと、一対の縦フレームの下端部同士を連結する横フレームと、前記横フレーム及び前記縦フレームに両端部を連結する斜め部材と、を有する固定部と、
複数の電気機器と、
を有し、
前記複数の電気機器は、前記横フレーム、前記縦フレーム及び前記斜め部材各々の少なくとも一部によって構成されるコーナー部に扇状に配置されて収納され、
前記斜め部材は、一対の縦フレームの間における前記回転部の収容空間と前記コーナー部とを仕切り、
前記横フレームと前記電気機器との間に外気が通る通気用の隙間が設けられていること、
を特徴とするX線CT装置。
【請求項8】
前記側面同士をずらして配置された前記複数の電気機器において、
前記複数の電気機器からの熱を吸収するように前記側面同士で挟まれるように装着された一端部と、前記吸収した熱を前記固定部に伝導するように前記固定部まで延ばされた他端部とを有する異方性を備えた熱伝導部材をさらに有すること、
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のX線CT装置。
【請求項9】
前記通気用の隙間の高さは、前記コーナー部における前記電気機器を収容可能な実効の高さに対して、2.0×10^(-2)倍より大きいこと、
を特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のX線CT装置。
【請求項10】
被検体にX線を照射するX線源を有し、前記X線源を被検体の体軸を中心に回転させる回転部と、
前記回転部を外周方向から挟むように支持する一対の縦フレームと、一対の縦フレームの下端部同士を連結する横フレームと、前記横フレーム及び前記縦フレームに両端部を連結する斜め部材と、を有する固定部と、
複数の電気機器と、
を有し、
前記複数の電気機器は、前記横フレーム、前記縦フレーム及び前記斜め部材各々の少なくとも一部によって構成されるコーナー部に収納され、
前記斜め部材は、一対の縦フレームの間における前記回転部の収容空間と前記コーナー部とを仕切り、前記収容空間と前記コーナー部とを連絡させる複数の連絡穴を有し、その連絡穴は、高くなる側に配置され、
前記横フレームと前記電気機器との間に外気が通る通気用の隙間が設けられていること、
を特徴とするX線CT装置。
【請求項11】
前記電気機器は、前記X線源に電力を供給する電源を含むこと、
を特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載のX線CT装置。」


第3 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開平11-188029号公報)には、次の事項が記載されている。(下線は当審による。以下同様。)

「【0039】[第3の実施の形態]次に、本発明の第3の実施の形態のX線CT装置の説明をする。上述の第1、第2の実施の形態のX線CT装置は、回転部2及び固定部3がそれぞれカバー1a内に収納されるかたちで設けられており、チルト動作の際は、架台1全体が所定角度分傾くものであったが、この第3の実施の形態のX線CT装置は、分離構成の回転部及び固定部を有し、チルト動作の際は、回転部のみが所定角度分傾くようにしたものである。
【0040】すなわち、図6(a)、(b)に当該第3の実施の形態のX線CT装置の正面断面図及び側面断面図を、図7(a)に当該X線CT装置の斜視図をそれぞれ示す。この図6(a)、(b)及び図7(a)において、当該第3の実施の形態のX線CT装置は、それぞれ分離構成とされた回転部51及びこれを支持する固定部52とで架台50が構成されている。
【0041】回転部51は、寝台に載置された患者が挿入される撮影口53を有する略円筒形状の回転部カバー54内に、円板状の固定ベース55及び回転ベース56を設けることで構成されている。このため、この回転部51は、正面から見ると円形状を有するようになっている。
【0042】固定ベース55には、ベアリング57を介して回転ベース56が回転自在に設けられており、D・Dモータ58により回転ベルト等を介すことなく直接的に回転駆動されるようになっている。また、回転ベース56には、相対向するようにX線管、X線検出器及び高圧発生部等が設けられており、これらが回転しながらX線の曝射を行うことでヘリカルスキャン等による撮影が可能となっている。また、固定ベース55には、直径を形成する線を延長するかたちで、両端部にそれぞれ支柱部59が固着されている。以下に説明するが、当該回転部51は、この支柱部59を介して所定角度分のチルト動作が可能なように固定部52に支持されている。
【0043】固定部52は、正面が略凹状の固定部カバー60内にスタンド61と、このスタンド61と共に、前記回転部51をチルト駆動可能に支持するように設けられたチルト回転支持部62と、制御基板、増幅回路系、電源回路、ヒータ等の時間的制御を行うタイマ、当該X線CT装置に過電流が流れた際に通電を切断するマグネットコンダクタ、ヒューズ系、ブレーカ、X線の線量やその他の制御等を行うための制御基板等である電装部品63とがそれぞれ集中して収納されている。電装部品63は、電磁ノイズ対策用の防磁部材により形成されたボックス(防磁ボックス)に収納され一括して設けられている。」

上記図6(a)から、「スタンド61」が「回転部51」を外周方向から挟むように支持する一対の縦フレームと、一対の縦フレームの下端部同士を連結する横フレームとを有するものであることが読み取れる。
そうすると、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「寝台に載置された患者が挿入される撮影口53を有する略円筒形状の回転部カバー54内に、円板状の固定ベース55及び回転ベース56を設けることで構成され、回転ベース56には、相対向するようにX線管、X線検出器及び高圧発生部等が設けられており、これらが回転しながらX線の曝射を行う、回転部51と、(【0041】、【0042】)
回転部51を外周方向から挟むように支持する一対の縦フレームと、一対の縦フレームの下端部同士を連結する横フレームとを有するスタンド61と、(【図6】)
正面が略凹状の固定部カバー60内に、スタンド61と共に、制御基板、増幅回路系、電源回路、ヒータ等の時間的制御を行うタイマ、当該X線CT装置に過電流が流れた際に通電を切断するマグネットコンダクタ、ヒューズ系、ブレーカ、X線の線量やその他の制御等を行うための制御基板等である電装部品63が収納されている、固定部52と、(【0043】)
を有する、X線CT装置(【0039】)。」

2.引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開平10-160847号公報)には、次の事項が記載されている。

「【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明によるポジトロンCT装置用ガントリの一実施形態の要部を示す構成図で、(a)は正面図、(b)は(a)図中のA-A´断面図である。この図1(a),(b)において、1、1a、2、3、7a?7d及び8は各々図8と同様である。
【0019】100(100a?100d)は電子回路機器ユニット強制空冷手段で、電子回路機器ユニット7(7a?7d)の各々に相互に熱的に独立して設けられている。この空冷手段100は、各々ガントリカバー1aの外部から直接取り込まれた空気を、電子回路機器ユニット7部分を経てこの部分と熱交換を行わせた後にガントリカバー1aの外部へ直接放出させる空気流路を形成する空気流ガイドEG1(フード9a,9b)及び空気流を強制的に発生させるファン5を備えてなる。なお、10は外部空気取込み口、11は内部空気放出口を示す。」

「【0022】図2は図1中の電子回路機器ユニット強制空冷手段100(ここでは100a)を取り出して示す図で、(a)は側面図(図1(a)と同一面側の図)、(b)は正面図((a)図の右側方から見た図)である。この図2において、図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。また、PCBは電子回路機器ユニット7を構成する、例えば多数の集積回路チップやその他の電子部品が組み込まれた複数枚のプリント基板(発熱源)である。5k,5l,5mは空冷手段100内において空気流(矢印参照)を強制的に発生させる冷却用ファンである。
【0023】ここで、電子回路機器ユニット7(7a?7d)は図1に示すようにガントリカバー1a(ガントリ1)内部に取り付けられが、ガントリカバー1aの外部から空気を取り込みやすいように、またガントリカバー1aの外部へ空気を放出しやすいように、できるだけガントリカバー1a内の外側に設置されている。
【0024】このような電子回路機器ユニット強制空冷手段100において、ガントリカバー1aの外部の低温空気は、外部空気取込み口10から直接取り込まれ、図中矢印に示すようにフード9aを経て電子回路機器ユニット7(ここでは7a)、すなわち発熱源である複数枚のプリント基板PCB部分に送り込まれてそれらを冷却する。これにより高温となった空気は、図中矢印に示すようにフード9bを経て内部空気放出口11から外部へ直接放出される。」

したがって、上記引用文献2には、「ポジトロンCT装置用ガントリの電子回路機器ユニット強制空冷手段100において、フード9aを経て電子回路機器ユニット7(ここでは7a)、すなわち発熱源である複数枚のプリント基板PCB部分に送り込まれてそれらを冷却する、電子回路機器ユニット強制空冷手段100」という技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用文献3について
また、原査定の拒絶の理由に、周知技術を示す文献として引用された引用文献3(特開2000-116644号公報)には、次の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線CT装置に関し、より詳しくは、回転部の支持手段の構造を改良したX線CT装置に関するものである。」

「【0026】本実施の形態1のX線CT装置の基本的構成は、図1、図2に示すように、架台1における固定部を構成する支持手段であるスタンド6と、このスタンド6により支持される円板状のメインフレーム3と、このメインフレーム3に対し回転可能に設けられる回転部ユニット2と、前記スタンド6を覆うように設けられる固定部カバー14と、前記メインフレーム3を覆うように設けられる円形状のチルト部カバー15とを有するものである。
【0027】前記回転部ユニット2の中央部には、被検体を撮影するための撮影口13が形成されている。
【0028】また、回転部ユニット2は、メインフレーム3に対してベアリング12により回転可能に支持されている。そして、メインフレーム3に設けた駆動モータ(ダイレクト・ドライブモータ)4により回転駆動される前記スタンド6は、図3に拡大して示すように、平面形状が矩形状の水平基台21と、この水平基台21の両端部から立設した一対の垂直支柱22a、22bとを具備し、さらに、一対の垂直支柱22a、22bの間において、垂直支柱22aと水平基台21を構成する中間フレーム23aとに補助斜柱25aを、垂直支柱22bと水平基台21を構成する中間フレーム23bとに補助斜柱25bを取り付けている。」


4.引用文献4について
また、原査定の拒絶の理由に、周知技術を示す文献として引用された引用文献4(国際公開第02/024072号)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「The stand 12 is generally of a U-shaped configuration and includes a horizontal base 66 from which the arms 64 extend upwardly from opposite ends of the base. The base 66 is comprised of, for example, various structural members including, end members 68 and front and rear members 70 connected together to form a rectangle. The arms 64 are, for example, each comprised of various structural members including vertical members 76 extending upwardly from the base to a top piece 78. The stand 12 also includes braces 84 extending at an angle between the base 66 and the arms 68 to provide additional strength. (当審訳:スタンド12はベース66とアーム68(64の誤記)の間に斜めに延ばされて補強する筋交い84も含む。)The stand 12 is preferably provided with leveling legs or height adjustable rolling means, such as adjustable castors.」(第8頁第10行?同第18行)



第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
引用発明における「X線管」及び「寝台に載置された患者」は、それぞれ本願発明1における「X線源」及び「被検体」に相当し、また、引用発明においては、「X線管」が設けられる「回転ベース56」が「寝台に載置された患者が挿入される撮影口53を有する略円筒形状の回転部カバー54内に」設けられて「回転しながらX線の曝射を行う」ように構成されているのであるから、該「X線管」が「寝台に載置された患者」に「X線の曝射」を行うものであり、かつ、「回転ベース56」が「X線管」を「寝台に載置された患者」の体軸を中心に回転させるものであることは明らかといえる。そうすると、引用発明における「寝台に載置された患者が挿入される撮影口53を有する略円筒形状の回転部カバー54内に、円板状の固定ベース55及び回転ベース56を設けることで構成され、回転ベース56には、相対向するようにX線管、X線検出器及び高圧発生部等が設けられており、これらが回転しながらX線の曝射を行う、回転部51」は、本願発明1における「被検体にX線を照射するX線源を有し、前記X線源を被検体の体軸を中心に回転させる回転部」に相当する。
また、引用発明における「回転部51を外周方向から挟むように支持する一対の縦フレームと、一対の縦フレームの下端部同士を連結する横フレームとを有するスタンド61」と、本願発明1の「前記回転部を外周方向から挟むように支持する一対の縦フレームと、一対の縦フレームの下端部同士を連結する横フレームと、前記横フレーム及び前記縦フレームに両端部を連結する斜め部材と、を有する固定部」とは、「前記回転部を外周方向から挟むように支持する一対の縦フレームと、一対の縦フレームの下端部同士を連結する横フレームと、を有する固定部」である点で共通する。
さらに、引用発明における「制御基板、増幅回路系、電源回路、ヒータ等の時間的制御を行うタイマ、当該X線CT装置に過電流が流れた際に通電を切断するマグネットコンダクタ、ヒューズ系、ブレーカ、X線の線量やその他の制御等を行うための制御基板等である電装部品63」は、本願発明1における「複数の電気機器」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「被検体にX線を照射するX線源を有し、前記X線源を被検体の体軸を中心に回転させる回転部と、
前記回転部を外周方向から挟むように支持する一対の縦フレームと、一対の縦フレームの下端部同士を連結する横フレームと、を有する固定部と、
複数の電気機器と、
を有するX線CT装置。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1は「一対の縦フレームの間における前記回転部の収容空間と前記コーナー部とを仕切り、」「前記横フレーム及び前記縦フレームに両端部を連結する斜め部材」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

(相違点2)本願発明1は「前記複数の電気機器は、前記横フレーム、前記縦フレーム及び前記斜め部材各々の少なくとも一部によって構成されるコーナー部に互いに側面同士の重なり部分を減らすことによりずらして収納され」るという構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

(相違点3)本願発明1は「前記横フレームと前記電気機器との間に外気が通る通気用の隙間が設けられている」という構成を備えるのに対し、引用発明はそのような構成を備えているか否かが不明である点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討すると、相違点1に係る本願発明1の「一対の縦フレームの間における前記回転部の収容空間と前記コーナー部とを仕切り、」「前記横フレーム及び前記縦フレームに両端部を連結する斜め部材」という構成は、上記引用文献2ないし4には記載されていない。
上記引用文献3には「補助斜柱25b」「補助斜柱25a」が、また上記引用文献4には「braces 84」(筋交い84)が記載されており、これらは本願発明1の「前記横フレーム及び前記縦フレームに両端部を連結する斜め部材」に相当する構成ではあるが、これらはいずれも補強のための柱状構造物に過ぎず、「一対の縦フレームの間における前記回転部の収容空間と前記コーナー部とを仕切」るものであるとはいえない。
したがって、上記相違点2,3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1ないし4に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2-11について
本願発明2-11も、本願発明1の「一対の縦フレームの間における前記回転部の収容空間と前記コーナー部とを仕切り、」「前記横フレーム及び前記縦フレームに両端部を連結する斜め部材」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1ないし4に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1-4,11について上記引用文献1-4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、本件補正により補正された請求項1-11は、原査定の対象とはされていない請求項5,請求項9または請求項12のいずれかの内容が追加されるとともに、それぞれ「一対の縦フレームの間における前記回転部の収容空間と前記コーナー部とを仕切り、」「前記横フレーム及び前記縦フレームに両端部を連結する斜め部材」という事項を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1-11は、当業者であっても、引用文献1ないし4に基づいて容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。


第6 当審拒絶理由について
1.特許法第36条第6項第2号について
当審では、請求項8の「前記側面同士をずらして配置された前記複数の電気機器・・・」という記載が不明瞭であるとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正において補正された結果、この拒絶の理由は解消した。


第7 むすび
以上のとおり、本願発明1-11は、当業者が引用文献1-4に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-02-06 
出願番号 特願2012-221732(P2012-221732)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (A61B)
P 1 8・ 121- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 原 俊文  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 中塚 直樹
▲うし▼田 真悟
発明の名称 X線CT装置  
代理人 特許業務法人三澤特許事務所  

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