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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1336965
審判番号 不服2017-5847  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-24 
確定日 2018-01-31 
事件の表示 特願2016-505452「振動センサ及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 9日国際公開、WO2014/163635、平成28年 5月23日国内公表、特表2016-514838〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 出願の経緯
本願は、2013年4月3日を国際出願日とする出願であって、平成28年8月15日付けで拒絶理由が通知され、平成28年11月14日付けで手続補正がなされたが、平成28年12月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成29年4月24日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし14に係る発明は、平成28年11月14日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
振動センサ(5)であって、
振動信号を生成するように構成された振動要素(104)と、
該振動要素(104)に接続されて振動信号を受信するメータ電子機器(20)であって、
前記振動要素(104)に接続されて振動信号を受信し、振動信号を所定のゲインだけ増幅して飽和した振動信号を生成するゲイン段(150)と、
該ゲイン段(150)に接続され、飽和した振動信号を受信して該飽和した振動信号から振動信号の周波数を決定する第1の入力(161)と、振動信号を受信して該振動信号から振動信号の振幅を決定する第2の入力(162)を備えた信号プロセッサ(156)とを備えているメータ電子機器(20)とを備えている、振動センサ(5)。」

第3 引用例・引用発明等
原査定の拒絶理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開平6-294728号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばガソリン、冷却水、オイル等の液体の密度を測定するのに用いて好適な液体密度測定装置に関し、特に、自動車、工作機械等の振動源を有する装置に用いて好適な液体密度測定装置に関する。」

「【0008】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、外部の振動源で発生した振動を利用して液体の密度を精度よく測定することができ、全体構造を小型化、簡素化できるようにした液体密度測定装置を提供することを目的とする。」

「【0010】
【作用】振動源からの振動によって測定チューブが振動し、加速度検出手段が該測定チューブに発生した加速度を検出して出力すると、最大値検出手段は該加速度検出手段が検出した加速度信号の振幅の最大値を検出し、密度検出手段は、該最大値検出手段が検出した最大値の加速度信号の周波数を液体の共振周波数とみなして密度を検出する。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1ないし図7に基づき、自動車用エンジンのガソリンの密度検出に用いた場合を例に挙げて説明する。」

「【0014】4はエンジン本体1の近傍に位置して燃料配管3の途中に設けられたセンサ本体を示し、該センサ本体4は取付ケース5内に収容され、後述の測定チューブ6,加速度センサ10等から構成されている。
【0015】6は取付ケース5内に位置して燃料配管3の途中に設けられた測定チューブを示し、該測定チューブ6は、図2に示す如く、シリコンゴム等の弾性材料から筒状に形成された筒状弾性体7,7を介して振動可能に取付けられ、該各筒状弾性体7は例えば取付バンド8,8,…を介して取付けられている。そして、該測定チューブ6は、エンジン本体1が始動して振動が発生し、このエンジン振動が燃料配管3等を介して伝達されると、各筒状弾性体7によって両端から支持されつつエンジン振動に応じて振動するものである。
【0016】9は測定チューブ6の中央部に取付けられた取付ブラケット、10は該取付ブラケット9の上側に設けられた加速度検出手段としての加速度センサを示し、該加速度センサ10は、チタン酸バリウム等の圧電体と、該圧電体の上側に設けられた重り(いずれも図示せず)等とから圧縮形式の圧電型加速度センサとして構成されている。そして、該加速度センサ10は、エンジン本体1からのエンジン振動によって測定チューブ6が振動すると、該測定チューブ6と共に振動しつつ、該測定チューブ6に生じた加速度を圧電体の電荷に基づいて検出し、この加速度信号を後述の変換回路11に出力するものである。なお、前記加速度センサ10には、例えばティアック社発売の圧電型加速度トランスデューサ500/700シリーズが用いられる。
【0017】11はセンサ本体4等と共に液体密度測定装置を構成する変換回路を示し、該変換回路11は、加速度センサ10から出力された加速度信号を増幅するアンプ11Aと、該アンプ11Aの後段に設けられ、低周波の交流信号たる加速度信号から高調波成分を除去するローパスフィルタ11Bと、該ローパスフィルタ11Bの後段に設けられ、交流信号状態の加速度信号を矩形波に整形する波形整形部11Cと、該波形整形部11Cによって矩形波に整形された加速度信号の周期から周波数を求め、周波数に応じた直流信号としての周波数信号fを出力する直流変換部11Dと、交流信号状態の加速度信号から振幅の最大値を検出して保持し、この振幅の最大値を振動強度信号Gとして出力するピークホールド部11Eとから構成されている。
【0018】そして、前記変換回路11は、加速度センサ10から測定チューブ6の振動に応じて出力されてくる加速度信号を、周波数信号fと振動強度信号Gとに分けて後述のコントロールユニット12に出力するものである。
【0019】12はCPU等の演算処理回路、ROM,RAM等の記憶回路(いずれも図示せず)等からマイクロコンピュータとして構成されたコントロールユニットを示し、該コントロールユニット12は、その入力側に加速度センサ10と、エンジン本体1のエンジン回転数Nを検出するクランク角センサ13と、エンジンスイッチ(図示せず)等とが接続されている。また、該コントロールユニット12の記憶回路には記憶エリア12Aが形成され、該記憶エリア12Aには、図4に示すf-dマップ14と、図6に示す密度測定処理プログラム等とが予め記憶されている。
【0020】そして、後述の如く、エンジン本体1が始動して振動が発生すると、このエンジン振動の周波数は車両の走行状態等に応じて徐々に変化し、やがてある密度dを有するガソリンを流通させた測定チューブ6の共振周波数f′に達するから、前記コントロールユニット12は、加速度センサ10からの加速度信号から取出された振動強度信号Gが最大値Gmax に達したときの周波数信号fを測定しようとするガソリンの固有の共振周波数f′とみなし、該共振周波数f′に基づいてf-dマップ14から密度dを求めるものである。」

「【0033】本実施例による液体密度測定装置は上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について図6を参照しつつ説明する。
【0034】まず、エンジンスイッチが作動してプログラムがスタートすると、コントロールユニット12は、ステップ1で、クランク角センサ13からエンジン回転数Nを読込み、ステップ2で、変換回路11から加速度信号の振幅の強さを示す振動強度信号Gを読込み、さらにステップ3では、加速度信号の変化の周期を示す周波数信号fを変換回路11から読込み、ステップ4では、これら振動強度信号G,周波数信号fを記憶エリア12A内に記憶する。」

「【0039】従って、ステップ1?5の繰返しによって記憶エリア12A内に多数記憶されたデータの中から振動強度信号Gの最大値Gmax をサーチし、当該最大値Gmaxを得たときの周波数信号fを読出せば、この周波数を測定しようとする液体の密度dに対応した固有の共振周波数f′とみなすことができる。

【0040】次に、ステップ7では、記憶エリア12Aから図4に示すf-dマップ14を読出し、ステップ8では、前記ステップ6で読出した共振周波数f′たる周波数信号fに基づいて該f-dマップ14から密度dを検出し、この密度dに応じて点火時期や燃料噴射量等の制御を行なう。」

「【0050】また、前記実施例では、加速度検出手段として圧縮形式の圧電型加速度センサ10を用いる場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えばせん断形式等の他の圧電型加速度センサを用いてもよく、あるいはコイルが振動に応じて磁界を切るときに生じる起電力から加速度を検出する動電型加速度センサ等、他の加速度センサを用いてもよい。
【0051】一方、前記実施例では、自動車用エンジンを振動源に利用し、ガソリンの密度を測定する場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば工作機械のモータ等を振動源に利用してもよく、洗浄水、オイル等の他の液体密度を測定することもできる。」

引用例の段落【0050】及び【0051】には、引用例に記載された液体密度測定装置における加速度センサーが、圧縮形式の圧電型加速度センサ10に限られず、また、振動源も自動車用エンジンに限られず、液体密度の測定対象もガソリンに限られないことが記載されているから、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる(段落番号は、認定に用いた記載箇所を示す。)。

「外部の振動源で発生した振動を利用して液体の密度を測定することができる液体密度測定装置(段落【0008】より)であって、
変換回路11は、センサ本体4等と共に液体密度測定装置を構成し(段落【0017】より)、
センサ本体4は、配管3の途中に設けられたセンサ本体であって、測定チューブ6,加速度センサ10等から構成され(段落【0014】より)、
該測定チューブ6は、各筒状弾性体7によって両端から支持されつつ、振動に応じて振動するものであり(段落【0015】より)、
該加速度センサ10は、測定チューブ6が振動すると、該測定チューブ6と共に振動しつつ、該測定チューブ6に生じた加速度を検出し、この加速度信号を後述の変換回路11に出力するものであり(段落【0016】より)、
該変換回路11は、加速度センサ10から出力された加速度信号を増幅するアンプ11Aと、該アンプ11Aの後段に設けられ、低周波の交流信号たる加速度信号から高調波成分を除去するローパスフィルタ11Bと、該ローパスフィルタ11Bの後段に設けられ、交流信号状態の加速度信号を矩形波に整形する波形整形部11Cと、該波形整形部11Cによって矩形波に整形された加速度信号の周期から周波数を求め、周波数に応じた直流信号としての周波数信号fを出力する直流変換部11Dと、交流信号状態の加速度信号から振幅の最大値を検出して保持し、この振幅の最大値を振動強度信号Gとして出力するピークホールド部11Eとから構成され((段落【0017】より)、
前記変換回路11は、加速度センサ10から測定チューブ6の振動に応じて出力されてくる加速度信号を、周波数信号fと振動強度信号Gとに分けて後述のコントロールユニット12に出力するものであり(段落【0018】より)、
マイクロコンピュータとして構成されたコントロールユニット12は、その入力側に加速度センサ10が接続されており(段落【0019】より)、
コントロールユニット12は、変換回路11から加速度信号の振幅の強さを示す振動強度信号Gを読込み、さらに、加速度信号の変化の周期を示す周波数信号fを変換回路11から読込み、これら振動強度信号G,周波数信号fを記憶エリア12A内に記憶し(段落【0034】より)、
前記コントロールユニット12は、加速度センサ10からの加速度信号から取出された振動強度信号Gが最大値Gmax に達したときの周波数信号fを、固有の共振周波数f′とみなし、該共振周波数f′に基づいて密度dを求めるものである(段落【0020】より)、
液体密度測定装置(段落【0008】より)。」

第4 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明における「液体密度測定装置」は、「センサ本体4等と共に」、「加速度センサ10から測定チューブ6の振動に応じて出力されてくる加速度信号」を、「コントロールユニット12に出力する」「変換回路11」で構成されているから、次の相違点は除いて、本願発明における「振動センサ(5)」に相当する。

イ 引用発明における「センサ本体4」は、「測定チューブ6,加速度センサ10等から構成され、該測定チューブ6は、各筒状弾性体7によって両端から支持されつつ、振動に応じて振動するものであり、該加速度センサ10は、測定チューブ6が振動すると、該測定チューブ6と共に振動しつつ、該測定チューブ6に生じた加速度を検出し、この加速度信号を後述の変換回路11に出力するものであ」るから、本願発明における「振動信号を生成するように構成された振動要素(104)」に相当する。

ウ 引用発明における「加速度信号」は、「該測定チューブ6と共に振動しつつ、該測定チューブ6に生じた加速度を検出」する「センサ本体4」より出力される信号であるから、本願発明における「振動信号」に相当するといえる。

エ 引用発明における「変換回路11」には、「該測定チューブ6と共に振動しつつ、該測定チューブ6に生じた加速度を検出」する「センサ本体4」より「加速度信号」が出力されているのであるから、引用発明における「変換回路11」が「センサ本体4」に接続されていることは明らかである。
そして、引用発明における「コントロールユニット12」は、「マイクロコンピュータとして構成され」、「変換回路11」から「加速度センサ10から測定チューブ6の振動に応じて出力されてくる加速度信号を、周波数信号fと振動強度信号Gとに分けて」出力され、「加速度センサ10からの加速度信号から取出された振動強度信号Gが最大値Gmax に達したときの周波数信号f」より「密度dを求めるものである」から、上記ウを踏まえると、引用発明における「コントロールユニット12」は、「センサ本体4」に接続された「変換回路11」とともに、本願発明における「該振動要素(104)に接続されて振動信号を受信するメータ電子機器(20)」に相当するといえる。

オ 上記ウ、エを踏まえると、引用発明における「変換回路11」及び「コントロールユニット12」において、「該変換回路11」が「加速度センサ10から出力された加速度信号を増幅するアンプ11Aと、該アンプ11Aの後段に設けられ、低周波の交流信号たる加速度信号から高調波成分を除去するローパスフィルタ11Bと、該ローパスフィルタ11Bの後段に設けられ、交流信号状態の加速度信号を矩形波に整形する波形整形部11Cと、該波形整形部11Cによって矩形波に整形された加速度信号の周期から周波数を求め、周波数に応じた直流信号としての周波数信号fを出力する直流変換部11Dと、交流信号状態の加速度信号から振幅の最大値を検出して保持し、この振幅の最大値を振動強度信号Gとして出力するピークホールド部11Eとから構成され、前記変換回路11は、加速度センサ10から測定チューブ6の振動に応じて出力されてくる加速度信号を、周波数信号fと振動強度信号Gとに分けて後述のコントロールユニット12に出力するものであり」、「コントロールユニット12」が「マイクロコンピュータとして構成され」、「その入力側に加速度センサ10が接続されており、コントロールユニット12は、変換回路11から加速度信号の振幅の強さを示す振動強度信号Gを読込み、さらに、加速度信号の変化の周期を示す周波数信号fを変換回路11から読込」むことと、本願発明における「前記振動要素(104)に接続されて振動信号を受信し、振動信号を所定のゲインだけ増幅して飽和した振動信号を生成するゲイン段(150)と、該ゲイン段(150)に接続され、飽和した振動信号を受信して該飽和した振動信号から振動信号の周波数を決定する第1の入力(161)と、振動信号を受信して該振動信号から振動信号の振幅を決定する第2の入力(162)を備えた信号プロセッサ(156)とを備えているメータ電子機器(20)」とは、「信号プロセッサ(156)を備え、前記振動要素(104)に接続されて振動信号を受信し、振動信号の周波数を決定する第1の手段と、振動信号を受信して該振動信号から振動信号の振幅を決定する第2の手段を備えているメータ電子機器(20)」の点で共通するといえる。

よって、本願発明と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「振動センサ(5)であって、
振動信号を生成するように構成された振動要素(104)と、
該振動要素(104)に接続されて振動信号を受信するメータ電子機器(20)であって、
信号プロセッサ(156)を備え、前記振動要素(104)に接続されて振動信号を受信し、振動信号の周波数を決定する第1の手段と、振動信号を受信して該振動信号から振動信号の振幅を決定する第2の手段を備えているメータ電子機器(20)とを備えている、振動センサ(5)。」

(相違点)
本願発明では、「振動信号を受信し、振動信号を所定のゲインだけ増幅して飽和した振動信号を生成するゲイン段(150)と、該ゲイン段(150)に接続され、飽和した振動信号を受信して該飽和した振動信号から振動信号の周波数を決定する第1の入力(161)と、振動信号を受信して該振動信号から振動信号の振幅を決定する第2の入力(162)を備えた信号プロセッサ(156)とを備えている」のに対し、引用発明おける「変換回路11」及び「コントロールユニット12」は、「センサ本体4」より出力された「加速度信号」(本願発明でいう、「振動信号」に相当する。以下同じ。)を受けており、また「コントロールユニット12」は「マイクロコンピュータとして構成され」ているものの、「該変換回路11」は、「加速度センサ10から出力された加速度信号を増幅するアンプ11Aと、該アンプ11Aの後段に設けられ、低周波の交流信号たる加速度信号から高調波成分を除去するローパスフィルタ11Bと、該ローパスフィルタ11Bの後段に設けられ、交流信号状態の加速度信号を矩形波に整形する波形整形部11Cと、該波形整形部11Cによって矩形波に整形された加速度信号の周期から周波数を求め、周波数に応じた直流信号としての周波数信号fを出力する直流変換部11Dと、交流信号状態の加速度信号から振幅の最大値を検出して保持し、この振幅の最大値を振動強度信号Gとして出力するピークホールド部11Eとから構成され、前記変換回路11は、加速度センサ10から測定チューブ6の振動に応じて出力されてくる加速度信号を、周波数信号fと振動強度信号Gとに分けて後述のコントロールユニット12に出力するものであり」、「コントロールユニット12」は「その入力側に加速度センサ10が接続されており、コントロールユニット12は、変換回路11から加速度信号の振幅の強さを示す振動強度信号Gを読込み、さらに、加速度信号の変化の周期を示す周波数信号fを変換回路11から読込」むものである点。

2 判断
そこで、上記相違点について、次の(1)?(3)の点に分けて検討する。
(1)引用発明おける「変換回路11」が、「アンプ11A」と、「ローパスフィルタ11B」とを備えている点について
引用発明の「変換回路11」における「アンプ11A」は、「加速度センサ10から出力された加速度信号を増幅する」ものであり、その後段に設けられた「ローパスフィルタ11B」は、「低周波の交流信号たる加速度信号から高調波成分を除去する」ためものであるから、これら「アンプ11A」や「ローパスフィルタ11B」は、「加速度センサ10」の信号から「加速度信号の振幅の強さを示す振動強度信号」や「加速度信号の変化の周期を示す周波数信号」を検出するための前処理として用いられているものであるといえる。
そして、例えば、特開平4-271874号公報(段落【0034】の「この電源制御回路55は、前述の振動時間設定回路42、波形整形回路46およびコイル33に誘起される信号のピーク値を保持するピークホールド回路56からの信号を受けたマイクロコンピュータ構成の演算処理回路57により、インバータ電源36に対する周波数および電源電圧の指定を行う。」との記載、及び図5参照。)に記載されているように、これらのアンプ11Aやローパスフィルタ11Bを用いるか否かは当業者が適宜決定すべき事項であるから、引用発明における「変換回路11」において、これらアンプ11Aや、その後段に設けられたローパスフィルタ11Bを省き、「加速度センサ10」からの信号が、波形整形部11C及びピークホールド部11Eに接続されるようにすることは、当業者が容易になし得たことである。

(2)引用発明おける「変換回路11」が、「波形整形部11C」によって、「加速度信号の変化の周期を示す周波数信号」を生成している点について
入力信号の周波数検出のため、飽和増幅器により入力信号を矩形波に波形整形することは、周知の事項である(例えば、特開平2-134058号公報(発明の名称の「周波数検出方式」、第2頁左下欄11-13行の「2は変成器、3は飽和増幅器で、この飽和増幅器3は入力信号を飽和状態に増幅しほぼ矩形波として出力する。」との記載及び第3頁右上欄3-4行の「400Hzの信号は、飽和増幅器3により、信号の周期に対応した周期の矩形波に整形される。」との記載参照。)、特開昭50-159323号公報(第2頁左上欄2-5行の「被調律音をマイクロホンでピックアップし、その電気出力信号を高感度増幅器で出力が飽和して矩形波になるまで増幅し」との記載参照。)、特開2008-96698号公報(段落【0012】の「基本波抽出手段12-1は飽和増幅器30から入力される矩形波のゼロクロス点の時刻情報を収集し、時刻情報から規則性を持つ周期を抽出する。規則性を持つ周期の中から最長の周期を入力中の楽器信号の基本波周期として抽出する。」との記載参照。))から、引用発明に、入力信号の周波数検出に関する上記周知の事項を適用し、引用発明において、「変換回路11」の「波形整形11C」を「飽和増幅器」とし、該「飽和増幅器」により加速度信号を矩形波に波形整形することは、当業者が容易になし得たことである。

(3)引用発明が、「変換回路11」で「周波数信号fと振動強度信号G」を求め、「コントロールユニット12」に読み込ませている点について
引用発明では、「変換回路11」が、「矩形波に整形された加速度信号」から求めた「加速度信号の変化の周期を示す周波数信号f」と、「ピークホールド部11E」で求めた「加速度信号の振幅の強さを示す振動強度信号G」とを、「コントロールユニット12」に分けて出力し、「コントロールユニット12」は、「振動強度信号G」と「周波数信号f」とを変換回路11から読込んでいる。
しかし、マイクロコンピュータとその外付け回路との間で、入力信号の処理機能をどのように分担させるかは設計的事項であるから、引用発明において、「変換回路11」で「加速度信号」を「矩形波に整形」する処理だけを行い、(周波数信号fを求めるための)整形された矩形波と、(振動強度信号Gを求めるための)「交流信号状態の加速度信号」とを、「マイクロコンピュータ」で構成される「コントロールユニット12」に分けて入力し、「マイクロコンピュータ」(「コントロールユニット12」)でそれぞれの入力信号から「周波数信号fと振動強度信号G」を求めるようにして、本願発明でいう、「飽和した振動信号を受信して該飽和した振動信号から振動信号の周波数を決定する第1の入力(161)と、振動信号を受信して該振動信号から振動信号の振幅を決定する第2の入力(162)を備えた信号プロセッサ(156)」に相当する構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(4)また、上記(1)?(3)の点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、周知の事項の奏する作用効果、及び、前処理のための回路を省く等の設計変更により奏される作用効果などから予測される範囲のものに過ぎず、格別顕著なものということはできない。

よって、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものと認められる。

3 まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-08-25 
結審通知日 2017-08-29 
審決日 2017-09-19 
出願番号 特願2016-505452(P2016-505452)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北川 創  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 関根 洋之
清水 稔
発明の名称 振動センサ及び方法  
代理人 特許業務法人 有古特許事務所  
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