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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  C25C
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C25C
管理番号 1336987
異議申立番号 異議2017-700244  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-03-08 
確定日 2017-12-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5993374号発明「元素回収方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5993374号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?6、8?12〕について訂正することを認める。 特許第5993374号の請求項1?13に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5993374号(以下「本件特許」という。)の請求項1?13に係る特許についての出願(特願2013-528046)は、2012年8月8日(優先権主張平成23年8月10日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成28年8月26日にその特許権の設定登録がされたものである。
その後、本件特許について、特許異議申立人中川賢治(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成29年 6月30日付けで当審より取消理由が通知され、同年 9月 1日に特許権者より意見書及び訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。また、当該請求書による訂正請求を以下「本件訂正請求」という。)が提出され、本件訂正請求について申立人に意見を求めたところ、意見書の提出はなされなかったものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 請求の趣旨・本件訂正の内容
本件訂正請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の趣旨は、特許第5993374号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?6および請求項8?12について訂正することを求めるというものである。
ここで、本件訂正の内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示している。

(1)訂正事項1
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1に
「前記析出させる工程では、前記溶融塩に接触する一対の前記電極部材における電位を制御することで、互いに異なる種類の前記希土類元素同士を分離して回収する」とあったのを、
「前記析出させる工程では、前記溶融塩に接触する一対の前記電極部材における電位を制御することで、互いに異なる種類の前記希土類元素同士を分離して回収し、一対の前記電極部材の他方は、処理対象物を内部に保持するカゴを有している」に訂正する。
また、請求項1を引用する請求項2?4および請求項8?12も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項5が、「請求項1?3のいずれか1項」を引用するものであったところ、請求項1の記載のみを引用するものに限定するとともに、その記載を、請求項1の記載を引用しない独立形式のものとし、併せて、
「前記溶融塩に含まれる前記希土類元素は、前記希土類元素を含む処理対象物に電位を与えて前記溶融塩中へ電気化学的に溶出したものである」とあったのを、
「前記溶融塩に含まれる前記希土類元素は、前記希土類元素を含む処理対象物に電位を与えて前記溶融塩中へ電気化学的に溶出したものであり、一対の前記電極部材の前記一方は、前記希土類元素の種類に応じた電位に制御される複数の電極部材を含む」に訂正する。
また、請求項5を引用する請求項6および請求項8?12も同様に訂正する。

2 訂正の適否について
2-1 訂正事項1について
(1) 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、請求項1に記載された「一対の電極部材」について、当該「一対の電極部材」のうちの「一方」の「電極部材」が、「溶融塩中に存在する希土類元素を析出させる」ものであるところ、当該「一対の電極部材」のうちの「他方」の「電極部材」が、「処理対象物を内部に保持するカゴを有している」ことを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、訂正事項1は、上述のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかであるので、特許法第120条の5条第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(2) 新規事項追加の存否
ア 元素回収装置を用いた元素回収方法について、本件特許明細書と図面には次の記載がある。なお、下線は当審が付与した。

「【0029】
このようにして、希土類元素毎に溶融塩中から回収することができる。
次に、図1に示した本発明による元素回収方法において用いる元素回収装置を、図4および図5を参照して説明する。図4に示す回収装置は、溶融塩を内部に保持する容器1と、容器1の内部に保持される溶融塩2と、処理対象物3を内部に保持するカゴ4と、電極6?8と、溶融塩2を加熱するためのヒータ10と、カゴ4および電極6?8と導電線5によって電気的に接続された制御部9とを備える。制御部9は、カゴ4を一方の電極とし、電極6?8のいずれかを他方の電極としてこれらの電極における電位を制御することが可能となっている。また、制御部9においては、制御する電位の値の変更が可能である。ヒータ10は、容器1の周囲を環状に囲むように配置されている。電極6?8は任意の材料により構成することができるが、たとえば電極6の材料としてはニッケル(Ni)を用いることができる。また、電極7、8の材料としては、たとえばカーボン(C)を用いることができる。なお、容器1の形状は、底面の円形状あるいは多角形状であってもよい。」
「【0033】
図4および図5に示したような元素回収装置を用いた、希土類元素の具体的な元素回収方法は、たとえば以下のように実施することが考えられる。たとえば、処理対象物3として希土類を含む磁石を9kg準備し、溶融塩2としてKCl-NaClを準備する。磁石はNdを20wt%、Prを6wt%、Dyを5wt%含有するものとする。当該磁石を粉砕してカゴ4の内部に配置する。処理の効率を向上させる観点から、処理対象物4である磁石はできるだけ小さく粉砕することが好ましいが、たとえば径の最大値が5mm以下、より好ましくは3mm以下、さらに好ましくは1mm以下となるような粒状に当該磁石を粉砕する。溶融塩2の量は約16リットル(質量:25kg)とする。
【0034】
そして、カゴ4に保持された処理対象物3と電極6?8のいずれか1つとを1対の電極として、図2および図3を参照しながら説明した元素回収方法のSTEP1?STEP3を実施する。具体的には、上述したSTEP1としてカゴ4に保持された処理対象物3と電極6とを1対の電極として、当該電極の電位を所定の値に制御する。この結果、電極6の表面にはDyNi_(2)が析出する。また、上述したSTEP2としてカゴ4に保持された処理対象物3と電極7とを1対の電極として、当該電極の電位を所定の値に制御する。この結果、電極7の表面にはPrが析出する。図4に示した電極7の表面に析出するPr膜の質量はたとえば500g?600g程度となる。
【0035】
また、上述したSTEP3としてカゴ4に保持された処理対象物3と電極8とを1対の電極として、当該電極の電位を所定の値に制御する。この結果、電極8の表面にはNdが析出する。電極8の表面に析出するNd膜の質量はたとえば1500g?2000g程度となる。」




段落【0029】の記載を参照すると、図4から、容器1に保持された溶融塩2に、カゴ4と電極6?8を接触させた状態としていることが見て取れる。」

イ 上記段落【0029】と図4の視認事項によれば、回収装置を構成する容器1内に、溶融塩2が保持され、当該溶融塩2と接触するように、カゴ4と電極6?8が備えられている。
また、上記段落【0033】?【0035】によれば、電極6?8を他方の電極とし、カゴ4を一方の電極とするとともに、カゴ4に対して電極6?8を所定の電位とすることにより、電極6?8のそれぞれに互いに異なる種類の希土類元素を析出させている。
したがって、電極6?8を一方の電極とし、カゴ4を他方の電極とする一対の電極に注目すると、当該一対の電極のうち、一方の電極である電極6?8は「溶融塩中に存在する希土類元素を析出させる」ものであり、他方の電極である「カゴ」は「処理対象物」である磁石を「内部に保持するカゴ」であることが理解できる。
つまり、本件特許明細書には、訂正事項1に係る、「一対の前記電極部材の他方は、処理対象物を内部に保持するカゴを有している」事項が記載されているといえる。

ウ よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえるから、訂正事項1は、特許法第120条の5条第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

2-2 訂正事項2について
(1) 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項2は、「請求項1?3のいずれか1項」を引用するものであったところ、請求項1の記載のみを引用するものに限定するとともに、その記載を、請求項1の記載を引用しない独立形式のものとする訂正(以下「訂正2-1」という。)と、請求項5に「前記溶融塩に含まれる前記希土類元素は、前記希土類元素を含む処理対象物に電位を与えて前記溶融塩中へ電気化学的に溶出したものである」とあったのを、「前記溶融塩に含まれる前記希土類元素は、前記希土類元素を含む処理対象物に電位を与えて前記溶融塩中へ電気化学的に溶出したものであり、一つの前記電極部材の前記一方は、前記希土類元素の種類に応じた電位に制御される複数の電極部材を含む」とする訂正(以下「訂正2-2」という。)からなるものである。

イ 訂正事項2-1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮、及び、同条同項第4号に掲げる、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当する。

ウ 訂正事項2-2は、本件訂正前の請求項5が引用する請求項1に記載された「溶融塩中に存在する希土類元素を析出させる」「一対の電極部材の一方」が、さらに、「前記希土類元素の種類に応じた電位に制御される複数の電極部材を含む」ものであることを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

エ また、上記イ、ウで検討したとおり、訂正事項2-1は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするに該当し、訂正事項2-2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、訂正事項2-1と訂正事項2-2は、いずれも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかであるので、特許法第120条の5条第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(2) 新規事項追加の存否
ア 訂正事項2-1は、「請求項1?3のいずれか1項」を引用する請求項5において、請求項1を引用するもののみを、当該引用関係を解消して、当該請求項1を引用しないものとする訂正であるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。

イ 上記2-1(2)で摘記した段落【0029】、【0033】?【0034】には、「一対の電極部材」の一方である、電極6?8それぞれの電位を、STEP1?3として、希土類元素の種類に応じた所定の電位に順次制御することが記載されている。
つまり、本件特許明細書には、訂正事項2-2に係る、「一対の前記電極部材の前記一方は、前記希土類元素の種類に応じた電位に制御される複数の電極部材を含む」事項が記載されているといえる。

ウ よって、訂正事項2-1と訂正事項2-2はいずれも、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるといえるから、訂正事項2は、特許法第120条の5条第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

2-3 一群の請求項について
本件訂正前の請求項2?6および8?12は、請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、本件訂正前の請求項6および8?12は、請求項5を引用するものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項5に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1?6および8?12に対応する、訂正後の請求項1?6および8?12は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

2-4 訂正の適否についての結論
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号、第4号に掲げる事項を目的とするものに該当し、同条第4項の規定に適合し、同条第9項において準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合するので、適法な訂正である。
したがって、請求項〔1?6および8?12〕からなる一群の請求項に係る本件訂正を認める。

第3 当審の判断
1 本件発明
上記第2で検討したように、本件訂正は認められたので、本件訂正後の請求項1?13に係る発明(以下、「本件発明1?13」という。)は、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。なお、訂正箇所には下線が付与されている。

「【請求項1】
希土類元素を含む溶融塩を準備する工程と、
前記溶融塩に一対の電極部材を接触させた状態で、前記電極部材における電位を所定の値に制御することにより、一対の前記電極部材の一方に、溶融塩中に存在する希土類元素を析出させる工程とを備え、
前記溶融塩を準備する工程において、前記溶融塩は2種類以上の希土類元素を含み、
前記析出させる工程では、前記溶融塩に接触する一対の前記電極部材における電位を制御することで、互いに異なる種類の前記希土類元素同士を分離して回収し、
一対の前記電極部材の他方は、処理対象物を内部に保持するカゴを有している、元素回収方法。
【請求項2】
前記析出させる工程において、前記希土類元素は前記電極部材を構成する材料と合金化することで析出する、請求項1に記載の元素回収方法。
【請求項3】
前記析出させる工程において、一対の前記電極部材における電位の値は、前記希土類元素を析出させるように設定されている、請求項1に記載の元素回収方法。
【請求項4】
前記溶融塩に含まれる前記希土類元素は、前記希土類元素を含む処理対象物から前記溶融塩中へ化学的に溶出させたものである、請求項1?3のいずれか1項に記載の元素回収方法。
【請求項5】
希土類元素を含む溶融塩を準備する工程と、
前記溶融塩に一対の電極部材を接触させた状態で、前記電極部材における電位を所定の値に制御することにより、一対の前記電極部材の一方に、溶融塩中に存在する希土類元素を析出させる工程とを備え、
前記溶融塩を準備する工程において、前記溶融塩は2種類以上の希土類元素を含み、
前記析出させる工程では、前記溶融塩に接触する一対の前記電極部材における電位を制御することで、互いに異なる種類の前記希土類元素同士を分離して回収し、
前記溶融塩に含まれる前記希土類元素は、前記希土類元素を含む処理対象物に電位を与えて前記溶融塩中へ電気化学的に溶出したものであり、
一対の前記電極部材の前記一方は、前記希土類元素の種類に応じた電位に制御される複数の電極部材を含む、元素回収方法。
【請求項6】
前記溶融塩を準備する工程は、
希土類元素を含み導電性の前記処理対象物を準備する工程と、
前記処理対象物と電極部材とを前記溶融塩に接触させた状態で、前記処理対象物と前記電極部材における電位を所定の値に制御することにより、前記処理対象物から前記電位に応じた前記希土類元素を含む元素を前記溶融塩中に溶出させる工程とを含む、請求項5に記載の元素回収方法。
【請求項7】
希土類元素を含み導電性の処理対象物を準備する工程と、
前記処理対象物と電極部材とを溶融塩に接触させた状態で、前記処理対象物と前記電極部材における電位を所定の値に制御することにより、前記処理対象物から前記電位に応じた前記希土類元素を含む元素を前記溶融塩中に溶出させる工程とを備え、
前記溶出させる工程において、前記電位の値は、前記希土類元素を前記溶融塩に溶出させるように設定され、
前記溶出させる工程は、前記電位の値を互いに異なる設定値に設定した状態で複数回実施される、元素回収方法。
【請求項8】
前記処理対象物は希土類磁石である、請求項4?7のいずれか1項に記載の元素回収方法。
【請求項9】
前記処理対象物は前記希土類元素を含む金属廃材である、請求項4?7のいずれか1項に記載の元素回収方法。
【請求項10】
前記処理対象物は遷移金属を含む、請求項4?9のいずれか1項に記載の元素回収方法。
【請求項11】
前記溶融塩として塩化物系またはフッ化物系の溶融塩を用いる、請求項1?10のいずれか1項に記載の元素回収方法。
【請求項12】
溶融塩として塩化物系の溶融塩とフッ化物系の溶融塩とを混合した溶融塩を用いる、請求項1?10のいずれか1項に記載の元素回収方法。
【請求項13】
希土類元素を含む溶融塩を準備する工程と、
前記溶融塩に一対の電極部材を接触させた状態で、前記電極部材における電位を所定の値に制御することにより、一対の前記電極部材の一方に、溶融塩中に存在する希土類元素を析出させる工程とを備え、
前記溶融塩に含まれる前記希土類元素は、前記希土類元素を含む処理対象物に電位を与えて前記溶融塩中へ電気化学的に溶出したものであり、
前記溶融塩を準備する工程は、
前記希土類元素を含み導電性の前記処理対象物を準備する工程と、
前記処理対象物と電極部材とを前記溶融塩に接触させた状態で、前記処理対象物と前記電極部材における電位を所定の値に制御することにより、前記処理対象物から前記電位に応じた前記希土類元素を含む元素を前記溶融塩中に溶出させる工程とを含み、
前記溶出させる工程において、前記電位の値は、前記希土類元素を前記溶融塩に溶出させるように設定され、
前記溶出させる工程は、前記電位の値を互いに異なる設定値に設定した状態で複数回実施される、元素回収方法。」

2 特許異議申立ての概要
申立人は、証拠として、下記甲第1号証?甲第3号証を提出し、以下の申立て理由1によって請求項1?13に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。

申立て理由1
本件特許の請求項1?13に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるか、甲第1号証と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は、特許法第29条第1項第3号又は第2項の規定に違反してなされたものである。

甲第1号証:小西宏和 外3名、「溶融塩電解と合金隔膜を用いた希土類金属の選択的分離」、溶融塩および高温化学、社団法人電気化学会溶融塩委員会、2011年1月27日、第54巻、第1号、21?28頁
甲第2号証:野平俊之 外1名、「溶融塩電気化学プロセスによる希土類合金の形成」、溶融塩および高温化学、電気化学会溶融塩委員会、2004年2月20日、Vol.47、No.1、5?12頁
甲第3号証:国立国会図書館所蔵図書館資料に関する証明書 国図利1701045-2-5号 平成29年1月25日

3 取消理由の概要
(1)本件訂正前の請求項1?6に係る特許に対して平成29年 6月30日付けで通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

ア 本件訂正前の請求項1?6に係る発明は、甲第1号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができるものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである(以下、「取消理由1」という。)。

4 取消理由1についての当審の判断
(1)甲第1号証の記載
本件特許に係る出願の出願日前に日本国内において頒布された甲第1号証(「溶融塩電解と合金隔膜を用いた希土類金属の選択的分離」、溶融塩および高温化学、社団法人電気化学会溶融塩委員会、2011年1月27日、第54巻、第1号、21?28頁)には、次の記載がある。なお、下線は当審が付与した。

1ア 「1.緒言
希土類元素は周期表のSc、YおよびLaからLuまでの計17元素の総称である。希土類元素のうち、LaからLuのランタノイドには内殻に不完全充填の4f軌道があり、その4f電子が5s^(2)5p^(6)の安定な電子殻によって保護されているため合金や化合物を形成しても元の性質を損なわず、様々な機能の発現に寄与する。例えば、軽希土類元素(LaからEuまで)は、遷移金属元素(Fe、Ni、Co)と結合して永久磁石となり、重希土類元素(GdからLuまで)は、フェリ磁性の合金を形成して磁気記録材料となる。また、他の希土類材料のうち4f電子の振る舞いを利用したものに蛍光体、超磁歪材料等が、イオン半径や化学的性質を利用したものに固体電解質、触媒、水素吸蔵合金、超伝導材料、センサー等がある。このように希土類元素は各種産業分野に不可欠な元素であるが、資源の偏在性が高く、元素によっては埋蔵量も限られているなどの理由から、レアメタルの中でも特に供給障害リスクの高い金属と認識されている。そのため、リサイクルの必要性が高い金属の一つとして様々な取り組みも始まってはいるものの、現状でリサイクルの対象となっているのは工程内廃棄物等のごく一部に限られている。その理由の一つは廃棄物の収集が困難であることであるが、技術的な課題も多く残っている。例えば、希土類磁石の主流となっているNd-Fe-B磁石には高温での磁力低下を防ぐためにDyなどが少量加えられており、Dyの添加量が多いほど高温耐性は向上するが、資源量が少なく高価であることなどから添加量は用途に応じて調整されている。そのため、リサイクルする際はDyとNdを相互分離することが望ましいが、これら希土類金属は化学的性質が類似していることから相互分離は困難である。したがって、現状で工程内廃棄物を処理する際には、DyとNdの濃度を管理して簡易的な処理を行い上工程に戻す、あるいは多段の溶媒抽出により相互分離するといった対応が取られている。後者の溶媒抽出等を利用したプロセスはいくつか提案されており^(1.2))希土類金属の相互分離や不純物の除去は可能であるが、工程が複雑で高コストなどの欠点もある。一方、組成が不明で不純物等も多いと予想される使用済み製品のリサイクルを想定した場合、希土類金属の濃度管理は極めて困難であり、溶媒抽出を利用した上述のプロセスを適用する場合も現状より更に複雑で高コストにならざるを得ない。このような背景から、様々な新しい分離・回収技術^(3-6))も提案されているが、工業的な問題点が多い、開発が十分進んでいないなどといった理由から、現時点で適切なリサイクルプロセスが確立しているとは言い難い。」(第21頁左欄1行?第22頁左欄19行)

1イ 「 一方、筆者らは塩化物系溶融塩中での電解による希土類合金の形成を系統的に研究しており、その過程で得た知見をもとに後述する溶融塩電解および合金隔膜を用いた新規な希土類金属分離・回収プロセスを提案している^(7))。本報では上記プロセスの基礎研究の一環として、代表的な希土類金属のLaと、資源的に貴重で過去の研究データが豊富なDyとの分離に最適な電解条件を塩化物系溶融塩中で調査した結果について述べる。また、希土類磁石のリサイクルを想定し、DyとNdが混在する系についても調査したので紹介する。一方、フッ化物系溶融塩は蓄積された学術データは少ないものの工業的な希土類金属製錬に使用されることも多いため、高速処理など応用上期待できるメリットが大きい。そこで、これまでの塩化物系での結果や知見を参考にしつつ、新プロセスヘの適用を検討している。フッ化物系溶融塩としては、比較的融点が低く(1042K)構成元素も入手しやすい共融組成LiF-CaF_(2)を選定し、Ndの電気化学的挙動とNd-Ni合金の電解形成について検討した結果を紹介する。」(第22頁左欄20?37行)

1ウ 「2.溶融塩電解および合金隔膜を用いた新プロセスの原理
新プロセスの概念図をFig.1に示す^(8))。まず、希土類金属を含有する廃棄物を陽極に使用し、希土類金属を陽極溶解させる。これにより生成した希土類金属イオンを合金隔膜の陽極室側(陰極として作用する)で次式により還元し、希土類合金を形成させるとともに隔膜中を拡散させる。

RE(III)+3e^(-)+M → RE-M

ここで、REは希土類金属で溶融塩中では3価のイオンとして存在すると仮定しており、MはRE以外の隔膜の構成元素で主に遷移金属である。合金隔膜内の希土類金属は拡散透過して陰極室側表面(陽極として作用する)にて再び陽極溶解する。

RE-M → RE(III)+3e^(-)+M

最終的に、陰極室中のRE(III)イオンを陰極上で希土類金属単体又は鉄等との合金として析出させる。このプロセスの特徴は、希土類合金をバイポーラー型電解隔膜に用い、希土類金属イオンを選択的に透過させることである。」(第22頁左欄38行?第22頁右欄7行)

1エ 「

Fig.1 A schematic drawing of the process for separation and recovery of rare earth metals^(8)).(当審訳:Fig.1 希土類金属の分離と回収プロセスについての概念図)」(第22頁右欄上部)

1オ 「3.塩化物系溶融塩における基礎試験
3.1 実験方法
溶媒には共融組成のLiCl-KCl(58.5:41.5mol%、融点625K)を300g用いた。ここで用いた共融組成のLiCl-KClは、熱力学データが豊富であり、比較的広い温度および電位領域での実験が可能で導電率も高いなどの利点がある。試薬のLiClおよびKCl(和光純薬工業、特級試薬)を秤量・混合し、水分を除去するために473Kで数日間真空乾燥させた後、アルゴン雰囲気下で溶融した。実験前にはアルゴンバブリングを数時間行い、浴温度723Kで実験を行った。各金属イオン源として、DyCl_(3)、LaCl_(3)、NdCl_(3)(高純度化学研究所、99.9%)を0.50mol%適宜添加した。電気化学測定には三電極方式を用いた。作用極にはMo線(ニラコ、5mm×φ1mm、99.95%)、Ni線(ニラコ、5mm×φ1mm、99%)、あるいはNi板(ニラコ、10mm×5mm×0.2mm、99%)を用い、Ni板電極を用いた際は事前にエメリー研磨およびアルミナ研磨を行った。対極にはグラッシーカーボン(東海カーボン、50mm×φ5mm)を、参照極にはAg^(+)/Ag電極を用いた。また、参照極の電位は、Mo線上に電析させたLiと浴中のLi^(+)の平衡電位を基に較正した。以下電位はすべてこのLi^(+)/Li電位を基準として示す。
実験装置の概略をFig.2に示す。反応容器はパイレックス製であり、高純度アルミナのるつぼを用いた。反応容器内は、アルゴンガスを流すことで不活性雰囲気に保った。温度測定および制御には、クロメル・アルメル熱電対を用いた。電気化学測定としては、電位走査法および開回路電位の経時変化測定を行った。分析用の合金試料は定電位電解により作成し、SEM、EDXおよびXRDにより観察・分析した。」(第22頁右欄23行?第23頁左欄17行)

1カ 「


Fig.2 A schematic drawing of experimental apparatus.
1:Working electrode(Ni,Mo)
2:Reference electrode(Ag^(+)/Ag)
3:Counter electrode(Glassy carbon)
4:Li^(+)/Li electrode(Mo wire)
5:Ar gas inlet, 6:Thermocouple
7:Ar gas outlet, 8:Pyrex glass holder
9:High purity alumina crucible
10:LiCl-KCl eutectic melts
(当審訳:Fig.2 実験装置の概略図
1:作用極(Ni,Mo)
2:参照極(Ag^(+)/Ag)
3:対極(グラッシーカーボン)
4:Li^(+)/Li電極
5:Arガス吸気口、6:熱電対
7:Arガス排気口、8:パイレックスガラス製反応容器
9:高純度アルミナるつぼ
10:LiCl-KCl共融溶融塩)」(第23頁左欄中央)

1キ 「3.2 結果と考察
まず、DyCl_(3)あるいはLaCl_(3)を0.50mol%添加したLiCl-KCl共融組成塩中で得られたサイクリックボルタモグラムをFig.3に示す。LaCl_(3)を添加した系でMoを作用極に用いた場合、走査速度0.1Vs^(-1)で浸漬電位から卑な方向に電位走査すると、大きなカソード電流が0.4V(vs.Li^(+)/Li)付近で生じた。MoがLaと合金を形成しないことから、このカソード電流はLaの析出に起因していることが示唆される。一方、Niを作用極に用いた場合、カソード電流が0.5V付近から流れ始めた。このカソード電流は、Mo電極を用いた際のカソード電流の立ち上がり電位より貴な電位領域で観測されたため、La-Ni合金の形成に起因する可能性がある。そこで、LaCl_(3)を0.50mol%添加したLiCl-KCl共融組成塩中でNi電極を0.48Vで1h定電位電解し、SEM観察およびXRD分析を行った結果、5μm程度の密着性の良い緻密なLa_(7)Ni_(16)膜の形成が確認された。(Fig.4)。」(第23頁左欄18行?右欄6行)

1ク 「 一方、DyCl_(3)を0.50mol%添加した系でNi電極を用いた場合、カソード電流が1V付近から流れ始めた。このカソード電流はDy-Ni合金の形成に起因することが筆者らによって確認されているため^(9))、DyとLaがいずれも合金を形成しうる条件、すなわちDyCl_(3)とLaCl_(3)をいずれも0.50mol%添加した系においてNi電極を0.48Vで2h保持し、試料を作成した。得られた試料をXRDにより測定したところ、DyNi_(2)の合金相のみが確認され、La-Ni合金に帰属されるピークは見られなかった。また、同試料を樹脂埋めして断面をSEM観察したところ、Fig.5に示すように密着性の良い100μm程度の合金膜が形成しており^(8))、EDXによる深さ方向のライン分析の結果からも薄膜が主にNiとDyから構成されていることが確認された(Fig.6)^(8))。一方、Laは合金の表面付近には確認されたが、合金内部ではほとんど存在が認められなかった。このことは、DyがLaよりも遙かに高い速度でNi基板中を拡散し、合金化したことを示している。また、同じ浴中でNi電極を0.55Vで保持した場合も同様にDyNi_(2)のみが確認された。これらの結果から、少なくともDyとLaに関しては合金を形成する段階でー定の分離が可能と判断される。」(第23頁右欄7行?第24頁左欄9行)

1ケ 「 次に、希土類磁石への応用を想定してDyとNdの分離を検討した。DyCl_(3)あるいはNdCl_(3)を0.50mol%添加したLiCl-KCl共融組成塩中において走査速度0.1Vs^(-1)で得られたサイクリックボルタモグラムをFig.7に示す。DyCl_(3)を添加した系でMoを作用極に用いた場合、大きなカソード電流が0.42V付近で生じた。MoがDyと合金を形成しないことから、このカソード電流はDy析出に起因する。また、Fig.3で示したようにNiを作用極に用いた場合、Dy-Ni合金の形成に起因するカソードが1V付近から流れ始める。さらに、NdCl_(3)を添加した系でNiを作用極に用いた場合、Nd-Ni合金の形成に起因するカソード電流が0.60V付近から流れ始めた。以上の結果から、DyとNdの混在する系においてもNi電極を0.60?1.0Vに保持すればDy-Ni合金のみを選択的に形成できると推測される。そこで、DyCl_(3)とNdCl_(3)をいずれも0.50mol%添加したLiCl-KCl共融組成塩中においてNi電極を0.55?0.80Vの各電位で1h電解して試料を作成した。これを酸溶解したのちにICP測定し、各元素の析出量を算出した結果をFig.8に示す。得られた試料中のDy/Ndの質量比は0.65Vで最大値である72を示し、適切な電位に保持すればDyを高い選択性で分離できることが示唆された。」(第24頁左欄9行?第24頁右欄13行)

1コ 「


Fig.8 Potential dependences of the amount of deposited Dy and Nd, and the mass ratio of Dy/Nd in alloy samples prepared in a molten LiCl-KCl-DyCl_(3)-NdCl_(3) system at 723 K.(当審訳:Fig.8 723KのLiCl-KCl溶融塩に、DyCl_(3)とNdCl_(3)を添加した系において形成された合金試料における、DyとNdの堆積量と、Dy/Ndの質量比への電位の依存性)」(第24頁右欄下方)

1サ 「 以上に示した結果はいずれも合金形成に関するものであり、Fig.1のプロセスにおいては隔膜の陽極室側表面で起こる反応に対応している。当然のことであるが、隔膜の陰極室側表面で溶解するためには合金隔膜内を拡散していく必要があるため、今回の条件を仮にFig.1のプロセスに適用した場合、陰極室内に溶解し得るのはNiかDyのみである。また、Dy-Ni合金からDyのみを選択的に酸化溶解できることは熱力学的にも過去の実験データからも明らかである。以上のことを勘案すると、今回得られた結果は、Fig.1に示したプロセスによってDyとLa、あるいはDyとNdが混在する状態からDyのみを選択的に回収できる可能性が高いことを示している。」(第25頁左欄1?12行)

(2)甲1発明
ア 上記1アによれば、希土類元素は、埋蔵量が限られているので、希土類磁石等の廃棄物からのリサイクルの必要性が高い金属であるが、現時点で適切なリサイクルプロセスは確立していない。

イ 上記1イによれば、甲第1号証において、溶融塩電解及び合金隔膜を用いた、希土類金属分離・回収のための新プロセスが提案されており、下記エの基礎実験によって、当該新プロセスにおける、DyとLaを分離するための、もしくは、DyとNdを分離するための、最適な電解条件を塩化物系溶融塩中で調査した結果が明らかにされる。

ウ 上記1ウによれば、希土類金属分離・回収のための上記新プロセスは、希土類金属を含有する廃棄物を陽極に使用し、希土類金属が陽極溶解し、陽極室内の希土類金属イオンは、合金隔膜の陽極室側で還元した後、当該合金隔膜を選択的に拡散透過して陰極室側表面で再び陽極溶解し、最終的に、陰極室内の陰極上に合金として析出するものである。また、上記1ウの記載を参照すれば、Fig.1に示される上記新プロセスの概念図から、右側の陽極室内において、Anode(陽極電極)からRE^(3+)(希土類金属イオン)がMolten Solt(溶融塩)中に陽極溶解し、上記RE^(3+)は、中央の合金隔膜を選択的に拡散透過し、さらに、左側の陰極室内において、Molten SoltからCathode(陰極電極)上に析出する様子が見て取れる。

エ 上記1オによれば、上記イに記載した基礎実験は、上記1カのFig.2の実験装置によって行われるものであり、当該実験装置は、パイレックス製の反応容器8内に、高純度アルミナのるつぼ9が配置され、当該るつぼ9内の723Kの溶融塩LiCl-KClに、DyCl_(3)、LaCl_(3)、NdCl_(3)が適宜添加され、Mo線又はNi線からなる作用極1、グラッシーカーボンからなる対極3、Ag^(+)/Agの参照極2を備えたものであり、当該実験装置において、上記3つの電極によって電位走査法による電気化学測定が行われる。また、上記Fig.2から、上記3つの電極はいずれも溶融塩と接触した状態にあることを見て取ることができる。

オ 上記1クによれば、上記エの実験装置において、723KのLiCl-KCl溶融塩に、DyCl_(3)とLaCl_(3)をいずれも0.50mol%添加した系において、Ni電極を0.48Vで2h保持することにより、作用極としてのNi電極上に、試料が形成される基礎実験が行われた。ここで、上記試料に対するXRDやEDXによる観察結果から、上記試料にはDyNi_(2)の合金相のみが確認され、したがって、DyとLaは分離可能であると判断された。

カ 上記1ケによれば、上記エの実験装置において、723KのLiCl-KCl溶融塩に、DyCl_(3)とNdCl_(3)をいずれも0.50mol%添加した系において、Ni電極を0.55?0.80Vの各電位で1h電解することにより、試料が形成された。ここで、Fig.8を参照すると、Ni電極の電位を0.65Vとしたときに、上記Dy-Ni合金におけるDy/Ndの質量比は最大値である72を示しており、Dyが高い選択性で分離できることが示されているので、上記試料とは、作用極としてのNi電極上に形成されたDy-Ni合金のことであると認められる。

キ 以上のとおりであるから、上記1ア?1サの記載と、上記ア?カの検討事項に基づいて、上記エの実験装置によって行われた上記オの基礎実験に注目すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。

「DyCl_(3)とLaCl_(3)をいずれも0.50mol%添加した、LiCl-KCl溶融塩を準備する工程と、
前記溶融塩に、Niからなる作用極1、グラッシーカーボンからなる対極3、及びAg^(+)/Agの参照極2を接触させた状態で、前記作用極1に0.48Vを印加することにより、前記作用極1にDyNi_(2)の合金相を形成させる工程とを備え、
前記形成させる工程では、Laがほぼ含まれないDyNi_(2)の合金相を形成することによって、DyをLaと分離する、元素の分離方法。」

(3)本件発明1についての検討
(3-1)本件発明1と甲1発明との対比
ア 甲1発明の「DyCl_(3)とLaCl_(3)をいずれも0.50mol%添加した、LiCl-KCl溶融塩」は、希土類元素としてDyとLaを含んでおり、本件発明1の「希土類元素を含む溶融塩」に相当するので、甲1発明の「DyCl_(3)とLaCl_(3)をいずれも0.50mol%添加した、LiCl-KCl溶融塩を準備する工程」は、本件発明1の「希土類元素を含む溶融塩を準備する工程」に相当する。

イ 甲1発明の「DyNi_(2)の合金相を形成」する「作用極1」は、本件発明1の「希土類元素を析出させる」「一対の前記電極部材の一方」に相当し、また、甲1発明において、「DyNi_(2)の合金相を形成」する「作用極1」と共に使用される「対極3」は、本件発明1の「一対の電極部材」の「他方」に相当する。

ウ 甲1発明の「前記溶融塩に、Niからなる作用極1、グラッシーカーボンからなる対極3、及びAg^(+)/Agの参照極2を接触させた状態」は、少なくとも作用極1と対極3からなる一対の電極が溶融塩に接触している状態といえるから、本件発明1の「前記溶融塩に一対の電極部材を接触させた状態」に相当する。

エ 甲1発明において「前記作用極1に0.48Vを印加すること」によって、一対の電極である、作用極1と対極3の間に所定の電圧が印加されていることは明らかであるから、甲1発明の「前記対極3に対して前記作用極1に0.48Vを印加すること」は、本件発明1の「一対の前記電極部材における電位を所定の値に制御すること」に相当する。

オ 甲1発明の「前記作用極1にDyNi_(2)の合金相を形成させる工程」は、本件発明1の「一対の前記電極部材の一方に、溶融塩中に存在する希土類元素を析出させる工程」に相当する。

カ 甲1発明の「DyCl_(3)とLaCl_(3)をいずれも0.50mol%添加した、LiCl-KCl溶融塩を準備する工程」において、当該溶融塩に希土類元素としてDyとLaの2種類が含まれているから、甲1発明と本件発明1はいずれも、「準備する工程」において「前記溶融塩は2種類以上の希土類元素を含」んでいる点で共通している。

キ 甲1発明の「形成させる工程」は、「Laがほぼ含まれないDyNi_(2)の合金相を形成することによって、DyをLaと分離」しているので、上記ウ?オの検討を勘案すれば、本件発明1の「析出させる工程」と、「前記溶融塩に接触する一対の前記電極部材における電位を制御することで、互いに異なる種類の前記希土類元素同士を分離して」いる点で共通している。

ク 本件発明1の「元素回収方法」は、元素の回収をするにあたり、当該元素を分離することが前提であるから、甲1発明の「希土類元素の分離方法」と、本件発明1の「元素回収方法」は、少なくとも元素を分離する方法である点で共通している。

ケ そうすると、本件発明1と甲1発明の一致点と相違点は次のとおりとなる。
<一致点>
「 希土類元素を含む溶融塩を準備する工程と、
前記溶融塩に一対の電極部材を接触させた状態で、前記電極部材における電位を所定の値に制御することにより、一対の前記電極部材の一方に、溶融塩中に存在する希土類元素を析出させる工程とを備え、
前記溶融塩を準備する工程において、前記溶融塩は2種類以上の希土類元素を含み、
前記析出させる工程では、前記溶融塩に接触する一対の前記電極部材における電位を制御することで、互いに異なる種類の前記希土類元素同士を分離する、元素分離方法。」

<相違点>
<相違点1>
「互いに異なる種類の前記希土類元素同士を分離する、少なくとも元素を分離する」ことが、甲1発明では、「互いに異なる種類」の「希土類元素」である、DyとLaを分離するのみであるのに対して、本件発明1では、「互いに異なる種類」の「希土類元素同士を分離して回収」することである点。
<相違点2>
本件発明1では、「一対の前記電極部材の他方」が「処理対象物を内部に保持するカゴを有している」のに対して、甲1発明では、「対極3」について、そのような特定がなされていない点。

(3-2)相違点1についての検討
ア 甲1発明の認定の基礎となった上記(2)エ、オの基礎実験は、上記(2)イに記載したように、「希土類金属分離・回収のための新プロセス」における、最適な電解条件を明らかにすることを目的として行われたものであるから、当該基礎実験自体は、複数の希土類金属が含まれる溶融塩から希土類金属を回収することを直接の目的とするものではないが、上記(2)ア、ウに記載したように、当該基礎実験は、希土類磁石等の廃棄物から希土類元素をリサイクルことを目的とする、上記「希土類金属分離・回収のための新プロセス」に適用するために行われるものであるし、DyNi_(2)の合金相が析出している作用極1を、Fig.2の実験装置から取り外すことにより、DyをLaと分離して回収できることは明らかであるから、甲1発明は、溶融塩に含まれる「互いに異なる種類」の「希土類元素」を分離する方法であるとともに、当該分離された当該希土類元素の一つ(Dy)を回収する方法でもあるということができる。

イ しかしながら、甲第1号証には、複数の希土類元素を添加した溶融塩から、当該希土類元素のうちの一つの希土類元素を作用極1に析出させた後で、当該溶融塩中に残存している他の希土類元素を回収することや、当該回収のための具体的な方法については、何ら記載も示唆もされていない。また、複数の希土類元素を添加した溶融塩から、当該希土類元素のうちの一つの希土類元素を作用極1に析出させた後で、当該溶融塩中に残存している他の希土類元素を回収することや、当該回収のための具体的な方法が、当業者に周知の事項であることを裏付ける文献等も提示されていない。

ウ したがって、甲1発明の方法において、作用極1にDyNi_(2)の合金相を形成させた後、溶融塩中に残存しているLaも別途回収すること、すなわち、上記相違点1に係る本件発明1の特定事項とすることは、当業者が容易になし得ることであるとはいえない。

(3-3)相違点2についての検討
ア 甲第1号証には、「対極3」が「グラッシーカーボンからなる」電極であることが記載されているのみであり、「対極3」を「処理対象物を内部に保持するカゴを有している」ものとすることは、記載も示唆もされていないし、溶融塩中の希土類元素を析出するための作用極と一対の電極を構成する対極として、リサイクルする廃棄物を入れるためのカゴを有するものを採用することが技術常識であることを裏付ける文献等も提示されていない。

イ したがって、甲1発明の方法において、「一対の前記電極部材の他方」を「処理対象物を内部に保持するカゴを有している」ものとすること、すなわち、上記相違点2に係る本件発明1の特定事項とすることは、当業者が容易になし得ることであるとはいえない。

(3-4)本件発明1についての検討の結果
以上のとおり、本件発明1は、甲1発明と相違点1、2で相違しており、甲1発明において、相違点1、2に係る本件発明1の特定事項とすることは、当業者が容易になし得ることであるとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないから、その発明に係る特許は取り消すことができない。

(4)本件発明2?4についての検討
本件発明2?4は、本件発明1を引用する関係があるから、本件発明1の特定事項の全てを備えているので、本件発明2?4と甲1発明を対比すると、少なくとも上記相違点1、2において相違している。
そして、甲1発明において、相違点1、2に係る本件発明1の特定事項とすることが、当業者にとって容易になし得ることであるとはいえないことは、上記(3)で検討したとおりであるから、請求項1を引用する請求項2?4に係る本件発明2?4についても、同様の理由によって、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないから、その発明に係る特許は取り消すことができない。

(5)本件発明5についての検討
(5-1)本件発明5と甲1発明との対比
本件発明5と甲1発明を対比すると、上記相違点1に加えて、次の相違点3でも相違する。
<相違点3>
本件発明5では、「一対の前記電極部材」の「一方」が「希土類元素の種類に応じた電位に制御される複数の電極部材を含む」ものであるのに対して、甲1発明では、「作用極1」について、そのような特定がなされていない点。

(5-2)相違点1、3についての検討
ア 最初に、相違点1について検討する。甲1発明において、相違点1に係る本件発明5の特定事項とすることが、当業者が容易になし得ることであるとはいえないことは、上記(3-2)で検討したとおりである。

イ 次に、相違点3について検討する。甲第1号証には、「作用極1」について、「Mo線又はNi線からなる」電極とすること、LiCl-KCl共融組成塩にDyCl_(3)とLaCl_(3)を添加する場合には、0.48Vを印加すること(上記1ク参照。)、および、LiCl-KCl共融組成塩にDyCl_(3)とNdCl_(3)を添加する場合には、0.55?0.80Vを印加すること(上記1ケ参照。)が記載されているから、「作用極1」を「希土類元素の種類に応じた電位に制御される」一つの「電極部材」として形成することは記載されているけれども、「作用極1」を「希土類元素の種類に応じた電位に制御される複数の電極部材を含む」ものとして形成することは、記載も示唆もされていない。また、複数の希土類元素を含む溶融塩から、希土類元素を析出するための電極として、「希土類元素の種類に応じた電位に制御される複数の電極部材を含む」ものを使用することが技術常識であることを裏付ける文献等も提示されていない。

ウ したがって、甲1発明の方法において、「一対の前記電極部材」の「一方」が、「希土類元素の種類に応じた電位に制御される複数の電極部材を含む」ものとすること、すなわち、上記相違点3に係る本件発明5の特定事項とすることは、当業者が容易になし得ることであるとはいえない。

(5-3)本件発明5についての検討の結果
以上から、本件発明5は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないから、その発明に係る特許は取り消すことができない。

(6)本件発明6についての検討
本件発明6は、本件発明5を引用する関係があるから、本件発明5の特定事項の全てを備えているので、本件発明6と甲1発明を対比すると、少なくとも上記相違点1、3において相違している。
そして、甲1発明において、相違点1、3に係る本件発明1の特定事項とすることが、当業者にとって容易になし得ることであるとはいえないことは、上記(5)で検討したとおりであるから、請求項5を引用する請求項6に係る本件発明6についても、同様の理由によって、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないから、その発明に係る特許は取り消すことができない。

5 取消理由として採用しなかった申立て理由
(1)本件発明1?6が、甲第1号証に記載された発明であるとの申立て理由について
本件発明1?4は、上記4の(3)、(4)で検討したとおり、甲1発明と少なくとも相違点1、2で相違しているので、甲第1号証に記載された発明ではなく、また、本件発明5?6も、上記4の(5)、(6)で検討したとおり、甲1発明と少なくとも相違点1、3で相違しているので、甲第1号証に記載された発明ではない。
したがって、本件発明1?6が、甲第1号証に記載された発明であるとの申立て理由は採用できない。

なお、請求項1または請求項5を引用する請求項8?12に係る本件発明8?12についても、少なくとも、甲1発明と、相違点1、2または相違点1、3で相違しているから、甲第1号証に記載された発明と同一ではないし、上記4の(3)?(6)で検討した理由と同様の理由によって、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(2)本件発明7?13が、甲第1号証及び甲第2号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとの申立て理由について
ア 本件発明7、13は、「前記溶出させる工程は、前記電位の値を互いに異なる設定値に設定した状態で複数回実施される」との発明特定事項を備えるものであるが、この点については、以下イ、ウに示すとおり、甲第1号証及び甲第2号証のいずれにも、記載も示唆もされていない。

イ まず、甲第1号証について確認すると、摘記した上記1ウには、上記1エのFig.1の概念図に示された、希土類金属分離・回収のための新プロセスに関して、「まず、希土類金属を含有する廃棄物を陽極に使用し、希土類金属を陽極溶解させる」ことが記載されているから、当該新プロセスの最初の段階において、溶融塩に、陽極として機能する廃棄物を接触させた状態で、電圧を印加して、当該溶融塩中に当該廃棄物中の希土類元素を溶出させることについては記載されているが、上記電圧の印加について、「前記電位の値を互いに異なる設定値に設定した状態で複数回実施」することについては、記載も示唆もされていない。

ウ 次に、甲第2号証の記載について確認する。甲第2号証の第5頁右下欄第1行?第6頁左欄第7行には、「2.溶融塩電気化学プロセス」について、希土類元素をハロゲン化物として溶融させた溶融塩において、金属M(例えばFe、Co、Ni等)を陰分極することで希土類金属(RE)イオンが電極表面で還元され、基板との相互拡散により希土類合金MRE_(x)が形成されること(「電気化学インプランテーション」という。)、そして、上記希土類合金MRE_(x)を、陽極プロセスによって陽分極すると、希土類元素のみが選択的に溶出して、希土類元素濃度の低い他の合金相MRE_(x-1)が得られること(「電気化学ディスプランテーション」という。)が記載されている。
また、甲第2号証の第9頁左欄下から4行?右欄第3行には、SmNi_(2)、Li_(x)Sm_(4)Co_(6)、YbNi_(2)に対して電気化学ディスプランテーションを行うと、Sm、Li、Ybを選択的に溶出させることで、他の合金相へ変化させることができること、具体例として、Table1には、Sm-Ni系合金について、SmNi_(3)に対して0.29Vを印加するとSmNi_(2)に変化し、SmNi_(5)に対して0.65Vを印加するとSmNi_(3)に変化することが、Table2には、Sm-Co系合金について、SmCo_(3)に対して0.30Vを印加するとSmCo_(2)に変化し、Sm_(2)Co_(17)に対して0.80Vを印加するとSmCo_(3)に変化することが記載されている。
つまり、甲第2号証には、最初に、「希土類元素をハロゲン化物として溶融させた溶融塩」において、陰分極すること(電気化学インプランテーション)によって、電極表面に希土類合金MRE_(x)を形成し、次に、当該形成された希土類合金MRE_(x)に対して、陽分極して希土類元素のみを選択的に溶出すること(電気化学ディスプランテーション)によって、希土類元素濃度の低い他の合金相MRE_(x-1)を形成することが記載されているが、上記「希土類元素をハロゲン化物として溶融させた溶融塩」を準備するために、「前記電位の値を互いに異なる設定値に設定した状態で複数回実施」することは記載も示唆もされていないし、また、電気化学ディスプランテーションの際に、異なる希土類合金MRE_(x)に対して、異なる電位を印加して希土類元素濃度の低い他の合金相MRE_(x-1)を得ることが記載されているけれども、電位を順次互いに異なる設定値に設定して、電気化学ディスプランテーションを複数回連続して実施することが記載されているわけでもない。

エ したがって、甲第1号証及び甲第2号証のいずれにも、「前記処理対象物から前記電位に応じた前記希土類元素を含む元素を前記溶融塩中に溶出させる工程」において「前記電位の値を互いに異なる設定値に設定した状態で複数回実施」することは記載されていないし、そもそも、溶融塩中に複数の異なる希土類元素を順次溶出させることが記載されていない。
よって、本件発明7、13は、甲第1号証及び甲第2号証のいずれに記載されたものでもなく、また、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
そして、請求項7を引用する請求項8?12に係る本件発明8?12についても、本件発明7、13と同様の理由によって、甲第1号証及び甲第2号証のいずれに記載されたものでもなく、また、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

第4 むすび
以上のとおり、平成29年 9月 1日付けの訂正請求書による本件訂正は適法なものである。
また、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、本件訂正後の請求項1?13に係る特許を取り消すことはできないし、他に本件訂正後の請求項1?13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類元素を含む溶融塩を準備する工程と、
前記溶融塩に一対の電極部材を接触させた状態で、前記電極部材における電位を所定の値に制御することにより、一対の前記電極部材の一方に、溶融塩中に存在する希土類元素を析出させる工程とを備え、
前記溶融塩を準備する工程において、前記溶融塩は2種類以上の希土類元素を含み、
前記析出させる工程では、前記溶融塩に接触する一対の前記電極部材における電位を制御することで、互いに異なる種類の前記希土類元素同士を分離して回収し、
一対の前記電極部材の他方は、処理対象物を内部に保持するカゴを有している、元素回収方法。
【請求項2】
前記析出させる工程において、前記希土類元素は前記電極部材を構成する材料と合金化することで析出する、請求項1に記載の元素回収方法。
【請求項3】
前記析出させる工程において、一対の前記電極部材における電位の値は、前記希土類元素を析出させるように設定されている、請求項1に記載の元素回収方法。
【請求項4】
前記溶融塩に含まれる前記希土類元素は、前記希土類元素を含む処理対象物から前記溶融塩中へ化学的に溶出させたものである、請求項1?3のいずれか1項に記載の元素回収方法。
【請求項5】
希土類元素を含む溶融塩を準備する工程と、
前記溶融塩に一対の電極部材を接触させた状態で、前記電極部材における電位を所定の値に制御することにより、一対の前記電極部材の一方に、溶融塩中に存在する希土類元素を析出させる工程とを備え、
前記溶融塩を準備する工程において、前記溶融塩は2種類以上の希土類元素を含み、
前記析出させる工程では、前記溶融塩に接触する一対の前記電極部材における電位を制御することで、互いに異なる種類の前記希土類元素同士を分離して回収し、
前記溶融塩に含まれる前記希土類元素は、前記希土類元素を含む処理対象物に電位を与えて前記溶融塩中へ電気化学的に溶出したものであり、
一対の前記電極部材の前記一方は、前記希土類元素の種類に応じた電位に制御される複数の電極部材を含む、元素回収方法。
【請求項6】
前記溶融塩を準備する工程は、
希土類元素を含み導電性の前記処理対象物を準備する工程と、
前記処理対象物と電極部材とを前記溶融塩に接触させた状態で、前記処理対象物と前記電極部材における電位を所定の値に制御することにより、前記処理対象物から前記電位に応じた前記希土類元素を含む元素を前記溶融塩中に溶出させる工程とを含む、請求項5に記載の元素回収方法。
【請求項7】
希土類元素を含み導電性の処理対象物を準備する工程と、
前記処理対象物と電極部材とを溶融塩に接触させた状態で、前記処理対象物と前記電極部材における電位を所定の値に制御することにより、前記処理対象物から前記電位に応じた前記希土類元素を含む元素を前記溶融塩中に溶出させる工程とを備え、
前記溶出させる工程において、前記電位の値は、前記希土類元素を前記溶融塩に溶出させるように設定され、
前記溶出させる工程は、前記電位の値を互いに異なる設定値に設定した状態で複数回実施される、元素回収方法。
【請求項8】
前記処理対象物は希土類磁石である、請求項4?7のいずれか1項に記載の元素回収方法。
【請求項9】
前記処理対象物は前記希土類元素を含む金属廃材である、請求項4?7のいずれか1項に記載の元素回収方法。
【請求項10】
前記処理対象物は遷移金属を含む、請求項4?9のいずれか1項に記載の元素回収方法。
【請求項11】
前記溶融塩として塩化物系またはフッ化物系の溶融塩を用いる、請求項1?10のいずれか1項に記載の元素回収方法。
【請求項12】
溶融塩として塩化物系の溶融塩とフッ化物系の溶融塩とを混合した溶融塩を用いる、請求項1?10のいずれか1項に記載の元素回収方法。
【請求項13】
希土類元素を含む溶融塩を準備する工程と、
前記溶融塩に一対の電極部材を接触させた状態で、前記電極部材における電位を所定の値に制御することにより、一対の前記電極部材の一方に、溶融塩中に存在する希土類元素を析出させる工程とを備え、
前記溶融塩に含まれる前記希土類元素は、前記希土類元素を含む処理対象物に電位を与えて前記溶融塩中へ電気化学的に溶出したものであり、
前記溶融塩を準備する工程は、
前記希土類元素を含み導電性の前記処理対象物を準備する工程と、
前記処理対象物と電極部材とを前記溶融塩に接触させた状態で、前記処理対象物と前記電極部材における電位を所定の値に制御することにより、前記処理対象物から前記電位に応じた前記希土類元素を含む元素を前記溶融塩中に溶出させる工程とを含み、
前記溶出させる工程において、前記電位の値は、前記希土類元素を前記溶融塩に溶出させるように設定され、
前記溶出させる工程は、前記電位の値を互いに異なる設定値に設定した状態で複数回実施される、元素回収方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-12-01 
出願番号 特願2013-528046(P2013-528046)
審決分類 P 1 652・ 113- YAA (C25C)
P 1 652・ 121- YAA (C25C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 國方 康伸  
特許庁審判長 鈴木 正紀
特許庁審判官 池渕 立
金 公彦
登録日 2016-08-26 
登録番号 特許第5993374号(P5993374)
権利者 住友電気工業株式会社 国立大学法人京都大学
発明の名称 元素回収方法  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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