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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B63B |
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管理番号 | 1337005 |
異議申立番号 | 異議2016-700436 |
総通号数 | 219 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-03-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-05-16 |
確定日 | 2017-12-08 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5814461号発明「揚荷装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5814461号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 特許第5814461号の請求項1、2に係る特許を取り消す。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第5814461号の請求項1及び2に係る特許についての出願は、2012年(平成24年)3月5日を国際出願日とする出願であって、平成27年10月2日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人喜古弥寿正及び特許異議申立人スペロセイキ株式会社によりそれぞれ特許異議の申立てがされ、平成28年8月29日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成28年10月25日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して特許異議申立人喜古弥寿正から平成28年12月19日付けで意見書が、特許異議申立人スペロセイキ株式会社から平成28年12月20日付けで意見書がそれぞれ提出され、平成29年1月25日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である平成29年3月27日に意見書の提出及び訂正の請求があり、平成29年6月21日に手続補正書(方式)が提出され、平成29年7月14日付けで訂正拒絶理由が通知され、平成29年8月21日に意見書及び手続補正書(方式)が提出されたものである。 第2 訂正の適否 1 訂正請求及びその手続補正について 1-1 手続補正について 平成29年3月27日付けの訂正請求書(以下「訂正請求書」という。なお、請求の理由は、平成29年6月21日に提出された手続補正書(方式)により補正されている。)及びこれに添付した訂正特許請求の範囲は、平成29年8月21日付けの手続補正書(方式)(以下「補正書」という場合がある。)により補正されたので、当該補正の適否について検討する。 なお、平成28年10月25日にあった訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 (1)補正の内容 訂正請求書において、訂正事項1ないし6からなる訂正事項を以下の内容の訂正事項5を削除し、訂正事項6を訂正事項5に繰り上げて訂正事項1ないし5からなる訂正事項に補正する。 <訂正事項5の内容> 特許請求の範囲の請求項1に「閉塞可能に接続されている」と記載されているのを「閉塞可能に接続され、前記船体内に海水が浸入した際に、前記水密バタフライバルブを閉操作する制御手段を更に具備する」に訂正する。 (2)補正の適否 上記補正は、訂正事項を単純に削除する補正であり、大幅な審理のやり直しになるようなもの、審理が煩雑となって手続の安定性を害するようなものではないから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。 したがって、上記補正書による補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではなく、特許法120条の5第9項で準用する特許法第131条の2第1項の規定に適合するので、当該補正を認める。 1-2 訂正請求について (1)訂正の内容 平成29年8月21日付けの手続補正書(方式)により補正された訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし2について訂正することを求めるものである。 そして、本件訂正における訂正事項は、以下のとおりである。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「粉粒体を複数に区画された船倉内に積載して運搬する粉粒体運搬船に設置され、」と記載されているのを、「空気流により流動化可能な粉粒体を複数に区画された船倉内に積載して運搬する粉粒体運搬船に設置され、」に訂正する。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「前記船倉の底部に前記底部中央に向けて傾斜するように配置され、前記船倉内の粉粒体を空気流により流動化させて前記水平移送手段に向けて移送するエアスライダを備え、」と記載されているのを、「前記船倉の底部に前記底部中央に向けて傾斜するように配置され、前記船倉内の粉粒体を空気流により流動化させて前記船倉の側部から抜き出して前記水平移送手段に向けて移送するエアスライダを備え、」に訂正する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に「前記水平移送手段及び前記エアスライダの接続部は、水密バタフライバルブにより閉塞可能に接続されている」と記載されているのを、「前記水平移送手段及び前記エアスライダの接続部は、前記船倉の側部に設けられた水密バタフライバルブにより…閉塞可能に接続されている」に訂正する。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項1に「水密バタフライバルブにより閉塞可能に接続されている」と記載されているのを、「水密バタフライバルブにより水密に閉塞可能に接続されている」に訂正する。 オ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項2に「前記垂直移送手段は、縦型スクリューコンベヤ又は縦型バケットエレベータからなり」と記載されているのを、「前記垂直移送手段は、縦型バケットエレベータからなり」に訂正する。 (2)訂正の適否 (2-1)一群の請求項 訂正事項1ないし5に係る訂正前の請求項1ないし2について、請求項2は請求項1を引用するものであって、訂正事項1ないし4によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1ないし2に対応する訂正後の請求項1ないし2は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (2-2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (2-2-1)訂正事項1について 訂正事項1の「空気流により流動化可能な粉粒体を複数に区画された船倉内に積載して運搬する粉粒体運搬船に設置され」は、「粉粒体」について「空気流により流動化可能な」との限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項1は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1の「前記船倉内の粉粒体を空気流により流動化させて」との記載事項や、同明細書段落【0027】の「流動化されたホールド2内の粉粒体を水密ゲート130の方向へ移動させる」との記載事項より導かれる事項であるから、新規事項の追加に該当しない。 加えて、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2-2-2)訂正事項2について 訂正事項2の「前記船倉の底部に前記底部中央に向けて傾斜するように配置され、前記船倉内の粉粒体を空気流により流動化させて前記船倉の側部から抜き出して前記水平移送手段に向けて移送するエアスライダを備え」は、「前記船倉内の粉粒体を空気流により流動化させて前記水平移送手段に向けて移送する」との事項に「前記船倉の側部から抜き出して」との限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項2は、願書に添付した図面の図3及び図4の記載事項より導かれる事項であるから、新規事項の追加に該当しない。 加えて、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2-2-3)訂正事項3及び4について 訂正事項3及び4の「前記水平移送手段及び前記エアスライダの接続部は、前記船倉の側部に設けられた水密バタフライバルブにより水密に閉塞可能に接続されている」は、「水密バタフライバルブ」について「前記船倉の側部に設けられた」との限定を付加し、「閉塞可能に接続されている」との事項に「水密に」との限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項3及び4は、願書に添付した明細書の段落【0027】、同図面の図3及び図4の記載事項より導かれる事項であるから、新規事項の追加に該当しない。 加えて、訂正事項3及び4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2-2-4)訂正事項5について 訂正事項5の「前記垂直移送手段は、縦型バケットエレベータからなり」は、訂正前の請求項2の択一的記載の要素を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当しない。 また、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)小括 したがって、上記訂正請求による訂正事項1ないし5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正を認める。 第3 本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1ないし2に係る発明(以下「本件発明1ないし2」という。)は、次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 空気流により流動化可能な粉粒体を複数に区画された船倉内に積載して運搬する粉粒体運搬船に設置され、前記船倉内から前記粉粒体を荷揚する揚荷装置であって、 隔壁により内部が水密となるように区画された前記船倉内から搬出された粉粒体を垂直方向に移送する垂直移送手段と、 前記船倉の底部中央に前記粉粒体運搬船の船体前後方向に貫通するように配置されると共に前記垂直移送手段と接続され、前記船倉内の粉粒体を前記垂直移送手段の下端側に向けて水平方向に移送する水平移送手段と、 前記船倉の底部に前記底部中央に向けて傾斜するように配置され、前記船倉内の粉粒体を空気流により流動化させて前記船倉の側部から抜き出して前記水平移送手段に向けて移送するエアスライダを備え、 前記水平移送手段及び前記エアスライダの接続部は、前記船倉の側部に設けられた水密バタフライバルブにより水密に閉塞可能に接続されている ことを特徴とする揚荷装置。 【請求項2】 前記垂直移送手段は、縦型バケットエレベータからなり、 前記水平移送手段は、フローコンベヤからなる ことを特徴とする請求項1記載の揚荷装置。」 第4 刊行物の記載事項及び刊行物発明(甲1発明) 1 平成29年1月25日付けの取消理由通知(決定の予告)で引用した刊行物である甲第1号証(特開2006-44343号公報)には、「粉粒体積荷装置及び粉粒体荷揚げ装置」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。 (1)「【背景技術】 【0002】 従来からセメントや、石炭灰等の粉粒体を運搬するための貨物船には、粉粒体を岸壁近傍の陸上に設置された粉粒体の貯留設備から、船体内に区画形成された複数の船倉に粉粒体を積載するための粉粒体積荷装置が設けられている。この粉粒体積荷装置は、粉粒体を陸上の貯留設備から受け入れる中央分配室よりそれぞれの船倉天井部まで延設されているエアースライダー等の搬送路を有している。外部積み込み装置から供給された粉粒体は、それぞれの船倉天井部までの搬送路で分配されてそれぞれの船倉の天井部から落とし込んで積み込んでいる。この粉粒体の船倉への積載に際しては、船倉が複数室に分かれているので、船体は、前後左右のバランスにアンバランスが発生する場合がある。そこで、船体の各所には、常時複数のオペレーターが別れて監視してそれぞれのオペレーターが手動で搬送路の調整ゲートの開閉度合を調整して船体のアンバランスの発生を防止している。あるいは、複数のオペレーターが監視状況を無線機や、手動信号で中央分配室を制御しているオペレーターに逐次報告することで、それぞれの搬送路の調整ゲートの開閉度合を集中制御で調整して船体のアンバランスの発生を防止している。」 (2)「【0016】 次いで、図2(A)?(C)を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る粉粒体荷揚げ装置を説明する。ここで、図2(A)は本発明の一実施の形態に係る粉粒体荷揚げ装置を説明するための船体底部の平面図、図2(B)は図2(A)におけるA-A’線拡大縦断面図、図2(C)は図2(A)におけるB-B’線拡大縦断面図である。 図2(A)?(C)に示すように、本発明の一実施の形態に係る粉粒体荷揚げ装置20は、岸壁に接岸された貨物船等の船体11内部に区画形成された複数の船倉12内に積み込まれたセメントや、石炭灰等の粉粒体を、岸壁近傍の陸上に設置された粉粒体の貯留設備に荷揚げするための船体11に設けられる積荷重量計測手段、及び粉粒体揚げ荷手段を有している。なお、この粉粒体荷揚げ装置20が有する積荷重量計測手段は、前述の粉粒体積荷装置10が有した積荷重量計測手段と同じものである。そこで、詳細な説明は、省略するが、粉粒体荷揚げ装置20が有する積荷重量計測手段によって、船体11の船倉12から積み出される粉粒体の揚げ荷量は、積載重量の算出によって、自ずとして算出することができると共に、所望量の粉粒体を船体11から揚げ荷することができる。」 (3)「【0017】 粉粒体荷揚げ装置20の粉粒体揚げ荷手段は、集中管理室のオペレーターが積荷重量計測手段の第1?第4の吃水計13、13a、13b、13cからの信号を受け、船体11の前後左右全体のバランスを計りながら複数の船倉12のそれぞれからの粉粒体の揚げ荷量を調整するために設けられている。この粉粒体を船倉12から揚げ荷するためには、船倉12底部に、船倉12内の粉粒体を船体11底部中心線を縦断して設けられたチェンコンベアや、エアースライダー等の輸送体21に送り込むための魚の骨状に配設されたエアースライダー22を有している。そして、更に、粉粒体を揚げ荷するためには、輸送体21で船首側又は船尾側に横移動して送られた粉粒体を、船上に持ち上げるために、船体11底部から立設して設けられる筒体23とスクリュー24からなる竪型スクリューコンベア25を有している。こうして船上に持ち上げられた粉粒体は、岸壁近傍の陸上に設置された粉粒体の貯留設備に荷揚げされている。この粉粒体の揚げ荷量を調整のために、それぞれの船倉12の側部に設けられている複数のエアースライダー22のそれぞれには、エアースライダー22の出口に開口広さが調整できるシャッター26が設けられている。このシャッター26の開閉によって、エアースライダー22から輸送体21に搭載される粉粒体は、コントロールがなされて、それぞれの船倉12の粉粒体の残量が調整され、船体11の全体のバランスが保たれることとなる。」 (4)以下の【図1】(A)(B)及び【図2】(A)(B)(C)が図示されている。 以上の記載事項から次の事項が認定できる。 (5)上記(3)には、「船倉12内の粉粒体を船体11底部中心線を縦断して設けられたチェンコンベアや、エアースライダー等の輸送体21に送り込むための魚の骨状に配設されたエアースライダー22」、「それぞれの船倉12の側部に設けられている複数のエアースライダー22」と記載されており、併せて(4)の【図2】(B)を参照すると、エアースライダー22は、船倉12内の粉粒体を船倉12の側部から抜き出してチェンコンベア等の輸送体21に送り込むものと認められる。 (6)上記(3)には、「開口広さが調整できるシャッター26」、「このシャッター26の開閉によって」と記載されているから、シャッター26は、開閉可能であると認められる。 これらの記載事項(1)?(4)、認定事項(5)、(6)及び図面内容を総合し、本件発明1の発明特定事項に倣って整理すると、甲第1号証には、以下の発明が記載されていると認められる(以下「甲1発明」という。)。 「セメントや石炭灰等の粉粒体を区画形成された複数の船倉12内に積み込んで運搬する貨物船等に設けられ、前記船倉12内に積み込まれた粉粒体を荷揚げする粉粒体荷揚げ装置20において、 区画形成された前記船倉12内の粉粒体を船上に持ち上げるために船体11底部から立設して設けられる竪型スクリューコンベア25と、 前記船倉12底部に船体11底部中心線を縦断して設けられ、前記船倉12内の粉粒体を船首側又は船尾側に横移動させて前記竪型スクリューコンベア25に送るチェンコンベア等の輸送体21と、 前記船倉12内の粉粒体を船倉12の側部から抜き出して前記チェンコンベア等の輸送体21に送り込むための魚の骨状に配設された、船倉12の側部に設けられているエアースライダー22を有し、 前記エアースライダー22の出口に開閉可能なシャッター26が設けられている、 粉粒体荷揚げ装置20。」 2 平成29年1月25日付けの取消理由通知(決定の予告)で引用した刊行物である甲第2号証(特許第2772873号公報)には、「ばら積み船のアンローティング・システム」に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。 (1)「【0006】本発明はかかる事情に鑑みて完成されたものであり、塊状、粒状、粉状、低流動性のばら物を運搬する貨物船であって、衝突して船体の一部が破壊されても、水が船内全体に進入して沈没することのないよう船内をいくつもの相互に完全隔離された部屋に区分された貨物室隔離型としたばら積み貨物船のアンローディング・システムを提供することを目的としている。」 (2)「【0010】本実施例はばら物貨物船1の船体内に隔離された壁2aからなる内側室である貨物室2が仕切3によって複数に区分され、この貨物室2の下部には勾配付き底部4が形成され、この各勾配付き底部4上には楔状の突起が多数配設されたストローク式リクレーマ11が配設されており、このリクレーマ11は船体1に設けられた往復シリンダ12によって上記底部4に沿って往復摺動する。往復シリンダ12はリクレーマ11とはピストンロッド12aによって連結されており、ピストンロッド12aと貨物室2の壁2aとは水密シール13によって完全にシールされている。」 (3)「【0012】底部4の最低域にはスクリューウコンベア等からなる払出装置14を介して開閉が自動制御される水密ゲート15が設けられており、この水密ゲート15の直下の外側室6には切出しコンベア8が配設されている。水密ゲート15はバタフライ弁、仕切弁等で形成され、電動式、油圧式などの自動化されたものがよい。なお、符号16は案内体、符号17は補強板である。 【0013】次に、本実施例の作動を説明すると、ばら積みされた貨物Aのアンローディングに際し、貨物室底部4のリクレーマ11がシリンダ12のロッド12aによって往復運動し、貨物Aは強制的に中央の払出部へ移動される。さらに払出し部のスクリューウコンベア等からなる払出装置14により水密ゲート方向に送られ、水密ゲート15が自動的に開き、そこから下の切り出しコンベア8へ貨物Aが落ち、各種のコンベアを経て船外へ自動的に運ばれる。ここで、リクレーマ11と往復シリンダ12は断面円形のピストンロッド12aで連結されているから、シールが容易である。」 (4)「【0014】また、上記水密ゲート15は閉時のシールが完全な自動制御弁であるため船体衝突の際には、運転室における人手によるスイッチオンにて全水密ゲートを一斉に閉弁して貨物室全部を水密構造にできる。」 (5)「【0016】 【発明の効果】 上述したように本発明によれば、各貨物室は船体から完全に隔離され、しかも勾配付き底部に設けられたストローク式リクレーマを作動する往復シリンダのピストンロッド及び底部の最低域に設けられた排出用のゲートが自動制御される水密ゲートにより各貨物室を完全水密にできるから、たとえ衝突によって船体の一部が破壊されても貨物室全部が水密構造であり船体の沈没は十分避けられるとともに、前記貨物室下側の船底に設けられた切出しコンベアから船上に設けられた水切りコンベアまでの一連のコンベアとも各貨物室とは完全に隔離されているから、容易に、かつ迅速にダメージ対策を実施できる。さらに、各勾配付き底部上には楔状の突起が多数配設されたストローク式リクレーマが配設され、該ストローク式リクレーマは船体の外側室に設けられた往復シリンダによって水密シールを介して前記勾配付き底部に沿って往復摺動可能としたから、勾配付き底部の全面からばら物貨物を底部の最低域に設けられたスクリューウコンベアからなる払出装置に完全に掻き集めることができ、水密ゲートの直下の前記外側室に設けられた切出しコンベアから船上に設けられた水切りコンベアまでの一連のコンベアによって効率的な荷揚げができる。」 (6)以下の【図1】及び【図2】が図示されている。 第5 対比・判断 1 本件発明1について (1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 ア 甲1発明の「セメントや石炭灰等の粉粒体」は、「エアースライダー22」により搬送されるものであるところ、技術常識に照らし、「エアースライダー22」はかかる「粉粒体」を空気流により流動化する機能を有していることは明らかであるから、本件発明1の「空気流により流動化可能な粉粒体」に相当するといえる。 また、甲1発明の「船倉12」は「船倉」に、「粉粒体荷揚げ装置20」は「揚荷装置」に、それぞれ相当するといえる。 イ 甲1発明の「セメントや石炭灰等の粉粒体を区画形成された複数の船倉12内に積み込んで運搬する貨物船等」は、本件発明1の「粉粒体を複数に区画された船倉内に積載して運搬する粉粒体運搬船」に相当するといえる。 したがって、甲1発明の「セメントや石炭灰等の粉粒体を区画形成された複数の船倉12内に積み込んで運搬する貨物船等に設けられ、前記船倉12内に積み込まれた粉粒体を荷揚げする粉粒体荷揚げ装置20」は、本件発明1の「空気流により流動化可能な粉粒体を複数に区画された船倉内に積載して運搬する粉粒体運搬船に設置され、前記船倉内から前記粉粒体を荷揚する揚荷装置」に相当するといえる。 ウ 甲1発明の「船倉12」は、区画形成されているものであり、併せて【図1】(A)、(B)、【図2】(A)、(B)(上記第4 1(4))を参照すると、「船倉12」は隔壁により区画形成されているものといえる。 また、甲1発明の「竪型スクリューコンベア25」は、「船倉12内の粉粒体を船上に持ち上げるために船体11底部から立設して設けられる」ものであり、併せて段落【0017】(上記第4 1(3))の記載及び【図2】(C)(上記第4 1(4))を参照すると、甲1発明の「竪型スクリューコンベア25」は、船倉12内から搬出された粉粒体を垂直方向に移送するものといえる。 したがって、甲1発明の「区画形成された前記船倉12内の粉粒体を船上に持ち上げるために船体11底部から立設して設けられる竪型スクリューコンベア25」と、本件発明1の「隔壁により内部が水密となるように区画された前記船倉内から搬出された粉粒体を垂直方向に移送する垂直移送手段」は、「隔壁により区画された前記船倉内から搬出された粉粒体を垂直方向に移送する垂直移送手段」という限度で一致するといえる。 エ 甲1発明の「前記船倉12底部に船体11底部中心線を縦断して設けられ」という構成は、本件発明1の「前記船倉の底部中央に前記粉粒体運搬船の船体前後方向に貫通するように配置される」という構成に相当するといえる。 また、甲1発明の「チェンコンベア等の輸送体21」は、「前記船倉12内の粉粒体を船首側又は船尾側に横移動させて前記竪型スクリューコンベア25に送る」ものであり、併せて【図2】(A)、(B)、(C)(上記第4 1(4))を参照すると、「チェンコンベア等の輸送体21」は、「竪型スクリューコンベア25」と接続され、「船倉12内の粉粒体」を「竪型スクリューコンベア25」の下端側に向けて水平方向に移送するものといえる。 したがって、甲1発明の「前記船倉12底部に船体11底部中心線を縦断して設けられ、前記船倉12内の粉粒体を船首側又は船尾側に横移動させて前記竪型スクリューコンベア25に送るチェンコンベア等の輸送体21」は、本件発明1の「前記船倉の底部中央に前記粉粒体運搬船の船体前後方向に貫通するように配置されると共に前記垂直移送手段と接続され、前記船倉内の粉粒体を前記垂直移送手段の下端側に向けて水平方向に移送する水平移送手段」に相当するといえる。 オ 甲1発明の「エアースライダー22」は、「船倉12内の粉粒体を船倉12の側部から抜き出してチェンコンベア等の輸送体21に送り込むための」ものであり、併せて【図2】(A)、(B)(上記第4 1(4))を参照すると、「エアースライダー22」は、「船倉12」の底部に前記底部中央に向けて傾斜するように配置されているものといえる。 また、甲1発明の「エアースライダー22」は、上記アで述べたように、粉粒体を空気流により流動化する機能を有しているものといえる。 したがって、甲1発明の「前記船倉12内の粉粒体を船倉12の側部から抜き出して前記チェンコンベア等の輸送体21に送り込むための魚の骨状に配設された、船倉12の側部に設けられているエアースライダー22」は、本件発明1の「前記船倉の底部に前記底部中央に向けて傾斜するように配置され、前記船倉内の粉粒体を空気流により流動化させて前記船倉の側部から抜き出して前記水平移送手段に向けて移送するエアスライダ」に相当するといえる。 カ 甲1発明の「開閉可能なシャッター26」は、「エアースライダー22の出口」に設けられているものであり、併せて【図2】(B)(上記第4 1(4))を参照すると、「チェンコンベア等の輸送体21」及び「エアースライダー22」の接続部は、「シャッター26」により開閉可能に接続されているものといえる。 また、甲1発明の「開閉可能なシャッター26」は、「船倉12の側部に設けられている」「エアースライダー22の出口」に設けられているものであり、併せて【図2】(B)(上記第4 1(4))を参照すると、甲1発明の「開閉可能なシャッター26」は、船倉12の側部に設けられているものといえる。 したがって、甲1発明の「前記エアースライダー22の出口に開閉可能なシャッター26が設けられている」という構成と、本件発明1の「前記水平移送手段及び前記エアスライダの接続部は、前記船倉の側部に設けられた水密バタフライバルブにより水密に閉塞可能に接続されている」という構成は、「前記水平移送手段及び前記エアスライダの接続部は、前記船倉の側部に設けられた開閉手段により開閉可能に接続されている」という構成の限度で一致するといえる。 以上によれば、両者は、以下の点で一致する。 <一致点> 「空気流により流動化可能な粉粒体を複数に区画された船倉内に積載して運搬する粉粒体運搬船に設置され、前記船倉内から前記粉粒体を荷揚する揚荷装置であって、 隔壁により区画された前記船倉内から搬出された粉粒体を垂直方向に移送する垂直移送手段と、 前記船倉の底部中央に前記粉粒体運搬船の船体前後方向に貫通するように配置されると共に前記垂直移送手段と接続され、前記船倉内の粉粒体を前記垂直移送手段の下端側に向けて水平方向に移送する水平移送手段と、 前記船倉の底部に前記底部中央に向けて傾斜するように配置され、前記船倉内の粉粒体を空気流により流動化させて前記船倉の側部から抜き出して前記水平移送手段に向けて移送するエアスライダを備え、 前記水平移送手段及び前記エアスライダの接続部は、前記船倉の側部に設けられた開閉手段により開閉可能に接続されている 揚荷装置。」 そして、本件発明1と甲1発明とは、以下の点で相違している。 <相違点1> 「船倉」に関して、本件発明1では、「船倉」が「隔壁により『内部が水密となるように』区画され」ているのに対し、 甲1発明では、そのように特定されていない点。 <相違点2> 「開閉手段」に関して、本件発明1では、「開閉手段」が「水密バタフライバルブ」であり「水密に閉塞可能」であるのに対し、 甲1発明では、「開閉手段」が「シャッター26」であり「開閉可能」である点。 (2)判断 ア 相違点1について 甲第2号証には、「衝突して船体の一部が破壊されても、水が船内全体に浸入して沈没することのないよう船内をいくつもの相互に完全隔離された部屋に区分された貨物室隔離型としたばら積み貨物船のアンローディング・システム」(上記第4 2(1))が記載されているところ、浸水時における船体の沈没等を防止するために、貨物船内の各船倉を水密化するという技術的課題は、従来周知の技術的課題であり、かかる課題を解決するために、隔壁により内部が水密となるように船倉を区画するという技術も従来周知・慣用の技術であるといえる(例えば、特開平6-144357号公報(段落【0011】及び図1、2等参照)、特開平6-87492号公報(段落【0008】及び図1、2等参照))。 甲1発明は、区画形成された複数の船倉を備えた貨物船に適用されるものであるから、甲1発明においても、船倉への浸水時における船体の沈没等を防止するという課題は内在しているというべきである。 そうすると、甲1発明に上記周知・慣用の技術を適用する動機付けは十分あるといえるから、甲1発明に上記周知・慣用の技術を適用し、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者にとって格別の困難性を要するものではない。 なお、特許権者は、平成29年8月21日に提出された意見書(以下「意見書」という。)において、「甲1発明の課題は、船体の前後左右のバランスを確保することにあり、この課題は船倉内部の水密化を図ることとは全く関連性を有していない。甲第1号証には、船倉への海水の侵入、船倉の水密化に関する記載は全くない。甲1発明に船倉の水密化の技術を適用する必要性は全くない。一般に、貨物船には、日本国内の貨物輸送のみに使用される内航船と、外国の港にも寄港する外航船とがある。外航船はSOLAS条約の要求を満たすような仕様で建造され、例えば、衝突した際に一定の復原性が要求される。これに対し、甲1発明の出願時には、内航船は、SOLAS条約の基準を満たす必要がなく、低コストでの建造が可能である。甲1発明の貨物船も恐らく内航船と考えられ、従って、衝突し、浸水した際の復原性は要求されておらず、甲1発明では、積荷及び揚荷の際の船体の前後左右のバランスを確保することを課題としているのみである。」(4頁23行?5頁3行)と主張する。 しかしながら、甲1発明において、船倉への浸水時における船体の沈没等を防止するという課題が内在しているといえることは上述のとおりであるから、甲1発明に船倉の水密化の技術を適用する必要性は全くないということはできない。 また、甲第1号証には、甲1発明の貨物船がSOLAS条約の基準を満たす必要がない内航船であると明記されているわけではないから、甲1発明が内航船であるとの前提に立つ上記主張は失当であるというべきである。 さらに、SOLAS条約が、内航船に対して外航船よりも厳しい基準を課すものではないとしても、技術的にみて、かかる条約が甲1発明のような貨物船に対して、より安全性を高めるために水密化の技術を採用することを妨げる事情になるとまではいえない。 よって、上記主張は採用することはできない。 イ 相違点2について (ア)甲第2号証の上記「第4 2(1)?(6)」の記載事項を総合すると、甲第2号証には、以下の技術的事項が記載されているといえる(以下「甲第2号証に記載の技術的事項」という。)。 「貨物室2の勾配付き底部4上にはストローク式リクレーマ11が配設され、前記勾配付き底部4の最低域にはスクリューウコンベア等からなる払出装置14を介して開閉が自動制御されるバタフライ弁で形成される水密ゲート15が設けられており、前記水密ゲート15の直下には切出しコンベア8が配設されており、前記水密ゲート15を閉弁して貨物室2全部を水密構造にできる、粒状、粉状、低流動性のばら物を運搬するばら物貨物船1のアンローディング・システム。」 (イ)上記甲第2号証に記載の技術的事項によれば、「前記水密ゲート15の直下には切出しコンベア8が配設されて」いるところ、上記「第4 2(3)段落【0013】」の「水密ゲート15が自動的に開き、そこから下の切り出しコンベア8へ貨物Aが落ち」との記載を参酌すると、甲第2号証に記載の技術的事項の「バタフライ弁で形成される水密ゲート15」は、閉じた状態では貨物を通過させず、開いた状態では貨物を通過させて「切出しコンベア8」へ移送する機能を有する開閉手段ということができる。 他方、甲1発明の「シャッター26」は、上記「第4 1(3)」の「このシャッター26の開閉によって、エアースライダー22から輸送体21に搭載される粉粒体は、コントロールがなされて、それぞれの船倉12の粉粒体の残量が調整され」との記載を参酌すると、甲1発明の「シャッター26」は、閉じた状態では粉粒体を通過させず、開いた状態では粉粒体を通過させて「輸送体21」へ移送する機能を有する開閉手段ということができる。 ここで、甲1発明の「粉粒体」は貨物に他ならず、甲1発明の「輸送体21」及び甲第2号証に記載の技術的事項の「切出しコンベア8」はそれぞれ「水平移送手段」ということができるから、甲1発明の「シャッター26」及び甲第2号証に記載の「バタフライ弁で形成される水密ゲート15」は、ともに、閉じた状態では貨物を通過させず、開いた状態では貨物を通過させて水平移送手段へ移送する機能を有する開閉手段という点で開閉手段として作用・機能を共通するといえる。 のみならず、甲第2号証に記載の技術的事項の「バタフライ弁で形成される水密ゲート15」は、貨物室2から切出しコンベア8に至るまでの貨物搬送経路に設けられるただ一つの開閉手段として機能しているのに対し、甲1発明の「シャッター26」も船倉12から輸送体21に至る粉粒体搬送経路に設けられるただ一つの開閉手段として機能しているものであるから、このような点でも両者は共通するものといえる。 このように、甲1発明の「シャッター26」と甲第2号証に記載の技術的事項の「バタフライ弁で形成される水密ゲート15」は、開閉手段としての作用・機能の点で多分に共通するものということができる。 (ウ)また、甲第2号証に記載の技術的事項の「バタフライ弁で形成される水密ゲート15」は、「閉弁して貨物室2全部を水密構造にできる」というものであるところ、「水密」とは、「隙間などから水が漏れないようになっている状態」を意味するから(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)、甲第2号証に接した当業者は、水密構造とされていないゲート(開閉手段)にあっては、そのような開閉手段が浸水の経路になり得ることは容易に認識できるのであり、加えて、当該ゲート(開閉手段)が浸水経路となり得る場所であるならば、浸水を回避するためには当該ゲート(開閉手段)を水密にすれば良いとの知見をも得ることができるというべきである。 (エ)ここで、上記アで述べたように、貨物船において、浸水時における船体の沈没等を防止するために、貨物船内の各船倉を水密化するという技術的課題は、甲1発明においても内在する技術的課題といえるから、甲1発明において、前記水密ゲート15を備えた甲第2号証に記載の技術的事項を参考にする動機付けは十分あるといえる。 さらにいうと、上記(イ)で述べたとおり、甲1発明の「シャッター16」と甲第2号証に記載の技術的事項の「バタフライ弁で形成される水密ゲート15」は、開閉手段としての作用・機能の点で多分に共通するものといえることからみても、甲1発明において、甲第2号証に記載の技術的事項を参考にする動機付けは十分にあるといえる。 (オ)上記(ウ)で述べたところによれば、甲1発明において、シャッター26が浸水の際に浸水経路となり得る場所であることは、当業者であれば容易に認識できることといえるから、甲第2号証に記載の技術的事項を参考にすることによって、上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとすることは、当業者にとって格別の困難性を要するものとはいえない。 なお、特許権者は意見書において、甲第2号証に記載の技術的事項と本件発明1の貨物や装置の構造の違い、甲1発明の技術的課題と本件発明1の技術的課題の違い、及びSOLAS条約の規則等に基づき、甲第2号証に記載の技術的事項を甲1発明に適用する動機付けはないなどと縷々主張するものであるが、甲1発明において甲第2号証に記載の技術的事項を参考にする動機付けは十分あることは上記(エ)で述べたとおりであるから、上記主張を採用することはできない。 ウ そして、本件発明1の奏する作用効果は、甲1発明、甲第2号証に記載の技術的事項及び従来周知・慣用の技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (3)小括 以上のとおり、本件発明1は、甲1発明、甲第2号証に記載の技術的事項及び従来より周知・慣用の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 2 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の発明特定事項の全てを含み、さらに新たな事項を特定するものであるところ、本件発明1について甲1発明、甲第2号証に記載の技術的事項及び従来周知・慣用の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであることはすでに述べたとおりであるので、以下では、本件発明2で新たに特定された事項について検討する。 (1)対比 本件発明2と甲1発明とを対比すると、上記相違点1及び2に加えて以下の点でさらに相違するといえる。 <相違点3> 「垂直移送手段」に関して、本件発明2では、垂直移送手段が「縦型バケットエレベータ」からなるのに対し、甲1発明では、垂直移送手段が「竪型スクリューコンベア25」からなる点。 <相違点4> 「水平移送手段」に関して、本件発明2では、水平移送手段が「フローコンベヤ」からなるのに対し、甲1発明では、水平移送手段が「チェンコンベア」からなる点。 (2)判断 ア 相違点3について 粉粒体の移送手段一般において、垂直移送手段を縦型バケットエレベータで構成するという技術は、従来周知の技術にすぎず(必要ならば、例えば、特開2005-22840号公報(段落【0028】、【0029】及び図1等参照))、甲1発明において、垂直移送手段として縦型バケットエレベータを採用することに格別の困難性は見出せない。 イ 相違点4について 粉粒体の移送手段一般において、水平移送手段をフローコンベヤで構成するという技術は、従来周知の技術にすぎず、甲1発明において、水平移送手段としてフローコンベヤを採用することに格別の困難性は見出せない。 ウ そして、本件発明2の奏する作用効果は、甲1発明、甲第2号証に記載の技術的事項、及び、従来周知・慣用の技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 (3)小括 以上のとおり、本件発明2は、甲1発明、甲第2号証に記載の技術的事項、及び、従来周知・慣用の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明、甲第2号証に記載の技術的事項及び従来周知・慣用の技術に基いて、本件発明2は、甲1発明、甲第2号証に記載の技術的事項及び従来周知・慣用の技術に基いて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1及び2は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、本件発明1及び2に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 空気流により流動化可能な粉粒体を複数に区画された船倉内に積載して運搬する粉粒体運搬船に設置され、前記船倉内から前記粉粒体を荷揚する揚荷装置であって、 隔壁により内部が水密となるように区画された前記船倉内から搬出された粉粒体を垂直方向に移送する垂直移送手段と、 前記船倉の底部中央に前記粉粒体運搬船の船体前後方向に貫通するように配置されると共に前記垂直移送手段と接続され、前記船倉内の粉粒体を前記垂直移送手段の下端側に向けて水平方向に移送する水平移送手段と、 前記船倉の底部に前記底部中央に向けて傾斜するように配置され、前記船倉内の粉粒体を空気流により流動化させて前記船倉の側部から抜き出して前記水平移送手段に向けて移送するエアスライダを備え、 前記水平移送手段及び前記エアスライダの接続部は、前記船倉の側部に設けられた水密バタフライバルブにより水密に閉塞可能に接続されている ことを特徴とする揚荷装置。 【請求項2】 前記垂直移送手段は、縦型バケットエレベータからなり、 前記水平移送手段は、フローコンベヤからなる ことを特徴とする請求項1記載の揚荷装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2017-10-27 |
出願番号 | 特願2014-503308(P2014-503308) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZAA
(B63B)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 川村 健一 |
特許庁審判長 |
氏原 康宏 |
特許庁審判官 |
和田 雄二 尾崎 和寛 |
登録日 | 2015-10-02 |
登録番号 | 特許第5814461号(P5814461) |
権利者 | 株式会社オーケーエム 清和工業株式会社 宇部興産海運株式会社 |
発明の名称 | 揚荷装置 |
代理人 | きさらぎ国際特許業務法人 |
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代理人 | きさらぎ国際特許業務法人 |
代理人 | 特許業務法人安倍・下田国際特許事務所 |
代理人 | きさらぎ国際特許業務法人 |