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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B23B
管理番号 1337045
異議申立番号 異議2017-700137  
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-02-15 
確定日 2018-01-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5994985号発明「工具を保持する固定具を有する工具保持具から工具が脱出することを防止する手段」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5994985号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正することを認める。 特許第5994985号の請求項1ないし3、5ないし9に係る特許を維持する。 特許第5994985号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5994985号の請求項1ないし9に係る特許についての出願は、平成24年9月13日に特許出願され、平成28年9月2日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人株式会社MSTコーポレーション(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成29年5月17日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年8月16日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して申立人から平成29年9月25日に意見書が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のアないしクのとおりである。
ア 請求項1に係る「回転軸方向から見た断面において、前記ロッキング要素は少なくとも部分的にボール頭部形状で構成され、」を「回転軸方向から見た断面において、前記ロッキング要素はボール形状で構成され、」に訂正する。

イ 請求項1に係る「前記工具保持具における前記ロッキング要素は、ボール、ピン、ボルト、またはねじ切りされたピンのうちの少なくとも1つであり、」を「前記工具保持具における前記ロッキング要素は、ボールであり、」に訂正する。

ウ 請求項1に係る「凸面構成を含む、システム。」を「凸面構成を含み、前記ロッキング要素は、前記工具保持具の支持ボア孔において支持され、前記支持ボア孔は、前記工具を受ける内側キャビティの内側周方向表面に接線方向に近接して構成される、システム。」に訂正する。

エ 請求項4を削除する。

オ 請求項5に係る「請求項4に記載のシステム。」を「請求項1に記載のシステム。」に訂正する。

カ 請求項6に係る「請求項4に記載のシステム。」を「請求項1に記載のシステム。」に訂正する。

キ 請求項7に係る「請求項4に記載のシステム。」を「請求項1に記載のシステム。」に訂正する。

ク 請求項8に係る「請求項1から5のいずれかに記載のシステム。」を「請求項1から3および5のいずれかに記載のシステム。」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

上記アの訂正事項に関連する記載として、明細書の発明の詳細な説明の段落0028には「ボール4の形状でのロッキング要素」が記載されいることから、「ボール形状」を用いてなる発明は明細書に記載されているものと認められる。
上記アの訂正は、明細書に記載された事項の範囲内においてロッキング要素を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

上記イの訂正事項は、「ロッキング要素」を複数の選択肢の中から限定するものである。
したがって、上記イの訂正は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてロッキング要素を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

上記ウの訂正事項は、「ロッキング要素」を請求項4に記載されていた構成で限定するものである。
したがって、上記ウの訂正は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内においてロッキング要素を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

上記エの訂正は、請求項を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

上記オないしクの訂正は、請求項の削除に伴い、引用先を整合させるものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

そして、これら訂正は一群の請求項に対して請求されたものである。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-9〕について訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1ないし3、5ないし9に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし3、5ないし9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

本件発明1「工具保持具と工具とを含むシステムであって、前記工具保持具は、前記工具を保持する円筒形の締付チャックを含み、円筒形の工具シャフトがその中に受入れられ、前記システムは脱出防止部を含み、前記工具が動作中に軸方向に移動して前記工具保持具から出ないようロックし、前記脱出防止部は、少なくとも1つのロッキング要素と、それに対応し、前記ロッキング要素を受入れる少なくとも1つのロッキング溝とを含み、前記ロッキング要素および前記ロッキング溝はフォームロッキング態様で相互作用し(welche formschluessig zusammenwirken)、前記ロッキング溝は前記工具シャフトの外周表面に配置され、前記ロッキング溝は、前記工具シャフトの切削要素とは反対側の端から始まっており、前記ロッキング溝の経路はL字形状となっており、回転軸方向から見た断面において、前記ロッキング要素はボール形状で構成され、前記ロッキング溝は、少なくとも部分的に、分割された円形形状で構成されており、前記工具保持具における前記ロッキング要素は、ボールであり、それらは、少なくとも1つでありかつ少なくとも部分的にボール形状である、凸面構成を含み、前記ロッキング要素は、前記工具保持具の支持ボア孔において支持され、前記支持ボア孔は、前記工具を受ける内側キャビティの内側周方向表面に接線方向に近接して構成される、システム。」

本件発明2「前記ロッキング要素は、前記工具保持具において回転軸まわりに等角度間隔で配置され、前記ロッキング溝は、前記工具において回転軸まわりに等角度間隔で配置され、前記ロッキング要素は、前記工具保持具において、前記工具の回転軸に垂直な面に配置される、請求項1に記載のシステム。」

本件発明3「前記ロッキング要素は、前記工具保持具において、前記工具の回転軸に垂直な面に配置される、請求項1または2に記載のシステム。」

本件発明5「前記ロッキング要素は、前記支持ボア孔におけるそれらの支持された位置において、ボール頭部形状の構成が、前記工具を受入れる前記工具保持具の内部キャビティ内に少なくとも部分的に入る状態で、位置決めされている、請求項1に記載のシステム。」

本件発明6「前記ロッキング要素はボールであり、それらは、工具保持具において、少なくとも1つのボール保持部において保持され、前記ボール保持部の前記ボールのための前記支持ボア孔は内側を基準にして前記支持ボア孔直径よりも小さい直径を含み、前記工具保持具は前記工具保持具の内部において少なくとも1つのボール保持部を含み、前記ボール保持部は、別途の構成要素である、請求項1に記載のシステム。」

本件発明7「前記ロッキング要素はボールであり、それらは、工具保持具において、少なくとも1つのボール保持部において保持され、前記ボール保持部の前記ボールのための前記支持ボア孔は内側を基準にして前記支持ボア孔直径よりも小さい直径を含み、前記工具保持具は前記工具保持具の内部において少なくとも1つのボール保持部を含み、前記ボール保持部は、スリーブ内に機械加工されるか、またはボールを保持するための部分を含むスリーブであり、前記ボール保持部が内部に機械加工されたスリーブまたは前記ボールを保持するための部分を含むスリーブは、前記工具保持具にプレスばめされるか、前記工具保持具に焼きばめされるか、前記工具保持具に溶接されるか、ねじ切りされたピンによってフォームロッキング態様で前記工具保持具に固定されるか、またはロッキング要素およびロッキング溝によって前記工具保持具に固定されるかのいずれかである、請求項1に記載のシステム。」

本件発明8「前記工具は前記脱出防止部によって保持され、軸方向にクリアランスなしで、弾性要素によって押圧される、請求項1から3および5のいずれかに記載のシステム。」

本件発明9「前記工具は前記脱出防止部によって保持され、軸方向においてクリアランスなしで保持され、最少量の潤滑のための移送部は少なくとも1つの貫通ボア孔を円錐形の径方向フランジ部に含み、前記移送部の前記径方向フランジは径方向凹部をその円筒形の包囲表面に沿って含み、それに対応して、円筒包囲表面部形状の環状膜が埋込まれ、前記貫通ボア孔は径方向に前記移送部の内側キャビティから前記膜へ延在する、請求項8に記載のシステム。」

(2)取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし9に係る特許に対して平成29年5月17日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

請求項1ないし9に係る発明は、甲第1号証、甲第4ないし8号証及び甲第10ないし12号証に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1ないし9に係る特許は、取り消されるべきものである。

(3)甲号証の記載
ア 甲第1号証:特開2002-355727号公報
甲第1号証の段落0019には「しかして、上記のようにシャンク部7の平坦面部9がロックピン8の突出側面部に係合した状態から工具6を図5の矢印b方向(工具6の切削回転方向と反対方向)に90度回転させると、図2の(B)に示すように、この平坦面部9と周方向に隣合うピン係合溝10がロックピン8に係合し、これによってシャンク部7がロックピン8によってロックされた状態となる。この状態で、工具ホルダーHが図2の(B)及び図5の矢印aで示す工具切削回転方向に回転すると、ピン係合溝10は平坦面部9から工具切削回転方向に90度回転変位した位置に形成されているから、切削加工中はロックピン8によるシャンク部7のロック状態が維持されることになる。」と記載されている。
また、図5にはシャンク部7を挿入した後に回転させる矢印bが記載されていることから、甲第1号証に記載の「平坦面部9と周方向に隣合うピン係合溝10がロックピン8に係合し、これによってシャンク部7がロックピン8によってロックされた状態となる。」という事項は本件発明1の「ロッキング要素および前記ロッキング溝はフォームロッキング態様で相互作用」するという事項であると解される。

以上の記載によれば、甲第1号証には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「工具保持具(ホルダー本体1)と工具(6)とを含むシステムであって、前記工具保持具は、前記工具を保持する円筒形の締付チャック(チャック筒2)を含み、円筒形の工具シャフトがその中に受入れられ、前記システムは脱出防止部(ロックピン8)を含み、前記工具が動作中に軸方向に移動して前記工具保持具から出ないようロックし、前記脱出防止部は、1つのロッキング要素(ロックピン8)と、それに対応し、前記ロッキング要素を受入れる1つのロッキング溝(ピン係合溝10)とを含み、前記ロッキング要素および前記ロッキング溝はフォームロッキング態様で相互作用し、前記ロッキング溝は前記工具シャフトの外周表面に配置され、前記工具保持具における前記ロッキング要素は凸面構成を含むことで、
前記工具を前記チャックに挿入し、次いで前記工具と前記チャックとを90度相対回転させることで、前記ロッキング要素を前記ロッキング溝にフォームロッキング態様で相互作用させてロックを行う、
システム。」

イ 甲第2号証:仏国特許発明第1,272,885号明細書
甲第2号証には、チャック本体3のボア中に突出するつめ2がミリング工具又は他の工具の直角をなす溝と協働して、ミリング工具が長手方向において取付けられる技術が記載されている。

ウ 甲第3号証:実願昭55-99705号(実開昭57-23909号)のマイクロフィルム
甲第3号証には、チャックボディ1に対して、エンドミル5をピン4によって取付ける技術が記載されている。

エ 甲第4号証:実願昭54-11595号(実開昭55-175010号)のマイクロフィルム
甲第4号証には、コレット1に対して、切削工具のストレートシャンク4をビス8によって取付ける技術が記載されている。

オ 甲第5号証:特開2001-9612号公報
甲第5号証には、ホールソー3をシャンク5に球体13で取付ける技術が記載されている。

カ 甲第6号証:特開平10-100009号公報
甲第6号証には、センタードリル3を基体1に球面状の係合突起9で取付ける技術が記載されている。

キ 甲第7号証:特開平9-11007号公報
甲第7号証には、コアドリル1をシャンクにボールBで取付ける技術が記載されている。

ク 甲第8号証:英国特許出願公告第957288号明細書
甲第8号証には、ビット1をソケット3にピン4で取付ける技術が記載されている。

ケ 甲第9号証:特開2006-150508号公報
甲第9号証には、切削ヘッド2を本体部3にキー32で取付ける技術が記載されている。

コ 甲第10号証:特表平5-502917号公報
甲第10号証には、連結部分4を駆動部分3に突出部11で取付ける技術が記載されている。

サ 甲第11号証:特開平8-118197号公報
甲第11号証には、切削液の通過路の技術が記載されている。

シ 甲第12号証:特開平9-216107号公報
甲第12号証には、ツール20をチャック本体1に係合ねじ11で取付ける技術が記載されている。

(4)判断
ア 取消理由通知に記載した取消理由について
(ア)特許法第29条第2項について
本件発明1と引用発明とを対比すると、引用発明は、「ロッキング要素」が「ボールであり」、その「ロッキング要素」が「工具保持具の支持ボア孔において支持され」、「支持ボア孔は、工具を受ける内側キャビティの内側周方向表面に接線方向に近接して構成される」事項を有していない。
そして、甲第2から12号証のいずれにも、「ボール」を支持する「支持ボア孔は、工具を受ける内側キャビティの内側周方向表面に接線方向に近接して構成される」事項は記載されていない。
したがって、本件発明1は、引用発明及び甲第1ないし12号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

また、本件発明2、3及び5ないし9は、本件発明1の構成を全て備え、本件発明1の構成を更に減縮するものであるから、本件発明1と同様に、引用発明及び甲第2ないし12号証に記載された技術的事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(イ)特許異議申立人の意見について
申立人は訂正事項により追加された「前記支持ボア孔は、前記工具を受ける内側キャビティの内側周方向表面に接線方向に近接して構成される」なる事項について、「回転軸に垂直」なボア孔と「接線方向」のボア孔とは技術的に共通の意義をもつ同列の選択肢であり、回転軸に垂直な方向とするか、接線方向とするかは、当業者が適宜選択し得る設計的事項である旨を主張するが、「接線方向」とすることによって、「回転軸に垂直」な場合より、ボア孔の長さが同じであれば、ボア孔を設ける部分の厚さを薄くできる等、作用効果上の差異が無いものとは認められず、設計的事項であるとはいえない。

イ 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
(ア)申立人は、本件発明1ないし3、5ないし9は、甲第2号証に記載された発明または甲第3号証に記載された発明と、他の甲号証に記載された技術的事項から容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1ないし3、5ないし9に係る特許は、取り消されるべきものであると主張している。
しかしながら、上記ア(ア)に示したとおり、甲第1ないし12号証のいずれにも「ボール」を支持する「支持ボア孔は、工具を受ける内側キャビティの内側周方向表面に接線方向に近接して構成される」事項は記載されていないのであるから、かかる主張は理由がない。

(イ)申立人は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項1に記載の「フォームロッキング態様」は、日本語して意味内容を理解することができないから、特許請求の範囲の記載は特許を受けようとする発明が不明確であり、特許法第36条第6項第2号の要件を満たさないと主張している。
しかしながら、「前記ロッキング要素および前記ロッキング溝はフォームロッキング態様で相互作用し」との記載からすると、「フォームロッキング態様」は、「ロッキング要素」と「ロッキング溝」との相互作用を意味していると認められる。そして、「ロッキング要素は少なくとも部分的にボール頭部形状で構成され」との記載、及び「前記ロッキング溝は、少なくとも部分的に、分割された円形形状で構成され」との記載からすると、「ロッキング要素」の「ボール頭部形状」と、「ロッキング溝」の「分割された円形形状」とが相互作用することが理解できる。さらに、「フォーム」という言葉は、一般的に「形状」を意味しているのであるから、「フォームロッキング態様で相互作用」とは、「ロッキング要素」と「ロッキング溝」が、「ボール頭部形状」及び「分割された円形形状」によって相互作用していると認識できるものである。
したがって、かかる主張は理由がない。

(ウ)申立人は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項1に記載の「前記ロッキング溝は、少なくとも部分的に、分割された円形形状で構成されており、」は、「L字形状」のどの部分の断面形状を特定したのか不明であるから、特許請求の範囲の記載は特許を受けようとする発明が不明確であり、特許法第36条第6項第2号の要件を満たさないと主張している。
しかしながら、「少なくとも部分的に」と記載されているのであるから、「L字形状」の「一部分」と認識できるものであり、どの部分か特定されていないからといって、構成が不明瞭となるとは言えない。
したがって、かかる主張は理由がない。

4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1ないし3、5ないし9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし3、5ないし9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件請求項4に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項4に対して、申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具保持具と工具とを含むシステムであって、前記工具保持具は、前記工具を保持する円筒形の締付チャックを含み、円筒形の工具シャフトがその中に受入れられ、前記システムは脱出防止部を含み、前記工具が動作中に軸方向に移動して前記工具保持具から出ないようロックし、前記脱出防止部は、少なくとも1つのロッキング要素と、それに対応し、前記ロッキング要素を受入れる少なくとも1つのロッキング溝とを含み、前記ロッキング要素および前記ロッキング溝はフォームロッキング態様で相互作用し(welche formschluessig zusammenwirken)、前記ロッキング溝は前記工具シャフトの外周表面に配置され、前記ロッキング溝は、前記工具シャフトの切削要素とは反対側の端から始まっており、前記ロッキング溝の経路はL字形状となっており、回転軸方向から見た断面において、前記ロッキング要素はボール形状で構成され、前記ロッキング溝は、少なくとも部分的に、分割された円形形状で構成されており、前記工具保持具における前記ロッキング要素は、ボールであり、それらは、少なくとも1つでありかつ少なくとも部分的にボール形状である、凸面構成を含み、前記ロッキング要素は、前記工具保持具の支持ボア孔において支持され、前記支持ボア孔は、前記工具を受ける内側キャビティの内側周方向表面に接線方向に近接して構成される、システム。
【請求項2】
前記ロッキング要素は、前記工具保持具において回転軸まわりに等角度間隔で配置され、前記ロッキング溝は、前記工具において回転軸まわりに等角度間隔で配置され、前記ロッキング要素は、前記工具保持具において、前記工具の回転軸に垂直な面に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ロッキング要素は、前記工具保持具において、前記工具の回転軸に垂直な面に配置される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記ロッキング要素は、前記支持ボア孔におけるそれらの支持された位置において、ボール頭部形状の構成が、前記工具を受入れる前記工具保持具の内部キャビティ内に少なくとも部分的に入る状態で、位置決めされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ロッキング要素はボールであり、それらは、工具保持具において、少なくとも1つのボール保持部において保持され、前記ボール保持部の前記ボールのための前記支持ボア孔は内側を基準にして前記支持ボア孔直径よりも小さい直径を含み、前記工具保持具は前記工具保持具の内部において少なくとも1つのボール保持部を含み、前記ボール保持部は、別途の構成要素である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ロッキング要素はボールであり、それらは、工具保持具において、少なくとも1つのボール保持部において保持され、前記ボール保持部の前記ボールのための前記支持ボア孔は内側を基準にして前記支持ボア孔直径よりも小さい直径を含み、前記工具保持具は前記工具保持具の内部において少なくとも1つのボール保持部を含み、前記ボール保持部は、スリーブ内に機械加工されるか、またはボールを保持するための部分を含むスリーブであり、前記ボール保持部が内部に機械加工されたスリーブまたは前記ボールを保持するための部分を含むスリーブは、前記工具保持具にプレスばめされるか、前記工具保持具に焼きばめされるか、前記工具保持具に溶接されるか、ねじ切りされたピンによってフォームロッキング態様で前記工具保持具に固定されるか、またはロッキング要素およびロッキング溝によって前記工具保持具に固定されるかのいずれかである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記工具は前記脱出防止部によって保持され、軸方向にクリアランスなしで、弾性要素によって押圧される、請求項1から3および5のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記工具は前記脱出防止部によって保持され、軸方向においてクリアランスなしで保持され、最少量の潤滑のための移送部は少なくとも1つの貫通ボア孔を円錐形の径方向フランジ部に含み、前記移送部の前記径方向フランジは径方向凹部をその円筒形の包囲表面に沿って含み、それに対応して、円筒包囲表面部形状の環状膜が埋込まれ、前記貫通ボア孔は径方向に前記移送部の内側キャビティから前記膜へ延在する、請求項8に記載のシステム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2017-12-25 
出願番号 特願2012-201596(P2012-201596)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (B23B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 五十嵐 康弘足立 俊彦  
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 近藤 裕之
平岩 正一
登録日 2016-09-02 
登録番号 特許第5994985号(P5994985)
権利者 フランツ・ハイマー・マシーネンバウ・カーゲー
発明の名称 工具を保持する固定具を有する工具保持具から工具が脱出することを防止する手段  
代理人 深見 久郎  
代理人 荒川 伸夫  
代理人 中谷 弥一郎  
代理人 仲村 義平  
代理人 野田 久登  
代理人 野田 久登  
代理人 鎌田 直也  
代理人 堀井 豊  
代理人 深見 久郎  
代理人 仲村 義平  
代理人 堀井 豊  
代理人 荒川 伸夫  

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