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審決分類 |
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 C01G 審判 一部申し立て 2項進歩性 C01G 審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 C01G 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C01G |
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管理番号 | 1337046 |
異議申立番号 | 異議2016-700887 |
総通号数 | 219 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-03-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-09-16 |
確定日 | 2018-01-12 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5893740号発明「二酸化チタン層を担持した無機非金属鉱物の複合材料、その製造方法および応用」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5893740号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?24〕について訂正することを認める。 特許第5893740号の請求項1、2、4、6?13、21?24に係る特許を維持する。 特許第5893740号の請求項3、5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件特許5893740号は、平成23年8月31日に出願された特願2014-527450号の特許請求の範囲に記載された請求項1?24に係る発明について、平成28年3月4日に設定登録がされたものであり、その後、請求項1?13,21?24に係る特許について特許異議の申立てがされ、以下の手続がされたものである。 平成29年 1月31日付けの取消理由通知 同年 5月 1日付けの訂正請求及び意見書提出 同年 8月21日付けの取消理由通知 同年11月16日付けの訂正請求及び意見書提出 なお、訂正請求について、平成29年 5月19日付けで申立人に意見を求めたが応答はなかった。 第2.訂正請求について 1.訂正の内容 平成29年11月16日付けの訂正請求(以下、「本訂正」という。)は、特許請求の範囲に係る次の訂正事項1?7よりなる(下線部が訂正箇所)。 なお、本訂正により同年5月1日付けの訂正請求(以下、「先の訂正」という。)は取り下げられたものとみなす。 訂正事項1,2 【請求項1】及び【請求項2】に、 「複合材料。」 とあるのを、 「複合材料であって、 前述担体である無機非金属鉱物は、カオリン、マイカ、タルク粉、ベントナイト、モンモリロナイトから選ばれる一種または複種の物質であり、 前述二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズが1?20ナノメートルの範囲内で、前述二酸化チタンのナノ球の直径のサイズが前述二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズの2?100倍であることを特徴とする、複合材料。」 に訂正する。 訂正事項3,4 【請求項3】及び【請求項5】を削除する。 訂正事項5 【請求項11】に、 「前述ナノ二酸化チタン層が前述無機非金属鉱物の担体に強固に担持されていることを特徴とする請求項1?7のいずれかに記載の複合材料であって、」 とあるのを、 「前述ナノ二酸化チタン層が前述無機非金属鉱物の担体に強固に担持されていることを特徴とする請求項1、2、4、6、7のいずれかに記載の複合材料であって、」 に訂正する。 訂正事項6 【請求項21】に、 「請求項1?13のいずれかに記載の複合材料を含む組成物。」 とあるのを、 「請求項1、2、4、6?13のいずれかに記載の複合材料を含む組成物。」 に訂正する。 訂正事項7 【請求項23】に、 「工業上で添加剤とされる請求項1?13のいずれかに記載の複合材料の使用。」 とあるのを、 「工業上で添加剤とされる請求項1、2、4、6?13のいずれかに記載の複合材料の使用。」 に訂正する。 2.訂正要件の判断 (1)訂正事項1,2について これらの訂正は、請求項1,2に記載された複合材料の発明において、複合材料を構成する「担体である無機非金属鉱物」について物質名を特定し、「二酸化チタンのナノ球」及び「二酸化チタンのナノ単独粒子」についてサイズを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、設定登録時の特許請求の範囲において、上記物質名は【請求項3】に、上記サイズは【請求項5】に、いずれも請求項1,2記載の複合材料を引用して記載されていたから、この訂正は、願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項3?7について これらの訂正は、請求項の削除又は選択的に引用する請求項の一部削除をするものであるから、いずれも特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)一群の請求項について 訂正事項1に係る訂正前の請求項1を請求項3?9、11、14、17?24が直接又は間接的に引用し、請求項3は請求項2も引用し、この請求項2を請求項10、12、13、15、16が直接又は間接的に引用していたから、訂正前の請求項1?24は一群の請求項である。 したがって、訂正事項1を含む本訂正は、これら一群の請求項1?24について請求をするものと認められる。 (4)独立特許要件について 訂正事項1に係る請求項1及び/又は訂正事項2に係る請求項2を直接又は間接的に引用することにより、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正がされ、かつ、特許異議の申立てがされていない請求項14?20に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものといえる。 3.むすび 以上のとおりであるから、本訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に規定された事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び第9項において準用する同法第126条第5項から第7項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?24〕について訂正することを認める。 第3.本件発明について 本件特許の請求項1、2、4、6?13、21?24に係る発明は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1、2、4、6?13、21?24に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、このうち、物の発明に係る独立請求項の請求項1,2には、次のとおり記載されている。 【請求項1】 担体である無機非金属鉱物と、前述担体に担持されたナノ二酸化チタン層とを含み、前記層は複数の二酸化チタンのナノ球からなり、前記二酸化チタンのナノ球は複数の二酸化チタンのナノ単独粒子からなる複合材料であって、 前述担体である無機非金属鉱物は、カオリン、マイカ、タルク粉、ベントナイト、モンモリロナイトから選ばれる一種または複種の物質であり、 前述二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズが1?20ナノメートルの範囲内で、前述二酸化チタンのナノ球の直径のサイズが前述二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズの2?100倍であることを特徴とする、複合材料。 【請求項2】 担体である無機非金属鉱物と、前述担体に担持されたナノ二酸化チタン層と、前述ナノ二酸化チタン層に担持された一層または複層の機能層とを含み、前記ナノ二酸化チタン層は複数の二酸化チタンのナノ球からなり、前記二酸化チタンのナノ球は複数の二酸化チタンのナノ単独粒子からなる複合材料であって、 前述担体である無機非金属鉱物は、カオリン、マイカ、タルク粉、ベントナイト、モンモリロナイトから選ばれる一種または複種の物質であり、 前述二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズが1?20ナノメートルの範囲内で、前述二酸化チタンのナノ球の直径のサイズが前述二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズの2?100倍であることを特徴とする、複合材料。 第4.通知した取消理由について 1.取消理由の概要 平成29年1月31日付けで通知した取消理由1,2は、次のとおりである。 なお、同年8月21日付けで通知した取消理由は、先の訂正により生じた記載不備に係るものであって、本訂正により当該記載不備は解消している。 取消理由1 本件明細書には【発明が解決しようとする課題】について【0004】に、「1.」に製造コストの高さ、「2.」に担持強度の不足であると記載されているから、本発明のうち物の発明が解決しようとする課題は、ナノ二酸化チタンの担持強度の不足であると認められる。 これに対し、本件明細書には、担体がセリサイト又はカオリンである場合に、所望の担持強度が得られたことが実施例として記載されているが、その機序は明らかでなく、当該効果が、表面性状が多種多様な「無機非金属鉱物」全般において得られるとは認められない。 してみると、訂正前の請求項1?13,21?24に係る発明は、発明の詳細な説明の記載及び技術常識からみて、当業者がその課題を解決できると認識できる範囲のものとはいえない。 したがって、上記請求項に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 取消理由2 訂正前の請求項1?10,12,13,21?24に係る発明は、本件特許に係る出願の優先権の基礎とされた先の出願の前に頒布された、 甲第1号証:特許第3849177号公報(以下、「甲1」と略す。) に記載された発明であるか、又は、当該発明に基いて、先の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反して特許されたものである。 2.取消理由1について 本訂正により請求項3,5は削除され、訂正後の請求項1、2及びこれらを直接又は間接的に引用する請求項4、6?13、21?24に係る発明は、担体である無機非金属鉱物が「カオリン、マイカ、タルク粉、ベントナイト、モンモリロナイトから選ばれる一種または複種の物質」に限定されており、これらの物質は、実施例で使用されたセリサイトやカオリンと同様、SiO_(4)四面体同士が平面的に結合した層状珪酸塩鉱物と認められる。 してみると、これらの物質については、実施例と同様の製造方法により、本発明が課題とする所望の担持強度が得られるものと認められる。 したがって、取消理由1には理由がない。 3.取消理由2について (1)甲1の特許請求の範囲には、次の記載がある。 【請求項1】 表面が、酸化亜鉛、酸化セリウム、及び、酸化チタンのうち少なくとも1種により被覆されてなる板状硫酸バリウムからなることを特徴とするパール光沢を持つ紫外線吸収組成物。 【請求項2】 板状硫酸バリウムは、平均粒子径が3?70μmであり、かつ、厚みの平均値が0.05?2μmであるものである請求項1記載の紫外線吸収組成物。 【請求項3】 酸化亜鉛、酸化セリウム、及び、酸化チタンのうち少なくとも1種は、最大粒子径が0.2μm以下であり、かつ、平均粒子径が10?150nmのものである請求項1又は2記載の紫外線吸収組成物。 (2)以上の記載から、甲1には、請求項1,2を引用する請求項3に係る発明として次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「表面が、最大粒子径が0.2μm以下であり、かつ、平均粒子径が10?150nmの酸化亜鉛、酸化セリウム、及び酸化チタンのうちの少なくとも1種により被覆されてなる、平均粒子径が3?70μmであり、かつ、厚みの平均値が0.05?2μmである板状硫酸バリウムからなるパール光沢を持つ紫外線吸収組成物。」 (3)訂正後の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)と引用発明とを対比すると、引用発明の「板状硫酸バリウム」が本件発明の「担体である無機非金属鉱物」に相当し、以下、「最大粒子径が0.2μm以下の酸化チタンにより被覆」が「担持されたナノ二酸化チタン層とを含み、前記層は複数の二酸化チタンのナノ球からなり」、「紫外線吸収組成物」が「複合材料」にそれぞれ相当するから、本件発明のうち、 「担体である無機非金属鉱物と、前述担体に担持されたナノ二酸化チタン層とを含み、前記層は複数の二酸化チタンのナノ球からなる複合材料。」 の点は、引用発明と一致し、両者は次の点で相違する。 相違点1:本件発明の担体である無機非金属鉱物は、「カオリン、マイカ、タルク粉、ベントナイト、モンモリロナイトから選ばれる一種または複種の物質」であるのに対し、引用発明は、「板状硫酸バリウム」である点。 相違点2:本件発明の「前記二酸化チタンのナノ球は複数の二酸化チタンのナノ単独粒子からなり、前述二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズが1?20ナノメートルの範囲内で、前述二酸化チタンのナノ球の直径のサイズが前述二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズの2?100倍である」のに対し、引用発明の酸化チタンは「最大粒子径が0.2μm以下」であるがその微細構造が不明である点。 (4)そこで相違点1について検討するに、甲1の【0010】【0011】には、 「このようにパール顔料の改質に関する検討が数多くなされているが、タルク、マイカ、セリサイト等の天然品を粉砕して作られた板状基材では、基材自体の色調が不純物等によりばらつき、製品の色調にもばらつきが起こり、特に化粧品等の色に重きを置いた製品では色管理の困難性等に問題を残していた。 また、これらは天然品であるため、安定した性状を持つ鉱物を必要量だけ確保することが難しく、特にセリサイトの入手は困難となってきている。マイカは、入手が比較的容易であるが、劈開性を有するため、鱗片状粉体としての形状を安定に保つことが難しいという問題点があった。 そこで、化学合成の容易な硫酸バリウムの鱗片状粉体を化粧料に応用する技術が提供されるようになった。」 と記載されているから、引用発明は、タルク、マイカ等を用いた場合の問題点を解消することを目的とするものと認められる。 してみると、引用発明において、板状硫酸バリウムを、「カオリン、マイカ、タルク粉、ベントナイト、モンモリロナイトから選ばれる一種または複種の物質」に代えること、すなわち、相違点1を解消することには阻害要因があり、当業者が容易になし得たこととはいえない。 したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明は、甲1に記載された発明ではないし、当該発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 相違点1に係る発明特定事項を有する訂正後の請求項2、4、6?10、12,13,21?24に係る発明も同様である。 よって、取消理由2には理由がない。 第5.採用しなかった申立理由について 1.申立理由の概要 特許異議申立人は、甲1のほか、次の第2?8号証(以下、「甲2?8」と略す。)を提出して、次の申立理由1?3を主張している。 甲2:中国特許出願公開第101676031号明細書 甲3:甲2の訳文 甲4:特開平2-124981号公報 甲5:野口民生「ファンデーション用薄片状顔料の開発」 FRAGRANCE JOURNAL、フレグランスジャーナル社 2000年、第5巻、58-64頁 甲6:特開2003-3089号公報 甲7:国際公開第1999/49834号 甲8:甲1記載の実施例7の追試により得られた粉末の顕微鏡写真 申立理由1 訂正前の請求項1?13、21?24に係る発明は、甲2、甲4又は甲5に記載された発明であるか、これらの発明に甲6及び甲7等に記載の周知技術を組み合わせることにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項又は第2項の規定に違反して特許されたものである。 申立理由2 訂正前の請求項1,2に記載された「ナノ球」について、請求項5で、直径20ナノメートルのナノ単独粒子の100倍、すなわちナノオーダーでないものまで含むと記載されていること、また、「無機非金属鉱物」が具体的にどのような物質を意味するか不明であることから、訂正前の請求項1?13、21?24に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 申立理由3 本件明細書は、担体がセリサイト又はカオリン以外のいかなる無機非金属鉱物である場合にまで、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえないから、、訂正前の請求項1?13、21?24に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2.申立理由1について 甲2には、コアシェル構造を有する光触媒、甲4には、二酸化チタンの被覆層が形成されたマイカ粒子、甲5には、微粒子硫酸バリウムと酸化チタンが被覆された雲母粉が記載されているが、いずれの被覆(シェル)も、二酸化チタンが、複数のナノ単独粒子からなるナノ球の形で担持されてなるものとは認められない。また、甲6や甲7には、雲母(マイカ)等の基材上に2種以上の被覆層を設けることが記載されているにすぎない。 してみると、訂正後の請求項1、2、4、6?13,21?24に係る発明は、甲2、甲4又は甲5に記載された発明とはいえないし、これらの発明に甲6及び甲7等に記載の周知技術を組み合わせることにより当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 したがって、申立理由1には理由がない。 3.申立理由2,3について 訂正後の請求項1,2には、「二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズが1?20ナノメートルの範囲内で、二酸化チタンのナノ球の直径のサイズが二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズの2?100倍である」と記載されている。 すなわち、ナノ単独粒子は、その直径が20ナノメートルに限定されているわけではなく、数ナノメートルの場合もあるものと認められる。 してみると、「ナノ球」とは、文字通りナノオーダーの大きさの球状粒子を意味するものと解されるから、ナノ球の直径がナノ単独粒子の直径の100倍との特定は、ナノ単独粒子の直径が20ナノメートルの場合に対応した数値ではなく、数ナノメートルの場合に対応したものと解するのが相当である。 次に、訂正後の請求項1,2では、担体である無機非金属鉱物は、「カオリン、マイカ、タルク粉、ベントナイト、モンモリロナイトから選ばれる一種または複種の物質」であると記載されており、上記物質については、「第4.2.取消理由1について」で述べたように、実施例に記載された製造方法により、当業者がその実施をすることができるものと認められる。 したがって、申立理由2,3には理由がない。 第6.むすび 以上のとおりであるから、取消理由及び申立理由によっては、請求項1,2,4,6?13,21?24に係る特許を取り消すことはできない。 そして、他に請求項1,2,4,6?13,21?24に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項3,5に係る特許は、訂正により削除されたため、この特許に対する特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 担体である無機非金属鉱物と、前述担体に担持されたナノ二酸化チタン層とを含み、前記層は複数の二酸化チタンのナノ球からなり、前記二酸化チタンのナノ球は複数の二酸化チタンのナノ単独粒子からなる複合材料であって、 前述担体である無機非金属鉱物は、カオリン、マイカ、タルク粉、ベントナイト、モンモリロナイトから選ばれる一種または複種の物質であり、 前述二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズが1?20ナノメートルの範囲内で、前述二酸化チタンのナノ球の直径のサイズが前述二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズの2?100倍であることを特徴とする、複合材料。 【請求項2】 担体である無機非金属鉱物と、前述担体に担持されたナノ二酸化チタン層と、前述ナノ二酸化チタン層に担持された一層または複層の機能層とを含み、前記ナノ二酸化チタン層は複数の二酸化チタンのナノ球からなり、前記二酸化チタンのナノ球は複数の二酸化チタンのナノ単独粒子からなる複合材料であって、 前述担体である無機非金属鉱物は、カオリン、マイカ、タルク粉、ベントナイト、モンモリロナイトから選ばれる一種または複種の物質であり、 前述二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズが1?20ナノメートルの範囲内で、前述二酸化チタンのナノ球の直径のサイズが前述二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズの2?100倍であることを特徴とする、複合材料。 【請求項3】(削除) 【請求項4】 前述担体である無機非金属鉱物は、粒子径が0.2?100μmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合材料。 【請求項5】(削除) 【請求項6】 前述二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズが2?10ナノメートルの範囲内で、前述二酸化チタンのナノ球の直径のサイズが前述二酸化チタンのナノ単独粒子の直径のサイズの5?50倍であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合材料。 【請求項7】 前述ナノ二酸化チタン層の担持量が前述無機非金属鉱物の担体の重量の1?50%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合材料。 【請求項8】 前述ナノ二酸化チタン層の担持量が前述無機非金属鉱物の担体の重量の5?30%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合材料。 【請求項9】 前述ナノ二酸化チタン層の担持量が前述無機非金属鉱物の担体の重量の5?20%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合材料。 【請求項10】 前述機能層の担持量は、前述無機非金属鉱物の担体の重量の0.1?20%であることを特徴とする請求項2に記載の複合材料。 【請求項11】 前述ナノ二酸化チタン層が前述無機非金属鉱物の担体に強固に担持されていることを特徴とする請求項1、2、4、6、7のいずれかに記載の複合材料であって、前述ナノ二酸化チタン層の強固な担持は、1グラムの複合材料を20グラムのエタノールで5%の懸濁液を調製し、回転数が10000回/分の高速ホモジナイザーで4時間分散させ、さらにエタノールで懸濁液の濃度を0.05%に希釈し、0.02mlの希釈液をサンプルに取り、透過型電子顕微鏡で検測し、粒子が集中した区域を選択し、それぞれ5000倍と20000倍の拡大倍数で電子顕微鏡写真を撮影し、得られた各電子顕微鏡写真から、前述複合材料が高速ホモジナイザーで分散された後、いずれも遊離の二酸化チタンのナノ球が見られないという方法で証明される、複合材料。 【請求項12】 前述機能層は、紫外線遮断保護層、難燃層、光触媒強化層、抗菌層または光触媒抗菌強化層から選ばれることを特徴とする請求項2に記載の複合材料。 【請求項13】 前述紫外線遮断保護層は、シリカ、水和シリカ、酸化アルミニウム、水和酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムから一種または複種の酸化物を、前述難燃層は、水酸化マグネシウムを、前述光触媒強化層は、酸化亜鉛を、前述抗菌層は、銀塩を、前述光触媒抗菌強化層は、酸化亜鉛および銀塩を含むことを特徴とする請求項12に記載の複合材料。 【請求項14】 水、無機酸および第一の分散剤の存在下で担体材料として用いられる無機非金属鉱物の分散懸濁液を調製し、水および第二の分散剤の存在下で四塩化チタンの加水分解液を調製し、 前述無機非金属鉱物の分散懸濁液と前述四塩化チタンの加水分解液を混合し、ナノ二酸化チタン層が得られるようにすることで、請求項1に記載の複合材料を得る、 という工程を含む、請求項1に記載の複合材料の製造方法。 【請求項15】 (1)水、無機酸および第一の分散剤の存在下で担体材料として用いられる無機非金属鉱物の分散懸濁液を調製し、水および第二の分散剤の存在下で四塩化チタンの加水分解液を調製し、前述無機非金属鉱物の分散懸濁液と前述四塩化チタンの加水分解液を混合し、ナノ二酸化チタン層が得られるようにすることで、二酸化チタン層が担持された無機非金属鉱物の複合材料を得る工程と、 (2)得られた複合材料を水および第一の分散剤の存在下で分散させて懸濁液を調製し、機能層の製造に用いられる原料を前述複合材料の懸濁液に入れ、完全に反応させることで、複合材料の上に新しい機能層を担持する工程と、 という工程を含む、請求項2に記載の複合材料の製造方法。 【請求項16】 前述工程(2)を繰り返すことで、複層の機能層を有する複合材料を製造することを特徴とする請求項15に記載の方法。 【請求項17】 前述第一の分散剤は、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリルアミド、アルカリ金属ポリリン酸塩、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、アンモニウム塩分散剤、ポリエステル分散剤、ポリエーテル分散剤から選ばれる一種または複種で、 前述第二の分散剤は、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸ナトリウム、アンモニウム塩分散剤、ポリエステル分散剤、ポリエーテル分散剤、ポリエチレングリコール系分散剤、ポリアルケニルアルコール分散剤、ポリイミド系分散剤またはポリウレタン系分散剤から選ばれる一種または複種で、 前述第一の分散剤と前述第二の分散剤は、同一でも異なっても良い、 ことを特徴とする請求項14?16のいずれかに記載の方法。 【請求項18】 水、無機酸および第一の分散剤の存在下で得られる無機非金属鉱物の懸濁液が均一に分散されており、その固形成分の含有量が4?50重量%で、無機酸が懸濁液の2.5?35重量%を、第一の分散剤が懸濁液の0.01?10重量%を占め、 水および第二の分散剤の存在下で得られる四塩化チタンの加水分解液は、水と四塩化チタンの重量比が(1?10):1で、第二の分散剤が四塩化チタンの0.5?20重量%を占め、 無機非金属鉱物の懸濁液と四塩化チタンの加水分解液の混合比率は、四塩化チタンが無機非金属鉱物の2?60重量%を占めるようにする、 ことを特徴とする請求項14?16のいずれかに記載の方法。 【請求項19】 前述無機酸は、無機強酸であることを特徴とする請求項14?16のいずれかに記載の方法。 【請求項20】 前述無機酸は、硫酸、塩酸、硝酸から選ばれる一種、或いはその複種の混合酸であることを特徴とする請求項14?16のいずれかに記載の方法。 【請求項21】 請求項1、2、4、6?13のいずれかに記載の複合材料を含む組成物。 【請求項22】 前述組成物は、塗料用組成物、化粧品用組成物、製紙用組成物、バインダー組成物、水処理用組成物、プラスチック、ゴム、繊維、セラミック、粘着剤またはセメント用組成物であることを特徴とする請求項21に記載の組成物。 【請求項23】 工業上で添加剤とされる請求項1、2、4、6?13のいずれかに記載の複合材料の使用。 【請求項24】 前述使用は、製紙、プラスチック、塗料、繊維、化粧品、ゴム、セラミック、粘着剤、セメントまたは水処理の分野における使用である、請求項23に記載の使用。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2017-12-27 |
出願番号 | 特願2014-527450(P2014-527450) |
審決分類 |
P
1
652・
537-
YAA
(C01G)
P 1 652・ 121- YAA (C01G) P 1 652・ 113- YAA (C01G) P 1 652・ 536- YAA (C01G) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 相田 悟 |
特許庁審判長 |
新居田 知生 |
特許庁審判官 |
山崎 直也 大橋 賢一 |
登録日 | 2016-03-04 |
登録番号 | 特許第5893740号(P5893740) |
権利者 | シャンハイ ワールド-プロスペクト ケミテック カンパニーリミテッド |
発明の名称 | 二酸化チタン層を担持した無機非金属鉱物の複合材料、その製造方法および応用 |
代理人 | 園田・小林特許業務法人 |
代理人 | 園田・小林特許業務法人 |