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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1337313
審判番号 不服2017-3537  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-09 
確定日 2018-02-27 
事件の表示 特願2016-516009「情報を表示するための方法およびデバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月26日国際公開、WO2015/039608、平成28年 9月23日国内公表、特表2016-529578、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2014年9月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年9月22日,中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって,平成28年7月26日付けで拒絶理由通知がされ,平成28年9月23日に意見書と手続補正書が提出され,平成28年12月2日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,平成29年3月9日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出がされ,平成29年7月20日付けで拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知」という。)がされ,平成29年10月19日に意見書と手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成28年12月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1 本願請求項1-2,4-7,9-11,13-14に係る発明は,以下の引用文献Aに記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
2 本願請求項1-14に係る発明は,以下の引用文献A,Bに基づいてその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2013-140640号公報
B.特開2013-120555号公報(周知技術を示す文献)

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

A(進歩性)本願請求項1-11に係る発明は,以下の引用文献1,2に基づいてその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
B(明確性)本件出願は,特許請求の範囲の記載が不備のため,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

引用文献等一覧
1.特開2013-140640号公報
2.特開2009-188776号公報

第4 本願発明
本願請求項1-11に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明11」という。)は,平成29年10月19日に提出された手続補正書による手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1-11は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
情報を表示するための方法であって,
プロセッサおよびディスプレイを備えるデバイスによって,第1のオンライン情報を前記ディスプレイ上の第1のインタラクティブインターフェース内に表示するステップと,
前記デバイスによって,前記第1のインタラクティブインターフェースから第2のインタラクティブインターフェースに切り替えるための切り替え命令を受信したときに現在の位置情報を保存するステップであって,前記現在の位置情報は,前記切り替え命令を受信したときに前記第1のインタラクティブインターフェース内に表示される現在のオンライン情報を指示するブックマークを含む,ステップと,
前記デバイスによって,前記切り替え命令に従って前記第1のインタラクティブインターフェースから前記第2のインタラクティブインターフェースに切り替えるステップと,
前記デバイスによって,前記第1のオンライン情報を表示するための表示命令を受信したときに前記第2のインタラクティブインターフェースから前記第1のインタラクティブインターフェースに切り替えるステップと,
前記デバイスによって,前記現在の位置情報に従って前記現在のオンライン情報を表示するように前記第1のインタラクティブインターフェースを制御するステップとを含み,
前記現在の位置情報を保存するステップは,
前記第1のオンライン情報の先頭から前記現在の位置情報までのオフセット情報を保存するステップを含み,
前記現在の位置情報に従って前記現在のオンライン情報を表示するように前記第1のインタラクティブインターフェースを制御するステップは,
前記第1のオンライン情報が記憶されているサーバに前記現在の位置情報を送信するステップと,
前記サーバによって送信されたオンライン情報のターゲットデータを受信するステップと,
前記オンライン情報のターゲットデータを前記第1のインタラクティブインターフェースに表示するステップとを含み,
前記オンライン情報のターゲットデータは,前記現在のオンライン情報及びユーザの操作に従って予め設定された現在のオンライン情報よりも後に発行されるオンライン情報を含む,
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記現在のオンライン情報を表示するように前記第1のインタラクティブインターフェースを制御するステップは,
前記オフセット情報に従って前記現在のオンライン情報を表示するように前記第1のインタラクティブインターフェースを制御するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記現在の位置情報に従って前記現在のオンライン情報を表示するように前記第1のインタラクティブインターフェースを制御するステップは,
前記現在の位置情報に従って事前に記憶されているオンライン情報から前記現在のオンライン情報にアクセスするステップと,
前記現在のオンライン情報を前記第1のインタラクティブインターフェースに表示するステップとを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記オンライン情報は,ページ情報および会話情報のうちの少なくとも一方を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
情報を表示するためのデバイスであって,
第1のインタラクティブインターフェースを第2のインタラクティブインターフェースに切り替えるための切り替え命令を受信したときに現在のオンライン情報の位置を表す現在の位置情報を記憶するように構成された記憶ユニットであって,前記現在のオンライン情報は,前記第1のインタラクティブインターフェースから前記第2のインタラクティブインターフェースに切り替えるための切り替え命令を受信したときに前記第1のインタラクティブインターフェースに表示される情報である,記憶ユニットと,
表示ユニットであって,前記第1のインタラクティブインターフェース内に第1のオンライン情報を表示するように構成され,前記第2のインタラクティブインターフェースから前記第1のインタラクティブインターフェースに切り替え,前記第1のインタラクティブインターフェースを,前記第1のオンライン情報を表示するための表示命令を受信したときに前記現在のオンライン情報を表示するように制御するように構成された表示ユニットと,
前記切り替え命令に従って前記第1のインタラクティブインターフェースから前記第2のインタラクティブインターフェースに切り替えるように構成された切り替えユニットとを備え,
前記記憶ユニットは,前記第1のインタラクティブインターフェースから前記第2のインタラクティブインターフェースに切り替えるための切り替え命令を受信したときに前記第1のオンライン情報の先頭から前記現在の位置情報までのオフセット情報を記憶するように構成され,
前記表示ユニットは,前記記憶ユニット内に保存されている前記現在の位置情報を前記オンライン情報が記憶されているサーバに送信し,前記サーバによって送信されたオンライン情報のターゲットデータを受信し,前記オンライン情報のターゲットデータを前記第1のインタラクティブインターフェースに表示するようにさらに構成され,
前記オンライン情報のターゲットデータは,前記現在のオンライン情報及びユーザの操作に従って予め設定された現在のオンライン情報よりも後に発行されるオンライン情報を含む,
ことを特徴とするデバイス。
【請求項6】
前記表示ユニットは,前記記憶ユニットに保存されている前記オフセット情報に従って前記現在のオンライン情報の前記位置へ前記第1のインタラクティブインターフェースを制御するようにさらに構成される請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記表示ユニットは,前記記憶ユニットに保存されている前記現在の位置情報に従って事前に記憶されているオンライン情報から前記現在のオンライン情報にアクセスし,前記現在のオンライン情報を前記第1のインタラクティブインターフェースに表示するように構成される請求項5に記載のデバイス。
【請求項8】
前記オンライン情報は,ページ情報および会話情報のうちの少なくとも一方を含む請求項5に記載のデバイス。
【請求項9】
端末であって,
第1のインタラクティブインターフェースを第2のインタラクティブインターフェースに切り替えるための切り替え命令を受信したときに現在のオンライン情報の位置を表す現在の位置情報を記憶するように構成された記憶ユニットであって,前記現在のオンライン情報は,前記第1のインタラクティブインターフェースから前記第2のインタラクティブインターフェースに切り替えるための切り替え命令を受信したときに前記第1のインタラクティブインターフェース上に表示される情報である,記憶ユニットと,
表示ユニットであって,前記第1のインタラクティブインターフェース内に第1のオンライン情報を表示するように構成され,前記第2のインタラクティブインターフェースから前記第1のインタラクティブインターフェースに切り替え,前記第1のインタラクティブインターフェースを,前記第1のオンライン情報を表示するための表示命令を受信したときに前記現在のオンライン情報を表示するように制御するように構成された表示ユニットと,
前記記憶ユニット内に保存されている前記切り替え命令に従って前記第1のインタラクティブインターフェースから前記第2のインタラクティブインターフェースに切り替えるように構成された切り替えユニットとを備え,
前記記憶ユニットは,前記第1のインタラクティブインターフェースから前記第2のインタラクティブインターフェースに切り替えるための切り替え命令を受信したときに前記第1のオンライン情報の先頭から前記現在のオンライン情報位置までのオフセット情報を保存するように構成され,
前記表示ユニットは,前記記憶ユニットによって保存されている前記オフセット情報に従って前記現在のオンライン情報の前記位置へ前記第1のインタラクティブインターフェースを制御するように構成され,
前記表示ユニットは,前記記憶ユニット内に保存されている前記現在の位置情報を前記オンライン情報が記憶されているサーバに送信し,前記サーバによって送信されたオンライン情報のターゲットデータを受信し,前記オンライン情報のターゲットデータを前記第1のインタラクティブインターフェースに表示するように構成され,
前記オンライン情報のターゲットデータは,前記現在のオンライン情報及びユーザの操作に従って予め設定された現在のオンライン情報よりも後に発行されるオンライン情報を含む,
ことを特徴とする端末。
【請求項10】
前記表示ユニットは,前記記憶ユニットに保存されている前記現在の位置情報に従って事前に記憶されているオンライン情報から前記現在のオンライン情報にアクセスし,前記現在のオンライン情報を前記第1のインタラクティブインターフェースに表示するように構成される請求項9に記載の端末。
【請求項11】
前記オンライン情報は,ページ情報および会話情報のうちの少なくとも一方を含む請求項9に記載の端末。」

第5 引用文献,引用発明等
1.引用文献1について
平成29年7月20日付けの当審拒絶理由通知で引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。なお,下線は重要箇所に対して当審が付与した(以下,同様。)。

ア 「【0011】
図1は,本実施形態の情報処理装置1の外観を示す図である。本情報処理装置1は,電子書籍をインターネット経由でダウンロードして閲覧するための携帯端末として実現されている。図1中,(A)は,本情報処理装置1を正面から見た図,(B)は,本情報処理装置1を上から見た図,(C)は,本情報処理装置1を下から見た図である。
【0012】
図1(A)に示すように,本情報処理装置1は,筐体正面の中央部に,タッチパネルディスプレイ16が設置される。タッチパネルディスプレイ16の周辺部であって,筐体正面の下部には,各種操作ボタンの中の1つであるホームボタン141aが設置される。ホームボタン141aは,タッチパネルディスプレイ16上の表示を初期画面に戻すためのボタンである。なお,筐体側面には,例えばMicroSD(Secure Digital)カード(登録商標)を収納するためのスロット23が設けられる。図1(A)には,このスロット23を覆うための蓋体が示されている。本情報処理装置1は,例えばWi-Fiを利用した無線通信機能を有しており,この無線通信機能により,電子書籍を購入,即ちインターネット経由でダウンロードする。
【0013】
また,図1(B)に示すように,本情報処理装置1は,筐体上面に,各種操作ボタン141b?141fが設けられる。符号141bで示される操作ボタンは,電源ボタン141bであり,ユーザは,この電源ボタン141bを操作して,本情報処理装置の電源をオン/オフする。また,符号141eで示される操作ボタンは,Readingボタンであり,このReadingボタン141eが操作された場合における本情報処理装置1の動作については後述する。
【0014】
さらに,図1(C)に示すように,本情報処理装置1は,筐体下面に,USB(Universal Serial Bus)ケーブルを接続するためのmicroUSBコネクタ22,ヘッドフォンを接続するためのヘッドフォンジャック21およびスピーカ18が設置される。
【0015】
図2は,本情報処理装置1のシステム構成を示す図である。
【0016】
図2に示すように,本情報処理装置1は,CPU(Central Processing Unit)11,主メモリ12,外部記憶装置[1]13a,入力コントローラ14,表示コントローラ15,タッチパネルディスプレイ16,サウンドコントローラ17,スピーカ18,USBコントローラ19,無線通信コントローラ20等を有している。」

イ 「【0025】
次に,以上のような構成を持つ本情報処理装置1上で動作する電子書籍アプリケーションプログラム120が実行する表示制御の基本原理について説明する。
【0026】
電子書籍アプリケーションプログラム120は,電子書籍を購入する機能,購入した電子書籍一覧を表示する機能,電子書籍を閲覧する機能(書籍Viewer121を制御する機能)を備える。また,図1に示したように,本情報処理装置1は,機械的なボタンとしてReadingボタン141eを備える。ユーザは,任意の画面がタッチパネルディスプレイ16上に表示されている状態で,このReadingボタン141eを押下(短押し)することにより,書籍Viewer121を起動し,最後に読書が中断された書籍を書籍Viewer121上にロードし,最後に中断されたページ位置を表示させることができる。図3は,Readingボタン141eが短押しされた場合のタッチパネルディスプレイ16上の画面の遷移を例示する図である。短押しとは,閾値未満の期間押下することである。
【0027】
また,ユーザは,任意の画面がタッチパネルディスプレイ16上に表示されている状態で,このReadingボタン141eを押下(長押し)することにより,読書履歴一覧を起動することができる。図4は,Readingボタン141eが長押しされた場合のタッチパネルディスプレイ16上の画面の遷移を例示する図である。長押しとは,閾値を越える期間押下することである。図4に示したように,読書履歴一覧には,中断した書籍の情報が中断した日時順(例えば直近順)に表示される。図5は,読書を中断する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0028】
読書を中断する際,ユーザは,書籍Viewer121上のしおりボタン(タッチパネルディスプレイ16上に表示されるソフトウェアボタン)を押すことで,中断情報を保存することができる。しおりボタンの表示位置に対するタッチ操作というイベント(中断要求イベント)の発生をOS110から通知されると(ブロックA1のYES),書籍Viewer121は,開かれている書籍の識別情報(書籍ID),中断位置(頁)情報,閲覧開始日などを履歴データベース210に登録する(ブロックA2)。また,ホームボタン141aを押すなどの操作により画面を書籍Viewer121以外へ遷移すると,読書を中断する。この時も中断情報を保存することができる。
【0029】
最後に中断した書籍の閲覧を再開する場合には,ユーザは,Readingボタン141eを押下(短押し)する。Readingボタン入141eの操作というイベントは,OS110から電子書籍アプリケーションプログラム120に通知される。電子書籍アプリケーションプログラム120は,このイベントを受け取ると,それが短押しであった場合には,最後に中断した書籍の書籍IDを履歴データベース210から取得する。Readingボタン入141eの短押しまたは長押しの区別は,入力コントローラ14,OS110,電子書籍アプリケーションプログラム120のいずれで行っても構わない。入力コントローラ14またはOS110で行う場合,電子書籍アプリケーションプログラム120には,Readingボタン入141eが短押しされたというイベントやReadingボタン入141eが長押しされたというイベントがOS110から通知される。電子書籍アプリケーションプログラム120で行う場合,電子書籍アプリケーションプログラム120には,Readingボタン入141eが押下されたというイベントがOS110から通知される。電子書籍アプリケーションプログラム120は,例えば,このイベントの通知の継続期間を調べることで,Readingボタン入141eが短押しされたか長押しされたかを判定する。
【0030】
電子書籍アプリケーションプログラム120は,書籍Viewer121を起動し,履歴データベース210から取得した,最後に閲覧した書籍の書籍IDを書籍Viewer121に渡す。書籍Viewer121は,電子書籍アプリケーションプログラム120から渡された書籍IDに該当する書籍を開き(ロードし),また,その書籍IDと関連付けられて履歴データベース210に登録されている中断ページ位置を取得し,そのページを画面上に表示する。」

上記摘記事項,図面の記載及びこの分野における技術常識を勘案すると,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「 電子書籍を表示するための方法であって,
電子書籍はCPU11およびタッチパネルディスプレイ16を備える情報処理装置1によって表示され,
本情報処理装置1上で動作する電子書籍アプリケーションプログラム120は,電子書籍を購入する機能,購入した電子書籍一覧を表示する機能,電子書籍を閲覧する機能(書籍Viewer121を制御する機能)を備え,
読書を中断する際,ユーザは,書籍Viewer121上のしおりボタン(タッチパネルディスプレイ16上に表示されるソフトウェアボタン)を押すことで,中断情報を保存することができ,しおりボタンの表示位置に対するタッチ操作というイベント(中断要求イベント)の発生をOS110から通知されると,書籍Viewer121は,開かれている書籍の識別情報(書籍ID),中断位置(頁)情報,閲覧開始日などを履歴データベース210に登録し,また,ホームボタン141aを押すなどの操作により画面を書籍Viewer121以外へ遷移すると,読書を中断し,この時も中断情報を保存することができ,
最後に中断した書籍の閲覧を再開する場合には,ユーザは,Readingボタン141eを押下(短押し)し,Readingボタン入141eの操作というイベントは,OS110から電子書籍アプリケーションプログラム120に通知され,電子書籍アプリケーションプログラム120は,このイベントを受け取ると,それが短押しであった場合には,最後に中断した書籍の書籍IDを履歴データベース210から取得し,
電子書籍アプリケーションプログラム120は,書籍Viewer121を起動し,履歴データベース210から取得した,最後に閲覧した書籍の書籍IDを書籍Viewer121に渡し,書籍Viewer121は,電子書籍アプリケーションプログラム120から渡された書籍IDに該当する書籍を開き(ロードし),また,その書籍IDと関連付けられて履歴データベース210に登録されている中断ページ位置を取得し,そのページを画面上に表示する,
方法。」

2 引用文献2について
平成29年7月20日付けの当審拒絶理由通知で引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。

ウ 「【発明の効果】
【0016】
本発明によれば,1ページ毎に電子書籍データをダウンロードしながら再生することにより,メモリの記憶容量を極めて小にでき,また,著作権保護が可能で,使い勝手も向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に,本発明の実施形態について図面を参照して,詳細に説明する。
【0018】
図1は,本発明になる電子書籍システムの一実施形態の概略システム構成図を示す。本実施形態の電子書籍システムは,本発明の携帯端末の一実施形態である折り畳み型携帯電話100が,基地局200,及びネットワークの一例としてのインターネット網300を介して,電子書籍データ保管サービスプロバイダ提供のサーバ400に接続された構成である。
【0019】
携帯電話100は,第1の筐体101と第2の筐体102とが,ヒンジ部103によりヒンジ部103を中心として互いに開閉自在に結合された折り畳み型携帯電話である。第1の筐体101の内側面には,表示部104や受話用レシーバ105が配置されている。第2の筐体102の内側面には,入力部106や送話用マイクロフォン107が配置されている。また,例えば,第1の筐体101の背面にカメラが配置されている。また,この携帯電話100は,現在,携帯電話の高速なパケット通信方式として知られているHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)で,基地局200及びインターネット網300を介してサーバ400と通信できる機能を有している。
【0020】
また,サーバ400は,電子書籍データ保管サービスプロバイダ提供のサーバであり,ユーザが購入した電子書籍データ及び電子書籍プレイリストを保管するデータベース401を有する。」

エ 「【0026】
次に,図1及び図2に示した本実施形態の電子書籍システムの動作について図3のフローチャートを併せ参照して説明する。まず,ユーザは携帯電話100を開状態にして入力部106を操作して基地局200及びインターネット網300を介してプロバイダのサーバ400へログインし,接続する(ステップS1)。サーバ400は,携帯電話100のユーザの認証を行い(ステップS2),認証がOKであれば携帯電話100のユーザに予め割り当てたデータベース401の内部の参照を許可し,データベース401に格納されている電子書籍プレイリストを携帯電話100へ送信する。
【0027】
続いて,携帯電話100のユーザは,表示部104に表示されている受信した電子書籍プレイリストを見て再生を希望する電子書籍とその再生方法(順次再生,ランダム再生,よく見る順,新刊順など)を,入力部106を操作して選択し,その選択情報を携帯電話100から基地局200及びインターネット網300を通してサーバ400へ送信する(ステップS3)。なお,このとき再生を開始する最初のページ指定を行うことも可能である。
【0028】
続いて,ユーザにより携帯電話100は開状態から閉状態にされる。この閉状態は開閉検出部115からの検出信号に基づきCPU110が判断する。CPU110が閉状態を検出すると,それをトリガとしてHSDPA通信部111を介して基地局200へダウンロード開始要求を送信する。サーバ400は,上記のダウンロード開始要求を基地局200からインターネット網300を通して受信すると,データベース401に格納されているユーザが選択した電子書籍の1ページ目の電子書籍データを選択された再生方法に従って送信する。
【0029】
携帯電話100は,インターネット網300,基地局200を通してHSDPA通信部111で上記の1ページ目の電子書籍データを受信し,CPU110の制御の下,RAM112に対し表示データの準備及び受信電子書籍データのダウンロードを開始する(ステップS4)。
【0030】
このようにして,1ページ目の電子書籍データのRAM112へのダウンロードが数秒で完了すると(ステップS5),CPU110は開閉検出部115から開状態検出信号が入力されるかを監視する。ユーザが再び携帯電話100を閉状態から開状態にすると,CPU110は,開閉検出部115から開状態検出信号が入力されるので開状態であることを検出する(ステップS6)。これにより,ユーザは携帯電話100の表示部104に再生表示されている電子書籍データの1ページ目を閲覧することができる。
【0031】
続いて,CPU110は,現在RAM112にダウンロードされている電子書籍データのページが最後のページかどうか判断する(ステップS7)。最後のページでない場合,CPU110は,携帯電話100を閉状態としたときに開閉検出部115から出力される閉状態検出信号の入力,又は携帯電話100を振った時に加速度センサ116から出力される振動検出信号の入力,又は携帯電話100を傾けた時に傾き検出部118から出力される傾き検出信号の入力を検出する(ステップS8)。このステップS8の検出は,ユーザが電子書籍データの1ページ目を閲覧し終わった任意のタイミングで行う,ユーザによる携帯電話100の操作(閉じる操作,振る操作,又は傾ける操作)時点で行われる。
【0032】
ステップS8の検出を行うと,CPU110は,RAM112に格納されている1ページ分の電子書籍データを削除し,次のページのダウンロード要求をサーバ400へ送信する(ステップS9)。
【0033】
上記のダウンロード要求に従い,サーバ400は,データベース401から電子書籍の次のページ(この時点では2ページ目)の電子書籍データを選択された再生方法に従って送信する。これにより,携帯電話100は,インターネット網300,基地局200を通してHSDPA通信部111で次のページの電子書籍データを受信し,その受信した次のページの電子書籍データのRAM112へのダウンロードをCPU110の制御の下,完了する(ステップS5)。
【0034】
以後,最後のページの電子書籍データがRAM112にダウンロード完了するまで,ステップS6?S9,S5?S7の処理が繰り返される。最後のページの電子書籍データがRAM112に格納され,表示部104に表示された最後のページの電子書籍データをユーザが閲覧し,最後のページであることをCPU110が検出すると(ステップS7のYES),電子書籍再生を終了し(ステップS10),ログアウトする(ステップS11)。」

上記摘記事項,図面の記載及びこの分野における技術常識を勘案すると,上記引用文献2には次の技術的事項(以下,「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されていると認める。

「携帯電話に電子書籍を表示する際に,1ページ毎に電子書籍データをサーバからダウンロードしながら表示すること。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。

a 引用発明の「電子書籍」は「インターネット経由でダウンロードして閲覧」される情報であり,本願発明1の「第1のオンライン情報」に相当する。
b 引用発明の「書籍Viewer121」の「画面」,「書籍Viewer121以外へ遷移」した「画面」は,それぞれ,本願発明1の「第1のインタラクティブインターフェース」,「第2のインタラクティブインターフェース」に相当する。
c 引用発明では「ホームボタン141aを押すなどの操作により画面を書籍Viewer121以外へ遷移する」ことから,引用発明は本願発明1の「前記デバイスによって,前記切り替え命令に従って前記第1のインタラクティブインターフェースから前記第2のインタラクティブインターフェースに切り替えるステップ」に相当する構成を備えているといえる。
d 引用発明では「最後に中断した書籍の閲覧を再開する場合には,ユーザは,Readingボタン141eを押下(短押し)」することから,引用発明は本願発明1の「前記デバイスによって,前記第1のオンライン情報を表示するための表示命令を受信したときに前記第2のインタラクティブインターフェースから前記第1のインタラクティブインターフェースに切り替えるステップ」に相当する構成を備えているといえる。
e 引用発明の「中断位置(頁)情報」は,本願発明1の「現在の位置情報」,「ブックマーク」,「オフセット情報」に含まれる。

したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)

「 情報を表示するための方法であって,
プロセッサおよびディスプレイを備えるデバイスによって,第1のオンライン情報を前記ディスプレイ上の第1のインタラクティブインターフェース内に表示するステップと,
前記デバイスによって,前記第1のインタラクティブインターフェースから第2のインタラクティブインターフェースに切り替えるための切り替え命令を受信したときに現在の位置情報を保存するステップであって,前記現在の位置情報は,前記切り替え命令を受信したときに前記第1のインタラクティブインターフェース内に表示される現在のオンライン情報を指示するブックマークを含む,ステップと,
前記デバイスによって,前記切り替え命令に従って前記第1のインタラクティブインターフェースから前記第2のインタラクティブインターフェースに切り替えるステップと,
前記デバイスによって,前記第1のオンライン情報を表示するための表示命令を受信したときに前記第2のインタラクティブインターフェースから前記第1のインタラクティブインターフェースに切り替えるステップと,
前記デバイスによって,前記現在の位置情報に従って前記現在のオンライン情報を表示するように前記第1のインタラクティブインターフェースを制御するステップとを含み,
前記現在の位置情報を保存するステップは,
前記第1のオンライン情報の先頭から前記現在の位置情報までのオフセット情報を保存するステップを含む,
ことを特徴とする方法。」

(相違点)
本願発明1では,
「前記現在の位置情報に従って前記現在のオンライン情報を表示するように前記第1のインタラクティブインターフェースを制御するステップは,
前記第1のオンライン情報が記憶されているサーバに前記現在の位置情報を送信するステップと,
前記サーバによって送信されたオンライン情報のターゲットデータを受信するステップと,
前記オンライン情報のターゲットデータを前記第1のインタラクティブインターフェースに表示するステップとを含み,
前記オンライン情報のターゲットデータは,前記現在のオンライン情報及びユーザの操作に従って予め設定された現在のオンライン情報よりも後に発行されるオンライン情報を含む」
のに対し,
引用発明では,「前記現在の位置情報に従って前記現在のオンライン情報を表示するように前記第1のインタラクティブインターフェースを制御するステップ」は,「書籍IDと関連付けられて履歴データベース210に登録されている中断ページ位置を取得し,そのページを画面上に表示する」のみである点。

(2)相違点についての判断
上述のとおり,引用文献2には「携帯電話に電子書籍を表示する際に,1ページ毎に電子書籍データをサーバからダウンロードしながら表示すること。」という技術的事項が開示されているが,ここで,ダウンロードされる「1ページ」は携帯電話に現在表示されていないページであって,ユーザが次に読もうとするページであることは明らかである。
これに対し,引用発明において「サーバによって送信されたオンライン情報のターゲットデータ」は「前記現在のオンライン情報及びユーザの操作に従って予め設定された現在のオンライン情報よりも後に発行されるオンライン情報を含む」ものであるところ,このように,サーバから送信される情報に「現在のオンライン情報」を含ませることや,「現在のオンライン情報よりも後に発行されるオンライン情報」を「ユーザの操作に従って予め設定された」ものとすることは,引用文献2記載の技術的事項から当業者が容易に想到できたものということはできない。
したがって,本願発明1は,当業者であっても引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-11について
本願発明2-11も,本願発明1の「サーバによって送信されたオンライン情報のターゲットデータ」は「前記現在のオンライン情報及びユーザの操作に従って予め設定された現在のオンライン情報よりも後に発行されるオンライン情報を含む」ことと同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても引用発明及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

3 明確性要件について
平成29年10月19日に提出された手続補正書による手続補正により,本願請求項3の「前記現在の位置情報に従って前記現在のオンライン情報を表示するように前記第1のインタラクティブインターフェースを制御するステップ」は,「前記第1のオンライン情報が記憶されているサーバに前記現在の位置情報を送信するステップと,前記サーバによって送信されたオンライン情報のターゲットデータを受信するステップと,前記オンライン情報のターゲットデータを前記第1のインタラクティブインターフェースに表示するステップとを含み,前記オンライン情報のターゲットデータは,前記現在のオンライン情報及びユーザの操作に従って予め設定された現在のオンライン情報よりも後に発行されるオンライン情報を含」み,さらに,「前記現在の位置情報に従って事前に記憶されているオンライン情報から前記現在のオンライン情報にアクセスするステップと,前記現在のオンライン情報を前記第1のインタラクティブインターフェースに表示するステップとを含む」こと,が明らかになったので,本願請求項3の記載は明確になった。
請求項7,10についても同様である。

第7 原査定についての判断
平成29年10月19日付けの補正により,補正後の請求項1-11は,
「前記現在の位置情報に従って前記現在のオンライン情報を表示するように前記第1のインタラクティブインターフェースを制御するステップは,
前記第1のオンライン情報が記憶されているサーバに前記現在の位置情報を送信するステップと,
前記サーバによって送信されたオンライン情報のターゲットデータを受信するステップと,
前記オンライン情報のターゲットデータを前記第1のインタラクティブインターフェースに表示するステップとを含み,
前記オンライン情報のターゲットデータは,前記現在のオンライン情報及びユーザの操作に従って予め設定された現在のオンライン情報よりも後に発行されるオンライン情報を含む」
という技術的事項を有するものとなった。
この技術的事項は,原査定における引用文献A,Bには記載されておらず,本願優先日前における周知技術でもないので,本願発明1-11は,当業者であっても,原査定における引用文献Aに記載された発明ではなく,また,原査定における引用文献A,Bに基づいて容易に発明できたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-02-13 
出願番号 特願2016-516009(P2016-516009)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 113- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 大輔萩島 豪  
特許庁審判長 安久 司郎
特許庁審判官 稲葉 和生
新川 圭二
発明の名称 情報を表示するための方法およびデバイス  
代理人 木内 敬二  
代理人 佐伯 義文  
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