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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1337349
審判番号 不服2017-731  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-01-18 
確定日 2018-02-08 
事件の表示 特願2016-125784号「回路基板用金属板成形品および、パワーモジュールの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月18日出願公開、特開2017- 85077号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成28年6月24日(優先権主張 平成27年10月27日)の出願であって、平成28年9月8日付けで拒絶理由が通知され、同年10月26日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年12月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成29年1月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に、明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、その後、当審において、平成29年9月6日付けで拒絶理由が通知され、同年10月30日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。
そして、本願の請求項1?9に係る発明は、平成29年10月30日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「【請求項1】
プレス成形により形成されてなる回路基板用金属板を備える回路基板用金属板成形品であって、前記回路基板用金属板が、互いに離隔して位置して回路パターンを形成する0.5mm以上の厚みの複数個の回路構成部品を有し、
複数個の回路構成部品のそれぞれの形状に対応する複数個の嵌合孔部を設けた部品保持部材を有し、前記部品保持部材の複数個の嵌合孔部内に、複数個の回路構成部品が、厚み方向の少なくとも一部で摩擦係合して嵌め込まれ、
前記嵌合孔部内に嵌め込まれた複数個の回路構成部品が、部品保持部材の表面側で該表面から窪んで位置するとともに、部品保持部材の裏面側で該裏面から突出して位置し、部品保持部材から突出する回路構成部品の裏面が、絶縁基板へ接合される面であり、
部品保持部材の厚み方向で、回路構成部品の、前記嵌合孔部内への嵌込み量を、回路構成部品の厚みの10%?70%の範囲内とし、回路構成部品の、前記嵌合孔部内への嵌込み量の最大値と最小値の差を、0.3mm以下としてなる回路基板用金属板成形品。」

2.引用文献
(1)引用文献1に記載の事項及び引用発明
平成29年9月6日付けの当審の拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)で引用した、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平9-181423号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
なお、下線は当審で付したものである。以下同様。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックス基板に金属回路を形成してなるセラミックス回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ロボット・モーター等の産業機器の高性能化に伴い、大電力・高能率インバーターなど大電力モジュールの変遷が進んであり、半導体素子から発生する熱も増加の一途をたどっている。この熱を効率よく放散するため、大電力モジュール基板では従来よりさまざまな方法がとられてきた。とくに最近、良好な熱伝導性を有するセラミックス基板の出現により、基板上に金属板を接合し回路を形成後、そのまま金属板上に半導体素子を搭載する構造も採用されつつある。」

「【0029】(本発明で使用される金属板の説明)本発明で使用される金属板の材質については特に制限はなく、通常は、銅、ニッケル、銅合金、ニッケル合金が用いられる。また、その厚みについても特に制限はなく、通常、金属箔と言われている肉厚の薄いものでも使用可能であり、0.1?1.0mm好ましくは0.2?0.5mmのものが用いられる。金属板の形状については以下の三種類のものが使用される。」

「【0035】○3 例えば図4(b)に表れているように、金属回路部分15aと金属回路以外の部分14b、15bとからなっており、機械的な力を加えることによって両者を容易に切り離すことができる状態になっている金属板14、15(以下、この金属板をプッシュバック金属板という)
【0036】プッシュバック金属板は例えば次のようにして製造することができる。
i) 金属回路部分を金属板からいったん抜き落としその後もとの状態にはめ戻す。
ii) 金属回路部分が抜け落ちる直前まで溝を設ける。
iii) 上記ii)において、溝の大部分を貫通させ金属回路部分と金属回路以外の大部分を切り離しておく。
【0037】上記i)?iii)の方法において、金属回路部分と金属回路以外の部分の厚みは同じであってもよく、また異なっていてもよい。そして、金属回路部分の形成法としては、金属回路パターンを備えたプレス金型、セーパー、フライス等を用いてもよいし化学エッチングによってもよい。
【0038】プッシュバック金属板を使用するに際しては、ろう材は金属回路パターンと同形に配置することが望ましく、セラミックス基板にプッシュバック金属板を接合させた後、金属回路以外の金属部分を引き離すことによって金属回路パターンを容易に形成させることができる。金属回路パターン外に生じた不要ろう材は、薬液処理して除去する。」
(当審注:段落【0035】の「○3」は、○の中に3が入った記号である。)

「【0071】・・・図4の場合は、プッシュバック金属板14、15の金属回路以外の部分14b、15bを機械的に引き離すことによって金属回路パターン9を備えたセラミックス基板となる[図4(c)、(d)]。」

「【0112】実施例29?30
これらの実施例は、図4(a)?図4(e)の工程に従う例である。
【0113】銀、銅及びチタンを成分とする合金粉末100重量部(成分比、重量割合で銀72部、銅28部、チタン10部)とテレピネオール15重量部とを混合しろう材ペーストを調整した。このろう材ペーストを、70mm×40mm×0.635mm^(t)の窒化アルミニウム基板(実施例29)又はアルミナ基板(実施例30)に、スクリーン印刷で接合パターン形状に塗布した[図4(a)]。この基板を充分乾燥後、基板と同寸法を有し、厚みが0.2mmで、回路部分をプレスで抜き打ち後戻して回路部分外の金属部分と一体化させたプッシュバック銅板を、接合パターンと金属回路パターン部が一致するように接触配置し、高真空中880℃、0.5hr加熱処理し接合体を各々5枚作製した[図4(b)]。
【0114】次いで、この接合体の金属回路以外の部分を機械的に引き剥がし金属回路を形成した[図4(c)、(d)]。この際、金属回路周囲にろう材のはみ出しが発生していたため[図4(d)]、70℃、10%のフッ酸で、実施例29については30分、実施例30については10分処理し、はみ出しろう材を除去した。得られたセラミックス回路基板の評価を第14表に示す。」

引用文献1には、上記ア?オの記載及び【図4】の記載からみて、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明〕
「金属回路部分15aと金属回路以外の部分15bとからなるプッシュバック金属板15であって、
金属回路パターンを形成する複数の金属回路部分15aを、金属板15からプレスで抜き打ち後、もとの状態にはめ戻して、金属回路以外の部分15bと一体化させた、プッシュバック金属板15。」

(2)引用文献2に記載の事項
当審拒絶理由で引用した、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開平8-215774号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0018】以下に、導体部分が戻された帯材に絶縁フィルムを貼着して中電流回路導体を製造する方法を図5イ?ニを参照して説明する。尚、ここでは、図10に示した打抜方法とは逆に、回路導体部(部品)を打抜き、戻す方法により示した。先ず、1ステージのプレス金型を用いて回路導体部25を打抜き、前記回路導体部25を打抜跡に戻し(図5イ)、この回路導体部25が戻された帯材26に下部絶縁フィルム27を貼着し(図5ロ)、この下部絶縁フィルム27から非回路導体部を剥離し(図5ハ)、下部絶縁フィルム27上に残された回路導体部25の上側に別の上部絶縁フィルム28を貼着して中電流回路導体を製造する(図5ニ)。
・・・
【0020】この実施例では、打抜かれた回路導体部25が帯材26の打抜跡内に納まるように(表裏面がフラットになるように)戻したが、図6に示すように、回路導体部25が帯材26から下側に若干はみ出るように戻しておくと、下部絶縁フィルム27は回路導体部25とのみ強固に貼着し、非回路導体部32を下部絶縁フィルム27から容易に剥離することができる。回路導体部25を帯材26より下側にはみ出させるには、戻しピンの戻し位置を下げておくか、回路導体部25を打抜跡内に納まるように戻したのち回路導体部25をパンチで押し下げる方法とがある。」

3.対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。

後者の「金属回路パターンを形成する複数の金属回路部分15a」は、金属回路パターンが離隔して位置することは明らかなので、前者の「互いに離隔して位置して回路パターンを形成する0.5mm以上の厚みの複数個の回路構成部品」と、「互いに離隔して位置して回路パターンを形成する複数個の回路構成部品」である限りにおいて一致するとともに、前者の「回路基板用金属板」に相当する。

後者の「プレスで抜き打ち」は「プレスで打ち抜き」と同義と認められる。
後者の「金属回路以外の部分15b」は、「金属回路部分15a」を打ち抜いた後の金属板であるから、打ち抜いた「金属回路部分15a」と同じ大きさの孔部が形成されており、かつ、当該孔部に「金属回路部分15a」がはめ戻されるのであるから、「嵌合孔部」ということができ、また、はめ戻されて一体化されたものに機械的な力を加えることによって「金属回路部分15a」と「金属回路以外の部分15b」とを切り離すものである(上記「2.(1)ウ、オ」の段落【0035】、【0113】、【0114】を参照)から、「金属回路部分15a」は、該孔部に、「厚み方向で摩擦係合」していることは明らかである。
そうすると、後者の「複数の金属回路部分15aを、金属板15からプレスで打ち抜き後、もとの状態にはめ戻して」「一体化」される「金属回路以外の部分15b」は、前者の「複数個の回路構成部品のそれぞれの形状に対応する複数個の嵌合孔部を設けた部品保持部材」に相当し、後者の「金属回路パターンを形成する複数の金属回路部分15aを、金属板15からプレスで抜き打ち後、もとの状態にはめ戻して、金属回路以外の部分15bと一体化させ」ることは、前者の「部品保持部材の複数個の嵌合孔部内に、複数個の回路構成部品が、厚み方向の少なくとも一部で摩擦係合して嵌め込まれ」ることに相当する。

後者の「金属回路部分15aと金属回路以外の部分15bとからなるプッシュバック金属板15」は、その技術的意義からみて、前者の「プレス成形により形成されてなる回路基板用金属板を備える回路基板用金属板成形品」に相当する。

してみると、本願発明と引用発明とは、次の一致点、相違点を有するものである。
〔一致点〕
「プレス成形により形成されてなる回路基板用金属板を備える回路基板用金属板成形品であって、前記回路基板用金属板が、互いに離隔して位置して回路パターンを形成する複数個の回路構成部品を有し、
複数個の回路構成部品のそれぞれの形状に対応する複数個の嵌合孔部を設けた部品保持部材を有し、前記部品保持部材の複数個の嵌合孔部内に、複数個の回路構成部品が、厚み方向の少なくとも一部で摩擦係合して嵌め込まれる、回路基板用金属板成形品。」
〔相違点1〕
本願発明は、回路構成部品が「0.5mm以上の厚み」と特定されているのに対して、引用発明は、金属回路部分15aがそのような厚みに特定されていない点。
〔相違点2〕
本願発明は、「嵌合孔部内に嵌め込まれた複数個の回路構成部品が、部品保持部材の表面側で該表面から窪んで位置するとともに、部品保持部材の裏面側で該裏面から突出して位置し、部品保持部材から突出する回路構成部品の裏面が、絶縁基板へ接合される面であり、部品保持部材の厚み方向で、回路構成部品の、嵌合孔部内への嵌込み量を、回路構成部品の厚みの10%?70%の範囲内とし、回路構成部品の、嵌合孔部内への嵌込み量の最大値と最小値の差を、0.3mm以下としてなる」と特定されているのに対して、引用発明は、金属回路部分15aを金属回路以外の部分15bにもとの状態にはめ戻して一体化させるものであり、嵌め戻す量について前記のように特定されておらず、嵌め戻したときの嵌め込み量の最大値と最小値とが特定されていない点。

(2)判断
各相違点について以下検討する。
ア 相違点1について
引用文献1には、引用発明の用途として「大電力・高能率インバーターなど大電力モジュール」が示唆されており(上記「2.(1)ア」の段落【0002】を参照)、その用途からみて厚みのある金属パターンを用いることは当業者が適宜になし得る設計事項といえ、また、「金属回路部分15aと金属回路以外の部分15bとからなるプッシュバック金属板15」の厚さに関して「0.1?1.0mm」のものとの示唆もある(上記「2.(1)イ」の段落【0029】を参照)。
そうしてみると、引用発明の金属回路部分15aを、相違点1に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることといえる。
イ 相違点2について
(ア)
引用文献2には、「打抜かれた回路導体部25を帯材26の非回路導体部32の打抜跡内に戻すときに、表裏面がフラットになるように戻すことに代えて、回路導体部25が非回路導体部32から下側に若干はみ出るように戻しておくことで、下部絶縁フィルム27が回路導体部25とのみ強固に貼着し、非回路導体部32を下部絶縁フィルム27から容易に剥離することができること」(以下、「引用文献2に記載の技術事項」という。)が記載されている(上記「2.(2)カ」の段落【0020】を参照)。
引用発明と引用文献2に記載の技術事項とを対比する。
後者の「打抜かれた回路導体部25」は、前者の「回路構成部品」に相当し、後者の回路導体部25が打ち抜かれた残りの「帯材26の非回路導体部32」は、前者の「部品保持部材」に相当し、後者の「打抜跡」は、前者の「嵌合孔部」に相当し、後者の「下部絶縁フィルム27」は、前者の「絶縁基板」に相当する。
後者の「打抜かれた回路導体部25を帯材26の非回路導体部32の打抜跡内に戻すときに、回路導体部25が非回路導体部32から下側に若干はみ出るように戻しておくこと」は、回路導体部25が非回路導体部32の打抜跡において上側から若干窪んだ位置に戻されることでもあるので、前者の「嵌合孔部内に嵌め込まれた複数個の回路構成部品が、部品保持部材の表面側で該表面から窪んで位置するとともに、部品保持部材の裏面側で該裏面から突出して位置」することに相当する。
後者の「下部絶縁フィルム27が回路導体部25とのみ強固に貼着」することは、引用文献2の【図6】の記載を参照すると、回路動体部25の下側の面が下部絶縁フィルム27に貼着することであるので、前者の「部品保持部材から突出する回路構成部品の裏面が、絶縁基板へ接合される面であ」ることに相当する。
そうすると、引用文献2に記載の技術事項は、本願発明の用語を用いれば、「嵌合孔部内に嵌め込まれた複数個の回路構成部品が、部品保持部材の表面側で該表面から窪んで位置するとともに、部品保持部材の裏面側で該裏面から突出して位置し、部品保持部材から突出する回路構成部品の裏面が、絶縁基板へ接合される面である」ことを示唆しているといえる。
(イ)
引用発明と引用文献2に記載の技術事項とは、打ち抜かれた回路構成部品を保持部材に戻した、いわゆるプッシュバック金属板である点で共通しており、また、両者とも、絶縁基板に接合した後、回路構成部品を残して保持部材のみが引き剥がされるものである点でも共通している。
そうしてみると、引用発明において、絶縁基板に接合した後の部品保持部材(金属回路以外の部分15b)の引き剥がしを容易に行えるようにするために、引用文献2に記載の技術事項を適用することは、当業者が容易に想到し得ることといえる。
(ウ)
本願発明の「部品保持部材の厚み方向で、回路構成部品の、嵌合孔部内への嵌込み量を、回路構成部品の厚みの10%?70%の範囲内」とする点について、本願の明細書(平成28年10月26日付け手続補正、平成29年1月18日付け手続補正及び平成29年10月30日付け手続補正により補正された明細書。以下、同様。)の記載を参照すると、発明の詳細な説明の段落【0045】に次のとおり記載されている。
「【0045】
上記の金属板成形品21では、回路構成部品27を部品保持部材28に確実に保持させつつ、回路構成部品27を絶縁基板2の表面に接合した後の部品保持部材28の分離を、大きな力を要することなしに容易に行い得るものとすることが望ましい。
この観点から、部品保持部材28の厚み方向で、回路構成部品27の、嵌合孔部28aへの嵌込み量Veは、図10に示すように、回路構成部品27の厚みDの10%?70%とすることが好適である。・・・」
当該記載によれば、上記「10%?70%の範囲内」との事項は、発明の詳細な説明の【表1】?【表4】(段落【0058】、【0059】、【0063】、【0064】を参照)に示されるような、ダレ部の割合に関する試験結果、あるいは、嵌込み量の最大値と最小値の試験結果のように、試験等によって導き出された臨界的数値ではなく、単に、当業者が上記した「確実な保持と容易な分離」を考慮して決定した数値と解される。
また、「図10に示すように」と記載されているが、図10を参酌しても、具体的数値が記載されているわけではなく、図10から、嵌込み量が10%?70%であることの技術的意義が把握できるとも認められない。
そして、「確実な保持と容易な分離」については、引用文献2に記載の技術事項の効果であるともいえる。
そうしてみると、引用発明に引用文献2に記載の技術事項を適用するに際し、嵌込み量を10%?70%とすることは、当業者が適宜決定する設計事項に過ぎないといえる。
(エ)
本願発明の「回路構成部品の、嵌合孔部内への嵌込み量の最大値と最小値の差を、0.3mm以下としてなる」点について、本願の明細書の記載を参照すると、発明の詳細な説明の段落【0047】に次のとおり記載されている。
「【0047】
そして、部品保持部材28で回路構成部品27を確実に保持させるとともに、絶縁基板2上へ回路構成部品27を高い精度で強固に貼付するため、上述した嵌込み量Veの最大値と最小値の差は、0.3mm以下とすることが好適である。言い換えれば、嵌込み量Veの最大値と最小値の差が0.3mmを上回ると、回路構成部品27の各位置で嵌込み量のばらつきが生じて、部品保持部材28からの回路構成部品27の意図しない外れが生じる可能性がある他、絶縁基板2上に回路構成部品27を貼付する際に、それらの十分な密着性が得られない懸念があるとともに、若干ずれて貼付されて所望の回路パターンが得られないことも考えられる。この観点より、嵌込み量Veの最大値と最小値の差は、0.1mm以下とすることがより好ましい。」
当該記載によれば、上記「嵌込み量の最大値と最小値の差を、0.3mm以下」との事項は、嵌め込み量のばらつきを極力抑制することで、部品保持部材28からの回路構成部品27の意図しない外れを防止し、絶縁基板2上に回路構成部品27を十分な密着性で貼付するためのものと認められる。
しかしながら、引用文献2に記載の技術事項においても、回路導体部25を非回路導体部32の打抜跡で保持するにあたり、意図しない脱落を防止することは当業者が当然に考慮すべき事項といえ、そのために非回路導体部32による回路導体部25の保持をその全周にわたって偏りなく均等にすることは当業者が容易に想到し得ることといえる。
そして、引用文献2に記載の技術事項において、回路導体部25が非回路導体部32と接している量、すなわち嵌込み量が、非回路導体部32による回路導体部25の保持に寄与していることは、その構造から明らかといえる。
そうしてみると、引用発明に引用文献2に記載の技術事項を適用したものにおいて、金属回路部分15a(本願発明の「回路構成部品」に相当)の金属回路以外の部分15b(本願発明の「部品保持部材」に相当)への嵌込み量の最大値と最小値の差を、0.3mm以下とすることは、当業者が適宜になし得ることといえ、そして、前記の嵌込み量のばらつきを抑制したことに伴い、絶縁基板に十分な密着性で貼付する効果も得られるといえる。
(オ)
以上のことを総合的に勘案して、引用発明に、引用文献2に記載の技術事項を適用し、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることといえる。

そして、本願発明の奏する作用及び効果を検討しても、引用発明及び引用文献2に記載の技術事項から予測できる程度のものであって格別のものではない。

よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明(本願発明)は、引用発明及び刊行物2に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-11-30 
結審通知日 2017-12-05 
審決日 2017-12-18 
出願番号 特願2016-125784(P2016-125784)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 貴志  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 滝谷 亮一
平田 信勝
発明の名称 回路基板用金属板成形品および、パワーモジュールの製造方法  
代理人 アクシス国際特許業務法人  

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