• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1337404
審判番号 不服2016-8990  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-16 
確定日 2018-02-23 
事件の表示 特願2015-229249「電子カルテ画面構成システム」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,平成27年11月25日の出願であって,平成28年5月20日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年6月16日に拒絶査定に対する審判請求がなされたが,当審において同年9月6日付けで拒絶理由通知がなされ,これに対し,同年11月1日に意見書と手続補正書が提出されたものである。

2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成28年11月1日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された,以下のとおりのものと認める。

「 医療や介護上の文書を記録する電子カルテシステムにおいて,文書を構成する個々のデータを記録するデータ記録場所を備え,以下(1)から(4)を備えることにより個々のデータの入力及び出力を複数の画面構成系列を用いて可能とし,さらに複数の異なる文書種類から,それぞれの構成要素の読み出し参照・編集を可能としていることを特徴とする電子カルテ画面構成システム。
(1)複数の画面構成系列を設定する画面構成系列設定手段と,前記複数の画面構成系列の内から使用する画面構成系列を指定する画面構成系列指定手段を備え,
(2)前記画面構成系列設定手段は,当該画面構成系列に属する複数の画面構成を設定する個別画面構成設定手段を備え,
(3)前記個別画面構成手段は,画面を構成する個々の画面構成要素を設定する画面構成要素設定手段を備え,
(4)前記画面構成要素設定手段は,表示位置,大きさ,見出しを含む構成要素表示条件設定手段を備え,さらに,
a)データの入力や,入力済みデータの出力を行うデータ入出力要素においては,当該データの記録場所を指定するデータ記録場所設定手段,
b)別の画面への遷移を行うナビゲーション要素においては,画面の遷移先を指定する画面遷移先指定手段,
c)表示データに対して処理を行うデータ処理要素においては処理内容を設定する処理内容設定手段,
以上a)からc)の内,少なくとも一つを備えている。」

3 引用発明
当審の拒絶理由に引用された特開2007-128261号公報(以下,「引用例」という。)には,「情報処理方法およびその装置」(発明の名称)に関し,図面とともに以下の事項が記載されている(注目箇所には当審が下線を付与した。)。

(1)「【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下,本発明にかかる実施例の情報処理を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
[レイアウトシステム]
●システム構成
図1はレイアウトシステムを提供する情報処理システム100の構成例を示すブロック図である。
【0014】
ホストコンピュータ101が実行するレイアウト編集アプリケーション121は,ソフトウェアコンポーネントであるユーザインタフェイス(UI) 103とレイアウトエンジン105を含む。UI103は,ユーザに表示を提供し,データベース(DB)サーバ117が管理するデータベース(DB) 119内のデータとデータソースを関連付けるメカニズムを提供する。また,レイアウトエンジン105は,詳細は後述するが,矩形範囲として与えられる制限やサイズによって,矩形と線の位置を演算する。なお,UI103とレイアウトエンジン105は,通信チャネル123を介して通信する。
【0015】
ホストコンピュータ101は,ネットワーク107を介して,DBサーバ117,ファイルサーバ115,プリンタサーバ109などと通信する。」

(2)「【0106】
●役割に設定された相関関係に基づくレイアウト
レイアウト編集アプリケーション121は,役割(アクタ)ごとに設定された相関関係と,コンテナに設定されたレコードのプロパティに基づき,コンテナを最適コンテナサイズにレイアウトする。
【0107】
図18は役割に設定された相関関係に基づくレイアウトを示すフローチャートで,レイアウト編集アプリケーション121が実行する処理である。
【0108】
まず,ユーザの役割指定を入力し(S1701),指定された役割に登録されたコンテナの相関関係を参照する(S1702)。なお,役割の設定,コンテナの相関関係は後述する。
【0109】
次に,コンテナの総数をレジスタNに設定し(S1703),変数nに1を代入する(S1704)。そして,参照した相関関係に基づきコンテナを抽出し(S1705),コンテナを配置し(S1706),変数nをインクリメントする(S1707)。そして,ステップS1708の判定により,n>Nになるまで,ステップS1705?S1707の処理を繰り返して,すべてのコンテナを配置する。
【0110】
次に,コンテナに対する優先度を参照し(S1709),レイアウト計算を開始する(S1710)。
【0111】
次に,コンテナに設定されたコンテンツのプロパティを検出する(S1711)。コンテンツのプロパティからは,DB 119に格納されたコンテンツの実際のサイズが得られる。なお,コンテンツにスタティックなテキストや画像が挿入されている場合は,それも含むサイズを取得する。そして,コンテンツのプロパティとコンテナに設定された設定値に基づき,レイアウトを計算し(S1712),レイアウト結果をUI 103が提供する画面に表示する(S1713)。
役割の設定
【0112】
役割は,ユーザごとに登録してもよいし,複数のユーザからなるグループごとに登録してもよい。
【0113】
図19は相関テーブルの登録例を示す図である。図19に示すA?Eはそれぞれコンテンツを示し,○は表示を,×は非表示を示す。また,左隅の列は主表示のコンテンツを示し,最上部の行は副表示のコンテンツを示す。例えば,コンテンツAを表示する場合は,二行目の例では,コンテンツAのほかにコンテンツCとEを表示する。このようなテーブルが,役割ごとに登録可能である。
コンテナの相関関係
【0114】
図20はコンテナの表示,非表示および相関関係を示す図である。図19に示すA?Eはそれぞれコンテナを示し,各セルの数値は,左隅の列のコンテナの,他のコンテナに対する表示比率を示す。例えば,コンテナAを選択した場合,コンテナBは3,コンテナCは0,コンテナDは5,コンテナEは0の比率で表示することを示す。なお,コンテナA自体は,設定されたコンテナのサイズで表示する。このように,図20に示す相関関係テーブルは,コンテナの表示または非表示を示すフラグを有する。
【0115】
図21はコンテナの表示状態例と,その遷移例を示す図である。
【0116】
図21(a)はコンテナDが選択されている状態の表示例である。選択されたコンテナDと図20の相関関係テーブルに基づきコンテナのレイアウトが決定され,決定されたレイアウトが図21(a)に表示されている。図21(a)では,コンテナAは5,コンテナBは4,コンテナCは1の比率で表示されている。この表示状態でコンテナAを選択すると,図21(b)の表示状態に遷移し,コンテナBは3,コンテナDは5の比率で表示される。さらに,コンテナBを選択すると,図21(c)に示す表示状態に遷移し,コンテナAは3,コンテナCは2,コンテナDは4,コンテナEは1の比率で表示される。このように,選択したコンテナとコンテナの相関関係に従い,動的にレイアウトが変更される。なお,表示比率0のコンテナは表示されない。また,役割に応じた相関関係テーブルが登録されており,指定された役割に応じた相関関係テーブルに基づき,コンテナのレイアウトが決定される。」

(3)「【0117】
[レイアウトシステムの適用例]
以下では,上述したレイアウトシステムを電子カルテに適用する例を詳細に説明する。電子カルテは,様々な入力コントロールとデータを有し,医師,看護士,医療技師,薬剤師,医療事務などにより必要な表示,閲覧内容が異なる。従って,上述したレイアウトシステムにより,ユーザまたはグループ単位に役割を設定し,ユーザが望む電子カルテの表示,閲覧を提供する。
【0118】
言い換えれば,電子カルテに記載されたすべての情報を表示すれば,電子カルテを参照する際の視認性を低下させる。また,複数の診療科を統合して使用する電子カルテの場合,他の診療科の医師が記載内容を参照するには,すべての情報を一度表示する必要がある。また,電子カルテの記載欄には,通常,見る必要がない欄も多数存在する。つまり,同一の電子カルテでも,ユーザやグループが着目する情報ごとに表示したい情報が異なる。
【0119】
●電子カルテシステムの概要
図22は電子カルテの一例を示す図である。
【0120】
電子カルテの上部にはメニューバー2101,ツールバー2102がある。図22は表示メニューがクリックされ,表示メニューのドロップダウンメニュー2103が表示された状態を示し,表示メニューにより,表示モードと編集モードを切り替え可能である。勿論,表示メニューをクリックしなくても,マウスボタンの右クリックなど,マウス操作によっても切り替え可能である。
【0121】
ツールバー2102の下には,診察日や患者名などの基本情報,診察情報,病歴,レセプト,投薬情報などの電子カルテに必須の情報を入力,編集,表示する情報欄2104がある。編集モードにおいて情報欄2104に入力された情報は病院内のDB 119に蓄積され,電子カルテのコンテンツとして運用される。なお,図22には,電子カルテに記載された情報をDB119に登録するための「登録」ボタン2105が存在する。つまり,本実施例は,ボタンコントロールによって明示的に登録を行う例を示すが,登録方法はこれに限らない。また,入力内容に関しては役割を限定してもしなくてもよく,医師,看護士,医療技師,薬剤師,医療事務員などが各自の担当部分について入力すればよい。
【0122】
図23は,図22に示す電子カルテを表示モードで閲覧した一例を示す図で,閲覧情報として,病歴欄2201,処置処方欄2202,処方調剤欄2203,および,シェーマ2204としてレントゲン写真が表示されている。表示項目はテキスト,画像に限らず,役割の設定および選択によって,電子カルテの情報としてDB 119に蓄積されたすべての項目を表示することができる。
【0123】
図24は,図23の画面の閲覧者(ユーザ)が処方調剤欄2203をクリックした場合に遷移する画面例を示す図で,上述したコンテナの相関関係に基づきコンテナを抽出し,再レイアウトが行われる。そして,図24に示すように,レイアウトは変わるが処置処方欄2202および処方調剤欄2203は残り,病歴2201およびシェーマ2204は消え,新たに処方箋欄2205が表示される。つまり,閲覧者が選択したコンテンツ(コンテナ)に設定された相関関係に基づくコンテンツ(コンテナ)を表示するレイアウトが行われる。
【0124】
このように,複数のコントロールを有する電子カルテアプリケーションにおいて,使用したコントロールだけを集合させ,表示可能なウィンドウサイズ内に各コントロール間のサイズを動的に配置する。また,各コントロールのサイズも,そのデータ量によって変化させることで,視認性を高めることができる。
【0125】
●電子カルテシステムにおける表示の遷移
編集モードにおいて,医師は,図22に示す電子カルテの所定のコントロールの必要な箇所に必要な情報を入力する。保存された電子カルテが再び呼び出されると,図25に示すように,使用されたコントロールのみが抽出され,モニタ144の画面サイズと各コントロールが使用する面積に基づき最適なレイアウトを行う。図26に示すように,医師は,使用したいコントロールをクリック(選択)するこで,そのコントロールの入力領域が表示され,再入力を行うことができる。
【0126】
表示モードにおいては,図27に示すように,動的にレイアウトされたコントロールをクリックすると,そのコントロールに関連付けられたコントロールが集合し,再レイアウトする。関連付けは,各コントロールごとに相関関係を設定することで実現し,リンクした場合にその相関関係に基づき表示するコントロールを決定し,再レイアウト,再表示を行う。
【0127】
図28に示すように,相関関係を示すテーブルは各コントロールの重みを有し,その重み付けに基づきコントロールのレイアウトを行う。さらに,表示の必要性を示すフラグを有し,表示が不要ならば,相関関係が高くても表示しないといった振る舞いを決める機能を有する。
【0128】
さらに,図29に示すように,ユーザごとに異なる相関関係テーブルを所持することで,同一の電子カルテの情報を表示する際の表示内容をユーザの業務,作業内容に合わせてカスタマイズすることができる機能を有する。
【0129】
図30は医師と医療事務が所持する相関関係テーブルの設定例を示す図である。図31は,図30に示す相関関係テーブルを所持する医師がコントロールをクリックした場合の表示の遷移状態例を示す図である。図32は,図30に示す相関関係テーブルを所持する医療事務がコントロールをクリックした場合の表示の遷移状態例を示す図である。
【0130】
このように,使用したコントロールのみを抽出し,画面に最適にレイアウトすることで,ユーザの視認性を高めることができる。また,当該ユーザ以外の入力項目も同系列に表示されるため,確認漏れなどを防ぐことが可能になる。また,ユーザごとに異なる相関関係テーブルを所持することで,同一の電子カルテでも,ユーザの業務,作業内容に合った表示を行うことが可能になる。」

上記引用例の記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると,引用例の「情報処理装置(レイアウトシステム)」を「電子カルテシステム」に適用した例に関し,以下の技術事項が読み取れる。

a 【0121】によれば,「診察日や患者名などの基本情報,診察情報,病歴,レセプト,投薬情報などの電子カルテに必須の情報を蓄積する病院内のDB119」を備えており,「電子カルテに記載された情報の入力は,医師,看護士,医療技師,薬剤師,医療事務員などが各自の担当部分について入力」する。
b 【図30】?【図32】によれば,「A:病歴,B:処置処方,C:処方調剤内容,D:シェーマ,E:レセプトの各々のコンテンツ(コンテナ)を主表示とする各レイアウト画面を表示可能」である。
c 【0125】によれば,「編集モード」において,「電子カルテの所定のコントロールの必要な箇所に必要な情報を入力する。」
d 【0126】によれば,「表示モード」において,「動的にレイアウトされたコントロールをクリックすると,そのコントロールに関連付けられたコントロールが集合し,再レイアウト」し,「関連付けは,各コントロールごとに相関関係を設定することで実現し,リンクした場合にその相関関係に基づき表示するコントロールを決定し,再レイアウト,再表示を行」う。
e 【0127】によれば「相関関係を示すテーブルは各コントロールの重みを有し,その重み付けに基づきコントロールのレイアウトを行う。」
f 【0113】?【0114】によれば,「相関関係テーブルの左隅の列は主表示のコンテンツを示し,最上部の行は副表示のコンテンツを示」し,「各セルの数値は,左隅の列のコンテナの,他のコンテナに対する表示比率を示す。」
g 【0128】によれば,「ユーザごとに異なる相関関係テーブルを所持することで,同一の電子カルテの情報を表示する際の表示内容をユーザの業務,作業内容に合わせてカスタマイズすることができる機能を有する。」

以上を総合すると,上記引用例には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が開示されていると認める。

「 診察日や患者名などの基本情報,診察情報,病歴,レセプト,投薬情報などの電子カルテに必須の情報を蓄積する病院内のDB119を備え,電子カルテに記載された情報の入力は,医師,看護士,医療技師,薬剤師,医療事務員などが各自の担当部分について入力し,A:病歴,B:処置処方,C:処方調剤内容,D:シェーマ,E:レセプトの各々のコンテンツ(コンテナ)を主表示とする各レイアウト画面を表示可能であり,
編集モードにおいて,電子カルテの所定のコントロールの必要な箇所に必要な情報を入力し,
表示モードにおいて,動的にレイアウトされたコントロールをクリックすると,そのコントロールに関連付けられたコントロールが集合し,再レイアウトし,関連付けは,各コントロールごとに相関関係を設定することで実現し,リンクした場合にその相関関係に基づき表示するコントロールを決定し,再レイアウト,再表示を行い,
相関関係を示すテーブルは各コントロールの重みを有し,その重み付けに基づきコントロールのレイアウトを行い,相関関係テーブルの左隅の列は主表示のコンテンツを示し,最上部の行は副表示のコンテンツを示し,各セルの数値は,左隅の列のコンテナの,他のコンテナに対する表示比率を示すものであり,
さらに,ユーザごとに異なる相関関係テーブルを所持することで,同一の電子カルテの情報を表示する際の表示内容をユーザの業務,作業内容に合わせてカスタマイズすることができる機能を有する,
電子カルテシステム。」

4 対比・判断
本願発明と引用発明を対比すると,

a 引用発明の「診察日や患者名などの基本情報,診察情報,病歴,レセプト,投薬情報などの電子カルテに必須の情報を蓄積する病院内のDB119」は,本願発明の「医療や介護上の文書を記録する電子カルテシステムにおいて,文書を構成する個々のデータを記録するデータ記録場所」に相当する。
b 引用発明の「相関関係テーブル」について検討するに,
b1 引用発明では,「ユーザごとに異なる相関関係テーブルを所持することで,同一の電子カルテの情報を表示する際の表示内容をユーザの業務,作業内容に合わせてカスタマイズすることができる」が,「ユーザの業務,作業内容に合わせてカスタマイズ」された「表示内容」は本願発明の「複数の画面構成系列」に相当するから,引用発明の「相関関係テーブル」は本願発明の「複数の画面構成系列を設定する画面構成系列設定手段」であるといえる。
また,引用例の【0108】に「まず,ユーザの役割指定を入力し(S1701),指定された役割に登録されたコンテナの相関関係を参照する(S1702)。」と記載されていることから,引用発明の「電子カルテシステム」が,ユーザが使用する画面構成系列を選択するための「複数の画面構成系列の内から使用する画面構成系列を指定する画面構成系列指定手段」を備えることは明らかである。
b2 引用発明の「A:病歴,B:処置処方,C:処方調剤内容,D:シェーマ,E:レセプトの各々のコンテンツ(コンテナ)を主表示とする各レイアウト画面」は本願発明の「画面構成系列に属する複数の画面構成」に相当し,さらに,引用発明の「相関関係テーブルの左隅の列は主表示のコンテンツを示し,最上部の行は副表示のコンテンツを示し,各セルの数値は,左隅の列のコンテナの,他のコンテナに対する表示比率を示すもの」である点を勘案すると,引用発明の「相関関係テーブル」は「画面構成系列に属する複数の画面構成を設定する個別画面構成設定手段」であるといえる。
b3 引用発明の「A:病歴,B:処置処方,C:処方調剤内容,D:シェーマ,E:レセプトの各々のコンテンツ(コンテナ)」は本願発明の「画面を構成する個々の画面構成要素」に相当し,さらに,引用発明の「相関関係テーブルの左隅の列は主表示のコンテンツを示し,最上部の行は副表示のコンテンツを示し,各セルの数値は,左隅の列のコンテナの,他のコンテナに対する表示比率を示すもの」である点を勘案すると,引用発明の「相関関係テーブル」は「画面を構成する個々の画面構成要素を設定する画面構成要素設定手段」であるといえる。
b4 引用発明の「相関関係テーブル」は「各コントロールの重みを有し,その重み付けに基づきコントロールのレイアウトを行」うものであり,「各セルの数値は,左隅の列のコンテナの,他のコンテナに対する表示比率を示すもの」であり,表示される各コンテナには「病歴」,「処置処方」,「処方調剤内容」,「シェーマ」,「レセプト」等の「見出し」が含まれることは【図23】,【図24】等の記載から明らかであるから,引用発明の「相関関係テーブル」は「表示位置,大きさ,見出しを含む構成要素表示条件設定手段」であるといえる。
b5 上記b1?b4での検討によれば,引用発明の「電子カルテシステム」は,本願発明のように「個々のデータの出力を複数の画面構成系列を用いて可能とし,さらに複数の異なる文書種類から,それぞれの構成要素の読み出し参照を可能としている」ものであって,「電子カルテ画面構成システム」ということができる。
c 引用発明では「表示モードにおいて,動的にレイアウトされたコントロールをクリックすると,そのコントロールに関連付けられたコントロールが集合し,再レイアウト」するから,引用発明の「電子カルテシステム」が本願発明の「別の画面への遷移を行うナビゲーション要素においては,画面の遷移先を指定する画面遷移先指定手段」を備えることは明らかである。

以上をまとめると,結局,本願発明と引用発明は,以下の点で一致ないし相違する。

(一致点)
「 医療や介護上の文書を記録する電子カルテシステムにおいて,文書を構成する個々のデータを記録するデータ記録場所を備え,以下(1)から(4)を備えることにより個々のデータの出力を複数の画面構成系列を用いて可能とし,さらに複数の異なる文書種類から,それぞれの構成要素の読み出し参照を可能としていることを特徴とする電子カルテ画面構成システム。
(1)複数の画面構成系列を設定する画面構成系列設定手段と,前記複数の画面構成系列の内から使用する画面構成系列を指定する画面構成系列指定手段を備え,
(2)当該画面構成系列に属する複数の画面構成を設定する個別画面構成設定手段を備え,
(3)画面を構成する個々の画面構成要素を設定する画面構成要素設定手段を備え,
(4)表示位置,大きさ,見出しを含む構成要素表示条件設定手段を備え,さらに,
別の画面への遷移を行うナビゲーション要素においては,画面の遷移先を指定する画面遷移先指定手段,
を備えている。」

(相違点1)
本願発明は「個々のデータの入力及び出力を複数の画面構成系列を用いて可能」としているのに対し,
引用発明は「電子カルテに記載された情報の表示は,医師,看護士,医療技師,薬剤師,医療事務員の各々が所持する相関関係テーブルに基づいて」「表示可能」,即ち,「個々のデータの出力を複数の画面構成系列を用いて可能」としているものの,「個々のデータの入力」については「複数の画面構成系列を用いて可能」としているか否かは明らかではない点。

(相違点2)
本願発明は「複数の異なる文書種類から,それぞれの構成要素の読み出し参照・編集を可能としている」のに対し,
引用発明は「相関関係テーブルに基づいて」「A:病歴,B:処置処方,C:処方調剤内容,D:シェーマ,E:レセプトの各々のコンテンツ(コンテナ)を主表示とする各レイアウト画面を表示可能」である,即ち,「複数の異なる文書種類から,それぞれの構成要素の読み出し参照を可能としている」ものの,「それぞれの構成要素の編集」については「複数の異なる文書種類から」可能としているか否かは明らかではない点。

(相違点3)
一致点の「画面構成系列設定手段」,「個別画面構成設定手段」,「画面構成要素設定手段」,「構成要素表示条件設定手段」に関し,
本願発明では,「画面構成系列設定手段」は「個別画面構成設定手段」を備え,「個別画面構成手段」は「画面構成要素設定手段」を備え,「画面構成要素設定手段」は「構成要素表示条件設定手段」を備えるのに対し,
引用発明では,これらの手段はいずれも「相関関係テーブル」が備えるものであって,各手段間の包含関係は明らかではない点。

以下に,上記各相違点につき検討する。

(相違点1)および(相違点2)について
引用発明は,「編集モードにおいて,電子カルテの所定のコントロールの必要な箇所に必要な情報を入力」することが可能であるが,当該「編集モード」へは,引用例に「電子カルテの上部にはメニューバー2101,ツールバー2102がある。図22は表示メニューがクリックされ,表示メニューのドロップダウンメニュー2103が表示された状態を示し,表示メニューにより,表示モードと編集モードを切り替え可能である。」(【0120】)とあるように,メニューバー2101の表示メニュー(「表示(V)」)のドロップダウンメニューの選択により移行できるものである。
そして,例えば図23や図24に示された表示モードでの各レイアウト画面(本願発明の「複数の異なる文書種類」に相当)においても,メニューバー2101に表示メニュー(「表示(V)」)が表示されていることから,これらの各レイアウト画面からも「それぞれの所定のコントロールの必要な箇所に必要な情報を入力」可能,即ち,「編集」を可能とすることにより,本願発明のように「複数の異なる文書種類から,それぞれの構成要素の読み出し参照・編集を可能としている」構成とすること(相違点2)は,当業者が必要に応じて適宜なし得たものである。
また,引用発明は「電子カルテに記載された情報の入力は,医師,看護士,医療技師,薬剤師,医療事務員などが各自の担当部分について入力するもの」であるから,「電子カルテに記載された情報」の「入力」についても「医師,看護士,医療技師,薬剤師,医療事務員の各々が所持する相関関係テーブルに基づい」て表示されたコントロールから可能とすることにより,本願発明のように「個々のデータの入力及び出力を複数の画面構成系列を用いて可能」とすること(相違点1)も,当業者が必要に応じて適宜なし得たものである。

(相違点3)について
上記bで対比したとおり,引用発明の「相関関係テーブル」は本願発明の「画面構成系列設定手段」,「個別画面構成設定手段」,「画面構成要素設定手段」,「構成要素表示条件設定手段」に相当するものであるが,これらの手段につき,引用例の【図20】,【図27】?【図32】等に記載された「相関関係テーブル」に基づいて子細に検討する。
引用発明の「相関関係テーブル」において,「相関関係テーブルの左隅の列は主表示のコンテンツを示し,最上部の行は副表示のコンテンツを示し,各セルの数値は,左隅の列のコンテナの,他のコンテナに対する表示比率を示すもの」であるから,「相関関係テーブル」の「左隅列が‘A’?‘E’の各行」は,それぞれA?Eのコンテンツを主表示とするレイアウト画面を示すものであって「複数のレイアウト画面を設定する手段」といえる。
そうすると,引用例の「相関関係テーブル」の「左隅列が‘A’?‘E’の各行」は,本願発明の「画面構成系列に属する複数の画面構成を設定する個別画面構成設定手段」に相当するものである。
また,「左隅列が‘A’?‘E’の各行」にはセル値が設定されており,そのうち「‘0’以外のセル値が設定されたセル」は,表示されるコンテンツであることを示すから「表示されるコンテンツを設定する手段」といえる。
そうすると,引用例の「相関関係テーブル」の「‘0’以外のセル値が設定されたセル」は,本願発明の「画面を構成する個々の画面構成要素を設定する画面構成要素設定手段」に相当するものである。
また,「‘0’以外のセル値が設定されたセル」の「具体的なセル値」はコンテンツ(コンテナ)の相対的なサイズを示し,該相対的なサイズに基づいて動的にレイアウトが変更され(【0116】)コンテンツのタイトル(「病歴」等)とともに表示されるから,「‘0’以外のセル値が設定されたセルの具体的なセル値」は,「コンテンツの表示条件を設定する手段」といえる。
そうすると,引用例の「相関関係テーブル」の「‘0’以外のセル値が設定されたセルの具体的なセル値」は,本願発明の「表示位置,大きさ,見出しを含む構成要素表示条件設定手段」に相当するものである。
そして,「相関関係テーブル」が「左隅列が‘A’?‘E’の各行」を備え,「左隅列が‘A’?‘E’の各行」が「‘0’以外のセル値が設定されたセル」を備え,「‘0’以外のセル値が設定されたセル」が「‘0’以外のセル値が設定されたセルの具体的なセル値」を備えていることは明らかである。
そうすると,引用発明の「相関関係テーブル」においては,「画面構成系列設定手段」は「個別画面構成設定手段」を備え,「個別画面構成手段」は「画面構成要素設定手段」を備え,「画面構成要素設定手段」は「構成要素表示条件設定手段」を備えているといえ,上記(相違点3)は実質的な相違とすることはできない。

そして,本願発明の作用・効果も引用例から当業者が予測し得る範囲のものである。

5 むすび
したがって,本願発明は,引用例に記載された発明に基づいて,当業者が容易に想到し得たものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-11-29 
結審通知日 2016-12-05 
審決日 2016-12-16 
出願番号 特願2015-229249(P2015-229249)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 浜岸 広明  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 新川 圭二
山澤 宏
発明の名称 電子カルテ画面構成システム  
代理人 大野 浩司  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ