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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) A61K
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) A61K
管理番号 1337426
審判番号 不服2015-14692  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-08-05 
確定日 2018-02-07 
事件の表示 特願2012-535305「ポロクサマーを包含する製剤のゲル化温度の調節」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 4月28日国際公開、WO2011/049958、平成25年 3月 7日国内公表、特表2013-508381〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 主な手続の経緯
本願は,国際出願日である平成22年10月19日(パリ条約に基づく優先権主張 平成21年10月21日,同月27日,同月28日(2件),平成22年1月21日(2件),同年7月14日,同月22日,いずれもアメリカ合衆国)にされたとみなされる特許出願であって,平成27年4月2日付けで拒絶査定がされ,これに対して,同年8月5日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲が補正され,平成29年2月10日付けで拒絶理由(以下「本件拒絶理由」という。)が通知されたものである。

第2 本願発明及び本件拒絶理由について
本願の請求項1?14に係る発明は,平成27年8月5日に補正された特許請求の範囲の請求項1?14に記載されている事項により特定されるとおりのものである。
また,本件拒絶理由の内容は,本審決末尾に掲記のとおりである。

第3 むすび
請求人は,本件拒絶理由に対して,指定期間内に特許法159条2項で準用する同法50条所定の意見書を提出するなどの反論を何らしていない。そして,本件拒絶理由を覆すに足りる根拠は見いだせず,本願は本件拒絶理由によって拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。

以下,本件拒絶理由の内容を掲記する。

【理由1】 この出願は,特許請求の範囲の記載が,下記の点で,特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
【理由2】 この出願は,特許請求の範囲の記載が,下記の点で,特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。
【理由3】 この出願は,発明の詳細な説明の記載が下記の点で,特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。



1 理由1
(1) 請求項1について
ア 請求項1の記載のうち,
「(i)前記製剤は,製剤の少なくとも10重量%,及び14.5重量%未満の熱感受性ポリマーを含み,およびゲル化温度上昇剤の不存在下でのゲル化温度と比較して製剤のゲル化温度を14℃と42℃の間にまで増加させるのに十分な量の1以上のゲル化温度上昇剤をさらに含み;または
(ii)前記製剤は,製剤の25重量%よりも多くの熱感受性ポリマーを含み,およびゲル化温度下降剤の不存在下でのゲル化温度と比較して製剤のゲル化温度を14℃と42℃の間にまで減少させるのに十分な量の1以上のゲル化温度下降剤をさらに含み;または
(iii)前記製剤は,製剤の10重量%と18重量%の間の熱感受性ポリマーを含み,熱感受性ポリマーは精製されており,
ここで,ゲル化温度上昇剤又はゲル化温度下降剤がポロクサマー188及びポロクサマー338から選択され,製剤の5重量%以下の濃度である,」
の記載,特に,
「ここで,ゲル化温度上昇剤又はゲル化温度下降剤がポロクサマー188及びポロクサマー338から選択され,製剤の5重量%以下の濃度である」
との記載が,上記(i)の条件における「ゲル化温度上昇剤」並びに上記(ii)の条件における「ゲル化温度下降剤」を指してこれらを説明するものなのか,あるいは,上記(iii)のみの条件として特定するものなのか判然とせず,よって,請求項1について,特許を受けようとする発明が明確でない。
(なお,「ここで…」の記載が前者を意味するとき,すなわち,上記(iii)の条件がゲル化温度調節剤(ゲル化温度上昇剤,ゲル化温度下降剤)を含まなくてもよい場合を意味するとき,後述のとおり,請求項1の記載はいわゆるサポート要件を満たさないことになるところ,念のため付言する。)
イ 請求項1の「ゲル化温度」の技術的意味が明確でない。すなわち,本願の明細書には,「ゲル化」ないしは「ゲル化温度」についての定義がなく,例えば,本願発明に係る「医薬製剤」がどの程度に変化した状態(液体状態からゲル状態への相転移がどの程度進行した状態)となったときをもって「ゲル化」したというのか不明である。そうすると,当業者は,医薬製剤が「14℃と42℃の間のゲル化温度を有」するとの意味を把握することができないといえる。
また,請求項1の「インビボで少なくとも5日間,治療上有効な量の活性薬剤の徐放」の技術的意味も明確でない。すなわち,本願の明細書には,治療上有効な量の活性薬剤について,「インビボで少なくとも5日間」の「徐放」の定義がなく,例えば,どのような条件のもとで活性薬剤が少なくとも5日間徐放したことをもって本願発明に係る「インビボで少なくとも5日間,治療上有効な量の活性薬剤の徐放」を満たすこととなるか理解できない。
よって,上述の点でも,請求項1について,特許を受けようとする発明が明確でない。

(2) 請求項2?14について
請求項2?14は,請求項1の記載を直接あるいは間接的に引用するものであるから,請求項1について記載した理由(上記(1))と同様の理由により,特許を受けようとする発明が明確でない。

(3) 請求項5について
請求項5の「前記多微粒子の活性薬剤」との意味が明確でない。すなわち,当該請求項5が引用する請求項1には「多微粒子の活性薬剤」についての記載がないから,上記「前記多微粒子」が何を指すか不明である。
したがって,請求項5について,特許を受けようとする発明が明確でない。

(4) 付言
なお,上述のとおり,特許請求の範囲の記載に係る発明(請求項1?14に係る発明)が明確でないため,当合議体は査定の理由(特許法29条2項)の妥当性についての審理を留保しているところ,この点,請求人は留意ありたい。

2 理由2
(1) 請求項1に係る発明(本願発明1)について
ア 本願発明1の解決課題は,本願の明細書(例えば【0003】,【0004】の記載,並びに実施例など)の記載からみて,活性薬剤と,(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのコポリマーを含む)熱感受性ポリマーに,1以上のゲル化温度調節剤を加えることによって,約14℃と約42℃の間にゲル化温度を有し,インビボで少なくとも3日間,治療上有効な量の活性薬剤を徐放する医薬製剤を提供することにあると認められる。
イ ところで,本願発明1の「ここで,ゲル化温度上昇剤又はゲル化温度下降剤がポロクサマー188及びポロクサマー338から選択され,製剤の5重量%以下の濃度である」との特定事項が,請求項1記載の(i)の条件における「ゲル化温度上昇剤」や(ii)の条件における「ゲル化温度下降剤」を指してこれらを説明するものと解するとしたとき,請求項1記載の(iii)の条件は,ゲル化温度調節剤(ゲル化温度上昇剤,ゲル化温度下降剤)を含まなくてもよいものとなる。
しかし,発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲は,上述のとおり,1以上のゲル化温度調節剤を加えるとの手段をもって課題を解決するものであるから,ゲル化温度調節剤(ゲル化温度上昇剤,ゲル化温度下降剤)を含むことについての特定がない(iii)の条件における本願発明1は,いわゆるサポート要件を満たさないといえる。
(因みに,出願当初の請求項1の(iii)の条件には,「1以上のゲル化温度上昇剤またはゲル化温度下降剤をさらに含」むとの記載があった。なお,本願の明細書には,実施例1の製剤Bとして,製剤の10重量%と18重量%の間の精製された熱感受性ポリマーを含む医薬製剤についての記載が見られるものの,この例におけるゲル化温度並びに徐放の程度は不明である。すなわち,この例のものが発明の課題を解決することとなるか明らかでない。)
ウ また,本願の明細書には,「製剤の少なくとも10重量%,及び14.5重量%未満の熱感受性ポリマーを含」む医薬製剤((i)の条件)についての具体例や,「製剤の25重量%よりも多くの熱感受性ポリマーを含」む医薬製剤((ii)の条件)についての具体例が記載されていないなど,熱感受性ポリマー及びゲル化温度調節剤(ゲル化温度上昇剤,ゲル化温度下降剤)について,どのような種類のものをどの程度の量採用すれば,医薬製剤のゲル化温度や活性薬剤の徐放に係る上記課題を解決することができるかについて,当業者が理解できる程度に記載されているとはいえない。
エ 以上のとおり,請求項1に係る発明は,発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識により当業者が課題を解決できると認識できる範囲のものであるとは認められず,サポート要件を満たさない。
オ なお,上記ウで述べるところと関連するが,ゲル化温度調節剤がどのような場合・条件のときにゲル化温度上昇剤として作用し,あるいはゲル化温度下降剤として作用するのか,明細書の記載からは明らかでないと思われるところ,上記の拒絶理由への対応にあたって仮に追試を行うのであれば,請求人におかれては,ゲル化温度調節剤の添加後のゲル化温度を測定して示すのみならず,ゲル化温度調節剤の添加前のゲル化温度すなわち「ゲル化温度調節剤(ゲル化温度上昇剤,ゲル化温度下降剤)の不存在下でのゲル化温度」についても併せて測定して示されたい。

(2) 請求項2?14に係る発明(本願発明2?14)について
請求項2?14は,請求項1の記載を直接あるいは間接的に引用するものであるから,請求項1について記載した理由(上記(1))と同様の理由により,サポート要件を満たさない。

3 理由3
(1) 本願発明1について
上記2(1)ウなどで述べるように,本願の明細書には,本願発明1についての実施例,すなわち,「14℃と42℃の間のゲル化温度を有」しつつ,「インビボで少なくとも5日間,治療上有効な量の活性薬剤の徐放を提供」するところの医薬製剤についての記載がない。そして,発明の解決課題でありかつ発明特定事項である上記「ゲル化温度」並びに上記「徐放」を達成(実施)するためには,当業者に期待しうる程度を超える試行錯誤や複雑高度な実験等が必要であるといわざるを得ない。
そうすると,本願の明細書の発明の詳細な説明は,本願発明1について,当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているものとはいえない。

(2) 本願発明2?14について
本願発明2?14についても,上記(1)と同様の理由により,いわゆる実施可能要件を満たさない。
 
審理終結日 2017-09-06 
結審通知日 2017-09-11 
審決日 2017-09-26 
出願番号 特願2012-535305(P2012-535305)
審決分類 P 1 8・ 536- WZF (A61K)
P 1 8・ 537- WZF (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石井 裕美子  
特許庁審判長 大熊 幸治
特許庁審判官 須藤 康洋
関 美祝
発明の名称 ポロクサマーを包含する製剤のゲル化温度の調節  
代理人 清原 義博  
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