• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1337572
審判番号 不服2017-7681  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-29 
確定日 2018-02-15 
事件の表示 特願2014-222074「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月 5日出願公開、特開2015- 24274〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年6月29日に出願した特願2013-137647号の一部を平成26年10月30日に新たな特許出願としたものであって、平成28年1月8日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対し同年3月22日付けで手続補正がなされ、同年9月15日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、これに対し同年11月21日付けで手続補正がなされたが、平成29年2月22日付け(発送日:同年2月28日)で平成28年11月21日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年5月29日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含むものであり、平成28年3月22日付けの手続補正の特許請求の範囲の請求項1の記載と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。また、A?Mについては発明を分説するため当審で付与した。)。

(平成28年3月22日付けの手続補正)
「【請求項1】
判定を実行する判定手段と、
その判定手段による判定結果を示すための識別情報が動的表示される表示手段と、
その表示手段に前記判定結果が特定の結果であることを示すための前記識別情報が停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、を有した遊技機において、
遊技者が操作可能な操作手段と、
その操作手段が操作された場合に、その操作が有効な操作として判別される有効期間を設定する期間設定手段と、
前記操作手段が前記有効期間内に操作されたことに基づいて、遊技者に遊技情報を付与する遊技情報付与手段と、
その遊技情報付与手段により付与される遊技情報を複数の遊技情報の中より決定する遊技情報決定手段と、
その遊技情報決定手段により決定される遊技情報として、第1遊技情報とその第1遊技情報とは異なる第2遊技情報とが少なくとも記憶された記憶手段と、
前記有効期間のうち、前記第1遊技情報が決定され易い第1期間と、前記第2遊技情報が決定され易い第2期間とを設定する情報期間設定手段と、
前記期間設定手段により設定される前記有効期間に対応する有効期間情報と、前記第2期間の少なくとも一部の期間に対応する第2期間情報とのそれぞれに対応する報知態様を前記期間設定手段により前記有効期間が設定される場合に報知する報知手段と、を有し、
前記有効期間情報に対応した前記報知態様には、前記有効期間の減少に対応して可変し前記第2期間情報に対応した報知態様と組み合わせることで、前記第2期間情報に対応する期間内であるかを識別可能な識別態様が含まれており、
前記表示手段は、前記報知手段による前記報知態様が報知されている期間にも、前記識別情報が動的表示されることが可能に構成されているものであることを特徴とする遊技機。」

(本件補正)
「【請求項1】
A 判定を実行する判定手段と、
B その判定手段による判定結果を示すための識別情報が動的表示される表示手段と、
C その表示手段に前記判定結果が特定の結果であることを示すための前記識別情報が停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、を有した遊技機において、
D 遊技者が操作可能な操作手段と、
E その操作手段が操作された場合に、その操作が有効な操作として判別される有効期間を設定する期間設定手段と、
F 前記操作手段が前記有効期間内に操作されたことに基づいて、遊技者に遊技情報を付与する遊技情報付与手段と、
G その遊技情報付与手段により付与される遊技情報を複数の遊技情報の中より決定する遊技情報決定手段と、
H その遊技情報決定手段により決定される遊技情報として、第1遊技情報とその第1遊技情報とは異なる第2遊技情報とが少なくとも記憶された記憶手段と、
I 前記有効期間のうち、前記第1遊技情報が決定され易い第1期間と、前記第2遊技情報が決定され易い第2期間とを設定する情報期間設定手段と、
J 前記期間設定手段により設定される前記有効期間に対応する有効期間情報を示すための有効期間識別情報と、前記第2期間の少なくとも一部の期間に対応する第2期間情報を示すための第2有効期間識別情報とを前記期間設定手段により前記有効期間が設定される場合にそれぞれ個別に前記表示手段に表示する手段と、を有し、
K 前記有効期間識別情報は、前記有効期間の減少に対応して可変して表示されるものであり、
L 前記第2有効期間識別情報は、前記有効期間識別情報と組み合わせて識別されることで、前記有効期間の減少に対応して可変せずに前記第2期間情報に対応する期間内であることを識別可能に表示されるものであり、
M 前記表示手段は、前記有効期間識別情報と前記第2有効期間識別情報とが表示されている期間にも、前記識別情報が動的表示されることが可能に構成されているものであることを特徴とする遊技機。」

2.補正の適否
本件補正によって、補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「前記期間設定手段により設定される前記有効期間に対応する有効期間情報と、前記第2期間の少なくとも一部の期間に対応する第2期間情報とのそれぞれに対応する報知態様を前記期間設定手段により前記有効期間が設定される場合に報知する報知手段」の「報知態様」及び「報知手段」について、「有効期間情報を示すための有効期間識別情報と」「第2期間情報を示すための第2有効期間識別情報とを」「それぞれ個別に前記表示手段に表示する手段」に限定するとともに、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「前記有効期間情報に対応した前記報知態様には、前記有効期間の減少に対応して可変し前記第2期間情報に対応した報知態様と組み合わせることで、前記第2期間情報に対応する期間内であるかを識別可能な識別態様が含まれて」いることについて、その「報知態様」を上記限定と同様に「有効期間情報を示すための有効期間識別情報」と「第2期間情報を示すための第2有効期間識別情報」に限定するとともに、「前記第2有効期間識別情報は」「前記有効期間の減少に対応して可変して表示」しないという限定を付加し、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「前記表示手段は、前記報知手段による前記報知態様が報知されている期間にも、前記識別情報が動的表示されることが可能に構成されている」ことについて、その「報知態様」を上記限定と同様に「有効期間情報を示すための有効期間識別情報」と「第2期間情報を示すための第2有効期間識別情報」に限定したものである。
さらに、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
そして、本件補正は、明細書の段落【0405】?【0407】、【0415】及び図59等の記載に基づいており、新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下において検討する。

(1)本件補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1.の本件補正の概要において示したとおりのものである。

(2)刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である特開2012-200466号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0010】
<全体構成>
まず、図1を用いて、本発明の一実施形態に係るパチンコ機100の全体構成について説明する。なお、同図はパチンコ機100を正面側(遊技者側)から見た外観斜視図である。」

「【0015】
球貯留皿付扉108は、パチンコ機100の前面において本体104の下側に対して、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着された扉部材である。球貯留皿付扉108は、複数の遊技球(以下、単に「球」と称する場合がある)が貯留可能で且つ発射装置110へと遊技球を案内させる通路が設けられている上皿126と、上皿126に貯留しきれない遊技球を貯留する下皿128と、遊技者の操作によって上皿126に貯留された遊技球を下皿128へと排出させる球抜ボタン130と、遊技者の操作によって下皿128に貯留された遊技球を遊技球収集容器(俗称、ドル箱)へと排出させる球排出レバー132と、遊技者の操作によって発射装置110へと案内された遊技球を遊技盤200の遊技領域124へと打ち出す球発射ハンドル134と、遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、チャンスボタン136を発光させるチャンスボタンランプ138と、遊技店に設置されたカードユニット(CRユニット)に対して球貸し指示を行う球貸操作ボタン140と、カードユニットに対して遊技者の残高の返却指示を行う返却操作ボタン142と、遊技者の残高やカードユニットの状態を表示する球貸表示部144と、を備える。また、下皿128が満タンであることを検出する不図示の下皿満タンセンサを備える。」

「【0025】
遊技領域124の略中央には、演出装置206を配設している。この演出装置206には、略中央に装飾図柄表示装置208を配設し、その周囲に、普通図柄表示装置210と、第1特別図柄表示装置212と、第2特別図柄表示装置214と、普通図柄保留ランプ216と、第1特別図柄保留ランプ218と、第2特別図柄保留ランプ220と、高確中ランプ222を配設している。なお、以下、普通図柄を「普図」、特別図柄を「特図」と称する場合がある。」

「【0035】
可変入賞口234は、大入賞口またはアタッカーと呼ばれ、本実施例では遊技盤200の中央部下方に1つだけ配設している。この可変入賞口234は、開閉自在な扉部材234aを備え、扉部材234aの閉鎖中は球の入球が不可能であり、特図変動遊技に当選して特図表示装置が大当り図柄を停止表示した場合に扉部材234aが所定の時間間隔(例えば、開放時間29秒、閉鎖時間1.5秒)、所定の回数(例えば15回)で開閉する。可変入賞口234への入球を所定の球検出センサが検出した場合、払出装置152を駆動し、所定の個数(例えば、15個)の球を賞球として上皿126に排出する。なお、可変入賞口234に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。」

「【0045】
パチンコ機100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号(以下、単に「コマンド」と呼ぶ)に応じて主に演出の制御を行う第1副制御部400と、第1副制御部400より送信されたコマンドに基づいて各種機器を制御する第2副制御部500と、主制御部300が送信するコマンドに応じて主に遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御部600と、遊技球の発射制御を行う発射制御部630と、パチンコ機100に供給される電源を制御する電源制御部660と、によって構成している。」

「【0054】
<第1副制御部>
次に、パチンコ機100の第1副制御部400について説明する。第1副制御部400は、主に主制御部300が送信したコマンド等に基づいて第1副制御部400の全体を制御する基本回路402を備えており、この基本回路402には、CPU404と、制御プログラムや各種演出データを記憶するためのROM406と、一時的にデータを記憶するためのRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412を搭載している。この基本回路402のCPU404は、水晶発信器414が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。なお、ROM406は、制御プログラムと各種演出データとを別々のROMに記憶させてもよい。」

「【0070】
図5(b)は装飾図柄の一例を示したものである。本実施形態の装飾図柄には、「装飾1」?「装飾10」の10種類がある。第1特図始動口230または第2特図始動口232に球が入賞したこと、すなわち、第1特図始動口230に球が入球したことを第1始動口センサが検出したこと、あるいは第2特図始動口232に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件にして、装飾図柄表示装置208の左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cの各図柄表示領域に、「装飾1」→「装飾2」→「装飾3」→・・・・「装飾9」→「装飾10」→「装飾1」→・・・の順番で表示を切り替える「装飾図柄の変動表示」を行う。そして、「特図B」の15R大当りを報知する場合には、図柄表示領域208a?208cに15R大当りに対応する、同じ装飾図柄が3つ並んだ図柄組合せ(例えば「装飾1-装飾1-装飾1」や「装飾2-装飾2-装飾2」等)を停止表示する。「特図A」の15R特別大当りを報知する場合には、同じ奇数の装飾図柄が3つ並んだ図柄組合せ(例えば「装飾3-装飾3-装飾3」や「装飾7-装飾7-装飾7」等)を停止表示する。
【0071】
また、「特図E」の隠れ確変と称される2R大当り、「特図F」の突然通常と称される2R大当り、あるいは「特図G」の第1小当り、「特図H」の第2小当りを報知する場合には、「装飾1-装飾2-装飾3」を停止表示する。さらに、「特図C」の突然確変と称される2R大当り、あるいは「特図D」の突然時短と称される2R大当りを報知する場合には、「装飾1-装飾3-装飾5」を停止表示する。
【0072】
一方、「特図I」の第1はずれ、「特図J」の第2はずれを報知する場合には、図柄表示領域208a?208cに同図(b)に示す図柄組合せ以外の図柄組合せを停止表示する。」

「【0126】
図8を用いて、第1副制御部400の処理について説明する。なお、同図(a)は、第1副制御部400のCPU404が実行するメイン処理のフローチャートである。同図(b)は、第1副制御部400のコマンド受信割込処理のフローチャートである。同図(c)は、第1副制御部400のタイマ変数割込処理のフローチャートである。同図(d)は、第1副制御部400の画像制御処理のフローチャートである。」

「【0133】
また、このボタン受付期間の開始時に、チャンスボタン136の押下操作の受付が可能であることを遊技者に報知するための演出データを準備し、後述する画像制御処理において、例えば、図14(b)に示すような報知(この例では、チャンスボタン136を模した画像の表示)を行う。また、ボタン受付期間中にチャンスボタン136の押下を検出した場合には、予告を行うための演出データを準備し、後述する画像制御処理において、例えば、図14(d)の右側に示すような予告(この例では、「激アツだ!!」という文字表示)を行う。そして、ボタン受付期間(例えば、6秒)の経過後に計時を終了するとともに、ボタン受付期間の報知や予告を消去するための処理を行う。」

「【0165】
主制御部300は、上述の特図1関連抽選処理において特図1変動時間決定テーブルを参照し、特図1変動遊技の当否判定結果に基づいてテーブル番号を選択する。例えば、特図1変動遊技の当否判定結果が大当りで、特図1の停止図柄として特図Aまたは特図Bが選択された場合には、テーブル番号としてテーブル1を選択する。続いて、主制御部300は、選択したテーブルに対応する1または複数の変動時間の中から、乱数値を用いた抽選によって特定の変動時間を選択する。例えば、テーブル番号がテーブル1で、取得した乱数値が500の場合には、乱数選択範囲0?1000に対応する変動時間15000ms(ノーマルリーチ当り)を選択する。
【0166】
また、主制御部300は、上述の特図2関連抽選処理において特図2変動時間決定テーブルを参照し、特図2変動遊技の当否判定結果に基づいてテーブル番号を選択する。例えば、特図2変動遊技の当否判定結果がはずれで、特図2の停止図柄として特図Iまたは特図Jが選択された場合には、テーブル番号として例えばテーブル9を選択する。続いて、主制御部300は、選択したテーブルに対応する1または複数の変動時間の中から、乱数値を用いた抽選によって特定の変動時間を選択する。例えば、テーブル番号がテーブル9で、取得した乱数値が55000の場合には、乱数選択範囲50001?60000に対応する変動時間10000ms(ノーマルリーチはずれ)を選択する。
【0167】
<予告演出>
次に、上述の特図関連抽選処理(ステップS229およびS231)の当否判定結果に応じて装飾図柄表示装置208が表示する演出(予告に係る一連の予告演出)の詳細について説明する。この演出には、装飾図柄の変動表示中に当否判定結果を遊技者に示唆する所定の演出(以下、「予告」ともいう)が含まれる。さらに、この演出の中には、上記予告を行うために遊技者へチャンスボタン136の操作を促す所定の演出(以下、「報知」ともいう)も含まれる。すなわち、装飾図柄表示装置208が表示する一連の予告演出は、遊技者にチャンスボタン136の操作を促す演出(報知)が最初に行われ、遊技者によりチャンスボタン136が操作されると、装飾図柄の変動表示中に当否判定結果を遊技者に示唆する演出(予告)に変化するようになっている。このとき、チャンスボタン136の操作を促す演出(報知)も、当否判定結果に応じて設定されることで当否判定結果を遊技者に示唆する機能(予告機能)を果たす場合がある。チャンスボタン136は所定の受付期間内に操作された場合にその操作が有効となるように設定されており、ボタン受付期間は様々な報知態様で遊技者に報知される。」

「【0169】
第1副制御部400のCPU404は、前述の演出制御処理(ステップS309)において、主制御部300から受信した図柄変動開始コマンドに含まれる当否判定結果(特図の停止図柄)および変動時間と、ROM406に特図の停止図柄および変動時間ごとに予め記憶された報知態様決定テーブルと、所定の乱数カウンタから取得した乱数値とに基づいて予告抽選処理を実行する。」

「【0178】
また、特に図示しないが、この予告抽選処理では、主制御部300から受信した当否判定結果と、予めROM406に記憶された所定の予告抽選テーブルと、前述の乱数値とに基づいて、予告の詳細な内容(例えば、ボタンが押下されたら「激アツだ!!」という文字表示を行うか、「・・・。」という文字表示を行うか、等)も決定する。」

「【0194】
この例では、まず第1の報知態様として、T2秒(例えば2秒)の報知期間中、メータを基準色(例えば青色)で表示する。メータは、変動中の装飾図柄の前面に一部重なって表示される。受付開始時点ではメータは満タンであり、時間が経過するにしたがって徐々に減少していく。メータの減少速度は、ボタン受付期間の実際の減少速度と一致するように設定されている。つまり、例えばボタン受付期間が6秒である場合、受付開始から2秒経過した時点ではメータは残り2/3にまで減少する。この第1の報知期間中にチャンスボタン136が操作されると、「・・・。」との予告(第1の予告)が表示される。その後、ボタン受付期間が終了する時点まで予告が継続し、受付終了時点で予告の表示が消える。」

「【0286】
例えば、ボタン受付期間の残り時間の報知態様を、図32に示すような報知態様としてもよい。この例(実施例9)では、最初に満タンのメータを基準色(例えば青色)のみで表示し、例えばボタン受付期間が6秒の場合には、1秒間に1/6ずつメータを減らしていく。
【0287】
報知開始から1秒が経過した時点で、メータの一部の領域を特別色(例えば赤色)に変化させる。この特別色に変化した特別領域も、時間の経過に伴いメータが減少するのに合わせて位置を移動させていく。
【0288】
メータの基端部(ここでは左端部)が基準色になっているタイミング[図32の(b)、(c)、(d)および(f)のタイミング]で遊技者がチャンスボタン136を押下した場合には、期待感の低い予告(例えば、図14に示す「・・・」という予告)を表示する。一方、メータの基端部が特別色になっているタイミング[図32の(e)のタイミング]で遊技者がチャンスボタン136を押下した場合には、期待感の高い予告(例えば、図14に示す「激アツだ!!」という予告)を表示する。このように、タイミングよくチャンスボタン136を押下しなければ期待感の高い予告が見られないというように報知態様を設定することで、遊技の幅を広げることができる場合がある。」

上記記載事項を総合すれば、刊行物1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(a?mについては本願補正発明のA?Mに対応させて付与した。)。

「a 特図1関連抽選処理において特図1変動時間決定テーブルを参照し、特図1変動遊技の当否判定を行い、特図2関連抽選処理において特図2変動時間決定テーブルを参照し、特図2変動遊技の当否判定を行う主制御部300(【0165】、【0166】)と、
b 左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cの各図柄表示領域に、「装飾1」→「装飾2」→「装飾3」→・・・・「装飾9」→「装飾10」→「装飾1」→・・・の順番で表示を切り替える「装飾図柄の変動表示」を行い、「特図B」の15R大当りを報知する場合には、同じ装飾図柄が3つ並んだ図柄組合せ(例えば「装飾1-装飾1-装飾1」や「装飾2-装飾2-装飾2」等)を停止表示し、「特図A」の15R特別大当りを報知する場合には、同じ奇数の装飾図柄が3つ並んだ図柄組合せ(例えば「装飾3-装飾3-装飾3」や「装飾7-装飾7-装飾7」等)を停止表示し、また、「特図E」の隠れ確変と称される2R大当り、「特図F」の突然通常と称される2R大当り、「特図G」の第1小当り、「特図H」の第2小当りを報知する場合には「装飾1-装飾2-装飾3」を停止表示し、さらに、「特図C」の突然確変と称される2R大当り、あるいは「特図D」の突然時短と称される2R大当りを報知する場合には「装飾1-装飾3-装飾5」を停止表示し、一方、「特図I」の第1はずれ、「特図J」の第2はずれを報知する場合には、それらの図柄組合せ以外の図柄組合せを停止表示する装飾図柄表示装置208(【0070】?【0072】)と、を有し
c 特図変動遊技に当選して特図表示装置が大当り図柄を停止表示した場合に可変入賞口234が備える扉部材234aが所定の時間間隔(例えば、開放時間29秒、閉鎖時間1.5秒)、所定の回数(例えば15回)で開閉する(【0035】)、パチンコ機100(【0010】)において、
d 遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136(【0015】)であって、
e 所定の受付期間内に操作された場合にその操作が有効となるように設定されるチャンスボタン136(【0167】)と、
f ボタン受付期間中にチャンスボタン136の押下を検出した場合には、予告(例えば、「激アツだ!!」という文字表示)を行うための演出データを準備し、画像制御処理において、予告を行う第1副制御部400のCPU404(【0045】、【0126】、【0133】)であって、
g 主制御部300から受信した当否判定結果と、予めROM406に記憶された所定の予告抽選テーブルと、乱数値とに基づいて、予告の詳細な内容(例えば、ボタンが押下されたら「激アツだ!!」という文字表示を行うか、「・・・。」という文字表示を行うか、等)も決定する予告抽選処理を実行する第1副制御部400のCPU404(【0045】、【0169】、【0178】)と、
h 予告(例えば、ボタンが押下されたら「激アツだ!!」という文字表示を行うか、「・・・。」という文字表示を行うか、等)を行うための演出データ等を記憶するためのROM406(【0054】、【0133】、【0178】)と、を有し、
j、k、l 前記装飾図柄表示装置208は、ボタン受付期間の残り時間の報知態様として、最初に満タンのメータを基準色(例えば青色)のみで表示し、例えばボタン受付期間が6秒の場合には、1秒間に1/6ずつメータを減らしていき、報知開始から1秒が経過した時点で、メータの一部の領域を特別色(例えば赤色)に変化させ、この特別色に変化した特別領域も、時間の経過に伴いメータが減少するのに合わせて位置を移動させていく演出を表示するものであり(【0025】、【0167】、【0286】、【0287】、
i、j メータの基端部(ここでは左端部)が基準色になっているタイミングで遊技者がチャンスボタン136を押下した場合には、期待感の低い予告(例えば、「・・・」という予告)を表示する一方、メータの基端部が特別色になっているタイミングで遊技者がチャンスボタン136を押下した場合には、期待感の高い予告(例えば、「激アツだ!!」という予告)を表示するものであり(【0288】)、
m メータは、変動中の装飾図柄の前面に一部重なって表示されるものである(【0194】)パチンコ機100。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。なお、見出し(a)?(k)は、本願補正発明のA?M及び引用発明のa?mに対応させている。

(a)引用発明の「a 特図1関連抽選処理において特図1変動時間決定テーブルを参照し、特図1変動遊技の当否判定を行い、特図2関連抽選処理において特図2変動時間決定テーブルを参照し、特図2変動遊技の当否判定を行う主制御部300」は、本願補正発明の「A 判定を実行する判定手段」に相当する。

(b)引用発明の「装飾図柄」は、本願補正発明の「識別情報」に相当する。
したがって、引用発明の「b 左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cの各図柄表示領域に、「装飾1」→「装飾2」→「装飾3」→・・・・「装飾9」→「装飾10」→「装飾1」→・・・の順番で表示を切り替える「装飾図柄の変動表示」を行い、「特図B」の15R大当りを報知する場合には、同じ装飾図柄が3つ並んだ図柄組合せ(例えば「装飾1-装飾1-装飾1」や「装飾2-装飾2-装飾2」等)を停止表示し、「特図A」の15R特別大当りを報知する場合には、同じ奇数の装飾図柄が3つ並んだ図柄組合せ(例えば「装飾3-装飾3-装飾3」や「装飾7-装飾7-装飾7」等)を停止表示し、「特図E」の隠れ確変と称される2R大当り、「特図F」の突然通常と称される2R大当り、「特図G」の第1小当り、「特図H」の第2小当りを報知する場合には「装飾1-装飾2-装飾3」を停止表示し、さらに、「特図C」の突然確変と称される2R大当り、あるいは「特図D」の突然時短と称される2R大当りを報知する場合には「装飾1-装飾3-装飾5」を停止表示し、 一方、「特図I」の第1はずれ、「特図J」の第2はずれを報知する場合には、それらの図柄組合せ以外の図柄組合せを停止表示する装飾図柄表示装置208【0070】?【0072】」は、本願補正発明の「B その判定手段による判定結果を示すための識別情報が動的表示される表示手段」に相当する。

(c)装飾図柄表示装置と特図表示装置とが同期して変動表示されるという技術常識に鑑みて上記(b)の検討を踏まえれば、引用発明bの構成を備えつつ、引用発明の「c 特図変動遊技に当選して特図表示装置が大当り図柄を停止表示した場合に可変入賞口234が備える扉部材234aが所定の時間間隔(例えば、開放時間29秒、閉鎖時間1.5秒)、所定の回数(例えば15回)で開閉する」ことは、本願補正発明の「C その表示手段に前記判定結果が特定の結果であることを示すための前記識別情報が停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する」ことに相当する。
そして、引用発明は「b 特図変動遊技に当選して特図表示装置が大当り図柄を停止表示した場合に扉部材234aが所定の時間間隔(例えば、開放時間29秒、閉鎖時間1.5秒)、所定の回数(例えば15回)で開閉する」ものであって、そのための実行手段を有することは明らかであるから、引用発明は本願補正発明の「特典遊技実行手段」を有するものといえる。
さらに、引用発明の「パチンコ機100」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。

(d)引用発明の「d 遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136」は、本願補正発明の「D 遊技者が操作可能な操作手段」に相当する。

(e)引用発明の「チャンスボタン136」が「e 所定の受付期間内に操作された場合にその操作が有効となるように設定」することは、本願補正発明の「E その操作手段が操作された場合に、その操作が有効な操作として判別される有効期間を設定する」ことに相当する。
そして、引用発明は「チャンスボタン136」が「e 所定の受付期間内に操作された場合にその操作が有効となるように設定」するものであって、そのための設定手段を有することは明らかであるから、引用発明は本願補正発明の「期間設定手段」を有するものといえる。

(f)引用発明の「f ボタン受付期間中にチャンスボタン136の押下を検出した場合には、予告(例えば、「激アツだ!!」という文字表示)を行うための演出データを準備し、画像制御処理において、予告を行う第1副制御部400のCPU404」は、本願補正発明の「F 前記操作手段が前記有効期間内に操作されたことに基づいて、遊技者に遊技情報を付与する遊技情報付与手段」に相当する。

(g)引用発明において「g 主制御部300から受信した当否判定結果と、予めROM406に記憶された所定の予告抽選テーブルと、乱数値とに基づいて、予告の詳細な内容(例えば、ボタンが押下されたら「激アツだ!!」という文字表示を行うか、「・・・。」という文字表示を行うか、等)も決定する予告抽選処理を実行する第1副制御部400のCPU404」は、本願補正発明の「G その遊技情報付与手段により付与される遊技情報を複数の遊技情報の中より決定する遊技情報決定手段」に相当する。

(h)引用発明の「h 予告(例えば、ボタンが押下されたら「激アツだ!!」という文字表示を行うか、「・・・。」という文字表示を行うか、等)を行う演出データ等を記憶するためのROM406」は、本願補正発明の「H その遊技情報決定手段により決定される遊技情報として、第1遊技情報とその第1遊技情報とは異なる第2遊技情報とが少なくとも記憶された記憶手段」に相当する。

(i)引用発明の「i メータの基端部(ここでは左端部)が基準色になっているタイミングで遊技者がチャンスボタン136を押下した場合には、期待感の低い予告(例えば、「・・・」という予告)を表示する一方、メータの基端部が特別色になっているタイミングで遊技者がチャンスボタン136を押下した場合には、期待感の高い予告(例えば、「激アツだ!!」という予告)を表示する」ことについて、引用発明が期待感の低い予告を表示するメータの基端部が基準色になっているタイミングのボタン受付期間と、期待感の高い予告を表示するメータの基端部が特別色になっているタイミングのボタン受付期間とを設定するための設定手段を有することは明らかであるから、引用発明は、本願補正発明の「I 前記有効期間のうち、前記第1遊技情報が決定され易い第1期間と、前記第2遊技情報が決定され易い第2期間とを設定する情報期間設定手段」を有するものといえる。

(j)引用発明の「最初に満タン」「を基準色(例えば青色)のみで表示し、例えばボタン受付期間が6秒の場合には、1秒間に1/6ずつ」「減らしてい」く「メータ」、及び、「報知開始から1秒が経過した時点で」「メータの一部の領域を特別色(例えば赤色)に変化し、そのタイミングで遊技者がチャンスボタン136を押下した場合には、期待度の高い予告(例えば、「激アツだ!!」という予告)を表示する特別領域」は、それぞれ、本願補正発明の「有効期間に対応する有効期間情報を示すための有効期間識別情報」、及び、「第2期間の少なくとも一部の期間に対応する第2期間情報を示すための第2有効期間識別情報」に相当する。
そして、引用発明の「ボタン受付期間の残り時間の報知態様として、最初に満タンのメータを基準色(例えば青色)のみで表示し、例えばボタン受付期間が6秒の場合には、1秒間に1/6ずつメータを減らしていき、報知開始から1秒が経過した時点で、メータの一部の領域を特別色(例えば赤色)に変化させ」る「演出を表示する装飾図柄表示装置208」において、「満タンのメータ」に対応する「6秒」の「ボタン受付期間」と、「特別色」の「特別領域」の「ボタン受付時間」がそれぞれ設定手段により設定されることは明らかであるから、これら引用発明の構成と、本願補正発明の「J 前記期間設定手段により設定される前記有効期間に対応する有効期間情報を示すための有効期間識別情報と、前記第2期間の少なくとも一部の期間に対応する第2期間情報を示すための第2有効期間識別情報とが前記期間設定手段により前記有効期間が設定される場合にそれぞれ個別に前記表示手段に表示する手段」とは、「J’前記期間設定手段により設定される前記有効期間に対応する有効期間情報を示すための有効期間識別情報と、前記第2期間の少なくとも一部の期間に対応する第2期間情報を示すための第2有効期間識別情報とが前記期間設定手段により前記有効期間が設定される場合にそれぞれ」「前記表示手段に表示する手段」の点で共通する。

(k)引用発明の「最初に満タンのメータを基準色(例えば青色)のみで表示し、例えばボタン受付期間が6秒の場合には、1秒間に1/6ずつメータを減らしてい」くことは、本願補正発明の「K 前記有効期間識別情報は、前記有効期間の減少に対応して可変して表示される」ことに相当する。

(l)引用発明の「メータの一部の領域を特別色(例えば赤色)に変化させ、この特別色に変化した特別領域も、時間の経過に伴いメータが減少するのに合わせて位置を移動させていく」ことと、本願補正発明の「L 前記第2有効期間識別情報は、前記有効期間識別情報と組み合わせて識別されることで、前記有効期間の減少に対応して可変せずに前記第2期間情報に対応する期間内であることを識別可能に表示される」こととは、「L’前記第2有効期間識別情報は、前記有効期間識別情報と組み合わせて識別されることで、前記有効期間の減少に対応して」「前記第2期間情報に対応する期間内であることを識別可能に表示される」点で共通する。

(m)上記(j)の検討を踏まえれば、引用発明の「m メータは、変動中の装飾図柄の前面に一部重なって表示される」ことは、本願補正発明の「M 前記表示手段は、前記有効期間識別情報と前記第2有効期間識別情報とが表示されている期間にも、前記識別情報が動的表示されることが可能に構成されている」ことに相当する。

そうすると、両者は、
「A 判定を実行する判定手段と、
B その判定手段による判定結果を示すための識別情報が動的表示される表示手段と、
C その表示手段に前記判定結果が特定の結果であることを示すための前記識別情報が停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、を有した遊技機において、
D 遊技者が操作可能な操作手段と、
E その操作手段が操作された場合に、その操作が有効な操作として判別される有効期間を設定する期間設定手段と、
F 前記操作手段が前記有効期間内に操作されたことに基づいて、遊技者に遊技情報を付与する遊技情報付与手段と、
G その遊技情報付与手段により付与される遊技情報を複数の遊技情報の中より決定する遊技情報決定手段と、
H その遊技情報決定手段により決定される遊技情報として、第1遊技情報とその第1遊技情報とは異なる第2遊技情報とが少なくとも記憶された記憶手段と、
I 前記有効期間のうち、前記第1遊技情報が決定され易い第1期間と、前記第2遊技情報が決定され易い第2期間とを設定する情報期間設定手段と、
J’前記期間設定手段により設定される前記有効期間に対応する有効期間情報を示すための有効期間識別情報と、前記第2期間の少なくとも一部の期間に対応する第2期間情報を示すための第2有効期間識別情報とを前記期間設定手段により前記有効期間が設定される場合にそれぞれ前記表示手段に表示する手段と、を有し、
K 前記有効期間識別情報は、前記有効期間の減少に対応して可変して表示されるものであり、
L’前記第2有効期間識別情報は、前記有効期間識別情報と組み合わせて識別されることで、前記有効期間の減少に対応して前記第2期間情報に対応する期間内であることを識別可能に表示されるものであり、
M 前記表示手段は、前記有効期間識別情報と前記第2有効期間識別情報とが表示されている期間にも、前記識別情報が動的表示されることが可能に構成されているものであることを特徴とする遊技機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
「J’前記期間設定手段により設定される前記有効期間に対応する有効期間情報を示すための有効期間識別情報と、前記第2期間の少なくとも一部の期間に対応する第2期間情報を示すための第2有効期間識別情報とを前記期間設定手段により前記有効期間が設定される場合にそれぞれ前記表示手段に表示する」態様が、本願補正発明はそれぞれ「個別に」表示されるのに対し、引用発明はそのようなものではない点。

(相違点2)
「L’前記第2有効期間識別情報は、前記有効期間識別情報と組み合わせて識別されることで、前記有効期間の減少に対応して前記第2期間情報に対応する期間内であることを識別可能に表示される」態様が、本願補正発明は「可変」しないものであるのに対し、引用発明ではそのようなものではない点。

(4)判断
上記相違点について検討する。
(相違点1及び2について)
パチンコ機等の遊技機において、演出ボタンの受付期間を報知するために移動表示される有効期間識別情報と、有効期間の減少に対応して可変せずに演出ボタンの操作タイミングを示す第2有効期間識別情報とを、個別に表示させることは、例えば、
周知例イ.特開2012-223472号公報
(段落【0109】?【0111】の記載を参照すれば、【図6】から、演出ボタン25の操作の有効期間の開始からの経過時間に対応する位置を示す有効期間表示41aと、有効期間の減少に対応して可変せずに演出ボタン25の操作タイミングに対応する位置に表示されるタイミング表示41bとを、個別に表示させていることが見て取れる。)、
周知例ロ.特開2013-111237号公報
(段落【0076】?【0078】の記載を参照すれば、【図8】(a)(b)から、時間スケール画像M1によって表される時間スケールにおける経過時間位置を表現したものであって経過時間に比例して横バーが延びる経過時間位置画像M2と、時間の経過に対応して可変せず時間スケール画像M1によって表される時間スケール内の特定のタイミングを表現したものであって時間スケール画像M1の途中に所定の幅で表示される特定タイミング画像M3、特定タイミング画像M3の上方の下向き矢印画像、及びその矢印画像の上方の「PUSH!!」というメッセージ画像とを、個別に表示させていることが見て取れる。)
に記載されているように周知技術である。

そして、上記周知技術は、引用発明と同様に、パチンコ機等の遊技機において、演出ボタンの有効期間と操作タイミングを遊技者に報知するための表示態様に関するものであるから、引用発明において、演出ボタンの有効期間と操作タイミングを簡便にわかりやすく表示するために、上記周知技術を適用して相違点1及び2に係る本願補正発明の構成に想到することは当業者が容易になし得るものである。

また、本願補正発明の奏する効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものではない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)請求人の主張について
請求人は、審判請求書の第6?7頁において次のような主張をしている。
「本願発明では、有効期間が設定される場合に、有効期間に対応した有効期間情報を示すための有効期間識別情報と、第2期間の少なくとも一部の期間を示す第2期間情報を示すための第2有効期間識別情報とをそれぞれ個別に表示させて、有効期間と第2有効期間とを分かり易く報知する構成でありながら、有効期間識別情報については、有効期間の減少に対応して可変して表示する一方、第2有効期間識別情報については、有効期間の減少に対応して可変させずに表示し、有効期間識別情報と組み合わせて識別することで有効期間が識別できるように構成したものであり、可変して表示しない第2有効期間識別情報と可変して移動表示される有効期間識別情報とを組み合わせて識別することで第2期間の範囲内であることが容易な判断で分かり易くでき、より分かり易く遊技を行うことができるという特有の効果を有するものです。また、第2有効期間識別情報について有効期間の減少に対応して可変させる必要がないことから表示制御における負荷を軽減することができるという特有の効果も有するものです。
しかしながら、引用文献1の構成では、有効期間を示す図柄の一部を特定の期間を示す態様に可変して表示させる構成のみが記載されており、有効期間の減少に同期して、特定の期間を示す態様について可変させて表示させるように制御しないと、特定の期間については識別できないものであり、表示制御の負荷を軽減できるものでなく、特定の期間を示す態様についても可変して表示されるので、遊技態様が複雑となり遊技が本願発明よりも難しくなるものです。
・・・
よって、請求項1に係る発明は、引用文献1には記載のない特徴的な構成を有しており、特許法第29条第1項第3号に該当するものではなく、また、引用文献1の存在下であっても、十分な進歩性を有しており、特許法第29条第2項の規定にも該当しないと確信致します。」

しかしながら、上記(4)で検討したように、有効期間が設定される場合に、有効期間に対応した有効期間情報を示すための有効期間識別情報と、第2期間の少なくとも一部の期間を示す第2期間情報を示すための第2有効期間識別情報とをそれぞれ個別に表示させて、有効期間と第2有効期間とを分かり易く報知する構成でありながら、有効期間識別情報については、有効期間の減少に対応して可変して表示する一方、第2有効期間識別情報については、有効期間の減少に対応して可変させずに表示し、有効期間識別情報と組み合わせて識別することで有効期間が識別できるように構成することは、パチンコ機等の遊技機における周知技術であり、この周知技術を引用発明に適用することは当業者が容易になし得るものであるから、請求人の主張は採用できない。

(6)小括
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.むすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1及び2に係る発明は、平成27年6月3日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の1.で示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。

1.刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1の記載事項は、上記第2の3.(2)に記載したとおりである。

2.対比・判断
本願発明は、本願補正発明の発明特定事項から、報知態様及び報知手段について、「有効期間情報を示すための有効期間識別情報と」「第2期間情報を示すための第2有効期間識別情報とを」「それぞれ個別に表示する」ものであることの限定を省き、「前記第2有効期間識別情報は」「前記有効期間の減少に対応して可変して表示」しないという限定を省いたものでる。
そして、本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明は、上記第2の3.(3)で検討した相違点1及び2に係る構成を有さないから、本願発明と引用発明とは相違点がなく、同一である。
したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明であるといえる。
また、仮に相違点があったとしても、本願発明は引用発明から容易に発明をすることができたものである。

3.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明であり、また、仮に、刊行物1に記載された発明でないとしても、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項第3号又は同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-12-05 
結審通知日 2017-12-12 
審決日 2017-12-25 
出願番号 特願2014-222074(P2014-222074)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野田 華代小林 英司  
特許庁審判長 服部 和男
特許庁審判官 川崎 優
藤田 年彦
発明の名称 遊技機  
代理人 工藤 洋平  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ