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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録(定型) B29C
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録(定型) B29C
管理番号 1337833
審判番号 不服2017-6969  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-15 
確定日 2018-03-20 
事件の表示 特願2013-65606「樹脂フィルムの融着接合構造、及び樹脂フィルムの融着接合構造形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月6日出願公開、特開2014-188776、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年3月27日の出願であって、平成28年12月1日付けで拒絶理由が通知され、平成29年2月6日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年2月14日付けで拒絶査定がされ、同年5月15日に拒絶査定不服審判が請求され、それと同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、
「【請求項1】
ある方向とそれに直交する方向で熱収縮率が異なる樹脂フィルムの1枚を折りたたんだまたは2枚の前記樹脂フィルムの、周辺部を融着することにより形成され、
前記周辺部は、融着部と、非融着部が交互に連なるように融着され、かつ
前記融着部は、前記樹脂フィルムの外縁を含まない位置に形成され、かつ長辺方向と短辺方向または長軸方向と短軸方向を有する形状であり、
前記長辺方向または長軸方向は、同一方向に向かって配列しており、
前記同一方向は、前記樹脂フィルムの直交する2方向のうち、熱収縮率がより小さい方向であり、
前記熱収縮率が大きい方向と小さい方向が、前記1枚を折りたたんだ樹脂フィルムの折辺同士ないし前記2枚の樹脂フィルム同士で同一となるようにし、
前記周辺部を融着することによって袋状に成型された内部に、シート状構造体が配置されることを特徴とする樹脂フィルムの融着接合構造。」
を、
「【請求項1】
最も熱収縮率が高い方向と、最も熱収縮率が低い直交する2方向を持つ樹脂フィルムの1枚を折りたたんだまたは2枚の前記樹脂フィルムの、周辺部を融着することにより形成され、
前記周辺部は、融着部と、非融着部が交互に連なるように融着され、かつ
前記融着部は、前記樹脂フィルムの外縁を含まない位置に形成され、かつ略長方形、略楕円形または略2つの真円の半円弧を2本の直線により結んだ形状であり、
前記略長方形の長辺方向、前記略楕円形の長軸方向または前記略2つの真円の半円弧を2本の直線により結んだ形状の前記2本の直線に平行な方向は、同一方向に向かって配列しており、
前記同一方向は、前記樹脂フィルムの直交する2方向のうち、熱収縮率が最も低い方向であり、
前記最も熱収縮率が高い方向と、最も熱収縮率が低い方向が、前記1枚を折りたたんだ樹脂フィルムの折辺同士ないし前記2枚の樹脂フィルム同士で同一となるようにし、
前記周辺部を融着することによって袋状に成型された内部に、シート状構造体が配置されることを特徴とする樹脂フィルムの融着接合構造。」(下線は補正箇所を示す。)
とする補正を含む。

2.新規事項について
(1)本件補正は、次の補正事項を含むものである。

<補正事項>
樹脂フィルムの直交する2方向に関して、「ある方向とそれに直交する方向で熱収縮率が異なる樹脂フィルム・・・(略)・・・同一方向に向かって配列しており、前記同一方向は、前記樹脂フィルムの直交する2方向のうち、熱収縮率がより小さい方向であり、前記熱収縮率が大きい方向と小さい方向が、」と記載されているのを、「最も熱収縮率が高い方向と、最も熱収縮率が低い直交する2方向を持つ樹脂フィルム・・・(略)・・・同一方向に向かって配列しており、前記同一方向は、前記樹脂フィルムの直交する2方向のうち、熱収縮率が最も低い方向であり、前記最も熱収縮率が高い方向と、最も熱収縮率が低い方向が、」に補正する。

(2)そこで、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、併せて「当初明細書等」という。)の記載について検討する。
当初明細書等には、以下のとおり記載されている。なお、下線は当審において付した。

「【0018】
樹脂フィルム2は、端子1aが樹脂フィルム2の外側に引きだされている領域を含む一辺を除き、樹脂フィルム上面側2aと樹脂フィルム下面側2b(図1(b)参照)によって内包するシート状構造体1の周辺部のうち少なくとも三辺に融着部3と非融着部4を交互に配置している。図1(c)のように、端子1aが引きだされている領域以外の、樹脂フィルム2の周辺部に融着部3と非融着部4を交互に配置してもいい。樹脂フィルム2は2枚用いてシート状構造体1を内包するだけでなく、1枚の樹脂フィルム2を2つに折りたたみ、その内部にシート状構造体1を内包するようにしてもよい。この場合、図2に示すように折り返し部8に融着部3を設けなくてもよい。樹脂フィルム2には、ポリプロピレンやポリエチレンなどの高分子材料からなる多孔性フィルムが使用される。樹脂フィルム2は、その製造時の延伸方向であるMDと、MDと直交しフィルムの幅方向であるTDの2方向を有する。MDとTDの熱収縮率が異なるのが一般的である。また、樹脂フィルム2の形状は方形でなくてもよく、シート状構造体1を内包し、シート状構造体1を取り囲む周辺部に融着部3と非融着部4を交互に配置できればよい。
【0019】
融着部3は、樹脂フィルム2において、シート状構造体1の周囲に位置する周辺部の少なくとも三辺の辺上に形成される。融着部3と非融着部4は交互に連なるように形成され、かつ樹脂フィルム2の外縁を含まない位置に形成される。融着部3の形状は、長軸方向と短軸方向を有する形状であればよい。例えば、図1(a)に示す略長方形、他には略楕円形、略角丸長方形(陸上競技のトラックの形状)などが挙げられる。融着部3の形状が略長方形の場合は長辺方向、略楕円形であるときは長軸方向が、同一方向に向かって配列している。前記同一方向とは、MDとTDのうち、熱収縮率が小さい方向である。本実施形態の場合は、TDが熱収縮率の小さな方向であり、端子1aを取り出す方向と一致している。樹脂フィルム2のMDが端子1aの取り出し向きと同一の場合は、融着部3の長辺方向、もしくは長軸方向を図2のようにTDに向けて配置すると、同様の効果が得られる。また、融着部3は長軸方向が長ければよい。例えば図3のように、長軸と短軸の比が異なる融着部3を混在させてもよい。」

(3)本件補正後の「最も熱収縮率が高い方向」、「最も熱収縮率が低い方向」について、当初明細書等における記載を検討すると、上記のとおり、「製造時の延伸方向であるMDと、MDと直交しフィルムの幅方向であるTDの2方向」は記載されているが、「最も熱収縮率が高い方向」、「最も熱収縮率が低い方向」は文言上記載されていない。
また、この技術分野において、「MD」、「TD」という直交する2方向が記載されていることをもってして、「最も熱収縮率が高い方向」、「最も熱収縮率が低い方向」という2方向が直交することが、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)にとって、自明のことでもないし、本願出願時の技術常識でもない。
以上のとおりであるから、当初明細書等には、上記補正事項についての記載は一切されていないし、そのことが示唆もされていないし、本願出願時において、上記補正事項が当業者にとって自明のことでもないし、技術常識でもない。
そうすると、本件補正後の請求項1に記載された、「最も熱収縮率が高い方向」、「最も熱収縮率が低い方向」という2方向が、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるとする根拠は見出せない。
したがって、上記補正事項は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。

(4)以上のことから、上記補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成29年2月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-03-07 
出願番号 特願2013-65606(P2013-65606)
審決分類 P 1 8・ 561- WYF (B29C)
P 1 8・ 537- WYF (B29C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 辰己 雅夫  
特許庁審判長 大島 祥吾
特許庁審判官 小柳 健悟
西山 義之
発明の名称 樹脂フィルムの融着接合構造、及び樹脂フィルムの融着接合構造形成方法  
代理人 下坂 直樹  
代理人 机 昌彦  
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