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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01C
管理番号 1337927
審判番号 不服2017-7649  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-29 
確定日 2018-03-27 
事件の表示 特願2013-209236「ナビゲーション装置、サーバ装置および地図表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年4月16日出願公開、特開2015-72247、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成25年10月4日の出願であって、平成28年8月12日付けで拒絶理由が通知され、平成28年10月14日に意見書が提出されるとともに、明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたが、平成29年3月10日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成29年5月29日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要

原査定(平成29年3月10日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

●特許法第29条第2項について

・請求項1、8及び9
引用文献1、3及び4
平成28年10月14日付け手続補正書により本願の請求項1に係る発明の地図データベースは、「現在の道路地図、および、当該現在の道路地図中の現在の場所の名称に加えて現在より古い時代の場所の名称を表す文字情報とその場所の前記現在の道路地図上の位置情報とを対応付ける文字情報データを記憶している地図データベース」と補正された。
上記拒絶理由通知書に提示した引用文献1に記載された「地図データ」は「現在地図データ」と「古地図データ」から構成され(【0021】)、該「現在地図データ」は「文字記号レイヤL12」及び「道路レイヤL13」から構成されている(【0003】)。さらに、「古地図データ」は「文字情報」のデータを有しており(【0032】)、現在地図と古地図とは、緯度経度情報が分かる2点以上の箇所を重ね合わせることにより行われる。
そして、引用文献1記載の「道路レイヤL13」は本願発明の「現在の道路地図」に相当し、引用文献1記載の「文字記号レイヤL12」は、道路名、都道府県名などを含むので(【0026】)、本願発明の「現在の場所の名称」に相当する。
さらに、引用文献1記載の「古地図データ」の「文字情報」は、「街道62の名称、村63の名称、関所64の名称、港65の名称、海66の名称」などを含むので(【0034】)、本願発明の「現在より古い時代の場所の名称を表す文字情報」に相当し、引用文献1記載の「古地図データ」に含まれている「緯度経度情報」は本願発明の「文字情報データ」に相当する。
引用文献1記載の「地図データ」は、これら「道路レイヤL13」、「文字記号レイヤL12」、「古地図データ」の「文字情報」及び「古地図データ」に含まれている「緯度経度情報」を記憶しているので、当該「地図データ」は本願発明の「地図データベース」に相当する。
そして、目的地への経路案内を行っていない場合に限り付加情報を表示することは、上記拒絶理由通知書に提示した引用文献3(特に、請求項7参照。)、引用文献4(特に、要約、請求項4、【0025】ないし【0028】、【0031】、【図面の簡単な説明】、図2ないし図4及び図9参照。)にそれぞれ記載されたように周知技術であり、引用文献1に記載された発明に上記周知技術を適用することは、当業者が容易に想到し得ることである。
本願の請求項8及び9に係る発明についても同様である。

・請求項2
引用文献1ないし4
古い時代の場所の名称を表す音声情報を音声出力部から出力することは、上記拒絶理由通知書に提示した引用文献2(特に、【0024】及び図8参照。)に記載されている。

・請求項3
引用文献1ないし5
上記拒絶理由通知書参照。

・請求項4ないし7
引用文献1ないし6
上記拒絶理由通知書参照。

引用文献等一覧

1.特開2007-199331号公報
2.特開2001-59734号公報
3.特開2009-69062号公報
4.特開平7-35559号公報
5.特開平7-19887号公報
6.特開平7-301539号公報

第3 本願発明

本願の請求項1ないし9に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」ないし「本願発明9」という。)は、平成28年10月14日に提出された手続補正書及び平成29年5月29日に提出された手続補正書により補正された明細書、平成29年5月29日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに出願当初の図面の記載からみて、次のとおりのものであると認める。

「【請求項1】
地図画面に移動体の位置を表示して目的地への経路案内を行うナビゲーション装置において、
地図画面を表示する表示部と、
現在の道路地図、および、当該現在の道路地図中の現在の場所の名称に加えて現在より古い時代の場所の名称を表す文字情報とその場所の前記現在の道路地図上の位置情報とを対応付ける文字情報データを記憶し、現在より古い時代の地図の背景画像を含まない地図データベースと、
目的地への経路案内を行っていない場合に限り、前記現在の道路地図上に前記古い時代の場所の名称を表す文字情報を重ねて描画した地図画面を前記表示部に表示する制御・演算部とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
音声を出力する音声出力部とを備え、
前記制御・演算部は、目的地への経路案内を行っていない場合に限り、前記移動体の位置から所定範囲内に存在する前記古い時代の場所の名称を表す文字情報を音声情報に変換して前記音声出力部から出力することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記地図データベースは、前記古い時代の場所を紹介する文字情報を記憶し、
前記制御・演算部は、目的地への経路案内を行っていない場合に限り、前記移動体の位置から所定範囲内に存在する前記古い時代の場所を紹介する文字情報を音声情報に変換して前記音声出力部から出力することを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記地図データベースは、前記古い時代の場所を紹介する文字情報、画像、および動画のうちの少なくとも1つを記憶し、
前記制御・演算部は、目的地への経路案内を行っていない場合に限り、前記移動体の位置から所定範囲内に存在する前記古い時代の場所を紹介する文字情報、画像、および動画のうちの少なくとも1つを前記表示部に表示することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記古い時代の場所は、史実的に有名な古い時代の道路であり、
前記制御・演算部は、前記移動体が前記史実的に有名な古い時代の道路上に位置する場合に当該道路の紹介を行うことを特徴とする請求項3または請求項4記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
ユーザによる操作を受け付ける操作部を備え、
前記地図データベースは、現在より古い複数の時代の場所の名称を表す文字情報を記憶し、
前記制御・演算部は、前記操作部を通じて前記ユーザから時代の選択操作を受け付け、当該時代の場所の名称を表す文字情報を前記地図データベースから取得して前記現在の道路地図上に重ねて描画することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
ユーザによる操作を受け付ける操作部を備え、
前記制御・演算部は、前記操作部を通じて前記ユーザから表示制限解除の操作を受け付けると、目的地への経路案内を行っている場合であっても、前記現在の道路地図上に前記古い時代の場所の名称を表す文字情報を重ねて描画した地図画面を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
表示装置に、地図画面と移動体の位置を表示させて目的地への経路案内を行うサーバ装置であって、
現在の道路地図、および、当該現在の道路地図中の現在の場所の名称に加えて現在より古い時代の場所の名称を表す文字情報とその場所の前記現在の道路地図上の位置情報とを対応付ける文字情報データを記憶し、現在より古い時代の地図の背景画像を含まない地図データベースと、
目的地への経路案内を行っていない場合に限り、前記現在の道路地図上に前記古い時代の場所の名称を表す文字情報を重ねて描画した地図画面を前記表示装置に送信して表示させる制御・演算部とを備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項9】
表示装置に、地図画面と移動体の位置を表示させて目的地への経路案内を行う地図表示方法であって、
制御・演算部が、現在より古い時代の地図の背景画像を含まない地図データベースから現在の道路地図と、前記現在の道路地図の位置情報に対応付けられて記憶されている現在および現在より古い時代の場所の名称を表す文字情報のうちの前記古い時代の場所の名称を表す文字情報とを取得し、目的地への経路案内を行っていない場合に限り、前記現在の道路地図上に前記古い時代の場所の名称を表す文字情報を重ねて描画した地図画面を前記表示装置に表示させることを特徴とする地図表示方法。」

第4 引用文献

1 引用文献1の記載事項

原査定に引用され、本願の出願前に頒布された特開2007-199331号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「ナビゲーションシステム」について、次の事項が図面(特に、図1ないし図3及び図5参照。)とともに記載されている。

(1)「【0017】
以下、第1実施形態について、図を用いて説明する。第1実施形態におけるカーナビゲーションシステム100は、操作部110、計測部130、表示部140、記録部150、及び制御部190を備える(図1、図2参照)。
【0018】
操作部110は、リモートコントローラなど使用者の操作によりコマンドを制御部190に送る装置である。第1実施形態では、リモートコントローラによる遠隔操作をするものとして説明するが、表示部140がタッチパネルを有して表示部上を触ることによって操作を行っても良いし、表示部140の周辺などにキーを配置させて操作を行っても良い。使用者が操作部110を操作することにより、表示部140で表示させる表示パターンの種類(第1?第4表示モード)が切り替えられる。また、複数の時代の古地図データを有する場合には、どの時代の地図を表示させるかの切り替えが行われる。
【0019】
計測部130は、GPS、角速度センサなど自車位置を計測する装置である。
【0020】
表示部140は、自車位置計測情報に基づいて、地図上に自車位置を表示する。自車位置と共に表示する地図は、第1地図データに基づく地図としての現在地図(第1表示モード)、第2地図データに基づく地図としての古地図(第4表示モード)、及びこれらの組み合わせ(第2、第3表示モード)である。
【0021】
記録部150は、地図データを記録した記録媒体であるが、記録媒体の種類は問わない。第1実施形態では、DVD-ROMを記録媒体として使用する。地図データは、第1地図データ(現在地図データ)と、第2地図データ(古地図データ)から構成される。
【0022】
制御部190は、各部を制御する。
【0023】
現在地図データは、現在の地形、道路形状などを表示するために必要なデータで、第1背景レイヤL11、文字記号レイヤL12、及び道路レイヤL13から構成される図葉を有する(図3参照)。図葉とは、縮尺の異なる地図の階層構造を効率よく管理するため、地図データを等間隔の経度と緯度によって分割した矩形の領域を言う。
【0024】
第1背景レイヤL11は、道路、鉄道、河川、主要目標物などを表示させるための図形データを有する。第1実施形態では、第1背景レイヤL11は、現在の地形(海岸線、道路形状)50、鉄道54、駅55、銀行56、海57に関する図形データを有する。」(段落【0017】ないし【0024】。下線は、理解の一助のために当審で付した。以下同様。)


(2)「【0026】
文字記号レイヤL12は、第1背景レイヤL11の上に重ねて表示する文字情報(道路名、都道府県名など)あるいは地図記号類を表すデータを有する。第1実施形態では、文字記号レイヤL12は、国道51の名称、県道52の名称、県道53の名称、鉄道54の名称、駅55の名称、銀行56の名称、及び海57の名称に関するデータを有する。
【0027】
道路レイヤL13は、予測する道路上に自車位置を補正するマップマッチングや経路案内を行うためにハードウェアが使用する道路網情報を有する。第1実施形態では、道路レイヤL13は、国道51、県道52、及び県道53の道路網情報を有する。」(段落【0026】及び【0027】)

(3)「【0032】
古地図データは、特定の時代の地形などを表示するために必要なデータで、1つのレイヤ(古地図レイヤL14)で構成される図葉を有する(図5参照)。古地図レイヤL14は、図形データ及び文字情報などのデータの両方を有する。すなわち、現在地図データにおける第1背景レイヤL11、及び文字記号レイヤL12に相当するデータを有するが、道路レイヤL13に相当するデータは有しない。古地図に記載された道路とのマップマッチングを行う必要がないからである。そのため、古地図の紙地図情報を地図データ化する(電子メディア化する)際に、地図の構成要素を複数のレイヤに区別して配置する必要はなく、簡単に昔の地図を電子メディア化することが可能になる。
【0033】
但し、複数の縮尺地図で見やすい文字情報を提供するため、あるいは、表示画面中の地図を進む方向が常に画面内で上向きになるように自動的に回転させるヘディングアップ機能動作時に文字なども連動して回転させるために、文字記号レイヤと背景レイヤとを別々に構成しても良い。」(段落【0032】及び【0033】)

(4)上記(1)ないし(3)及び図面の記載より分かること

ア 上記(1)、(2)の記載によれば、ナビゲーションシステム100は、地図上に自車位置を表示して経路案内を行うことが分かる。

イ 上記(1)の記載によれば、記録部150に記録される地図データは、現在地図データと古地図データで構成され、現在地図データは、第1背景レイヤL11、文字記号レイヤL12及び道路レイヤL13から構成される図葉を有することが分かる。

ウ 上記(1)及び(3)の記載によれば、古地図データは、2つのレイヤで構成した場合、文字記号レイヤと背景レイヤで構成される図葉を有することが分かる。

(5)引用発明

上記(1)ないし(4)を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

<引用発明>

「地図上に自車位置を表示して経路案内を行うナビゲーションシステム100において、
地図を表示する表示部140と、
第1背景レイヤL11、文字記号レイヤL12、道路レイヤL13、古地図データの文字記号レイヤ及び古地図データの背景レイヤを記録する記録部150と、
各部を制御する制御部190とを備えるナビゲーションシステム100。」

2 引用文献2の記載事項

原査定に引用され、本願の出願前に頒布された特開2001-59734号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「ナビゲーション装置」について、次の事項が図面(特に、図1及び図15ないし図19参照。)とともに記載されている。

(1)「【0007】
【発明の実施の形態】<実施形態の構成>……以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1には、本発明の一実施形態にかかる車載ナビゲーション装置のシステム構成が示されている。同図において、ナビゲーション装置は、CPU10を中心に構成されており、一般的なコンピュータシステムと同様に、RAM12,ROM14,入力部16,表示部18,音声出力部20を備えている。これらのうち、RAM12には、例えばロードされたプログラムや演算結果が記憶される。ROM14には、例えばBIOSなどのプログラムが格納される。入力部16は、キーボード,タッチパネル,マウス,ジョイスティックなどによって構成されている。表示部18は、液晶パネルなどによって構成されている。音声出力部20は、スピーカによって構成されている。
【0008】更に本実施形態では、位置計測部22が設けられている。この位置計測部22は、GPSレシーバ,方位センサ,距離センサ,速度センサなどを含んでいる。GPSレシーバはいわゆるGPS航法によって自車位置を計測するためのものであり、方位センサや距離センサなどはいわゆる自律航法によって自車位置を計測するためのものである。通常は、両者を利用して自車位置を計測する。
【0009】次に、経路探索及び経路案内用の情報を集積したデータベースとして、現在地図用データベース24,古地図用データベース26,現在音声案内用データベース28,古代音声案内用データベース30がそれぞれ設けられている。これらのうち、現在地図用データベース24には、現在における経路探索及び経路案内に必要な道路情報,地図情報,案内情報などの各種の情報が格納されている。古地図用データベース26には、複数の年代の古地図情報が格納されている。現在音声案内用データベース28には、現代の表現に基づく案内用の音声データが格納されている。古代音声案内用データベース30には、古代の表現に基づく案内用の音声データが格納されている。
【0010】以上のデータベースのうち、現在地図用データベース24の情報に基づいて、経路探索と表示部18の表示による経路案内が可能である。これに現在音声案内用データベース28の情報を加えると、音声出力部20による音声経路案内が可能である。
【0011】次に、CPU10で実行するプログラムは、プログラム格納部32に格納されている。このプログラム格納部32は、例えばハードディスクなどによって構成されており、具体的には、経路探索の目的地を設定するための目的地設定プログラム32A,誘導経路を探索するための経路探索プログラム32B,探索された経路の案内を行うための経路案内プログラム32C,古地図上で指定された目的地の現在地図上における座標値を計算するための座標値計算プログラム32Dが格納されている。」(段落【0007】ないし【0011】)

「【0038】(3)現在地図と古地図の両方を同時に表示するようにしてもよい。図15にはその一例が示されており、同図(A)の現在地図と同図(B)の古地図が、同図(C)に示すようにワイド画面の表示部に同時に表示されている。このようにすると、現在と古地図の該当年代との道路や市街地の相違がよくわかり、古い時代を偲んだ楽しいドライブが可能となる。また、現在地図と古地図の両方に自車位置マークを表示させるようにすれば、現在の自車周辺と昔の自車周辺とを容易に見比べることができる。
【0039】(4)現在地図と古地図の両方を重ねて表示するようにしてもよい。図16には、そのような表示処理の手順が示されている。ユーザによってメニュー画面から重ね表示が選択されると、CPU10では、表示地点及び縮尺の設定の後(ステップS100)、古地図の年代が設定される(ステップS102)。これは、上述した図10を参照しながら行われる。すると、表示部18に図17に示す選択画面が表示される。ユーザは、この画面を参照して、「全面重ね合わせ」,「一部重ね合わせ」のいずれかを選択する(ステップS104)。全面重ね合わせが選択されたときは、重ね具合(透かし具合)を設定して(ステップS106)、その後重ね表示が行われる(ステップS108)。
【0040】図18には、このような全面重ね合わせ表示の一例が示されている。この例では、現在地図用データベース24に格納されている同図(A)の現在地図と、古地図用データベース26に格納されている同図(B)の古地図が重ね合わせられる。同図(C)?(E)は、重ね合わせ後の表示画面の様子である。これらに示すように、表示部18の下側に表示されている重ね具合設定バー18Aの位置を調整することで、両地図の重ね具合が変化する。同図(C)は現在地図が100%表示された状態であり、同図(E)は古地図が100%表示された状態である。これに対し、同図(D)は、両者が50%づつ表示された状態で、結果的に現在地図と古地図の両方が均等の割合で混在する表示となる。
【0041】一方、ユーザによって一部重ね合わせが選択されたときは、重ね対象の設定が行われた後(ステップS110)、上述した全面重ね表示の場合と同様の重ね表示処理が行われる。図19には、その様子が示されている。まず、同図(A)及び(B)の例は、(A)の古地図上において××屋敷を図示のように設定し、これを(B)の現在地図に重ね合わせたものである。同図(C)及び(D)の例は、(C)の現在地図上における特定道路を図示のように設定し、これを(D)の古地図に重ね合わせたものである。」(段落【0038】ないし【0041】)

(3)上記(1)及び(2)の記載より分かること

上記(1)及び(2)の記載によれば、ナビゲーション装置は、現在地図又は古地図に自車位置マークを表示して経路案内を行うこと、及び、表示部18は、現在地図又は古地図を表示することが分かる。

(4)引用文献2技術

上記(1)ないし(3)を総合すると、引用文献2には、以下の技術(以下、「引用文献2技術」という。)が記載されている。

<引用文献2技術>

「現在地図又は古地図に自車位置マークを表示して経路案内を行うナビゲーション装置において、
現在地図又は古地図を表示する表示部18と、
現在における道路情報、地図情報、案内情報などの各種の情報を格納する現在地図用データベース24と、
古地図情報を格納する古地図用データベース26とを備えたナビゲーション装置。」

3 引用文献3の記載事項

原査定に引用され、本願の出願前に頒布された特開2009-69062号(以下、「引用文献3」という。)には、「ナビゲーション装置」について、次の事項が図面(特に、図12参照。)とともに記載されている。

(1)「【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記表示モニタに地図を表示する地図表示手段を備え、
前記緊急情報報知手段は、前記経路案内手段による経路案内を行わないで前記表示モニタに所定縮尺率の地図を表示しているときに、前記緊急情報受信手段により前記緊急情報を受信した場合、前記緊急情報に関係する地点の地図を前記所定縮尺率より大きい縮尺率で拡大表示して前記表示モニタに表示することを特徴とするナビゲーション装置。」(特許請求の範囲の請求項7)

(2)引用文献3技術

上記(1)及び図12の記載を総合すると、引用文献3には、以下の技術(以下、「引用文献3技術」という。)が記載されている。

<引用文献3技術>

「ナビゲーション装置において、経路案内手段による経路案内を行わないで表示モニタに所定縮尺率の地図を表示しているときに、緊急情報受信手段により緊急情報を受信した場合、緊急情報に関係する地点の地図を前記所定縮尺率より大きい縮尺率で拡大表示して表示モニタに表示する技術。」

4 引用文献4の記載事項

原査定に引用され、本願の出願前に頒布された特開平7-35559号公報(以下、「引用文献4」という。)には、「車両用経路誘導装置及び経路誘導表示方法」について、次の事項が図面(特に、図2ないし図4及び図9参照。)とともに記載されている。

(1)「を特徴とする車両用経路誘導装置。
【請求項4】 自車両の出発地点から予め設定された目的地点までの経路を探索し、この探索された経路を表示部に表示し、この表示部に表示された経路に基づき、前記自車両を目的地点まで誘導する車両用経路誘導装置の経路誘導表示方法において、
前記自車両が探索された経路上を走行中であるか、非走行中であるか、前記目的地点を設定していないときかのいずれかを判定する段階と、
前記判定結果に基づき、下記(1)、(2)、(3)のうちのいずれかの表示方法を選別し、道路情報を表示する段階とを備えたことを特徴とする車両用経路誘導装置の経路誘導表示方法。
(1)前記走行中であると判定されたときに、前記探索された経路自体の道路情報、及び前記経路に連結する部分周辺の道路情報を前記表示部に表示し、前記経路に連結しない部分の道路情報を表示しない。
(2)前記非走行中であると判定されたときに、前記探索された経路自体の道路情報、前記経路に連結する部分周辺の道路情報、及び前記経路に連結しない部分の道路情報を前記表示部に表示する。
(3)前記目的地点を設定していないと判定されたときに、前記自車両の現在位置の周辺の道路情報を表示部に表示する。」(特許請求の範囲の請求項4)

(2)引用文献4技術

上記(1)、図2ないし図4及び図9の記載を総合すると、引用文献4には、以下の技術(以下、「引用文献4技術」という。)が記載されている。

<引用文献4技術>

「自車両を目的地点まで誘導する車両用経路誘導装置の経路誘導表示方法において、非走行中であると判定されたときに、探索された経路自体の道路情報、前記経路に連結する部分周辺の道路情報、及び前記探索された経路に連結しない部分の道路情報を表示部に表示し、目的地点を設定していないと判定されたときに、自車両の現在位置の周辺の道路情報を前記表示部に表示する技術。」

5 引用文献5の記載事項

原査定に引用され、本願の出願前に頒布された特開平7-19887号公報(以下、「引用文献5」という。)には、「音声案内装置」について、次の事項が図面(特に、図1参照。)とともに記載されている。

(1)「【0007】
【実施例】以下、本発明の音声案内装置における一実施例を図1ないし図3を参照して詳細に説明する。図1は、本実施例による音声案内装置の主要構成を概略的に表したものである。本実施例による音声案内装置は、例えば、観光バスの観光案内用に用いられ、名所、旧跡等を説明する案内音声を、観光バスの各座席に設けられた2個のスピーカーから出力するようになっている。音声案内装置は、演算処理装置10と、この演算処理装置10に各種インターフェイスを介してそれぞれ接続される入力装置11、記憶装置12、絶対位置確認装置13、画像表示装置14、コントロールアンプ15及びコントロールアンプ15に接続された2つのスピーカー17a、17bとを備えている。
【0008】入力装置11は、例えば、キーボードや、あるいは画像表示装置14の表示部に直接触れて入力操作を行うタッチパネル等で構成されている。この入力装置11によって、観光バスの終着地点である目的地の入力、観光バスの走行ルート(観光ルート)の選択及び現在地等の位置情報の修正や設定をする。記憶装置12には、例えば、CD-ROM、ICカード等の記憶媒体に、地図データや道路データ及び各名所等に関する案内情報が格納されている。道路データには、各道路において案内すべき名所等の案内情報を特定するデータが含まれており、各案内情報は、この案内情報を特定するデータに対応して格納されている。また、案内情報は、名所等を説明するための文字データ、名所等を撮影した写真のイメージデータ、名所等を説明する案内音声のデータ、案内すべき名所等の座標位置を示すデータ及びその案内情報を出力すべき地点を示すデータ等で構成されている。
【0009】案内音声データは、2つあるいは複数のマイクによってステレオ録音された2chのデータであり、例えば、「右側に見えますのは、」といった音声や、「?寺は、江戸時代の...」といった各名所等の内容を説明する音声の波形情報をデジタル符号化したものである。また、各案内情報には、時期(季節)を示すデータが含まれており、出力するのに適した季節毎に分けられて格納されている。例えば、同一の名所等についての案内であっても、冬と夏では雪の有無により景色が変わって見える場所のように、季節によって案内する内容が異なる場合には、各季節毎に異なる内容の情報が格納されている。更に、季節毎の各案内情報は、出力するのに適した時間帯毎に分けられている。例えば、夜にはライトアップされる建築物等についての案内情報は、夜と昼間とでは、異なる内容の情報としてそれぞれ格納されており、各案内情報には、その情報を出力するのに適した時間帯を示すデータが含まれている。」(段落【0007】ないし【0009】)

(2)「【0014】画像表示装置14は、CRTディスプレイあるいは液晶ディスプレイ等で構成されており、観光バスの現在位置周辺の地図を描画すると共に、その地図上に観光バスの走行位置と走行すべき観光ルートを表示するようになっている。また、名所等の付近を通過する時には、その名所等に関する案内情報を文字情報として表示したり、その名所等の写真映像を表示したりするようになっている。地図を描画するためのデータや観光ルート及び案内情報等を表示するためのデータは、CPU101が、記憶装置12や絶対位置検出装置13から地図データ及び現在位置の座標データ等を順次読み込むことにより、画像表示装置12に供給されるようになっている。なお、この画像表示装置14は、運転席のインスツルメントパネル部分に配置され、運転者が画像表示装置14の地図画面を見ることにより、観光バスの現在位置を確認できるようになっている。また、この画像表示装置14は、座席の最前列部の上方にも配置され、各乗客から画面が視認できるようになっている。なお、乗客がより身近に視認できるように、各座席の背もたれの背面部に画像表示装置14を設け、その後ろの座席の乗客がこの画像表示装置14を見るようにしてもよい。」(段落【0014】)

(3)引用文献5技術

上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献5には、以下の技術(以下、「引用文献5技術」という。)が記載されている。

<引用文献5技術>

「名所等の付近を通過するときに、名所等を説明する案内音声をスピーカーから出力し、画像表示装置14が、名所等に関する案内情報を文字情報として表示したり、名所等の写真映像を表示したりする技術。」

6 引用文献6の記載事項

原査定に引用され、本願の出願前に頒布された特開平7-301539号公報(以下、「引用文献6」という。)には、「ガイドシステム」について、次の事項が図面(特に、図1参照。)とともに記載されている。

(1)「【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係るガイドシステムの1実施例を示す図、図2は案内開始条件を説明するための図、図3は1物件に対する案内ポイントを説明するための図、図4は既案内物件の設定を説明するための図、図5は案内物件の例を説明するための図である。
【0009】図1において、操作手段1は、表示出力手段8に表示する地図画を詳細図に拡大したり、広域図に縮小したり、北を上とする表示方位を逆の南を上とする方位にするというように地図画の切り換え、表示中の案内の映像から地図画への切り換えを行うときに操作するためのキーを有するものであり、例えば図7に示すようなマニュアルキーを有するリモコンが用いられる。表示出力手段8は、案内する物件の案内映像や地図画を表示出力するものであり、音声出力手段9は、案内する物件の案内音声を出力するものである。地図画データ格納手段2は、メッシュ分割された道路や案内物件の地図画データを格納したものである。ガイドデータ格納手段3は、道路沿いの物件や通り、地域の物件の案内を行う映像や音声のガイドデータを格納したものであり、各物件に種類を持たせて記憶しておく。物件の種類としては、例えばある座標またはその周りの数十mの広がりで存在するような点物件、街道等のような長さをもった線物件、市町村や平野、盆地、地域、国立公園のような広域のゾーン物件に分けることができる。現在位置検出手段5は、GPS(衛星航法システム)受信装置や車速センサー、蛇角センサー、ジャイロセンサー、地磁気センサー等を用いて北緯、東経、走行道路等の現在位置、進入方位、車速等を検出し、さらに追跡を行うものである。地図画出力手段4は、現在位置を中心として地図画データを地図画データ格納手段から読み出し地図画と進入方向の表示信号を出力するものである。ガイド出力手段6は、現在位置、進入方向、車速、道路等の情報に基いて案内物件を探査、決定してガイドデータをガイドデータ格納手段3から読み出し、これを案内の映像信号と音声信号に変換して出力するものであり、探査範囲の異なる第1の探査手段6aと第2の探査手段6bと第3の探査手段6cを有している。例えば第1の探査手段6aは上記の点物件を探査し、第2の探査手段6bは上記の線物件を探査し、第3の探査手段6cは上記のゾーン物件を探査するものであり、これらは、優先順位を決めて用い、或いは操作手段1のマニュアルキー操作に応じこれらを切り換えて用いる。切り換え手段7は、表示出力手段8の表示出力を地図画出力手段4による地図画かガイド出力手段6による案内の映像に切り換えを行うものであり、地図画上に現在位置と進入方向を表示し、走行中に案内物件が抽出されて映像と音声による案内が開始されると、地図画の表示信号からガイド出力手段6による案内の映像信号への切り換えを行い、また、この状態において操作手段1の地図表示キーが操作されると、案内映像から地図画への切り換えを行うものである。本発明で示される案内出力手段10は、切り換え手段7、表示出力手段8、音声出力手段9とから構成される。」(段落【0008】及び【0009】)

(2)「【0040】以上説明したように実施例によれば、点物件、線物件、ゾーン物件のように物件を類別すると共に、それらに優先順位を付与して現在位置等の情報から観光物件の探査、抽出を行い、その物件を所定の順に音声或いは映像を用いて案内させるので、有名な街道に関する説明や地域に関する説明等を点物件の案内がなく間の空いた時間帯に行うことができる。したがって、案内されない時間が少なくなり、観光客を退屈させない観光案内を提供することができる。また、車両走行中に一定の条件で観光物件を探査した結果、案内すべき物件が見つからない場合に、マニュアルキーを操作することにより、所定の角度と距離の探査範囲を変えて案内物件の探査を行うように構成している。したがって、初めの探査範囲では探査できなかった物件を探査範囲を変更することにより抽出することができ、その物件の案内を行うことができる。例えば往復で同一コースを通るような場合において、往路と復路で車両の現在位置に対する探査範囲が同一であると、往復で同一物件しか探査できず、往路と復路で同一の案内がなされる恐れがあるが、往路で受けた案内物件とは異なる物件の案内を復路で受けたいような時に、マニュアルキーを操作して探査範囲を変更させることにより、往路とは異なった物件を復路で探査でき、往路で受けた案内とは異なる案内を受けることができ、乗客に対して満足のゆく観光案内を提供することが可能である。また、通常の探査範囲で案内物件を探査し、探査した案内物件の案内を出力する場合に、例えば、長時間案内物件が探査されなかった場合や、乗客が観光ガイドをリクエストした場合に、マニュアルキーにより探査範囲を変更して案内物件を探査するので、確実に観光物件の探査及び抽出ができ、その物件の案内を行うことができる。」(段落【0040】)

(3)引用文献6技術

上記(1)及び(2)の記載を総合すると、引用文献6には、以下の技術(以下、「引用文献6技術」という。)が記載されている。

「現在位置等の情報から観光物件の探査、抽出を行い、探査、抽出された前記観光物件に関する案内を音声或いは映像を用いて行う技術。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

本願発明1と引用発明とを対比すると、その機能、構造又は技術的意義からみて、引用発明における「地図上」は、本願発明1における「地図画面」に相当し、以下同様に、「自車位置」は「移動体の位置」に、「経路案内」は「目的地への経路案内」に、「ナビゲーションシステム100」は「ナビゲーション装置」に、「地図を表示する」ことは「地図画面を表示する」ことに、「表示部140」は「表示部」に、「記録する」ことは「記憶」することに、「古地図データの背景レイヤ」は「現在より古い時代の地図の背景画像」に、「記録部150」は「地図データベース」に、それぞれ相当する。
本願発明1における「現在の道路地図」は、明細書の段落【0016】の記載によれば、道路網データと地図データを使用して作成されるものであることを考慮すると、引用発明における「道路レイヤL13」及び「第1背景レイヤL11」は、本願発明1における「現在の道路地図」に相当する。
引用発明における「文字記号レイヤL12」は、第1背景レイヤL11の上に重ねて表示する文字情報あるいは地図記号類を表すデータを有するものであり、引用発明における「古地図データの文字記号レイヤ」は、文字情報を含み、現在地図データと重ねて表示されるものであるから、引用発明における「文字記号レイヤL12」及び「古地図データの文字記号レイヤ」は、本願発明1における「現在の道路地図中の現在の場所の名称に加えて現在より古い時代の場所の名称を表す文字情報とその場所の前記現在の道路地図上の位置情報とを対応付ける文字情報データ」に相当する。
また、引用発明における「各部を制御する制御部190」は、本願発明1における「目的地への経路案内を行っていない場合に限り、現在の道路地図上に古い時代の場所の名称を表す文字情報を重ねて描画した地図画面を表示部に表示する制御・演算部」と、「制御部」という限りにおいて一致している。

してみると、本願発明1と引用発明とは、
「地図画面に移動体の位置を表示して目的地への経路案内を行うナビゲーション装置において、
地図画面を表示する表示部と、
現在の道路地図、および、当該現在の道路地図中の現在の場所の名称に加えて現在より古い時代の場所の名称を表す文字情報とその場所の前記現在の道路地図上の位置情報とを対応付ける文字情報データを記憶する地図データベースと、
制御部とを備えるナビゲーション装置。」の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
地図データベースが、本願発明1では、「現在より古い時代の地図の背景画像を含まない」のに対し、引用発明1は、古地図データの背景レイヤを記録する点(以下、「相違点1」という。)。

(相違点2)
制御部について、本願発明1は、「目的地への経路案内を行っていない場合に限り、現在の道路地図上に古い時代の場所の名称を表す文字情報を重ねて描画した地図画面を表示部に表示する制御・演算部」であるのに対し、引用発明は、制御部がかかる処理を行わない点(以下、「相違点2」という。)。

事案に鑑み、上記相違点1について検討する。

引用文献2には、
「現在地図又は古地図に自車位置マークを表示して経路案内を行うナビゲーション装置において、
現在地図又は古地図を表示する表示部18と、
現在における道路情報、地図情報、案内情報などの各種の情報を格納する現在地図用データベース24と、
古地図情報を格納する古地図用データベース26とを備えたナビゲーション装置。」(上記「引用文献2技術」)が記載されている。

本願発明1及び引用文献2技術は、ナビゲーション装置という同一の技術分野に属するものであるから、本願発明1と引用文献2技術とを対比すると、その機能、構造又は技術的意義からみて、引用文献2技術における「現在地図又は古地図」は、本願発明1における「地図画面」に相当し、以下同様に、「自車位置マーク」は「移動体の位置」に、「経路案内」は「目的地への経路案内」に、「表示部18」は「表示部」に、「現在における道路情報、地図情報」は「現在の道路地図」に、「格納」することは「記憶」することにそれぞれ相当する。
してみると、引用文献2技術は、本願発明1の用語を用いると、以下のものといえる。

「地図画面に移動体の位置を表示して目的地への経路案内を行うナビゲーション装置において、
地図画面を表示する表示部と、
現在の道路地図、及び、案内情報などの各種の情報を記憶する現在地図用データベースと、
古地図情報を記憶する古地図用データベースとを備えたナビゲーション装置。」

本願発明1は、地図データベースが、「現在の道路地図、および、当該現在の道路地図中の現在の場所の名称に加えて現在より古い時代の場所の名称を表す文字情報とその場所の前記現在の道路地図上の位置情報とを対応付ける文字情報データを記憶する」こと(以下、「発明特定事項A」という。)を前提として、「現在より古い時代の地図の背景画像を含まない」ものであるが、現在より古い時代の地図の背景画像を含まない、発明特定事項Aからなる地図データベースは、引用文献2技術ないし引用文献6技術において示唆するものではない。
また、引用文献1には、古地図データの背景レイヤを削除することは示唆されておらず、技術常識等を参酌しても、古地図データの背景レイヤを削除する動機付けを見い出せないことから、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。

よって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2技術ないし引用文献6技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 本願発明2ないし7について
本願の特許請求の範囲における請求項2ないし7は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して記載されたものであるから、本願発明2ないし7は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、それぞれ、本願発明1と同様に、引用発明及び引用文献2技術ないし引用文献6技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 本願発明8について

本願発明8は、本願発明1に対して、発明の対象を「ナビゲーション装置」から「サーバ装置」に変更したものにすぎないから、本願発明1と同様に、引用発明及び引用文献2技術ないし引用文献6技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4 本願発明9について

本願発明9は、本願発明1に対して、発明のカテゴリを「装置」から「方法」に変更したものにすぎないから、本願発明1と同様に、引用発明及び引用文献2技術ないし引用文献6技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。


第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし9は、引用発明及び引用文献2技術ないし引用文献6技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-03-12 
出願番号 特願2013-209236(P2013-209236)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 倉橋 紀夫  
特許庁審判長 松下 聡
特許庁審判官 金澤 俊郎
八木 誠
発明の名称 ナビゲーション装置、サーバ装置および地図表示方法  
代理人 坂元 辰哉  
代理人 中島 成  
代理人 濱田 初音  
代理人 井上 和真  
代理人 辻岡 将昭  
代理人 田澤 英昭  

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