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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1338021
審判番号 不服2017-6144  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-27 
確定日 2018-03-27 
事件の表示 特願2012-261333「偏光板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 7月18日出願公開、特開2013-140341、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年11月29日(優先権主張 平成23年12月6日)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年6月28日付け :拒絶理由通知書
平成28年8月29日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年1月25日付け :拒絶査定(以下、「原査定」とする。)
平成29年4月27日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、本願の請求項1ないし5に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下、「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1または2に記載された発明及び周知技術に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2009-134190号公報
引用文献2:特開2010-256757号公報

第3 本願発明
本願請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1ないし5」という。)は、平成29年4月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
偏光フィルムの片面または両面に透明フィルムが貼合されてなる偏光板の製造方法であって、
厚みが5?60μmである前記透明フィルムの片面に、活性エネルギー線硬化型の接着剤を塗布厚0.1?10μmで塗布する接着剤塗布工程と、
前記透明フィルムを前記偏光フィルムの片面または両面に前記接着剤を介して貼合する貼合工程と、
前記接着剤塗布工程の後、前記透明フィルムを、第1のサクションロールを介して前記貼合工程に搬送する搬送工程とを備え、
前記搬送工程において、第1のサクションロールの吸引力は2?30kPaである、偏光板の製造方法。
【請求項2】
前記貼合工程の後、貼合された前記透明フィルムと前記偏光フィルムの積層体に、活性エネルギー線を照射して前記接着剤を硬化させる活性エネルギー線照射工程をさらに備える、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
【請求項3】
前記接着剤塗布工程の前に、前記透明フィルムの接着剤を塗布する面に接着性を向上させる処理を行なう表面処理工程をさらに備え、
前記表面処理工程の後、前記透明フィルムを、第2のサクションロールを介して前記接着剤塗布工程に搬送する、請求項1または2に記載の偏光板の製造方法。
【請求項4】
前記透明フィルムを、第3のサクションロールを介して前記表面処理工程に搬送する、請求項3に記載の偏光板の製造方法。
【請求項5】
前記貼合工程に搬送される前記透明フィルムの張力をI、第1のサクションロールと第2のサクションロールの区間の前記透明フィルムの張力をII、第2のサクションロールと第3のサクションロールの区間の前記透明フィルムの張力をIIIとしたとき、これらの張力の大きさがI≦II≦IIIとなるように調整される、請求項4に記載の偏光板の製造方法。」

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2009-134190号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当合議体が付した。)

(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子の片面または両面にそれぞれ保護フィルムを積層接着する偏光板の製造方法であって、前記偏光子と保護フィルムとを接着剤を介して重ね合わせて積層体を得、ついで、この積層体の長手方向に沿って円弧状に形成された凸曲面に前記積層体を密着させながら前記接着剤を重合硬化させることを特徴とする、偏光板の製造方法。
【請求項2】
前記凸曲面がロールの外周面である、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
【請求項3】
前記偏光子が、一軸延伸されヨウ素又は二色性染料が吸着配向されたポリビニルアルコール系フィルムであり、前記保護フィルムの一方が非晶性ポリオレフィン樹脂フィルムで、他方がトリアセチルセルロースフィルムである、請求項1または2に記載の偏光板の製造方法。
【請求項4】
前記凸曲面に密着した積層体に活性エネルギー線を照射して重合硬化させる、請求項1?3のいずれかに記載の偏光板の製造方法。」

(2)「【0004】
ところが、このようにして製造される偏光板は、液晶セルに貼着する側が凹となるようにカールしたり(以下、「逆カール」と称する。)、偏光板全体が波打ったようになる(以下、これを「ウェーブカール」と称する。)などの問題がある。かかる逆カールおよびウェーブカールは、液晶セルに貼着する際に、接着面に気泡が残りやすくなり液晶パネルに不良を発生する原因となる。このため、偏光板は逆カールおよびウェーブカールを発生させず、カールしないか、あるいはカールしても液晶セルに貼着する側が凸となるようにカール(以下、「正カール」と称する。)とすることが望まれている。」

(3)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、逆カールおよびウェーブカールの発生が抑制された偏光板の製造方法および製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、偏光子の片面または両面に保護フィルムを接着剤を介して積層した積層体を正カールとなるように曲げた状態で接着剤を重合硬化させることにより、逆カールおよびウェーブカールの発生が抑制されることを見出し、本発明を完成した。」

(4)「【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を説明する。この実施形態にかかる偏光板は、偏光子およびその両面に接着剤を介して積層した保護フィルムからなる。前記偏光子としては、従来から偏光板の製造に使用されているもの(例えば前記した特許文献1に記載の偏光子)が使用可能であり、一般には一軸延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料による染色を施し、ついでホウ酸処理してなるフィルムが挙げられる。偏光子の厚さは、5?50μm程度が好ましい。
・・・略・・・
【0014】
保護フィルムは、偏光子への貼合に先立って、貼合面に、ケン化処理、コロナ処理、プライマ処理、アンカーコーティング処理などの易接着処理が施されてもよい。また、保護フィルムの偏光子への貼合面と反対側の表面には、ハードコート層、反射防止層、防眩層などの各種処理層を有していてもよい。保護フィルムの厚みは、通常5?200μm 程度の範囲であり、好ましくは10?120μm 、さらに好ましくは10?85μm である。
【0015】
接着剤としては、耐候性や屈折率、カチオン重合性などの観点から、例えば特許文献1に記載のような、分子内に芳香環を含まないエポキシ樹脂を接着剤に用いることができるが、これに限定されるものではなく、従来から偏光板の製造に使用されている各種の接着剤が採用可能である。前記したエポキシ樹脂としては、例えば水素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などが使用されている。エポキシ樹脂成分に重合開始剤、例えば活性エネルギー線照射で重合させるための光カチオン重合開始剤、加熱によって重合させるための熱カチオン重合開始剤、さらに他の添加剤(増感剤など)を添加して塗布用接着剤組成物を調製する。
【0016】
次に図面を参照しながら本発明の偏光板の製造装置および製造方法を説明する。図1は本発明の偏光板の製造装置の一実施形態を示す概略図である。
【0017】
図1に示す偏光板の製造装置30は、保護フィルム31、32の片面に接着剤を塗布するための接着剤塗工装置33、34と、保護フィルム31、32、偏光子35を重ね合わせるためのニップロール36と、前記保護フィルム31、32と偏光子35とが貼合された積層体37を密着させるためのロール38と、該ロール38の外周面と相対する位置に設置された第1の活性エネルギー線照射装置39、40と、さらにこれより搬送方向下流側に設置された第2の活性エネルギー線照射装置41と、搬送用ニップロール42とを搬送方向に沿って順に設けている。
【0018】
すなわち、ロール状に巻回された状態から連続的に繰り出される保護フィルム31、32は、接着剤塗工装置33、34によって片面に接着剤が塗布される。そして、前記保護フィルム31、32と同様にして連続的に繰り出された偏光子35の両面にそれぞれ保護フィルム31、32がニップロール36によって接着剤を介して重ね合わされ積層体37が形成される。この積層体37をロール38の外周面に密着させながら搬送する過程で、第1の活性エネルギー線照射装置39、40からロール38の外周面に向かって活性エネルギー線を照射し、接着剤を重合硬化させる。なお、搬送方向下流側に配置される第2の活性エネルギー線照射装置41は接着剤を完全に重合硬化させるための装置であり、必要に応じて省略することができる。
【0019】
保護フィルム31、32への接着剤の塗工方法は特に限定されないが、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。このうち、薄膜塗工、パスラインの自由度、幅広への対応などを考慮すると、接着剤塗工装置33、34としてはグラビアロールが好ましい。
【0020】
接着剤塗工装置33、34としてグラビアロールを用いて接着剤の塗布を行う場合、接着剤層の厚さはライン速度に対するグラビアロールの速度比であるドロー比によって調整する。保護フィルム31、32のライン速度を15?50m/分とし、グラビアロールを該保護フィルム31、32の搬送方向と逆方向に回転させ、グラビアロールの速度を5?500m/分(ドロー比1?10)とすることで、接着剤層の塗布厚を約1?10μmに調整する。
【0021】
ロール38は、外周面が鏡面仕上げされた凸曲面を構成しており、その表面に積層体37を密着させながら搬送し、その過程で活性エネルギー線照射装置39、40により接着剤を重合硬化させる。接着剤を重合硬化させ、積層体37を充分に密着させる上で、ロール38の直径は特に限定されないが、接着層が未硬化状態の積層体37が、ロール38を通過する間に活性エネルギー線を紫外線の積算光量で30mJ/cm^(2)で照射されるようにすることが好ましい。ロール38は、積層体37のラインの動きに従動または回転駆動させてもよく、あるいは固定させて表面を積層体37が滑るようにしてもよい。また、ロール38は、活性エネルギー線の照射による重合硬化時に積層体37に熱が加わりにくくするために冷却ロールとして作用させてもよい。その場合の冷却ロールの表面温度は、20?25℃が好ましい。
・・・略・・・
【0024】
紫外線を活性エネルギー線とするとき、積層体37のライン速度は特に限定されず、長手方向(搬送方向)に100?800Nの張力下、また、少なくとも照射強度を30mJ/cm^(2)以上、照射時間を0.3秒以上の条件下で、積層体37に活性エネルギー線を照射することが好ましい。また、活性エネルギー線装置39、40による活性エネルギー線の照射で積算光量が不十分な場合は、補助的に第2の活性エネルギー線装置41を設け、活性エネルギー線を追加照射させて積層体37の接着剤の重合を完了させてもよい。
【0025】
このようにして得られた偏光板は、従来のように活性エネルギー線装置の下を所定の張力で水平に搬送させる通過させる場合(図3を参照)に比して、逆カールおよびウェーブカールの発生が抑制されているので、液晶セルに貼着する際に、接着面に気泡が残らず、従って液晶パネルの不良発生を低減することができる。」

(5)「【図1】


上記1の【図1】から、保護フィルム31、32の搬送路上の接着剤塗工装置33、34とニップロール36との間に、ロールがあることが見て取れる。

(6)「【実施例1】
【0027】
厚さ75μmの非晶性ポリオレフィン樹脂フィルム「ZEONOR」(日本ゼオン社製)と、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム「KC8UX2MW」(コニカミノルタ社製)とを準備した。非晶性ポリオレフィン樹脂フィルムおよびトリアセチルセルロースフィルムのそれぞれの片面に接着剤としてエポキシ樹脂組成物「KRX492-30」(ADEKA社製)を接着剤塗工装置であるマイクロチャンバードクター(富士機械社製)を用いて塗工した。積層体のライン速度を11m/分とし、グラビアロールを積層材の搬送方向と逆方向に回転させ、グラビアロールの速度22m/分とすることで、接着剤層の厚さを約2μmとした。
【0028】
次に、厚さ25μmのヨウ素が吸着配向されたポリビニルアルコール系フィルムの両面に前記エポキシ樹脂組成物を介して前記非晶性ポリオレフィン樹脂フィルムと、前記トリアセチルセルロースフィルムとをニップロールによって重ね合わせた。」

(7)「【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明にかかる偏光板の製造装置の一実施形態を示す概略側面図である。」

2.引用発明
上記引用文献1には、【発明を実施するための最良の形態】に、本発明の一実施形態として記載された偏光板の製造方法に関する以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「偏光子およびその両面に接着剤を介して積層した保護フィルムからなる偏光板の製造方法において、
保護フィルムの厚みは、10?85μm であり、
接着剤層の塗布厚は、約1?10μmに調整され、
偏光板の製造装置30には、保護フィルム31、32の片面に接着剤を塗布するための接着剤塗工装置33、34と、保護フィルム31、32、偏光子35を重ね合わせるためのニップロール36と、前記保護フィルム31、32と偏光子35とが貼合された積層体37を密着させるためのロール38と、該ロール38の外周面と相対する位置に設置された第1の活性エネルギー線照射装置39、40と、を搬送方向に沿って順に設け、保護フィルム31、32の搬送路上の接着剤塗工装置33、34とニップロール36との間に、ロールを有し、
偏光子35の両面にそれぞれ保護フィルム31、32がニップロール36によって接着剤を介して重ね合わされ積層体37が形成され、この積層体37をロール38の外周面に密着させながら搬送する過程で、第1の活性エネルギー線照射装置39、40からロール38の外周面に向かって活性エネルギー線を照射し、接着剤を重合硬化させる
偏光板の製造方法。」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明における「偏光子35」、「偏光板」は、本願発明1の「偏光フィルム」、「偏光板」に相当する。引用発明における「保護フィルム31、32」は、偏光板に用いられる保護フィルムであって、透明であることは技術常識であるから、本願発明1の「透明フィルム」に相当する。引用発明における「偏光板」は、「前記保護フィルム31、32と偏光子35」を「貼合」して「偏光子およびその両面に接着剤を介して積層した保護フィルムから」なるから、本願発明1の「偏光板」の「両面に透明フィルムが貼合されてなる」との要件を満たす。
引用発明における「接着剤」は、本願発明1の「接着剤」に相当する。引用発明の「接着剤」は、「活性エネルギー線を照射」によって「重合硬化」されるのであるから、本願発明1の「活性エネルギー線硬化型の接着剤」との要件を満たす。引用発明は、「接着剤塗工装置33、34」により「保護フィルム31、32の片面に接着剤を塗布」しており、この工程は、本願発明1の「透明フィルムの片面」への「接着剤塗布工程」に相当する。引用発明における「接着剤」は、「接着剤層の塗布厚」が「約1?10μm」に調整されており、「約」とは記載されているものの、基本的には塗布厚を「1?10μm」の間に調整するものと考えられ、本願発明1の「接着剤塗布工程」の「接着剤を塗布厚0.1?10μmで塗布する」との要件を満たす。
引用発明の「保護フィルム31、32の片面に接着剤を塗布」して「ニップロール36」により「前記保護フィルム31、32と偏光子35と」を「貼合」して、「偏光子35の両面にそれぞれ保護フィルム31、32がニップロール36によって接着剤を介して重ね合わ」せる工程は、本願発明1の「貼合工程」に相当し、「前記透明フィルムを前記偏光フィルムの片面または両面に前記接着剤を介して貼合する」との要件を満たす。
引用発明は、「保護フィルム31、32の搬送路上の接着剤塗工装置33、34とニップロール36との間に、ロールを有」しており、この搬送路を搬送する工程は、本願発明1の「搬送工程」に相当し、「接着剤塗布工程の後、前記透明フィルムを、」「ロールを介して前記貼合工程に搬送」するとの要件を満たす。
引用発明と本願発明は、上記の点で共通点を有する「偏光板の製造方法」といえる。

(2)一致点、相違点
以上の対比結果を踏まえると、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
一致点
「偏光フィルムの片面または両面に透明フィルムが貼合されてなる偏光板の製造方法であって、
前記透明フィルムの片面に、活性エネルギー線硬化型の接着剤を塗布厚0.1?10μmで塗布する接着剤塗布工程と、
前記透明フィルムを前記偏光フィルムの片面または両面に前記接着剤を介して貼合する貼合工程と、
前記接着剤塗布工程の後、前記透明フィルムを、ロールを介して前記貼合工程に搬送する搬送工程とを備える、
偏光板の製造方法。」

相違点
本願発明1は、「透明フィルム」の「厚みが5?60μm」であり、「前記接着剤塗布工程の後、前記透明フィルムを、第1のサクションロールを介して前記貼合工程に搬送する搬送工程とを備え」、「前記搬送工程において、第1のサクションロールの吸引力は2?30kPaであ」るのに対し、引用発明は、「保護フィルムの厚みは、10?85μm 」であり、接着剤塗布工程の後、前記透明フィルムを、ロールを介して前記貼合工程に搬送しているものの、そのロールが「サクションロール」であるか、その吸引力が「2?30kPa」であるかは不明な点。

(3)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
引用文献1において、接着剤塗工装置33、34とニップロール36との間のロールについては、【図1】に図面上示されているのみであり一切説明はない。そして、引用文献1は、逆カールおよびウェーブカールの発生が抑制された偏光板の製造を目的としており(【0005】)、偏光子と保護フィルムとを貼合した後の接着剤の重合工程に重きを置くものである(【0006】)。よって、引用発明は、「前記接着剤塗布工程の後」に「前記貼合工程に搬送」する工程に、なんらかのロールを設けているものの、引用文献1は、そもそもその工程に着目するものではない。
そして、例えば、引用文献1の【0021】には、ロール38についてではあるが、「積層体37のラインの動きに従動または回転駆動させてもよく、あるいは固定させて表面を積層体37が滑るようにしてもよい」とある。引用発明における接着剤塗工装置33、34とニップロール36との間のロールについても従動、回転駆動、固定されるものなど、さまざまなロールが考えられる。
したがって、一般に駆動ロールとしてサクションロールは周知であったとしても、この接着剤塗工装置33、34とニップロール36との間のロールを「サクションロール」として、更に「サクションロールの吸引力は2?30kPa」とすることについて、示唆や動機付けがない。
さらに、その他の文献を参照しても、この接着剤塗工装置33、34とニップロール36との間のロールを「サクションロール」として、更に「サクションロールの吸引力は2?30kPa」とすることについて、動機付けは、開示されていない。
そして、本願発明1は、「厚みが5?60μm」の「透明フィルム」について、「前記接着剤塗布工程の後、」「第1のサクションロールを介して前記貼合工程に搬送」し、その際の「吸引力は2?30kPa」とすることにより、「透明フィルムの張力のコントロールが可能となり、貼合フィルム(当合議体注:「ロール」の誤記。)に搬送される透明フィルムにシワが発生することを防止できる」(本願の明細書の【0007】参照。)という、引用文献1に記載された効果とは異質な効果を奏しており、この効果は当業者といえども、引用文献1の記載全体や技術常識を勘案しても、容易に想到し得たものともいえない。
したがって、本願発明1は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
そして、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2及びその他の引用文献を検討しても、本願発明1は、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2.本願発明2ないし5について
本願発明2ないし5は、本願発明1の「偏光板の製造方法」にさらなる限定を付加するものである。
したがって、本願発明2ないし5も、本願発明1と同様に、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-03-12 
出願番号 特願2012-261333(P2012-261333)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 井上 徹関口 英樹清水 裕勝  
特許庁審判長 中田 誠
特許庁審判官 多田 達也
宮澤 浩
発明の名称 偏光板の製造方法  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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