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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1338043 |
審判番号 | 不服2017-873 |
総通号数 | 220 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-01-20 |
確定日 | 2018-03-06 |
事件の表示 | 特願2012-118781「オペレーティングシステムソフトウエアのインストール方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年12月13日出願公開,特開2012-248189〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成24年5月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年5月24日,独国)の出願であって,平成26年12月18日付けで審査請求がなされ,平成28年2月15日付けで拒絶理由通知がなされ,同年5月10日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされ,同年9月13日付けで拒絶査定がなされ,これに対し平成29年1月20日付けで審判請求がなされたものである。 第2 本願発明 本願請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成28年5月10日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 印刷機(1)を印刷機計算機(2)上で制御するためのオペレーティングシステムソフトウエアのインストール方法であって、 ・すでに前記印刷機計算機(2)上で実行されているオペレーティングシステムソフトウエア(13)に加えて、別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)を前記印刷機(1)の操業中に伝送するステップと、 ・前記別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)を、前記印刷機計算機(2)に前記印刷機(1)の操業中にインストールするステップと、 ・オペレーティングシステムソフトウエア(13)のユーザデータを、前記印刷機(1)の操業中に、前記別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)に引き渡すステップと、 ・前記印刷機計算機(2)をシャットダウンし、前記印刷機(1)の再起動時に古いオペレーティングシステムソフトウエア(13)をスタートするか、または新規にインストールされた別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)をスタートするか選択するステップと、 を有する方法。」 第3 引用例に記載の事項 1 引用例1に記載された事項 原審における平成28年2月15日付けの拒絶理由(以下「原審拒絶理由」という。)に引用された,本願の優先日前に既に公知である,特開2005-242512号公報(平成17年9月8日公開,以下「引用例1」という。)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。(なお,下線は当審で説明のために付加。以下同様。) A 「【0001】 本発明は、データ処理装置に関し、詳しくは外部から受信した制御プログラムの書換データにより自装置のメモリに記憶されている制御プログラムをアップデートするデータ処理装置に関するものである。」 B 「【0012】 このデータ処理装置1は、図1に例示するように、コピー機能、ファクシミリ機能、PCスキャナ機能、PCプリント機能等を備えた複合機2に組込まれており、LAN3上のクライアントPC4からLAN3を介して送信されたプリントデータ等を複合機2に転送したり、逆に複合機2において読取られた原稿の画像データ等をクライアントPC4に送信するものである。 【0013】 このデータ処理装置1にプリントデータを送信するクライアントPC4は、一般的な機能を備えたPC(Personal Computer)であり、LPR(Line Printer Remote)プロトコルに基づいてLAN3上の他のクライアントPC4と通信を行ったり、データ処理装置1にプリントデータの印刷要求を行った後、該プリントデータを送信する。具体的には、プリントデータの送信に先立って、プリントデータのファイル名等の制御用データが格納されたコントロールファイルをデータ処理装置1に送信した後に、プリントデータを送信する。 【0014】 また、このクライアントPC4は、プリントデータをデータ処理装置1に送信する上記の手順と同じ手順にてデータ処理装置1が制御プログラム(ファームウェア)をアップデートするための書換データをデータ処理装置1に送信する。」 C 「【0015】 一方、データ処理装置1は、図示するように、制御部(MPU:Microprocessing Unit)5、インターフェース回路6、Flash ROM(Read Only Memory)7、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)8を備えたものであり、各部5乃至8は、バス9によって通信可能に接続されている。また、データ処理装置1は、複合機2と通信可能に接続されている。 【0016】 制御部5は、Flash ROM7に記憶されている制御プログラムに従って、このデータ処理装置1を構成する各部を制御する。インターフェース回路6は、制御部5が実行中の制御プログラムと同じ制御プログラムの書換データを外部から受信するものであり、ここではクライアントPC4から送信された書換データを受信する。」 D 「【0017】 Flash ROM7は、制御部5によってデータ処理装置1の各部が制御されるための制御プログラム等を記憶するフラッシュメモリである。SDRAM8は、制御部5の主メモリ、ワークエリア等として機能し、インターフェース回路6が外部から受信した書換データ等を一時的に格納する。図2は、このFlash ROM7とSDRAM8の記憶領域を論理的に示したものであり、Flash ROM7は、ブートエリア11、識別エリア12、プライマリプログラムエリア13、及びセカンダリプログラムエリア14に論理的に分割されている。一方、SDRAM8は、プログラムエリア15とデータエリア16に論理的に分割されている。」 E 「【0018】 Flash ROM7のブートエリア11は、システム起動時に実行される基本プログラムを記憶している。プライマリプログラムエリア13及びセカンダリプログラムエリア14は、読み出して実行すべき制御プログラムの記憶場所であり、同じサイズで構成されている。本発明の実施の形態においては、Flash ROM7が所定の複数の記憶場所として、このプライマリプログラムエリア13とセカンダリプログラムエリア14の2つの記憶場所(以下、「エリア」ともいう。)を備えている場合について説明する。 【0019】 プライマリプログラムエリア13とセカンダリプログラムエリア14が記憶する制御プログラムは、クライアントPC4との間でLPDプロトコルに基づいて所定の通信処理を行うための通信処理プログラムや、受信した書換データにより自装置1の制御プログラムをアップデートするための書換処理プログラムや、受信したプリントデータを複合機2の印刷処理モジュールに転送するための転送処理プログラム等である。そして、これらの制御プログラムがプライマリプログラムエリア13とセカンダリプログラムエリア14のうちのいずれか一方又は両方に記憶されるようになっている。」 F 「【0022】 以下、プライマリプログラムエリア13から読み出した制御プログラムを実行中にインターフェース回路6が書換データを受信した場合を例として、制御部5によって行われる制御プログラムのアップデート処理について説明する。制御部5は、プライマリプログラムエリア13から読み出してSDRAM8のプログラムエリア15に格納した制御プログラムを実行中に、インターフェース回路6が書換データを受信したと判断した場合、受信した書換データをSDRAM8のデータエリア16に一旦格納する。 【0023】 そして、制御部5は、システム起動時に既にプライマリプログラムエリア13から読み出されてプログラムエリア15に格納されている書換処理プログラムに従って、まず識別情報が「1」であるか又は「2」であるかを判断する。すなわち、実行中の制御プログラムが読み出されたエリア(記憶場所)がプライマリプログラムエリア13であるか又はセカンダリプログラムエリア14であるかを判断する。なお、この場合、識別情報は「1」であるため、実行中の制御プログラムが読み出されたエリアはプライマリプログラムエリア13であり、識別情報「2」に対応するセカンダリプログラムエリア14からは制御プログラムが読み出されていないと判断することができる。 【0024】 続いて、制御部5は、実行中の制御プログラムが読み出されたエリアと異なるエリア、すなわち、セカンダリプログラムエリア14に、受信した書換データを書込むことにより、制御プログラムをアップデートする。なお、本発明における書込む処理は、記憶場所に制御プログラムが記憶されていない場合には書換データを記憶場所に書込む処理であり、制御プログラムが記憶されている場合には、その制御プログラムを書換データに書換える処理である。すなわち、ここでは、セカンダリプログラムエリア14に制御プログラムが記憶されていない場合には該セカンダリプログラムエリア14に書換データを書込み、制御プログラムが記憶されている場合にはその記憶されている制御プログラムを書換データに書換える。したがって、制御部5は、実行中の制御プログラムと同じ制御プログラムの書換データを外部から受信した場合に、所定の複数の記憶場所のうち、実行中の制御プログラムが読み出された記憶場所と異なる記憶場所に、受信した書換データを書込む書込み手段として機能する。」 G 「【0025】 このようにして、制御プログラムのアップデート処理が完了すると、複合機2において再起動の処理が行われる。その際、データ処理装置1の制御部5は、識別エリア12の識別情報を「2」に変更する。これにより、次回システムが起動した際には、制御部5は、識別情報「2」に対応するセカンダリプログラムエリア14から制御プログラムを読み出すことになり、アップデートされた最新の制御プログラムを実行することができる。したがって、制御部5は、書換データが異なる記憶場所に書込まれた場合に、読み出して実行すべき制御プログラムの記憶場所として異なる記憶場所を選択するように識別情報を変更する変更手段として機能する。なお、セカンダリプログラムエリア14から読み出した制御プログラムを実行中に書換データを受信した場合も、上記と同様の方法でプライマリプログラムエリア13への制御プログラムのアップデート処理が行われる。」 H 「【0033】 制御部5は、例えば、複合機2の電源が投入されるなどして、データ処理装置1の各部に電力が供給されると、まずブートエリア11の基本プログラムを実行し(S1)、識別エリア12の識別情報が「1」であるか又は「2」であるかを判断する(S2)。ここで、識別情報が「1」であると判断した場合には(S2:識別情報「1」)、プライマリプログラムエリア13から制御プログラムを読出し(S3)、SDRAM8のプログラムエリア15に格納する。一方、識別情報が「2」であると判断した場合には(S2:識別情報「2」)、セカンダリプログラムエリア14から制御プログラムを読出し(S4)、SDRAM8のプログラムエリア15に格納する。 【0034】 このように、本発明の実施の形態に係るデータ処理装置1においては、識別エリア12の識別情報に基づいてプライマリプログラムエリア13又はセカンダリプログラムエリア14のいずれかのエリアから全ての制御プログラムが読み出され、必要に応じて制御部5によって実行されるようになっている。」 2 引用例2に記載された事項 同じく原審拒絶理由で引用された,本願の優先日前に既に公知である,特開2006-293882号公報(平成18年10月26日公開,以下「引用例2」という。)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。 I 「【背景技術】 【0002】 従来から、制御プログラム等のバージョンアップにより機能追加や不具合の修正が可能な画像形成装置が提案されており、制御プログラム等のバージョンアップの際に以下の作業が行われている。 【0003】 (1)画像形成装置内のユーザデータ(設定や保存画像)のバックアップ、(2)更新用制御プログラムの画像形成装置へのダウンロード、(3)更新用制御プログラムによるシステムの初期化、(4)ユーザデータのリストア等を行う。」 3 引用例3に記載された事項 同じく原審拒絶理由で引用された,本願の優先日前に既に公知である,特開2004-318871号公報(平成16年11月11日公開,以下「引用例3」という。)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。 J 「【背景技術】 【0002】 従来から、通信機能を備えたプリンタ,ファクシミリ(FAX)装置,デジタル複写機,スキャナ装置,デジタル複合機等の画像処理装置を始め、ネットワーク家電,自動販売機,医療機器,電源装置,空調システム,ガス・水道・電気等の計量システム等に通信機能を持たせた通信装置(電子装置)を被管理装置とし、外部装置であるサービスセンタ(管理センタ)の管理装置が公衆回線やインタネット等のネットワーク経由でこれらの被管理装置を遠隔管理する遠隔管理システムが提案されている。 【0003】 このような遠隔管理システムに使用されている通信装置は、一般に、内部に当該通信装置全体の動作を制御するCPU(中央処理装置)と、CPUにその制御を行わせるためのソフトウェア(プログラム)を記憶するメモリとを有している。 通常、ソフトウェアを記憶するメモリとしてROMが用いられ、そのROMに、通信装置の基本動作を制御するプログラムを始めとして、各種パラメータやプログラムコードを含むファームウェアが格納されている。 【0004】 ところで、通信装置の性能を向上させたり、通信装置の不具合を解消するために設計変更等を行い、それによりソフトウェア(一般にはファームウェア)の更新(バージョンアップ)が必要となる場合がある。なお、ファームウェアの例としては、アプリ(アプリケーションプログラム)やOS(オペレーティングシステム)が挙げられる。 従来、この種の通信装置のソフトウェアの更新(例えばパラメータの書き換え等の更新を含む)は、サービスエンジニア(カスタマエンジニア)が顧客先を訪問し、その顧客先に設置されている通信装置の内部のROMを差し替えることによって行っていた。」 第4 引用例1に記載の発明 ア 上記Aの記載から,引用例1には,“外部から受信した制御プログラムの書換データにより,データ処理装置のメモリに記憶されている制御プログラムをアップデートする”方法について記載されているといえる。 イ 上記Bの記載から,引用例1には,“クライアントPCにより,PCプリント機能等を備えた複合機に組込まれたデータ処理装置に前記データ処理装置が制御プログラム(ファームウェア)をアップデートするための書換データが送信”されることが記載されているといえる。 ウ 上記Cの記載から,引用例1には,“データ処理装置は,制御部,インターフェース回路及びFlash ROMを備え”ること,“データ処理装置は,複合機と通信可能に接続”されていること,当該“制御部”によって,“Flash ROMに記憶されている制御プログラムに従って,データ処理装置を構成する各部を制御”すること,及び,“インターフェース回路”によって,“制御部が実行中の制御プログラムと同じ制御プログラムの書換データを外部から受信”することが記載されているといえる。 エ 上記Dの記載から,引用例1には,“Flash ROMは,ブートエリア,識別エリア,プライマリプログラムエリア,及びセカンダリプログラムエリアに論理的に分割”されていること,及び“Flash ROM”は,“制御部によってデータ処理装置の各部が制御されるための制御プログラム等を記憶”するものであることが記載されているといえる。 オ 上記Eの記載から,引用例1には,“プライマリプログラムエリア及びセカンダリプログラムエリアは,読み出して実行すべき制御プログラムの記憶場所であ”って,当該“プライマリプログラムエリアとセカンダリプログラムエリアが記憶する制御プログラムは,クライアントPCとの間で受信した書換データにより自装置の制御プログラムをアップデートするための書換処理プログラム等”であることが記載されているといえる。 カ 上記Fの記載から,引用例1には,“制御プログラムを実行中に,インターフェース回路が書換データを受信した場合,受信した書換データをSDRAMのデータエリアに一旦格納”すること,及び“書換処理プログラムに従って,実行中の制御プログラムが読み出されたエリアと異なるエリアであるセカンダリプログラムエリアに,受信した書換データを書込むことにより,制御プログラムをアップデート”することがそれぞれ記載されているといえる。 キ 上記Gの記載から,引用例1には,“制御プログラムのアップデート処理が完了すると,複合機において再起動の処理が行われ”ることが記載されているといえる。 ク 上記Hの記載から,引用例1には,“複合機の電源が投入されるなどして,データ処理装置の各部に電力が供給されると,識別エリアの識別情報が「1」であるか又は「2」であるかを判断し,ここで,識別情報が「1」であると判断した場合には,プライマリプログラムエリアから制御プログラムを読出し,前記識別情報が「2」であると判断した場合には,セカンダリプログラムエリアから制御プログラムを読出し,前記識別エリアの識別情報に基づいてプライマリプログラムエリア又はセカンダリプログラムエリアのいずれかのエリアから全ての制御プログラムが読み出され,実行される”ことが記載されているといえる。 ケ 上記ア乃至クの検討から,引用例1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「外部から受信した制御プログラムの書換データにより,データ処理装置のメモリに記憶されている制御プログラムをアップデートする方法であって, クライアントPCにより,PCプリント機能等を備えた複合機に組込まれたデータ処理装置に前記データ処理装置が制御プログラム(ファームウェア)をアップデートするための書換データが送信され, データ処理装置は,制御部,インターフェース回路及びFlash ROMを備え,複合機と通信可能に接続され, 前記制御部により,Flash ROMに記憶されている制御プログラムに従って,データ処理装置を構成する各部を制御し,前記インターフェース回路により,前記制御部が実行中の制御プログラムと同じ制御プログラムの書換データを外部から受信し, 前記Flash ROMは,ブートエリア,識別エリア,プライマリプログラムエリア,及びセカンダリプログラムエリアに論理的に分割され,前記制御部によってデータ処理装置の各部が制御されるための制御プログラム等を記憶するものであり, 前記プライマリプログラムエリア及びセカンダリプログラムエリアは,読み出して実行すべき制御プログラムの記憶場所であり,前記プライマリプログラムエリアとセカンダリプログラムエリアが記憶する制御プログラムは,クライアントPCとの間で受信した書換データにより自装置の制御プログラムをアップデートするための書換処理プログラム等であり, 前記制御プログラムを実行中に,インターフェース回路が書換データを受信した場合,受信した書換データをSDRAMのデータエリアに一旦格納し, 書換処理プログラムに従って,実行中の制御プログラムが読み出されたエリアと異なるエリアであるセカンダリプログラムエリアに,受信した書換データを書込むことにより,制御プログラムをアップデートし, 前記制御プログラムのアップデート処理が完了すると,前記複合機において再起動の処理が行われ, 前記複合機の電源が投入されるなどして,データ処理装置の各部に電力が供給されると,識別エリアの識別情報が「1」であるか又は「2」であるかを判断し,ここで,識別情報が「1」であると判断した場合には,プライマリプログラムエリアから制御プログラムを読出し,前記識別情報が「2」であると判断した場合には,セカンダリプログラムエリアから制御プログラムを読出し,前記識別エリアの識別情報に基づいてプライマリプログラムエリア又はセカンダリプログラムエリアのいずれかのエリアから全ての制御プログラムが読み出され,実行される ことを含む方法。」 第5 本願発明と引用発明との対比 1 引用発明の「複合機」は,「PCプリント機能等を備えた」ものであることから,本願発明の「印刷機」に相当する。 また引用発明の「複合機に組込まれたデータ処理装置」は,「複合機と通信可能に接続され」ていて,さらに「Flash ROMに記憶されている制御プログラムに従って,データ処理装置を構成する各部を制御」するものであることから,当該「データ処理装置」は,「複合機」を「制御プログラム」によって制御するものであり,引用発明の「データ処理装置」は,本願発明の「印刷機計算機」に相当するといえる。 そして,引用発明の「制御プログラム」と,本願発明の「オペレーティングシステムソフトウエア」とは,後記の点で相違するものの,いずれも“印刷機を制御するためのソフトウェア”である点で一致するといえ,さらに引用発明の「制御プログラムをアップデートする方法」と,本願発明の「オペレーティングシステムソフトウエアのインストール方法」とは,いずれも“印刷機を制御するためのソフトウェア”を更新するための方法である点で共通するから,引用発明と本願発明は,“印刷機を印刷機計算機上で制御するためのソフトウエアの更新方法”である点で一致する。 2 引用発明は,「制御部が実行中の制御プログラムと同じ制御プログラムの書換データを外部から受信」するものであるが,当該「実行中の制御プログラム」は,本願発明の「すでに前記印刷機計算機(2)上で実行されているオペレーティングシステムソフトウエア(13)」と,“すでに前記印刷機計算機上で実行されているソフトウエア”である点で共通し,また引用発明で,「クライアントPC」から送信される,「データ処理装置が制御プログラム(ファームウェア)をアップデートするための書換データ」は,「制御プログラムを実行中に,インターフェース回路が書換データを受信した場合,」「SDRAMのデータエリアに一旦格納」されるものであり,「制御プログラムを実行中」に,「書換データを受信」することは,本願発明の「印刷機の操業中」に「別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)」を「伝送」することと共通するといえる。 そうすると,引用発明の「制御部が実行中の制御プログラムと同じ制御プログラムの書換データを外部から受信」することと,本願発明の「すでに前記印刷機計算機(2)上で実行されているオペレーティングシステムソフトウエア(13)に加えて,別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)を前記印刷機(1)の操業中に伝送する」こととは,“すでに前記印刷機計算機上で実行されているソフトウエアに加えて,別のソフトウエアを前記印刷機の操業中に伝送する”ステップを有する点で一致するといえる。 3 上記1及び2で検討したことを踏まえると,引用発明は,「書換処理プログラムに従って,実行中の制御プログラムが読み出されたエリアと異なるエリアであるセカンダリプログラムエリアに,受信した書換データを書込むことにより,制御プログラムをアップデート」するものであるが,当該「実行中の制御プログラムが読み出されたエリアと異なるエリアであるセカンダリプログラムエリアに,受信した書換データを書込むことにより,制御プログラムをアップデート」することは,本願発明において,「前記別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)を,前記印刷機計算機(2)に前記印刷機(1)の操業中にインストールする」ことと,“前記別のソフトウエアを,前記印刷機計算機に前記印刷機の操業中に更新する”点で一致するといえる。 4 引用発明において,「複合機の電源が投入されるなどして,データ処理装置の各部に電力が供給」された後に,「識別エリアの識別情報が「1」であるか又は「2」であるかを判断し,ここで,識別情報が「1」であると判断した場合には,プライマリプログラムエリアから制御プログラムを読出し,前記識別情報が「2」であると判断した場合には,セカンダリプログラムエリアから制御プログラムを読出し,前記識別エリアの識別情報に基づいてプライマリプログラムエリア又はセカンダリプログラムエリアのいずれかのエリアから全ての制御プログラムが読み出され,実行」するのは,「制御プログラムのアップデート処理が完了すると,前記複合機において再起動の処理が行われ」てからであり,また,上記1及び2で検討したことを踏まえると,引用発明の「識別情報に基づいてプライマリプログラムエリア又はセカンダリプログラムエリアのいずれかのエリアから全ての制御プログラムが読み出され,実行」することと,本願発明の“前記印刷機の再起動時に古いソフトウエアをスタートするか,または新規に更新された別のソフトウエアをスタートするか選択する”こととに実質的な違いはない。 5 以上,上記1乃至4の検討から,引用発明と本願発明とは次の一致点及び相違点を有するものと認められる。 [一致点] 印刷機を印刷機計算機上で制御するためのソフトウエアの更新方法であって, ・すでに前記印刷機計算機上で実行されているソフトウエアに加えて,別のソフトウエアを前記印刷機の操業中に伝送するステップと, ・前記別のソフトウエアを,前記印刷機計算機に前記印刷機の操業中に更新するステップと, ・前記印刷機の再起動時に古いソフトウエアをスタートするか,または新規に更新された別のソフトウエアをスタートするか選択するステップと, を有する方法。 [相違点] 相違点1: 本願発明の“ソフトウェア”は,「オペレーティングシステムソフトウエア」であるのに対し,引用発明の“ソフトウェア”は,「制御プログラム」である点。 相違点2: 本願発明は,「オペレーティングシステムソフトウエアのインストール方法」であって,「印刷機(1)の操業中にインストールするステップ」を有するのに対し,引用発明は,「制御プログラムをアップデートする方法」であって,「制御プログラムをアップデートする」ステップを有するものである点。 相違点3: 本願発明は,「・オペレーティングシステムソフトウエア(13)のユーザデータを,前記印刷機(1)の操業中に,前記別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)に引き渡すステップ」を有するのに対し,引用発明は,そのようなステップが特定されていない点。 相違点4: 本願発明は,「印刷機(1)の再起動」の前に,「前記印刷機計算機(2)をシャットダウン」するのに対し,引用発明は,再起動は行うものの,その前のシャットダウンについては言及されていない点。 第6 相違点についての当審の判断 1 相違点1について 本願発明の「オペレーティングシステムソフトウエア」は,「印刷機(1)を印刷機計算機(2)上で制御するための」ものであって,当該「オペレーティングシステムソフトウエアのインストール方法」において,「すでに前記印刷機計算機(2)上で実行されているオペレーティングシステムソフトウエア(13)に加えて、別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)」が「前記印刷機(1)の操業中に伝送」されたり,「前記別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)」が「前記印刷機計算機(2)に前記印刷機(1)の操業中にインストール」されたり,「前記印刷機(1)の再起動時に古いオペレーティングシステムソフトウエア(13)をスタートするか、または新規にインストールされた別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)をスタートするか選択」されたりするものであるが,本願明細書段落2に,「印刷機のような機械用の現在の制御コンピュータは、Windows(商標)、MacOS(商標)またはLinux(商標)のように通常のPCのオペレーティングシステムと同様に最新のソフトウエアバージョンにより使用することのできるオペレーティングシステムを有する。オペレーティングシステムを更新し、機械のユーザに新たな手段を提供するためには最新のソフトウエアバージョンが必要である。」とあるように,当該「オペレーティングシステムソフトウエア」を更新することによって,機械のユーザ,すなわち印刷機のユーザに対して新たな手段が,当該更新によってもたらされる性質のものであることと解される。 一方,引用発明の「制御プログラム」についてみるに,「制御プログラム(ファームウェア)」とあるように,「ファームウェア」として理解されるものである。そして原審拒絶理由で引用された引用例3の上記記載事項Jに,引用発明の「PCプリント機能等を備えた複合機2」と同様の「印刷」の機能を有する機械である,「デジタル複合機等の画像処理装置」において,「通信装置の性能を向上させたり、通信装置の不具合を解消するために設計変更等を行」う際には,「ソフトウェア(一般にはファームウェア)の更新(バージョンアップ)が必要となる場合」があり,当該「ファームウェアの例としては、アプリ(アプリケーションプログラム)やOS(オペレーティングシステム)が挙げられる」ことが記載されているように,引用発明において,「制御プログラム(ファームウェア)をアップデート」するのは,当該「アップデート」によって,「PCプリント機能等を備えた複合機2」に対して何らかの機能を追加するか,不具合を解消するために行われるものであることを,当業者であれば普通に理解することができ,また当該「アップデート」が行われる「ファームウェア」の中には,ファームウェアとして組み込まれる「OS(オペレーティングシステム)」である場合があることが従来から知られていたことに鑑みれば,引用発明の「制御プログラム」を,「オペレーティングシステムソフトウェア」として構成することは,当業者であれば容易になし得たものである。 2 相違点2について 本願明細書の段落7には,「ここで別のオペレーティングシステムソフトウエアはすでに実行中のオペレーティングシステムソフトウエアの最新のバージョン、いわゆるソフトウエアアップデートとすることができるが、しかし同じソフトウエア制作者または別のソフトウエア制作者の新規のオペレーティングシステムであっても良い。」との記載があり,本願発明の「前記別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)を、前記印刷機計算機(2)に前記印刷機(1)の操業中にインストールするステップ」における,「インストール」には,いわゆる「アップデート」も含むものと解されるところ,本願発明の「オペレーティングシステムソフトウエア」の「インストール」と,引用発明の「制御プログラム」の「アップデート」との間に実質的な相違はない。 3 相違点3について まず,本願発明の「オペレーティングシステムソフトウエア(13)のユーザデータ」に関しては,本願明細書段落24に,「新規のオペレーティングシステム18に引き継がれたユーザデータの下には、顧客ジョブ、印刷機設定、システム設定および他の設定がある。これらのデータは新規のオペレーティングシステム18の新規のパーティションにも記憶され、したがって新規のオペレーティングシステム18のデータの損傷は古いオペレーティングシステム13のデータに何らの影響も及ぼさない。」なる記載があるほかは,同段落21に,「図3cに示すように、各別のオペレーティングシステムソフトウエア18に対して対応するパーティションがハードディスクドライブ11に区切られている。作成されたパーティションには、別のオペレーティングシステムソフトウエア18の対応するソフトウエアパケットがコピーされる。ソフトウエアパケットのインストール後、目下実行されているオペレーティングシステム13の現在アクセスされていないデータがコピーされる。目下使用されているデータは後の別のステップで追加される。」との記載もあり,本願発明の「オペレーティングシステムソフトウエア(13)のユーザデータを、前記印刷機(1)の操業中に、前記別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)に引き渡すステップ」における「オペレーティングシステムソフトウエア(13)のユーザデータ」は,その前の「前記別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)を、前記印刷機計算機(2)に前記印刷機(1)の操業中にインストールするステップ」及びその後の「前記印刷機計算機(2)をシャットダウンし、前記印刷機(1)の再起動時に古いオペレーティングシステムソフトウエア(13)をスタートするか、または新規にインストールされた別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)をスタートするか選択するステップ」の間に「引き渡」される,何らかの「データ」を表すものと理解することができる。 原審拒絶理由で引用された引用例2の上記Iには,(画像形成装置の)制御プログラムのバージョンアップにあたって,「ユーザデータのリストア等」が行われることが記載されており,当該「リストア」には,「ユーザデータ」の引継ぎ,すなわち「引き渡」しが行われるものであることを理解することができ,そのような技術は本願優先日前に公知の技術的事項であった。してみれば,引用発明においても,「制御プログラム(ファームウェア)をアップデート」する際には,当然何らかのデータの引継ぎが行われるものであろうことは,当業者であれば普通に理解されるものであり,引用発明においてユーザデータの引き渡しを行うことは,当業者であれば容易に想到し得た事項に過ぎないものである。 4 相違点4について 引用発明において,「複合機の電源が投入されるなどして,データ処理装置の各部に電力が供給」される場合,複合機が当該「電源」の「投入」以前に電源が入っていない状態であることは自明であり,そのような電源が入っていない状態とするのに,「シャットダウン」する程度のことは,当業者が適宜なし得ることに過ぎない。 よって,本願発明は,引用発明並びに引用例2及び引用例3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易になし得たものである。 5 審判請求書による審判請求人の主張の検討 なお,審判請求人は,平成29年1月20日付けの審判請求書において, 「本願発明では、オペレーティングシステムソフトウエア(13)のユーザデータを、別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)に引き渡します。 この点に関して審査官は、引例2に制御プログラムの更新時にユーザデータを引き渡すことが記載されているため、引例2を引例1に適用することにより、制御プログラムの書き込み後にユーザデータの引き渡しを行うことは容易に想到できると認定しています。 確かに、制御プログラムの書き込み後にユーザデータの引き渡しを行うことは容易に想到できるかもしれませんが、オペレーティングシステムの書き込み後にユーザデータの引き渡しを行うことまでも容易に想到できるとは考えられません。 一般的に、オペレーティングシステムでは、旧オペレーティングシステムから新オペレーティングシステムに更新される際、旧オペレーティングシステムのユーザデータが新オペレーティングシステムに引き渡されることはありません。 オペレーティングシステムの更新を開示していると認定された引例3においても、ROM13に記録されたOSのユーザデータを、カードメモリ15にダウンロードしたOSに引き渡すことは行われていません。」(以下「主張1」という。) 「さらに、制御プログラムおよびオペレーティングシステムは、基本的に、互いに比較できるものではありません。オペレーティングシステムの交換は、例えばウィンドウズの場合、従来技術では、新オペレーティングシステムがインストール可能になる前、必ず、最初に、ハードディスク上のパーティション込みの旧オペレーティングシステムおよびすべてのオペレーティングデータが消去されなければなりません。それゆえ、従来技術からは、ユーザデータが、新オペレーティングシステムのインストールの際に消去され、新たなシステムではこのユーザデータをもはや利用できないということが分かります。当業者にとって、オペレーティングシステムのダウンロードおよび上書きの際、ユーザデータをその後利用可能にし、その結果、新オペレーティングシステムがそのユーザデータを利用できるということが、容易に想到できるとはいえません。」(以下,「主張2」という。) 「さらに、また、「インストール」という事象と、「アップデート(更新)」という事象と、の間には、大きな技術的相違が存在します。「インストール」という概念は、ソフトウェアの分野では、新たなソフトウェアのインストールを意味し、この新たなソフトウェアは、完全に新たに導入されます。一方、「アップデート」という概念は、既存のソフトウェアの更新を意味し、例えば、ウィンドウズインターネットエクスプローラ8からウィンドウズインターネットエクスプローラ9への更新を意味します。それゆえ、アップデートの事象の場合には、完全に新たなソフトウェアがインストールされるわけではなく、特に、オペレーティングシステムを新たにインストールする場合のように、ハードディスクに新たにパーティションが作成され、それゆえ、既存のデータが消去されるのではありません。このように、依然として、本拒絶査定に対する審判請求を正当化する、従来技術との本質的な相違が存在しています。」(以下,「主張3」という。) 旨主張を行っている。 上記主張について検討する。 まず主張1について検討するに,特許請求の範囲には,「オペレーティングシステムの書き込み後にユーザデータの引き渡しを行うこと」を特定する事項は記載されておらず,単に,「オペレーティングシステムソフトウエアのインストール方法」が「有する」1ステップとして,「オペレーティングシステムソフトウエア(13)のユーザデータを、前記印刷機(1)の操業中に、前記別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)に引き渡すステップ」が特定されているに過ぎないことから,特許請求の範囲の記載に基づかない主張ともいえるが,仮に,「前記別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)を、前記印刷機計算機(2)に前記印刷機(1)の操業中にインストールするステップ」に引き続くステップであると解して,上記主張について検討したとしても,上記「3 相違点3について」の項で示したとおり,当業者であれば容易に想到し得る程度のことに過ぎないものである。 なお,「制御プログラム」と「オペレーティングシステムソフトウェア」との違いについては,上記「1 相違点1について」の項で判断したとおりである。 次に主張2について,主張1における,「オペレーティングシステムの書き込み後にユーザデータの引き渡しを行うことまでも容易に想到できる」ものではないこと,「一般的に、オペレーティングシステムでは、旧オペレーティングシステムから新オペレーティングシステムに更新される際、旧オペレーティングシステムのユーザデータが新オペレーティングシステムに引き渡されることは」ないことも含めて検討する。 本願発明の「オペレーティングシステムソフトウェア」は,上記「1 相違点1について」の項でも示したとおり,「Windows(商標)、MacOS(商標)またはLinux(商標)」のような「通常のPCのオペレーティングシステムと同様」の態様を含むと解され,その場合,当該オペレーティングシステムをバージョンアップなど更新をする際には,「従来技術」同様,「新オペレーティングシステムがインストール可能になる前、必ず、最初に、ハードディスク上のパーティション込みの旧オペレーティングシステムおよびすべてのオペレーティングデータが消去され」るはずであるが,本願発明において,新しいオペレーティングシステムがインストールされる際に,どのようにしてユーザデータの消去を回避できるのか,本願明細書のいずれにも記載がなく,当該ユーザデータの消去の回避は,単に,「オペレーティングシステムソフトウエア(13)のユーザデータを、前記印刷機(1)の操業中に、前記別のオペレーティングシステムソフトウエア(18)に引き渡すステップ」を有することのみで実現できるものではなく,主張自体当を得ないものといわざるを得ない。そして,「オペレーティングシステムの書き込み後にユーザデータの引き渡しを行う」ことに関しては,上記主張1に対する判断で示したとおりである。 最後に主張3については,既に上記「2 相違点2について」の項で判断したとおり,本願発明の「インストール」については,「アップデート」とほぼ同義のものとして理解されるべきものであり,一般的な概念としての「インストール」と「アップデート」との違いに基づく主張は,そもそも本願特許請求の範囲の記載はおろか,本願明細書の記載にも基づかない主張であって到底採用できるものではない。 以上の検討から,審判請求人の主張はいずれも採用できるものではなく,また本願発明の構成によってもたらされる効果も,引用発明,並びに引用例2及び引用例3に記載された技術的事項から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって,格別のものとはいえない。 第7 むすび 以上のとおり,本願発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-10-02 |
結審通知日 | 2017-10-10 |
審決日 | 2017-10-23 |
出願番号 | 特願2012-118781(P2012-118781) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 多胡 滋 |
特許庁審判長 |
辻本 泰隆 |
特許庁審判官 |
佐久 聖子 山崎 慎一 |
発明の名称 | オペレーティングシステムソフトウエアのインストール方法 |
代理人 | 前川 純一 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | 上島 類 |
代理人 | 二宮 浩康 |