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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02C
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02C
管理番号 1338054
審判番号 不服2015-9380  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-20 
確定日 2018-03-21 
事件の表示 特願2013-527440「近視の進行を遅らせる方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年3月22日国際公開,WO2012/034265,平成25年9月30日国内公表,特表2013-537317〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 事案の概要
1 手続の経緯
特願2013-527440号(以下「本件出願」という。)は,2010年9月13日を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は,概略,以下のとおりである。
平成25年 9月11日差出:手続補正書
平成26年 5月29日起案:拒絶理由通知書(同年6月3日発送)
平成26年 9月 3日差出:意見書
平成26年 9月 3日差出:手続補正書
平成27年 1月 8日起案:拒絶査定(同年同月20日送達)
平成27年 5月20日差出:手続補正書
平成27年 5月20日差出:審判請求書
平成27年 6月 1日差出:手続補正書
平成28年 4月27日起案:拒絶理由通知書(同年5月10日発送)
(以下,この拒絶理由通知書による拒絶の理由を,「当合議体の拒絶の理由」という。)
平成28年 8月10日差出:手続補正書
(以下,「本件手続補正書」という。)
平成28年 8月10日差出:意見書
(以下,「本件意見書」という。)

2 本願発明
本件出願の特許請求の範囲の請求項1?41に係る発明は,本件手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?41に記載されたとおりのものであるところ,請求項21に係る発明(以下「本願発明」という。)は,次のとおりである。
「 同心多ゾーン多焦点レンズであって,
屈折異常を矯正する光学屈折力の少なくとも2つの矯正ゾーンと,
近視性の眼の成長を抑制するために,網膜の少なくとも中心部の前方に,多数の焦点がずれた像又は焦点がずれた均質でない少なくとも1つの像を投影する漸進的な屈折力プロファイルをそれぞれが有する少なくとも1つの焦点ずれゾーンであり,少なくとも1つのより弱い負の屈折力を有する,少なくとも1つの焦点ずれゾーンと
を含み,
当該同心多ゾーン多焦点レンズ内において前記少なくとも2つの矯正ゾーンと前記少なくとも1つの焦点ずれゾーンとが交互に並んでいる,同心多ゾーン多焦点レンズ。」

3 当合議体の拒絶の理由
当合議体の拒絶の理由のうち,理由2は,概略,(A)本願発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法29条1項3号に該当し,特許を受けることができない,(B)本願発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。



引用例1:特開2008-250316号公報
引用例2:国際公開2010/019397号

第2 当合議体の判断
1 引用例1の記載及び引用発明
(1) 引用例1の記載
本件出願の国際出願日前に頒布された刊行物である引用例1には,以下の記載がある。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズであって,装着者による遠方視期間には装着者に明瞭な像を見せ,且つ近見視期間には眼に近くを視ることに遠近調節させるように装着者の近視視力を矯正するための負の焦点力を有する視力矯正領域と,この視力矯正領域の前記負の焦点力よりも負ではない焦点力を有し,且つ遠方視と近見視との両方の期間には装着者に近視焦点ぼけ像を同時に見せる近視焦点ぼけ領域とを含み,これら視力矯正領域と近視焦点ぼけ領域との何れか一方はコンタクトレンズの中央区域を含み,且つ視力矯正領域と近視焦点ぼけ領域とのうちの他方は,前記中央区域の周りの第2の区域を含むコンタクトレンズ。
【請求項2】
請求項1のコンタクトレンズにおいて,前記視力矯正領域が前記コンタクトレンズの前記中央区域を含み,前記近視焦点ぼけ領域が前記中央区域の周りの第2の区域を含むコンタクトレンズ。
…(省略)…
【請求項7】
請求項2のコンタクトレンズにおいて,第2の領域は,前記視力矯正領域の一部を含む第3の区域により包囲されているコンタクトレンズ。
【請求項8】
請求項7のコンタクトレンズにおいて,第3の領域は,前記焦点ぼけ領域の一部を含む第4の区域により包囲されているコンタクトレンズ。
【請求項9】
請求項8のコンタクトレンズにおいて,第4の領域は,前記視力矯正領域の一部である第5の区域により包囲されているコンタクトレンズ。」

イ 「【0001】
発明の技術分野
本発明は近視の進行を防止若しくは緩和するコンタクトレンズ及び方法に関する。
【0002】
発明の背景
近視(近眼とも称される)は,遠くの物はかすんで見えるが,近くの物は明瞭に見えるという一般的な眼症状である。近視は,その最終的な度合いには個人差があるものの,大概は小児期に進行し,通常は成人早期までに重症度が増大する(これを矯正するためには次第に度の強い眼鏡が必要になる)。
【0003】
近視は一般に眼球の異常な腫大により特徴付けられており,感光組織(眼底の網膜)が眼の光学成分の焦点面から外れるという作用を有する。それ故,遠くの物の像は,網膜の面ではなく,網膜の前方に合焦するようになる。従って遠くの物の像はかすんで見える。重度の近視においては,眼球の著しい腫大が網膜及びそれに関連する血液供給の伸張ももたらすので,眼は網膜剥離,緑内障損傷,及び変性近視網膜症の影響をより被り易くなる。
【0004】
近視の病因の理解は不充分である。遺伝子的要因と環境的要因との両方が関連して影響している個々人の近視の進行には,過度の近見作業(例えば,読書,筆記/描画,ビデオゲーム遊戯その他)が関係していると考えられており,おそらくは,眼を近くに合焦(遠近調節)させようとして長きに亘る筋肉の働きが遠近調節の遅れ(不充分な遠近調節)及び遠視の網膜の焦点ぼけをもたらしている。近視の矯正は負の度付きレンズを必要としており,これは近見作業についてレンズ無しで要求されるよりも更に大きな遠近調節の労力を要する。この大きな労力(ひいては大きな遠近調節の遅延)が近視の進行の悪化に関係しているものとみなされている。
【0005】
国際特許公開公報WO2006/004440号は近視の進行を防止する方法及びコンタクトレンズを開示している。そのコンタクトレンズは視力矯正領域と近視焦点ぼけ領域とを含み,視力矯正領域は使用において装着者による遠方視の期間には装着者の近視視力を矯正して装着者に明瞭な像を見せ,且つ近見視の期間には眼を近くを視るように遠近調節させるためのものであり,近視焦点ぼけ領域は,遠方視と近見視との両方の間(遠近調節は近見視でなされる)は近視焦点ぼけ像も同時に見せるためのものである。近視網膜焦点ぼけは,近視進行の原因となる眼の軸方向異常伸張を抑制し,長時間に亘って近視の進行を緩和,停止或いは逆転させる効果を有する。」

ウ 「【0006】
発明の概要
一つの局面における広義の用語では,本発明はコンタクトレンズを包含し,これは,使用において装着者の近視視力を矯正するための視力矯正領域と,使用において装着者に近視焦点ぼけ像を同時に見せる近視焦点ぼけ領域とを含み,これら視力矯正領域と近視焦点ぼけ領域との何れか一方はコンタクトレンズの中央区域を含み,且つ視力矯正領域と近視焦点ぼけ領域とのうちの他方は,前記中央区域の周りの第二の区域を含む。
【0007】
好ましくは視力矯正領域がレンズの中央区域を含み,近視焦点ぼけ領域が前記中央区域の周りの区域を含む。
【0008】
他の局面における広義の用語では,本発明はヒトの近視の進行を治療又は緩和する方法を包含し,この方法は,一つ又は複数のコンタクトレンズをヒトの一方又は両方の眼に適用するか,或いはヒトのために処方し,そのレンズの各々は使用において装着者の近視視力を矯正するための視力矯正領域と,使用において装着者に近視焦点ぼけ像を同時に見せる近視焦点ぼけ領域とを含み,これら視力矯正領域と近視焦点ぼけ領域との何れか一方はコンタクトレンズの中央区域を含み,且つ視力矯正領域と近視焦点ぼけ領域とのうちの他方は,前記中央区域の周りの第二の区域を含む。
【0009】
更なる局面における広義の用語では,本発明はコンタクトレンズを包含し,これは,遠方視の期間には装着者に明瞭な像を見せ,且つ近見視の期間には眼に近くを視ることに遠近調節させるように装着者の近視視力を矯正するための負の焦点力を有する視力矯正領域と,この視力矯正領域の前記負の焦点力よりも負ではない焦点力を有し,且つ遠方視と近見視との両方の期間には装着者に近視焦点ぼけ像を同時に見せる近視焦点ぼけ領域とを含み,これら視力矯正領域と近視焦点ぼけ領域との何れか一方はコンタクトレンズの中央区域を含み,且つ視力矯正領域と近視焦点ぼけ領域とのうちの他方は,前記中央区域の周りの第二の区域を含む。
【0010】
更なる局面における広義の用語では,本発明はコンタクトレンズを包含し,これは,遠方視期間には装着者に明瞭な像を見せ,且つ近見視期間には眼を近くを視るように遠近調節させる第1の領域と,比較的に小さな焦点力を有し,且つ遠方視と近見視との両方の期間には装着者に近視焦点ぼけ像を同時に見せ(且つ近見視期間中は眼の前記遠近調節がなされる)第2の領域とを含み,これら第1の領域と第2の領域との何れか一方はコンタクトレンズの中央区域を含み,且つ視力矯正領域と近視焦点ぼけ領域とのうちの他方は,前記中央区域の周りの第二の区域を含む。
【0011】
他の局面における広義の用語では,本発明はヒトの近視の進行を抑制する方法を包含し,この方法は,一つ又は複数のコンタクトレンズをヒトの一方又は両方の眼に適用し,そのレンズの各々は,近見視期間には明瞭な網膜像を与えると共に,近見視期間には眼を近くを視ることに遠近調節させる第1の領域と,使用において遠方視と近見視との両方の期間には装着者に近視焦点ぼけ像を同時に見せる(且つ近見視期間中は眼の前記遠近調節がなされる)第2の領域とを含むことにより,遠方視と近見視との両方の期間には装着者の一方又は両方の眼に明瞭な網膜像及び近視焦点ぼけ像を見せる。
【0012】
一つの好ましい実施形態においては,同一或いは実質的に同一の設計又は構造を有する二つのレンズをヒトへ適用する。
【0013】
ヒト,例えば子供(即ち18歳未満)の近視の進行を治療又は緩和する他の方法は,ここに説明した一対のコンタクトレンズを与える段階を含む。この段階は,販売業者又はレンズ装着者に対してコンタクトレンズ製造業者により,或いは医者又はレンズ装着者に対してコンタクトレンズ販売業者により,あるいはレンズ装着者に対して医者により実行することができる。
【0014】
好ましい形態では,コンタクトレンズの第2の区域は第3の区域により囲まれており,中央区域が視力矯正領域であるならば,その第3の区域は好ましくは視力矯正領域の一部を含み,或いは中央区域が近視焦点ぼけ領域であるならば,第3の区域は好ましくは近視焦点ぼけ領域の一部を含む。好ましくは第3の区域は第4の区域により囲まれており,第2の区域が近視焦点ぼけ領域であるならば,この第4の区域は好ましくは近視焦点ぼけ領域の一部を含み,或いは第2の区域が視力矯正領域であるならば,第4の区域は視力矯正領域の一部を含む。第4の区域は選択的に第5の区域を含み,第1及び第3の区域が視力矯正領域であるならば,この第5の区域は好ましくは視力矯正領域の一部であり,或いは第1及び第3の区域が近視焦点ぼけ領域であるならば,第5の区域は近視焦点ぼけ領域の一部である。
【0015】
好ましくはレンズの各区域は,円形外周限界を有する同心円帯を含む。
【0016】
レンズの一つ又は複数の近視焦点ぼけ領域の焦点力は,視力矯正領域の焦点力よりも,負ではない最大5ジオプトリ,負ではない約1ジオプトリと約3ジオプトリとの間に一致するか,例えば視力矯正領域の焦点力よりも負ではない約2ジオプトリである。
【0017】
レンズの一形態によれば,第1及び第2の区域に亘る直径は,明所視条件(例えば約10乃至100cd/m^(2))のもとの10乃至15歳の世代のヒトの眼の瞳の直径に概ね等しい。好ましくは第1乃至第4の区域に亘る直径は,白明視条件(例えば約0.01乃至10cd/m^(2))のもとの10乃至15歳の世代のヒトの眼の瞳の直径に概ね等しい。
【0018】
レンズの他の形態によれば,第1及び第2の区域に亘る直径は,明所視条件(例えば約10乃至100cd/m^(2))のもとの16乃至30歳の世代のヒトの眼の瞳の直径に概ね等しい。好ましくは第1乃至第4の区域に亘る直径は,白明視条件(例えば約0.01乃至10cd/m^(2))のもとの16乃至30歳の世代のヒトの眼の瞳の直径に概ね等しい。
【0019】
好ましくは,白明視条件のもとに視力6/6(スネレン視力)を達成するのに充分な直径とするには,中央区域を視力矯正領域とする。
【0020】
好ましくは中央区域の直径は少なくとも2.2ミリメートル,より好ましくは少なくとも約2.35ミリメートル,又は少なくとも約2.5ミリメートルであり,最適には約2.6ミリメートルと2.7ミリメートルとの間である。
【0021】
好ましくは第2の区域の直径は少なくとも3.3ミリメートル,より好ましくは少なくとも約3.5ミリメートル,又は少なくとも約3.7ミリメートルであり,最適には約3.7ミリメートルと3.8ミリメートルとの間である。
【0022】
好ましくは第3の区域の直径は約5.8ミリメートル未満,より好ましくは少なくとも約5.5ミリメートル未満,約5ミリメートルと5.5ミリメートルとの間,最適には約5.3ミリメートルである。
【0023】
好ましくは第4の区域の直径は約7ミリメートル未満,より好ましくは少なくとも約6.7ミリメートル未満,6ミリメートルと6.7ミリメートルとの間,最適には約6.5ミリメートルである。
【0024】
好ましくは第5の区域の直径は約7ミリメートルよりも大きく,より好ましくは約8.5ミリメートルよりも大きく,約9ミリメートルとしてもよい。
【0025】
中央区域と第2の区域とは概ね等しい面積を有する。第3区域と第4の区域とは概ね等しい面積を有する。」

エ 「【0026】
好ましくは,視力矯正領域はレンズの有効光学部分の全面積の少なくとも約65%を含み,より好ましくは約70%,最も好ましくは約70%と約80%との間,代表的にはレンズの有効光学部分の約75%である。レンズの有効光学部分は,最大に開いたときの瞳を実質的に越えるレンズの最外層部分,例えば最外層担体区域を除き,その最外層担体区域は通常はレンズを眼球上に物理的に位置させるのを助けるために設けられているが,光学的機能は果たさない。好ましくはレンズの有効光学部分は7乃至11ミリメートルの範囲,例えば8乃至10ミリメートルの範囲の径を有し,好ましくは少なくとも8.5ミリメートル,最も好ましくは9ミリメートルである。」

オ 「【0037】
好ましい形態の詳細な説明
図1を参照すると,コンタクトレンズの好ましい形態が示されており,これは符号1で示される中央区域を備え,その中央区域1は装着者の既存の近視視力を矯正する焦点長又は負の焦点力を有する。このレンズは処置領域も備え,これは中央区域1の周りの第2の区域2を含み,且つ矯正領域1よりも比較的に負ではない焦点力を有する。第2の区域2は遠方視と近見視との両方の期間に装着者に近視焦点ぼけ像を同時に見せ,また本明細書においては便宜的に処置区域又は区域とも称される。図1に示すようにレンズの中央光軸に沿ってレンズの前表面を見たとき,中央区域1は円形形状であり,第2区域2は,中央区域1の周囲を囲む環状若しくはリング形状であり,且つ中央区域1と同心円状をなす。」
(当合議体注:図1は,以下の図である。)
【図1】


カ 「【0038】
処置領域は矯正領域よりも焦点力で最大5ジオプトリまで負ではなく,より好ましくは1ジオプトリと3ジオプトリとの間で負ではなく,代表的には約2ジオプトリの差である。本発明の一実施形態においては,中程度の近視を患う特定の被検者についての矯正領域が小さな負の焦点力,例えば1ジオプトリのみを有するならば,処置領域は中立又は低い負の焦点力を持つことが可能である。他の実施形態においては,処置領域は中立又は負であるが,正ではない焦点力を有する。更なる実施形態において,処置領域は常に(矯正領域の焦点力に比べて負ではない)負の焦点力を有する。一例として,屈折力5ジオプトリの視力矯正領域を有するコンタクトレンズは,屈折力3ジオプトリの処置領域を有してもよい。この例において,差は約2ジオプトリである。他の例として,屈折力3ジオプトリの視力矯正領域を有するコンタクトレンズは,屈折力1ジオプトリを有してもよい。この例では,差は約2ジオプトリである。同様な関係は,視力矯正領域と処置領域との間の屈折力差が-5ジオプトリ,-4ジオプトリ,-3ジオプトリ,及び-1ジオプトリであるレンズにも見いだされる。
【0039】
あまり好ましくない代替例として,中央区域1は,近視焦点ぼけ又は治療区域,視力矯正区域を包囲する第2の区域2としてもよい。
【0040】
更に,代替例として,中央区域1又は第2の区域2或いは両方の区域(及び続いて参照する他の区域)は,コンタクトレンズの中心光軸に沿って見たとき非円形形状を持つようにしてもよい。
【0041】
好ましい形態において,第2の区域2は第3の区域3により包囲されており,その第3の区域3は視力矯正領域の一部を含む。区域3は区域1と同一の焦点力を有する。続いて区域3は第4の区域4により包囲されており,第4の区域4は近視焦点ぼけ処置領域の一部を含み,近視焦点ぼけ区域2と同一の焦点力を有する。
【0042】
区域4は第5の区域5により包囲されてもよく,この第5の区域5も視力矯正であり,視力矯正区域1及び3と同一の焦点力を有する。区域1乃至区域5は同心円状である。
【0043】
レンズは,区域5の周りの最外層担持体区域6も含み,これは眼球上にレンズを物理的に定置させるのに役立つが,光学的機能は果たさない。
【0044】
代替的な形態において,処置領域を備える幾つかの又は各々の近視焦点ぼけ区域の焦点力は,互いに異なり,しかも全てレンズの矯正領域の焦点力に比べて負ではなくてもよい。
【0045】
あまり好ましくない代替的な形態においては,区域1,3及び5を装着者に近視焦点ぼけを与える処置領域として,区域2及び4を視力矯正区域としてもよい。
【0046】
中央区域が視力矯正区域であるならば,その径は好ましくは明所視条件下で視力を矯正するのに充分なものとする。」

キ 「【0059】
レンズは当業者には公知の従来の技術を用いて製造でき,これは例えば旋盤,回転注型,又は注型である。特定の実施形態においては,本レンズは旋盤ヒドロゲルレンズであり,重合化ポリメリックシリンダーを形成するように管状型内の組成を形成するヒドロゲルレンズを重合化することにより製造できる。このシリンダーはコンタクトレンズボタンを形成するように処理することができ,これはCNC旋盤又は他の同様な旋盤機を用いて旋盤をかけることができる。旋盤はレンズの光学面を形成するのに用いられる。旋盤がけされたレンズが形成されると,このレンズは更に処理することができ,これは例えばレンズの洗浄,レンズの梱包,レンズの殺菌消毒,又はそれらの任意の組み合わせである。更にレンズは,所望により,その曲率が異なる領域の間の遷移を低減させたければ,研磨することができる。
図3a及び図3bは本発明のレンズの装着及び本発明の方法の効果を図式的に示す。図3aに示す遠方視期間には,遠近調節は緩和されて,遠方の対象の像はレンズの矯正区域Z1を介して網膜Rに合焦するようにされて,明瞭な遠方視を与える。矯正区域Z1を通過する光線は実線で示されており,処置区域Z2を通過する光線は破線で示されている。同時に,遠方の対象からの光はレンズの処置領域Z2を通過して網膜の前方に合焦するようにされて,網膜上に近視焦点ぼけを生じさせる。
【0060】
近見視期間には,図3bに示されるように,眼は遠近調節される。これは図3bには,遠近調節する眼の水晶体Aの表示により概略的に示されている。遠近調節は矯正領域を透過した像を網膜上に合焦させる。この遠近調節はレンズの処置区域Z2を通過する光により形成された同時近視焦点ぼけ網膜像を保持する効果も有する。」

ク 「【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は本発明のコンタクトレンズの好ましい実施形態を前方から見た概略図である。
【図2a】図2aは表1の結果を表すデータをグラフ表示した要約である。
【図2b】図2bは表2.1の結果を表すデータをグラフ表示した要約である。
【図3a】図3aは本発明のコンタクトレンズを用いる近視の進行の処置を示す図である。
【図3b】図3bは本発明のコンタクトレンズを用いる近視の進行の処置を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
1 中央区域
2 第2の区域
3 第3の区域
4 第4の区域
5 第5の区域
6 担持体区域
D1 第1及び第2の区域に亘る径
D2 第1乃至第4の区域に亘る径」

(2) 引用発明
引用例1には,段落【0037】?【0046】とともに,図1のコンタクトレンズが開示されている。また,引用例1の段落【0059】には,コンタクトレンズの製造方法に関して,「更にレンズは,所望により,その曲率が異なる領域の間の遷移を低減させたければ,研磨することができる。」と記載されている。したがって,引用例1には,図1のコンタクトレンズにおいて,曲率が異なる領域の間の遷移を低減させた物としてのコンタクトレンズも,記載されているに等しい。加えて,「近視網膜焦点ぼけ」の役割について,引用例1の段落【0005】には,「近視網膜焦点ぼけは,近視進行の原因となる眼の軸方向異常伸張を抑制し,長時間に亘って近視の進行を緩和,停止或いは逆転させる効果を有する。」と記載されている。
以上踏まえると,引用例1には,以下の発明が記載されている(以下「引用発明」という。)。なお,引用発明の認定に活用した段落番号を併記するとともに,用語及び符号を整理して記載する。
「【0037】中央区域1を備え,その中央区域1は装着者の既存の近視視力を矯正する負の焦点力を有し,
処置領域も備え,これは中央区域1の周りの第2の区域2を含み,かつ視力矯正領域よりも比較的に負ではない焦点力を有し,第2の区域2は遠方視と近見視との両方の期間に装着者に近視網膜焦点ぼけ像を同時に見せ,
【0037】 中央区域1は円形形状であり,第2の区域2は,中央区域1の周囲を囲むリング形状であり,かつ中央区域1と同心円状をなし,
【0038】 処置領域は視力矯正領域よりも焦点力で最大5ジオプトリまで負ではなく,
【0041】 第2の区域2は第3の区域3により包囲されており,その第3の区域3は視力矯正領域の一部を含み,第3の区域3は中央区域1と同一の焦点力を有し,
続いて第3の区域3は第4の区域4により包囲されており,第4の区域4は処置領域の一部を含み,
【0042】 第4の区域4は第5の区域5により包囲され,この第5の区域5も視力矯正領域であり,中央区域1及び第3の区域3と同一の焦点力を有し,中央区域1及び第2の区域2?第5の区域5は同心円状であり,
【0043】 第5の区域5の周りの最外層担持体区域6も含み,これは眼球上にレンズを物理的に定置させるのに役立つが,光学的機能は果たさず,
【0059】 曲率が異なる領域の間の遷移を低減させたコンタクトレンズであって,
【0005】 近視網膜焦点ぼけは,近視進行の原因となる眼の軸方向異常伸張を抑制し,長時間に亘って近視の進行を緩和,停止或いは逆転させる効果を有する,
コンタクトレンズ。」

2 対比及び判断
(1) 対比
ア 矯正ゾーン
引用発明の「コンタクトレンズ」において,「中央区域1は装着者の既存の近視視力を矯正する負の焦点力を有し」,「第3の区域3は視力矯正領域の一部を含み,第3の区域3は中央区域1と同一の焦点力を有し」,「第5の区域5も視力矯正領域であり,中央区域1及び第3の区域3と同一の焦点力を有し」ている。すなわち,引用発明の「中央区域1」,「第3の区域3」及び「第5の区域5」は,いずれも「装着者の既存の近視視力を矯正する負の焦点力を有」する「視力矯正領域」に含まれる。ここで,「装着者の既存の近視視力」は,眼科的にみて「屈折異常」である。また,「視力矯正領域」に含まれる区域は,合計3個である。
したがって,引用発明は,「中央区域1」,「第3の区域3」及び「第5の区域5」からなる「視力矯正領域」において,本願発明の「屈折異常を矯正する光学屈折力の少なくとも2つの矯正ゾーン」を具備する。

イ 焦点ずれゾーン
引用発明の「コンタクトレンズ」は,「処置領域も備え,これは中央区域1の周りの第2の区域2を含み,かつ視力矯正領域よりも比較的に負ではない焦点力を有し,第2の区域2は遠方視と近見視との両方の期間に装着者に近視網膜焦点ぼけ像を同時に見せ」ている。また,引用発明の「コンタクトレンズ」において,「第4の区域4は処置領域の一部を含」んでいる。さらに,引用発明の「近視網膜焦点ぼけは,近視進行の原因となる眼の軸方向異常伸張を抑制し,長時間に亘って近視の進行を緩和,停止或いは逆転させる効果を有する」。
そうしてみると,引用発明の「第2の区域2」及び「第4の区域4」は,いずれも,「近視網膜焦点ぼけ像」により「近視進行の原因となる眼の軸方向異常伸張を抑制し,長時間に亘って近視の進行を緩和,停止或いは逆転させる効果を有する」「処置領域」である。ここで,「近視進行の原因となる眼の軸方向異常伸張」は,眼科的にみて「近視性の眼の成長」である。また,引用発明の「処置領域」の「焦点力」は,「視力矯正領域よりも比較的に負ではない」ものであるから,光学的にみて,「網膜の少なくとも中心部の前方に」,「焦点がずれた」「像を投影する」,「より弱い負の屈折力を有する」ものである。
したがって,引用発明は,「第2の区域2」及び「第4の区域4」からなる「処置領域」において,本願発明の「近視性の眼の成長を抑制するために,網膜の少なくとも中心部の前方に」,「焦点がずれた」「像を投影する」「少なくとも1つの焦点ずれゾーンであり,少なくとも1つのより弱い負の屈折力を有する,少なくとも1つの焦点ずれゾーン」を具備する。

ウ 同心多ゾーン焦点レンズ
引用発明の「コンタクトレンズ」において,「中央区域1及び第2の区域2?第5の区域5は同心円状」である。また,引用発明の「中央区域1」及び「第2の区域2」?「第5の区域5」は,内側から順に,「視力矯正領域」,「処置領域」,「視力矯正領域」,「処置領域」,「視力矯正領域」となっている。
したがって,引用発明の「コンタクトレンズ」は,「中央区域1」及び「第2の区域2」?「第5の区域5」において,本願発明の「前記少なくとも2つの矯正ゾーンと前記少なくとも1つの焦点ずれゾーンとが交互に並んでいる,同心多ゾーン多焦点レンズ」の構成を具備する。

(2) 一致点及び相違点
ア 一致点
本願発明と引用発明は,次の構成で一致する。
「 同心多ゾーン多焦点レンズであって,
屈折異常を矯正する光学屈折力の少なくとも2つの矯正ゾーンと,
近視性の眼の成長を抑制するために,網膜の少なくとも中心部の前方に,焦点がずれた像を投影する少なくとも1つの焦点ずれゾーンであり,少なくとも1つのより弱い負の屈折力を有する,少なくとも1つの焦点ずれゾーンと
を含み,
当該同心多ゾーン多焦点レンズ内において前記少なくとも2つの矯正ゾーンと前記少なくとも1つの焦点ずれゾーンとが交互に並んでいる,同心多ゾーン多焦点レンズ。」

イ 相違点
本願発明と引用発明は,次の相違点で相違する,又は,一応相違する。
(相違点)
本願発明は,「焦点ずれゾーン」に「多数の焦点がずれた像又は焦点がずれた均質でない少なくとも1つの像を投影する漸進的な屈折力プロファイル」を有するのに対して,引用発明は,「遠方視と近見視との両方の期間に装着者に近視網膜焦点ぼけ像を同時に見せ」る「処置領域も備え」,「曲率が異なる領域の間の遷移を低減させたコンタクトレンズ」ではあるが,それ以上は明らかでない点。

(3) 判断
引用例1には,「曲率が異なる領域の間の遷移を低減させたコンタクトレンズ」である引用発明が開示されているので,そのようなものが,どのような「コンタクトレンズ」となるか,検討すると,以下のとおりとなる。
すなわち,引用発明において,「曲率が異なる領域の間の遷移を低減させた」場合,その焦点力は,視力矯正領域の「装着者の既存の近視視力を矯正する負の焦点力」から漸進的に「視力矯正領域よりも焦点力で最大5ジオプトリまで負ではなく」遷移することとなるから,その屈折力プロファイルは,「焦点がずれた均質でない少なくとも1つの像を投影する漸進的な屈折力プロファイル」となる。また,この屈折力プロファイルは,もはや「近視視力を矯正する負の焦点力」とは異なるものであるから,前記(4)イで対比した「焦点ずれゾーン」に該当するものである。換言すると,引用発明の「コンタクトレンズ」の屈折力プロファイルは,視力矯正領域の屈折力から漸進的に視力矯正領域よりも焦点力で最大5ジオプトリまで負ではなく遷移し,そこから漸進的に視力矯正領域の屈折力まで遷移し,さらにそこから漸進的に視力矯正領域よりも焦点力で最大5ジオプトリまで負ではなく遷移し,さらにまたそこから漸進的に視力矯正領域の屈折力まで遷移するものとなる。
以上のとおりであるから,引用例1には,「曲率が異なる領域の間の遷移を低減させたコンタクトレンズ」である引用発明が開示されているところ,そのようなものは,相違点に係る構成を具備するものである。
よって,相違点は,相違点ではない。

あるいは,例えば,引用例2の図2及び図3,並びに,その説明に記載があるように,さらに特表2009-540373号公報(以下「周知例1」という。)の図4及びその説明に記載があるように,加えて,特開2000-122007号公報(以下「周知例2」という。)の図10及びその説明に記載があるように,レンズの屈折率プロファイルを漸進的にすることは,当業者において周知慣用されている。また,周知例1の段落【0015】に「本考案のコンタクトレンズによれば,中心光学ゾーンと周辺光学ゾーンの屈折力の差は8ディオプタ(D=Diopter(s))程度であることが可能であり,中心光学ゾーンと周辺光学ゾーンの接合部分におけるレンズ前面の形状の不連続性が重要となり得る。従って,この接合部分におけるレンズ前面の形状は,異なるゾーンの形状の間の遷移を滑らかにするかつ/またはゾーン間の狭い帯域における屈折力の漸増を可能にする遷移ゾーン(transition zone)を形成することが望ましいと考えられる。しかしながら,遷移ゾーンの目的は,レンズの外面を滑らかにするとともに,短い距離で屈折力が突然変化することによってもたらされる可能性がある光学的なアーチファクトまたは歪みを低減することにある。」と記載があるとおり,曲率が異なる領域の間の遷移を低減させることは,屈折率の設計上でいえば,屈折率プロファイルを漸進的にすることである。
そうしてみると,引用発明の「曲率が異なる領域の間の遷移を低減させたコンタクトレンズ」の構成を具体化するに際して,上記周知慣用技術の屈折率プロファイルを参考にして,漸進的な屈折率プロファイルとし,相違点に係る構成を具備するコンタクトレンズとすることは,当業者が容易に発明できたことである。

(4) 請求人の主張について
請求人は,本件意見書において,概略,引用例1の「遷移」は,本願発明における「焦点ずれゾーン」に対応する領域ではなく,矯正ゾーンと焦点ずれゾーンとの境界に対応するものである,そのため,引用例1には,本願発明における「漸進的な屈折力プロファイルをそれぞれが有する少なくとも1つの焦点ずれゾーン」については,記載も示唆もされていないと主張する。
しかしながら,本件出願の発明の詳細な説明の【課題を解決するための手段】(段落【0007】?【0040】)には,以下の記載がある。
「【0037】
…(省略)…本発明では,望ましくない視覚障害を排除するため,以下の技法が可能である。
(i)焦点ずれゾーンに対して,単一の屈折力の代わりに,ある範囲の複数の屈折力を使用すること
(ii)焦点ずれゾーンに対して,漸進的な(例えば正弦曲線状の)屈折力プロファイルを使用すること
(iii)隣合うゾーン間で,組み込まれた漸進的な遷移曲線を使用すること
(iv)矯正ゾーンの全体にわたって同じ単一の均質な屈折力を維持すること
(v)矯正ゾーンの単一の屈折力と焦点ずれゾーンのピーク屈折力との間のより大きな差を使用すること
【0038】
この漸進的な遷移曲線は,焦点ずれゾーンの漸進的な屈折力プロファイルに組み込まれる。」
本願発明の定義にしたがうならば,隣り合うゾーン間の曲線は,焦点ずれゾーンの漸進的な屈折力プロファイルに組み込まれるものであり,また,矯正ゾーンは,全体にわたって同じ単一の均質な屈折力を維持するものである。したがって,本願発明と引用発明の対比に際し,請求人がいう引用例1の「遷移」は,本願発明の焦点ずれゾーンに含まれるものとして対応付けるべきであり,そうしなければ,本願発明の「焦点ずれゾーン」及び「矯正ゾーン」の用語解釈を誤ったこととなる。
したがって,本願発明における「焦点ずれゾーン」に対応する領域ではないという請求人の主張は採用できない。

そもそも,請求人の主張は,ゾーン設計上の見方の問題にすぎず,コンタクトレンズとしての物の形状に差異をもたらすものとはいえない。

仮に,ゾーン設計上の見方を考慮するとしても,同様である。すなわち,引用例1において,処置領域は,視力矯正領域よりも焦点力で最大5ジオプトリまで負ではない領域とされている。また,引用例1では,段落【0038】において「より好ましくは1ジオプトリと3ジオプトリとの間で負ではなく,代表的には約2ジオプトリの差である」とされ,段落【0044】において「処置領域を備える幾つかの又は各々の近視焦点ぼけ区域の焦点力は,互いに異なり,しかも全てレンズの矯正領域の焦点力に比べて負ではなくてもよい」とされている。したがって,引用発明の処置領域は,「視力矯正領域よりも焦点力で最大5ジオプトリまで負ではなく」,「遠方視と近見視との両方の期間に装着者に近視網膜焦点ぼけ像を同時に見せ」る限りにおいて,適宜の異なる屈折力を取り得るものといえる。これに対して,引用例1において,視力矯正領域は,装着者の既存の近視視力を矯正する負の焦点力を有する区域とされ,所定の屈折力を具備しなければならない。
したがって,仮にゾーンの設計上の見方を考慮するとしても,引用発明の「曲率が異なる領域の間の遷移を低減させたコンタクトレンズ」の構成を具体化するに際して,処置領域において曲率を遷移させるようコンタクトレンズの曲率を設計し,焦点がずれた均質でない少なくとも1つの像を投影する漸進的な屈折力プロファイルを有する処置領域とすることは,当業者における通常創意工夫の範囲内の事項にすぎない。

請求人は,本願出願前において,当業者は,矯正ゾーンと焦点ずれゾーンが交互に並んだレンズにおいて,焦点ずれゾーンの屈折力プロファイルを漸進的にすることによる効果を認識していなかったものと思料するとして,仮に,レンズの屈折率プロファイルを漸進的にすることが周知慣用技術であったとしても,当業者が引用発明に対して,本願発明の条件を満たすように当該周知慣用技術を組み合わせたはずであるという示唆等はいずれの引用文献にも存在しないため,当業者がそのような組み合わせを行う動機づけは存在しないと主張する。
しかしながら,引用例1の段落【0059】には,コンタクトレンズの製造方法に関して,「更にレンズは,所望により,その曲率が異なる領域の間の遷移を低減させたければ,研磨することができる。」と記載されており,この点において,引用発明において周知慣用技術の屈折率プロファイルを参考にして,漸進的な屈折率プロファイルとし,相違点に係る構成を具備するコンタクトレンズとすることには,動機付けがある。

第3 まとめ
本願発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された引用例1に記載された発明であるから,特許法29条1項3号に該当し,特許を受けることができないものである。あるいは,本願発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-10-31 
結審通知日 2016-11-01 
審決日 2016-11-15 
出願番号 特願2013-527440(P2013-527440)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (G02C)
P 1 8・ 121- WZ (G02C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤岡 善行  
特許庁審判長 藤原 敬士
特許庁審判官 鉄 豊郎
樋口 信宏
発明の名称 近視の進行を遅らせる方法及びシステム  
代理人 野田 雅一  
代理人 池田 正人  
代理人 池田 成人  
代理人 山口 和弘  
代理人 城戸 博兒  

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