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審決分類 審判 全部申し立て 特174条1項  H04N
審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  H04N
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  H04N
審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H04N
管理番号 1338128
異議申立番号 異議2016-700276  
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-04-06 
確定日 2018-02-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5789887号発明「ドットコードを用いたデータ入力/出力方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第5789887号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、4〕、3、〔5、6、8、9〕、7について訂正することを認める。 特許第5789887号の請求項1、2、4、5、6、8、9に係る特許を維持する。 特許第5789887号の請求項3、7に係る特許異議の申立てを却下する。 
理由 1 手続の経緯
本件特許第5789887号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし請求項9に係る特許についての出願は、平成24年3月28日(パリ条約による優先権主張2012年1月21日 中国、2012年1月21日 中国)の出願である特願2012-73891号の一部を平成25年11月12日に新たな出願としたものであって、平成27年8月14日に特許権の設定登録(特許公報発行日 平成27年10月7日)がされた。
これに対して、平成28年4月6日に特許異議申立人の株式会社I・Pソリューションズにより請求項1ないし請求項9に対して特許異議の申立てがなされたものであり、その後の手続の経緯は、以下のとおりである。

平成28年 4月 6日 特許異議の申立て(特許異議申立人)
平成28年 6月17日 取消理由通知(合議体)
平成28年 9月21日 意見書の提出及び訂正請求(特許権者)
平成28年11月28日 意見書の提出(特許異議申立人)
平成29年 1月10日 取消理由<決定の予告>通知(合議体)
平成29年 4月13日 意見書の提出及び訂正請求(特許権者)
平成29年 6月29日 意見書の提出(特許異議申立人)
平成29年 8月24日 取消理由<決定の予告>通知(合議体)
平成29年11月27日 意見書の提出及び訂正請求(特許権者)

2 訂正の適否
2.1 訂正請求の要旨
平成28年9月21日付け、平成29年4月13日付けの訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。

そして、平成29年11月27日付けの訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)により特許権者が請求する訂正は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?9について請求項ごとに訂正することを求めるというものである。

2.2 訂正事項
2.2.1 一群の請求項1?4に係る訂正
2.2.1.1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「それぞれが、十字型に排列された複数のラベルエリアとそれぞれ1つの候補2進コードを表す複数のデータエリアとを備え、マトリックスに排列された複数のバーチャルブロックと、」とあるのを、
「それぞれが、十字型に排列された複数のラベルエリアを一部とする中央ラベル部と、それぞれが1つの候補2進コードを表す複数のデータエリアであるコーナービットエリアと、を備え、マトリックスに排列された複数のバーチャルブロックであって、
前記マトリックスにおいて行方向又は列方向に連続する2つの前記バーチャルブロックにおいて、2つの前記コーナービットエリア間は隣接し、2つの前記中央ラベル部間は隣接しない、
複数のバーチャルブロックと」に訂正する。(下線は、訂正箇所である。以下同様。)

2.2.1.2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記複数のラベルエリア及び前記複数のデータエリアのうちの1つにこれらのエリアを塗りつぶさないように設置されたビットドットと、を含み、前記」とあるのを、
「前記複数のバーチャルブロックのそれぞれごとに、前記複数のラベルエリア及び前記複数のデータエリアのうちの1つにこれらのエリアを塗りつぶさないように設置されたビットドットと、を含み、
前記」に訂正する。

2.2.1.3 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

2.2.2 一群の請求項5?9に係る訂正
2.2.2.1 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に、
「ドットコードを生成するエリアを定義し、
前記エリアを複数のブロックに区分し、
それぞれの前記ブロックを複数のビットエリアに区分し、
前記ビットエリアの一部を選択してラベルエリアとし、その他部分のビットエリアをデータエリアとし、
前記ラベルエリア及び前記データエリアのうちの一つにこれらのエリアを塗りつぶさないようにビットドットを設置し、
前記データエリアに位置するビットドットが、前記各データエリアに対応する候補2進コードに基づいて、前記ブロックが表す2進コードを定義し、
少なくとも2つの前記ビットドットが、それぞれ予め定められた位置の前記ブロックの前記ラベルエリアに位置して、パターンを固定するラベルを構成し、
所定パターン排列に基づいて、前記ビットドットを有する前記ドットコードの生成エリアを重複的に排列したドットコード生成方法。」とあるのを、
「ドットコードを生成するエリアを定義し、
前記エリアを、マトリックスに排列された複数のブロックに区分し、
それぞれの前記ブロックを複数のビットエリアに区分し、
前記ビットエリアの一部を選択して、十字型に排列されたラベルエリアを一部とする中央ラベル部とし、その他部分のビットエリアを、データエリアであるコーナービットエリアとし、
前記ラベルエリア及び前記データエリアのうちの一つにこれらのエリアを塗りつぶさないようにビットドットを設置し、
前記データエリアに位置するビットドットが、前記各データエリアに対応する候補2進コードに基づいて、前記ブロックが表す2進コードを定義し、
少なくとも2つの前記ビットドットが、それぞれ予め定められた位置の前記ブロックの前記ラベルエリアに位置して、パターンを固定するラベルを構成し、
所定パターン排列に基づいて、前記ビットドットを有する前記ドットコードの生成エリアを重複的に排列したドットコード生成方法において、
前記マトリックスにおいて行方向又は列方向に連続する2つの前記ブロック間において、2つの前記コーナービットエリア間は隣接し、2つの前記中央ラベル間は隣接しない、ドットコード生成方法。」に訂正する。

2.2.2.2 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7を削除する。

2.3 訂正の適否の判断
2.3.1 一群の請求項1?4に係る訂正
2.3.1.1 一群の請求項について
訂正事項1?3に係る訂正前の請求項1?4について、請求項2?4は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1、2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1?4に対応する訂正後の請求項1?4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

2.3.1.2 訂正の目的
2.3.1.2.1 訂正事項1
訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の、「複数のラベルエリア」と「複数のデータエリア」とを備えた「複数のバーチャルブロック」という構成を、「複数のラベルエリアを一部とする中央ラベル部」と「複数のデータエリアであるコーナービットエリア」とを備えた「複数のバーチャルブロック」という構成に訂正して、複数のバーチャルブロックに備えられた複数のラベルエリアが中央ラベル部の一部であり、複数のデータエリアがコーナービットエリアであることに限定している。
また、「前記マトリックスにおいて行方向又は列方向に連続する2つの前記バーチャルブロックにおいて、2つの前記コーナービットエリア間は隣接し、2つの前記中央ラベル部間は隣接しない」という構成を追加して、複数のバーチャルブロックにおけるコーナービットエリア間、中央ラベル部間の排列関係を限定している。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

2.3.1.2.2 訂正事項2
訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「前記複数のラベルエリア及び前記複数のデータエリアのうちの1つにこれらのエリアを塗りつぶさないように設置されたビットドットと、を含み、」という構成を、「前記複数のバーチャルブロックのそれぞれごとに、前記複数のラベルエリア及び前記複数のデータエリアのうちの1つにこれらのエリアを塗りつぶさないように設置されたビットドットと、を含み、」という構成に訂正するものである。
訂正前の特許請求の範囲の請求項1では、複数のバーチャルブロックが備える、「複数のラベルエリア」と「複数のデータエリア」のうちの「1つ」にビットドットを含むとしていることから、ビットドットを含まないバーチャルブロックを許容する記載となり、明細書又は図面の記載(各バーチャルブロックのラベルエリア又はデータエリアに必ずビットドットを含む構成)と整合しない場合のある不明確な記載となっていた。
これに対し、訂正事項2により、「前記複数のバーチャルブロックのそれぞれごとに」ビットドットを含むと訂正したことにより、各バーチャルブロックにおける、「複数のラベルエリア及び複数のデータエリアのうち1つ」に必ずビットドットを含む構成であることが明瞭となったことから、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

2.3.1.2.3 訂正事項3
訂正事項3は、特許請求の範囲の請求項3を削除するものであるから、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

2.3.1.3 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
2.3.1.3.1 訂正事項1
「十字型に排列された複数のラベルエリアを一部とする中央ラベル部」については、明細書の段落0056の「また、図14Cを参照すると、図14Cは、図14Bのバーチャルブロックの変形実施形態の概略図である。図に示すように、バーチャルブロックの中央ラベル部は、さらに複数のラベルエリアCL-1?CL-9に区分されるため、中央ラベル部に設置されるビットドットdは、ラベルエリアCL-1?CL-9の中の1つに選択的に配置されてもよい。そのうち、ラベルエリアCL-2、CL-4、CL-5、CL-6、CL-8は、十字形に排列され、ビットドットdは、さらにラベルエリアCL-2、CL-4、CL-5、CL-6、CL-8の中の1つに選択的に配置されてもよい。」との記載、及び、図14Cに基づくものである。

「それぞれが1つの候補2進コードを表す複数のデータエリアであるコーナービットエリア」については、明細書の段落0051の「コーナービットエリアCB-1?CB-4は、それぞれ1つの候補2進コードを表し、図14Bに示すように、コーナービットエリアCB-1は、候補2進コード00を表し、コーナービットエリアCB-2は、候補2進コード01を表し、コーナービットエリアCB-3は、候補2進コード10を表し、コーナービットエリアCB-4は、候補2進コード11を表す。」との記載、及び、図14Bに基づくものである。

「前記マトリックスにおいて行方向又は列方向に連続する2つの前記バーチャルブロックにおいて、2つの前記コーナービットエリア間は隣接し、2つの前記中央ラベル部間は隣接しない」については、明細書の段落0050の「図14Aに示したバーチャルブロック140Aを例とすると、バーチャルブロック140Aは、1つの中央ラベル部CLと、4つのコーナービットエリアCB-1?CB-4に分割される。図からはっきり分かるように、コーナービットエリアCB-1?CB-4は、中央ラベル部CLを取り囲んでいるため、ドットコード14中の全ての中央ラベル部CLは、互いに隣接しない。」との記載、及び、図14Aに示される連続する2つのバーチャルブロックの2つのコーナービットエリア間の関係、符号CL(中央ラベル部)の排列関係に基づくものである。

したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

2.3.1.3.2 訂正事項2
まず、明細書の段落0007には、「ドットコードは、データ部と、ラベル部とを含み」と記載されている。
そして、データ部に関し、段落0008には、「各第1ブロックは、それぞれ第1ビットドットを有し、且つ各第1ビットドットは、第1ラベルエリア以外の中の1つの第1ビットエリア内に設置される。」と記載され、段落0030には、「各第1ブロック110は、いずれも1つの第1ビットドットのみを有し、且つ第1ビットドットは、第1データエリアの4つの第1ビットエリア112a、112c、112g、112iの中の1つに設置されなければならない」と記載され、図5、図7のように図示されている。
さらに、ラベル部に関し、段落0009には、「各第2ブロックは、それぞれ第2ビットドットを有し、且つ各第2ビットドットは、第2ラベルエリア以内の中の1つの第2ビットエリア内に選択的に設置される。」と記載され、段落0033には、「各第2ブロック210A?210Gは、いずれも1つの第2ビットドットのみを有し、本実施形態において、第2ブロック210A?210Gの第2ビットドットは、第2ラベルエリア214内のビットエリアに設置されなければならない。」と記載され、図5、図8のように図示されている。
このように、本件特許の明細書には、データ部を構成する第1ブロック及びラベル部を構成する第2ブロックのそれぞれのバーチャルブロックごとに、複数のラベルエリア及び複数のデータエリアのうちの1つにビットドットを設置することが記載されている。
そして、図14A?図14Cに係る変形実施例においても、上述の記載、図14A?14Cの記載及び段落0053の記載から、バーチャルブロックがそれぞれごとにビットドットを含むことは明らかである。

したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

2.3.1.3.3 訂正事項3
訂正事項3は、訂正前の特許請求の範囲の請求項3を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

2.3.1.4 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
2.3.1.4.1 訂正事項1
訂正事項1は、バーチャルブロックを限定的に減縮するものであり、発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載を引用する訂正前の請求項2?4の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記のように、訂正後の請求項1の記載は、訂正前の請求項1との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。また、訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2?4の記載について何ら訂正するものではなく、訂正前の請求項2?4に係る発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、訂正前の請求項2?4との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。

2.3.1.4.2 訂正事項2
訂正事項2は、請求項1における明細書又は図面の記載と整合しない場合のある不明確な記載を明細書又は図面の記載に整合させるものであり、発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
訂正事項2は、訂正前の請求項1の記載を引用する訂正前の請求項2?4の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記のように、訂正後の請求項1の記載は、訂正前の請求項1との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。また、訂正事項2は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2?4の記載について何ら訂正するものではなく、訂正前の請求項2?4に係る発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、訂正前の請求項2?4との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。

2.3.1.4.3 訂正事項3
訂正事項3は、請求項3を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

2.3.2 一群の請求項5?9に係る訂正
2.3.2.1 一群の請求項について
訂正事項4、5に係る訂正前の請求項5?9について、請求項6?9は請求項5を引用しているものであって、訂正事項4によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項5?9に対応する訂正後の請求項5?9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

2.3.2.2 訂正の目的
2.3.2.2.1 訂正事項4
訂正事項4は、訂正前の特許請求の範囲の請求項5の、「複数のブロック」という構成を、「マトリックスに排列された複数のブロック」という構成に訂正し、複数の「ブロック」に関し、「マトリックスに排列された」複数のブロックであることに限定している。
また、「ラベルエリア」、「データエリア」という構成を、「十字型に排列されたラベルエリアを一部とする中央ラベル部」、「データエリアであるコーナービットエリア」という構成に訂正し、「ラベルエリア」に関し、「十字型に排列され」、「中央ラベル部」の一部であることに限定し、「データエリア」に関し、コーナービットエリアであることに限定している。
そして、「前記マトリックスにおいて行方向又は列方向に連続する2つの前記ブロックにおいて、2つの前記コーナービットエリア間は隣接し、2つの前記中央ラベル部間は隣接しない」という構成を追加して、複数のバーチャルブロックにおけるコーナービットエリア間、中央ラベル部間の排列関係を限定している。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

2.3.2.2.2 訂正事項5
訂正事項5は、特許請求の範囲の請求項7を削除するものであるから、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

2.3.2.3 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
2.3.2.3.1 訂正事項4
「マトリックスに排列された複数のブロック」の記載については、明細書の段落0026の「・・・これらのブロックは、マトリックス(Matrix)に排列され、」との記載に基づくものである。

「十字型に排列されたラベルエリアを一部とする中央ラベル部」については、明細書の段落0056の「また、図14Cを参照すると、図14Cは、図14Bのバーチャルブロックの変形実施形態の概略図である。図に示すように、バーチャルブロックの中央ラベル部は、さらに複数のラベルエリアCL-1?CL-9に区分されるため、中央ラベル部に設置されるビットドットdは、ラベルエリアCL-1?CL-9の中の1つに選択的に配置されてもよい。そのうち、ラベルエリアCL-2、CL-4、CL-5、CL-6、CL-8は、十字形に排列され、ビットドットdは、さらにラベルエリアCL-2、CL-4、CL-5、CL-6、CL-8の中の1つに選択的に配置されてもよい。」との記載、及び、図14Cに基づくものである。

「その他の部分のビットエリアを、データエリアであるコーナービットエリア」については、明細書の段落0050の「図14Aに示したバーチャルブロック140Aを例とすると、バーチャルブロック140Aは、1つの中央ラベル部CLと、4つのコーナービットエリアCB-1?CB-4に分割される。」との記載、及び、図14Aの中央ラベル部以外のビットエリア(その他の部分のビットエリア)はコーナービットエリアであることに基づくものである。

「前記マトリックスにおいて、行方向又は列方向に連続する2つの前記ブロックにおいて、2つの前記コーナービットエリア間は隣接し、2つの前記中央ラベル部間隣接しない」については、明細書の段落0050の「図からはっきり分かるように、コーナービットエリアCB-1?CB-4は、中央ラベル部CLを取り囲んでいるため、ドットコード14中の全ての中央ラベル部CLは、互いに隣接しない。」との記載、及び、図14Aに示される連続する2つのバーチャルブロックの2つのコーナービットエリア間の関係、符号CL(中央ラベル部)の排列関係に基づくものである。

したがって、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

2.3.2.3.2 訂正事項5
訂正事項5は、訂正前の特許請求の範囲の請求項7を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。

2.3.2.4 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
2.3.2.4.1 訂正事項4
訂正事項4は、ブロックを限定的に減縮するものであり、発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
訂正事項4は、訂正前の請求項5の記載を引用する訂正前の請求項6?9の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記のように、訂正後の請求項5の記載は、訂正前の請求項5との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。また、訂正事項4は、訂正前の請求項5の記載以外に、訂正前の請求項6?9の記載について何ら訂正するものではなく、訂正前の請求項6?9に係る発明のカテゴリーや発明の対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項4は、訂正前の請求項6?9との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではない。

2.3.2.4.2 訂正事項5
訂正事項5は、請求項7を削除するというものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。

2.4 むすび
以上のとおり、本件訂正請求は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的としており、かつ、同条第4項及び同条第9項で準用する同法第126条第5項から第6項までの規定に適合している。

また、特許権者から、訂正後の請求項3についての訂正が認められるときは請求項1とは別途訂正することの求め、及び、訂正後の請求項7についての訂正が認められるときは請求項5とは別途訂正することの求めがあったことから、訂正後の請求項3及び請求項7については請求項ごとに訂正することを認める。
したがって、訂正後の請求項〔1、2、4〕、3、〔5、6、8、9〕、7についての訂正を認める。

3 特許異議の申立てについて
3.1 本件訂正発明
本件訂正請求により訂正された本件特許請求の範囲の請求項1?請求項9に係る発明(以下、項番にしたがい「本件訂正発明1」?「本件訂正発明9」という。)は、本件訂正請求書に添付した特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
なお、説明のために、本件訂正発明1、5については、(1A-1)ないし(1E)、(5A-1)ないし(5G)の記号を当審において付与した。以下、構成1A-1、構成1B等と称することにする。

【請求項1】
(1A-1)それぞれが、十字型に排列された複数のラベルエリアを一部とする中央ラベル部と、それぞれが1つの候補2進コードを表す複数のデータエリアであるコーナービットエリアと、を備え、マトリックスに排列された複数のバーチャルブロックであって、
(1A-2)前記マトリックスにおいて行方向又は列方向に連続する2つの前記バーチャルブロックにおいて、2つの前記コーナービットエリア間は隣接し、2つの前記中央ラベル部間は隣接しない、
複数のバーチャルブロックと、
(1B)前記複数のバーチャルブロックのそれぞれごとに、前記複数のラベルエリア及び前記複数のデータエリアのうちの1つにこれらのエリアを塗りつぶさないように設置されたビットドットと、を含み、
(1C)前記データエリアに設置された前記ビットドットが、前記各データエリアに対応する前記候補2進コードに基づいて、前記各バーチャルブロックが表す2進コードを定義し、
(1D)少なくとも2つの前記ビットドットが、それぞれ予め定められた位置の前記バーチャルブロックの前記ラベルエリアに位置して、パターンを固定するラベルを構成するために用いられる
(1E)インジケータデータであるドットコード。
【請求項2】
前記ラベルが、L型となる請求項1記載のインジケータデータであるドットコード。
【請求項3】 (削除)
【請求項4】
前記ラベルにより、前記各バーチャルブロックが表す前記2進コードの排列の順序を決定する請求項1記載のインジケータデータであるドットコード。
【請求項5】
(5A-1)ドットコードを生成するエリアを定義し、
(5A-2)前記エリアを、マトリックスに排列された複数のブロックに区分し、
(5A-3)それぞれの前記ブロックを複数のビットエリアに区分し、
(5A-4)前記ビットエリアの一部を選択して、十字型に排列されたラベルエリアを一部とする中央ラベル部とし、その他部分のビットエリアを、データエリアであるコーナービットエリアとし、
(5B)前記ラベルエリア及び前記データエリアのうちの一つにこれらのエリアを塗りつぶさないようにビットドットを設置し、
(5C)前記データエリアに位置するビットドットが、前記各データエリアに対応する候補2進コードに基づいて、前記ブロックが表す2進コードを定義し、
(5D)少なくとも2つの前記ビットドットが、それぞれ予め定められた位置の前記ブロックの前記ラベルエリアに位置して、パターンを固定するラベルを構成し、
(5E)所定パターン排列に基づいて、前記ビットドットを有する前記ドットコードの生成エリアを重複的に排列したドットコード生成方法において、
(5F)前記マトリックスにおいて行方向又は列方向に連続する2つの前記ブロックにおいて、2つの前記コーナービットエリア間は隣接し、2つの前記中央ラベル部間は隣接しない、
(5G)ドットコード生成方法。
【請求項6】
前記ラベルが、L型となる請求項5記載のドットコード生成方法。
【請求項7】 (削除)
【請求項8】
前記ラベルにより、前記各ブロックが表す前記2進コードの排列の順序を決定する請求項5記載のドットコード生成方法。
【請求項9】
前記所定パターン排列がマトリックスである請求項5記載のドットコード生成方法。

3.2 取消理由の概要
3.2.1 平成28年6月17日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨
訂正前の請求項1?9に係る特許発明に対して平成28年6月17日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)請求項3、7に係る特許発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(2)請求項1?4に係る特許発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(3)請求項1?9に係る特許発明は、甲第4号証(特開2010-206433号公報)、甲第5号証(特開2007-288756号公報)、甲第6号証(特開2004-166177号公報)、甲第7号証(国際公開第2004/084125号)、甲第8号証(特開平10-261058号公報)、甲第9号証(特開平10-257309号公報)、甲第10号証(ワークスコーポレーション エデュケーション編集部、「DTP&印刷しくみ事典」、初版、株式会社ワークスコーポレーション、2005年9月7日発行、169頁)、甲第11号証(富士写真フイルム株式会社 印刷システム部、「誰でもわかる「新・印刷のできるまで」」、第2版、印刷学会出版部、2000年11月10日発行、136頁)の刊行物に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.2.2 平成29年1月10日付けで特許権者に通知した取消理由<決定の予告>の要旨
平成28年9月21日付けで訂正された請求項1?9に係る特許発明に対して平成29年1月10日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)請求項1、2、4、5、6、8、9に係る特許発明は、甲第4号証ないし甲第7号証(各甲号証の刊行物名については、上記3.2.1(3)を参照のこと。)の刊行物に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.2.3 平成29年8月24日付けで特許権者に通知した取消理由<決定の予告>の要旨
平成29年4月13日付けで訂正された請求項1?9に係る特許発明に対して平成29年8月24日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)請求項1、2、4、5、6、8、9に係る特許発明は、甲第4号証ないし甲第7号証(各甲号証の刊行物名については、上記3.2.1(3)を参照のこと。)の刊行物に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)請求項5、6、8、9に係る特許発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

3.3 異議申立人が、進歩性欠如に基づく無効理由の証拠として提示した甲第4号証?甲第11号証について
3.3.1 甲第4号証
3.3.1.1 甲第4号証に記載された事項
甲第4号証(特開2010-206433号公報)には、「情報埋込装置、情報認識装置、情報埋込方法、情報認識方法、情報埋込プログラム、情報認識プログラム及び情報埋込印刷媒体」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、説明のために、下線を当審において付与した。

【0012】
前記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、埋め込み媒体となる画像情報を入力する画像情報取得手段と、前記画像に埋め込む付加情報を、印刷スクリーンの特性を併せ持つパターン認識可能な幾何学的又は物理的な情報埋め込みコードとしたスクリーンコードの画像パターン群に変換するスクリーンコード変換手段と、前記画像パターン群によって地紋画像情報を構成する地紋画像情報構成手段と、前記入力した画像情報が地紋画像情報と重畳して出力する手段或いはただ地紋画像情報を出力する手段のうち、少なくとも一つの手段によりなされる新しい画像情報出力手段を備えたことを特徴とする。

【0047】
「情報埋め込みオーバレイ方式」とは、スクリーンコードをマトリクス配置することによって、地紋を構成し、また、構成された地紋を印刷画像情報と重ねることによって、該当領域の中に付加情報を埋め込むことである。

【0067】
地紋画像情報構成ステップとは、前記画像パターン群によって地紋画像情報を構成する。ここで、印刷画像情報に対して、該当領域の中で画像パターン群を順番に並べ、地紋画像情報を構成する、該当領域以外のところ、関係ないスクリーンコードを埋め込むか、又は何も埋め込まないか、いずれか1つの方法を決めて処理する。

【0074】
図3にスクリーンコードの網点ドット数を1とするスクリーンコードを示す。図3において、301を情報ドットとし、302を網点ドットを1とする4進制のマルチビットのスクリーンコードとし、303を情報ドット301の配置可能な領域とする。情報ドット301が幾何学的な異なる位置の配置或いは配置可能な領域303の中心に対して網点ドットの異なる角度の配置によって情報を記述すること、また、異なる形状によって情報を記述することを考えている。
例えば、図3において、(a)のドットパターンをマルチビット値0、(b)のドットパターンをマルチビット値1、(c)のドットパターンをマルチビット値2、(d)のドットパターンをマルチビット値3とし、(e)のドットパターンを、位置情報行を構成するドットパターンとし、fのドットパターンを、位置情報列を構成するドットパターンとする。
情報記述効率の定義により、図3のようなスクリーンコードの情報記述効率が2を算出することができる。

【0082】
図3の例を参考して、配置可能な領域303を拡大し、情報ドット301のいろいろな異なる位置、角度、位相変調や搬送方向などの配置によって、16進制又は32進制以上のマルチビットのスクリーンコードを構成することも可能である。
【0083】
図5はスクリーンコードの画像パターン群形式を示す。
図5において、図3に示された網点ドット数を1とする4進制のマルチビットのスクリーンコードを、スクリーンの特性に基づいて複数のスクリーンコードを画像パターン群として、マトリクス配置することによって地紋を構成するスクリーンコード網点の配置の例を示している。501を情報ドットとし、502を網点ドット数1のスクリーンコードとし、503を情報ドット501の配置可能な位置とする。
【0084】
図5に示すように、画像パターン群の中で、S_(11)、S_(12)、S_(13)、S_(14)、S_(15)及びS_(16)をメイン垂直基準ドット行とし、S_(21)、S_(31)、S_(41)、S_(51)及びS_(61)をメイン水平基準ドット列とし、S_(42)、S_(43)、S_(45)及びS_(46)をサブ垂直基準ドット行とし、S_(24)、S_(34)、S_(44)、S_(54)及びS_(64)をサブ水平基準ドット列とする。
ここで、メイン垂直基準ドット行S_(11)、S_(12)、S_(13)、S_(14)、S_(15)及びS_(16)がサブ垂直基準ドット行S_(42)、S_(43)、S_(45)及びS_(46)と比べると、S_(11)の網点ドットが真ん中に配置している、S_(41)の網点ドットが網点の一番右に配置している、S_(14)の網点ドットが真ん中に配置している、S_(44)の網点ドットが網点の一番左に配置している。また、メイン水平基準ドット列S_(21)、S_(31)、S_(41)、S_(51)及びS_(61)がサブ水平基準ドット列S_(24)、S_(34)、S_(44)、S_(54)及びS_(64)と比べると、メイン水平基準ドット列S_(21)、S_(31)、S_(51)及びS_(61)が網点の一番左に配置している、サブ水平基準ドット列S_(24)及びS_(34)の網点ドットが真ん中に配置している、S_(54)及びS_(64)の網点ドットが一番右に配置している。上記のメイン垂直基準ドット行がサブ垂直基準ドット行との異なること、メイン水平基準ドット列がサブ水平基準ドット列との異なることによって、画像パターン群の方向情報として認識することができる。
S_(22)、S_(23)、S_(25)、S_(26)、S_(32)、S_(33)、S_(35)、S_(36)、S_(52)、S_(53)、S_(55)、S_(56)、S_(62)、S_(63)、S_(65)及びS_(66)をそれぞれ2ビットの情報を表わすスクリーンコードとする、この16個スクリーンコードを用いて、32ビット情報を記述することができる。

【0094】
網点ドットの位相変調によって情報記述する特徴を利用して、スクリーンコードのコード値を認識する場合に、図6に示されるように新しい画像パターン群を構成することができる。図6において、画像パターン群の中で、S_(11)、S_(12)、S_(13)、S_(14)及びS_(15)を垂直基準ドット行とし、S_(21)、S_(31)、S_(41)及びS_(51)を水平基準ドット列とする。
S_(22)、S_(23)、S_(24)、S_(25)、S_(32)、S_(33)、S_(34)、S_(35)、S_(42)、S_(43)、S_(44)、S_(45)、S_(52)、S_(53)、S_(54)及びS_(55)を、図4に示した画像パターン群と同じように、それぞれ2ビットの情報を表わすスクリーンコードとする、この16個スクリーンコードを用いて、32ビット情報を記述することができる。
ここで、水平基準ドット列が垂直基準ドット行と区別するために、S_(41)及びS_(51)の配置基準ドットを右側の配置とする。
また、網点ドットの位相変調によって情報記述する特徴を利用したので、1つの水平基準ドット列と1つの垂直基準ドット行を使って各スクリーンコードのコード値を認識することが可能である。


3.3.1.2. 甲第4号証に記載された発明
上記甲第4号証の記載事項及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して甲第4号証に記載された発明を認定する。

(1)段落0094及び図6には、複数のスクリーンコードが5行5列に配置された画像パターン群について記載されている。ここで、段落0047に記載されるように、画像パターン群は、複数のスクリーンコードを用いて記述した付加情報を埋め込むことのできるものである。

(2)段落0074、0082?0084及び図3の記載によれば、各スクリーンコードは、網点ドットが配置可能な3×3の領域及び網点ドットが配置可能な3×3の領域を囲む網点ドットが配置されない領域を備えている。

(3)段落0094及び図6において示される、5行5列のスクリーンコードのうち、垂直基準ドット行にあるスクリーンコード(1行目にある5つの横に並んだスクリーンコードS_(11)、S_(12)、S_(13)、S_(14)及びS_(15))、及び、水平基準ドット列にあるスクリーンコード(1列目にある4つの縦に並んだスクリーンコードS_(21)、S_(31)、S_(41)及びS_(51))では、網点ドットが配置可能な3×3の領域の中央行の一字型の位置のいずれかに、網点ドットが配置されている。
そして、段落0094には、「1つの水平基準ドット列と1つの垂直基準ドット行を使って各スクリーンコードのコード値を認識することが可能」であると記載されているから、垂直基準ドット行と水平基準ドット列の複数のスクリーンコードは、それらの網点ドットにより、垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある各スクリーンコード(S_(22)、S_(23)、S_(24)、S_(25)、S_(32)、S_(33)、S_(34)、S_(35)、S_(42)、S_(43)、S_(44)、S_(45)、S_(52)、S_(53)、S_(54)及びS_(55))のコード値、すなわち、2ビットの情報を認識するために用いられている。

(4)図6においては、上記5行5列のスクリーンコードのうち、垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にあるスクリーンコードでは、網点ドットが配置可能な領域の四隅の位置のいずれかに、網点ドットが配置されている。
そして、段落0074及び図3の記載から、各スクリーンコードは、網点ドットが前記四隅の位置に応じた2ビットの情報を表している。さらに、段落0094には、垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある4行4列の16個のスクリーンコードを用いて32ビットの情報が記述されることが記載されている。すなわち、複数のスクリーンコードが5行5列配置されて構成される画像パターン群は、32ビットの情報を記述するものである。

(5)また、上記5行5列のスクリーンコードは、図6に示されるように、水平方向又は垂直方向に連続し、隣り合うスクリーンコードの前記網点ドットが配置可能な領域の四隅の位置と中央行の一字型の位置は、スクリーンコードに網点ドットが配置可能な3×3の領域を囲む網点ドットが配置されない領域があるために、隣接していない。

以上より、甲第4号証には、次の発明(以下、「甲4発明1」という。)が記載されていると認められる。なお、説明のために(1a-1)ないし(1e)の記号を当審において付与した。以下、構成1a-1、構成1b等と称することにする。

(甲4発明1)
(1a-1)それぞれが、網点ドットが配置可能な3×3の領域と、網点ドットが配置可能な3×3の領域を囲む網点ドットが配置されない領域を備え、垂直基準ドット行または水平基準ドット列にある場合に網点ドットが配置される複数の位置であって、網点ドットが配置可能な3×3の領域の中央行の一字型の位置と、垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある場合に網点ドットが配置される複数の位置であって、網点ドットが配置可能な3×3の領域の四隅の位置と、を備え、5行5列に配置された複数のスクリーンコードであって、
(1a-2)5行5列において水平方向又は垂直方向に連続する2つのスクリーンコードにおいて、網点ドットが配置可能な3×3の領域を囲む網点ドットが配置されない領域があるために、2つの四隅の位置間、2つの中央行の一字型の位置間は隣接しない、複数のスクリーンコードと、
(1b)複数のスクリーンコードのそれぞれごとに、中央行の一字型の位置及び四隅の位置のうちの1つに配置された網点ドットと、を含み、
(1c)スクリーンコードが垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある場合の四隅の位置のいずれかに配置された網点ドットが、四隅の位置に応じた2ビットの情報に基づいて、各スクリーンコードが表す2ビットの情報を表し、
(1d)スクリーンコードが垂直基準ドット行または水平基準ドット列にある場合の中央行の一字型の位置のいずれかに配置された網点ドットが、垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある各スクリーンコードの2ビットの情報を認識するために用いられる、
(1e)32ビットの情報を記述する画像パターン群。

さらに、上記(1)?(5)に加えて、以下の記載事項がある。
(6)段落0012には、画像パターン群によって地紋画像情報を構成することが記載されており、段落0067には、画像パターン群を順番に並べ、地紋画像情報を構成することが記載されている。

したがって、甲第4号証には、次の方法発明(以下、「甲4発明5」という。)が記載されていると認められる。なお、説明のために(5a-1)ないし(5g)の記号を当審において付与した。以下、構成5a-1、構成5b等と称することにする。

(甲4発明5)
(5a-1)画像パターン群を5行5列の複数のスクリーンコードから構成し、
(5a-2)それぞれのスクリーンコードが、網点ドットが配置可能な3×3の領域と、網点ドットが配置可能な3×3の領域を囲む網点ドットが配置されない領域を備え、
(5a-3)網点ドットが配置可能な3×3の領域の中央行の一字型の位置を、スクリーンコードが垂直基準ドット行または水平基準ドット列にある場合に網点ドットが配置される複数の位置とし、網点ドットが配置可能な3×3の領域の四隅の位置を、スクリーンコードが垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある場合に網点ドットが配置される複数の位置とし、
(5b)中央行の一字型の位置及び四隅の位置のうちの1つに網点ドットを配置し、
(5c)スクリーンコードが垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある場合の四隅の位置のいずれかに配置される網点ドットが、四隅の位置に応じた2ビットの情報に基づいて、スクリーンコードが表す2ビットの情報を表し、
(5d)スクリーンコードが垂直基準ドット行または水平基準ドット列にある場合の中央行の一字型の位置のいずれかに配置される網点ドットが、垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある各スクリーンコードの2ビットの情報を認識するために用いられ、
(5e)画像パターン群を順番に並べ地紋画像情報を構成した画像パターン群の生成方法において、
(5f)5行5列において水平方向又は垂直方向に連続する2つのスクリーンコードにおいて、網点ドットが配置可能な3×3の領域を囲む網点ドットが配置されない領域があるために、2つの四隅の位置間、2つの中央行の一字型の位置間は隣接しない、
(5g)画像パターン群の生成方法。

3.3.2 甲第5号証
3.3.2.1 甲第5号証に記載された事項
甲第5号証(特開2007-288756号公報)には、「画像インジケーター」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、説明のために、下線を当審において付与した。

【0012】
図4は本発明に基づく実施例で設計された、多くの画像インジケーター10が配列し形成する図案を表示し、図5はその中の画像インジケーター10の拡大図で、はっきりと本発明の設計を説明するものである。図5に示すように、画像インジケーター10はコンテンツデータ部(contentpart)12及びヘッダー部(headerpart)14を含む。本実施例によると、コンテンツデータ部12は9個のドット16で構成される9個の画像マイクロユニットを含み、且つそのコンテンツデータ部12の占有エリアは9個の状態エリア18に区分され、3*3の平面2次元状態エリアのアレイを構成する。各状態エリア18は全て1つのドット16を含む。本実施例に基づく設計では、1つのドット16が状態エリア18中の異なる配列位置に置かれると、マッピングしたインジケーターデータ中の個別の数値で表すことを利用することができる。詳しく言うと、図6に示すように、1つの状態エリア18は4個のバーチャルエリアに等分することができ、ドット16は選択的に右下方、左下方、左上方或いは右上方のバーチャルエリアに設置でき、それぞれ4個の異なるビット値00、01、10或いは11で表すことができる。こうして、図5のコンテンツデータ部12が示すドット16の配置関係は、図7に示すビットアレイに対応させることができる。コンテンツデータ部12が9個のドット16を有し、且つそれぞれ9個の状態エリア中に置く時、各状態エリア18が4個のバーチャルエリアに等分されているため、各ドット16を選択的に4個のバーチャルエリア中の1つに設置する場合、そのコンテンツデータ部12に49(=262144)種の状態の組み合わせを持たせることができる。そこで、図5に示す画像インジケーター10の設計を利用すると、マッピングするインジケーターデータ中の262144個の異なる数値を表示することができる。そのため、本実施例によるコンテンツデータ部12の設計は、その262144種の状態組み合わせ中から、65536種の状態組み合わせを取り出し、ユニコード(Unicode)のコード構造中の1つのプレーン(plane)に属する65536個のコード位置に対応させ、その残りの状態組み合わせは、その他の用途のために保留することができる。例をあげると、チェックサムコード(checksumcode)に対応させるコード位置として状態組み合わせを提供することができる。
【0013】
もう一方では、画像インジケーター10が1グループの画像マイクロユニットから構成されているため、ヘッダー部14を設置して2つの隣り合う画像インジケーター10を区分する必要がある。図8に示すように、4個の画像インジケーター10は全て同じコンテンツデータ部12を持ち、また同じインジケーターのデータ内容を有する。そのため、4個の画像インジケーター10には全て同じ特定のヘッダー部14を設置し、こうすることで、その特定のヘッダー部14を探し出すだけで、同じ画像インジケーター10が探し出せ、近隣の他の画像インジケーター10における干渉を受けない。ヘッダー部14は同様に例えばドット16から構成される多くの画像マイクロユニットを含み、且つそのヘッダー部14の占有エリアが多くの状態エリア18に区分されている。さらに図5を参照する。本実施例に基づく設計では、ヘッダー部14の各状態エリア18は全て状態エリア18の中心位置に設置される1つのドットを含み、そのためヘッダー部14は7個のドットを持つ。且つ2つの隣り合うボーダー上を9個のドットを有するコンテンツデータ部12で囲み、ヘッダー部14をL型分布に形成させ、且つ画像インジケーター10全体を16個のドットで構成される4*4マトリックス配列とする。図5に示すように、ヘッダー部14のドットの配列位置は全て状態エリアの中心位置に予設され、画像インジケーターがヘッダー部14を識別する過程をさらに速くさせることができる。但し、ヘッダー部14中の1つのドット16'の位置は特定方向に偏移させ、その他のドット16の位置と変える必要がある。そのため画像識別(pattern/imagerecognition)を行い、その画像インジケーター10を読み取る時、光学デバイス(図の表示なし)が物体表面を読み取り拡大影像を取得した後、まず画像インジケーター10のヘッダー部14を識別するだけで、その画像インジケーター10に対する方向付けができ、コンテンツデータ部12の状態組み合わせを正確にキャプチャすることができる。
【0014】
さらに、ヘッダー部14中のドット16の配置位置を変更することで、互いに異なるヘッダー部14を発生させることができる。このため、各画像インジケーター10がコンテンツデータ部12の状態組み合わせを調整し、異なる数値をマッピングすると、2つの異なる数値の画像インジケーター10をそれぞれマッピングして、相異なるヘッダー部14によって両者を区別することができる。図9に示すように、2つのドット16の配置位置が異なる相異なるヘッダー部14a及び14bを、上下に隣り合い異なるコンテンツを持つデータ部12a及び12bの区別に用いることができる。或いは、図10に示すように、2つのドット16の配置位置が異なるヘッダー部14c及び14dを、左右に隣り合い異なるコンテンツを持つデータ部12c及び12dの区別に用いることができる。


3.3.2.2. 甲第5号証に記載された技術
(1)甲第5号証には、段落0012?0013に記載されるように、複数の状態エリアで構成されるヘッダー部と、複数の状態エリアで構成されるコンテンツデータ部からなる画像インジケーターについて記載されている。画像インジケーターは図5に記載されるように状態エリアが4*4マトリックスに配列されて構成されている。ここで、画像インジケーターは、複数の状態エリアによるデータがマッピングされるものである。

(2)段落0012及び図5に記載されるように、コンテンツデータ部を構成する各状態エリアに1つずつのドット(図5より丸いスポットの形状)が設置されている。ドットの位置は、図6に記載されるように状態エリアを4つに等分するバーチャルエリアのうち一位置であり、4つのバーチャルエリアのいずれの位置にあるかに応じて2ビットのビット値(00、01、10、11)を表わしている。そして、コンテンツデータ部の9つの状態エリアの状態に組み合わせによりデータが表わされている。

(3)段落0013及び図5には、ヘッダー部を構成する各状態エリアに1つずつのドット(図5より丸いスポットの形状)が設置されている。段落0013には、ドットの位置が、状態エリアの中心位置あるいは特定方向に偏移された位置であると記載されており、図5では、中心位置と中心の右位置となっている。ここで、段落0014、図9、図10に示される画像インジケーターのヘッダー部の状態エリアでは、中心位置に加え、中心の上位置及び下位置(図9)や中心の左位置及び右位置にドットが設置されている。すなわち、ヘッダー部を構成する状態エリアでは、中心あるいは中心の上下左右のうちのいずれかにドットを設置することが記載されている。
また、段落0013には、「・・・画像インジケーター10のヘッダー部14を識別するだけで、その画像インジケーター10に対する方向付けができ、コンテンツデータ部12の状態組み合わせを正確にキャプチャすることができる。」と記載され、ヘッダー部を構成する複数の状態エリアの各ドットは、コンテンツデータ部の状態組み合わせ、すなわちデータを正確にキャプチャするために用いられるものであるといえる。

以上より、甲第5号証には、次の技術(以下、「甲5技術」という。)が記載されていると認められる。

(甲5技術)
4*4マトリックスに配列された複数の状態エリアと、
ヘッダー部を構成する状態エリアでは、中心あるいは中心の上下左右のうちのいずれかに設置され、コンテンツデータ部を構成する状態エリアでは、状態エリアを4つに等分するバーチャルエリアのいずれかに設置される、丸いスポットの形状のドットと、を含み、
前記コンテンツデータ部の状態エリアのドットが、4つのバーチャルエリアのいずれの位置にあるかに応じて2ビットのビット値を表し、
ヘッダー部を構成する複数の状態エリアの各ドットが、コンテンツデータ部のデータを正確にキャプチャするために用いられる、
画像インジケーター。

3.3.3. 甲第6号証
3.3.3.1. 甲第6号証に記載された事項
甲第6号証(特開2004-166177号公報)には、「標識を生成するための方法及び該標識を利用する処理装置とシステム」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、説明のために、下線を当審において付与した。

【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの側面は、図形標識を生成するための方法を提供することである。不可視な図形標識がオブジェクトの表面に幾つか書き添えられるもしくは付される。これらの図形標識は、オブジェクトの表面上でテキストや図等の主要情報と共存し、その主要情報に対する人間の目の知覚を妨げることがない。ユーザは、オブジェクトと連動しない電子システムを通して図形標識を取り出し、その図形標識から追加情報を取得する。

【0079】
実際の用途では、図形微細単位は、丸いスポット等の規則正しい形であったり不規則な形であったりすることがある。最適な結果を得るために、図形微細単位は、顕微鏡装置でしかそれを検出できない程微小でなければならない。
【0080】
図形微細単位が微小であり、また、レイアウトで疎に配置される場合、ユーザは、図形微細単位の組み合わせ100を簡単に無視して、図1に示す“APPLE”という言葉のような主要情報に注意を払うことができる。次に、情報を担持するために図形標識を如何に用いるかについて説明する。
【0081】
図形微細単位の組み合わせ100は、順次配置された多数の図形標識から成る。各図形標識は、図形微細単位をそれぞれ選択的に記憶するための多数の状態領域を含み、ここで、状態領域は各々、少なくとも2つの候補状態から1つの状態を表示する。
【0082】
例えば、図1の図形標識の1つを拡大したものを図2に示す。図形標識11には、状態領域113が6×6マトリックスの形式で36単位含まれる。各状態領域113は、第1又は第2状態を表すために、選択的に1つの図形微細単位を含んだり、その図形微細単位を含まなかったりする。
【0083】
第1状態の状態領域113における微細単位が、“1”の値を割当てられ、また、第2状態の状態領域113における微細単位が、“0”の値を割当てられる場合、図3に示すビットマトリックス形式114が生じる。従って、ビットマトリックス形式114は、予想された様に又は希望通りに様々な情報を記憶する。言い換えると、ユーザは、状態領域の異なる値の組み合わせに基づき、所望の情報を記憶し得る。
【0084】
更に、多数の図形標識並びに図形微細単位は、2次元マトリックス形式で配置される。図形標識や図形微細単位のこのような配置は、人間の目には均質に見える。次に、本発明は、このマトリックス形式の図形標識から個々の図形標識を取り出すための方法を提供する。
【0085】
縮尺が100:1の図2に示すように、図形標識11には、異なる標識情報に対応するレイアウトで配置されたヘッダ情報111とコンテンツ情報112が含まれる。1つの実施形態において、全てのヘッダ情報111は、異なる図形標識11間において同じである。しかしながら、包含的な設計に対しては、各図形標識内の各ヘッダ情報が、隣接の図形標識から対応の図形標識を識別して、光学装置へ該対応の図形標識の配向を指し示すことができる限りにおいて、一組以上のヘッダ情報が用いられ得る。他方、コンテンツ情報112の異なる値は、異なる標識情報を表す。従って、1つの図形標識11は、1つのヘッダ情報111を取り込むことによって読取られ、また、図形標識11は、各隣接する図形標識11と干渉しない。しかしながら、他の実施形態において、ヘッダ情報を用いて、対応するコンテンツ情報をシステムが取り出し得る限り、1つの図形標識11におけるヘッダ情報111は、他の図形標識11のそれと異なってもよい。


3.3.3.2. 甲第6号証に記載された技術
(1)甲第6号証には、複数の状態領域で構成されるヘッダ情報と、複数の状態領域で構成されるコンテンツ情報からなる図形標識が記載されている。図形標識は、段落0082及び図2に記載されるように状態領域が6×6マトリックス形式に配列されたものである。ここで、段落0006に記載のように、図形標識は、図やテキスト等の主要情報と共存して追加情報を取得可能とするものである。

(2)段落0079?0082及び図2に記載されるように、各状態領域では、図形微細単位(丸いスポットの形状)が含まれたり、含まれなかったりしている。そして、この含まれたり、含まれなかったりする2つの状態によって、コンテンツ情報の状態領域では、1ビットの情報(1、0)を表わし、また、ヘッダ情報の各状態領域では、2つの情報の組み合わせによって図形標識を識別している。

以上より、甲第6号証には、次の技術(以下、「甲6技術」という。)が記載されていると認められる。

(甲6技術)
6×6マトリックス形式に配列された複数の状態領域と、
丸いスポットの形状の図形微細単位と、を含み、
コンテンツ情報の状態領域に図形微細単位が含まれるか含まれないかにより1ビットの情報を表わし、
ヘッダ情報の各状態領域に図形微細単位が含まれるか含まれないかの組み合わせにより、図形標識を識別する、
図形標識。

3.3.4 甲第7号証
3.3.4.1 甲第7号証に記載された事項
甲第7号証(国際公開第2004/084125号)には、「ドットパターンを用いた情報入出力方法」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、説明のために、下線を当審において付与した。

「発明の開示
本発明によれば、印刷物等の媒体面に、複数の格子ドット(4)を矩形状に配置してブロックとし、該ブロックを規則的かつ連続的に配置し、該ブロック内にある1個の格子ドット(4)を一定方向にずらして配置したドットをキードット(2)とし、前記キードット(2)を代表点にして、該キードット(2)の周辺に配置すると共に、4点の格子ドット(4)で囲まれた中心を仮想点にして、これを始点としてベクトルにより表現した終点に、種々の情報を認識させる情報ドット(3)を、ドットコード生成アルゴリズムにより所定の規則に則って複数配列してドットパターン(1)を生成し、前記ドットパターン(1)を構成するブロックをカメラにより画像データとして取り込み、それをデジタル化して求めた数値より情報、プログラムを出力させる、ことを特徴とするドットパターンを用いた情報入出力方法が提供される。
前記カメラで、前記ドットパターン(1)のキードット(2)の方向を認識し、その方向を基準にベクトルの終点に配置されたドットを情報ドット(3)とする。前記情報ドット(3)を、前記格子ドット(4)の仮想点を中心に複数表示する、ことができる。
上記構成の情報プログラム出力方法では、情報出力装置、パソコン、PDA又は携帯電話等を用いて、印刷物等の媒体に形成したドットパターン(1)をカメラにより画像データとして取り込む。このカメラが、これらのドットパターン(1)における所定の規則に則って印刷されたドットを認識し、それをデジタル化し、求めた数値より、情報及びプログラムを出力させる。
特に、ドットパターン(1)をカメラによりその画像データとして取り込み、先ず格子ドット(4)を認識してキードット(2)を抽出し、キードット(2)で方向性を認識し、その方向をパラメータとして使用することができる。次に、このキードット(2)の周囲に配置した情報ドット(3)を抽出することにより、迅速に情報及びプログラムを出力させることができる。」(公報2頁24行?3頁26行)

「本発明のドットパターン1の生成は、ドットパターンコード生成アルゴリズムにより、音声等の情報を認識させるために微細なドット、即ち、キードット2、情報ドット3、格子ドット4を所定の規則に則って配列する。図1に示すように、情報を表すドットパターン1のブロックは、キードット2を中心に5×5の格子ドット4を配置し、4点の格子ドット4に囲まれた中心の仮想点の周囲に情報ドット3を配置する。」(公報10頁1行?6行)

(図1)

3.3.4.2 甲第7号証に記載された技術
甲第7号証には、5×5の格子ドット、その格子の中心に配置される1つのキードット、及び、4つの格子ドットに囲まれた中心の仮想点の周囲に配置されることで情報を示す情報ドットからなる、ドットパターンが記載されている。
ここで、各ドットは図1に示されるように、丸いスポットの形状である。
また、5×5の格子ドットを認識してキードットを抽出することでキードットの方向性を認識し、情報ドットを抽出するようにしている。

以上より、甲第7号証には、次の技術(以下、「甲7技術」という。)が記載されていると認められる。

(甲7技術)
5×5の格子ドット、その格子の中心に配置される1つのキードット、及び、情報ドットからなり、
各ドットは丸いスポットの形状であり、
情報ドットは、4つの格子ドットに囲まれた中心の仮想点の周囲に配置されることで情報を示し、
格子ドット及びキードットは、5×5の格子ドットを認識してキードットを抽出することでキードットの方向性を認識して情報ドットを抽出するために用いられる、
ドットパターン。

3.3.5 甲8号証
3.3.5.1 甲第8号証に記載された事項
甲第8号証(特開平10-261058号公報)には、「2次元データコード」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、説明のために、下線を当審において付与した。

【0016】図1は、本実施例の2次元データコードを構成する基本コード1を示す図であり、基本コード1は、仮想の枠線である破線(実際にはない)で囲まれ縦横方向に2×2配列の4つの方形枠(セル)11?14と、それらセル11?14各々の中に1つの破線の丸枠(実際にはない)で示されるデータ印字用丸部2とからなるものである。そして、この1行1列のセル11を2進法の一の桁、1行2列のセル12を2進法の十の桁、2行1列のセル13を2進法の百の桁、2行2列のセル14を2進法の千の桁として、これらのセル11?14内の丸部2を塗りつぶさないで白のままのセルを0、塗りつぶして黒にしたものを1として、図2に丸部2の白黒の組み合わせパターンと16進法の数字0?9、A?Fとの対応を示すようなコード表記を行うようにする。


3.3.5.2 甲第8号証に記載された技術
甲第8号証には、2×2配列の4つのセルと、セル各々の中に丸枠で示されるデータ印字用丸部とからなる基本コードから構成され、丸部を塗りつぶさないものを0、塗りつぶしたものを1として、コード表記を行う2次元データコードが記載されている。
以上より、甲第8号証には、次の技術(以下、「甲8技術」という。)が記載されていると認められる。

(甲8技術)
2×2配列の4つのセルと、
セル各々の中に丸枠で示されるデータ印字用丸部とからなる基本コードから構成され、
丸部を塗りつぶさないものを0、塗りつぶしたものを1として、コード表記を行う
2次元データコード。

3.3.6 甲9号証
3.3.6.1 甲第9号証に記載された事項
甲第9号証(特開平10-257309号公報)には、「IDカード作成方法及び作成装置」(発明の名称)に関し、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、説明のために、下線を当審において付与した。

【0049】図2は本発明に係る画像データへの異種情報の重畳方法を説明する図である。図2に於いて、画素はトーンの付いた円形で示した。ここで、シフト規則の一例を掲げると、図2(b)に示す重畳例では、
論理値”0”=x-a ……(4)
論理値”1”=x+a ……(5)
a:規定されたシフト量
ただし、aの値は、隣接する画素間隔の1/2未満
のようになり、画素位置データを1つの画素に割り当てられた寸法(ピクセル)内でシフトするように規定するものである。
【0050】図2(a)に示すように、シフト規則としては、x方向のみ以外に、y方向のみ、x方向とy方向双方の組み合わせも可能である。また、シフト方向と論理値対応を逆転させても良く、多数のシフト規則が存在する。
【0051】これらのシフト規則の中から一組のシフト状態を選定して、画像データを画素位置データのシフトによって変調する。この時、異種情報が重畳されていない画素は、図2(a)左端に示すように、原画像から生成された画素位置データ(x、y)の値を維持する。


3.3.6.2 甲第9号証に記載された技術
甲第9号証には、画素がピクセル内でシフトするように規定され、図2から明らかなように、画素は、ピクセルを塗りつぶさないように配置されている画像データへ重畳される異種情報が記載されている。

以上より、甲第9号証には、次の技術(以下、「甲9技術」という。)が記載されていると認められる。

(甲9技術)
画素がピクセル内でシフトするように規定され、ピクセルを塗りつぶさないように配置されている画像データへ重畳される異種情報。

3.3.7 甲10号証
3.3.7.1 甲第10号証に記載された事項
甲第10号証(ワークスコーポレーション エデュケーション編集部、「DTP&印刷しくみ事典」)の169ページには、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、説明のために、下線を当審において付与した。

「階調は網点の大小で再現する
一部のプリンタや印刷方法を除いては、写真画像などの階調や色はそのままでは表現できない。そこで考え出されたのが階調を網点に置き換える方法だ。
網点再現することによってオフセット印刷のようにインキ自体の濃淡で階調を表現することができないのも、網点の面積比で濃淡を出すことができるわけである。
網点自体の濃度は一定でも、面積比を0?100%で変化させることで階調を表現する。」

「解像度と網点の関係
1インチに網点が何個入るかによって網点の細かさ(大小とは異なる、網点の中心が何個入るか)を表す単位、スクリーン線数(lpi:lines per inch)が決まってくる。網点の品質を決めるのは出力解像度で、理論的には1個の網点を縦16ドット横16ドットの256階調で表す。画像データの場合、網点1個を複数の画素(ピクセル)で作る。一般的には出力線数に拡大・縮小率をかけて2倍にするといわれる。65線の場合では原寸で130dpiになるが、250dpiのほうが当然品質はよくなる。実際は、最終倍率で画像解像度250dpi程度をキープすれば実用上は問題ない。」

「網点は複数のピクセルで作る
最適な大きさ・形状の網点を再現するためには、1つの網点に4つ程度のピクセルが必要になる。これを線数という2次元の単位で考えると、「画像は線数の2倍の解像度が必要」となる」

3.3.7.2 甲第10号証に記載された技術
甲第10号証には、複数のピクセルで作られた網点の面積比で濃淡を出すことによる階調表現について記載されている。

以上より、甲第10号証には、次の技術(以下、「甲10技術」という。)が記載されていると認められる。

(甲10技術)
複数のピクセルで作られた網点の面積比で濃淡を出すことによる階調表現。

3.3.8 甲11号証
3.3.8.1 甲第11号証に記載された事項
甲第11号証(富士写真フイルム株式会社 印刷システム部、「誰でもわかる「新・印刷のできるまで」」)の136ページには、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、説明のために、下線を当審において付与した。

「FMスクリーン印刷
一般的なカラー製版・印刷に使用されている網点スクリーンは、スクリーンの単位に応じて、網点が等間隔に配置されており、配置された網点の大小によって画像の濃淡を表しています。このため「Amplitude Modulation(振幅変調)スクリーン」と呼称される場合があります。これに対して、Frequency Modulation(周波数変調)スクリーンは、スクリーン線数という概念は存在しません。つまりAMスクリーンのような網点配列の規則性はなく、一定サイズの微小ドットが擬似ランダムに配置され、その密度によって画像の濃淡を表現します。この微小ドットは一般的に8?10ミクロンです。
FMスクリーンは、ドット配置が不規則なことから「ランダムスクリーン」、あるいは「ストキャスティックスクリーニング(推計学的)」とも呼ばれます(図8-13)。」

3.3.8.2 甲第11号証に記載された技術
甲第11号証には、一定サイズの微小ドットが擬似ランダムに配置され、その密度によって画像の濃淡を表現するFMスクリーン印刷について記載されている。

以上より、甲第11号証には、次の技術(以下、「甲11技術」という。)が記載されていると認められる。

(甲11技術)
一定サイズの微小ドットが擬似ランダムに配置され、その密度によって画像の濃淡を表現するFMスクリーン印刷。

3.4 判断
3.4.1 取消理由通知に記載した取消理由について
3.4.1.1 特許法第29条第2項について
3.4.1.1.1 本件訂正発明1について
3.4.1.1.1.1 対比
本件訂正発明1と甲4発明1とを対比する。
(a)本件訂正発明1の構成1A-1と甲4発明1の構成1a-1との対比
甲4発明1の「スクリーンコード」は、明らかに本件訂正発明1の「バーチャルブロック」に相当する。

甲4発明1のスクリーンコードは、「5行5列に配置」されており、これは、本件訂正発明1の「マトリックスに排列」されていることに相当する。
甲4発明1のスクリーンコードは、網点ドットが配置可能な3×3の領域に複数の位置を有しており、これらの「位置」は、本件訂正発明1における各「エリア」に相当する。

甲4発明1の網点ドットが配置可能な3×3の領域のうち、「中央行の一字型の位置」のそれぞれの位置は、スクリーンコードが垂直基準ドット行または水平基準ドット列にある場合に、構成1dにあるように、垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある各スクリーンコードを認識するために用いられる網点ドットが配置される位置であるから、本件訂正発明1の「ラベルエリア」に相当する。

甲4発明1の「中央行の一字型の位置」と、本件訂正発明1の「十字型に排列された複数のラベルエリアを一部とする中央ラベル部」は、「所定の並びに排列された複数のラベルエリアを有する中央ラベル部」という点で共通する。

しかしながら、当該「中央ラベル部」は、本件訂正発明1では「十字型に排列された複数のラベルエリアを一部とする」ものであるのに対して、甲4発明1では、「中央行の一字型の位置」である点で相違する。

甲4発明1の網点ドットが配置可能な3×3の領域のうち、「四隅の位置」のそれぞれの位置は、スクリーンコードが垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある場合に、構成1cにあるように、2ビットの情報を表す網点ドットが配置される位置であるから、本件訂正発明1の「データエリア」に相当し、甲4発明1の「四隅の位置」は、本件訂正発明1の「コーナービットエリア」に相当する。そして、上記の「四隅の位置」に網点ドットが配置されるときに、四隅の位置に応じた2ビットの情報を表していることは、本件訂正発明1の「それぞれが1つの候補2進コードを表す」ことに相当する。

したがって、本件訂正発明1の構成1A-1と甲4発明1の構成1a-1とは、「それぞれが、所定の並びに排列された複数のラベルエリアを有する中央ラベル部と、それぞれが1つの候補2進コードを表す複数のデータエリアであるコーナービットエリアと、を備え、マトリックスに排列された複数のバーチャルブロック」である点で共通し、「中央ラベル部」に関して、本件訂正発明1では、「十字型に排列された複数のラベルエリアを一部とする」ものであるのに対し、甲4発明1では、「中央行の一字型の位置」である点で相違する。

(b)本件訂正発明1の構成1A-2と甲4発明1の構成1a-2との対比
上記(a)において検討したとおり、甲4発明1の「スクリーンコード」、「5行5列」は、それぞれ、本件訂正発明1の「バーチャルブロック」、「マトリックス」に相当する。
甲4発明1の「水平方向又は垂直方向に連続する」は、明らかに本件訂正発明1の「行方向又は列方向に連続する」に相当する。
甲4発明1の「2つの四隅の位置間、2つの中央行の一字型の位置間は隣接しない」ことに関して、本件訂正発明1の「2つの前記コーナービットエリア間は隣接し、2つの前記中央ラベル部間は隣接しない」こととは、上記(a)で検討したように、甲4発明1の「中央行の一字型の位置」と、本件訂正発明1の「十字型に排列された複数のラベルエリアを一部とする中央ラベル部」は、「所定の並びに排列された複数のラベルエリアを有する中央ラベル部」という点で共通することから、「2つの前記中央ラベル部間は隣接しない」点で共通する。

しかしながら、甲4発明1は、「2つの四隅の位置間は隣接しない」のに対し、本件訂正発明1は、「2つの前記コーナービットエリア間は隣接」する点で相違する。

したがって、本件訂正発明1の構成1A-2と甲4発明1の構成1a-2とは、「前記マトリックスにおいて行方向又は列方向に連続する2つの前記バーチャルブロックにおいて、2つの前記中央ラベル部間は隣接しない、複数のバーチャルブロック」である点で共通するものの、コーナービットエリア間に関して、本件訂正発明1では隣接するのに対し、甲4発明1では、隣接していない点で相違する。

(c)本件訂正発明1の構成1Bと甲4発明1の構成1bとの対比
上記(a)において検討したとおり、甲4発明1の「スクリーンコード」は、本件訂正発明1の「バーチャルブロック」に相当する。
また、甲4発明1の「中央行の一字型の位置」のそれぞれの位置は、本件訂正発明1の「ラベルエリア」に相当し、甲4発明1の「四隅の位置」のそれぞれの位置は、本件訂正発明1の「データエリア」に相当するから、甲4発明1の「中央行の一字型の位置」は、本件訂正発明1の「複数のラベルエリア」に相当し、甲4発明1の「四隅の位置」は、本件訂正発明1の「複数のデータエリア」に相当する。
甲4発明1の「配置」は、明らかに、本件訂正発明1の「設置」に相当する。
甲4発明1の「網点ドット」は、ドットであるから、本件訂正発明1の「ビットドット」に相当する。

したがって、本件訂正発明1の構成1Bと甲4発明1の構成1bとは、「前記複数のバーチャルブロックのそれぞれごとに、前記複数のラベルエリア及び前記複数のデータエリアのうちの1つに設置されたビットドットと、を含み、」である点で共通し、「ビットドット」に関し、本件訂正発明1では、「これらのエリアを塗りつぶさないように」設置されたものであるのに対し、甲4発明1では、「これらの位置を塗りつぶさないように」設置されたものであることに限定されていない点で相違する。

(d)本件訂正発明1の構成1Cと甲4発明1の構成1cとの対比
上記(a)及び(c)で検討したことを踏まえれば、甲4発明1の「スクリーンコードが垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある場合の四隅の位置のいずれかに配置された網点ドット」は、本件訂正発明1の「前記データエリアに設置された前記ビットドット」に相当する。
また、甲4発明1の「四隅の位置に応じた2ビットの情報に基づいて、各スクリーンコードが表す2ビットの情報を表」すことは、本件訂正発明1の「前記各データエリアに対応する候補2進コードに基づいて、前記各バーチャルブロックが表す2進コードを定義」することに相当する。

したがって、本件訂正発明1の構成1Cと甲4発明1の構成1cは一致する。

(e)本件訂正発明1の構成1Dと甲4発明1の構成1dとの対比
上記(a)及び(c)で検討したことを踏まえれば、甲4発明1の「スクリーンコードが垂直基準ドット行または水平基準ドット列にある場合の中央行の一字型の位置のいずれかに配置された網点ドット」は、本件訂正発明1の「それぞれ予め定められた位置の前記バーチャルブロックの前記ラベルエリアに位置」する「少なくとも2つの前記ビットドット」に相当する。
そして、甲4発明1の上記の「網点ドット」は、「垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある各スクリーンコード」を固定したパターンとして認識し、それらのスクリーンコードの2ビットの情報を認識するために用いられているから、本件訂正発明1と同様に「パターンを固定するラベルを構成するために用いられ」ているといえる。

したがって、本件訂正発明1の構成1Dと甲4発明1の構成1dは、一致する。

(f)本件訂正発明1の構成1Eと甲4発明1の構成1eとの対比
甲4発明1の「32ビットの情報」は、各スクリーンコードが示す2ビットの情報を組み合わせた情報、すなわちデータであるので、本件訂正発明1の「インジケータデータ」に相当する。また甲4発明1の「画像パターン群」は、明らかに本件訂正発明1の「ドットコード」に相当する。

したがって、本件訂正発明1の構成1Eと甲4発明1の構成1eは一致する。

(g)まとめ
上記(a)?(f)のとおりであるから、本件訂正発明1と甲4発明1は、以下の点で一致ないし相違する。

<一致点>
それぞれが、所定の並びに排列された複数のラベルエリアを有する中央ラベル部と、それぞれが1つの候補2進コードを表す複数のデータエリアであるコーナービットエリアと、を備え、マトリックスに排列された複数のバーチャルブロックであって、
前記マトリックスにおいて行方向又は列方向に連続する2つの前記バーチャルブロックにおいて、2つの前記中央ラベル部間は隣接しない、
複数のバーチャルブロックと、
前記複数のバーチャルブロックのそれぞれごとに、前記複数のラベルエリア及び前記複数のデータエリアのうちの1つに設置されたビットドットと、を含み、
前記データエリアに設置された前記ビットドットが、前記各データエリアに対応する前記候補2進コードに基づいて、前記各バーチャルブロックが表す2進コードを定義し、
少なくとも2つの前記ビットドットが、それぞれ予め定められた位置の前記バーチャルブロックの前記ラベルエリアに位置して、パターンを固定するラベルを構成するために用いられる
インジケータデータであるドットコード。

<相違点>
(相違点1)
「中央ラベル部」に関して、本件訂正発明1では、「十字型に排列された複数のラベルエリアを一部とする」ものであるのに対し、甲4発明1では、「中央行の一字型の位置」である点。
(相違点2)
2つの「コーナービットエリア間」に関して、本件訂正発明1では、隣接するのに対し、甲4発明1では、隣接しない点。
(相違点3)
「ビットドット」に関し、本件訂正発明1では、「これらのエリアを塗りつぶさないように」設置されたものであるのに対し、甲4発明1では、「これらの位置を塗りつぶさないように」設置されたものであることに限定されていない点。

3.4.1.1.1.2 判断
まず、相違点2について検討する。

甲4発明1は、「網点ドットが配置可能な3×3の領域を囲む網点ドットが配置されない領域があるために、2つの四隅の位置間、2つの中央行の一字型の位置間は隣接しない」構成である。
ここで、「網点ドットが配置可能な3×3の領域を囲む網点ドットが配置されない領域」は、網点ドットが配置されない領域であるから、当該領域を削除し、甲4発明1の「画像パターン群」を「網点ドットが配置可能な3×3の領域」のみとして、「2つの四隅の位置間」を隣接させることは容易に考えつくことである。
しかし、甲4発明1の「網点ドットが配置可能な3×3の領域を囲む網点ドットが配置されない領域」を削除した場合には、「2つの四隅の位置間」だけでなく、行方向の「中央行の一字型の位置間」についても隣接することとなるから、甲4発明1から本件訂正発明1のような「2つの前記コーナービットエリア間は隣接し、2つの前記中央ラベル部間は隣接しない」という構成を導出することは不可能である。
よって、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到することのできないものである。
また、甲5技術?甲11技術にも、上記構成は記載ないし示唆もなく、当業者であっても、容易に想到することのできないものである。

したがって、相違点1、3を検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲4発明1、甲5技術?甲11技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

3.4.1.1.2 本件訂正発明2、4について
本件訂正発明2及び4は、本件訂正発明1を引用していることから、上記相違点2に係る構成を有している。ここで、相違点2に対する判断は、上記3.4.1.1.1.2で検討したとおりであるから、本件訂正発明2及び本件訂正発明4も、甲4発明1、甲5技術?甲11技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

3.4.1.1.3 本件訂正発明5について
3.4.1.1.3.1 対比
本件訂正発明5と甲4発明5とを対比する。
(a)本件訂正発明5の構成5A-1、5A-2と甲4発明5の構成5a-1との対比
甲4発明5の「画像パターン群」は、明らかに本件訂正発明5の「ドットコード」に相当する。そして、当該「画像パターン群」は、「5行5列」という、マトリックスに排列された「複数のスクリーンコードから構成」されており、スクリーンコードの大きさに応じた範囲(エリア)を有している。ここで、エリアから見れば当該エリアは5行5列の25個のスクリーンコードによって区分されており、当該「スクリーンコード」は本件訂正発明5の「ブロック」に相当する。
したがって、本件訂正発明5の構成5A-1及び5A-2と甲4発明5の構成5a-1は一致する。

(b)本件訂正発明5の構成5A-3と甲4発明5の構成5a-2との対比
上記(a)において検討したとおり、甲4発明5の「スクリーンコード」は、本件訂正発明5の「ブロック」に相当する。
甲4発明5の「網点ドットが配置可能な3×3の領域」は、「スクリーンコード」を区分したものといえるので、本件訂正発明5の「ビットエリア」に相当する。
したがって、本件訂正発明5の構成5A-3と甲4発明5の構成5a-2は一致する。

(c)本件訂正発明5の構成5A-4と甲4発明5の構成5a-3との対比
上記(b)において検討したとおり、甲4発明5の「網点ドットが配置可能な3×3の領域」は、本件訂正発明5の「ビットエリア」に相当する。

甲4発明5の「網点ドットが配置可能な3×3の領域の中央行の一字型の位置」のそれぞれの位置は、スクリーンコードが垂直基準ドット行または水平基準ドット列にある場合に、構成5dにあるように、垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある各スクリーンコードの2ビットの情報を認識するために網点ドットが配置される位置であり、本件訂正発明5の「ラベルエリア」に相当する。
また、甲4発明5の「網点ドットが配置可能な3×3の領域の中央行の一字型の位置」は、「網点ドットが配置可能な3×3の領域」の一部を選択して、「中央行の一字型の位置」としたものである。
そうすると、甲4発明5の「網点ドットが配置可能な3×3の領域の中央行の一字型の位置」と、本件訂正発明5の「前記ビットエリアの一部を選択して、十字型に排列されたラベルエリアを一部とする中央ラベル部」は、「前記ビットエリアの一部を選択して、所定の並びに排列されたラベルエリアを有する中央ラベル部」という点で共通する。
しかしながら、当該「中央ラベル部」に関して、本件訂正発明5では、「十字型に排列されたラベルエリアを一部とする」ものであるのに対し、甲4発明5では、「中央行の一字型の位置」である点で相違する。

甲4発明5の「網点ドットが配置可能な3×3の領域の四隅の位置」のそれぞれの位置は、スクリーンコードが垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある場合に、構成5cにあるように、四隅の位置に応じた2ビットの情報を表す網点ドットが配置される位置であるから、本件訂正発明5の「データエリア」に相当し、その「四隅の位置」は、「コーナービットエリア」に相当する。
また、甲4発明5の「四隅の位置」は、「網点ドットが配置可能な3×3の領域」のうちの四隅であるから、甲4発明5の「網点ドットが配置可能な3×3の領域の四隅の位置」と、本件訂正発明5の「その他部分のビットエリアを、データエリアであるコーナービットエリア」は、「所定の部分のビットエリアを、データエリアであるコーナービットエリア」とする点で共通する。
しかしながら、当該「コーナービットエリア」は、本件訂正発明5では「(中央ラベル部以外の)その他部分のビットエリア」であるの対し、甲4発明5では、「網点ドットが配置可能な3×3の領域の四隅の位置(中央ラベル部以外の部分のうちの一部のビットエリア)」である点で相違する。

したがって、本件訂正発明5の構成5A-4と甲4発明5の構成5a-3は、「前記ビットエリアの一部を選択して、所定の並びに排列されたラベルエリアを有する中央ラベル部とし、所定の部分のビットエリアを、データエリアであるコーナービットエリアとし、」の点で共通し、当該「中央ラベル部」に関して、本件訂正発明5では、「十字型に排列された複数のラベルエリアを一部とする」のに対し、甲4発明5では、「中央行の一字型の位置」である点、当該「コーナービットエリア」に関して、本件訂正発明5では「(中央ラベル部以外の)その他部分のビットエリア」であるのに対し、甲4発明5では、「網点ドットが配置可能な3×3の領域の四隅の位置(中央ラベル部以外の部分のうちの一部のビットエリア)」である点で相違する。

(d)本件訂正発明5の構成5Bと甲4発明5の構成5bとの対比
上記(c)において検討したとおり、甲4発明5の「中央行の一字型の位置」のそれぞれの位置は、本件訂正発明5の「ラベルエリア」に相当し、甲4発明5の「四隅の位置」のそれぞれの位置は、本件訂正発明5の「データエリア」に相当する。
甲4発明5の「配置」は、明らかに、本件訂正発明5の「設置」に相当する。
甲4発明5の「網点ドット」は、ドットであるから、本件訂正発明5の「ビットドット」に相当する。

したがって、本件訂正発明5の構成5Bと甲4発明5の構成5bとは、「前記ラベルエリア及び前記データエリアのうちの一つにビットドットを設置し、」である点で共通し、「ビットドット」に関し、本件訂正発明5では、「これらのエリアを塗りつぶさないように」設置されるものであるのに対し、甲4発明5では、「これらの位置を塗りつぶすように」設置されたものであることに限定されていない点で相違する。

(e)本件訂正発明5の構成5Cと甲4発明5の構成5cとの対比
上記(c)及び(d)で検討したことを踏まえれば、甲4発明5の「スクリーンコードが垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある場合の四隅の位置のいずれかの位置に配置される網点ドット」は、本件訂正発明5の「前記データエリアに位置するビットドット」に相当する。
また、甲4発明5の「四隅の位置に応じた2ビットの情報に基づいて、各スクリーンコードが表す2ビットの情報を表」すことは、本件訂正発明5の「各データエリアに対応する候補2進コードに基づいて、前記ブロックが表す2進コードを定義」することに相当する。

したがって、本件訂正発明5の構成5Cと甲4発明5の構成5cは一致する。

(f)本件訂正発明5の構成5Dと甲4発明5の構成5dとの対比
上記(c)及び(d)で検討したことを踏まえれば、甲4発明5の「スクリーンコードが垂直基準ドット行または水平基準ドット列にある場合の中央行の一字型の位置のいずれかに配置される網点ドット」は、本件訂正発明5の「それぞれ予め定められた位置の前記ブロックの前記ラベルエリアに位置」する「少なくとも2つの前記ビットドット」に相当する。
そして、甲4発明5の上記の「網点ドット」は、「垂直基準ドット行及び水平基準ドット列以外にある各スクリーンコード」を固定したパターンとして認識し、それらのスクリーンコードの2ビットの情報を認識しているから、本件訂正発明5と同様に「パターンを固定するラベルを構成」しているといえる。

したがって、本件訂正発明5の構成5Dと甲4発明5の構成5dは一致する。

(g)本件訂正発明5の構成5Eと甲4発明5の構成5eとの対比
上記(a)にて検討したとおり、甲4発明5の「画像パターン群」は、本件訂正発明5の「ドットコード」に相当する。
甲4発明5では、画像パターン群を順番に並べ地紋画像情報を構成しており、「順番に並べ」ることは、本件訂正発明5の「所定パターン排列に基づいて」、「重複的に排列」していることに相当する。

したがって、本件訂正発明5の構成5Eと甲4発明5の構成5eは一致する。

(h)本件訂正発明5の構成5Fと甲4発明5の構成5fとの対比
上記(a)にて検討したとおり、甲4発明5の「5行5列」、「スクリーンコード」は、それぞれ、本件訂正発明5の「マトリックス」、「ブロック」に相当する。
甲4発明5の「水平方向又は垂直方向に連続する」は、明らかに本件訂正発明5の「行方向又は列方向に連続する」に相当する。
甲4発明5の「2つの四隅の位置間、2つの中央行の一字型の位置間は隣接しない」ことに関して、本件訂正発明5の「2つの前記コーナービットエリア間は隣接し、2つの前記中央ラベル部間は隣接しない」こととは、上記(c)で検討したように、甲4発明5の「中央行の一字型の位置」と、本件訂正発明5の「十字型に排列された複数のラベルエリアを一部とする中央ラベル部」は、「所定の並びに排列された複数のラベルエリアを有する中央ラベル部」という点で共通することから、「2つの前記中央ラベル部間は隣接しない」点で共通する。

しかしながら、甲4発明5は、「2つの四隅の位置間は隣接しない」のに対し、本件訂正発明5は、「2つの前記コーナービットエリア間は隣接」する点で相違する。

したがって、本件訂正発明5の構成5Fと甲4発明5の構成5fとは、「前記マトリックスにおいて行方向又は列方向に連続する2つの前記ブロックにおいて、2つの前記中央ラベル部間は隣接しない、」点で共通し、本件訂正発明5では「2つの前記コーナービットエリア間は隣接」するのに対し、甲4発明5では「2つの四隅の位置間は隣接しない」点で相違する。

(i)本件訂正発明5の構成5Gと甲4発明5の構成5gとの対比
上記(a)にて検討したとおり、本件訂正発明5の「ドットコード」は甲4発明5の「画像パターン群」に相当する。

したがって、本件訂正発明5の構成5Gと甲4発明5の構成5gは一致する。

(j)まとめ
上記(a)?(i)のとおりであるから、本件訂正発明5と甲4発明5は、以下の点で一致ないし相違する。

<一致点>
ドットコードを生成するエリアを定義し、
前記エリアを、マトリックスに排列された複数のブロックに区分し、
それぞれの前記ブロックを複数のビットエリアに区分し、
前記ビットエリアの一部を選択して、所定の並びに排列されたラベルエリアを有する中央ラベル部とし、所定の部分のビットエリアを、データエリアであるコーナービットエリアとし、
前記ラベルエリア及び前記データエリアのうちの一つにビットドットを設置し、
前記データエリアに位置するビットドットが、前記各データエリアに対応する候補2進コードに基づいて、前記ブロックが表す2進コードを定義し、
少なくとも2つの前記ビットドットが、それぞれ予め定められた位置の前記ブロックの前記ラベルエリアに位置して、パターンを固定するラベルを構成し、
所定パターン排列に基づいて、前記ビットドットを有する前記ドットコードの生成エリアを重複的に排列したドットコード生成方法において、
前記マトリックスにおいて行方向又は列方向に連続する2つの前記ブロックにおいて、2つの前記中央ラベル部間は隣接しない、
ドットコード生成方法。

<相違点>
(相違点1)
「中央ラベル部」に関して、本件訂正発明5では、「十字型に排列された複数のラベルエリアを一部とする」ものであるのに対し、甲4発明5では、「中央行の一字型の位置」であり、「コーナービットエリア」に関して、本件訂正発明5では「(中央ラベル部以外の)その他部分のビットエリア」であるのに対し、甲4発明5では、「網点ドットが配置可能な3×3の領域の四隅の位置(中央ラベル部以外の部分のうちの一部のビットエリア)」である点。

(相違点2)
「ビットドット」に関して、本件訂正発明5では、「これらのエリアを塗りつぶさないように」設置されるものであるのに対し、甲4発明5では、「これらの位置を塗りつぶさないように」設置されるものであることに限定されていない点。

(相違点3)
2つの「コーナービットエリア間」に関して、本件訂正発明5では、隣接するのに対し、甲4発明5では、隣接しない点。

3.4.1.1.3.2 判断
相違点3についての検討は、上記3.4.1.1.1.2と同様であり、相違点1、2を検討するまでもなく、本件訂正発明5は、甲4発明5、甲5技術?甲11技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

3.4.1.1.4 本件訂正発明6、8、9について
本件訂正発明6、8、9は、本件訂正発明5を引用していることから、上記相違点3に係る構成を有している。ここで、相違点3に対する判断は、上述したとおりであるから、本件訂正発明6、本件訂正発明8、及び本件訂正発明9も、甲4発明5、甲5技術?甲11技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

3.4.1.1.5 小括
以上のとおり、本件訂正発明1、2、4?6、8、9は、甲第4号証に記載された発明、甲5技術?甲11技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

3.4.1.2 特許法第36条第6項第1号について
平成28年6月17日付けで特許権者に通知した取消理由において、請求項3、7に係る特許発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない旨の通知をしたが、当該請求項3、7は、訂正により削除されたので、当該拒絶理由は解消している。

3.4.1.3 特許法第36条第6項第2号について
3.4.1.3.1 請求項1?4について
平成28年6月17日付けで特許権者に通知した取消理由において、請求項1?4に係る特許発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨の通知をした。
具体的には、訂正前の請求項1に対して、複数のバーチャルブロックが備える「複数のラベルエリア」と「複数のデータエリア」のうちの「1つ」にビットドットを有するとしていることから、ビットドットを有さないバーチャルブロックを許容する記載となり、明細書又は図面の記載(各バーチャルブロックのラベルエリア又はデータエリアに必ずビットドットが存在する構成)と整合しないものとなり、不明確な記載となっている旨の通知をしたものである。
しかし、請求項1は、本件訂正請求による訂正により、「前記複数のバーチャルブロックのそれぞれごとに、前記複数のラベルエリア及び前記複数のデータエリアのうちの1つに・・・ビットドットと、を含み、」と訂正され、上記2.3.1.2.2で検討したように、各バーチャルブロックにおける、「複数のラベルエリア及び複数のデータエリアのうち1つ」に必ずビットドットを含む構成であることが明瞭となった。

3.4.1.3.2 請求項5、6、8、9について
平成29年8月24日付けで特許権者に通知した取消理由において、請求項5、6、8、9に係る特許発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨の通知をした。
具体的には、平成29年4月13日付けで訂正された請求項5に記載された、「その他部分のビットエリア」の技術的な意味が明確でなく、十字型に排列されたラベルエリア以外のビットエリアである「その他部分のビットエリア」の全てがデータエリアであるとも解釈できる記載であり、明細書又は図面の記載(コーナービットエリアは、中央ラベル部以外のビットエリアであり、中央ラベル部の一部がラベルエリアとなっている)と整合しない場合のある不明瞭な記載となっている旨の通知をしたものである。
しかし、請求項5は、本件訂正請求による訂正により、「前記ビットエリアの一部を選択して、十字型に排列されたラベルエリアを一部とする中央ラベル部とし、その他部分のビットエリアを、データエリアであるコーナービットエリア」と訂正され、コーナービットエリアは、中央ラベル部以外のビットエリアであり、中央ラベル部の一部がラベルエリアとなるので、明細書又は図面の記載と整合する記載となり、明瞭となった。

3.4.2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
3.4.2.1 特許法第17条の2第3項及び特許法第36条第6項第1号について
異議申立人は、訂正前の請求項1の「前記複数のラベルエリア及び前記複数のデータエリアのうちの1つにこれらのエリアを塗りつぶさないように設置されたビットドット」及び請求項5の「前記ラベルエリア及び前記データエリアのうちの一つにこれらのエリアを塗りつぶさないようにビットドットを設置」に関して、本件特許の願書に最初に添付した明細書等には、「ラベルエリア及びデータエリアのうちの一つに、これらのエリアを塗りつぶさないようにビットドットを設置する」ことについて、何ら具体的に記載されていないため、平成27年5月7日付けの手続補正書による本件特許の請求項1及び請求項5に係る補正は、いずれも願書に最初に添付した明細書等に記載された事項の範囲内においてされたものでなく、また、発明の詳細な説明に記載されていない旨の主張をしている。
しかし、段落0025の「図4は、本発明の実施形態に係る複数のドットコード10を排列して形成されたパターンの概略図である。本発明の設計を明確に説明するため、図5に、図4の中の1つのドットコード10の拡大概略図を示す。」という記載、及び図4、5から、「ラベルエリア及びデータエリアのうちの一つに、これらのエリアを塗りつぶさないようにビットドットを設置する」ことは、明らかであり、当該主張を認めることはできない。

3.4.2.2 特許法第36条第6項第2号について
3.4.2.2.1 「ラベルエリア」、「データエリア」について
異議申立人は、「ラベルエリア」「データエリア」は、それぞれ、複数のビットエリアから構成される一つの領域を意味しており、1つのブロックには、「ラベルエリア」「データエリア」は、それぞれ一つのみ存在しているため、請求項1の「複数のラベルエリア」、「複数のデータエリア」は、明細書の記載と矛盾していること、請求項5は、「ビットエリア」「データエリア」が一つのみである記載と複数存在している記載とが混在していることを主張している。
しかし、明細書の段落0056の「図に示すように、バーチャルブロックの中央ラベル部は、さらに複数のラベルエリアCL-1?CL-9に区分されるため、中央ラベル部に設置されるビットドットdは、ラベルエリアCL-1?CL-9の中の1つに選択的に配置されてもよい。そのうち、ラベルエリアCL-2、CL-4、CL-5、CL-6、CL-8は、十字形に排列され、ビットドットdは、さらにラベルエリアCL-2、CL-4、CL-5、CL-6、CL-8の中の1つに選択的に配置されてもよい。」、段落0051の「コーナービットエリアCB-1?CB-4は、それぞれ1つの候補2進コードを表し、図14Bに示すように、コーナービットエリアCB-1は、候補2進コード00を表し、コーナービットエリアCB-2は、候補2進コード01を表し、コーナービットエリアCB-3は、候補2進コード10を表し、コーナービットエリアCB-4は、候補2進コード11を表す。」との記載から、「ラベルエリア」は、CL-1?CL-9のそれぞれを指し、「データエリア」は、CB-1?CB-4のそれぞれを指すものであるから、「ラベルエリア」「データエリア」は、それぞれ、複数のビットエリアから構成される一つの領域を意味するという異議申立人の主張を認めることはできず、請求項1の「複数のラベルエリア」、「複数のデータエリア」は、明細書の記載と矛盾しておらず、請求項5は明瞭な記載であり、当該主張を認めることはできない。

3.4.2.2.2 「ビットドット」について
異議申立人は、請求項1の「前記複数のラベルエリア及び前記複数のデータエリアのうちの1つにこれらのエリアを塗りつぶさないように設置されたビットドット」及び請求項5の「前記ラベルエリア及び前記データエリアのうちの一つにこれらのエリアを塗りつぶさないようにビットドットを設置」に関して、ビットドットをエリア内のどこにどのように設けるのか理解することができない旨の主張をしている。
しかし、本件特許発明は、ビットドットをエリアを塗りつぶさないように設置することに限定されているだけであり、段落0030において、「図7に示すように、4つのドットポイントAは、第1ビットドットが配置可能な4つの位置を表し、本実施形態において配置可能な4つの位置は、それぞれ第1データエリアの4つのビットエリア112a、112c、112g、112iのコーナー部分であるが、本発明はこれに限定されず、例えば、中央部分(図9のデータ部100に示す)に配置されてもよい。」と記載されているように、ビットドットをどこにどのように設けるかについては、本件明細書では特定するものではないので、当該主張を認めることはできない。

4 むすび
したがって、請求項1、2、4、5、6、8、9に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。
また、他に請求項1、2、4、5、6、8、9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項3、7に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項3、7に対して、特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが、十字型に排列された複数のラベルエリアを一部とする中央ラベル部と、それぞれが1つの候補2進コードを表す複数のデータエリアであるコーナービットエリアと、を備え、マトリックスに排列された複数のバーチャルブロックであって、
前記マトリックスにおいて行方向又は列方向に連続する2つの前記バーチャルブロックにおいて、2つの前記コーナービットエリア間は隣接し、2つの前記中央ラベル部間は隣接しない、
複数のバーチャルブロックと、
前記複数のバーチャルブロックのそれぞれごとに、前記複数のラベルエリア及び前記複数のデータエリアのうちの1つにこれらのエリアを塗りつぶさないように設置されたビットドットと、を含み、
前記データエリアに設置された前記ビットドットが、前記各データエリアに対応する前記候補2進コードに基づいて、前記各バーチャルブロックが表す2進コードを定義し、
少なくとも2つの前記ビットドットが、それぞれ予め定められた位置の前記バーチャルブロックの前記ラベルエリアに位置して、パターンを固定するラベルを構成するために用いられるインジケータデータであるドットコード。
【請求項2】
前記ラベルが、L型となる請求項1記載のインジケータデータであるドットコード。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記ラベルにより、前記各バーチャルブロックが表す前記2進コードの排列の順序を決定する請求項1記載のインジケータデータであるドットコード。
【請求項5】
ドットコードを生成するエリアを定義し、
前記エリアを、マトリックスに排列された複数のブロックに区分し、
それぞれの前記ブロックを複数のビットエリアに区分し、
前記ビットエリアの一部を選択して、十字型に排列されたラベルエリアを一部とする中央ラベル部とし、その他部分のビットエリアを、データエリアであるコーナービットエリアとし、
前記ラベルエリア及び前記データエリアのうちの一つにこれらのエリアを塗りつぶさないようにビットドットを設置し、
前記データエリアに位置するビットドットが、前記各データエリアに対応する候補2進コードに基づいて、前記ブロックが表す2進コードを定義し、
少なくとも2つの前記ビットドットが、それぞれ予め定められた位置の前記ブロックの前記ラベルエリアに位置して、パターンを固定するラベルを構成し、
所定パターン排列に基づいて、前記ビットドットを有する前記ドットコードの生成エリアを重複的に排列したドットコード生成方法において、
前記マトリックスにおいて行方向又は列方向に連続する2つの前記ブロックにおいて、2つの前記コーナービットエリア間は隣接し、2つの前記中央ラベル部間は隣接しない、ドットコード生成方法。
【請求項6】
前記ラベルが、L型となる請求項5記載のドットコード生成方法。
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
前記ラベルにより、前記各ブロックが表す前記2進コードの排列の順序を決定する請求項5記載のドットコード生成方法。
【請求項9】
前記所定パターン排列がマトリックスである請求項5記載のドットコード生成方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-01-26 
出願番号 特願2013-234143(P2013-234143)
審決分類 P 1 651・ 853- YAA (H04N)
P 1 651・ 537- YAA (H04N)
P 1 651・ 55- YAA (H04N)
P 1 651・ 851- YAA (H04N)
P 1 651・ 121- YAA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石田 信行白石 圭吾畑中 高行  
特許庁審判長 清水 正一
特許庁審判官 篠原 功一
渡辺 努
登録日 2015-08-14 
登録番号 特許第5789887号(P5789887)
権利者 松翰科技股▲ふん▼有限公司
発明の名称 ドットコードを用いたデータ入力/出力方法  
代理人 中西 基晴  
代理人 山本 修  
代理人 松尾 淳一  
代理人 宮前 徹  
代理人 小野 新次郎  
代理人 松尾 淳一  
代理人 矢部 耕三  
代理人 宮前 徹  
代理人 矢部 耕三  
代理人 山本 修  
代理人 小野 新次郎  
代理人 末松 亮太  
代理人 中西 基晴  
代理人 末松 亮太  
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