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審決分類 |
審判 判定 同一 属さない(申立て成立) C12N |
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管理番号 | 1338185 |
判定請求番号 | 判定2017-600040 |
総通号数 | 220 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許判定公報 |
発行日 | 2018-04-27 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2017-10-03 |
確定日 | 2018-03-02 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第6018572号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | イ号説明書に示す「組換えヒトイズロン酸-2-スルファターゼ(rhI2S)を含む組成物の製造方法」は、特許第6018572号発明の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
第1 請求の趣旨 本件判定請求は、イ号説明書に示す組換えヒトイズロン酸-2-スルファターゼ(rhI2S)を含む組成物の製造方法(以下、「イ号方法」という。)は、特許第6018572号発明(以下、「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属しない、との判定を求めたものである。 第2 手続の経緯 本件特許発明についての出願は、平成24年1月23日(国内優先権主張 平成23年1月25日)に特許出願され、平成28年10月7日に特許権の設定登録がされたものである。 それに対して、平成29年10月3日にグリーン・クロス・コーポレイションから本件判定の請求がされ、平成29年10月27日付けで被請求人に判定請求書副本を送達し、期間を指定して答弁書を提出する機会を与えたが、被請求人からは応答がなかった。 第3 本件特許発明 本件特許発明は、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載されたとおりのものであり(以下、それぞれ「本件特許発明1」、「本件特許発明2」等という。)、このうち本件特許発明1を構成要件ごとに分説すると次のとおりである。 「【請求項1】 A 組換えヒトイズロン酸-2-スルファターゼ(rhI2S)の製造方法であって、次のステップすなわち、 B (a) 培地中にrhI2Sを分泌させるために無血清培地中でrhI2S産生哺乳類細胞を培養し、 C (b) 上記ステップ(a)で得られた培養物から細胞を除去することによって培養上清を回収し、 D (c) 上記ステップ(b)で得られた培養上清を陽イオン交換カラムクロマトグラフィーに付してrhI2S活性を有する画分を回収し、 E (d) 上記ステップ(c)で回収された該画分を色素親和性カラムクロマトグラフィーに付してrhI2S活性を有する画分を回収し、 F (e) 上記ステップ(d)で回収された該画分を陰イオン交換カラムクロマトグラフィーに付してrhI2S活性を有する画分を回収し、 G (f) 上記ステップ(e)で回収された該画分をリン酸基に対し親和性をもつ材料を固定相として用いたカラムクロマトグラフィーに付してrhI2S活性を有する画分を回収し、そして、 H (g) 上記ステップ(f)で回収された該画分をゲルろ過カラムクロマトグラフィーに付してrhI2S活性を有する画分を回収することを、この順で含んでなるもの。」 第4 イ号方法 判定請求書に添付して提出された「イ号説明書」及び判定請求書の「6(4)イ号の説明」によれば、イ号方法は次のとおりの構成I?VIIを具備するものである。 「I 組換えヒトイズロン酸-2-スルファターゼ(rhI2S)の製造方法であって、次のステップすなわち、 II (1) 培地中にrhI2Sを分泌させるために、無血清培地中で、ヒトイズロン酸-2-スルファターゼをコードする遺伝子を含む発現ベクターで形質転換したCHO細胞を培養し、 III (2) 上記ステップ(1)で得られた培養物から細胞を除去することによって培養上清を回収し、 IV (3) 上記ステップ(2)で得られた培養上清をQ Sepharose(登録商標)を充填したカラムを用いたクロマトグラフィーに付してrhI2S活性を有する画分を回収し、 V (4) 上記ステップ(3)で回収された該画分をPhenyl Sepharose(登録商標)を充填したカラムを用いたクロマトグラフィーに付してrhI2S活性を有する画分を回収し、 VI (5) 上記ステップ(4)で回収された該画分をCM Sepharose Fast Flow(登録商標)、SP Sepharose Fast Flow(登録商標)、S Sepharose Fast Flow(登録商標)またはCapto MMC(登録商標)を用いたクロマトグラフィーに付してrhI2S活性を有する画分を回収し、 VII (6) 上記ステップ(5)で回収された該画分をBlue Sepharose(登録商標)を充填したカラムを用いたクロマトグラフィーに付してrhI2S活性を有する画分を回収することを、この順で含んでなるもの。」 第5 判断 1 構成要件Aの充足性 本件特許発明1とイ号方法は、ともに「組換えヒトイズロン酸-2-スルファターゼ(rhI2S)の製造方法」であるから、イ号方法の構成Iは本件特許発明1の構成要件Aを充足する。 2 構成要件B及びCの充足性 イ号方法の構成IIの「CHO細胞」は哺乳類細胞であって、「ヒトイズロン酸-2-スルファターゼをコードする遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した」ことによりrhI2Sを産生するものであるから、イ号方法の構成IIの「ヒトイズロン酸-2-スルファターゼをコードする遺伝子を含む発現ベクターで形質転換したCHO細胞」は、本件特許発明1の構成要件Bの「rhI2S産生哺乳類細胞」に該当する。そして、イ号方法の構成IIIの「上記ステップ(1)で得られた培養物」及び「細胞」は、それぞれ本件特許発明1の構成要件Cの「上記ステップ(a)で得られた培養物」及び「細胞」に該当する。 したがって、イ号方法の構成II及びIIIは、それぞれ本件特許発明1の構成要件B及びCを充足する。 3 構成要件D?Hの充足性 構成要件D?Hの充足性を判断するために、イ号方法の構成IV?VIIで用いるカラムクロマトグラフィーがそれぞれどのような種類のものであるかを検討すると、請求人の主張、本件特許明細書の記載及び技術常識に照らして、「Q Sepharose(登録商標)を充填したカラムを用いたクロマトグラフィー」は陰イオン交換カラムクロマトグラフィー、「Phenyl Sepharose(登録商標)を充填したカラムを用いたクロマトグラフィー」は疎水性クロマトグラフィー、「CM Sepharose Fast Flow(登録商標)、SP Sepharose Fast Flow(登録商標)、S Sepharose Fast Flow(登録商標)またはCapto MMC(登録商標)」は陽イオン交換カラムクロマトグラフィー、「Blue Sepharose(登録商標)を充填したカラムを用いたクロマトグラフィー」は色素親和性カラムクロマトグラフィーである。よって、イ号方法の構成IV?VIIは、陰イオン交換カラムクロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、陽イオン交換カラムクロマトグラフィー、色素親和性カラムクロマトグラフィーの順で用いるものであるといえる。 それに対して、本件特許発明1の構成要件D?Hは、陽イオン交換カラムクロマトグラフィー、色素親和性カラムクロマトグラフィー、陰イオン交換カラムクロマトグラフィー、リン酸基に対し親和性をもつ材料を固定相として用いたカラムクロマトグラフィー、ゲルろ過カラムクロマトグラフィーの順で用いるものであるから、イ号方法の構成IV?VIIは、本件特許発明1の構成要件D?Hを充足しない別異のステップである。 4 むすび 以上のとおり、イ号方法は、本件特許発明1の構成要件D?Hを充足しない別異のステップを含むものであるから、本件特許発明1の技術的範囲に属しない。 また、本件特許発明2?8は本件特許発明1の構成要件をすべて含むものであるから、同様に、イ号方法は、本件特許発明2?8の技術的範囲に属しない。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2018-02-22 |
出願番号 | 特願2013-532780(P2013-532780) |
審決分類 |
P
1
2・
1-
ZA
(C12N)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 渡邉 潤也、宮岡 真衣 |
特許庁審判長 |
田村 明照 |
特許庁審判官 |
松田 芳子 長井 啓子 |
登録日 | 2016-10-07 |
登録番号 | 特許第6018572号(P6018572) |
発明の名称 | 組換えヒトイズロン酸-2-スルファターゼの製造方法 |
代理人 | 井関 勝守 |
代理人 | 金子 修平 |