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審決分類 |
審判 一部無効 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 C09K 審判 一部無効 2項進歩性 C09K |
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管理番号 | 1338424 |
審判番号 | 無効2014-800065 |
総通号数 | 221 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-05-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2014-04-28 |
確定日 | 2018-01-31 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第5311168号発明「液晶組成物及びそれを用いた液晶表示素子」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第5311168号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、3、5-7〕について一群の請求項ごとに訂正することを認める。 特許第5311168号の請求項1、3、6及び7に係る発明についての特許に対する本件審判の請求は、成り立たない。 特許第5311168号の請求項2及び4に係る発明についての特許に対する本件審判の請求は、不適法なものであるから、却下する。 審判費用は、6分し、その4を請求人の負担とし、その余を被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 請求の趣旨・手続の経緯 1.設定登録までの経緯 本件特許第5311168号に係る出願(特願2012-555222号)は、平成24年10月5日の国際出願日に出願人DIC株式会社(以下、「被請求人」という。)によりされたものとみなされる国際特許出願であり、平成25年7月12日に特許権の設定登録(請求項の数7)がされたものである。 2.本件審判請求の趣旨及びその理由の概要 請求人メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング(以下「請求人」という。)は、平成26年4月28日付けで「特許第5311168号の請求項1?4、6および7に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」という趣旨の本件審判を請求し、各特許を無効とすべき理由につき、概略、下記の理由を提示するとともに、下記証拠方法を提示した。 (1)本件の請求項1?4、6および7に係る発明についての特許は、各請求項に係る発明が、甲第1ないし5号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができるものではなく、同法同条に違反して特許されたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものであるとするもの(無効理由1) (2)本件の請求項1?4、6及び7に係る発明についての特許は、各請求項に係る発明が、甲第1ないし5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができるものではなく、同法同条に違反して特許されたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものであるとするもの(無効理由2) (3)本件特許に係る特許請求の範囲の請求項1、3及び4の記載では、各項に係る特許を受けようとする発明が明確でない不備があり、特許法第36条第6項第2号の規定に適合するものではなく、同法同条同項(柱書)の規定を満たしていないから、同法第123条第1項第4号に該当し、本件の請求項1、3及び4に係る発明についての特許は無効とされるべきであるとするもの(無効理由3) ・請求人が請求時に提示した証拠方法: 甲第1号証:特表2010-501688号公報 甲第2号証:国際公開第2012/069151号 (甲第2号証の2:特表2014-503615号公報(甲第2号証の訳文)) 甲第3号証:特表2008-502754号公報 甲第4号証:特開2009-191264号公報 甲第5号証:特開2009-185285号公報 (以下、「甲1号証」などを「甲1」などと略していう。) 3.以降、手続中止までの手続の経緯 本件審判は、上記2.の請求の趣旨及び理由により請求されたものであり、以降、下記7.の手続中止までの手続の経緯は、以下のとおりである。 平成26年 5月21日付け 答弁指令・請求書副本の送付 平成26年 7月18日 答弁書・訂正請求書 (受理日:同年7月22日) 平成26年 7月24日付け 弁駁指令 ・答弁書及び訂正請求書の各副本送付 平成26年 9月16日 弁駁書 平成26年10月16日付け 弁駁書副本送付 平成26年10月30日付け 審理事項通知書(両当事者あて) 平成27年 1月 8日 口頭審理陳述要領書(請求人) 平成27年 1月 8日付け 口頭審理陳述要領書(被請求人) (受理日:同年1月 9日) 平成27年 1月22日 口頭審理 平成27年 5月12日付け 審決の予告 (請求項1ないし4、6及び7、いずれも無効) 平成27年 7月14日付け 訂正請求書・上申書(被請求人) (受理日:同年7月15日) 平成27年 7月31日付け 弁駁指令・上申書の副本送付 平成27年 8月 3日付け 弁駁指令・訂正請求書の副本送付 平成27年 9月29日 弁駁書 平成27年11月17日付け 手続中止通知書(両当事者あて) 4.答弁の趣旨 被請求人は、「本件無効審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。」との趣旨の答弁をし、請求人が主張する上記無効理由は、いずれも理由がない旨の主張をしている。 5.弁駁書における請求人が主張する無効理由 請求人は、上記平成26年9月16日付け弁駁書において、本件特許の訂正が請求されたことに起因して必要となったとして、新たに下記(1)ないし(4)の各無効理由につき主張し、下記証拠方法を提示した。 (1)訂正後の本件の請求項1?4、6及び7に係る発明についての特許は、各請求項に係る発明が、甲第1ないし8、10及び11号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができるものではなく、同法同条に違反して特許されたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものであるとするもの(無効理由A) (2)訂正後の本件の請求項1?4、6及び7に係る発明についての特許は、各請求項に係る発明が、甲第1ないし8、10及び11号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができるものではなく、同法同条に違反して特許されたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものであるとするもの(無効理由B) (3)訂正後の本件の請求項1?4、6及び7に係る発明についての特許は、各請求項に係る発明が、甲第9及び12号証の各先願の出願当初の明細書等に記載された発明であるから、特許法第29条の2第1項の規定により、特許を受けることができるものではなく、同法同条に違反して特許されたものであるから、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものであるとするもの(無効理由C) (4)訂正後の本件特許に係る特許請求の範囲の請求項1、3及び4の記載では、各項に係る特許を受けようとする発明が明確でない不備があり、特許法第36条第6項第2号の規定に適合するものではなく、同法同条同項(柱書)の規定を満たしていないから、同法第123条第1項第4号に該当し、本件の請求項1、3及び4に係る発明についての特許は無効とされるべきであるとするもの(無効理由3と同一) ・平成26年9月16日付け弁駁書における新たな証拠方法 甲第6号証:国際公開第2011/137956号(抄訳添付) 甲第7号証:国際公開第2011/065299号 甲第8号証:特開2010-270178号公報 甲第9号証:特願2012-87081号(特開2012-219270号公報) 甲第10号証:特開2010-254871号公報 甲第11号証:特表2008-545804号公報 甲第12号証:特願2012-163940号(特開2014-24888号公報) 6.請求人による無効理由の撤回・第1回口頭審理 請求人は、平成27年1月8日付け口頭審理陳述要領書において、本件審判請求書で主張する甲1ないし甲5に基づく新規性違反に係る無効理由1及び請求項の記載不備に係る無効理由3につきそれぞれ撤回した。 また、請求人は、第1回口頭審理において、上記弁駁書及び口頭審理陳述要領書における甲6ないし甲12を主たる引用証拠とする「無効理由A」、「無効理由B」及び「無効理由C」につきいずれも撤回した。 (なお、上記各無効理由に係る主張の撤回につき、被請求人は上記口頭審理において同意した。) さらに、当審は、第1回口頭審理において、請求人が提示した甲第1号証ないし甲第12号証につき、いずれも取り調べた。(被請求人は、甲第1号証ないし甲第12号証に係る成立を認めた。)(第1回口頭審理調書参照。) これにより、請求人が主張する無効理由は、以下のとおりに整理された。 ・訂正後の本件特許に係る請求項1ないし4、6及び7に記載された各発明は、いずれも甲1ないし甲5に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができるものではないから、訂正後の請求項1ないし4、6及び7に記載された各発明についての本件特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第123条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきものである。 7.審理手続の中止及び再開について (1)審理手続の中止 当審は、同一特許(特許第5311168号)に対する別件無効審判事件(無効2014-800067号)につき、当該別件事件を先行して審理することとし、本件審判事件については、平成27年11月17日付けで、審理手続を中止することを両当事者に通知した。 (2)別件無効審判事件の審理結果 本件審判事件に先行して審理した上記別件無効審判事件では、請求項2及び4の記載事項を全て削除することを含む新たな訂正が行われた上で、本件特許の請求項1、3及び5ないし7に係る発明についての特許に対する無効審判請求は成り立たないとし、同特許の請求項2及び4に係る発明についての特許に対する無効審判請求は却下する旨の審決がされ、当該審決はその後確定した。 また、上記審決の確定により、上記訂正についても、確定した。 (3)本件の審理手続の再開及びその後の手続の経緯 当審は、別件審判事件の審理が終了したことにより、本件の審理手続を再開することとし、平成28年11月21日付けで両当事者に対し、手続中止解除を通知した。 以降の手続の経緯は、以下のとおりである。 平成28年11月21日付け 通知書(請求人あて) (別件における訂正後の本件特許の内容を通知) 平成29年 1月12日 意見書(請求人) 平成29年 1月24日付け 意見書副本の送付(被請求人あて) 同日付け 通知書(被請求人あて) (上記意見書による請求書の補正に対する同意確認通知) 平成29年 2月 6日付け 回答書(被請求人、補正同意) 平成29年 2月13日付け 補正許否の決定(請求書の補正許可) 同日付け 答弁指令 同日付け 弁駁書副本・回答書副本の各相手方へ送付 平成29年 3月17日付け 答弁書・訂正請求書 (受理日:同年3月21日) 平成29年 3月24日付け 弁駁指令・ 答弁書及び訂正請求書の各副本送付 平成29年 5月17日 弁駁書 (現在に至る) 第2 訂正の適否についての当審の判断 1.訂正の内容 平成29年3月17日付けの訂正請求は、願書に添付した特許請求の範囲(上記別件無効審判事件の審決(訂正)確定時のもの。なお、同時に確定した願書に添付した明細書を、以下「本件特許明細書」という。)を、同訂正請求の請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおりに、請求項ごと又は一群の請求項ごとに訂正(以下「本件訂正」という。)することを求めるものであって、具体的には下記訂正事項1及び2からなるものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「化合物をさらに含有し、前記式(40)で表される化合物」とあるのを、「化合物および一般式(15): ![]() (式中、R^(15)はそれぞれ独立して炭素原子数2?5のアルキル基または炭素原子数2?5のアルケニル基を表す。)で表される1種又は2種以上の化合物をさらに含有し、前記式(40)で表される化合物」と訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項6に、「化合物を含有する」とあるのを、「化合物を含有し、 150℃で1時間の高温放置後のVHR(周波数60Hz、印加電圧1Vの条件下で60℃における電圧保持率(%))が99.0%以上である、」と訂正する。 (審決注:上記下線部は、訂正請求書の訂正事項2には記載されていない部分であるが、訂正特許請求の範囲及び周辺の文脈からみて、脱字であるものと認める。) 2.訂正の適否に係る判断 (1)特許法第134条の2第1項ただし書各号に掲げる事項を目的とするか否かについて ア.訂正事項1について 上記訂正事項1に係る訂正では、訂正前の請求項1につき、「一般式(15)」で表される化合物の1種又は2種以上を成分(B)として更に含有することという技術事項を直列的に付加することにより特許請求の範囲を減縮し、同請求項1を引用する各請求項についても同様に減縮しているものと認められる。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認めることができる。 イ.訂正事項2について 上記訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項6につき、「150℃で1時間の高温放置後のVHR」が一定値以上のものであるという物性に係る技術事項を直列的に付加することにより特許請求の範囲を減縮したものであることが明らかであるから、請求項6に係る特許請求の範囲を減縮しているものと認められる。 したがって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認めることができる。 ウ.小括 以上のとおり、上記訂正事項1及び2に係る各訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。 (2)特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否かについて 当審は、本件訂正が特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否かについては、「明細書等に記載された事項との関係において、補正(訂正)が新たな技術的事項を導入しないものであるかどうかを基準として判断すべき」という知財高裁特別部平成18年(行ケ)第10563号判決における見地に照らして、検討すべきものと考える。 ア.訂正事項1及び2について 訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項1につき、訂正前の本件特許明細書の【0179】ないし【0181】及び【実施例】の各記載に基づいて、記載された各技術事項を直列的に付加して特許請求の範囲を減縮しているものといえる。 また、訂正事項2に係る訂正は、訂正前の請求項6につき、訂正前の本件特許明細書の【0008】及び【0283】の各記載に基づいて、記載された各技術事項を直列的に付加して特許請求の範囲を減縮しているものといえる。 してみると、訂正事項1及び2に係る各訂正は、何ら新しい技術的事項を導入しないといえる。 イ.小括 したがって、本件の訂正事項1及び2に係る訂正は、いずれも特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 (3)特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するか否かについて 上記(1)ア.及びイ.で説示したとおり、上記訂正事項1及び2に係る訂正は、いずれも訂正前の請求項1又は6に記載されている事項により特定される発明の範囲をそれぞれ実質的に減縮するものであって、上記(2)で説示したとおり、何ら新しい技術的事項を導入しないものといえるのであるから、各請求項又は一群の請求項に係る特許請求の範囲をそれぞれ実質的に減縮するものであって、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではないといえる。 してみると、上記訂正事項1及び2に係る本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものであるといえないから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)一群の請求項について 上記(1)で検討したとおり、本件訂正により、請求項1及び同項を引用する各請求項がいずれも訂正されるから、本件訂正は、一群の請求項ごとに訂正されているものであって、特許法第134条の2第3項に適合するものである。 3.訂正に係るまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項の規定及び同条第9項で準用する同法第126条第4項ないし第6項の各規定に適合するものである。 よって、本件訂正を認める。 第3 請求人主張の無効理由について 本件の審理手続を再開する前の請求人が主張する無効理由は、上記第1の6.で示したとおりであったが、優先して審理した上記別件無効審判事件において訂正が確定し、本件無効審判事件の審理対象に変更が生じたところ、請求人は平成29年1月12日付けで意見書を提出し、無効理由を補正する審判請求書の補正を行った。これに対して、被請求人はその補正につき条件付で同意し、その同意に基づき当審は、特許法第131条の2第2項第2号の規定により決定をもってその補正を許可した。 よって、その補正された審判請求書の記載からみて、本件無効審判事件において審理すべき無効理由は、以下のとおりに整理することができる。 ・訂正後の本件特許に係る請求項1、3、6及び7に記載された各発明は、いずれも甲1及び甲5に記載された各発明及び甲2ないし甲4、甲7並びに甲8に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が特許出願前に容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、訂正後の請求項1、3、6及び7に記載された各発明についての本件特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであって、同法第123条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきものである。(以下「無効理由」といいかえる。) 第4 当審の判断 当審は、 請求人が主張する無効理由につき理由がないから、訂正後の請求項1、3、6及び7に係る発明についての特許に対する本件無効審判請求は成り立たない、 と判断する。 以下、その理由につき詳述する。 I.本件特許に係る発明 本件特許に係る発明は、上記本件訂正で訂正された請求項1ないし7に記載された事項で特定される、以下のとおりのものである。(下線は、本件訂正により訂正された部分を表す。) 「【請求項1】 正の誘電率異方性を有する液晶組成物であって、 式(1): 【化1】 ![]() で表される化合物および一般式(2): 【化2】 ![]() (上記一般式(2)中、R^(2)は、炭素原子数2?5のアルキル基を表し、A^(2)は1,4-フェニレン基または1,4-シクロヘキシレン基を表し、X^(21)?X^(24)はそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表し、U^(2)は単結合を表し、Y^(2)はフッ素原子または-OCF_(3)を表す。)で表される化合物、のうち、前記A^(2)は1,4-フェニレン基を表し、前記Y^(2)は-OCF_(3)を表す化合物を含有する誘電的に正の成分である成分(A)と、 式(40): 【化3】 ![]() で表される化合物および一般式(9): 【化4】 ![]() (式中、R^(91)、R^(92)はそれぞれ独立して炭素原子数2?5のアルキル基または炭素原子数2?5のアルケニル基を表し、X^(91)、X^(92)はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を表す。)で表される2種類以上の化合物を含む、誘電率異方性が-2より大であり、かつ+2より小である誘電的に中性な成分(B)と、を含有する液晶組成物であって、 前記成分(A)として、式(12.2): 【化10】 ![]() で表される化合物をさらに含有し、 前記成分(B)として、式(4.4): 【化11】 ![]() で表される化合物および一般式(15): 【化14】 ![]() (式中、R^(15)はそれぞれ独立して炭素原子数2?5のアルキル基または炭素原子数2?5のアルケニル基を表す。)で表される1種又は2種以上の化合物をさらに含有し、 前記式(40)で表される化合物の含有量は、前記液晶組成物の総量に対して29質量%以上である、 液晶組成物(ただし、式 【化12】 ![]() (ここで、R^(1)は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり;X^(5)およびX^(6)は独立して、水素またはフッ素であり;Y^(1)は、フッ素、塩素、またはトリフルオロメトキシである)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物、並びに 液晶組成物の全重量に基づいて式 【化13】 ![]() (ここで、R^(1)は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;X^(1)およびX^(2)は独立して、水素またはフッ素であり;Y^(1)は、フッ素またはトリフルオロメトキシである)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物の割合が10重量%以上である、正の誘電率異方性を有する液晶組成物、 を除く)。 【請求項2】(削除) 【請求項3】 誘電的に正の成分(A)として、一般式(8) 【化6】 ![]() (式中、R^(8)は炭素原子数2?5のアルキル基を表し、A^(8)は1,4-フェニレン基または1,4-シクロヘキシレン基を表し、X^(86)?X^(89)はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を表す。)で表される1種又は2種類以上の化合物を含有する請求項1に記載の液晶組成物。 【請求項4】(削除) 【請求項5】 式(10) 【化8】 ![]() で表される化合物を含有する請求項1または3に記載の液晶組成物。 【請求項6】 誘電的に中性な成分(B)として、一般式(16) 【化9】 ![]() (式中、R^(164)は炭素原子数2?5のアルキル基を表し、R^(165)は炭素原子数1?5のアルキル基またはアルコキシ基を表し、X^(161)およびX^(162)はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を表し、A^(16)は1,4-フェニレン基または1,4-シクロヘキシレン基を表し、m^(16)は0または1を表す。)で表される1種又は2種類以上の化合物を含有し、 150℃で1時間の高温放置後のVHR(周波数60Hz、印加電圧1Vの条件下で60℃における電圧保持率(%))が99.0%以上である、 請求項1、3、5のいずれか一項に記載の液晶組成物。 【請求項7】 請求項1に記載の液晶組成物を用いたPSVAモード又はPSAモードのアクティブマトリックス駆動用液晶表示素子であって、 前記液晶組成物は一般式(V) 【化24】 ![]() (式中、X^(51)及びX^(52)はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、Sp^(1)及びSp^(2)は単結合を表し、 Sp^(1)とSp^(2)の間の環構造 【化25】 ![]() は、式(Va-1)から式(Va-3) 【化26】 ![]() を表す。)で表される二官能モノマーを含有する、 アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子。」 (以下、項番に従い「本件訂正発明1」ないし「本件訂正発明7」といい、併せて「本件訂正発明」ということがある。) II.各甲号証に記載された事項 請求人が提示した甲1ないし甲5、甲7及び甲8には、それぞれ以下の事項が記載されている。なお、以下の摘示において、審決の作成の都合上(イメージデータの入力制限)、化学式自体及びその説明部又は化学式の周辺に記載された一部の文章の摘示は、必要最低限にとどめ、ほかは省略する。 1.甲1 甲1には、以下の(a-1)ないし(a-12)の事項が記載されている。 (a-1) 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 式Iの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする液晶媒体。 【化1】 ![]() (式中、 R^(0)は、1?15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし、また、これらの基の1個以上のCH_(2)基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接つながらないようにして、-C≡C-、-CF_(2)O-、-CH=CH-、 【化2】 ![]() -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子によって置き換えられていてもよく、および X^(0)は、F、Cl、CN、SF_(5)、SCN、NCS、6個までのC原子を有するハロゲン化されたアルキル基、ハロゲン化されたアルケニル基、ハロゲン化されたアルコキシ基またはハロゲン化されたアルケニルオキシ基を表す。) 【請求項2】 式IIおよび/またはIIIの1種類以上の化合物を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶媒体。 【化3】 ![]() 【化4】 ![]() (式中、 Aは、1,4-フェニレンまたはトランス-1,4-シクロヘキシレンを表し、 aは、0または1を表し、 R^(3)は、2?9個のC原子を有するアルケニルを表し、および R^(4)は、請求項1中のR^(0)に対して示される意味を有する。) 【請求項3】 以下の式から選択される1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶媒体。 【化5】 ![]() ・・(中略)・・ (式中、R^(3a)およびR^(4a)は、それぞれ互いに独立に、H、CH_(3)、C_(2)H_(5)またはC_(3)H_(7)を表し、およびalkylは、1?8個のC原子を有する直鎖のアルキル基を表す。) 【請求項4】 以下の式から選択される1種類以上の化合物を更に含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【化6】 ![]() (式中、R^(0)およびX^(0)は、請求項1中で示される意味を有し、および Y^(1?4)は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、 Z^(0)は、-C_(2)H_(4)-、-(CH_(2))_(4)-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C_(2)F_(4)-、-CH_(2)CF_(2)-、-CF_(2)CH_(2)-、-CH_(2)O-、-OCH_(2)-、-COO-、-CF_(2)O-または-OCF_(2)-を表し、式VおよびVI中では単結合も表し、および rは、0または1を表す。) 【請求項5】 以下の式から選択される1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【化7】(式は省略) (式中、R^(0)およびX^(0)は、請求項1中で示される意味を有する。) 【請求項6】 以下の式から選択される1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【化8】(式は省略) (式中、R^(0)およびX^(0)は、請求項1中で示される意味を有する。) 【請求項7】 以下の式から選択される1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【化9】 ![]() (式中、R^(0)およびX^(0)は、請求項1中で示される意味を有する。) 【請求項8】 以下の式から選択される1種類以上の化合物を更に含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【化10】 ![]() (式中、 R^(1)およびR^(2)は、それぞれ互いに独立に、9個までのC原子を有するn-アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを表し、およびY^(1)は、HまたはFを表す。) 【請求項9】 以下の式から選択される1種類以上の化合物を更に含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【化11】 ![]() (式中、R^(0)、X^(0)、Y^(1)およびY^(2)は、請求項1および4中で示される意味を有する。) 【請求項10】 1?25重量%の式Iの化合物と、 25?80重量%の式IIおよび/またはIIIの化合物と、 5?40重量%の式XIIの化合物と を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【請求項11】 1種類以上のUV安定化剤および/または抗酸化剤を更に含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【請求項12】 電気光学的目的のための請求項1から11のいずれか一項に記載の液晶媒体の使用。 【請求項13】 請求項1から11のいずれか一項に記載の液晶媒体を含有する電気光学的液晶ディスプレイ。 【請求項14】 式Iの1種類以上の化合物を、請求項2から10のいずれか一項に記載の1種類以上の化合物と、または更なる液晶化合物および/または添加剤と混合することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の液晶媒体を調製する方法。」 (a-2) 「【技術分野】 【0001】 本発明は、液晶媒体(LC媒体)、電気光学的目的のためのそれらの使用、およびこの媒体を含有するLCディスプレイに関する。」 (a-3) 「【背景技術】 ・・(中略)・・ 【0003】 液晶材料としては、良好な化学的および熱的安定性を有すると共に、電界および電磁線放射に対しても優れた安定性を有することが必要である。更に、液晶材料は低粘度であり、セル中で、アドレス時間が短く、閾電圧が低くおよびコントラストが高いものでなければならない。 【0004】 液晶材料は、更に、通常の動作温度において、即ち、室温より上および下の出来る限り広い範囲において、適切な中間相、例えば上記のセル用のネマチックまたはコレステリック中間相を有していなければならない。液晶は一般に複数成分の混合物として使用されるため、成分が互いに容易に混和することが重要である。導電性、誘電異方性および光学異方性などの更なる特性は、セルの型および用途分野に応じて、種々の要求を満足しなければならない。例えば、ツイストネマチック構造を有するセル用の材料は、正の誘電異方性および低い導電率を有していなければならない。 【0005】 例えば、個々のピクセルのスイッチングのために集積非線形素子を有するマトリックス型液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)については、大きな正の誘電異方性、広いネマチック相、比較的小さな複屈折率、非常に高い比抵抗、優れたUVおよび温度安定性、および低い蒸気圧を有する媒体が望まれる。 【0006】 この型のマトリックス型液晶ディスプレイは既知である。それぞれのピクセルを個々にスイッチングするために使用できる非線形素子の例は、アクティブ素子(即ち、トランジスター)である。そして使用される用語「アクティブマトリックス」は、2つの区別される型に分けられる。 【0007】 1.基板としてのシリコンウエハー上のMOS(Metal Oxide Semiconductor、金属酸化物半導体)または他のダイオード。 【0008】 2.基板としてのガラス板上の薄膜トランジスター(Thin-Film Transistor、TFT)。 ・・(中略)・・ 【0016】 テレビおよびビデオに応用するために、応答時間が短いディスプレイが必要である。そのような短い応答時間は、特に低い値の粘度、特に回転粘度γ_(1)を有する液晶媒体を使用することで達成できる。しかしながら、希釈添加剤は一般に透明点を低下させ、よって媒体の動作温度範囲が減少する。 【0017】 よって、非常に高い比抵抗を有すると同時に、広い動作温度範囲、低温でも短い応答時間および低い閾電圧を有しており、これらの不都合を有していないか、有していたとしてもより少ない程度であるMLCディスプレイが引き続き強く要求されている。 【0018】 TN(Schadt-Helfrich)セルの場合、セル中で次の利点を容易にする媒体が望まれる: -広げられたネマチック相範囲(特に、低い温度までの)、 -極度に低い温度でのスイッチ能力(屋外用途、自動車、航空電子工学)、 -紫外線照射に対する増大された抵抗(より長い寿命)、 -低い閾電圧。 【0019】 先行技術から入手可能な媒体では、これらの利点を、同時に他のパラメーターを保持しながら達成することはできない。 【0020】 スーパーツイスト型(STN)セルの場合には、より大きな時分割駆動および/またはより低い閾電圧および/またはより広いネマチック相範囲(特に、低温において)を可能にする媒体が望まれる。この目的のために、利用可能なパラメーターの範囲(透明点、スメクチック-ネマチック相転移または融点、粘度、誘電パラメーター、弾性パラメーター)を一層広げることが、至急望まれている。 【0021】 特に、テレビおよびビデオ用途(例えば、LCD TV、モニター、PDA、ノート型パソコン、ゲーム器コンソール)用のLCディスプレイの場合、応答時間が著しく短縮されていることが望まれる。理論的にはLCセル中のLC媒体の層厚d(「cellap」)を低減すると結果として応答時間がより速くなるが、光学遅延(d・Δn)を確実に適切とするためには高い複屈折率Δnを有するLC媒体が必要となる。しかしながら、従来技術より既知の高い複屈折率のLC材料は一般に同時に回転粘度も高く、応答時間に悪影響を有することとなる。従って、速い応答時間、低い回転粘度および高い複屈折率を同時に有するLC媒体に対する要求がある。」 (a-4) 「【発明が解決しようとする課題】 【0024】 本発明は、特にこの型のMLC、TN、STN、FFSまたはIPSディスプレイ用で、上で示される望ましい特性を有し、上記の不具合を示さないか、示しても低減されている媒体を提供する目的に基づいている。特に、LC媒体は、速い応答時間および低い回転粘度と同時に高い複屈折率を有していなければならない。加えて、LC媒体は、高い透明点、高い誘電異方性および低い閾電圧を有していなければならない。」 (a-5) 「【0029】 驚くべきことに、式Iの化合物を含むLC媒体は低い回転粘度γ_(1)および高い複屈折率Δn、ならびに速い応答時間、低い閾電圧、高い透明点、高い正の誘電異方性および広いネマチック相範囲を同時に有することが見出された。 【0030】 式Iの化合物は、広範囲の用途分野を有する。置換基の選択に応じて、それらは液晶媒体を主に構成する基礎材料となり得るが、例えば、この型の誘電体の誘電的および/または光学的異方性を修正したり、および/またはそれの閾電圧および/または粘度を最適なものとするために、他に分類される化合物からの液晶基礎材料を式Iの化合物に加えることもできる。 【0031】 式Iの好ましい化合物を下に述べる。 【0032】 【化3】(式は省略) 式中、R^(0)は上において示される意味を有し、好ましくは、直鎖のアルキルを表す。R^(0)が好ましくはC_(2)H_(5)、n-C_(3)H_(7)またはn-C_(5)H_(11)を表す式I-1およびI-2の化合物が特に好ましい。 【0033】 純粋な状態で、式Iの化合物は無色であり、電気光学的な使用のために好ましい温度範囲で液晶中間相を形成する。それらは、化学的に、熱的に、および光に対して安定である。」 (a-6) 「【0042】 -媒体は、式IIおよび/またはIIIの1種類以上の化合物を更に含む。 【0043】 【化4】 ![]() 式中、 Aは、1,4-フェニレンまたはトランス-1,4-シクロヘキシレンを表し、 aは、0または1であり、および R^(3)は、2?9個のC原子を有するアルケニルを表し、 および、R^(4)は式I中のR^(0)について示される意味を有し、好ましくは1?12個のC原子を有するアルキルまたは2?9個のC原子を有するアルケニルを表す。 【0044】 -式IIの化合物は、好ましくは以下の式から選択される。 【0045】 【化5】(式は省略) 式中、R^(3a)およびR^(4a)は、それぞれ互いに独立に、H、CH_(3)、C_(2)H_(5)またはC_(3)H_(7)を表し、およびalkylは、1?8個のC原子を有する直鎖のアルキル基を表す。特に好ましくは、式IIaおよびIIfの化合物、その中で特に式中R^(3a)がHまたはCH_(3)を表すもの、および式IIcの化合物、その中で特に式中R^(3a)およびR^(4a)がH、CH_(3)またはC_(2)H_(5)を表すものである。」 (a-7) 「【0048】 -媒体は、以下の式から選択される1種類以上の化合物を更に含む。 【0049】 【化7】 ![]() 式中、 R^(0)およびX^(0)は、式I中で示される意味を有し、および Y^(1?4)は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、 Z^(0)は、-C_(2)H_(4)-、-(CH_(2))_(4)-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C_(2)F_(4)-、-CH_(2)CF_(2)-、-CF_(2)CH_(2)-、-CH_(2)O-、-OCH_(2)-、-COO-、-CF_(2)O-または-OCF_(2)-を表し、式VおよびVI中では単結合も表し、および rは、0または1を表す。 【0050】 -式IVの化合物は、好ましくは以下の式から選択される。 【0051】 【化8】(式は省略) 式中、R^(0)およびX^(0)は、上で示される意味を有する。式IV中、R^(0)は、好ましくは、1?8個のC原子を有するアルキルを表し、X^(0)は、好ましくは、F、Cl、OCHF_(2)またはOCF_(3)を表す。 【0052】 -式Vの化合物は、好ましくは、以下の式より選択される。 【0053】 【化9】 ![]() 式中、R^(0)およびX^(0)は、上で示される意味を有する。式V中、R^(0)は、好ましくは、1?8個のC原子を有するアルキルを表し、X^(0)は、好ましくは、Fを表す。 【0054】 -媒体は、式VI-1の1種類以上の化合物を含む。 【0055】 【化10】(式は省略) 特に好ましくは、以下の式から選択されるものである。 【0056】 【化11】(式は省略) 式中、R^(0)およびX^(0)は、上で示される意味を有する。式VI中、R^(0)は、好ましくは、1?8個のC原子を有するアルキルを表し、X^(0)は、好ましくはF、更にはOCF_(3)を表す。 【0057】 -媒体は、式VI-2の1種類以上の化合物を含む。 【0058】 【化12】 ![]() 特に好ましくは、以下の式から選択されるものである。 【0059】 【化13】 ![]() 式中、R^(0)およびX^(0)は、上で示される意味を有する。式VI中、R^(0)は、好ましくは、1?8個のC原子を有するアルキルを表し、X^(0)は、好ましくは、Fを表す。 【0060】 -媒体は好ましくはZ^(0)が-CF_(2)O-、-CH_(2)CH_(2)または-COO-を表す式VIIの1種類以上の化合物を含み、特に好ましくは、以下の式から選択されるものである。 【0061】 【化14】(式は省略) 式中、R^(0)およびX^(0)は、上で示される意味を有する。式VII中、R^(0)は、好ましくは、1?8個のC原子を有するアルキルを表し、X^(0)は、好ましくはF、更にはOCF_(3)を表す。」 (a-8) 「【0078】 -媒体は、以下の式の1種類以上の化合物を更に含む。 【0079】 【化25】 ![]() 式中、R^(1)およびR^(2)は、それぞれ互いに独立に、それぞれ9個までのC原子を有するn-アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを表し、好ましくは、それぞれ互いに独立に、1?8個のC原子を有するアルキルを表す。Y^(1)は、HまたはFを表す。 【0080】 式XIIの好ましい化合物は、下式の化合物である。 【0081】 【化26】(式は省略) 式中、 alkylおよびalkyl^(*)は、それぞれ互いに独立に、1?6個のC原子を有する直鎖のアルキル基を表し、および alkenylおよびalkenyl^(*)は、それぞれ互いに独立に、2?6個のC原子を有する直鎖のアルケニル基を表す。」 (a-9) 「【0098】 -媒体は、好ましくは、式Iの1種類、2種類または3種類の化合物を含む。 【0099】 -媒体は、式I、II、III、V、VI-1、VI-2、XII、XIII、XIVおよびXVIから選択される化合物を含む。 【0100】 -媒体は、好ましくは、式VI-1の1種類以上の化合物を含む。 【0101】 -媒体は、好ましくは、式VI-2の1種類以上の化合物を含む。 【0102】 -媒体は、好ましくは、式Iの化合物を1?25重量%、好ましくは1?20重量%、特に好ましくは2?15重量%含む。 【0103】 -混合物全体における式II?XXIIの化合物の割合は、好ましくは、20?99重量%である。 【0104】 -媒体は、好ましくは、式IIおよび/またはIIIの化合物を25?80重量%、特に好ましくは30?70重量%含む。 【0105】 -媒体は、好ましくは、式Vの化合物を5?40重量%、特に好ましくは10?30重量%含む。 【0106】 -媒体は、好ましくは、式VI-1の化合物を3?30重量%、特に好ましくは6?25重量%含む。 【0107】 -媒体は、好ましくは、式VI-2の化合物を2?30重量%、特に好ましくは4?25重量%含む。 【0108】 -媒体は、式XIIの化合物を5?40重量%、特に好ましくは10?30重量%含む。 【0109】 -媒体は、好ましくは、式XIIIの化合物を1?25重量%、特に好ましくは2?15重量%含む。 【0110】 -媒体は、好ましくは、式XIVの化合物を5?45重量%、特に好ましくは10?35重量%含む。 ・・(中略)・・ 【0112】 たとえ比較的少ない量であっても式Iの化合物を、従来の液晶材料、しかしながら特に式II?XXIIの1種類以上の化合物と混合することにより、結果として光安定性が著しく増加し複屈折率の値が低くなり、同時に低いスメクチック-ネマチック転移温度を有する広範囲のネマチック相が観測され、貯蔵寿命が改良されることが判明した。同時に、混合物は、非常に低い閾電圧およびUVに曝露した際に非常に優れるVHRの値を示す。 【0113】 用語「アルキル(alkyl)」または「アルキル^(*)(alkyl^(*))」は、本出願において、1?7個の炭素原子を有する直鎖および分岐のアルキル基を包含し、特にメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルの直鎖基である。1?6個の炭素原子を有する基が、一般に好ましい。 【0114】 用語「アルケニル(alkenyl)」または「アルケニル^(*)(alkenyl^(*))」は、本出願において、2?7個の炭素原子を有する直鎖および分岐のアルケニル基を包含し、特に直鎖基である。好ましいアルケニル基は、C_(2)-C_(7)-1E-アルケニル、C_(4)-C_(7)-3E-アルケニル、C_(5)-C_(7)-4-アルケニル、C_(6)-C_(7)-5-アルケニルおよびC_(7)-6-アルケニル、特にC_(2)-C_(7)-1E-アルケニル、C_(4)-C_(7)-3E-アルケニルおよびC_(5)-C_(7)-4-アルケニルである。特に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E-プロペニル、1E-ブテニル、1E-ペンテニル、1E-ヘキセニル、1E-ヘプテニル、3-ブテニル、3E-ペンテニル、3E-ヘキセニル、3E-ヘプテニル、4-ペンテニル、4Z-ヘキセニル、4E-ヘキセニル、4Z-ヘプテニル、5-ヘキセニル、6-ヘプテニルなどである。5個までの炭素原子を有する基が、一般に好ましい。 ・・(中略)・・ 【0117】 R^(0)およびX^(0)の意味を適切に選択することにより、アドレス時間、閾電圧、透過特性曲線の急峻性などを所望の様式に修正することができる。例えば、1E-アルケニル基、3E-アルケニル基、2E-アルケニルオキシ基などは、アルキルまたはアルコキシ基と比較して、一般により短いアドレス時間、ネマチック性向の改善、および弾性定数k_(33)(ベンド)とk_(11)(スプレイ)のより高い比率を結果として与える。4-アルケニル基、3-アルケニル基などは、アルキルおよびアルコキシ基と比較して、一般に低い閾電圧およびより低い値のk_(33)/k_(11)を与える。本発明による混合物は、高いk_(1)値で特に特徴付けられ、よって、先行技術からの混合物より極めて速い応答時間を有する。 【0118】 上述の式の化合物の最適な混合比は、所望の特性、上述の式の成分の選択、および存在する場合もある他の成分の選択に、実質的に依存する。 【0119】 上で示される範囲内での適切な混合比は、場合ごとに容易に決めることができる。 【0120】 本発明による混合物中の上述の式の化合物の総量は、決定的なものではない。従って、混合物は、様々な特性の最適化のために、1種類以上の更なる成分を含むことができる。しかしながら、上述の式の化合物の総濃度が高くなるほど、混合物の特性の好ましい改良の観測される効果は、一般に大きくなる。 【0121】 特に好ましい実施形態において、本発明による媒体は、X^(0)が、F、OCF_(3)、OCHF_(2)、OCH=CF_(2)、OCF=CF_(2)またはOCF_(2)-CF_(2)Hである式IV?VIIIの化合物を含む。式Iの化合物との好ましい相乗効果により、特に有利な特性が結果として得られる。特に、式I、VおよびVIの化合物を含む混合物は、閾電圧が低いことで特徴付けられる。」 (a-10) 「【0125】 本発明による混合物は、例えば、PDA、ノート型パソコン、LCDテレビおよびモニターなどの携帯用途およびΔnの高いTFT用途に特に好適である。 【0126】 本発明による液晶混合物は、-20℃まで、好ましくは-30℃まで、特に好ましくは-40℃までネマチック相を保持し、70℃以上、好ましくは75℃以上の透明点を有し、同時に、90mPa・s以下、特に好ましくは70mPa・s以下の回転粘度γ_(1)を達成でき、速い応答時間を達成する優れたMLCディスプレイが可能となる。 【0127】 本発明による液晶混合物の誘電異方性Δεは、好ましくは+3以上、特に好ましくは+4以上である。加えて、混合物は低い動作電圧で特徴付けられる。本発明による液晶混合物の閾電圧は、好ましくは2.0V以下である。本発明による液晶混合物の複屈折率Δnは、好ましくは0.11以上、特に好ましくは0.12以上である。 【0128】 本発明による液晶混合物のネマチック相の範囲は、好ましくは少なくとも90°の幅であり、特には少なくとも100°である。この範囲は、好ましくは、少なくとも-25℃から+70℃に及んでいる。」 (a-11) 「【0138】 本出願中および下の例中において、液晶化合物の構造は略号で示されており、化学式への変換は下の表AおよびBに従って行われる。全ての基C_(n)H_(2n+1)およびC_(m)H_(2m+1)は、nおよびm個のC原子をそれぞれ有する直鎖のアルキル基であり、n、mおよびkは整数で、好ましくは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を表す。表B中のコードは、それ自体で明らかである。表A中には、親構造にかかわる略号のみが示されている。それぞれの場合において、この親構造の略号の後に、ダッシュにより分離されて、置換基R^(1*)、R^(2*)、L^(1*)およびL^(2*)のためのコードが続く。 【0139】 【表1】(表は省略) 好ましい混合物成分を、表Aおよび表Bに示す。 【0140】 【表2】 ![]() 【0141】 【表3】 ![]() 【0142】 【表4】 ![]() 【0143】 【表5】 ![]() 【0144】 【表6】 ・・(中略)・・ ![]() 【0145】 【表7】 ![]() (審決注:上記「PGUQU-n-F」に係る化学構造式の右端部における「n」は、「F」の誤記であるものと認められる。) 【0146】 ・・(中略)・・ 式Iの化合物に加え、少なくとも1、2、3または4種類以上の表Bからの化合物を含む液晶混合物が特に好ましい。」 (a-12) 「【実施例】 【0154】 以下の例は、制限することなく、本発明を説明するものである。 【0155】 上および下において、パーセンテージのデータは重量パーセントである。温度は全て摂氏度で示される。m.p.は融点を表わし、cl.p.は透明点を表わす。更に、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Sはスメクティック相、およびIは等方相を表す。これらの記号間のデータは転移温度を表す。更に、 -Δnは589nmおよび20℃における光学異方性を表わし、 -γ_(1)は20℃における回転粘度(mPa・s)を表わし、 -V_(10)は透過(基板表面に垂直な視角)が10%となる電圧(V)を表し(閾電圧)、 -Δεは20℃および1kHzにおける誘電異方性(Δε=ε_(?)ε-ε_(⊥)、ここでε_(?)は分子の長軸に平行な誘電率、ε_(⊥)はそれに垂直な誘電率を表す)を表す。 【0156】 電気光学的データは、特に別に示さない限り、20℃において第1次極小(即ち、0.5μmのd・Δn値)でTNセル中において測定する。光学的データは、特に別に示さない限り、20℃で測定する。全ての物理的特性は、「メルク液晶、液晶の物理的特性」1997年11月、ドイツ国メルク社に従って測定され、、特に別に示さない限り、20℃の温度を適用する。 ・・(中略)・・ 【0158】 ・・(中略)・・ <例1> 【0159】 【表15】 ![]() 混合物は事実上同じ複屈折率および事実上同じ透明点と共に、比較例1からの混合物より低い粘度を有する。 【0160】 <例2> 【0161】 【表16】 ![]() 混合物は事実上同じ複屈折率および事実上同じ透明点と共に、比較例1からの混合物より低い粘度を有する。 ・・(中略)・・ 【0163】 ・・(中略)・・ <例3> 【0164】 【表18】 ![]() 混合物は事実上同じ複屈折率と共に、比較例2からの混合物より低い粘度、より高い透明点およびより低い閾電圧を有する。 【0165】 <例4> 【0166】 【表19】(表は省略) <例5> 【0167】 【表20】 ![]() <例6> 【0168】 【表21】(表は省略) <例7> 【0169】 【表22】(表は省略) <例8> 【0170】 【表23】(表は省略) <例9> 【0171】 【表24】(表は省略) <例10> 【0172】 【表25】(表は省略) <例11> 【0173】 【表26】(表は省略) <例12> 【0174】 【表27】(表は省略) <例13> 【0175】 【表28】(表は省略) <例14> 【0176】 【表29】(表は省略) <例15> 【0177】 【表30】(表は省略) <例16> 【0178】 【表31】(表は省略) <例17> 【0179】 【表32】(表は省略) <例18> 【0180】 【表33】(表は省略) <例19> 【0181】 【表34】(表は省略) <例20> 【0182】 【表35】(表は省略) <例21> 【0183】 【表36】(表は省略) <例22> 【0184】 【表37】(表は省略) <例23> 【0185】 【表38】(表は省略) <例24> 【0186】 【表39】(表は省略) <例25> 【0187】 【表40】(表は省略) <例26> 【0188】 【表41】(表は省略) <例27> 【0189】 【表42】(表は省略) <例28> 【0190】 【表43】(表は省略) <例29> 【0191】 【表44】(表は省略) <例30> 【0192】 【表45】(表は省略) <例31> 【0193】 【表46】(表は省略) <例32> 【0194】 【表47】(表は省略) <例33> 【0195】 【表48】(表は省略) 」 2.甲2 甲2には、以下の(b-1)ないし(b-6)の事項が記載されている。なお、記載事項の摘示にあたっては、甲2文献のパテントファミリーである甲第2号証の2文献を訳文として使用し、当該文献の記載箇所に基づいて摘示を行い、甲2における対応箇所についても指摘する。 (b-1) 「【請求項1】 液晶媒体であって、式I 【化1】 ![]() 式中、 R^(0)およびR^(0*)は、各々、互いに独立して、1?15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシラジカルを示し、ここでさらに、これらのラジカル中の1つまたは2つ以上のCH_(2)基は、各々、互いに独立して 【化2】 ![]() によって、O原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、かつここでさらに、1個または2個以上のH原子は、ハロゲンによって置き換えられていてもよく、環Aは、1,4-シクロヘキシレン環または1,4-シクロヘキセニレン環を示し、ここでさらに、1つまたは2つのCH_(2)基は、-O-および/または-S-によって置換されていてもよい、 で表される1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、前記液晶媒体。 ・・(中略)・・ 【請求項5】 さらに、式IIおよび/またはIII 【化7】 ![]() 式中、 環Aは、1,4-フェニレンまたはトランス-1,4-シクロヘキシレン基を示し、 aは、0または1であり、ここでa=0の場合において、環Aは、トランス-1,4-シクロヘキシレンを示し、 R^(3)は、2?9個のC原子を有するアルケニルを示し、 および R^(4)は、R^(0)について請求項1において示した意味を有する、 で表される1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1?4のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【請求項6】 さらに、式 【化8】 ![]() 【化9】(式は省略) 【化10】 ![]() 式中、R^(3a)およびR^(4a)は、各々、互いに独立してH、CH_(3)、C_(2)H_(5)またはC_(3)H_(7)を示し、「alkyl」は、1?8個のC原子を有する直鎖状アルキル基を示す、 で表される化合物から選択された1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1?5のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【請求項7】 さらに、式IV?VIII 【化11】 ![]() 式中、 R^(0)は、1?15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシラジカルを示し、ここでさらに、これらのラジカル中の1つまたは2つ以上のCH_(2)基は、各々、互いに独立して 【化12】 ![]() によって、O原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、かつここでさらに、1個または2個以上のH原子は、ハロゲンによって置き換えられていてもよく、X^(0)は、F、Cl、1?6個のC原子を有するモノもしくはポリフッ素化されたアルキルもしくはアルコキシラジカルまたは2?6個のC原子を有するモノもしくはポリフッ素化されたアルケニルもしくはアルケニルオキシラジカルを示し、Y^(1?6)は、各々、互いに独立してHまたはFを示し、 Z^(0)は、-C_(2)H_(4)-、-(CH_(2))_(4)-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C_(2)F_(4)-、-CH_(2)CF_(2)-、-CF_(2)CH_(2)-、-CH_(2)O-、-OCH_(2)-、-COO-、-CF_(2)O-または-OCF_(2)-、式VおよびVIにおいてはまた単結合を示し、 rは、0または1を示す、 で表される化合物から選択された1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1?6のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【請求項8】 さらに、式Va?Vj 【化13】 ![]() 【化14】 ![]() 式中、R^(0)は請求項1において示した意味を有し、X^(0)は請求項7において示した意味を有する、 で表される化合物から選択された1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1?7のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【請求項9】 さらに、式VI-1a?VI-1d 【化15】 ![]() 式中、R^(0)は請求項1において示した意味を有し、X^(0)は請求項7において示した意味を有する、 で表される化合物から選択された1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1?8のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【請求項10】 さらに、式VI-2a?VI-2f 【化16】 ![]() 式中、R^(0)は請求項1において示した意味を有し、X^(0)は請求項7において示した意味を有する、 で表される化合物から選択された1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1?9のいずれか一項に記載の液晶媒体、 ・・(中略)・・ 【請求項12】 さらに、式XII 【化20】 ![]() 式中、 R^(1)およびR^(2)は、各々、互いに独立して、各々9個までのC原子を有するn-アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキル、アルケニルオキシまたはアルケニルを示し、Y^(1)は、HまたはFを示す、 で表される化合物から選択された1種または2種以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項1?11のいずれか一項に記載の液晶媒体。 ・・(中略)・・ 【請求項14】 さらに、式XIX?XXVII 【化22】(式は省略) 【化23】 ![]() 【化24】(式は省略) 式中、Y^(1?4)、R^(0)およびX^(0)は、各々、互いに独立して請求項1および請求項7において示した意味の1つを有する、 から選択された1種または2種以上の四環式化合物を含むことを特徴とする、請求項1?13のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【請求項15】 1?25重量%の式Iで表される化合物を含むことを特徴とする、請求項1?14のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【請求項16】 さらに1種または2種以上のUV安定剤および/または酸化防止剤を含むことを特徴とする、請求項1?15のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【請求項17】 請求項1?16のいずれか一項に記載の液晶媒体の、電気光学的目的のための使用。 【請求項18】 請求項17に記載の液晶媒体の、TN-TFT、OCB、IPS、FFS、正のVA、PS-TN-TFT、PS-IPS、PS-FFSディスプレイにおける使用。 【請求項19】 請求項1?16のいずれか一項に記載の液晶媒体を含む、電気光学的液晶ディスプレイ。 ・・(後略)」(甲2:第90?106頁「Patentanspruche」(ウムラウトは表現できないので「u」で表現する。)の欄) (b-2) 「【0003】 液晶材料は、良好な化学的および熱的安定性ならびに電場および電磁放射に対する良好な安定性を有しなければならない。さらに、液晶材料は、低い粘度を有していなければならず、セルにおいて短いアドレッシング時間、低いしきい値電圧および高いコントラストを生じなければならない。 【0004】 それらはさらに、通常の動作温度で、すなわち室温より高い、および低い最も広い可能な範囲において好適な中間相、例えば前述のセルのためのネマチックまたはコレステリック中間相を有しなければならない。液晶が一般的に複数種の構成成分の混合物として使用されるので、構成成分が互いと容易に混合可能であることが重要である。さらなる特性、例えば電気伝導率、誘電異方性および光学異方性は、セルタイプおよび適用の領域に依存して様々な要件を満たさなければならない。例えば、ねじれネマチック構造を有するセルのための材料は、正の誘電異方性および低い電気伝導率を有しなければならない。 【0005】 例えば、個々のピクセルを切り換えるための集積非線形素子を備えたマトリックス液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)のために、大きい正の誘電異方性、広いネマチック相、比較的低い複屈折、極めて高い比抵抗、良好なUVおよび温度安定性ならびに低い蒸気圧を有する媒体が、所望される。」(甲2:第1頁第25行?第2頁第14行) (b-3) 「【0014】 テレビおよびビデオ用途には、マルチメディア・コンテンツ、例えば映画およびビデオゲームを写実的に近い状態で再生することができるように、迅速な応答時間を有するディスプレイが必要である。そのような短い応答時間を、特に、粘度、特に回転粘度γ1の低い値を有し、高い光学異方性(Δn)を有する液晶媒体を使用する場合に達成することができる。 【0015】 したがって、低温でさえも極めて高い比抵抗、同時に大きい動作温度範囲、短い応答時間、および低いしきい値電圧を有し、これらの欠点を示さないか、またはより低い程度に示すに過ぎないMLCディスプレイについての大きい需要が、引き続きある。 【0016】 TN(Schadt-Helfrich)セルの場合において、セルにおいて以下の利点を促進する媒体が所望される: - 拡張されたネマチック相範囲(特に低温まで) - 極めて低い温度における切換可能性(switchability)(屋外使用、自動車、航空機) - UV放射線に対する増大した抵抗(より長い寿命) - 低いしきい値電圧。 【0017】 従来技術から入手できる媒体によっては、これらの利点を達成し、一方同時に他のパラメーターを維持することを可能にしない。 【0018】 超ねじれ(STN)セルの場合において、より大きい多重度(multiplexability)および/またはより低いしきい値電圧および/またはより広いネマチック相範囲(特に低温で)を促進する媒体が、所望される。このために、利用可能なパラメーター許容度(透明点、スメクチック-ネマチック転移点または融点、粘度、誘電性パラメーター、弾性パラメーター)のさらなる拡大が、至急所望されている。 【0019】 現代のLCDフラットパネルスクリーンには、マルチメディア・コンテンツ、例えば映画、ビデオゲームなどを写実的に近い状態で再生することができるために尚より迅速な応答時間が必要である。これらには次に、極めて低い回転粘度γ1を高い光学異方性Δnと共に有するネマチック液晶混合物が必要である。液晶混合物の所要の回転粘度を得るために、個々の構成成分の使用する濃度を、しばしば最大化しなければならない。この結果、次に、しばしば低温で不安定な、すなわち例えば晶出し、所望されないスメクチック相に変換するLC混合物がもたらされる。これらの問題がディスプレイにおいて生じる場合には、この結果、一般的にディスプレイの不具合およびしたがってLCDフラットパネルスクリーンに対する回復不可能な損傷がもたらされる。 【0020】 本発明は、上に示した所望の特性を有し、上に示した欠点を示さないか、またはより低い程度に示すに過ぎない、特にこのタイプのMLC、TN、STN、OCB、正のVA、FFSまたはIPSディスプレイのための媒体を提供する目的に基づく。特に、LC媒体は、迅速な応答時間および低い回転粘度を高い複屈折と同時に有しなければならない。さらに、LC媒体は、高い透明点、高い誘電異方性および低いしきい値電圧を有しなければならない。」(甲2:第4頁第33行?第6頁第21行) (b-4) 「【0111】 本発明の液晶混合物は、-20℃まで、好ましくは-30℃まで、特に好ましくは-40℃までのネマチック相、および≧70℃、好ましくは≧75℃の透明点を保持する一方、同時に≦120mPa・s、特に好ましくは≦100mPa・sの回転粘度γ_(1)を達成することを可能にし、迅速な応答時間を有する優れたMLCディスプレイを達成することを可能にする。 【0112】 本発明の液晶混合物の誘電異方性Δεは、好ましくは≧+8、特に好ましくは≧+12である。さらに、当該混合物は、低い動作電圧によって特徴づけられる。本発明の液晶混合物のしきい値電圧は、好ましくは≦1.5V、特に1.2Vである。 本発明の液晶混合物の複屈折Δnは、好ましくは≧0.08、特に≧0.10および極めて特に好ましくは≧0.11である。 【0113】 本発明の液晶混合物のネマチック相範囲は、好ましくは少なくとも90°、特に少なくとも100°の幅を有する。この範囲は、好ましくは少なくとも-25℃?+70℃に及ぶ。 本発明の混合物をFFS用途において使用する場合には、混合物は、好ましくは3?12の誘電異方性の値および0.07?0.13の光学異方性の値を有する。」(甲2:第43頁第34行?第44頁第23行) (b-5) 「【0121】 重合性化合物、例えばU.S.6,861,107に開示されているいわゆる反応性メソゲン(RM)を、さらに本発明の混合物に、混合物を基準として好ましくは0.12?5重量%、特に好ましくは0.2?2重量%の濃度で加えてもよい。これらの混合物は、例えばU.S.6,781,665に記載されているように、任意にまた開始剤を含んでいてもよい。開始剤、例えばCibaからのIrganox-1076を、好ましくは重合性化合物を含む混合物に、0?1%の量において加える。このタイプの混合物を、いわゆるポリマー安定化VA(PS-VA)またはPSA(ポリマー保持VA)モードのために使用することができ、ここで反応性メソゲンの重合は、液晶混合物中で起こることを意図する。このための前提条件は、液晶混合物がそれ自体いかなる重合性構成成分をも含まないことである。 【0122】 本発明の好ましい態様において、重合性化合物は、式Mで表される化合物から選択される。 R^(Ma)-A^(M1)-(Z^(M1)-A^(M2))_(m1)-R^(Mb) M 式中、個々のラジカルは、以下の意味を有する: R^(Ma)およびR^(Mb)は、各々、互いに独立してP、P-Sp-、H、ハロゲン、SF_(5)、NO_(2)、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基を示し、ここでラジカルR^(Ma)およびR^(Mb)の少なくとも1つは、好ましくは基PまたはP-Sp-を示すかまたは含み、 Pは、重合性基を示し、 Spは、スペーサー基または単結合を示し、 【0123】 A^(M1)およびA^(M2)は、各々、互いに独立して、好ましくは4?25個の環原子、好ましくはC原子を有する芳香族、複素芳香族、脂環式または複素環式基を示し、それはまた融合環を含む(include)かまたは含有して(contain)いてもよく、それは任意にLによって単置換または多置換されていてもよく、 【0124】 Lは、P、P-Sp-、OH、CH_(2)OH、F、Cl、Br、I、-CN、-NO_(2)、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)N(R^(x))_(2)、-C(=O)Y^(1)、-C(=O)R^(x)、-N(R^(x))_(2)、任意に置換されたシリル、6?20個のC原子を有する任意に置換されたアリール、または1?25個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシを示し、ここでさらに、1個または2個以上のH原子は、F、Cl、PまたはP-Sp-、好ましくはP、P-Sp-、H、OH、CH_(2)OH、ハロゲン、SF_(5)、NO_(2)、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基によって置き換えられていてもよく、 【0125】 Y^(1)は、ハロゲンを示し、 Z^(M1)は、-O-、-S-、-CO-、-CO-O、-OCO-、-O-CO-O-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-SCH_(2)-、-CH_(2)S-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-、-CF_(2)S-、-SCF_(2)-、-(CH_(2))_(n1)-、-CF_(2)CH_(2)-、-CH_(2)CF_(2)-、-(CF_(2))_(n1)-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-CH=CH-、-COO-、-OCO-CH=CH-、CR^(0)R^(00)または単結合を示し、 【0126】 R^(0)およびR^(00)は、各々、互いに独立して、Hまたは1?12個のC原子を有するアルキルを示し、 【0127】 R^(x)は、P、P-Sp-、H、ハロゲン、1?25個のC原子を有する直鎖状、分枝状または環状アルキルを示し、ここでさらに、1つまたは2つ以上の隣接していないCH_(2)基は、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-によって、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、かつここでさらに、1個または2個以上のH原子は、F、Cl、PまたはP-Sp-、6?40個のC原子を有する任意に置換されたアリールもしくはアリールオキシ基、または2?40個のC原子を有する任意に置換されたヘテロアリールもしくはヘテロアリールオキシ基によって置き換えられていてもよく、 【0128】 m1は、0、1、2、3または4を示し、かつ n1は、1、2、3または4を示し、 ここで、存在する基R^(Ma)、R^(Mb)からの少なくとも1つ、好ましくは1つ、2つまたは3つ、特に好ましくは1つまたは2つおよび置換基Lは、基PもしくはP-Sp-を示すか、または少なくとも1つの基PもしくはP-Sp-を含む。 【0129】 式Mで表される特に好ましい化合物は、 R^(Ma)およびR^(Mb)が、各々、互いに独立してP、P-Sp-、H、F、Cl、Br、I、-CN、-NO_(2)、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、SF_(5)または1?25個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキルを示し、ここでさらに、1つまたは2つ以上の隣接していないCH_(2)基が、各々、互いに独立して、-C(R^(0))=C(R^(00))-、-C≡C-、-N(R^(00))-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-によって、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、かつここでさらに、1個または2個以上のH原子が、F、Cl、Br、I、CN、PまたはP-Sp-によって置き換えられていてもよく、ここでラジカルR^(Ma)およびR^(Mb)の少なくとも1つが、好ましくは基PまたはP-Sp-を示すかまたは含み、 【0130】 A^(M1)およびA^(M2)が、各々、互いに独立して、1,4-フェニレン、ナフタレン-1,4-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、フェナントレン-2,7-ジイル、アントラセン-2,7-ジイル、フルオレン-2,7-ジイル、クマリン、フラボン(ここでさらに、これらの基中の1つまたは2つ以上のCH基は、N、シクロヘキサン-1,4-ジイルによって置き換えられていてもよく、ここでさらに、1つまたは2つ以上の隣接していないCH_(2)基は、Oおよび/またはSによって置き換えられていてもよい)、1,4-シクロヘキセニレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1,3-ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン-2,6-ジイル、ピペリジン-1,4-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル、インダン-2,5-ジイルまたはオクタヒドロ-4,7-メタノインダン-2,5-ジイル(ここですべてのこれらの基は、非置換であるかまたはLによって単置換もしくは多置換されていてもよい)を示し、 【0131】 Lが、P、P-Sp-、OH、CH_(2)OH、F、Cl、Br、I、-CN、-NO_(2)、-NCO、-NCS、-OCN、-SCN、-C(=O)N(R^(x))_(2)、-C(=O)Y^(1)、-C(=O)R^(x)、N(R^(x))_(2)、任意に置換されたシリル、6?20個のC原子を有する任意に置換されたアリール、または1?25個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシを示し、ここでさらに、1個または2個以上のH原子が、F、Cl、PまたはP-Sp-によって置き換えられていてもよく、 Pが、重合性基を示し、 Y^(1)が、ハロゲンを示し、 【0132】 R^(x)が、P、P-Sp-、H、ハロゲン、1?25個のC原子を有する直鎖状、分枝状または環状アルキルを示し、ここでさらに、1つまたは2つ以上の隣接していないCH_(2)基が、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-によって、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、かつここでさらに、1個または2個以上のH原子が、F、Cl、PまたはP-Sp-、6?40個のC原子を有する任意に置換されたアリールもしくはアリールオキシ基、または2?40個のC原子を有する任意に置換されたヘテロアリールもしくはヘテロアリールオキシ基によって置き換えられていてもよい ものである。 【0133】 極めて特に好ましいのは、式Mで表され、式中R^(Ma)およびR^(Mb)の一方または両方がPまたはP-Sp-を示す化合物である。 【0134】 本発明のディスプレイにおいて使用するのに好適であり、好ましい重合性化合物は、例えば以下の式から選択される: 【化51】(式は省略) 【0135】 【化52】 ![]() 【0136】 【化53】(式は省略) 【0137】 【化54】(式は省略) 【0138】 【化55】(式は省略) 【0139】 式中、個々のラジカルは、以下の意味を有する: P^(1)およびP^(2)は、各々、互いに独立して、好ましくはPについて本明細書中に示した意味の1つを有する重合性基、特に好ましくはアクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、オキセタン、ビニルオキシまたはエポキシ基を示し、 【0140】 Sp^(1)およびSp^(2)は、各々、互いに独立して、単結合または好ましくはSp^(a)について本明細書中に示した意味の1つを有するスペーサー基、および特に好ましくは-(CH_(2))_(p1)-、-(CH_(2))_(p1)-O-、-(CH_(2))_(p1)-CO-O-または-(CH_(2))_(p1)-O-CO-O-を示し、式中p1は1?12の整数であり、かつここで最後に述べた基の隣接した環への結合は、O原子を介して起こり、ここで、ラジカルP^(1)-Sp^(1)-およびP^(2)-Sp^(2)-の1つまたは2つ以上はまた、ラジカルR^(aa)を示してもよく、ただし存在するラジカルP^(1)-Sp^(1)-およびP^(2)-Sp^(2)-の少なくとも1つは、R^(aa)を示さず、 【0141】 R^(aa)は、H、F、Cl、CNまたは1?25個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状アルキル(ここでさらに、1つまたは2つ以上の隣接していないCH_(2)基は、各々、互いに独立して-C(R^(0))=C(R^(00))-、-C≡C-、-N(R^(0))-、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-によって、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置き換えられていてもよく、かつここでさらに、1個または2個以上のH原子は、F、Cl、CNまたはP^(1)-Sp^(1)-によって置き換えられていてもよい)、特に好ましくは、1?12個のC原子を有する直鎖状または分枝状の、任意にモノまたはポリフッ素化されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルオキシを示し(ここでアルケニルおよびアルキニルラジカルは、少なくとも2個のC原子を有し、分枝状ラジカルは、少なくとも3個のC原子を有する)、 【0142】 R^(0)、R^(00)は、各々、互いに独立して、および各出現において同一に、または異なってHまたは1?12個のC原子を有するアルキルを示し、 R^(y)およびR^(z)は、各々、互いに独立してH、F、CH_(3)またはCF_(3)を示し、 Z^(1)は、-O-、-CO-、-C(R^(y)R^(z))-または-CF_(2)CF_(2)-を示し、 Z^(2)およびZ^(3)は、各々、互いに独立して、-CO-O-、-O-CO-、-CH_(2)O-、-OCH_(2)-、-CF_(2)O-、-OCF_(2)-または-(CH_(2))_(n)-を示し、ここでnは、2、3または4であり、 【0143】 Lは、各出現において同一に、または異なってF、Cl、CN、SCN、SF_(5)または1?12個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝状の、任意にモノもしくはポリフッ素化されたアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシもしくはアルコキシカルボニルオキシ、好ましくはFを示し、 L’およびL’’は、各々、互いに独立してH、FまたはClを示し、 【0144】 rは、0、1、2、3または4を示し、 sは、0、1、2または3を示し、 tは、0、1または2を示し、 xは、0または1を示す。 【0145】 好適な重合性化合物を、例えば表E中に列挙する。 本出願による液晶媒体は、好ましくは合計において0.01?10%、好ましくは0.2?4.0%、特に好ましくは0.2?2.0%の重合性化合物を含む。 特に好ましいのは、式Mで表される重合性化合物である。」(甲2:第46頁第5行?第55頁第22行) (b-6) 「【0179】 以下の混合物例は、本発明を、それを限定せずに説明することを意図する。 本明細書中で、百分率データは、重量パーセントを示す。すべての温度を、摂氏度において示す。m.p.は融点を示し、cl.p.=透明点である。さらにC=結晶状態、N=ネマチック相、S=スメクチック相およびI=アイソトロピック相である。これらの記号間のデータは転移温度を表す。さらに、 【0180】 - Δnは、589nmおよび20℃での光学異方性を示し、 - γ_(1)は、20℃での回転粘度(mPa・s)を示し、 - V_(10)は、10%透過率(板表面に垂直な視野角)についての電圧(V)(しきい値電圧)を示し、 - Δεは、20℃および1kHzでの誘電異方性を示す(Δε=ε_(?)-ε_(⊥)、式中ε_(?)は、分子の縦軸に平行な誘電率を示し、ε_(⊥)は、それに垂直な誘電率を示す)。 【0181】 電気光学的データを、他に明確に示さない限り、TNセルにおいて第1の極小値で(すなわち0.5μmのd・Δn値で)20℃で測定する。光学的データを、他に明確に示さない限り20℃で測定する。すべての物理的特性を、”Merck Liquid Crystals,Physical Properties of Liquid Crystals”,status Nov.1997,Merck KGaA,Germanyに従って決定し、他に明確に示さない限り20℃の温度について該当する。 【0182】 例M1 【表3】(表は省略) 【0183】 例M2 【表4】(表は省略) 【0184】 例M3 【表5】(表は省略) 【0185】 例M4 【表6】 ![]() 【0186】 例M5 【表7】(表は省略) 【0187】 例M6 【表8】(表は省略) 【0188】 例M7 【表9】(表は省略) 【0189】 例M8 【表10】(表は省略) 【0190】 例M9 【表11】 ![]() 【0191】 例M10 【表12】(表は省略) 【0192】 例M11 【表13】(表は省略) 【0193】 例M12 【表14】(表は省略) 【0194】 例M13 【表15】(表は省略) 【0195】 例M14 【表16】(表は省略) 【0196】 例M15 【表17】(表は省略) 【0197】 例M16 【表18】(表は省略) 【0198】 例M17 【表19】(表は省略) 」(甲2:第80頁第7行?第89頁第14行) 3.甲3 上記甲3には、以下の(c-1)ないし(c-4)の事項が記載されている。 (c-1) 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 式Iで表される1種類以上の化合物と、式IA、IBおよびICで表される化合物群からの1種類以上の化合物とを含むことを特徴とする極性化合物混合物系液晶媒体。 【化1】 【化2】(両式とも省略) (式中、R^(1)、R^(1A)、R^(1B)およびR^(1C)は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン化されているかまたは置換されていない1?15個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、但し、加えて、これらの基の1個以上のCH_(2)基は、それぞれ互いに独立に、酸素原子が互いに直接結合しないようにして、-C≡C-、-CF_(2)-O-、-OCF_(2)-、-CH=CH-、 【化3】(式は省略) -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、 X、X^(A)およびX^(B)は、それぞれ互いに独立に、F、Cl、CN、SF_(5)、SCN、NCS、6個以下の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン化アルケニルオキシ基を表し、 【化4】(式は省略)(式IB中の環A及び環Bにつき) a)それぞれ互いに独立に、1,4-シクロヘキセニレンまたは1,4-シクロヘキシレン基を表し、1または2個の隣接していないCH_(2)基が-O-または-S-で置き換えられていてもよく、 c)1,4-フェニレン基で、1または2個のCH基がNで置き換えられていてもよく、 b)ピペリジン-1,4-ジイル、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル、フェナントレン-2,7-ジイル、フルオレン-2,7-ジイルの群からの基で、 但し、a)、b)およびc)の基は、ハロゲン原子によって、1または多置換されていてもよく、 L^(1)?L^(6)は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、および bは、0、1または2を表す。) ・・(中略)・・ 【請求項3】 式IA-1?IA-12で表される1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1または2記載の液晶媒体。 ・・(中略)・・ (式中、R^(1A)は請求項1で示される意味である。) 【請求項4】 式IB-1?IB-29で表される1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の液晶媒体。 ・・(中略)・・ (式中、R^(1B)は請求項1で示される意味である。) 【請求項5】 式IC-1およびIC-2で表される1種類以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の液晶媒体。 ・・(中略)・・ (式中、alkylは、1?9個の炭素原子を有する直鎖のアルキルを表し、 alkenylおよびalkenyl^(*)は、それぞれ互いに独立に、2?9個の炭素原子を有する直鎖のアルケニルを表す。) 【請求項6】 一般式II?VIからなる群より選ばれる1種類以上の化合物を更に含むことを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の液晶媒体。 【化9】(式は省略) (式中、R^(0)は、それぞれ9個以下の炭素原子を有するn-アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを表し、 X^(0)は、F、Cl、6個以下の炭素原子を有するハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化オキサアルキル、ハロゲン化アルケニルオキシまたはハロゲン化アルコキシを表し、 Z^(0)は、-C_(2)F_(4)-、-CF=CF-、-CH=CH-、-C_(2)H_(4)-、-(CH_(2))_(4)-、-OCH_(2)-、-CH_(2)O-、-CF_(2)O-または-OCF_(2)-を表し、 Y^(1)?Y^(4)は、それぞれ互いに独立して、HまたはFを表し、 rは、0または1を表す。) ・・(中略)・・ 【請求項10】 前記混合物の全体における式Iで表される化合物の割合は、0.01?30重量%であることを特徴とする請求項1ないし9いずれか記載の液晶媒体。 【請求項11】 前記混合物の全体における式IおよびIA、IBおよび/またはICで表される化合物の割合は、少なくとも10重量%であることを特徴とする請求項1ないし9いずれか記載の液晶媒体。 【請求項12】 電気光学的目的のための、請求項1ないし11いずれか記載の液晶媒体の使用。 【請求項13】 請求項1ないし11いずれか記載の液晶媒体を備える電気光学的液晶ディスプレイ。」 (c-2) 「【技術分野】 【0001】 本発明は液晶媒体に関し、その電気光学的目的のための使用、およびこの媒体を備えるディスプレイに関する。 【背景技術】 【0002】 液晶は、印加電圧によって物質の光学的性質を変化させることができるため、主に表示装置の中の誘電体として使用される。液晶に基づいた電気光学装置は、当業者に極めて公知であり、種々の効果に基づくことができる。そのような装置の例として、動的散乱を有するセル、DAP(整列相の変形:Deformation of Aligned Phases)セル、ゲスト/ホストセル、捩れネマチック構造を有するTNセル、STN(スーパーツイストネマチック)セル、SBE(超複屈折効果:Superbirefringence Effect)セルおよびOMI(光学モード干渉:Optical Mode Interference)セルが挙げられる。最も一般的な表示装置は、Schadt-Helfrich効果に基づく、ツイストネマチック構造を有する。 【0003】 液晶材料としては、良好な化学的および熱的安定性を有すると共に、電場と電磁線放射に対しても優れた安定性を有することが必要である。さらに、液晶材料は、低粘度であり、セル中で使用されて、アドレス時間が短く、閾電圧が低くおよびコントラストが高いものでなければならない。 【0004】 さらに、液晶材料は、通常の動作温度において、即ち、室温以上または室温以下の出来る限り広い範囲において、適切な中間相、例えば前述のセル用のネマチック中間相またはコレステリック中間相を有していなければならない。液晶は通常、複数成分の混合物として使用されるため、成分が互いに容易に混和することが重要である。さらに導電率、誘電率異方性および光学異方性のような特性は、セルの型、用途分野に応じて、種々の要求を満足しなければならない。 例えば、ツイストネマチック型セルの材料は、正の誘電異方性および低い導電率を有していなければならない。 【0005】 例えば、個々のピクセルのスイッチングのために集積非線形素子を有するマトリックス型液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)については、大きな正の誘電異方性、広いネマチック相、比較的低い複屈折率、非常に高い比抵抗、優れたUVおよび温度安定性、および低い蒸気圧を有する媒体が望まれる。」 (c-3) 「【発明が解決しようとする課題】 【0025】 よって、本発明は、上記の不具合を示さないか、有していても低減されており、および好ましくは比較的高い透明点、低い閾電圧および高い値の光学異方性Δnを同時に示す媒体、特にこの型のMLC、OCB、IPS、LCos、TNまたはSTNディスプレイ用の媒体を提供することを目的とする。Δnの値は、好ましくは0.07以上、特に好ましくは0.08以上でなければならない。さらに、混合物は、高いUV安定性により特徴付けられねばならない。 【課題を解決するための手段】 【0026】 この目的は、ディスプレイにおいて本発明による媒体を使用すれば達成されることが分かった。本発明による媒体は、比較的高い誘電異方性および透明点により区別される。同時に、媒体は非常に低い閾電圧および比較的低い回転粘度γ_(1)および優れたUV安定性を有する。」 (c-4) 「【0055】 本発明の液晶混合物により、特性の利用可能な範囲を著しく広げることができる。透明点、低温における粘度、熱的およびUV安定性および高い光学異方性の組み合わせを実現できることは、先行技術による従来の材料より極めて優れている。 【0056】 本発明の混合物は、特に、高速スイッチングモニター、TVセット、TV/モニター組合せ装置およびΔnの高いTFT分野に特に好適で、例えば、射影テレビセット、LCoSおよびOCBなどである。 【0057】 本発明の液晶混合物は、-20℃まで、好ましくは-30℃まで、特に好ましくは-40℃までネマチック相を保持しながら、60℃を超える、好ましくは70℃を超える、特に好ましくは75℃を越える透明点を可能にし、同時に4以上、好ましくは5以上の誘電異方性Δεおよび高い比抵抗が達成可能とされ、優れたSTNおよびMLCディスプレイが実現可能とされる。特に、この混合物は、低い電圧駆動によって特徴づけられる。 【0058】 TNの閾値は、2.5V未満であり、好ましくは2.0V未満、特に好ましくは1.8V未満である。 ・・(中略)・・ 【0060】 20℃における流体粘度ν_(20)は、好ましくは60mm^(2)・s^(-1)未満であり、特に好ましくは50mm^(2)・s^(-1)未満である。本発明による混合物の20℃における回転粘度γ_(1)は、好ましくは130mPa・s未満であり、特に好ましくは100mPa・s未満である。ネマチック相の範囲は、少なくとも90℃あることが好ましく、特に少なくとも100℃あることが好ましい。この範囲は少なくとも-20℃から+80℃に渡ることが好ましい。 【0061】 液晶ディスプレイにおいては、応答時間は短いことが好ましい。このことは、とりわけビデオ再生を行えるディスプレイにあてはまる。この型のディスプレイにおいては、25msより短い応答時間(合計:t_(on)+t_(off))が要求される。応答時間の上限は、画像の反復率によって決定される。加えて、回転粘度γ_(1)、傾斜角も応答時間に影響する。 【0062】 電圧保持率(HR)を測定・・(中略)・・した結果、 【0063】 【化9】(式は省略) のシアノフェニルシクロヘキサン類、または以下の式 【0064】 【化10】(式は省略) のエステル類を式I、IA、IBおよびICの化合物の代わりに含み本発明と類似した混合物に比べて、式I、IA、IBおよびICの化合物を含む本発明の混合物の方が、UVへの曝露によるHRの低下が著しく小さいことが示された。 【0065】 また、本発明による混合物のUV安定性は極めて優れている。即ち、これらの混合物は、UVに暴露されてもHRの低下が著しく小さい。式Iの化合物の割合が低い(10重量%未満)場合においても、先行技術による混合物と比較して、6%以上も混合物のHRが増加する。」 4.甲4 上記甲4には、以下の(d-1)及び(d-2)の事項が記載されている。 (d-1) 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 ・式Iの1種類以上の化合物と、 ・式IIおよびIIIの化合物群より選択される1種類以上の化合物と、 ・式IVの1種類以上の化合物と を含む液晶媒体。 【化1】(式は省略) (式中、 R^(11)およびR^(12)は、それぞれ互いに独立に、アルキル、アルコキシ、フッ素化されたアルキルまはたフッ素化されたアルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ素化されたアルケニルである。) 【化2】(式は省略) (式中、 R^(2)およびR^(3)は、それぞれ互いに独立に、炭素数1?7のアルキル、アルコキシ、フッ素化されたアルキルまはたフッ素化されたアルコキシ、炭素数2?7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ素化されたアルケニルであり、 【化3】(式及び一部文章は省略) L^(21)、L^(22)、L^(31)およびL^(32)は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、 X^(2)およびX^(3)は、それぞれ互いに独立に、ハロゲン、炭素数1?3のハロゲン化されたアルキルまたはアルコキシ、または炭素数2または3のハロゲン化されたアルケニルまたはアルケニルオキシであり、 Z^(3)は、-CH_(2)CH_(2)-、-CF_(2)CF_(2)-、-COO-、トランス-CH=CH-、トランス-CF=CF-、-CH_(2)O-または単結合であり、および l、m、nおよびoは、それぞれ互いに独立に、0または1である。) 【化4】(式は省略) (式中、 R^(41)およびR^(42)は、それぞれ互いに独立に、上で式IIにおいてR^(2)に与えられる意味を有し、 【化5】(式及び一部文章は省略) Z^(41)およびZ^(42)は、それぞれ互いに独立に、および、Z^(41)が2回存在する場合は、これらもそれぞれ互いに独立に、-CH_(2)CH_(2)-、-COO-、トランス-CH=CH-、トランス-CF=CF-、-CH_(2)O-、-CF_(2)O-、-C≡C-または単結合であり、および pは、0、1または2である。) ・・(中略)・・ 【請求項4】 請求項1中で与えられる通りの式IIの化合物を1種類以上含む請求項1?3のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【請求項5】 請求項1中で与えられる通りの式IIIの化合物を1種類以上含む請求項1?4のいずれか一項に記載の液晶媒体。 ・・(中略)・・ 【請求項7】 式VIの化合物を1種類以上含む請求項1?6のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【化9】(式は省略) (式中、 R^(61)およびR^(62)は、それぞれ互いに独立に、請求項1中で式IIにおいてR^(2)に与えられる意味を有し、 【化10】(式及び一部文章は省略) Z^(61)およびZ^(62)は、それぞれ互いに独立に、および、Z^(61)が2回存在する場合は、これらもそれぞれ互いに独立に、-CH_(2)CH_(2)-、-COO-、トランス-CH=CH-、トランス-CF=CF-、-CH_(2)O-、-CF_(2)O-、-C≡C-または単結合であり、および rは、0、1または2である。) 【請求項8】 請求項1?7のいずれか一項に記載の液晶媒体を含有する液晶ディスプレイ。 【請求項9】 アクティブマトリクスによりアドレスされる請求項8に記載の液晶ディスプレイ。 【請求項10】 液晶ディスプレイ中における請求項1?7のいずれか一項に記載の液晶媒体の使用。」 (d-2) 「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 よって、広いネマチック相範囲、使用されるディスプレイモードによる適切な光学異方性Δn、高いΔε、低い粘度、特に低い回転粘度(γ_(1))およびディスプレイ中における特に高いコントラスト比などの実用的な用途に適切な特性を有する液晶媒体に対する多大な要求がある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 ここで驚くべきことに、適切な相範囲、適切に高いΔεおよびΔnの値および適切に低い粘度の液晶媒体を実現できることが見出され、それは先行技術の材料の欠点を示さないか、または少なくとも格別により小さな程度にしか示さない。」 5.甲5 上記甲5には、以下の(e-1)ないし(e-9)の事項が記載されている。 (e-1) 「特許請求の範囲 【請求項1】 ・式IAの1種類以上の誘電的に正の化合物、 式IBの1種類以上の誘電的に正の化合物、および 式ICの1種類以上の誘電的に正の化合物 を含む第1の誘電的に正の成分である成分A、 ・任意成分として、式IIおよびIIIの化合物群より好ましくは選択される1種類以上の誘電的に正の化合物を含む第2の誘電的に正の成分である成分B、および ・任意成分として、式IVの1種類以上の誘電的に中性の化合物を含む誘電的に中性の成分である成分C を含む液晶媒体。 【化1】 ![]() (式中、 R^(1)は、炭素数1?7のアルキル、アルコキシ、フッ化アルキルまたはフッ化アルコキシ、または炭素数2?7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ化アルケニルを表し、 【化2】 ![]() 【化3】 ![]() 【化4】 ![]() 【化5】 ![]() 【化6】 ![]() Z^(11)?Z^(15)は、互いに独立に、-CH_(2)CH_(2)-、-CF_(2)CF_(2)-、-COO-、トランス-CH=CH-、トランス-CF=CF-、-CH_(2)O-、-CF_(2)O-または単結合を表し、 L^(11)およびL^(12)は、互いに独立に、H、FまたはClを表す。) 【化7】 ![]() (式中、 R^(2)およびR^(3)は、互いに独立に、炭素数1?7のアルキル、アルコキシ、フッ化アルキルまたはフッ化アルコキシ、または炭素数2?7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ化アルケニルを表し、 【化8】 ![]() L^(21)、L^(22)、L^(31)およびL^(32)は、互いに独立に、HまたはFを表し、 X^(2)およびX^(3)は、互いに独立に、ハロゲン、炭素数1?3のハロゲン化されたアルキルまたはアルコキシ、または炭素数2または3のハロゲン化されたアルケニルまたはアルケニルオキシを表し、 Z^(3)は、-CH_(2)CH_(2)-、-CF_(2)CF_(2)-、-COO-、トランス-CH=CH-、トランス-CF=CF-、-CH_(2)O-または単結合を表し、 mおよびnは、互いに独立に、0、1または3を表し、 X^(2)がFおよびOCF_(3)のいずれも表さない場合、mは2を表してもよく、 X^(3)がFおよびOCF_(3)のいずれも表さず、および/またはZ^(3)が単結合を表さない場合、nは2を表してもよい。) 【化9】 ![]() (式中、 R^(41)およびR^(42)は、互いに独立に、式IIにおいてR^(2)に上で示される意味を有し、 【化10】(式及び一部文章は省略) Z^(41)およびZ^(42)は、互いに独立に、およびZ^(41)が2回出現する場合、これらも互いに独立に、-CH_(2)CH_(2)-、-COO-、トランス-CH=CH-、トランス-CF=CF-、-CH_(2)O-、-CF_(2)O-、-C≡C-または単結合を表し、 pは、0、1または2を表す。) 【請求項2】 該媒体中の成分Aの濃度が、5%?40%の範囲内である請求項1に記載の液晶媒体。 【請求項3】 成分Aが、Z^(13)が単結合を表す式IAの1種類以上の化合物を含む請求項1または2に記載の液晶媒体。 【請求項4】 請求項1中に示される通りの式IIの1種類以上の化合物を含む請求項1?3のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【請求項5】 請求項1中に示される通りの式IIIの1種類以上の化合物を含む請求項1?4のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【請求項6】 請求項1中に示される通りの式IVの1種類以上の誘電的に中性の化合物を含む請求項1?5のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【請求項7】 式VIの1種類以上の誘電的に中性の化合物を含む誘電的に中性の成分である成分Dを含む請求項1?6のいずれか一項に記載の液晶媒体。 【化11】 ![]() (式中、 R^(61)およびR^(62)は、互いに独立に、請求項1中の式IIにおいてR^(2)に示される意味を有し、 【化12】 ![]() Z^(61)およびZ^(62)は、互いに独立に、およびZ^(61)が2回出現する場合、これらも互いに独立に、-CH_(2)CH_(2)-、-COO-、トランス-CH=CH-、トランス-CF=CF-、-CH_(2)O-、-CF_(2)O-または単結合を表し、 rは、0、1または2を表す。) 【請求項8】 請求項1?7のいずれか一項に記載の液晶媒体を含有する液晶ディスプレイ。 【請求項9】 アクティブマトリックスによりアドレスされる請求項8に記載の液晶ディスプレイ。 【請求項10】 液晶ディスプレイ中における請求項1?7のいずれか一項に記載の液晶媒体の使用。」 (e-2) 「【発明が解決しようとする課題】 【0009】 よって、広いネマチック相範囲、使用されるディスプレイの型に対応する適切な光学異方性Δn、高いΔε、および特に短い応答時間のための特に低い粘度などの実用的な用途のために適切な特性を有する液晶媒体に対する多大な要求がある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 ここで驚くべきことに、適切に高いΔε、適切な相範囲およびΔnを有する液晶媒体を実現できることが見出され、その媒体は先行技術からの材料の不具合を示さないか、または少なくとも格別により小さな程度にしか示さない。」 (e-3) 「【0037】 成分Aは、3より大きい誘電異方性を有する式IA、IBおよびICの1種類以上の誘電的に正の化合物を、それぞれの場合で、好ましくは含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなり、式中、パラメーターは式I(式IA、IBおよびIC)において上で示されるそれぞれの意味を有する。 【0038】 本出願による液晶媒体は、好ましくは全体として、 1?30%、好ましくは2?20%の式IAの化合物と、 1?30%、好ましくは2?20%の式IBの化合物と、 1?30%、好ましくは2?20%の式ICの化合物と を含む。 【0039】 個々の化合物は、1?20%、好ましくは1?15%の濃度で使用される。特に、これらの限定は、それぞれの場合で同族化合物、即ち同一の式の化合物を2種類以上使用する場合に適用される。1つの式の単一の物質のみ、即ち1種類のみの同族化合物が使用される場合、その濃度は2?20%の範囲内でよく、好ましくは3?14%である。 【0040】 媒体中の成分Aの濃度は、好ましくは10%?50%、より好ましくは12%?40%、更により好ましくは15%?35%、非常に好ましくは20%から、好ましくは23%から30%の範囲内である。それぞれの式IA、IBおよびICの単一の同族化合物を媒体中で使用する場合、それの濃度は好ましくは1%?20%の範囲内であり、それぞれの式IA、IBおよび/またはICの2種類以上の同族化合物を媒体中で使用する場合、2%?15%の個々の同族化合物が好ましくは使用される。 【0041】 本発明の好ましい実施形態において、成分Aは、それぞれの場合で、式IA-1およびIA-2の化合物群より選択される、式IB-1およびIB-2の化合物群より選択される、および式IC-1およびIC-2の化合物群より選択される、好ましくは式IA-1、IB-2およびIC-2の化合物である、3より大きい誘電異方性を有する1種類以上の誘電的に正の化合物を含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。 【0042】 【化22】(式は省略) 【0043】 【化23】(式は省略) 本発明の好ましい実施形態において、成分Aは、式IA-1a?IA-1d/IA-1gの化合物群より選択され、好ましくは式IA-1aおよびIA-1bの化合物群より選択される、3より大きい誘電異方性を有する1種類以上の誘電的に正の化合物を含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。 【0044】 【化24】 ![]() 【0045】 【化25】 ![]() 式中、R^(1)は、式I(式IA、IBおよびIC)において上で示されるそれぞれの意味を有する。 【0046】 本発明の好ましい実施形態において、成分Aは、式IA-2a?IA-2dの化合物群より選択され、好ましくは式IA-2a?IA-2bの化合物群より選択される、3より大きい誘電異方性を有する1種類以上の誘電的に正の化合物を含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。 【0047】 【化26】(式は省略) 【0048】 【化27】(式は省略) 式中、R^(1)は、式Iにおいて上で示されるそれぞれの意味を有する。 【0049】 本発明の好ましい実施形態において、成分Aは、式IB-1a?IB-1cの化合物群より選択され、好ましくは式IB-1aおよびIB-1bの化合物群より選択される、3より大きい誘電異方性を有する1種類以上の誘電的に正の化合物を含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。 【0050】 【化28】 ![]() 式中、R^(1)は、式I(式IA、IBおよびIC)において上で示されるそれぞれの意味を有する。 【0051】 本発明の好ましい実施形態において、成分Aは、式IB-2a?IB-2cの化合物群より選択され、好ましくは式IB-2aおよびIB-2cの化合物群より選択される、3より大きい誘電異方性を有する1種類以上の誘電的に正の化合物を含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。 【0052】 【化29】 ![]() 式中、R^(1)は、式I(式IA、IBおよびIC)において上で示されるそれぞれの意味を有する。 【0053】 本発明の好ましい実施形態において、成分Aは、式IC-1a?IC-1c、好ましくは式IC-1aおよびIC-1c、好ましくは式IC-1cの化合物群より選択され、3より大きい誘電異方性を有する1種類以上の誘電的に正の化合物を含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。 【0054】 【化30】 ![]() 【0055】 【化31】 ![]() 式中、R^(1)は、式I(式IA、IBおよびIC)において上で示されるそれぞれの意味を有する。 【0056】 本発明の好ましい実施形態において、成分Aは、式IC-2a?IC-2fの化合物群より選択され、好ましくは式IC-2a、IC-2b、IC-2d、IC-2eおよびIC-2fの化合物群より選択され、より好ましくは式IC-2b、IC-2eおよびIC-2fの化合物群より選択される、3より大きい誘電異方性を有する1種類以上の誘電的に正の化合物を含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。 【0057】 【化32】(式は省略) 【0058】 【化33】(式は省略) 式中、R^(1)は、式I(式IA、IBおよびIC)において上で示されるそれぞれの意味を有する。」 (e-4) 「【0059】 本発明による媒体は、第2の誘電的に正の成分である成分Bを好ましくは含む。この第2の誘電的に正の成分である成分Bは、3より大きい誘電異方性を有する誘電的に正の化合物を好ましくは含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。 【0060】 この成分である成分Bは、式IIおよびIIIの群より選択される、3より大きい誘電異方性を有する1種類以上の誘電的に正の化合物を好ましくは含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。 【0061】 本発明の好ましい実施形態において、成分Bは、式II-1?II-4、好ましくは式II-1および/またはII-2の化合物群: 【0062】 【化34】 ![]() 【0063】 【化35】(式は省略) (式中、パラメーターは式IIにおいて上で示されるそれぞれの意味を有し、 L^(23)およびL^(24)は、互いに独立に、HまたはFを表し、好ましくは、L^(23)がFを表し、 【0064】 【化36】 ![]() 式II-1およびII-4については、X^(2)は、好ましくはFまたはOCF_(3)を表し、特に好ましくはFであり、 式II-3については、 【0065】 【化37】(式及び一部文章は省略) を表す。) および/または、式III-1およびIII-2の化合物群: 【0066】 【化38】(式は省略) (式中、パラメーターは、式IIIにおいて与えられる意味を有する。) より選択される、3より大きい誘電異方性を有する1種類以上の誘電的に正の化合物を含む。 【0067】 本発明による媒体は、式III-1および/またはIII-2の化合物に代えるか加えて、式III-3の1種類以上の化合物を含んでもよい。 【0068】 【化39】(式は省略) 式中、パラメーターは上で示されるそれぞれの意味を有し、パラメーターL^(33)およびL^(34)は、互いにおよび他のパラメーターとは独立に、HまたはFを表す。 【0069】 成分Bは、前記化合物より好ましくは大部分がなり、更により好ましくは本質的になり、非常に好ましくは全てがなる。 【0070】 成分Bは、好ましくは、L^(21)およびL^(22)および/またはL^(23)およびL^(24)の両者がFを表す式II-1?II-4の化合物群より選択される化合物を含む。 【0071】 好ましい実施形態において、成分Bは、L^(21)、L^(22)、L^(23)およびL^(24)の全てがFを表す式II-2およびII-3の化合物群より選択される化合物を含む。 【0072】 成分Bは、好ましくは、式II-1の1種類以上の化合物を含む。式II-1の化合物は、好ましくは、式II-1a?II-1eの化合物群より選択される。 【0073】 【化40】 ![]() 式中、パラメーターは上で示されるそれぞれの意味を有し、 L^(25)およびL^(26)は、互いにおよび他のパラメーターとは独立に、HまたはFを表し、 好ましくは、 式II-1aおよびII-1b中において、L^(21)およびL^(22)の両者がFを表し、 式II-1cおよびII-1d中において、L^(21)およびL^(22)の両者がF、および/またはL^(23)およびL^(24)の両者がFを表し、 式II-1e中において、L^(21)、L^(22)およびL^(23)がFを表す。 【0074】 式II-1の特に好ましい化合物は、以下である。 【0075】 【化41】 ![]() 式中、R^(2)は、上で示される意味を有する。 【0076】 成分Bは、式II-2a?II-2jの化合物群より好ましくは選択される、式II-2の1種類以上の化合物を好ましくは含む。 【0077】 【化42】(式は省略) 【0078】 【化43】(式は省略) 式中、パラメーターは上で示されるそれぞれの意味を有し、 L^(25)?L^(28)は、互いに独立に、HまたはFを表し、好ましくは、L^(27)およびL^(28)の両者がHを表し、特に好ましくは、L^(26)がHを表す。 【0079】 成分Bは、好ましくは、L^(21)およびL^(22)の両者がFおよび/またはL^(23)およびL^(24)の両者がFを表す式II-1a?II-1eの化合物群より選択される化合物を含む。 【0080】 好ましい実施形態において、成分Bは、L^(21)、L^(22)、L^(23)およびL^(24)の全てがFを表す式II-1a?II-1iの化合物群より選択される化合物を含む。 【0081】 式II-2の特に好ましい化合物は、以下の式の化合物である。 【0082】 【化44】(式は省略) 【0083】 【化45】(式は省略) 【0084】 【化46】 ![]() 式中、R^(2)およびX^(2)は上で示される意味を有し、X^(2)は好ましくはFを表す。」 (e-5) 「【0123】 本発明による液晶媒体は、好ましくは、誘電的に中性の成分である成分Cを含む。この成分は、-1.5?3の範囲内の誘電異方性を有する。それは、-1.5?3の範囲内の誘電異方性を有する誘電的に中性の化合物を好ましくは含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。この成分は、-1.5?3の範囲内の誘電異方性を有する式IVの1種類以上の誘電的に中性の化合物を好ましくは含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。 【0124】 誘電的に中性の成分である成分Cは、好ましくは、式IV-1?IV-6の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。 【0125】 【化68】 ![]() 【0126】 【化69】(式は省略) 式中、R^(41)およびR^(42)は、式IVにおいて上で示されるそれぞれの意味を有し、 式IV-1、IV-5およびIV-6中では、R^(41)は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、好ましくはアルケニルを表し、R^(42)は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、好ましくはアルキルを表し、 式IV-2中では、R^(41)およびR^(42)は、好ましくは、アルキルを表し、 式IV-4中では、R^(41)は、好ましくはアルキルまたはアルケニル、より好ましくはアルキルを表し、R^(42)、好ましくはアルキルまたはアルコキシ、より好ましくはアルコキシを表す。 【0127】 誘電的に中性の成分、成分Cは、好ましくは、式IV-1、IV-4、IV-5およびIV-6の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含み、好ましくは、式IV-1の1種類以上の化合物および式IV-4およびIV-5の群より選択される1種類以上の化合物であり、より好ましくは、式IV-1、IV-4およびIV-5のそれぞれの1種類以上の化合物であり、非常に好ましくは、式IV-1、IV-4、IV-5およびIV-6のそれぞれの1種類以上の化合物を含む。 【0128】 好ましい実施形態において、成分Cは、好ましくは、式IV-5の1種類以上の化合物を含み、より好ましくは、それぞれが式IV-5のサブ式である式CCP-V-nおよび/またはCCP-nV-mおよび/またはCCP-Vn-mより選択され、より好ましくは、式CCP-V-nおよび/またはCCP-V2-nであり、非常に好ましくは、式CCP-V-1およびCCP-V2-1の群より選択される。これらの略号(頭文字)の定義は下で表D中に示されており、表A?Cより明らかである。 【0129】 同様に好ましい実施形態において、成分Cは、好ましくは、式IV-1の1種類以上の化合物を含み、より好ましくは、それぞれが式IV-1のサブ式である式CC-n-m、CC-n-V、CC-n-Vm、CC-V-V、CC-V-Vnおよび/またはCC-nV-Vmより選択され、より好ましくは、式CC-n-Vおよび/またはCC-n-Vmであり、非常に好ましくは、式CC-3-V、CC-4-V、CC-5-V、CC-3-V1、CC-4-V1、CC-5-V1、CC-3-V2およびCC-V-V1の群より選択される。これらの略号(頭文字)の定義は同様に下で表D中に示されており、表A?Cより明らかである。 【0130】 先のものと同一でも異なっていてもよい本発明の更に好ましい実施形態において、本発明による液晶混合物は成分Cを含んでおり、成分Cは、上に示される通り、式IV-1?IV-6、および任意に、式IV-7?IV-14の化合物群より選択される式IVの化合物を含み、好ましくは大部分がこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。 【0131】 【化70】(式は省略) 式中、 R^(41)およびR^(42)は、互いに独立に、炭素数1?7のアルキル、アルコキシ、フッ化アルキルまたはフッ化アルコキシ、または炭素数2?7のアルケニル、アルケニルオキシ、アルコキシアルキルまたはフッ化アルケニルを表し、 L^(4)は、HまたはFを表す。 【0132】 好ましい実施形態において、成分Cは、好ましくは、式IV-7の1種類以上の化合物を含み、より好ましくは、それぞれが式IV-7のサブ式である式CPP-3-2、CPP-5-2およびCGP-3-2より選択され、より好ましくは、式CPP-3-2および/またはCGP-3-2であり、非常に特に好ましくは、式CPP-3-2である。これらの略号(頭文字)の定義は下で表D中に示されており、表A?Cより明らかである。」 (e-6) 「【0143】 本発明による液晶媒体は、好ましくは、追加の誘電的に中性の成分である成分Dを含む。この成分は、-1.5?3の範囲内の誘電異方性を有する。それは、-1.5?3の範囲内の誘電異方性を有する誘電的に中性の化合物を好ましくは含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、特に好ましくは全てがこれらよりなる。この成分は、-1.5?3の範囲内の誘電異方性を有する式VIの1種類以上の誘電的に中性の化合物を好ましくは含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。 【0144】 【化77】 ![]() 式中、 R^(61)およびR^(62)は、互いに独立に、式IIにおいてR^(2)に上で示される意味を有し、好ましくは、R^(61)はアルキルを表し、R^(62)はアルキルまたはアルケニルを表し、 【0145】 【化78】 ![]() 【0146】 【化79】 ![]() Z^(61)およびZ^(62)は、互いに独立に、Z^(61)が2回出現する場合は、これらも互いに独立に、-CH_(2)CH_(2)-、-COO-、トランス-CH=CH-、トランス-CF=CF-、-CH_(2)O-、-CF_(2)O-または単結合を表し、好ましくは、それらの1つ以上が単結合を表し、 rは0、1または2、好ましくは0または1、特に好ましくは1を表す。 【0147】 誘電的に中性の成分である成分Dは、好ましくは、式VI-1およびVI-2の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。 【0148】 【化80】 ![]() 式中、R^(61)およびR^(62)は式VIにおいて上で示されるそれぞれの意味を有し、R^(61)は好ましくはアルキルを表し、式VI-1中、R^(62)は、好ましくはアルケニル、好ましくは-(CH_(2))_(2)-CH=CH-CH_(3)を表し、式VI-2中、R^(62)は、好ましくはアルキル、-(CH_(2))_(2)-CH=CH_(2)または-(CH_(2))_(2)-CH=CH-CH_(3)を表す。 【0149】 誘電的に中性の成分である成分Dは、式VI-1およびVI-2の化合物群より選択される1種類以上の化合物を好ましくは含み、式中、R^(61)は好ましくはn-アルキルを表し、式VI-1中でR^(62)は好ましくはアルケニルを表し、式VI-2中でR^(62)は好ましくはn-アルキルを表す。 【0150】 好ましい実施形態において、成分Dは、好ましくは式VI-1、より好ましくは式VI-1のサブ式PP-n-2Vm、更により好ましくは式PP-1-2V1の1種類以上の化合物を含む。これらの略号(頭文字)の定義は下で表D中に示されており、表A?Cより明らかである。 【0151】 好ましい実施形態において、成分Dは、好ましくは式VI-2、より好ましくは式VI-2のサブ式PGP-n-m、PGP-n-2VおよびPGP-n-2Vm、更により好ましくは式VI-2のサブ式PGP-3-m、PGP-n-2VおよびPGP-n-V1、非常に好ましくは式PGP-3-2、PGP-3-3、PGP-3-4、PGP-3-5、PGP-1-2V、PGP-2-2VおよびPGP-3-2Vより選択される1種類以上の化合物を含む。これらの略号(頭文字)の定義は同様に下で表D中に示されており、表A?Cより明らかである。 【0152】 本発明による液晶混合物は、成分AおよびBに加え、少なくとも1つの更なる成分を好ましくは含む。この第3成分は成分CおよびDの1つでよく、存在するのであれば第3成分は好ましくは成分Cである。 【0153】 当然、本発明による混合物は、全ての4つの成分A、B、CおよびDを含んでよい。」 (e-7) 「【0164】 本発明による液晶媒体は、成分A?E、好ましくはA?D、非常に好ましくはA?C、特に、式I(式IA、IBおよびIC)?VIII、好ましくはI?V、非常に好ましくはI?IIIおよび/またはIVの化合物群より選択される化合物を好ましくは含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。 【0165】 本出願において、組成物の文意における用語「含む」は、関連する構成成分、即ち、媒体または成分が、示される1種類の成分または複数種類の成分または1種類の化合物または複数種類の化合物を、好ましくは10%以上、非常に好ましくは20%以上の総濃度で含有することを意味する。 【0166】 この文意において、用語「大部分がなる」は、関連する構成成分が、55%以上、好ましくは60%以上、非常に好ましくは70%以上の、示される1種類の成分または複数種類の成分または1種類の化合物または複数種類の化合物を含有することを意味する。 【0167】 この文意において、用語「本質的になる」は、関連する構成成分が、80%以上、好ましくは90%以上、非常に好ましくは95%以上の、示される1種類の成分または複数種類の成分または1種類の化合物または複数種類の化合物を含有することを意味する。 【0168】 この文意において、用語「全てがなる」は、関連する構成成分が、98%以上、好ましくは99%以上、非常に好ましくは100.0%の、示される1種類の成分または複数種類の成分または1種類の化合物または複数種類の化合物を含有することを意味する。」 (e-8) 「【0173】 本発明による液晶媒体は、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、特に好ましくは70℃以上、非常に特に好ましくは75℃以上の透明点を有する。 【0174】 本発明による媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも0℃以下?70℃以上、より好ましくは少なくとも-20℃以下?75℃以上、非常に好ましくは少なくとも-30℃以下?75℃以上、特には少なくとも-40℃以下?80℃以上に広がっている。 【0175】 本発明による液晶媒体のΔεは、1kHzおよび20℃において、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、非常に好ましくは6以上である。特に、Δεは20以下である。 【0176】 本発明による液晶媒体のΔnは、589nm(Na^(D))および20℃において、好ましくは0.070以上?0.150以下の範囲内、より好ましくは0.080以上?0.140以下の範囲内、更により好ましくは0.090以上?0.135以下の範囲内、非常に特に好ましくは0.100以上?0.130以下の範囲内である。 【0177】 本出願の第1の好ましい実施形態において、本発明による液晶媒体のΔnは、好ましくは0.080以上、より好ましくは0.090以上である。 【0178】 この第1の本発明の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは、好ましくは0.090以上?0.120以下の範囲内、より好ましくは0.095以上?0.115以下の範囲内、非常に特に好ましくは0.100以上?0.105以下の範囲内であり、一方、Δεは、好ましくは4以上?11以下の範囲内、好ましくは5以上?9以下の範囲内、特に好ましくは6以上?8以下の範囲内である。 【0179】 この実施形態において、本発明による媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも-20℃以下?70℃以上、より好ましくは少なくとも-25℃以下?70℃以上、非常に好ましくは少なくとも-30℃以下?70℃以上、特には少なくとも-40℃以下?95℃以上に広がっている。 【0180】 第2の本発明の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは0.115以上?0.140以下の範囲内、より好ましくは0.120以上?0.135以下の範囲内、非常に特に好ましくは0.125以上?0.130以下の範囲内であり、一方、Δεは、好ましくは6以上、より好ましくは7以上、非常に好ましくは8.5以上?10以下の範囲内である。 【0181】 この実施形態において、本発明による媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも-20℃以下?70℃以上、非常に好ましくは少なくとも-30℃以下?70℃以上、特には少なくとも-40℃以下?75℃以上に広がっている。 【0182】 第3の本発明の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは0.070以上?0.120以下の範囲内、より好ましくは0.075以上?0.115以下の範囲内、非常に特に好ましくは0.080以上?0.110以下の範囲内であり、一方、Δεは、好ましくは3.5以上、好ましくは4.0以上?7.0以下の範囲内、より好ましくは4.5以上?6.0以下の範囲内、特に好ましくは5.0以上?5.5以下の範囲内である。 【0183】 この実施形態において、本発明による媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも-20℃以下?75℃以上、より好ましくは少なくとも-30℃以下?70℃以上、非常に好ましくは少なくとも-30℃以下?75℃以上、特には少なくとも-30℃以下?80℃以上に広がっている。 【0184】 2.5Vドライバーまたは3.3Vドライバーを搭載するノートブック中のディスプレイでの使用に特に適切な、第4の本発明の好ましい実施形態において、液晶媒体のΔnは、好ましくは0.090以上?0.130以下の範囲内、より好ましくは0.100以上?0.120以下の範囲内、非常に特に好ましくは0.115以上?0.120以下の範囲内であり、一方、Δεは好ましくは10以上であり、2.5Vドライバーを搭載する用途には、好ましくは15以上?22以下の範囲内、より好ましくは16以上?20以下の範囲内、特に好ましくは17以上?19以下の範囲内であり、3.3Vドライバーを搭載する用途には、好ましくは10以上?25以下の範囲内、より好ましくは11以上?14以下の範囲内、特に好ましくは12以上?13以下の範囲内である。 【0185】 この実施形態において、本発明による媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも-10℃以下?70℃以上、より好ましくは少なくとも-30℃以下?75℃以上、特には少なくとも-40℃以下?80℃以上に広がっている。 【0186】 本発明によれば、成分Aは、混合物全体の好ましくは1%?50%、より好ましくは1%?30%、更により好ましくは2%?30%、非常に好ましくは3%?30%の濃度で使用される。 【0187】 成分Bは、混合物全体の好ましくは2%?60%、より好ましくは3%?35%、更により好ましくは4%?20%、非常に好ましくは5%?15%の濃度で使用される。 【0188】 成分Cは、混合物全体の好ましくは5%?70%、より好ましくは20%?65%、更により好ましくは30%?60%、非常に好ましくは40%?55%の濃度で使用される。 【0189】 成分Dは、混合物全体の好ましくは0%?50%、より好ましくは1%?40%、更により好ましくは5%?30%、非常に好ましくは10%?20%の濃度で使用される。 【0190】 成分Eは、混合物全体の好ましくは0%?30%、より好ましくは0%?15%、非常に好ましくは1%?10%の濃度で使用される。 【0191】 物理的特性を調節するために、本発明による媒体は、更なる液晶化合物を任意に含んでよい。そのような化合物は、当業者に既知である。本発明による媒体中のそれらの濃度は、好ましくは0%?30%、より好ましくは0.1%?20%、非常に好ましくは1%?15%である。 【0192】 上述の本発明の第1の好ましい実施形態において、成分Aは、混合物全体の好ましくは1%?65%、より好ましくは3%?60%、非常に好ましくは5%?57%の濃度で使用され、一方、成分Dは、混合物全体の好ましくは5%?40%、より好ましくは10%?35%、非常に好ましくは10%?30%の濃度で使用される。 【0193】 この好ましい実施形態において、媒体は、好ましくは式VI、非常に特に好ましくは式VI-2の1種類以上の化合物を含む。 【0194】 特に、上述の本発明の第2の好ましい実施形態において、成分Cは、好ましくは式IV、より好ましくは式IV-1の1種類以上の化合物を含み、更により好ましくは、それぞれ式IV-1のサブ式である式CC-n-Vおよび/またはCC-n-Vm、より好ましくは式CC-n-V1および/またはCC-n-V、非常に好ましくは式CC-3-V、CC-4-V、CC-5-VおよびCC-3-V1の群より選択される。これらの略号(頭文字)の定義は、下で表D中に示されている。 【0195】 好ましい実施形態において、本発明による媒体中の式CC-3-Vの化合物の濃度は、50%?65%、特に好ましくは55%?60%でよい。 【0196】 液晶媒体は、成分A、B、CおよびD、好ましくは成分A、BおよびCを、全体で、好ましくは50%?100%、より好ましくは70%?100%、非常に好ましくは80%?100%、特には90%?100%で含み、言い換えれば、式IA、IB、IC、II、III、IV、V、VIおよびVII、好ましくは、式IA、IB、IC、II、III、IV、VおよびVIの1種類以上の化合物を含み、好ましくは大部分がこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる。 【0197】 本出願において、「誘電的に正」との表現はΔε>3.0である化合物または成分を表現し、「誘電的に中性」との表現は-1.5≦Δε≦3.0である化合物または成分を表現し、「誘電的に負」との表現はΔε<-1.5である化合物または成分を表現し、Δεは1kHzの周波数および20℃において決定される。それぞれの化合物の誘電異方性は、ネマチックホスト混合物中での、個々の化合物のそれぞれの10%の溶液の結果から決定される。それぞれの化合物のホスト混合物中での溶解性が10%未満であるときは、濃度を5%まで低下する。試験混合物の容量は、ホメオトロピック配向を有するセルおよびホモジニアス配向を有するセルの両方において決定する。両方の型のセルの層厚は、およそ20μmである。印加される電圧は1kHzの周波数および典型的には0.5V?1.0Vの有効値を有する矩形波であるが、常にそれぞれの試験混合物の容量閾値よりも低く選択される。 【0198】 Δεは(ε_(?)-ε_(⊥))と定義され、一方、ε_(av)は(ε_(?)+2ε_(⊥))/3と定義される。 【0199】 誘電的に正の化合物については混合物ZLI-4792が、誘電的に中性および誘電的に負の化合物については、混合物ZLI-3086が、それぞれホスト混合物として使用され、両者ともドイツ国メルク社製である。化合物の誘電率の絶対値は、興味ある化合物を添加した際の、ホスト混合物のそれぞれの値の変化から決定される。その値を、興味ある化合物の濃度100%に外挿する。 【0200】 20℃の測定温度でネマチック相を有する成分は、そのままで測定され、他の全ても化合物の測定と同様に処理される。 【0201】 両方の場合において他に明言しない限り、本出願において「閾電圧」との表現は光学的閾値について言及し、10%相対的コントラスト(V_(10))についてであり、「飽和電圧」との表現は光学的飽和について言及し、90%相対的コントラスト(V_(90))についてである。フレデリクス閾値(V_(Fr))とも呼ばれる容量的閾電圧(V_(0))は、明らかに述べる場合にのみ使用する。 【0202】 本出願で示されるパラメーターの範囲は、他に明言しない限り、全て限界値を含む。 【0203】 互いの組み合わせにおいて特性の各種の範囲に示される異なる上限および下限の値は、追加の好ましい範囲である。 【0204】 本出願を通じて、他に明言しない限り、以下の条件および定義を適用する。全ての濃度は質量パーセントで示され、それぞれ混合物全体に関するものであり、全ての温度は、摂氏度であり、全ての温度差は差異度である。全ての物理的特性は、「Merck Liquid Crystals、物理的 特性 of Liquid Crystals」、1997年11月刊、ドイツ国メルク社に従って決定され、他に明言しない限り、20℃の温度においてである。光学異方性(Δn)は、589.3nmの波長で決定される。誘電異方性(Δε)は、1kHzの周波数で決定される。閾電圧ならびに他の全ての電気光学的特性は、ドイツ国メルク社で製造された試験セルを使用して決定される。Δεの決定のための試験セルは、約20μmのセル厚を有している。電極は、1.13cm^(2)の面積および保護リングを有する円形ITO電極である。配向層は、ホメオトロピック配向(ε_(?))用には日本国日産化学社製SE-1211、ホモジニアス配向(ε_(⊥))用には日本国日本合成ゴム社製ポリイミドAL-1054である。容量は、0.3V_(rms)の電圧を有する正弦波を使用するSolatron1260周波数応答解析装置によって決定する。電気光学的測定において使用される光は、白色光である。ドイツ国Autronic Melchers社製の商業的に入手可能なDMS装置を使用する装置構成を、ここでは用いる。特性電圧を、垂直観察の下で決定した。閾値(V_(10))、中間灰色(V_(50))および飽和(V_(90))電圧を、それぞれ10%、50%および90%相対コントラストで決定した。 【0205】 本発明による液晶媒体は、通常の濃度で更に添加剤およびキラルドーパントを含むことができる。これらの更なる構成成分の総濃度は、混合物全体に基づいて0%?10%、好ましくは0.1%?6%の範囲内である。使用される個々の化合物の濃度は、それぞれ好ましくは0.1%?3%の範囲内である。これらおよび類似の添加剤の濃度は、本出願において、液晶媒体の液晶成分および化合物の濃度の値および範囲には考慮されない。 【0206】 本発明による液晶媒体は、数種の化合物、好ましくは3?30種類、より好ましくは4?20種類、非常に好ましくは4?16種類の化合物からなる。これらの化合物は、慣用的な方法で混合される。原則として、より少ない量で使用される化合物の所望量を、より多い量で使用される化合物に溶解する。より高い濃度で用いられる化合物の透明点より温度が高い場合には、溶解過程の完了を観察するのは特に容易である。しかしながら、他の慣用の方法、例えば、同族化合物または共融混合物が可能な所謂プレ混合物の使用や、構成成分が使用可能な状態の混合物自身である所謂「マルチ・ボトル」系により媒体を調製することも可能である。」 (e-9) 「【実施例】 【0237】 下の例は、本発明を一切制限することなく本発明を説明する。 【0238】 しかしながら、物理的特性は、当業者に、実現可能な特性およびそれらを改変できる範囲を示す。よって、特に、好ましくは達成できる各種特性の組み合わせが、当業者のために十分規定される。 【0239】 <実施例1> 以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。 【0240】 【表24】 ![]() この混合物は、TNモード中のディスプレイ、特に、高い透明点(広い動作温度範囲)を有するコンピューターモニター(5Vドライバー)中での使用のためのディスプレイに非常に極めて適切である。 【0241】 <実施例2> 以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。 【0242】 【表25】(表は省略) この混合物は、TNモード中のディスプレイ、特に、高い透明点(広い動作温度範囲)を有するコンピューターモニター(5Vドライバー)中での使用のためのディスプレイに非常に極めて適切である。 【0243】 <実施例3> 以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。 【0244】 【表26】 ![]() この混合物は、TNモード中のディスプレイ、特に、ノートブック(4Vドライバー)中での使用のためのディスプレイに非常に極めて適切である。 【0245】 <実施例4> 以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。 【0246】 【表27】(表は省略) この混合物は、TNモード中のディスプレイ、特に、コンピューターモニター(6Vドライバー)中での使用のためのディスプレイに非常に極めて適切である。 【0247】 <実施例5> 以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。 【0248】 【表28】(表は省略) この混合物は、TNモード中のディスプレイ、特に、ノートブック(特に、3.3Vドライバー搭載)中での使用のためのディスプレイに非常に極めて適切である。 【0249】 <実施例6> 以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。 【0250】 【表29】(表は省略) この混合物は、TNモード中のディスプレイ、特に、ノートブック(特に、2.5Vドライバー搭載)中での使用のためのディスプレイに非常に極めて適切である。 【0251】 <実施例7> 以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。 【0252】 【表30】(表は省略) この混合物は、TNモード中のディスプレイ、特に、ノートブック(特に、2.5Vドライバー搭載)中での使用のためのディスプレイに非常に極めて適切である。 【0253】 <実施例8> 以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。 【0254】 【表31】(表は省略) この混合物は、TNモード中のディスプレイ、特に、ノートブック(特に、2.5Vドライバー搭載)中での使用のためのディスプレイに非常に極めて適切である。 【0255】 <実施例9> 以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。 【0256】 【表32】(表は省略) この混合物は、TNモード中のディスプレイ、特に、ノートブック(特に、2.5Vドライバー搭載)中での使用のためのディスプレイに非常に極めて適切である。 【0257】 <実施例10> 以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。 【0258】 【表33】(表は省略) この混合物は、TNモード中のディスプレイ、特に、ノートブック(特に、2.5Vドライバー搭載)中での使用のためのディスプレイに非常に極めて適切である。 【0259】 <実施例11> 以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。 【0260】 【表34】(表は省略) この混合物は、TNモード中のディスプレイ、特に、ノートブック(特に、2.5Vドライバー搭載)中での使用のためのディスプレイに非常に極めて適切である。 【0261】 <実施例12> 以下の表中で示される通りの組成および特性を有する液晶混合物を調製する。 【0262】 【表35】(表は省略) この混合物は、TNモード中のディスプレイ、特に、ノートブック(特に、2.5Vドライバー搭載)中での使用のためのディスプレイに非常に極めて適切である。」 6.甲7 上記甲7には、以下の(f-1)ないし(f-7)の各事項が記載されている。 (f-1) 「請求の範囲 [請求項1]液晶表示素子の動作モードがFFSモードであり、駆動方式がアクティブマトリックス方式であり、かつ正の誘電率異方性を有する液晶組成物を含有する液晶表示素子であって、この液晶組成物が、第一成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第二成分として式(2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、液晶組成物の全重量に基づいて第一成分の割合が10重量%以上である、液晶表示素子。 (式は省略) ここで、R^(1)、R^(2)、およびR^(3)は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;環Aおよび環Bは独立して、1,4-シクロへキシレン、1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレン、3-フルオロ-1,4-フェニレン、または2,5-ジフルオロ-1,4-フェニレンであり;Z^(1)は独立して、単結合、エチレン、またはカルボニルオキシであり;X^(1)およびX^(2)は独立して、水素またはフッ素であり;Y^(1)は、フッ素またはトリフルオロメトキシであり;mは、1、2、または3である。 [請求項2]液晶組成物の第一成分が式(1-1)および式(1-2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項1に記載の液晶表示素子。 (式は省略) ここで、R^(1)は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。 [請求項3]液晶組成物の第一成分が式(1-1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項2に記載の液晶表示素子。 [請求項4]液晶組成物の第二成分が式(2-1)から式(2-13)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項1から3のいずれか1項に記載の液晶表示素子。 (式は省略) ここで、R^(2)およびR^(3)は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。 [請求項5]液晶組成物の第二成分が式(2-1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項4に記載の液晶表示素子。 [請求項6]液晶組成物の第二成分が式(2-1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(2-5)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物の混合物である請求項4に記載の液晶表示素子。 [請求項7]液晶組成物が、液晶組成物の全重量に基づいて、第一成分の割合が10重量%から50重量%の範囲であり、第二成分の割合が20重量%から90重量%の範囲である請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶表示素子。 [請求項8]液晶組成物が、第三成分として式(3-1)および式(3-2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の液晶表示素子。 (式は省略) ここで、R^(4)およびR^(5)は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;環C、環D、および環Eは独立して、1,4-シクロへキシレン、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、1,4-フェニレン、3-フルオロ-1,4-フェニレン、3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン、または2,5-ピリミジンであり;Z^(2)、Z^(3)、Z^(4)、およびZ^(5)は独立して、単結合、エチレン、カルボニルオキシ、またはジフルオロメチレンオキシであり;X^(3)およびX^(4)は独立して、水素またはフッ素であり;Y^(2)は、フッ素、塩素、またはトリフルオロメトキシであり;nは1または2である。 [請求項9]液晶組成物の第三成分が式(3-1-1)から式(3-1-29)および式(3-2-1)から式(3-2-8)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である、請求項8に記載の液晶表示素子。 (式は省略) ここで、R^(4)およびR^(5)は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。 [請求項10]液晶組成物の第三成分が式(3-1-9)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項9に記載の液晶表示素子。 [請求項11]液晶組成物の第三成分が式(3-1-20)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項9に記載の液晶表示素子。 [請求項12]液晶組成物の第三成分が式(3-1-24)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項9に記載の液晶表示素子。 [請求項13]液晶組成物の第三成分が式(3-1-28)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項9に記載の液晶表示素子。 [請求項14]液晶組成物の第三成分が式(3-2-6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項9に記載の液晶表示素子。 [請求項15]液晶組成物の第三成分が、式(3-1-9)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(3-1-20)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物の混合物である請求項9に記載の液晶表示素子。 [請求項16]液晶組成物の第三成分が、式(3-1-28)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および式(3-2-6)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物の混合物である請求項9に記載の液晶表示素子。 [請求項17]液晶組成物が、液晶組成物の全重量に基づいて、第三成分の割合が15重量%から60重量%の範囲である請求項8から16のいずれか1項に記載の液晶表示素子。 ・・(中略)・・ [請求項22]請求項1から21のいずれか1項に記載の液晶表示素子中に含まれる液晶組成物。 [請求項23]ネマチック相の上限温度が70℃以上であり、波長589nmにおける光学異方性(25℃)が0.08以上であり、そして周波数1kHzにおける誘電率異方性(25℃)が10以上である請求項28に記載の液晶組成物。 [請求項24]請求項23に記載の液晶組成物の、液晶表示素子への使用。」(第57頁?第69頁) (f-2) 「技術分野 [0001]本発明は、主としてAM(active matrix)素子などに適する液晶組成物およびこの組成物を含有するAM素子などに関する。特に、誘電率異方性が正の液晶組成物に関し、この組成物を含有するFFS(Fringe Field Switching)モードの素子に関する。」(1頁3行?7行) (f-3) 「背景技術 [0002]液晶表示素子において、液晶の動作モードに基づいた分類は、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)、FFS(fringe field switching)、PSA(polymer sustained alignment)モードなどである。素子の駆動方式に基づいた分類は、PM(passive matrix)とアクティブマトリックス(AM;active matrix)である。・・(中略)・・ [0003]これらの素子は適切な特性を有する液晶組成物を含有する。この液晶組成物はネマチック相を有する。良好な一般的特性を有するFFSモードの素子を得るには組成物の一般的特性を向上させる。2つの一般的特性における関連を下記の表1にまとめる。組成物の一般的特性を市販されているFFSモードの素子に基づいてさらに説明する。ネマチック相の温度範囲は、素子の使用できる温度範囲に関連する。ネマチック相の好ましい上限温度は約70℃以上であり、そしてネマチック相の好ましい下限温度は約-10℃以下である。組成物の粘度は素子の応答時間に関連する。素子で動画を表示するためには短い応答時間が好ましい。したがって、組成物における小さな粘度が好ましい。低い温度における小さな粘度はより好ましい。組成物の弾性定数は素子のコントラストに関連する。素子においてコントラストを上げるためには、組成物における大きな弾性定数がより好ましい。組成物の誘電率異方性は素子のしきい値電圧に関連する。好ましい誘電率異方性は、約10以上である。 [0004] ![]() [0005]組成物の光学異方性は、素子のコントラスト比に関連する。組成物の光学異方性(Δn)と素子のセルギャップ(d)との積(Δn×d)は、コントラスト比を最大にするように設計される。適切な積の値は動作モードの種類に依存する。TNのようなモードの素子では、適切な値は約0.45μmである。この場合、小さなセルギャップの素子には大きな光学異方性を有する組成物が好ましい。組成物における大きな誘電率異方性は素子における低いしきい値電圧、小さな消費電力と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、大きな誘電率異方性が好ましい。組成物における大きな比抵抗は、素子における大きな電圧保持率と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、初期段階において室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。長時間使用したあと、室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。紫外線および熱に対する組成物の安定性は、液晶表示素子の寿命に関連する。これらの安定性が高いとき、この素子の寿命は長い。このような特性は、液晶プロジェクター、液晶テレビなどに用いるAM素子に好ましい。組成物における大きな弾性定数は素子における大きなコントラスト比と短い応答時間に寄与する。したがって、大きな弾性定数が好ましい。 [0006]TNモードを有するAM素子においては正の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。・・(中略)・・IPSモードまたはFFSモードを有するAM素子においては正または負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。PSAモードを有するAM素子においては正または負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。正の誘電率異方性を有する液晶組成物の例は次の特許文献に開示されている。 ・・(中略)・・ [0008]望ましいAM素子は、使用できる温度範囲が広い、応答時間が短い、コントラスト比が大きい、しきい値電圧が低い、電圧保持率が大きい、寿命が長い、などの特性を有する。1ミリ秒でもより短い応答時間が望ましい。したがって、組成物の望ましい特性は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性、大きな弾性定数などである。」(第1頁第8行?第3頁第25行) (f-4) 「発明が解決しようとする課題 [0009]本発明の1つの目的は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性、大きな弾性定数などの特性において、少なくとも1つの特性を充足する液晶組成物である。他の目的は、少なくとも2つの特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物である。別の目的は、このような組成物を含有する液晶表示素子である。別の目的は、適切な光学異方性、大きな誘電率異方性、紫外線に対する高い安定性、大きな弾性定数などを有する組成物であり、そして短い応答時間、大きな電圧保持率、大きなコントラスト比、長い寿命などを有するAM素子である。」(第3頁末行?第4頁第10行) (f-5) 「[0043]第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果を説明する。成分化合物の主要な特性を本発明の効果に基づいて表2にまとめる。表2の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。記号L、M、Sは、成分化合物のあいだの定性的な比較に基づいた分類である。 [0044]表2.化合物の特性 ![]() [0045]成分化合物を組成物に混合したとき、成分化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果は次のとおりである。化合物(1)は下限温度を下げ、そして誘電率異方性を上げる。化合物(2)は上限温度を上げる、または粘度を下げる。化合物(3-1)および化合物(3-2)は、下限温度を下げ、そして誘電率異方性を上げる。化合物(4)は、光学異方性を上げ、そして誘電率異方性を上げる。」(第20頁第13行?第21頁第2行) (f-6) 「[0079]第八に、組成物の用途を説明する。本発明の組成物は主として、約-10℃以下の下限温度、約70℃以上の上限温度、そして約0.07から約0.20の範囲の光学異方性を有する。この組成物を含有する素子は大きな電圧保持率を有する。この組成物はAM素子に適する。この組成物は透過型のAM素子に特に適する。成分化合物の割合を制御することによって、またはその他の液晶性化合物を混合することによって、約0.08から約0.25の範囲の光学異方性を有する組成物、さらには約0.10から約0.30の範囲の光学異方性を有する組成物を調製してもよい。この組成物は、ネマチック相を有する組成物としての使用、光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用が可能である。 [0080]この組成物はAM素子への使用が可能である。さらにPM素子への使用も可能である。この組成物は、PC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、VA、FFS、PSAなどのモードを有するAM素子およびPM素子への使用が可能である。FFSモードを有するAM素子への使用は特に好ましい。これらの素子が反射型、透過型または半透過型であってもよい。透過型の素子への使用は好ましい。非結晶シリコン-TFT素子または多結晶シリコン-TFT素子への使用も可能である。この組成物をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)型の素子や、組成物中に三次元の網目状高分子を形成させたPD(polymer dispersed)型の素子にも使用できる。」(第35頁第22行?第36頁第13行) (f-7) 「産業上の利用可能性 [0122] ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、大きな光学異方性、正に大きな誘電率異方性、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性などの特性において、少なくとも1つの特性を充足する、または少なくとも2つの特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物である。このような組成物を含有する液晶表示素子は、短い応答時間、大きな電圧保持率、大きなコントラスト比、長い寿命などを有するAM素子となるので、液晶プロジェクター、液晶テレビなどに用いることができる。」(第55頁末行?第56頁第8行) 7.甲8 上記甲8には、以下の(g-1)ないし(g-4)の事項が記載されている。 (g-1) 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 第一成分として式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、第二成分として式(2-1)および式(2-2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物、および第三成分として式(3)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、液晶組成物の全重量に基づいて、第一成分の割合が20重量%から50重量%の範囲であり、第二成分の割合が10重量%から35重量%の範囲であり、そして第三成分の割合が5重量%から45重量%の範囲であり、そしてネマチック相を有する液晶組成物。 (式は省略) ここで、R^(1)およびR^(2)は独立して、炭素数1から12のアルキル、または炭素数2から12のアルケニルであり;R^(3)およびR^(4)は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。 【請求項2】 液晶組成物の全重量に基づいて、第一成分および第二成分の割合の合計が50重量%から70重量%の範囲である請求項1に記載の液晶組成物。 【請求項3】 第二成分が式(2-1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である請求項1または2のいずれか1項に記載の液晶組成物。 【請求項4】 液晶組成物の全重量に基づいて、第一成分の割合が30重量%から45重量%の範囲であり、第二成分の割合が10重量%から25重量%の範囲であり、そして第三成分の割合が5重量%から30重量%の範囲である請求項1から3のいずれか1項に記載の液晶組成物。 【請求項5】 第四成分として式(4-1)および式(4-2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物をさらに含有し、液晶組成物の全重量に基づいて、第四成分の割合が5重量%から40重量%の範囲である、請求項1から4のいずれか1項に記載の液晶組成物。 (式は省略) ここで、R^(5)は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;R^(6)は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、フッ素または塩素である。 ・・(中略)・・ 【請求項7】 請求項1から6のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。 【請求項8】 液晶表示素子の動作モードが、TNモード、OCBモード、IPSモード、またはPSAモードであり、液晶表示素子の駆動方式がアクティブマトリックス方式である請求項7に記載の液晶表示素子。」 (g-2) 「【技術分野】 【0001】 本発明は、主としてAM(active matrix)素子などに適する液晶組成物およびこの組成物を含有するAM素子などに関する。特に、誘電率異方性が正の液晶組成物に関し、この組成物を含有するTN(twisted nematic)モード、OCB(optically compensated bend)モード、IPS(in-plane switching)モード、またはPSA(polymer sustained alignment)モードの素子に関する。 【背景技術】 【0002】 液晶表示素子において、液晶の動作モードに基づいた分類は、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)、PSA(polymer sustained alignment)モードなどである。素子の駆動方式に基づいた分類は、PM(passive matrix)とAM(active matrix)である。PMはスタティック(static)とマルチプレックス(multiplex)などに分類され、AMはTFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。TFTの分類は非晶質シリコン(amorphous silicon)および多結晶シリコン(polycrystal silicon)である。後者は製造工程によって高温型と低温型とに分類される。光源に基づいた分類は、自然光を利用する反射型、バックライトを利用する透過型、そして自然光とバックライトの両方を利用する半透過型である。 【0003】 これらの素子は適切な特性を有する液晶組成物を含有する。この液晶組成物はネマチック相を有する。良好な一般的特性を有するAM素子を得るには組成物の一般的特性を向上させる。2つの一般的特性における関連を下記の表1にまとめる。組成物の一般的特性を市販されているAM素子に基づいてさらに説明する。ネマチック相の温度範囲は、素子の使用できる温度範囲に関連する。ネマチック相の好ましい上限温度は70℃以上であり、そしてネマチック相の好ましい下限温度は-10℃以下である。組成物の粘度は素子の応答時間に関連する。素子で動画を表示するためには短い応答時間が好ましい。したがって、組成物における小さな粘度が好ましい。低い温度における小さな粘度はより好ましい。なお、回転粘度は、粘度に含まれる。 【0004】 ![]() 【0005】 組成物の光学異方性は、素子のコントラスト比に関連する。組成物の光学異方性(Δn)と素子のセルギャップ(d)との積(Δn×d)は、コントラスト比を最大にするように設計される。適切な積の値は動作モードの種類に依存する。TNのようなモードの素子では、適切な値は約0.45μmである。この場合、小さなセルギャップの素子には大きな光学異方性を有する組成物が好ましい。組成物における大きな誘電率異方性は素子における低いしきい値電圧、小さな消費電力と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、大きな誘電率異方性を有する組成物が好ましい。組成物における大きな比抵抗は、素子における大きな電圧保持率と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。長時間使用したあと、室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。紫外線および熱に対する組成物の安定性は、液晶表示素子の寿命に関連する。これらの安定性が高いとき、この素子の寿命は長い。組成物における小さなプレチルト角は、ホモジニアス配向を有する素子における斜め方位の大きなコントラスト比(広い視野角)に寄与する。したがって、小さなプレチルト角を有する組成物が好ましい。このような特性は、液晶プロジェクター、液晶テレビなどに用いるAM素子に好ましい。 【0006】 TNモードを有するAM素子においては正の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。一方、VAモードを有するAM素子においては負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。IPSモードを有するAM素子においては正または負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。PSAモードを有するAM素子においては正または負の誘電率異方性を有する組成物が用いられる。正の誘電率異方性を有する液晶組成物の例は次の特許文献1から3に開示されているが、誘電率異方性は十分に大きくない。 ・・(中略)・・ 【0008】 望ましいAM素子は、使用できる温度範囲が広い、応答時間が短い、コントラスト比が大きい、しきい値電圧が低い、電圧保持率が大きい、寿命が長い、などの特性を有する。1ミリ秒でもより短い応答時間が望ましい。したがって、組成物の望ましい特性は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度大きな光学異方性、大きな誘電率異方性、小さなプレチルト角、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性などである。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明の1つの目的は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、大きな誘電率異方性、小さなプレチルト角、大きな比抵抗、紫外線に対する高い安定性、熱に対する高い安定性などの特性において、少なくとも1つの特性を充足する液晶組成物である。他の目的は、少なくとも2つの特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物である。別の目的は、このような組成物を含有する液晶表示素子である。別の目的は、適切な光学異方性、大きな誘電率異方性、紫外線に対する高い安定性などを有する組成物であり、そして短い応答時間、大きな電圧保持率、大きなコントラスト比、長い寿命などを有するAM素子である。」 (g-3) 「【0035】 第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果を説明する。成分化合物の主要な特性を本発明の効果に基づいて表2にまとめる。表2の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。記号L、M、Sは、成分化合物のあいだの定性的な比較に基づいた分類である。誘電率異方性における記号0(ゼロ)は、誘電率異方性の特性が正または負に大きくなく、ほとんどゼロに近い、を意味する。 【0036】 表2.化合物の特性 ![]() 【0037】 成分化合物を組成物に混合したとき、成分化合物が組成物の特性に及ぼす主要な効果は次のとおりである。化合物(1)は粘度を下げ、プレチルト角を小さくする。化合物(2-1)および(2-2)は誘電率異方性を上げる。化合物(3)は光学異方性を上げる。化合物(4-1)および(4-2)は上限温度を上げる。化合物(5)は誘電率異方性を上げる。」 (g-4) 「【実施例】 【0070】 ・・(中略)・・ 【0072】 特性値の測定は下記の方法にしたがった。それらの多くは、日本電子機械工業会規格(Standard of Electric Industries Association of Japan)EIAJ・ED-2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法である。 【0073】 ネマチック相の上限温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。 【0074】 ネマチック相の下限温度(T_(C);℃):ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、-10℃、-20℃、-30℃、および-40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が-20℃ではネマチック相のままであり、-30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、T_(C)を≦-20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。 【0075】 粘度(η;20℃で測定;mPa・s):測定にはE型回転粘度計を用いた。 【0076】 回転粘度(γ1;25℃で測定;mPa・s):測定はM.Imai et al.,Molecular Crystals and Liquid Crystals,Vol.259,37(1995)に記載された方法に従った。ツイスト角が0°であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。このTN素子に16Vから19.5Vの範囲で0.5V毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM.Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算で必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度を測定した素子を用い、下に記載した方法で求めた。 【0077】 光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定):測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n?は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性の値は、Δn=n?-n⊥、の式から計算した。 【0078】 誘電率異方性(Δε;25℃で測定):2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε?)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε?-ε⊥、の式から計算した。 【0079】 しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が約0.45/Δn(μm)であり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(32Hz、矩形波)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧-透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧である。 【0080】 電圧保持率(VHR-1;25℃;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線によって重合する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率である。 【0081】 電圧保持率(VHR-2;80℃;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線によって重合する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率である。 【0082】 電圧保持率(VHR-3;25℃;%):紫外線を照射したあと、電圧保持率を測定し、紫外線に対する安定性を評価した。大きなVHR-3を有する組成物は紫外線に対して大きな安定性を有する。測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そしてセルギャップは5μmである。この素子に試料を注入し、光を20分間照射した。光源は超高圧水銀ランプUSH-500D(ウシオ電機製)であり、素子と光源の間隔は20cmである。VHR-3の測定では、減衰する電圧を16.7ミリ秒のあいだ測定した。VHR-3は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。 【0083】 電圧保持率(VHR-4;25℃;%):試料を注入したTN素子を80℃の恒温槽内で500時間加熱したあと、電圧保持率を測定し、熱に対する安定性を評価した。大きなVHR-4を有する組成物は熱に対して大きな安定性を有する。VHR-4の測定では、減衰する電圧を16.7ミリ秒のあいだ測定した。 【0084】 応答時間(τ;25℃で測定;ms):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5.0μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に矩形波(60Hz、5V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である。立ち上がり時間(τr:rise time;ミリ秒)は、透過率が90%から10%に変化するのに要した時間である。立ち下がり時間(τf:fall time;ミリ秒)は透過率10%から90%に変化するのに要した時間である。応答時間は、このようにして求めた立ち上がり時間と立ち下がり時間との和である。 【0085】 比抵抗(ρ;25℃で測定;Ωcm):電極を備えた容器に試料1.0mLを注入した。この容器に直流電圧(10V)を印加し、10秒後の直流電流を測定した。比抵抗は次の式から算出した。(比抵抗)={(電圧)×(容器の電気容量)}/{(直流電流)×(真空の誘電率)}。 【0086】 プレチルト角(θ;25℃で測定;°):液晶配向膜を形成したアンチパラレル素子を作製し、その素子に液晶組成物を注入して、プレチルト角測定用素子(液晶表示素子)を作製した。作製したプレチルト角測定用素子の液晶のプレチルト角を測定した。プレチルト角はクリスタルローテーション法により行い、He-Neレーザー(発振波長632.8nm)を用いて測定した。 ・・(中略)・・ 【0090】 実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は下記の実施例によって限定されない。比較例および実施例における化合物は、下記の表3の定義に基づいて記号により表した。表3において、1,4-シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。実施例において記号の後にあるかっこ内の番号は好ましい化合物の番号に対応する。(-)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)であり、液晶組成物にはこの他に不純物が含まれている。最後に、組成物の特性値をまとめた。 【0091】 (表は省略) 【0092】 [比較例1] 国際公開2006-038443パンフレットに開示された組成物の中から実施例14を選んだ。根拠は、この組成物が化合物(1-1)、化合物(2-1-1)、および化合物(3-1)を含有しているからである。ただし、本願の第一成分の割合は2重量%である。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。 3-HH-VFF (1-1) 2% 3-HH-V ( - ) 16% 3-HB-CL ( - ) 8% 5-HEB-F ( - ) 2% 3-HB-O2 ( - ) 2% 3-BB(F,F)XB(F,F)-F (2-1-1)10% 2-BB(F)B-3 (3-1) 4% 2-BB(F)B-5 (3-1) 6% V-HHB-1 (4-1-3)10% 3-HHB-O1 (4-1-2) 2% VFF-HHB-1 (4-1-6) 2% V-HBB-1 (4-2-3) 3% 2-HBB-F (4-2-4) 5% 3-HBB-F (4-2-4) 5% 5-HBB-F (4-2-4) 5% 5-HXB(F,F)-F ( - ) 2% 3-HBB(F,F)-F ( - ) 10% 5-H2B(F)-F ( - ) 2% 3-HHEH-3 ( - ) 2% 1O1-HBBH-3 ( - ) 2% NI=78.8℃;Tc≦-30℃;Δn=0.117;Δε=3.9;Vth=2.04V;γ1=61.5mPa・s;τ=9.8ms;VHR-1=99.5% 【0093】 [実施例1] 比較例1の組成物を本発明の第一成分が20重量%以上になるように調節した。本発明の第二成分から第五成分の割合は比較例1と同量にした。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。実施例1は比較例1より、Δεが大きく、NIが高くなった。 3-HH-VFF (1-1) 30% 3-BB(F,F)XB(F,F)-F (2-1-1)10% 2-BB(F)B-3 (3-1) 4% 2-BB(F)B-5 (3-1) 6% V-HHB-1 (4-1-3)10% 3-HHB-O1 (4-1-2) 2% VFF-HHB-1 (4-1-6) 2% V-HBB-1 (4-2-3) 3% 2-HBB-F (4-2-4) 5% 3-HBB-F (4-2-4) 5% 5-HBB-F (4-2-4) 5% 5-HXB(F,F)-F ( - ) 2% 3-HBB(F,F)-F ( - ) 10% 5-H2B(F)-F ( - ) 2% 3-HHEH-3 ( - ) 2% 1O1-HBBH-3 ( - ) 2% NI=87.1℃;Tc≦-30℃;Δn=0.117;Δε=4.2;Vth=2.04V;η=14.3mPa・s;γ1=69.5mPa・s;τ=11.0ms;VHR-1=99.5% 【0094】 [比較例2] 特開2008-038018号公報に開示された組成物の中から実施例13を選んだ。根拠は、この組成物が化合物(1-1)、化合物(2-1-1)、および化合物(3-1)を含有しているからである。ただし、本発明の第一成分の割合は5重量%、本発明の第二成分の割合は5重量%である。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。 3-HH-VFF (1-1) 5% 3-HH-V ( - ) 25% 3-HH-V1 ( - ) 10% 3-BB(F,F)XB(F,F)-F (2-1-1) 5% 3-BB(F)B(F,F)-F ( - ) 5% 2-BB(F)B-3 (3-1) 5% 3-HBB(F,F)XB(F,F)-F ( - ) 5% 3-HB(F)B(F,F)XB(F,F)-F( - ) 5% 3-BB(2F,5F)B-3 ( - ) 5% 3-HB-CL ( - ) 5% 3-HB-O2 ( - ) 5% 7-HB-1 ( - ) 5% 1V2-BB-CL ( - ) 5% 5-HBB(F)B-2 ( - ) 5% 5-HB(F)BH-3 ( - ) 5% NI=71.0℃;Tc≦-20℃;Δn=0.113;Δε=4.1;Vth=1.8 9V;γ1=52.9mPa・s;τ=9.4ms;VHR-1=99.1% 【0095】 [実施例2] 比較例2の組成物を本発明の第一成分が20重量%以上かつ本発明の第二成分が10重量%になるように調節した。本発明の第三成分から第五成分の割合は比較例2と同量にした。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。実施例2のΔεは比較例2より大きくなった。 3-HH-VFF (1-1) 30% 5-HH-VFF (1-1) 10% 2-BB(F,F)XB(F,F)-F (2-1-1) 3% 3-BB(F,F)XB(F,F)-F (2-1-1) 7% 2-BB(F)B-3 (3-1) 5% 3-HBB(F,F)XB(F,F)-F ( - ) 5% 3-HB(F)B(F,F)XB(F,F)-F( - ) 5% 3-BB(2F,5F)B-3 ( - ) 5% 3-HB-CL ( - ) 5% 3-HB-O2 ( - ) 5% 7-HB-1 ( - ) 5% 1V2-BB-CL ( - ) 5% 5-HBB(F)B-2 ( - ) 5% 5-HB(F)BH-3 ( - ) 5% NI=63.6℃;Tc≦-20℃;Δn=0.110;Δε=4.9;Vth=1.73V;γ1=55.1mPa・s;τ=9.8ms;VHR-1=99.1% 【0096】 [比較例3] 国際公開2008-102641パンフレットに開示された組成物の中から実施例3を選んだ。根拠は、この組成物が化合物(1-1)、化合物(2-2-1)、化合物(3-2)および化合物(3-3)を含有しているからである。ただし、本発明の第二成分の割合は5重量%である。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。 3-HH-VFF (1-1) 37% 3-BB(F,F)XB(F,F)-OCF3 ( - ) 3% 3-HHB(F,F)-F ( - ) 3% 3-HBB(F,F)-F ( - ) 5% 5-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F(2-2-1) 5% 1-BB(F)B-2V (3-2) 7% 2-BB(F)B-2V (3-2) 4% V2-BB(F)B-1 (3-3) 7% 3-HBB-2 (4-2-1) 3% 1V-HBB-2 (4-2-3) 4% 3-HHXB(F,F)-F (5-1) 3% 3-HH-4 ( - ) 5% 5-HH-V ( - ) 5% 3-HB-CL ( - ) 3% 3-HB-O2 ( - ) 3% 5-HBB(F)B-3 ( - ) 3% NI=78.4℃;Tc≦-20℃;Δn=0.126;Δε=3.1;Vth=2.35V;γ1=47.7mPa・s;τ=6.5ms;VHR-1=99.0% 【0097】 [実施例3] 比較例3の組成物を本発明の第二成分が10重量%になるように調節した。本発明の第一成分および第三成分から第五成分の割合は比較例3と同量にした。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。実施例3のΔεは比較例3より大きくなった。 3-HH-VFF (1-1) 37% 3-BB(F,F)XB(F,F)-F (2-1-1)11% 5-BB(F)B(F,F)XB(F,F)-F(2-2-1) 5% 1-BB(F)B-2V (3-2) 7% 2-BB(F)B-2V (3-2) 4% V2-BB(F)B-1 (3-3) 7% 3-HBB-2 (4-2-1) 3% 1V-HBB-2 (4-2-3) 4% 3-HHXB(F,F)-F (5-1) 3% 3-HH-4 ( - ) 5% 5-HH-V ( - ) 5% 3-HB-CL ( - ) 3% 3-HB-O2 ( - ) 3% 5-HBB(F)B-3 ( - ) 3% NI=73.4℃;Tc≦-20℃;Δn=0.127;Δε=4.4;Vth=1.97V;γ1=50.4mPa・s;τ=6.9ms;VHR-1=99.0%」 III.甲1及び甲5に記載された発明 1.甲1に記載された発明 甲1には、「式Iの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする液晶媒体」(摘示(a-1)の【請求項1】参照)が記載されており、「式IIおよび/またはIIIの1種類以上の化合物を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶媒体」(摘示(a-1)の【請求項2】参照)、「式IV」、「式V」、「式VI」及び「式VII」を含む「以下の式から選択される1種類以上の化合物を更に含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶媒体」(摘示(a-1)の【請求項4】参照)、「式XII」の「以下の式から選択される1種類以上の化合物を更に含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の液晶媒体」(摘示(a-1)の【請求項8】参照)、「1?25重量%の式Iの化合物と、25?80重量%の式IIおよび/またはIIIの化合物と、5?40重量%の式XIIの化合物とを含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の液晶媒体」(摘示(a-1)の【請求項10】参照)及び「請求項1から11のいずれか一項に記載の液晶媒体を含有する電気光学的液晶ディスプレイ」(摘示(a-1)の【請求項13】参照)もそれぞれ記載されている。 そして、甲1には、上記「式II」で表される化合物として「式IIa」及び「式IIf」を含む「以下の式から選択される1種類以上の化合物を含むこと」(摘示(a-1)【請求項3】及び摘示(a-6)参照)、上記「式V」で表される化合物として「式Va」、「式Vc」、「式Ve」、「式Vf」及び「式Vg」を含む「以下の式から選択される1種類以上の化合物を含むこと」(摘示(a-1)【請求項5】及び摘示(a-7)参照)並びに上記「式VI」で表される化合物として、「式VI-1c」及び「式VI-1d」を含む「以下の式から選択される1種類以上の化合物を含むこと」(摘示(a-1)【請求項6】及び摘示(a-7)参照)及び「式VI-2a」を含む「以下の式から選択される1種類以上の化合物を含むこと」(摘示(a-1)【請求項7】及び摘示(a-7)参照)もそれぞれ記載されている。 また、甲1には、上記液晶媒体が、高い正の誘電異方性を有し、その液晶媒体を含有する液晶ディスプレイにおいて、TFT型のもの、すなわちアクティブマトリックス型のディスプレイを構成するのに好適であることも記載されている(摘示(a-3)の【0006】ないし【0008】、摘示(a-5)の【0029】及び摘示(a-10)の【0125】など参照)。 さらに、甲1には、「式I」で表される化合物の具体例である「CPGU-2-OT」なる化合物、「式II」で表される化合物の具体例である「CCP-V-1」、「CC-3-V1」及び「CC-3-V」なる各化合物の混合物、「式V」で表される化合物の具体例である「BCH-3F,F,F」なる化合物、「式VI」で表される化合物の具体例である「PGU-3-F」などのZ^(0)が単結合である化合物及び「PUQU-3-F」などのZ^(0)が-CF_(2)O-である化合物の混合物並びに「式XII」で表される化合物の具体例である「PGP-2-3」、「PGP-2-4」、「PGP-2-5」なる化合物をそれぞれ含有する上記液晶媒体の具体的実験例が記載されている(摘示(a-12)の「<例2>」「<例3>」など参照)。 してみると、甲1には、上記摘示(a-1)ないし(a-12)の記載からみて、 「「CPGU-2-OT」などの式Iで表される化合物から選択される1種類以上の化合物又はその混合物、 「CC-3-V1」又は「CC-3-V」などの式IIで表される化合物及び/又は式IIIで表される化合物から選択される1種類以上の化合物又はそれらの混合物、 「BCH-3F,F,F」などの式IV又は式Vで表される化合物並びに「PUQU-3-F」などの式VI-2aで表される化合物などの式VIで表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物又はその混合物、 及び 「PGP-2-3」、「PGP-2-4」、「PGP-2-5」などの式XIIで表される化合物の群から選択される1種類以上の化合物を含有し、 液晶組成物の全重量に基づいて、1?25重量%の式Iで表される化合物と、25?80重量%の式IIで表される化合物と、5?40重量%の式XIIで表される化合物とを含む、正の誘電異方性を有する液晶媒体。 ![]() (式中、 R^(0)は、1?15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し、ただし、また、これらの基の1個以上のCH_(2)基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接つながらないようにして、-C≡C-、-CF_(2)O-、-CH=CH-、 ![]() -O-、-CO-O-または-O-CO-で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はハロゲン原子によって置き換えられていてもよく、および X^(0)は、F、Cl、CN、SF_(5)、SCN、NCS、6個までのC原子を有するハロゲン化されたアルキル基、ハロゲン化されたアルケニル基、ハロゲン化されたアルコキシ基またはハロゲン化されたアルケニルオキシ基を表す。) ![]() (式中、 Aは、1,4-フェニレンまたはトランス-1,4-シクロヘキシレンを表し、 aは、0または1を表し、 R^(3)は、2?9個のC原子を有するアルケニルを表し、および R^(4)は、請求項1中のR^(0)に対して示される意味を有する。) ![]() (式中、R^(0)およびX^(0)は、請求項1中で示される意味を有し、および Y^(1?4)は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、 Z^(0)は、-C_(2)H_(4)-、-(CH_(2))_(4)-、-CH=CH-、-CF=CF-、-C_(2)F_(4)-、-CH_(2)CF_(2)-、-CF_(2)CH_(2)-、-CH_(2)O-、-OCH_(2)-、-COO-、-CF_(2)O-または-OCF_(2)-を表し、式VおよびVI中では単結合も表し、および rは、0または1を表す。) ![]() (式中、 R^(1)およびR^(2)は、それぞれ互いに独立に、9個までのC原子を有するn-アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを表し、およびY^(1)は、HまたはFを表す。)」 に係る発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものといえる。 2.甲5に記載された発明 甲5には、 「・式IAの1種類以上の誘電的に正の化合物、 式IBの1種類以上の誘電的に正の化合物、および 式ICの1種類以上の誘電的に正の化合物 を含む第1の誘電的に正の成分である成分A、 ・任意成分として、式IIおよびIIIの化合物群より好ましくは選択される1種類以上の誘電的に正の化合物を含む第2の誘電的に正の成分である成分B、および ・任意成分として、式IVの1種類以上の誘電的に中性の化合物を含む誘電的に中性の成分である成分C を含む液晶媒体。(式及びその説明は省略)」(摘示(e-1)【請求項1】参照) が記載され、 「式VIの1種類以上の誘電的に中性の化合物を含む誘電的に中性の成分である成分Dを含む請求項1?6のいずれか一項に記載の液晶媒体。(式及びその説明は省略)」(摘示(e-1)【請求項7】参照)、 「請求項1?7のいずれか一項に記載の液晶媒体を含有する液晶ディスプレイ。」(摘示(e-1)の【請求項8】参照)及び「アクティブマトリックスによりアドレスされる請求項8に記載の液晶ディスプレイ。」(摘示(e-1)【請求項9】参照) がそれぞれ記載されている。 そして、甲5には、 上記「式IA」で表される化合物として「成分Aは、式IA-1a?IA-1d/IA-1gの化合物群より選択され、好ましくは式IA-1aおよびIA-1bの化合物群より選択される、3より大きい誘電異方性を有する1種類以上の誘電的に正の化合物を含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる」こと(摘示(e-3)【0043】参照)、 上記「式IB」で表される化合物として「式IB-2a?IB-2cの化合物群より選択され、好ましくは式IB-2aおよびIB-2cの化合物群より選択される、3より大きい誘電異方性を有する1種類以上の誘電的に正の化合物を含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる」こと(摘示(e-3)【0051】参照)、 上記「式IC」で表される化合物として、「成分Aは、式IC-2a?IC-2fの化合物群より選択され、好ましくは式IC-2a、IC-2b、IC-2d、IC-2eおよびIC-2fの化合物群より選択され、より好ましくは式IC-2b、IC-2eおよびIC-2fの化合物群より選択される、3より大きい誘電異方性を有する1種類以上の誘電的に正の化合物を含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる」こと(摘示(e-3)【0056】参照)、 上記「本発明による媒体」は、「第2の誘電的に正の成分である成分Bを好ましくは含む。この第2の誘電的に正の成分である成分Bは、3より大きい誘電異方性を有する誘電的に正の化合物を好ましくは含み、より好ましくは大部分がこれらよりなり、更により好ましくは本質的にこれらよりなり、非常に好ましくは全てがこれらよりなる」こと及び「この成分である成分Bは、式IIおよびIIIの群より選択される」こと(摘示(e-4)【0059】?【0060】参照)、 上記「式II」で表される化合物として「式II-1」で表される化合物を使用すること(摘示(e-4)【0061】及び【0072】参照)及び「式II-1」で表される化合物として「式II-1d」で表される化合物、特に「式II-1c-1」(審決注:「式II-1d-1」の誤記と理解される。)で表される化合物を好適に含むこと(摘示(e-4)【0072】?【0075】参照)、 上記「式II」で表される化合物として「式II-2」で表される化合物を使用すること(摘示(e-4)【0076】参照)及び「式II-2」で表される化合物として「式II-2j」で表される化合物、特に「式II-2j-1」で表される化合物を好適に含むこと(摘示(e-4)【0078】?【0084】参照)、 上記「式III」で表される化合物として、「式III-2」で表される化合物から選択されること(摘示(e-4)【0066】参照)、 上記「成分C」として「好ましくは、式IV-1?IV-6の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含」み、「式IV-1」で表される化合物として「より好ましくは、それぞれが式IV-1のサブ式である式CC-n-m、CC-n-V、CC-n-Vm、CC-V-V、CC-V-Vnおよび/またはCC-nV-Vmより選択され、より好ましくは、式CC-n-Vおよび/またはCC-n-Vmであり、非常に好ましくは、式CC-3-V、CC-4-V、CC-5-V、CC-3-V1、CC-4-V1、CC-5-V1、CC-3-V2およびCC-V-V1の群より選択される」こと(摘示(e-5)【0124】?【0129】参照)、 上記「成分D」として「式VI」で表される化合物、「好ましくは、式VI-1およびVI-2の化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む」こと及び「好ましくは式VI-1、より好ましくは式VI-1のサブ式PP-n-2Vm、更により好ましくは式PP-1-2V1の1種類以上の化合物を含」み、「好ましくは式VI-2、より好ましくは式VI-2のサブ式PGP-n-m、PGP-n-2VおよびPGP-n-2Vm、更により好ましくは式VI-2のサブ式PGP-3-m、PGP-n-2VおよびPGP-n-V1、非常に好ましくは式PGP-3-2、PGP-3-3、PGP-3-4、PGP-3-5、PGP-1-2V、PGP-2-2VおよびPGP-3-2Vより選択される1種類以上の化合物を含む」こと(摘示(e-6)【0144】?【0151】参照)、 「当然、本発明による混合物は、全ての4つの成分A、B、CおよびDを含んでよい」こと(摘示(e-6)【0153】参照)、 並びに 「本発明によれば、成分Aは、混合物全体の好ましくは1%?50%、より好ましくは1%?30%、更により好ましくは2%?30%、非常に好ましくは3%?30%の濃度で使用される」こと、「成分Bは、混合物全体の好ましくは2%?60%、より好ましくは3%?35%、更により好ましくは4%?20%、非常に好ましくは5%?15%の濃度で使用される」こと、「成分Cは、混合物全体の好ましくは5%?70%、より好ましくは20%?65%、更により好ましくは30%?60%、非常に好ましくは40%?55%の濃度で使用される」こと及び「成分Dは、混合物全体の好ましくは0%?50%、より好ましくは1%?40%、更により好ましくは5%?30%、非常に好ましくは10%?20%の濃度で使用される」こと(摘示(e-8)【0186】?【0189】参照)、 がそれぞれ記載されている。 また、甲5には、上記「液晶媒体」が、「好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、特に好ましくは70℃以上、非常に特に好ましくは75℃以上の透明点を有」し、「媒体のネマチック相は、好ましくは少なくとも0℃以下?70℃以上、より好ましくは少なくとも-20℃以下?75℃以上、非常に好ましくは少なくとも-30℃以下?75℃以上、特には少なくとも-40℃以下?80℃以上に広がっている」とともに、「液晶媒体のΔεは、1kHzおよび20℃において、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、非常に好ましくは6以上である。特に、Δεは20以下であ」り、「Δnは、589nm(Na^(D))および20℃において、好ましくは0.070以上?0.150以下の範囲内、より好ましくは0.080以上?0.140以下の範囲内、更により好ましくは0.090以上?0.135以下の範囲内、非常に特に好ましくは0.100以上?0.130以下の範囲内である」という各物性を有すること(摘示(e-8)【0173】?【0185】参照)もそれぞれ記載されている。 さらに、甲5には、 「式IA」で表される化合物の具体例である「CPGU-3-OT」なる化合物(摘示(e-9)「実施例1」など)、 「式IB」で表される化合物の具体例である「PGUQU-3-F」なる化合物(摘示(e-9)「実施例1」など)、 「式IC」で表される化合物の具体例である「APUQU-3-F」なる化合物(摘示(e-9)「実施例1」など)、 「式II-1d」で表される化合物の具体例である「PUQU-3-F」なる化合物(摘示(e-9)「実施例3」など)、 「式III-2」で表される化合物の具体例である「PGU-3-F」なる化合物(摘示(e-9)「実施例3」など)、 「式IV-1」で表される化合物の具体例である「CC-3-V」なる化合物(摘示(e-9)「実施例1」など)、 並びに 「式VI-2」で表される化合物の具体例である「PGP-2-3」、「PGP-2-4」、「PGP-2-5」なる各化合物の2種以上の混合物(摘示(e-9)「実施例3」など)、 をそれぞれ含有する種々の液晶混合物(媒体)に関する具体的実験例が記載されている(摘示(e-9)参照)。 なお、甲5には、具体的実験例として、「CC-3-V」を液晶混合物(媒体)全体に対して28.5(重量)%以上使用した例についてのみ記載されている(摘示(e-9)参照)。 してみると、甲5には、上記摘示(e-1)ないし(e-9)の記載からみて、 「・「CPGU-3-OT」などの式IAで表される化合物の群から選択される1種類以上の誘電的に正の化合物、 「PGUQU-3-F」などの式IBで表される化合物の群から選択される1種類以上の誘電的に正の化合物、および 「APUQU-3-F」などの式ICで表される化合物の群から選択される1種類以上の誘電的に正の化合物 を含む第1の誘電的に正の成分である成分A、 ・「PUQU-3-F」などの式IIの化合物群および「PGU-3-F」などの式IIIの化合物群から選択される誘電的に正の化合物を含む第2の誘電的に正の成分である成分B、 ・「CC-3-V」などの式IVで表される化合物群から選択される化合物である誘電的に中性の成分である成分C、及び ・「PGP-2-3」、「PGP-2-4」などの式VIの2種類以上の誘電的に中性の化合物の混合物を含む誘電的に中性の成分である成分Dを含み、成分Cを30重量%以上含む液晶媒体。 ![]() (各置換基の説明については、上記摘示(e-1)参照。) 」 に係る発明(以下「甲5発明」という。)が記載されているものといえる。 IV.本件訂正発明との対比・検討 1.本件訂正発明1について (1)甲1発明に基づく検討 ア.対比 本件訂正発明1と甲1発明とを対比すると、甲1発明における (a)「「PUQU-3-F」などの式VI-2aで表される化合物」、 (b)「「CPGU-3-OT」なる化合物」、 (c)「「CC-3-V1」及び「CC-3-V」なる各化合物の混合物などの式IIで表される化合物の2種以上の混合物」、 並びに (d)「「PGP-2-3」、「PGP-2-4」、「PGP-2-5」なる各化合物などの式XII・・で表される化合物から選択された化合物の2種以上の混合物」、 は、それぞれ、それらの(一般)式で表される化学構造からみて、本件訂正発明1における (a)「式(1)で表される化合物」、 (b)「一般式(2)で表される化合物、のうち、前記A^(2)は1,4-フェニレン基を表し、前記Y^(2)は-OCF_(3)を表す化合物」、 (c)「式(40)で表される化合物」と「一般式(4.4)で表される化合物」との混合物、 並びに (d)「一般式(9)で表される2種以上の化合物」、 に相当し、さらに甲1には、「CPGU-2-OT」、「PUQU-3-F」、「CC-3-V」、「CC-3-V1」、「PGP-2-3」及び「PGP-2-4」を併用する具体例についても記載されている(摘示(a-12)「<例2>」参照)から、上記(a)ないし(d)の組合せについても開示されており、本件訂正発明1における上記(a)ないし(d)を含む組成物に相当する。 そして、甲1発明における上記「(a)成分」及び「(b)成分」がいずれもその化学構造からみて、誘電的に正の成分であり、上記「(c)成分」及び「(d)成分」がいずれもその化学構造からみて、誘電的にほぼ中性の成分であることが、その技術常識に照らして当業者に自明であって、甲1発明に係る液晶媒体は、上記「(a)成分」ないし「(d)成分」の誘電的に正の成分及びほぼ中性の成分よりなることが明らかであるから、液晶媒体全体の誘電異方性が正であることも当業者に自明である。 してみると、 甲1発明における「(a)成分」及び「(b)成分」と本件訂正発明1における「誘電的に正である成分(A)」、 甲1発明における「(c)成分」及び「(d)成分」と本件訂正発明1における「誘電的に中性な成分(B)」及び 甲1発明における「液晶媒体」と本件訂正発明1における「正の誘電率異方性を有する液晶組成物」は、それぞれ相当するものといえる。 してみると、本件訂正発明1と甲1発明とは、訂正後の本件請求項1における表現を用いて表現すると、 「正の誘電率異方性を有する液晶組成物であって、 式(1): 【化1】(式は省略) で表される化合物および一般式(2): 【化2】(式及びその説明は省略) で表される化合物、のうち、前記A^(2)は1,4-フェニレン基を表し、前記Y^(2)は-OCF_(3)を表す化合物を含有する誘電的に正の成分である成分(A)と、 式(40): 【化3】(式は省略) で表される化合物および一般式(9): 【化4】(式及びその説明は省略) で表される2種類以上の化合物を含む、誘電率異方性が-2より大であり、かつ+2より小である誘電的に中性な成分(B)と、を含有する液晶組成物であって、 前記成分(B)として、式(4.4): 【化11】(式は省略) で表される化合物をさらに含有する、 液晶組成物。」 の点で一致し、下記の4点で相違する。 相違点1:本件訂正発明1では、「一般式(15):【化14】(式及びその説明は省略)で表される1種または2種以上の化合物をさらに含有」するのに対して、甲1発明では、同化合物を使用することにつき特定されていない点 相違点2:本件訂正発明1では、「式(12.2):【化10】(式及びその説明は省略)で表される化合物をさらに含有」するのに対して、甲1発明では、同化合物を使用することにつき特定されていない点 相違点3:本件訂正発明1では、「前記式(40)で表される化合物の含有量は、前記液晶組成物の総量に対して29質量%以上である」のに対して、甲1発明では、「25?80重量%の式IIの化合物」である点 相違点4:本件訂正発明1では、「(ただし、式【化12】(式及びその説明は省略)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物、並びに液晶組成物の全重量に基づいて式【化13】(式及びその説明は省略)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物の割合が10重量%以上である、正の誘電率異方性を有する液晶組成物、を除く)。」とされているのに対して、甲1発明では、当該「液晶組成物を除く」ことにつき特定されていない点 イ.相違点に係る検討 (ア)相違点1について 上記相違点1につき検討すると、甲1には、甲1発明の組成物において更に「一般式III」で表される化合物、具体的には、本件訂正発明1における「一般式(15)」に該当する「PP-1-2V1」なる化合物を使用することが開示されてはいる(摘示(a-1)【請求項2】及び摘示(a-12)「<例5>」等参照)ものの、当該「一般式III」で表される化合物を中性の誘電率異方性を有する他の液晶化合物(例えばPGP-m-nの2種の混合物)と組み合わせた中性の誘電率異方性を有する液晶組成物の成分とし、更に「PUQU-3-F」を含む正の誘電率異方性を有する液晶化合物又は組成物と組み合わせて使用する点に係る具体的記載はない。 また、甲1には、甲1発明において「一般式II」で表される中性の誘電率異方性を有する液晶化合物に加えて「一般式III」で表される化合物を更に使用すべき根拠となる事項についても記載されていない。 さらに、他の甲号証の記載を検討すると、甲2及び甲3には、それぞれ「PP-1-2V1」を使用した具体例が開示されてはいる(甲2:摘示(b-6)「例M9」及び甲3:第84頁「<例M4>」など参照)ものの、上記ア.で示した(a)ないし(d)を含有する組成物に更に添加使用したものではないから、甲1発明において「一般式II」で表される中性の誘電率異方性を有する液晶化合物に加えて「一般式III」で表される化合物を更に使用すべき根拠となる事項について開示されているとはいえない。 してみると、上記相違点1は、甲1発明において、甲1又は他の甲号証の開示に基づき当業者が適宜なし得ることではない。 (イ)相違点2について 上記相違点2につき検討すると、甲1には、本件訂正発明1における式(12.2)の化合物を包含する「PGUQU-n-F」なる化合物につき記載されてはいる(摘示(a-11)【表7】参照)ものの、上記式(12.2)の「PGUQU-3-F」を使用する具体例は記載されていないし、当該「PGUQU-n-F」で表される化合物を他の「PUQU-3-F」を含む正の誘電率異方性を有する液晶化合物又は組成物と組み合わせて正の誘電率異方性を有する液晶組成物とし、中性の誘電率異方性を有する液晶組成物と組み合わせて使用する点に係る具体的記載はない。 また、甲1には、甲1発明において「PGUQU-3-F」で表される化合物を更に使用すべき根拠となる事項についても記載されていない。 さらに、他の甲号証の記載を検討すると、甲2及び甲5には、それぞれ「PGUQU-3-F」を使用した具体例が開示されてはいる(甲2:摘示(b-6)「例M4」及び甲5:摘示(e-9)「<実施例1>」など参照)ものの、上記ア.で示した(a)ないし(d)を含有する組成物に更に添加使用したものではないから、甲1発明において「PGUQU-3-F」で表される化合物を更に使用すべき根拠となる事項について開示されているとはいえない。 してみると、上記相違点2についても、甲1発明において、甲1又は他の甲号証の開示に基づき当業者が適宜なし得ることではない。 (ウ)本件訂正発明1の効果について 本件訂正発明1の効果につき検討すると、本件訂正発明1は、上記相違点1及び2に係る技術事項により、被請求人が平成29年3月17日付け審判事件答弁書第9頁第4行?第13頁第8行で主張するとおりの高速応答性又は電圧保持率に係る所期の効果を奏しているものといえる。 (エ)小括 したがって、その余の相違点3及び4につき検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ.まとめ 以上のとおり、本件訂正発明1は、甲1発明及び甲1並びに他の甲号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 (2)甲5発明に基づく検討 ア.対比 本件訂正発明1と甲5発明とを対比すると、甲5発明における (a)「「PUQU-3-F」などの式IIの化合物」、 (b)「「CPGU-3-OT」などの式IAで表される化合物の群から選択される1種類以上の誘電的に正の化合物」、 (c)「「PGUQU-3-F」などの式IBで表される化合物の群から選択される1種類以上の誘電的に正の化合物」、 (d)「「CC-3-V」などの式IVの誘電的に中性の化合物」、 並びに (e)「「PGP-2-3」、「PGP-2-4」などの式VIの2種類以上の誘電的に中性の化合物の混合物」、 は、それぞれ、それらの(一般)式で表される化学構造からみて、本件訂正発明1における (a)「式(1)で表される化合物」、 (b)「一般式(2)で表される化合物、のうち、前記A^(2)は1,4-フェニレン基を表し、前記Y^(2)は-OCF_(3)を表す化合物」、 (c)「式(12.2)で表される化合物」 (d)「式(40)で表される化合物」、 並びに (e)「一般式(9)で表される2種以上の化合物」、 に相当し、さらに甲5には、「PUQU-3-F」、「CPGU-3-OT」、「PGUQU-3-F」、「CC-3-V」、「PGP-2-3」、「PGP-2-4」及び「PGP-2-5」を併用する具体例についても記載されている(摘示(e-9)「<実施例3>」参照)から、上記(a)ないし(e)の組合せについても開示されており、本件訂正発明1における上記(a)ないし(e)を含む組成物に相当する。 そして、甲5発明における上記「(a)成分」ないし「(c)成分」がいずれもその化学構造からみて、誘電的に正の成分であり、上記「(d)成分」及び「(e)成分」がいずれもその化学構造からみて、誘電的にほぼ中性の成分であることが、その技術常識に照らして当業者に自明であって、甲5発明に係る液晶媒体は、上記「(a)成分」ないし「(e)成分」の誘電的に正の成分及びほぼ中性の成分よりなることが明らかであるから、液晶媒体全体の誘電異方性が正であることも当業者に自明である。 してみると、 甲5発明における「(a)成分」ないし「(c)成分」と本件訂正発明1における「誘電的に正である成分(A)」、 甲5発明における「(d)成分」及び「(e)成分」と本件訂正発明1における「誘電的に中性な成分(B)」及び 甲5発明における「液晶媒体」と本件訂正発明1における「正の誘電率異方性を有する液晶組成物」は、それぞれ相当するものといえる。 したがって、本件訂正発明1と甲5発明とは、訂正後の本件の請求項1の表現を用いて表現すると、 「正の誘電率異方性を有する液晶組成物であって、 式(1): 【化1】(式は省略) で表される化合物および一般式(2): 【化2】(式及びその説明は省略) で表される化合物、のうち、前記A^(2)は1,4-フェニレン基を表し、前記Y^(2)は-OCF_(3)を表す化合物を含有する誘電的に正の成分である成分(A)と、 式(40): 【化3】(式は省略) で表される化合物および一般式(9): 【化4】(式及びその説明は省略) で表される2種類以上の化合物を含む、誘電率異方性が-2より大であり、かつ+2より小である誘電的に中性な成分(B)と、を含有する液晶組成物であって、 前記成分(A)として、式(12.2): 【化10】(式は省略) で表される化合物をさらに含有する、 液晶組成物。」 の点で一致し、下記の5点で相違する。 相違点5:本件訂正発明1では、「一般式(15):【化14】(式及びその説明は省略)で表される1種または2種以上の化合物をさらに含有」するのに対して、甲5発明では、同化合物を使用することにつき特定されていない点 相違点6:本件訂正発明1では、「式(40):【化3】(式は省略)で表される化合物」及び「式(4.4):【化11】(式は省略)で表される化合物」を「誘電的に中性な成分(B)」として含むのに対して、甲5発明では、当該2種の化合物を併せて使用することにつき特定されていない点 相違点7:本件訂正発明1では、「前記式(40)で表される化合物の含有量は、前記液晶組成物の総量に対して29質量%以上である」のに対して、甲5発明では、「成分Cを30重量%以上含む」点 相違点8:本件訂正発明1では、「(ただし、式【化12】(式及びその説明は省略)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物、並びに液晶組成物の全重量に基づいて式【化13】(式及びその説明は省略)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物の割合が10重量%以上である、正の誘電率異方性を有する液晶組成物、を除く)。」とされているのに対して、甲5発明では、当該「液晶組成物を除く」ことにつき特定されていない点 相違点9:甲5発明では、「「APUQU-3-F」などの式ICで表される化合物の群から選択される1種類以上の誘電的に正の化合物」を「第1の誘電的に正の成分である成分A」の必須成分として使用するのに対して、本件訂正発明1では、当該化合物の使用につき特定されていない点 イ.相違点に係る検討 (ア)相違点5について 上記相違点5につき検討すると、甲5には、甲5発明の組成物において更に「成分D」としての「式VI」で表される化合物、具体的には、本件訂正発明1における一般式(15)に該当する「PP-1-2V1」なる化合物を使用することが開示されてはいる(摘示(e-1)【請求項7】及び摘示(e-6)【0144】?【0151】等参照)ものの、当該「PP-1-2V1」なる化合物などの「式VI」で表される化合物を中性の誘電率異方性を有する他の液晶化合物(例えばPGP-m-nの2種の混合物)と組み合わせた中性の誘電率異方性を有する液晶組成物の成分とし、更に「PUQU-3-F」を含む正の誘電率異方性を有する液晶化合物又は組成物と組み合わせて使用する点に係る具体的記載はない。 また、甲5には、甲5発明において他の中性の誘電率異方性を有する液晶化合物に加えて「式VI」で表される化合物を更に使用すべき根拠となる事項についても記載されていない。 さらに、上記(1)イ.(ア)でも検討したとおり、他の甲号証の記載を検討しても、甲5発明において他の中性の誘電率異方性を有する液晶化合物に加えて、当該「PP-1-2V1」なる化合物などの「式VI」で表される化合物を更に使用すべき根拠となる事項について開示されているとはいえない。 してみると、上記相違点5は、甲5発明において、甲5又は他の甲号証の開示に基づき当業者が適宜なし得ることではない。 (イ)相違点6について 上記相違点6につき検討すると、甲5には、「成分C」として「式IV-1の1種類以上の化合物を含み、より好ましくは、それぞれが式IV-1のサブ式である式CC-n-m、CC-n-V、CC-n-Vm、CC-V-V、CC-V-Vnおよび/またはCC-nV-Vmより選択され、より好ましくは、式CC-n-Vおよび/またはCC-n-Vmであり、非常に好ましくは、式CC-3-V、CC-4-V、CC-5-V、CC-3-V1、CC-4-V1、CC-5-V1、CC-3-V2およびCC-V-V1の群より選択される」ことは記載されている(摘示(e-5)【0129】参照)ものの、当該「成分C」として「CC-3-V」なる化合物と「CC-3-V1」なる化合物を組み合わせて、更に「PUQU-3-F」を含む正の誘電率異方性を有する液晶組成物と組み合わせて使用する点に係る具体的記載はない。 また、甲5には、甲5発明において「CC-3-V」なる化合物と「CC-3-V1」なる化合物を組み合わせて使用すべき根拠となる事項についても記載されていない。 さらに、他の甲号証の記載を検討すると、甲2及び甲4には、それぞれ「CC-3-V」なる化合物と「CC-3-V1」なる化合物を組み合わせて使用した具体例が開示されてはいる(甲2:摘示(b-6)「例M4」及び甲4:第63?64頁「<例2>」など参照)ものの、上記ア.で示した(a)ないし(e)を含有する組成物に更に添加使用したものではないから、甲5発明において「CC-3-V」なる化合物と「CC-3-V1」なる化合物を組み合わせて使用すべき根拠となる事項について開示されていない。 してみると、上記相違点6についても、甲5発明において、甲5又は他の甲号証の開示に基づき当業者が適宜なし得ることではない。 (ウ)本件訂正発明1の効果について 本件訂正発明1の効果につき検討すると、本件訂正発明1は、上記相違点5及び6に係る技術事項により、被請求人が平成29年3月17日付け審判事件答弁書第9頁第4行?第13頁第8行で主張するとおりの高速応答性又は電圧保持率に係る所期の効果を奏しているものといえる。 (エ)小括 したがって、その余の相違点7ないし9につき検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲5発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 ウ.まとめ 以上のとおり、本件訂正発明1は、甲5発明及び甲5並びに他の甲号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 (3)本件訂正発明1についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正発明1は、甲1及び甲5に記載された各発明及び甲2ないし甲4、甲7並びに甲8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2.本件訂正発明3、6及び7について 本件訂正発明3、6及び7につき検討すると、本件訂正発明3、6及び7はいずれも本件訂正発明1を引用するものであるところ、本件訂正発明1は、上記1.で説示した理由により、甲1及び甲5に記載された各発明及び甲2ないし甲4、甲7並びに甲8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないのであるから、本件訂正発明3、6及び7についても同一の理由により、甲1及び甲5に記載された各発明及び甲2ないし甲4、甲7並びに甲8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3.対比・検討のまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正発明1、3、6及び7は、いずれも甲1及び甲5に記載された各発明及び甲2ないし甲4、甲7並びに甲8に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求人が主張する上記無効理由は、理由がない。 V.当審の判断のまとめ よって、本件訂正発明1、3、6及び7についての特許は、いずれも特許法第29条の規定に違反してされたものではなく、特許法第123条第1項第2号に該当しないから、無効とすることはできない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正後の請求項1、3、6及び7に係る発明についての特許は、いずれも請求人が主張する理由及び証拠方法により無効とすることはできない。 また、本件訂正後の請求項2及び4に係る特許に対する本件審判請求は、別件無効審判事件における訂正により各請求項が削除され、その訂正は既に確定していることにより、不適法なものであり、その補正ができないものであるから、特許法第135条の規定により、却下すべきものである。 本件審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定により準用する民事訴訟法第61条及び第64条の規定により、6分し、その4を請求人が負担し、その余を被請求人が負担すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 正の誘電率異方性を有する液晶組成物であって、 式(1): 【化1】 ![]() で表される化合物および一般式(2): 【化2】 ![]() (上記一般式(2)中、R^(2)は、炭素原子数2?5のアルキル基を表し、A^(2)は1,4-フェニレン基または1,4-シクロヘキシレン基を表し、X^(21)?X^(24)はそれぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表し、U^(2)は単結合を表し、Y^(2)はフッ素原子または-OCF_(3)を表す。)で表される化合物、のうち、前記A^(2)は1,4-フェニレン基を表し、前記Y^(2)は-OCF_(3)を表す化合物を含有する誘電的に正の成分である成分(A)と、 式(40): 【化3】 ![]() で表される化合物および一般式(9): 【化4】 ![]() (式中、R^(91)、R^(92)はそれぞれ独立して炭素原子数2?5のアルキル基または炭素原子数2?5のアルケニル基を表し、X^(91)、X^(92)はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を表す。)で表される2種類以上の化合物を含む、誘電率異方性が-2より大であり、かつ+2より小である誘電的に中性な成分(B)と、を含有する液晶組成物であって、 前記成分(A)として、式(12.2): 【化10】 ![]() で表される化合物をさらに含有し、 前記成分(B)として、式(4.4): 【化11】 ![]() で表される化合物および一般式(15): 【化14】 ![]() (式中、R^(15)はそれぞれ独立して炭素原子数2?5のアルキル基または炭素原子数2?5のアルケニル基を表す。)で表される1種または2種以上の化合物をさらに含有し、 前記式(40)で表される化合物の含有量は、前記液晶組成物の総量に対して29質量%以上である、 液晶組成物(ただし、式 【化12】 ![]() (ここで、R^(1)は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または炭素数2から12のアルケニルであり;X^(5)およびX^(6)は独立して、水素またはフッ素であり;Y^(1)は、フッ素、塩素、またはトリフルオロメトキシである)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物、並びに 液晶組成物の全重量に基づいて式 【化13】 ![]() (ここで、R^(1)は、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または任意の水素がフッ素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;X^(1)およびX^(2)は独立して、水素またはフッ素であり;Y^(1)は、フッ素またはトリフルオロメトキシである)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物の割合が10重量%以上である、正の誘電率異方性を有する液晶組成物、を除く)。 【請求項2】(削除) 【請求項3】 誘電的に正の成分(A)として、一般式(8) 【化6】 ![]() (式中、R^(8)は炭素原子数2?5のアルキル基を表し、A^(8)は1,4-フェニレン基または1,4-シクロヘキシレン基を表し、X^(86)?X^(89)はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を表す。)で表される1種又は2種類以上の化合物を含有する請求項1に記載の液晶組成物。 【請求項4】(削除) 【請求項5】 式(10) 【化8】 ![]() で表される化合物を含有する請求項1または3に記載の液晶組成物。 【請求項6】 誘電的に中性な成分(B)として、一般式(16) 【化9】 ![]() (式中、R^(164)は炭素原子数2?5のアルキル基を表し、R^(165)は炭素原子数1?5のアルキル基またはアルコキシ基を表し、X^(161)およびX^(162)はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を表し、A^(16)は1,4-フェニレン基または1,4-シクロヘキシレン基を表し、m^(16)は0または1を表す。)で表される1種又は2種類以上の化合物を含有し、 150℃で1時間の高温放置後のVHR(周波数60Hz、印加電圧1Vの条件下で60℃における電圧保持率(%))が99.0%以上である、 請求項1、3、5のいずれか一項に記載の液晶組成物。 【請求項7】 請求項1に記載の液晶組成物を用いたPSVAモード又はPSAモードのアクティブマトリックス駆動用液晶表示素子であって、 前記液晶組成物は、一般式(V) 【化24】 ![]() (式中、X^(51)及びX^(52)はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、 Sp^(1)及びSp^(2)は単結合を表し、 Sp^(1)とSp^(2)の間の環構造 【化25】 ![]() は、式(Va-1)から式(Va-3) 【化26】 ![]() を表す。)で表される二官能モノマーを含有する、 アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2017-09-07 |
結審通知日 | 2017-09-11 |
審決日 | 2017-09-22 |
出願番号 | 特願2012-555222(P2012-555222) |
審決分類 |
P
1
123・
851-
YAA
(C09K)
P 1 123・ 121- YAA (C09K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉田 邦久 |
特許庁審判長 |
冨士 良宏 |
特許庁審判官 |
天野 宏樹 橋本 栄和 |
登録日 | 2013-07-12 |
登録番号 | 特許第5311168号(P5311168) |
発明の名称 | 液晶組成物及びそれを用いた液晶表示素子 |
代理人 | 城戸 博兒 |
代理人 | 小野 暁子 |
代理人 | 河野 通洋 |
代理人 | 清水 義憲 |
代理人 | 城戸 博兒 |
代理人 | 池田 正人 |
代理人 | 吉住 和之 |
代理人 | 清水 義憲 |
代理人 | 河野 通洋 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 伊藤 克博 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 吉住 和之 |
代理人 | 池田 正人 |