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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1338443
審判番号 不服2017-10332  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-11 
確定日 2018-03-08 
事件の表示 特願2016-208181「情報処理装置、情報提示システム、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成28年10月24日付けの特許出願であって、平成29年3月17日付けで手続補正書が提出され、同年4月4日付けで拒絶査定がなされ(同査定の謄本の送達(発送)日 同月11日)、これに対し、同年7月11日に拒絶査定不服審判の請求及びこれと同時にする手続補正がなされ、さらに、当審において、同年9月14日付けで拒絶理由を通知したところ、指定期間内の同年11月20日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2.本願の発明
本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成29年11月20日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項によって特定される発明であり、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「センサ容器と別体で設けられた情報処理装置であって、
前記センサ容器から前記センサ容器の傾きを示す角度を受信する通信部と、
受信した前記センサ容器の傾きを示す角度に基づいて、前記センサ容器の内容物の残量の推定値を推定する制御部と、を備え、
前記通信部は、推定された前記残量の推定値を外部に送信する、
情報処理装置。」

3.当審で指摘した拒絶理由の概要
当審において平成29年9月14日付けで通知した拒絶の理由は、特許法第29条第2項の規定に係る理由1と、同第36条第6項第2号の規定に係る理由2である。
理由2については、上記の平成29年11月20日付けの手続補正書が提出されて、補正前の「センサ容器の姿勢を一意に示す数値」という記載を「センサ容器の傾きを示す角度」という記載に補正されたことによって解消した。
一方、上記拒絶の理由1の概要は、本願の請求項1ないし7(上記の平成29年11月20日付けの手続補正によって、当該補正前の請求項2、5は削除された。)の発明は,本願の出願前の平成13年8月24日に頒布された特開2001-229466号公報(以下「引用例1」という。)、及び同じく平成24年9月10日に頒布された特開2012-170525号公報(以下「引用例2」という。)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記各請求項の発明については特許法第29条第2項の規定によって特許を受けることができないとするもので、以下、この拒絶の理由1について検討する。

4.引用例の記載事項と引用発明
(1)引用例1には、図面と共に次の事項が記載されている。(なお、下線は審決で付した。引用例2についても同じ。)
ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大規模飲食店やドリンクカフェなどに設置されているセルフサービスでドリンク類を取りに行くドリンクバーの管理方法に関わり、より詳細には、ドリンク保管手段にドリンク残量検出手段を付設し、ドリンクの補充を自動指令するドリンクバーの管理方法とドリンクバー管理システムに係わる。」
イ.「【0018】
【発明の実施の形態】図1に示す、本発明によるドリンクバー管理システムの一実施例の概略システム図を用いて、本発明によるドリンクバー管理システムの構成と動作を概略説明する。実施例のドリンクバー管理システムは、売上入力や売上精算を行なうPOS端末4と、店舗内の構内通信回線6と、ガラス容器やショーケースなどを有するドリンクバー2に保管しているドリンクの残量を検出するドリンク残量検出手段10、ドリンク残量検出手段10からのデータに基づいてドリンク残量を管理するドリンク管理手段11、ドリンク管理データを記憶するデータ記憶手段12、構内通信回線6と通信接続する通信手段13とを有するドリンクバー管理装置1と、構内通信回線6を経由して、POS端末4およびドリンクバー管理装置1と通信接続する通信制御部34、店内に設置されたドリンクバー管理装置1およびPOS端末4より送られた管理データより、売上データやドリンク消費量データなどの管理データを集計管理するドリンク管理手段31、管理データおよび商品データなどを記憶するデータマスタ手段33などを有する店舗サーバ3と、キッチンやサービスカウンタなどに設置され、注文データや補充指令データなどを表示出力する表示部54を有するキッチン端末5などで構成されている。」
ウ.「【0019】 お茶、果汁、アルコール飲料、乳飲料などの各種ドリンクは、ガラスポット26、ガラスジャーなどのドリンク容器やショーケース21などのドリンク保管手段に保管され、ドリンク保管手段には各種のドリンク残量検出手段10が付設され、ドリンク残量検出手段10は間接的なドリンク残量データを検出し、ドリンク管理手段11は該ドリンク残量データに基づいて直接的なドリンク残量データおよびドリンク消費データなどの管理データを管理演算し、該管理データはデータ記憶手段12に管理記憶すると共に、該管理データを構内通信回線6を経由して店舗サーバ3に送出する。」
エ.「【0021】 図2に示す、本発明によるドリンクバー管理装置の一実施例の要部ブロック図を用いて、ドリンクバー管理装置1の構成と動作を詳細説明する。実施例のドリンクバー管理装置1は、ガラス容器やショーケース21などのドリンク保管手段を有するドリンクバー2、ドリンク保管手段に保管しているドリンクボトルの個数を検出する個数検出センサ10bとドリンクの液面高を検出する液面検出センサ10cと複数のセンサを選択入力するセンサ選択部10aなどを有するドリンク残量検出手段10、ドリンク残量計算の単位を設定する残量単位設定部11aとドリンク残量検出手段10からのデータに基づいてドリンク残量を演算する残量演算部11bなどを有するドリンク管理手段11、ドリンク保管容器のIDを記憶登録している容器IDメモリ12bと端末装置のID記憶登録している端末IDメモリ12aなどを有するデータ記憶手段12、構内通信回線6経由で送出する送信データを生成する送信データ生成部13aと構内通信回線6と通信接続する通信制御部13bなどからなる通信手段13などで標準構成されている。
【0022】 さらに、ドリンク残量検出手段に、ドリンク保管手段26の重量を含むドリンクの重量を検出する重量検出手段27(電熱ヒータに内蔵)である重量検出センサ10f、ガラスのように透明性のあるドリンク保管手段のドリンク液面高を検出する液面高検出手段である液面検出センサ10c、蛇口やサイホンなど流量計測の容易なドリンク保管手段22、23のドリンク流量を検出する流量検出手段である流量検出センサ10d、図示していないがドリンク保管手段の底部液体圧力を検出する圧力検出手段、ドリンクの液面を示すフロート付のドリンク保管手段のフロート位置を検出するフロート検出手段である浮輪検出センサ10eなどが追加設置されている。」

上記の記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「ガラス容器やショーケースなどを有するドリンクバー2に保管しているドリンクの残量を検出するドリンク残量検出手段10、ドリンク残量検出手段10からのデータに基づいてドリンク残量を管理するドリンク管理手段11、ドリンク管理データを記憶するデータ記憶手段12、構内通信回線6と通信接続する通信手段13とを有するドリンクバー管理装置1において、
各種ドリンクは、ガラスポット26、ガラスジャーなどのドリンク容器やショーケース21などのドリンク保管手段に保管され、
ドリンク保管手段にドリンク残量検出手段を付設し、
ドリンク残量検出手段10は、ドリンク保管手段26の重量を含むドリンクの重量を検出する重量検出手段27(電熱ヒータに内蔵)である重量検出センサ10f、ガラスのように透明性のあるドリンク保管手段のドリンク液面高を検出する液面高検出手段である液面検出センサ10c、蛇口やサイホンなど流量計測の容易なドリンク保管手段22、23のドリンク流量を検出する流量検出手段である流量検出センサ10d、ドリンク保管手段の底部液体圧力を検出する圧力検出手段、ドリンクの液面を示すフロート付のドリンク保管手段のフロート位置を検出するフロート検出手段である浮輪検出センサ10eなどを有して、間接的なドリンク残量データを検出し、
ドリンク管理手段11は、ドリンク残量検出手段10からの該ドリンク残量データに基づいて直接的なドリンク残量データおよびドリンク消費データなどの管理データを管理演算し、該管理データはデータ記憶手段12に管理記憶すると共に、該管理データを構内通信回線6を経由して店舗サーバ3に送出する、ドリンクバー管理装置1。」

(2)引用例2には、図面と共に次の事項が記載されている。
ア.「【0019】
図1は本発明の実施例1によるお代わりタイミング検知システムの全体構成を示す概略ブロック図である。図1において、1はお客が注文した飲み物を入れたグラス10の底部に備えられた傾きセンサ、2は前記グラス10の底部に備えられたお代わり信号送信部(前記傾きセンサ1の一部と考えてもよい)、3は店員側のエリア20・・・に配置された信号受信部、4は店員側のエリア20に配置されたアラーム発生部・・・である。
【0020】
次に、図2及び図3は本実施例1の傾きセンサ1(及び、お代わり信号送信部2)の構成及び動作を説明するための中央断面図である。図2,3において、11は前記グラス10の底面に固定される例えばプラスチック製の枠体・・・12は前記枠体11の図示上面に円周状に形成された第1溝部、13は前記第1溝部12と同心円状に且つこれよりも外周側であってこれよりもグラス10の上下方向の高い位置において円周状に形成された第2溝部、14は前記第1溝部12と前記第2溝部13との間を繋ぐように円周状に形成された傾斜面・・・、13a,13bは前記第2溝部13の両端部にそれぞれ円周状に形成された電極、15は前記第1溝部12及び第2溝部13の間を前記傾斜面14を介して相互に移動可能な金属製小球、2は前記各電極13a,13bに接続されたお代わり信号送信部、17は前記お代わり信号送信部に電力を供給する1次電池である。
【0021】
また、図2,3において、21は円板状の永久磁石、22は前記磁石21が回動可能及び上下移動可能とするための空間、23は前記磁石21の回動中心に挿通され固定された雄ネジ、24は前記空間22の下方側に前記雄ネジ23が螺入可能に形成された雌ネジ、25は前記空間22の上方側に前記雄ネジ23が螺入可能に形成された雌ネジ、26は前記雄ネジ23の頭部であって前記雄ネジ23を前記各雌ネジ24,25の中で回動させることにより前記磁石21の前記空間22内の上下方向の位置を調整するための頭部である。」
イ.「【0022】
次に本実施例1の動作を説明する。図4(a)はグラス10の底部に前記枠体11が取り付けられており、このグラス10の中に飲み物(ビールやウイスキーなど)が注がれている場合を示している。・・・
【0023】
次に、図4(b)は、お客が前記グラス10を水平面に対して所定角度αだけ傾けた場合を示す・・・。この場合は、グラス10の傾斜角度が前記枠体11内の第1溝部12及び第2溝部13を繋ぐ傾斜面14の角度β・・・よりも小さいため、・・・前記お代わり信号送信部2も作動しない。
【0024】
次に、図4(c)は、お客が前記グラス10を水平面に対して所定角度βよりも大きく傾けた場合を示すものである。この場合は、グラス10の傾斜角度が前記枠体11内の第1溝部12及び第2溝部13を繋ぐ傾斜面14の角度βよりも大きくなり、前記小球15は自重により第1溝部12から傾斜面14を介して第2溝部13に移動する。その結果、前記各電極13a,13bは前記小球15を介して互いに導通し、前記お代わり信号送信部2に電力が供給され、前記お代わり信号送信部2からお代わり信号が無線送信される。」
ウ.「【0025】
・・・図2,3に関して説明した前記磁石21の動作を説明する。・・・店員が前記頭部26を持って前記雄ネジ23を左右いずれかの方向に回動させて前記磁石21の図示上下方向の位置を調整することにより、前記磁石21・・・から前記小球15に及ぼされる磁力の大きさが調整される。その結果、・・・どのくらいの傾きで前記小球15が移動するようになるかを、調整することができる。よって、店員は、各グラス毎に、グラス10がどのくらい傾けられたら前記小球15が移動してお代わり信号が送信されるようにするかを調整することができる。
【0026】
次に、前述のように、前記傾きセンサ1において前記小球15が前記第1溝部12から第2溝部13に移動して前記各電極13a,13b間が導通されたときは、前記お代わり信号送信部2に電力が供給されて前記お代わり信号送信部2からお代わり信号が無線送信される。この無線送信されたお代わり信号は、店員側のエリア、例えばカウンターや厨房の中に設置された信号受信部3(図1参照)で受信される。すると、この信号受信部3からの信号に基づいて、アラーム発生部4・・・が所定の光を点滅・発光させる。これにより、店員はいずれかのお客がグラスを所定角度以上に傾けたこと、すなわち、いずれかのお客のグラス10内の飲み物が所定量以上減ったことをタイミング良く知ることができ、お代わりなどのサービスを行なうことができる。」
エ.「【0031】
また、前記実施例1においては、前記傾きセンサ1を構成する小球15が前記2溝部13に移動して前記各電極13a,13bを導通させることにより前記お代わり信号送信部2に電力を供給しこれにより前記お代わり信号送信部2を作動させるようにしているが、本発明では、前記傾きセンサ1からの出力をマイクロコンピュータなどから成る制御部が受信し、前記制御部が、前記傾きセンサ1からの出力に基づいて、前記傾きセンサ1とは別個に構成されたお代わり信号送信部を制御するようにしてもよい。」
オ.上記「ウ(段落【0026】)」及び「エ」の記載から、「グラス10内の飲み物が所定量以上減ったことを示す信号をマイクロコンピュータなどから成る制御部に出力している」といえる。

上記の記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「グラスを所定角度以上に傾けたこと、すなわち、グラス10内の飲み物が所定量以上減ったことをタイミング良く知ることができるようにするために、飲み物を入れたグラス10の底部に備えられた傾きセンサ1からの出力をマイクロコンピュータなどから成る制御部が受信し、前記傾きセンサ1からの出力に基づいて、前記傾きセンサ1とは別個に構成されたお代わり信号送信部を制御する制御部。」

5.対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
後者では、「(ガラスポット26、ガラスジャーなどのドリンク容器やショーケース21などの)ドリンク保管手段」と、例えば「重量検出センサ10fや液面検出センサ10cなどのセンサ」とによって、前者の「センサ容器」に相当するものが形成されている。
また、後者では「ドリンク管理手段11、データ記憶手段12、及び通信手段13」によって、ドリンク容器内のドリンク残量に関する情報を処理するのであるから、これらの手段は前者の「情報処理装置」に相当するものを構成しているといえる。
また、後者でいう「間接的なドリンク残量データ」とは、「ドリンク残量検出手段」の出力値であるから、後者の「間接的なドリンク残量データ」と前者の「センサ容器の傾きを示す角度」とは、「センサ容器の内容物の残量の推定値を推定するためのデータ」との概念で共通する。
してみると、後者の「(ドリンク残量検出手段10からの)該ドリンク残量データに基づいて直接的なドリンク残量データおよびドリンク消費データなどの管理データを管理演算するドリンク管理手段11」と前者の「センサ容器の傾きを示す角度に基づいて、前記センサ容器の内容物の残量の推定値を推定する制御部」とは、「センサ容器の内容物の残量の推定値を推定するためのデータに基づいて、前記センサ容器の内容物の残量の推定値を推定する制御部」との概念で共通する。
更に、後者の「構内通信回線6と通信接続する通信手段13」は「直接的なドリンク残量データおよびドリンク消費データなどの管理データ」を「構内通信回線6を経由して店舗サーバ3に送出する」ところから、前者の「推定された残量の推定値を外部に送信する通信部」に相当する。
したがって、両者は、
「センサ容器と情報処理装置であって、
通信部と、
前記センサ容器の内容物の残量の推定値を推定するためのデータに基づいて、前記センサ容器の内容物の残量の推定値を推定する制御部と、を備え、
前記通信部は、推定された前記残量の推定値を外部に送信する、
情報処理装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
本願発明では、センサ容器と情報処理装置とが「別体」であるのに対し、引用発明1では、ドリンク保管手段と例えば重量検出センサ10fや液面検出センサ10cなどのセンサとなるもの(センサ容器)とドリンク管理手段11、データ記憶手段12、及び通信手段13(情報処理装置)とが、別体で設けられているか否かは明確ではない点。
[相違点2]
本願発明では、「センサ容器からセンサ容器の傾きを示す角度を受信する」通信部、及び「受信した前記センサ容器の傾きを示す角度に基づいて、」前記センサ容器の内容物の残量の推定値を推定する制御部と、を備えるのに対し、引用発明1では、通信手段13を有するものの「センサ容器からセンサ容器の傾きを示す角度を受信する」ものではなく、ドリンク管理手段11を有するものの「受信した前記センサ容器の傾きを示す角度に基づいて、」前記センサ容器の内容物の残量の推定値を推定するものではない点。

6.当審の判断
(1)上記の相違点1について検討する。
引用発明2における「グラス10の底部に備えられた傾きセンサ1」は、本願発明の「センサ容器」に相当し、同じく「制御部」は、傾きセンサ1からの出力を受信し、前記傾きセンサ1からの出力に基づいて、前記傾きセンサ1とは別個に構成されたお代わり信号送信部を制御するから、「情報処理装置」に相当するものといえる。
また、引用発明2では、傾きセンサ1からの出力に基づいて、傾きセンサ1とは別個に構成されたお代わり信号送信部を制御しているから、傾きセンサ1と信号送信部とは別個に構成されているといえ、制御部は、傾きセンサ1からの出力を受信していることから、「制御部(情報処理装置)」も「傾きセンサ1(センサ容器)」とは別個に構成することを示唆したものと解しうる。
そして、引用発明1においては、ドリンク保管手段と例えば重量検出センサ10fや液面検出センサ10cなどのセンサとなるもの(センサ容器)とドリンク管理手段11、データ記憶手段12、及び通信手段13(情報処理装置)とは、別体で設けられているか否かの何れかである。
また、本願発明において、センサ容器と情報処理装置とを別体としたことによって奏される格別の作用効果はない。
以上を踏まえれば、引用発明1において、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到しうる程度の事項といえる。
(2)次に、上記の相違点2について検討する。
引用発明2における「傾きセンサからの出力」とは、少なくともグラスを所定角度以上に傾けたことを信号として出力していることは明からであるから、「傾きセンサ」は、「センサ容器の傾きを示す角度を検出している」といえる。
また、引用発明2における「傾きセンサ」により、センサ容器の傾きを示す角度の検出して、グラス10内の飲み物が所定量以上減ったことを知ることができるのであるから、グラス内の飲み物の残量を検出しているといえる。
そして、引用発明1と引用発明2とは、共に「情報処理装置」という技術分野に属し、センサ容器のセンサの出力値に基づいて、センサ容器の内容物の残量の推定値を推定するという共通する機能、作用を有し、容器の内容物の残量に関する情報を得る技術の利便性を向上させるという共通の課題を有するものであるから、引用発明1に引用発明2を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、引用発明1において、引用発明2を適用することにより、相違点2に係る本願発明の「受信した前記センサ容器の傾きを示す角度に基づいて、」前記センサ容器の内容物の残量の推定値を推定する制御部を備えるとの発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
また、上記「(1)」を踏まえて、引用発明1において、ドリンク保管手段と例えば重量検出センサ10fや液面検出センサ10cなどのセンサとなるもの(センサ容器)とドリンク管理手段11、データ記憶手段12、及び通信手段13(情報処理装置)とを「別体」に設ければ、必然的に引用発明1の「通信手段13」において、「ドリンク保管手段と例えば重量検出センサ10fや液面検出センサ10cなどのセンサとなるもの(センサ容器)からセンサ容器の傾きを示す角度を受信する」ことになるから、相違点2に係る本願発明の「センサ容器からセンサ容器の傾きを示す角度を受信する」通信部を備えるとの発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本願発明の発明特定事項の全体によって奏される効果も、引用発明1、2に基づいて、当業者が予測し得る範囲内のものである。

7.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-12-20 
結審通知日 2018-01-09 
審決日 2018-01-22 
出願番号 特願2016-208181(P2016-208181)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梶本 直樹  
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 藤本 義仁
黒瀬 雅一
発明の名称 情報処理装置、情報提示システム、およびプログラム  
代理人 杉村 憲司  
代理人 太田 昌宏  
代理人 阿部 拓郎  

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