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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01R
管理番号 1338461
審判番号 不服2017-9575  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-29 
確定日 2018-04-06 
事件の表示 特願2015-188941「プローブカード用のバンプ付きメンブレンシート、プローブカード及びプローブカード用のバンプ付きメンブレンシートの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月 7日出願公開、特開2016- 1197、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年12月6日に出願した特願2011-266983号の一部を平成27年9月25日に新たな特許出願としたものであって、平成28年7月28日付けで拒絶理由が通知され、平成28年11月25日付けで手続補正がなされたが、平成29年3月28日付けで、拒絶査定(謄本送達日平成29年3月30日)(以下、「原査定」という)がなされ、これに対し、平成29年6月29日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次の通りである。

この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1-9
・引用文献等 1-4

引用文献等一覧
1.特開2008-089378号公報
2.特開2011-237398号公報
3.特開2011-237391号公報
4.特開2011-054630号公報

第3 本願発明
本願の請求項1-9に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明9」という。)は、平成29年6月29日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、3、4は以下のとおりのものである。

「【請求項1】
絶縁膜と、ウェーハに形成された半導体チップの電極パッドに電気的に接触するように前記絶縁膜の表面に設けられたバンプと、このバンプから前記絶縁膜内を通って前記絶縁膜の裏面側まで延びる導電電極と、を備えたプローブカード用のバンプ付きメンブレンシートであって、
前記導電電極の前記絶縁膜内に位置する部分は、断面形状が前記絶縁膜の表面に向って幅が狭くなる台形状であり、前記バンプは鋭い先端を有するように断面三角形状に形成され、前記導電電極の上面よりも広い底面を有して抜け防止機能を具備し、
前記導電電極及び前記バンプはニッケルで形成されている、ことを特徴とするプローブカード用のバンプ付きメンブレンシート。」

「【請求項3】
絶縁膜と、ウェーハに形成された半導体チップの電極パッドに電気的に接触するように前記絶縁膜の表面に設けられたバンプと、このバンプから前記絶縁膜内を通って前記絶縁膜の裏面側まで延びる導電電極と、を備えたプローブカード用のバンプ付きメンブレンシートであって、
前記導電電極の前記絶縁膜内に位置する部分は、断面形状が前記絶縁膜の表面に向って幅が狭くなる台形状であり、前記バンプは鋭い先端を有するように断面三角形状に形成され、前記導電電極の上面よりも広い底面を有して抜け防止機能を具備し、
前記導電電極及び前記バンプはニッケルで形成され、
前記断面三角形状に形成されたバンプは前記導電電極の上面よりも半径にして5μm以上大きい底面を有している、ことを特徴とするプローブカード用のバンプ付きメンブレンシート。」

「【請求項4】
絶縁膜と、ウェーハに形成された半導体チップの電極パッドに電気的に接触するように前記絶縁膜の表面に設けられたバンプと、このバンプから前記絶縁膜内を通って前記絶縁膜の裏面側まで延びる導電電極と、を備えたプローブカード用のバンプ付きメンブレンシートであって、
前記導電電極の前記絶縁膜内に位置する部分は、断面形状が前記絶縁膜の表面に向って幅が狭くなる台形状であり、前記バンプは鋭い先端を有するように断面三角形状に形成され、前記導電電極の上面よりも広い底面を有して抜け防止機能を具備し、
前記導電電極及び前記バンプはニッケルで形成され、
前記導電電極の前記絶縁膜内に位置する部分は、底面の直径が高さよりも大きい形状に形成されている、ことを特徴とするプローブカード用のバンプ付きメンブレンシート。」

本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。

本願発明5は、本願発明4を減縮した発明である。

本願発明6-9は、本願発明1,3又は4を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(特開2008-089378号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。以下同様。)。

「【0031】
本実施形態のシート状プローブは、複数の集積回路が形成された8インチ等のウエハについて、各集積回路の電気検査をウエハの状態で行うために用いられる。このシート状プローブ10は、被検査対象であるウエハ上の各集積回路に対応する各位置に貫通穴20Hが形成されたフレーム板20を有し、この貫通孔20H内には接点膜24が配置されている。
【0032】
接点膜24は、フレーム板20に支持されており、図2および図4に示したように、柔軟な絶縁性シート11に電極構造体12が貫通形成された構造になっている。すなわり、
絶縁性シート11の厚み方向に延びる複数の電極構造体12が、検査対象であるウエハの被検査電極に対応するパターンに従って、絶縁性シート11の面方向に互いに離間して配置されている。
【0033】
電極構造体12は、図4に示すように、絶縁性シート11の表面に露出する突起状の表面電極部12aと、絶縁性シート11の裏面に露出する板状の裏面電極部12bと、絶縁性シート11の厚み方向に貫通して延びる短絡部12cとが一体化した構造になっている。
【0034】
また、表面電極部12aは、絶縁性シート11におけるフレーム板20とは反対側の面に突出し、短絡部12cより連続した部分からなる第1表面電極部12Aと、絶縁性シート11におけるフレーム板20とは反対側の面に対して無電解メッキ処理を施すことにより、第1表面電極部12Aの周囲に形成された第2表面電極部12Bと、から構成されている。」

「【0036】
絶縁性シート11の厚みは、良好な柔軟性を得る点などから、5?100μmであることが好ましく、より好ましくは7?70μm、さらに好ましくは10?50μmである。
電極構造体12の材料としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、金、銀、パラジウム、鉄、コバルト、タングステン、ロジウム、またはこれらの合金もしくは合金鋼などが挙げられる。電極構造体12は、全体を単一の金属もしくは合金で形成してもよく、2種以上の金属もしくは合金を積層して形成してもよい。」

「【0066】
貫通孔31Hを形成した後、レジスト膜は除去される。このようにして金属層31に貫通孔31Hを形成した後、絶縁性シート11に対してエッチング処理を施し、金属層31の貫通孔31Hから露出した部分を除去することにより、図7に示すように、絶縁性シート11に、金属層30に連通する貫通孔11Hを形成する。
【0067】
ここで、絶縁性シート11としてポリイミド樹脂からなるものを用いた場合、ウェットエッチングにより貫通孔11Hを形成すると、エッチング処理条件を選択することによって、貫通孔11Hの形状は、金属層30の方向に向かうに従って小径となるテーパ状となる。このようなウェットエッチング処理のためのエッチング液としては、アミン系エッチング液、ヒドラジン系水溶液、水酸化カリウム水溶液などを用いることができる。
【0068】
このようにして絶縁性シート11に貫通孔11Hを形成した後、図8に示すように、金属層31の表面に、形成すべき電極構造体12における裏面電極部12bのパターンに従って複数のパターン孔33Hが形成されたメッキ用のレジスト層33を形成する。
【0069】
ここで、レジスト層33の形成材料としては、メッキ用のフォトレジストとして使用されている種々のものを用いることができるが、感光性ドライフィルムレジストが好ましい。
【0070】
次に、積層体10Aの金属層30を電極として電解メッキ処理を施し、絶縁性シート11の貫通孔11Hからその上のレジスト層33の貫通孔33Hの途中まで金属を充填することにより、図9に示すように、形成すべき電極構造体12における裏面電極部12b、短絡部12c、および第1表面電極部12Aの形状が形成された導電性構造体14を得る。」

「【0120】
リング部材35を貼付した後、図15に示すように、保護フィルム32を剥離し、その後、金属層30をエッチングにより除去する。これにより、積層体10Cにおける表面電極部12aを形成する側の面に絶縁性シート11を露出させる。
【0121】
次に、表面電極部12aを形成する側の面に露出した絶縁性シート11に対してハーフエッチング処理を施し、図16に示すように、絶縁性シート11の厚みを均一に小さくする。これにより、当該面より導電性構造体14の一部、すなわち第1表面電極部12Aとなる部分を突出させる。
【0122】
ここで、ハーフエッチング処理は、絶縁性シート11の材質等に応じて、ウェットエッチングなど適宜の方法により行うことができる。エッチングにより除去される幅は、場合によるが、例えば厚み方向に10μm程度である。
【0123】
次に、積層体10Cにおける、ハーフエッチング処理により導電性構造体14が突出した面に、無電解メッキ処理を施す。これにより、図17に示すように、導電性構造体14が突出した第1表面電極部12Aの周囲に、第2表面電極部12Bを形成し、これにより略半楕円球状の表面電極部12aを形成する。このようにして、表面電極部12a、裏面電極部12b、短絡部12c、および被覆膜13を備えた電極構造体12の形成が完了する。」

「【0126】
このプローブカード40は、図21に拡大して示すように、検査用回路基板50と、異方導電性コネクター60と、シート状プローブ10とを備えている。
検査用回路基板50の表面には、ウエハ80に形成された全ての集積回路における被検査電極81のパターンに対応するパターンに従って複数の検査電極51が形成されている。」

「【0154】
図20の検査装置においては、ウエハ載置台71上に検査対象であるウエハ80が載置され、次いで、加圧板70によってプローブカード40が下方に加圧されることにより、そのシート状プローブ10の電極構造体12における表面電極部12aの各々が、ウエハ80の被検査電極81の各々に接触し、更に、表面電極部12aの各々によって、ウエハ80の被検査電極81の各々が加圧される。」

図4より、短絡部12cは、断面形状が絶縁性シート11の表面に向って幅が狭くなる台形状であり、表面電極部12aは、略半楕円球状に形成され、短絡部12cの上面よりも広い底面を有していることが見て取れる。


上記より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(括弧内は、認定に用いた引用文献1の記載箇所を示す。)。
「フレーム板20に支持されており、柔軟な絶縁性シート11に電極構造体12が貫通形成された構造になっている接点膜24と(【0032】)、
電極構造体12は、絶縁性シート11の表面に露出する突起状の表面電極部12aと、絶縁性シート11の裏面に露出する板状の裏面電極部12bと、絶縁性シート11の厚み方向に貫通して延びる短絡部12cとが一体化した構造になっており(【0033】)、
表面電極部12aは、絶縁性シート11におけるフレーム板20とは反対側の面に突出し、短絡部12cより連続した部分からなる第1表面電極部12Aと、絶縁性シート11におけるフレーム板20とは反対側の面に対して無電解メッキ処理を施すことにより、第1表面電極部12Aの周囲に形成された第2表面電極部12Bと、から構成されており(【0034】)、
表面電極部12aの各々が、ウエハ80の被検査電極81の各々に接触し(【0154】)、
短絡部12cは、断面形状が絶縁性シート11の表面に向って幅が狭くなる台形状であり、
表面電極部12aは、略半楕円球状に形成され、短絡部12cの上面よりも広い底面を有しており(図4)、
電極構造体12の材料は、ニッケル、鉄、銅、金、銀、パラジウム、鉄、コバルト、タングステン、ロジウム、またはこれらの合金もしくは合金鋼などである(【0036】)、
プローブカード40に備えられるシート状プローブ10の接点膜24(【0031】、【0126】)。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2(特開2011-237398号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0021】
図3は四角錐接触子を持つ場合の断面概要図である。図3において、31はウエハー、32はチップ電極パッド、33は四角錐接触端子、34は回路配線及び引き出し接続パッド、35は外部回路との接続のためのFPCである。31のウエハーは上昇し32の電極パッドと33の四角錐接触端子が接続し試験に必要な電気伝導を保つ。四角錐バンプは接続状態が点接触となるため安定した電気接続が可能となる。接触端子は金(Au)若しくはモリブデン(Mo),モリブデンタンタル(Mo/Ta)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)等で形成する。金(Au)は表面が酸化されにくく安定した接触抵抗を保つことが出来る。しかしエッチング加工をする場合は王水を溶液として使う必要があるが王水は下地の金属配線も侵食して断線等の問題を引き起こす可能性がある。この問題を避けるため露光現像済みのパターンレジストの上から金をデポし、レジスト剥離と同時に余分な部分の金を除去するリフトオフプロセスを適用することが出来る。この場合は強酸である王水を使用する必要は無く通常の剥離液で金のパターニングが可能となる。また別の製造法としてメッキ法(アディティブ・ゴールド・プレーティング法)で接触端子のバンプを作成することも出来る。メッキ法の場合は金が必要部分にのみ付着するので素材効率がよくコストダウンが出来る。また別の接触端子の製造方法として転写法による四角錐バンプの形成も可能である。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3(特開2011-237391号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0024】
図5は、特許文献1記載の四角錐または四角錐台形状のバンプの形成に関する工程図である。
【0025】
すなわち、図5(a)に示すように、特定の面方位で切り出したシリコンウェハ501の表面の所定の位置にシリコンの異方性エッチング技術で四角錐または四角錐台形状の穴503を形成する。その後シリコンウェハ501の表面全体を酸化膜502で被覆する。
【0026】
この穴503を図5(b)に示すように、酸化膜上に成膜しためっき下地膜504とレジストパターン505を使ったパターン電気めっき技術で、硬質金属膜506を成長させて埋め込む。さらに、図5(c)に示すように、硬質金属膜506のパターン上にポリイミド等の高強度の樹脂層507を形成し、その後、図5(d)に示すように、硬質金属膜506のパターン上の樹脂層507にスルーホールを開口し、パターン電気めっき技術を用いて配線508を形成する。最終的に、図5(e)のようにシリコンウェハ501の表面に形成した構造物とシリコンウェハ501とを分離することで、四角錐または四角錐台形状のコンタクタを具備する膜状のプローブを得ることができる。」


4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献4(特開2011-054630号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0051】
良品のニッケルバンプブロック21が、ニッケルパッドシート41の所定位置に実装完了すると、ニッケルバンプブロック21の銅層20をアンモニアエッチングし除去し、図24に示す検査用プローブ1を得る。次に、無電解ニッケルメッキを行い、図25に示すように、ニッケルバンプ4の先端4cを球面形状(R形状加工)にする。ニッケルバンプ4の先端の形状は、ウエハ上の被検査電極と接触する点の形状となる。特に、数万個のニッケルバンプ4がウエハ上の被検査電極と接触するため、個々のニッケルバンプ4は、被検査電極と点接触することが望ましい。点接触にすると検査用プローブ1をウエハ側に押圧する際に押圧加重を少なくすることができる。そのため、ニッケルバンプ4の先端4cが被検査電極と点接触となる球面形状にする。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「絶縁性シート11」は、本願発明1の「絶縁膜」に相当する。

イ 引用発明の「ウエハ80の被検査電極81の各々に接触し」「絶縁性シート11の表面に露出する突起状の表面電極部12a」は、本願発明1の「ウェーハに形成された半導体チップの電極パッドに電気的に接触するように前記絶縁膜の表面に設けられたバンプ」に相当する。

ウ 引用発明の「絶縁性シート11の裏面に露出する板状の裏面電極部12b」及び「絶縁性シート11の厚み方向に貫通して延びる短絡部12c」が、本願発明1の「このバンプから前記絶縁膜内を通って前記絶縁膜の裏面側まで延びる導電電極」に相当する。

エ 引用発明は「電極構造体12は、絶縁性シート11の表面に露出する突起状の表面電極部12aと、絶縁性シート11の裏面に露出する板状の裏面電極部12bと、絶縁性シート11の厚み方向に貫通して延びる短絡部12cとが一体化した構造になって」いるので、
引用発明の「絶縁性シート11に電極構造体12が貫通形成された構造になっている」「プローブカード40に備えられるシート状プローブ10の接点膜24」は、本願発明1の「絶縁膜と、ウェーハに形成された半導体チップの電極パッドに電気的に接触するように前記絶縁膜の表面に設けられたバンプと、このバンプから前記絶縁膜内を通って前記絶縁膜の裏面側まで延びる導電電極と、を備えたプローブカード用のバンプ付きメンブレンシート」に相当する。

カ 引用発明は、「表面電極部12a」は、「短絡部12cの上面よりも広い底面を有して」いるので、抜け防止機能を具備していることは、自明な事項である。
そして、引用発明の「絶縁性シート11の厚み方向に貫通して延びる短絡部12c」は、本願発明1の「前記導電電極の前記絶縁膜内に位置する部分」に相当するので、
引用発明の「短絡部12cは、断面形状が絶縁性シート11の表面に向って幅が狭くなる台形状であり、表面電極部12aは、略半楕円球状に形成され、短絡部12cの上面よりも広い底面を有しており」と、本願発明1の「前記導電電極の前記絶縁膜内に位置する部分は、断面形状が前記絶縁膜の表面に向って幅が狭くなる台形状であり、前記バンプは鋭い先端を有するように断面三角形状に形成され、前記導電電極の上面よりも広い底面を有して抜け防止機能を具備し」とは、「前記導電電極の前記絶縁膜内に位置する部分は、断面形状が前記絶縁膜の表面に向って幅が狭くなる台形状であり、前記バンプは凸型状に形成され、前記導電電極の上面よりも広い底面を有して抜け防止機能を具備し」ている点で共通する。

キ 引用発明の「表面電極部12a」と、「裏面電極部12b」と、「短絡部12c」とが一体化した構造になっている「電極構造体12」は、本願発明1の「前記導電電極及び前記バンプ」に相当するので、
引用発明の「電極構造体12の材料は、ニッケル、鉄、銅、金、銀、パラジウム、鉄、コバルト、タングステン、ロジウム、またはこれらの合金もしくは合金鋼などである」ことは、本願発明1の「前記導電電極及び前記バンプはニッケルで形成されている」ことに相当する。

すると、本願発明1と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「絶縁膜と、ウェーハに形成された半導体チップの電極パッドに電気的に接触するように前記絶縁膜の表面に設けられたバンプと、このバンプから前記絶縁膜内を通って前記絶縁膜の裏面側まで延びる導電電極と、を備えたプローブカード用のバンプ付きメンブレンシートであって、
前記導電電極の前記絶縁膜内に位置する部分は、断面形状が前記絶縁膜の表面に向って幅が狭くなる台形状であり、前記バンプは凸型状に形成され、前記導電電極の上面よりも広い底面を有して抜け防止機能を具備し、
前記導電電極及び前記バンプはニッケルで形成されている、プローブカード用のバンプ付きメンブレンシート。」

(相違点)
本願発明1は、「バンプは鋭い先端を有するように断面三角形状に形成され」ているのに対して、引用発明は、「表面電極部12aは、略半楕円球状に形成され」ている点。

(2)判断
上記相違点について検討する。
まず、上記相違点の検討に先立ち、引用発明の「略半楕円球状」の「表面電極部12a」の形成方法について検討すると、
引用文献1には、電解メッキ処理を施し、絶縁性シート11の貫通孔11Hに金属を充填することにより、台形状の短絡部12cおよび第1表面電極部12Aを形成し(【0070】、図9)、絶縁性シート11に対してハーフエッチング処理を施し、台形状の第1表面電極部12Aとなる部分を突出させ(【0121】、図16)、無電解メッキ処理を施し、突出した台形状の第1表面電極部12Aの周囲に、第2表面電極部12Bを形成し、これにより略半楕円球状の表面電極部12aを形成すること(【0123】、図17)が記載されている(上記「第4 1」)。

ここで、引用文献2(図3)又は引用文献3(図5)に記載されているように、断面三角形状の四角錐バンプは周知であるので、上記周知の四角錐バンプを引用発明に適用し、バンプを鋭い先端を有するように断面三角形状に形成できるか検討する。

ア 引用文献2には、四角錐バンプが記載されており、当該四角錐バンプは、メッキ法(アディティブ・ゴールド・プレーティング法)で作成することが記載されている(上記「第4 2」)。
しかしながら、引用文献2記載の四角錐バンプを、引用発明の「表面電極部12a」に適用すると、メッキ法(アディティブ・ゴールド・プレーティング法)で、「絶縁性シート11」「の面に突出し」た「第1表面電極部12Aの周囲に」「第2表面電極部12B」を形成することになるが、メッキの下地となる第1表面電極部12Aは、前述のように台形状であるから、鋭い先端を有するような断面三角形状のバンプを作成することは困難である。

イ 引用文献3には、四角錐または四角錐台形状のバンプが記載されており、当該四角錐または四角錐台形状のバンプは、シリコンウェハ501の表面に四角錐または四角錐台形状の穴503を形成し、穴503に電気めっき技術で、硬質金属膜506を成長させて埋め込み形成し、硬質金属膜506のパターン上にポリイミド等の高強度の樹脂層507を形成し、シリコンウェハ501とを分離することで形成することが記載されている(上記「第4 3」)。
しかしながら、引用文献3記載の四角錐または四角錐台形状のバンプを、引用発明の「表面電極部12a」に適用することは、四角錐または四角錐台形状のバンプの形成方法が、上記のようにシリコンウェハ501の穴503に硬質金属膜506を形成し、硬質金属膜506のパターン上に樹脂層507を形成し、シリコンウェハ501を分離することで形成するものであり、前述の、引用文献1に記載された引用発明の「表面電極部12a」の形成方法とは大きく異なり、適用することは想定できない。

以上のように、断面三角形状の四角錐バンプが周知であるとしても、直ちに引用発明に適用し、バンプを鋭い先端を有するように断面三角形状に形成できるとはいえない。

さらに、引用文献4には、ニッケルバンプ4の先端4cを球面形状(R形状加工)にすることは記載されているが(上記「第4 4」)、バンプバンプ4を鋭い先端を有するように断面三角形状に形成することは記載されていない。

したがって、引用発明、引用文献1-4に記載された技術に基づいて、上記相違点に係る本願発明1の構成を得ることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。

よって、本願発明1は、引用発明、引用文献1-4に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2 本願発明2-9について
本願発明2-9は、上記相違点に係る本願発明1の「バンプは鋭い先端を有するように断面三角形状に形成され」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明、引用文献1-4に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第6 原査定について
本願発明1-9は、上記相違点に係る「バンプは鋭い先端を有するように断面三角形状に形成され」という構成を有するものであり、引用発明、引用文献1-4に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-03-27 
出願番号 特願2015-188941(P2015-188941)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山崎 仁之川瀬 正巳  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 須原 宏光
▲うし▼田 真悟
発明の名称 プローブカード用のバンプ付きメンブレンシート、プローブカード及びプローブカード用のバンプ付きメンブレンシートの製造方法  
代理人 澁谷 啓朗  
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