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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02P
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02P
管理番号 1338518
審判番号 不服2016-2197  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-15 
確定日 2018-03-14 
事件の表示 特願2013-501836「整流器およびインバータベースのねじりモード減衰システムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年10月 6日国際公開、WO2011/121041、平成25年 6月27日国内公表、特表2013-527737〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2011年3月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年4月1日、イタリア)を国際出願日とする出願であって、平成27年10月13日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成27年10月20日)、これに対し、平成28年2月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされると共に手続補正書が提出され、当審により平成29年2月24日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成29年2月28日)、これに対し、平成29年5月22日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。

2.特許請求の範囲
平成29年5月22日付手続補正で、特許請求の範囲は以下のように補正された。
「【請求項1】
電気モータおよび非電気機械を連結するシャフトを有するドライブトレインを駆動するコンバータに接続されたねじりモード減衰コントローラシステムであって、前記コントローラシステムは、
前記コンバータの電気的変数の測定データを受信するように構成された入力インタフェースと、
前記入力インタフェースに接続されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記入力インタフェースからの前記測定データのみに基づいて前記ドライブトレインの前記シャフトの所望の場所における前記シャフトのトルク、ねじり位置、ねじり速度、およびねじり加速度のうちの少なくとも1つを示す動的トルク成分を計算し、
前記動的トルク成分に基づいて前記ドライブトレインの前記シャフトのねじり発振を減衰させるための、前記コンバータの整流器およびインバータ用の制御データを同時に生成し、
前記コンバータと前記電気モータとの間で交換される有効電力を調整するために、前記整流器および前記インバータに前記制御データを送出する
ように構成される、
コントローラシステム。
【請求項2】
前記制御データは、前記整流器を整流器遅延角度αで調整し、前記インバータをインバータ遅延角度βで調整し、該整流器遅延角度αが該インバータ遅延角度βと相関する、請求項1に記載のコントローラシステム。
【請求項3】
前記遅延角度は、3°未満である請求項2に記載のコントローラシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記整流器の調整および前記インバータの調整を継続的に実施するように構成される請求項1から3のいずれかに記載のコントローラシステム。
【請求項5】
ドライブトレインの一部である電気モータを駆動するためのシステムであって、
電力源から交流電流を受け取り、前記交流電流を直流電流に変換するように構成された整流器と、
前記整流器に接続され、前記直流電流を伝達するように構成された直流リンクと、
前記直流リンクに接続され、受け取られた直流電流を交流電流に変更するように構成されたインバータと、
コンバータの電気的変数の測定データを受信するように構成された入力インタフェースと、
前記入力インタフェースに接続されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記入力インタフェースからの前記測定データのみに基づいて前記ドライブトレインのシャフトの所望の場所における前記シャフトのトルク、ねじり位置、ねじり速度、およびねじり加速度のうちの少なくとも1つを示す動的トルク成分を計算し、
前記動的トルク成分に基づいて前記ドライブトレインの前記シャフトのねじり発振を減衰させるための、前記コンバータの整流器およびインバータ用の制御データを同時に生成し、
前記コンバータと前記電気モータとの間で交換される有効電力を調整するために、前記整流器および前記インバータに前記制御データを送出する
ように構成される、
システム。
【請求項6】
電気モータを含むドライブトレインのねじり振動を減衰させるための方法であって、
前記電気モータを駆動するコンバータの電気的変数の測定データを受信すること、
前記測定データに基づいてのみに基づいて前記ドライブトレインのシャフトの所望の場所における前記シャフトのトルク、ねじり位置、ねじり速度、およびねじり加速度のうちの少なくとも1つを示す動的トルク成分を計算すること、
前記動的トルク成分に基づいて前記ドライブトレインの前記シャフトのねじり発振を減衰させるための、前記コンバータの整流器およびインバータ用の制御データを同時に生成すること、
前記コンバータと前記電気モータとの間で交換される有効電力を調整するために、前記整流器および前記インバータに前記制御データを送出すること、
を含む、方法。」


3.当審の拒絶の理由
平成29年2月24日付の当審の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
「この出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。


(1)この出願の発明の構成が不明である。例えば、請求項1に、「電気機械および非電気機械を含むドライブトレインを駆動するコンバータに接続された」との訳語があるが、ドライブトレインはどの様な構成を意味するのか不明(通常ドライブトレインは車両のエンジン-タイヤ間の機構のことを意味しタービン等のことは意味しない。仮に、タービン、ポンプ等を意味するとしても、当該タービン、ポンプ等の駆動系の構成は様々なものがあるから、ねじりモードが発生するにしても千差万別なねじりモードが発生し、これを上位概念的なドライブトレインとして全てのねじりモードに何故対応できるのか不明。)であり、又、「非電気機械」の定義が不明であるため何を含んで何が含まれないのか境界が不明であり、又、「含む」とあるが、ドライブトレインには電気機械および非電気機械以外に何が含まれるのか不明であり、又、コンバータとドライブトレインとは接続されているのか否か不明であり、接続されているならば何処で接続されているのか不明である。請求項6、7も同様である。
更に、請求項1に、「コントローラシステム」との訳語があるが、コントローラシステムには何が含まれ何が含まれないのか不明(図4において、コントローラシステムに含まれるものだけについて図面の符号を挙げられたい。)である。仮に、コントローラシステムがインタフェースとコントローラのみからなるとすると、請求項1にはコントローラシステムでない構成が記載されているため構成を特定できず不明(電気機械および非電気機械を含むドライブトレイン、コンバータはコントローラシステムではないこととなる。測定データもコントローラシステムが測定しているものではないからコントローラシステムではないこととなる。)である。
更に、請求項1に、「前記コンバータまたは前記ドライブトレインの変数に関連する測定データ」との訳語があるが、コンバータの変数、ドライブトレインの変数とは何か定義が不明(各々どの様な物理量であって何が含まれるのか。変数は通常入力側の値であって出力側の値ではない。ねじりモード減衰のためにドライブトレインの変数ではなく何故コンバータの変数が必要なのか不明。コンバータの変数であれば、コンバータを構成するトランジスタの信号電流の大きさ等が該当すると考えるが何故必要か。図4において整流器の入力電圧をどの様にねじりモード減衰に用いるのか。なおコンバータの変数はモータの変数とは別のものである。)であり、変数に関連する測定データとはどの様なデータであるのか定義が不明(変数そのものを測定しているのではないから、変数自身とは異なる測定データであると判断できる。関連するとはどの様なことを意味するのか。)である。請求項6、7も同様である。
更に、請求項1に、「前記入力インタフェースからの前記測定データに基づいて前記ドライブトレインのシャフトの一区分に沿って、前記コンバータの電気的変数に関連する測定データを含む少なくとも1つの動的トルク成分を計算し」との訳語があるが、「前記測定データ」とあるがコンバータまたはドライブトレインの変数に関連する測定データを用いて動的トルク成分を計算するのか否か不明であり、又、「ドライブトレインのシャフトの一区分に沿って」とあるが、ドライブトレインは通常途中に複数のシャフトを有し、複数本のシャフトのうちの一本のシャフトの一区分であって良いのか否か不明であり、「沿って」とは動的トルク成分計算の際にどの様なことを意味するのか不明(xy座標において、シャフトの一区分の一端から他端までをx成分、トルクをy成分とする意味か。明細書のどの記載が対応するのか。)であり、又、「前記コンバータの電気的変数に関連する測定データを含む少なくとも1つの動的トルク成分」とあるから、動的トルク成分にコンバータの電気的変数に関連する測定データが含まれることとなるがどの様な物理的理由で含まれるのか不明であり、少なくとも1つの動的トルク成分とあるから、2つ以上の動的トルク成分が存在可能であるが、シャフトの一区分に対する複数の動的トルク成分とはどの様な成分であるのか不明であり、又、「基づいて」とあるが曖昧な表現であるため構成を特定できず不明であり、コントローラシステムが計算するのであるから何らかの演算式を用いるはずであるが、どの様な演算式を用いているのか何等開示が無く不明(測定データを用いてどの様な演算を行って動的トルク成分を求めるのか何等開示が無い。)であり、ドライブトレイン中には複数のシャフトが含まれるが、どの様な演算を行えば特定のシャフトの一区分の動的トルク成分が求められるのか不明であり、この求めた動的トルク成分をねじりモード減衰のためにどの様に用いるのか何等開示が無く不明である。請求項6、7も同様である。
更に、請求項1に、「前記コンバータの電気的変数に関連する測定データのみに基づいて前記ドライブトレインの前記シャフトのねじり発振を減衰させるための、前記コンバータの整流器およびインバータ用の制御データを同時に生成し」との訳語があるが、動的トルク成分を計算するためにコンバータまたはドライブトレインの変数に関連する測定データを用いているにもかかわらず、何故制御用データを生成するためにコンバータの電気的変数に関連する測定データのみを用いるのか不明(ドライブトレインの変数に関連する測定データを用いることなく何故ねじり発振減衰のための制御データが生成できるのか。)であり、又、「基づいて」とあるが曖昧な表現であるため構成を特定できず不明であり、コントローラシステムが制御データを生成するのであるから何らかの演算式を用いるはずであるが、どの様な演算式を用いているのか何等開示が無く不明(コンバータの電気的変数に関連する測定データのみを用いてどの様な演算を行って制御データを求めるのか何等開示が無い。)であり、制御データを生成するために測定値はあるものの指令値がなく、何故制御データが生成できるのか不明であり、又、「前記ドライブトレインの前記シャフトのねじり発振を減衰させる」とあるが、ドライブトレインのどの部分のシャフトのことを意味するのか不明(ドライブトレインにある全てのシャフトを意味するのか)であり、又、「前記コンバータの整流器およびインバータ用の制御データを同時に生成し」とあるが、整流器およびインバータのどの部分を制御するどの様なデータであるのか全く不明である。請求項6、7も同様である。
更に、請求項1に、「前記コンバータと前記電気機械との間で交換される有効電力(active power)を変調するために、前記整流器および前記インバータに前記制御データを送出する」との訳語があるが、有効電力(active power)を変調とはどの様な制御を行うのか不明であり、この変調を行えば本来ドライブトレインが必要とするトルク等の値が所望の値からずれることとなるが、何故この様な制御を行うのか不明(時期的制限が無いから、ドライブトレインの動作のためにトルクを減じると系が停止するような場合でも本願の制御を行うこととなるが何故か。)である。請求項6、7も同様である。
更に、請求項2に、「前記制御データは、α変調がβ変調に相関するように前記整流器をα変調し前記インバータをβ変調する」との訳語があるが、α変調、β変調とはどの様な変調か不明であり、コンバータの電気的変数に関連する測定データを用いてどの様な演算を行って制御データを生成するのか不明である。
更に、請求項3に、「前記コントローラは、整流器遅延角度およびインバータ遅延角度に適用される正弦波または正弦波半波を前記制御データに挿入する」との訳語があるが、日本語として意味が不明のため構成を特定できず不明である。
更に、請求項4に、「前記正弦波の振幅は3°未満である」との訳語があるが、何のための(何に使用する)正弦波であるのか不明であり、何故正弦波の振幅が角度になるのか不明(正弦波の振幅は通常電圧・電流であって角度ではない)である。
更に、請求項5に、「前記コントローラは、前記整流器のα角度変調および前記インバータのβ角度変調を連続して実施する」との訳語があるが、α変調とα角度変調は同じことを意味するのか否か不明であり、β変調とβ角度変調は同じことを意味するのか否か不明であり、「連続して実施」とあるが、α角度変調を行えば次は必ずβ角度変調を行うことを意味するのか否か不明であり、β角度変調を行えば次は必ずα角度変調を行うことを意味するのか否か不明であり、仮にこの様なことを意味するのであれば、変調は終了することなく行うこととなるのか否か不明であり、連続とは変調を行わない期間が無いことを意味するのか否か不明である。」


4.拒絶の理由に対する当審の判断
(1)請求項1に、「電気モータおよび非電気機械を連結するシャフトを有するドライブトレインを駆動するコンバータに接続された」とあるが、ドライブトレインはどの様な構成を意味するのか特定できず不明[通常ドライブトレインは車両のエンジン-タイヤ間の機構のことを意味しタービン等のことは意味しない。仮に、タービン、ポンプ等を用いた動力伝達機構を意味するとしても、当該タービン、ポンプ等を用いた動力伝達機構の駆動系の構成は様々なものがあるから、ねじりモードが発生するにしても千差万別なねじりモードが発生し、これを上位概念的なドライブトレインとして全てのねじりモードに何故対応できるのか不明(「しかし、より多いかまたはより少ないコンポーネントを有する他のシステムが、ここで論じる新規な特徴を含むように適合されうることを当業者は認識するであろう。」【0018】参照。)である。]である。請求項5、6も同様である。
更に、請求項1において、「非電気機械」の定義が不明であるためドライブトレインが何を含んで何が含まれないのか構成を特定できず不明(モータ以外の駆動源、負荷が含まれるものと考えられ、しかも各々の個数・配置も任意である。)である。
また、請求項6に「含む」と、請求項5に「一部である」とあるが、ドライブトレインには電気機械以外に何が含まれるのか構成を特定できず不明である。
(2)請求項1に、「コントローラシステム」とあるが、コントローラシステムには何が含まれ何が含まれないのか不明であり、仮に、コントローラシステムがインタフェースとコントローラのみからなるとすると、請求項1にはコントローラシステムでない構成が記載されているため構成を特定できず不明である。
なお、請求人は、平成29年5月22日付意見書において、「請求項1の記載から「コントローラシステム」には、「入力インタフェース」と「コントローラ」が含まれることが明らかであるものと思料いたします。」と主張するが、請求項1には、「コンバータに接続されたねじりモード減衰コントローラシステム」とあるから、コンバータに接続されるものがコントローラシステムとなるが、図4のコンバータ62で示されるものに「入力インタフェース」と「コントローラ」が含まれており、両者は矛盾するので請求人の上記主張は採用できない。
(3)請求項1に、「前記コンバータの電気的変数の測定データ」とあるが、ねじりモード減衰のためのコンバータの電気的変数とは何か定義が不明[どの様な物理量が含まれるのか不明である。変数は通常入力側の値であって出力側の値ではないが、ねじりモード減衰のためにドライブトレインの変数ではなく何故コンバータの変数が必要なのか不明である。コンバータの変数であれば、コンバータを構成するトランジスタの駆動信号の大きさも該当するものと考えるが何故必要であるのか不明である。図4において整流器の入力電圧をどの様にねじりモード減衰に用いるのか何等開示が無く不明(機械であるコントローラシステムが行うためには何らかの関数に基づいてねじりモード減衰を行うはずであるが明細書に何等開示が無い。)である。]である。請求項5、6も同様である。
(4)請求項1に、「前記入力インタフェースからの前記測定データのみに基づいて前記ドライブトレインの前記シャフトの所望の場所における前記シャフトのトルク、ねじり位置、ねじり速度、およびねじり加速度のうちの少なくとも1つを示す動的トルク成分を計算し」とあるが、「前記測定データのみに基づいて」とあるから、コンバータの電気的変数のみに基づき、ドライブトレインの諸特性は全く使用せずに動的トルク成分を計算することとなるが、この計算のためにどの様な演算をコントローラシステムが行うのか明細書に何等開示が無く不明であり、又、「基づいて」とあるが曖昧な表現であるため構成を特定できず不明であり、又、「前記シャフトの所望の場所における」とあるから、ドライブトレインの如何なる場所のシャフトの動的トルク成分も計算できることとなるが、様々な形態のドライブトレインに対して何故シャフトの所望の位置の動的トルク成分が計算できるのか明細書に何等開示が無く不明であり、又、「少なくともひとつ」とあるから、複数であっても良いこととなるが、コンバータの電気的変数のみに対してどの様な計算を行えば「シャフトのトルク、ねじり位置、ねじり速度、およびねじり加速度」のうちの複数が求めることができるのか明細書に何等開示が無く不明であり、又、この求めた動的トルク成分をねじりモード減衰のために具体的にどの様に用いるのか明細書に何等開示が無く不明である。請求項5、6も同様である。
(5)請求項1に、「前記動的トルク成分に基づいて前記ドライブトレインの前記シャフトのねじり発振を減衰させるための、前記コンバータの整流器およびインバータ用の制御データを同時に生成し」とあるが、「基づいて」とは曖昧な表現であるため構成を特定できず不明であり、又、コントローラシステムが制御データを生成するのであるから何らかの演算式を用いるはずであるが、どの様な演算式を用いているのか何等開示が無く不明(コンバータの電気的変数の測定データのみを用いてどの様な演算を行って制御データを求めるのか明細書に何等開示が無い。)であり、又、制御データを生成するために測定データはあるものの指令値がなく何故制御データが生成できるのか不明であり、又、「前記ドライブトレインの前記シャフトのねじり発振を減衰させる」とあるが、ドライブトレインのシャフトのどの部分のことを意味するのか不明であり、又、「前記コンバータの整流器およびインバータ用の制御データを同時に生成し」とあるが、整流器およびインバータのどの部分をどの様に制御するどの様なデータであるのか明細書に何等開示が無く不明である。請求項5、6も同様である。
(6)請求項1に、「前記コンバータと前記電気モータとの間で交換される有効電力を調整するために、前記整流器および前記インバータに前記制御データを送出する」とあるが、有効電力を調整とは明細書の何処に記載があるのか不明(明細書には「有効電力を変調」としか記載がなく、新規事項の疑いがある。)であり、しかもどの様な調整を行うのか明細書に何等開示が無く不明であり、又、この調整を行えば本来ドライブトレインが必要とするトルク等の値が所望の値からずれることとなるが、何故この様な制御を行うのか不明(調整を行うための時期的制限が無いから、ドライブトレインの動作のためにトルクを減じると系が停止するような場合でも本願の制御を行うこととなるが何故か。)である。請求項5、6も同様である。
(7)請求項2に、「前記制御データは、前記整流器を整流器遅延角度αで調整し、前記インバータをインバータ遅延角度βで調整し、該整流器遅延角度αが該インバータ遅延角度βと相関する」とあるが、「整流器遅延角度αで調整」、「インバータ遅延角度βで調整」とはどの様な調整か不明であり、又、コンバータの電気的変数の測定データを用いてどの様な演算を行って制御データを生成するのか不明(測定データからどの様な演算を行って相関関係があるα、βを求めるのか明細書に何等開示が無い。)である。
(8)請求項4に、「前記遅延角度は、3°未満である」とあるが、明細書の何処に記載があるのか不明(【0029】には、「遅延角度は、インバータおよび/またはコンバータの動作に影響を及ぼさないように、狭くかつ規定された範囲、たとえば2?3°に制限されることができる」と記載されており、請求項4の記載は新規事項の疑いがある。)である。
(9)したがって、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないので、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、請求項1-6の記載は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、且つ発明の詳細な説明を参照しても明確ではないから、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。


5.むすび
したがって、発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではないので、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、請求項1-6の記載は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、且つ発明の詳細な説明を参照しても明確ではないから、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。
そうすると、本願を拒絶すべきであるとした原査定は維持すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-09-26 
結審通知日 2017-10-10 
審決日 2017-10-30 
出願番号 特願2013-501836(P2013-501836)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (H02P)
P 1 8・ 537- WZ (H02P)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 貴俊  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 堀川 一郎
藤井 昇
発明の名称 整流器およびインバータベースのねじりモード減衰システムおよび方法  
代理人 荒川 聡志  
代理人 小倉 博  
代理人 田中 拓人  
代理人 黒川 俊久  

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