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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A21D
管理番号 1338581
審判番号 不服2016-17387  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-22 
確定日 2018-03-15 
事件の表示 特願2012-157632「パン類の製造方法、および該製造方法に用いる製パン用ミックス」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月 3日出願公開、特開2014- 18108〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年7月13日の出願であって、平成28年1月15日付けで拒絶理由が通知され、それに対して平成28年3月18日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが平成28年8月10日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年11月22日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。

第2 平成28年11月22日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「少なくとも、小麦粉100重量部に対し、40?80重量部の水と、3.5?5重量部の膨張剤と、7重量部以下の油脂と、を含み、イーストを含まない生地材料を混捏して生地を調製する生地調製工程と、
該生地調製工程で調製した生地を、平板状に成形する成形工程と、
該成形工程で成形した生地を、マイクロ波によって加熱する加熱工程と、
からなる凹凸表面を有するパン類の製造方法。」(下線は、補正箇所を示す。)と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「成形工程」について、生地を「平板状」に成形するとの限定を付加し、同じく本件発明により製造されるパン類について、「凹凸表面を有する」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

1.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された「yuchuko、“ルクエで簡単レンジピザ”、平成24年6月23日,[平成28年1月13日検索]、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20120623011808/http://cookpad.com/recipe/1461481>」(以下「引用例」という。)には、写真とともに以下の事項が記載されている。
ア 「ルクエで簡単レンジピザ」
イ 「材料(2?3人分)
■ピザ生地
★小麦粉 100g
★砂糖 30g
★ベーキングパウダー 小さじ1
★塩 小さじ4分の1
水 70cc
オリーブ油 大匙1」
ウ 「1 ボウルに★をいれ軽くませてから、水を加えよく混ぜる。」
エ 「2 1にオリーブ油を入れよく混ぜ、ルクエに生地を流しいれる。」
オ 「3 2にピザソースを塗りその上に適当な大きさに切ったトッピングを乗せる。」
カ 「4 3にピザ用チーズ乗せて」
キ 「5 蓋をして500wで6分加熱すれば完成」
ク 「6 切り分けて熱々をいただきます」
ケ 2の写真の記載からみて、生地は平面状に成形されていると認められる。
コ 「コツ・ポイント
トッピングは多くなりすぎない方が作りやすく食べやすいです。また、水分の多いお野菜は生地がぐちゃっとなりやすいので控えめにされた方が良いと思われます。」
サ 「ルクエ」がルクエ社のシリコン製の調理器具を指すことは周知であり、このことを踏まえると、上記アないしコの記載から引用例には、以下の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。)。
「小麦粉100g、砂糖30g、ベーキングパウダー小さじ1、塩小さじ4分の1、水70cc及びオリーブ油大匙1をよく混ぜたピザの生地をシリコン製の調理器具に流して平面状に成形し、生地の入ったシリコン製の調理器具を500Wで6分加熱することによりピザを調理する方法。」

2.対比
引用発明の「小麦粉」、「水」、「ベーキングパウダー」及び「オリーブ油」は、本願補正発明の「小麦粉」、「水」、「膨張剤」及び「油脂」にそれぞれ相当する。
引用発明の「よく混ぜたピザの生地をシリコン製の調理器具に流して平面状に成形」する手順は、本願補正発明の「調製した生地を、平板状に成形する成形工程」に相当する。
引用発明の「生地の入ったシリコン製の調理器具を500Wで6分加熱する」手順と、本願補正発明の「成形工程で成形した生地を、マイクロ波によって加熱する加熱工程」とは、「成形工程で成形した生地を、加熱する加熱工程」の限りで一致する。
引用発明の「ピザを調理する方法」と、本願補正発明の「凹凸表面を有するパン類の製造方法」とは、本願補正発明の「パン類」には、ピザの生地も含まれること(本願明細書【0038】参照。)を考慮すれば、「パン類の製造方法」の限りで一致する。
そして、出願時の技術常識を踏まえれば、水70ccは70g、ベーキングパウダー小さじ1は約3g、オリーブ油大匙1は約14gであるといえるから、引用発明は「小麦粉100重量部に対して、70重量部の水、3重量部のベーキングパウダー及び14重量部のオリーブ油をよく混ぜたピザの生地」を調整しているといえ、また、「イースト」が材料に含まれていないことから、引用発明の「小麦粉100g、砂糖30g、ベーキングパウダー小さじ1、塩小さじ4分の1、水70cc及びオリーブ油大匙1をよく混ぜ」る手順と、本願補正発明の「少なくとも、小麦粉100重量部に対し、40?80重量部の水と、3.5?5重量部の膨張剤と、7重量部以下の油脂と、を含み、イーストを含まない生地材料を混捏して生地を調製する生地調製工程」とは、「少なくとも、小麦粉100重量部に対し、40?80重量部の水と、膨張剤と、油脂と、を含み、イーストを含まない生地材料を混捏して生地を調製する生地調製工程」の限りで一致する。

よって、本願補正発明と引用発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「少なくとも、小麦粉100重量部に対し、40?80重量部の水と、膨張剤と、油脂と、を含み、イーストを含まない生地材料を混捏して生地を調製する生地調製工程と、
該生地調製工程で調製した生地を、平板状に成形する成形工程と、
該成形工程で成形した生地を、加熱する加熱工程と、
からなるパン類の製造方法。」
[相違点1]
本願補正発明の生地は、油脂を「小麦粉100重量部に対して」、「7重量部以下」としているのに対して、引用発明の生地は小麦粉100重量部に対して14重量部のオリーブ油としている点(以下「相違点1」という。)。
[相違点2]
本願補正発明は「小麦粉100重量部に対し」、「3.5?5重量部の膨張剤」としているのに対し、引用発明は、そのような特定がなされてない点(以下「相違点2」という。)。
[相違点3]
本願補正発明の「加熱工程」は、「マイクロ波によって加熱する」のに対して、引用発明の加熱方法は、「シリコン製の調理器具を500Wで6分加熱する」ものである点(以下「相違点3」という。)。
[相違点4]
本願補正発明は、「凹凸表面を有するパン類の製造方法」であるのに対して、引用発明で調理された「ピザ」が「凹凸表面を」有するか不明な点(以下「相違点4」という。)。

3.判断
(1)相違点1について
引用例には、「トッピングは多くなりすぎない方が作りやすく食べやすいです。また、水分の多い野菜は生地がぐちゃっとなりやすいので控えめにされた方が良いと思われます。」(上記1.1)コ)
」(【0021】)と記載されていることから、引用発明のピザ生地は、消費者の好む風味に応じて材料の選択を行うことが示唆されているといえる。 そして、ピザの風味に影響を与えるオリーブ油の量についても、消費者の好みに応じて適宜変更し得る事項であるといえる。
そうすると、引用発明において、生地に「オリーブ油大匙1」入れていたものを、できあがりの風味や、油の量を減らしたい等の事情を考慮して「小麦粉100重量部に対して」、「7重量部以下」とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項の範囲内といえる。
よって、相違点1に係る本願補正発明の構成は、引用発明に基いて当業者が容易に想到し得たものである。
(2)相違点2について
ベーキングパウダーは、例えば「ベーキングパウダー(膨張剤),OHMIYA大宮糧食工業株式会社,日本,2009年,URL:http://www.ohmiya-bp.com/index.php?data=./data/cl2/」に示されるように、炭酸水素ナトリウム(重曹)を代表として、膨らませるタイミングと膨らませる力の大きさを調整する様々な原料を組み合わせた多数種類があることを踏まえると、引用発明において、ベーキングパウダーの種類に応じて配合量を調節し、ベーキンングパウダーを3グラムとしていたものを、3.5グラム程度にすること、すなわち、相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項の範囲内である。
(3)相違点3について
引用例には、「簡単」に「レンジピザ」(上記1.ア)を作る旨が記載され、「ルクエ」すなわち、シリコン製調理器具に「生地を流しいれる」(上記1.エ)ことが記載され、「蓋をして500wで6分加熱すれば完成」(1.キ)と記載されていることから、引用発明の加熱源は、マイクロ波であることは明らかである。
よって、相違点3は、実質的な相違点ではない。
(4)相違点4について
引用発明は、「ベーキングパウダー」を用いることにより生地を膨張させており、このような場合に膨張が不均一となって表面に凹凸が生じることは、普通に予測されることであるから、相違点4は実質的な相違点ではない。
また、実質的な相違点だとしても、凹凸表面を有するパン類は周知であって、好みにより表面に凹凸をつけることは、適宜なし得ることにすぎないから、引用発明において、相違点4に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が容易に想到し得たことである。
(5)まとめ
本願補正発明が引用発明から予測できない格別顕著な効果を奏するものとは認められない。
なお、審判請求人は、審判請求書において、引用例に記載された生地により、ピザを条件を変えて3回作成した結果を示し、「このように、引用文献2に記載の発明は、『ピザ』と表記されてはいるものの、食感や外観、断面はあくまで『菓子様』であり、『パン様』ではないことは明らかです。
よって、本願発明に係るパン類の製造方法は、引用文献2に記載の発明とは異質の効果を奏するものであると思料します。また、本願発明が奏する効果は、本願出願時の技術水準から当業者が予測できない顕著なものであると思料します。」と主張している。
しかしながら、本願の実施例では小麦粉に強力粉を使っているのに対して(本願明細書【0058】参照。)、引用例の再現には薄力粉を使っているから、これらを比べても本願発明の効果が優れているとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成28年3月18日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「少なくとも、小麦粉100重量部に対し、40?80重量部の水と、3.5?5重量部の膨張剤と、7重量部以下の油脂と、を含み、イーストを含まない生地材料を混捏して生地を調製する生地調製工程と、
該生地調製工程で調製した生地を、所望の形態に成形する成形工程と、
該成形工程で成形した生地を、マイクロ波によって加熱する加熱工程と、
からなるパン類の製造方法。」

第4 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2[理由] 1.引用例」に記載したとおりである。

第5 対比・判断
本願発明は、前記、第2で検討した本願補正発明から成形工程により生地が「平板状」となること、及びパン類の表面が「凹凸表面を有する」ものであることを省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の限定を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 3.判断」に記載したとおり、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-01-09 
結審通知日 2018-01-16 
審決日 2018-01-29 
出願番号 特願2012-157632(P2012-157632)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A21D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 耕一郎山本 匡子  
特許庁審判長 田村 嘉章
特許庁審判官 莊司 英史
紀本 孝
発明の名称 パン類の製造方法、および該製造方法に用いる製パン用ミックス  
代理人 渡邊 薫  
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