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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1338599 |
審判番号 | 不服2017-8296 |
総通号数 | 221 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-06-07 |
確定日 | 2018-03-15 |
事件の表示 | 特願2016- 3244号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月16日出願公開、特開2016-105782号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成19年9月12日に特許出願された特願2007-236729号の一部を、平成24年12月27日に新たに特許出願(特願2012-285272号)し、その一部を平成26年4月15日に新たに特許出願(特願2014-83882号)し、さらに、その一部を平成28年1月12日に新たに特許出願したものであって、平成28年12月14日付けで拒絶理由が通知され、平成29年2月15日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年3月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成29年6月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.本件補正の概要 本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載を含む補正であり、平成29年2月15日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は、本件補正箇所を示す。)。 (補正前:平成29年2月15日付け手続補正) 「【請求項1】 識別情報の変動表示及び停止表示を行う変動表示手段と、 前記識別情報を変動表示させた後に停止表示させる遊技を実行する遊技実行手段と、 所定の移行条件を満たした場合に、遊技者にとって有利な遊技状態である報知期間を実行する報知期間制御手段と、 前記報知期間中に前記報知期間が継続するか終了するかの継続演出を実行可能とされた演出制御手段と、 を備え、 前記演出制御手段は、 前記報知期間が継続することが決定されている前記報知期間中において、前記報知期間を終了させる終了演出を実行した次の遊技において、前記報知期間が継続することを報知する演出である逆転継続演出を実行可能とし、 前記継続演出を実行する遊技以前の遊技において、その後実行される前記継続演出実行後に前記報知期間が継続することを示唆する途中継続演出を実行可能としたことを特徴とする遊技機。」 (補正後:本件補正である平成29年6月7日付け手続補正) 「【請求項1】 識別情報の変動表示及び停止表示を行う変動表示手段と、 前記識別情報を変動表示させた後に停止表示させる遊技を実行する遊技実行手段と、 所定の移行条件を満たした場合に、遊技者にとって有利な遊技状態である報知期間を実行する報知期間制御手段と、 前記報知期間中に前記報知期間が継続するか終了するかの継続演出を実行可能とされた演出制御手段と、 を備え、 前記演出制御手段は、 前記報知期間が継続することが決定されている前記報知期間中において、前記報知期間を終了させる終了演出を実行した次の遊技において、前記報知期間が継続することを報知する演出である逆転継続演出を実行可能とし、 前記終了演出を実行する遊技以前の遊技において、その後実行される前記終了演出実行後に前記報知期間が継続することを示唆する途中継続演出を実行可能としたことを特徴とする遊技機。」 2.補正の適否 本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「途中継続演出」について、補正前の「前記継続演出を実行する遊技以前の遊技において、その後実行される前記継続演出実行後に前記報知期間が継続することを示唆する途中継続演出を実行可能とした」なる記載を「前記終了演出を実行する遊技以前の遊技において、その後実行される前記終了演出実行後に前記報知期間が継続することを示唆する途中継続演出を実行可能とした」と補正し、「継続演出」を「報知期間が継続するか終了するかの継続演出」のうちの1つの演出となる「終了演出」に限定する補正を行うものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。 3.独立特許要件 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同様第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下に検討する。 (1)本件補正後の請求項1に係る発明 本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)は、上記1.の本件補正の概要において示した次のとおりのものである(A?Gは本件補正発明を分説するため当審で付与した。)。 「A 識別情報の変動表示及び停止表示を行う変動表示手段と、 B 前記識別情報を変動表示させた後に停止表示させる遊技を実行する遊技実行手段と、 C 所定の移行条件を満たした場合に、遊技者にとって有利な遊技状態である報知期間を実行する報知期間制御手段と、 D 前記報知期間中に前記報知期間が継続するか終了するかの継続演出を実行可能とされた演出制御手段と、 を備え、 E 前記演出制御手段は、 前記報知期間が継続することが決定されている前記報知期間中において、前記報知期間を終了させる終了演出を実行した次の遊技において、前記報知期間が継続することを報知する演出である逆転継続演出を実行可能とし、 F 前記終了演出を実行する遊技以前の遊技において、その後実行される前記終了演出実行後に前記報知期間が継続することを示唆する途中継続演出を実行可能とした G ことを特徴とする遊技機。」 (2)刊行物に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-334266号公報(以下、「刊行物」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 (ア)「【技術分野】 【0001】 本発明は、各々を識別可能な複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示手段を備え、あらかじめ定められている可変表示の実行条件が成立した後、可変表示の開始条件の成立にもとづいて識別情報の可変表示を開始し、識別情報の可変表示の表示結果が特定の表示結果となったときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に移行させ、特定移行条件の成立により、識別情報の可変表示の表示結果を特定の表示結果とする確率を、特定移行条件が成立する以前の通常状態であるときに比べて向上させた状態である特定有利状態に移行させるパチンコ機等の遊技機に関する。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 ところが、特許文献1に記載された遊技機では、確変状態を終了するための条件が複数設けられているものの、確変状態の終了条件が成立したときに確変状態を終了する旨が報知されるだけであるため、その報知がなされたあとは遊技者に大当りへの期待を持たせることができなくなってしまい、遊技の興趣が低下してしまうおそれがあった。 【0010】 そこで、本発明は、確変状態の終了条件が成立したあとも特定遊技状態の発生への期待を遊技者に継続して持たせることができ、遊技の興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。」 (イ)「【0025】 実施の形態1. 以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機を正面からみた正面図である。」 (ウ)「【0034】 打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ14aで検出されると、図柄の可変表示を開始できる状態であれば、可変表示装置9において特別図柄が可変表示(変動)を始める。図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、始動記憶数を1増やす。 【0035】 可変表示装置9における特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄の組み合わせが大当り図柄(特定表示結果)であると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に遊技球がV入賞領域に入賞しVカウントスイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。」 (エ)「【0045】 図3は、演出制御基板80、ランプドライバ基板35および音声出力基板70の回路構成例を示すブロック図である。演出制御基板80において、演出制御用CPU101は、ROM(図示せず)に格納されたプログラムに従って動作し、主基板31からのストローブ信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバ102および入力ポート103を介して演出制御コマンドを受信する。演出制御用CPU101は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)106に、LCDを用いた可変表示装置9の表示制御を行わせる。VDP106は、GCL(グラフィックコントローラLSI)と呼ばれることもある。さらに、演出制御用CPU101は、出力ポート104およびランプ駆動回路107を介して普通図柄表示器10の表示制御を行う。なお、演出制御用マイクロコンピュータは、演出制御用CPU101、ROM、RAMおよびI/Oポートを含む。」 (オ)「【0076】 図8は、CPU56が実行する特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。図8に示す特別図柄プロセス処理は、図5のフローチャートにおけるステップS25の具体的な処理である。CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う際に、変動短縮タイマ減算処理(ステップS310)を行い、遊技盤6に設けられている始動入賞口14に遊技球が入賞したことを検出するための始動口スイッチ14aがオンしていたら、すなわち遊技球が始動入賞口14に入賞する始動入賞が発生していたら(ステップS311)、始動口スイッチ通過処理(ステップS312)を行った後に、内部状態に応じて、ステップS300?S308のうちのいずれかの処理を行う。・・・ 【0078】 特別図柄停止図柄設定処理(ステップS301):特別図柄の可変表示後の左中右図柄の停止図柄を決定する。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS302に移行するように更新する。 【0079】 変動パターン設定処理(ステップS302):特別図柄の可変表示の変動パターン(可変表示態様)を、ランダム4の値に応じて決定する。また、変動パターンに応じた変動時間タイマをスタートさせる。このとき、演出制御基板80に対して、左中右最終停止図柄と変動態様(変動パターン)を指令する情報とが演出制御コマンドとして送信される。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS303に移行するように更新する。 【0080】 特別図柄変動処理(ステップS303):所定時間(ステップS302の変動時間タイマで示された時間)が経過すると、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS304に移行するように更新する。 【0081】 特別図柄停止処理(ステップS304):可変表示装置9において表示される全図柄が停止されるように制御する。具体的には、特別図柄停止を示す演出制御コマンドが送信される状態に設定する。そして、停止図柄が大当り図柄である場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に移行するように更新する。そうでない場合には、内部状態をステップS300に移行するように更新する。」 (カ)「【0106】 図12は、大当り遊技が終了したときに実行される大当り終了処理を示すフローチャートである。大当り終了処理において、CPU56は、大当り遊技の起因となった特別図柄の停止図柄(大当り図柄である)が確変時短図柄であったか否か確認する(ステップS101)。確変時短図柄であった場合には、確変時短フラグをセットするとともに(ステップS102)、後述する終了条件決定処理を実行し(ステップS103)、さらに、時短回数カウンタに所定値をセットする(ステップS104)。なお、この実施の形態では、時短回数カウンタには100が設定される。また、演出制御手段に、大当り遊技状態の終了と、特別遊技状態(確変状態または時短状態)への移行とを通知するために、特定大当り終了表示指定の演出制御コマンドを送信する処理を行う(ステップS105)。そして、特別図柄プロセスフラグの値を、特別図柄通常処理(ステップS300)に応じた値にする(ステップS106)。」 (キ)「【0131】 なお、本例では、確変状態中は、例えば可変表示装置9の表示部に、終了条件が回数判定であるときには確変回数の残り(確変回数カウンタの値)が表示され、終了条件が抽選判定であるときには偽りの確変変動回数の残り(偽確変回数カウンタの値)が表示される。演出制御手段は、確変回数報知指定コマンドを受信したことをコマンド解析処理(ステップS704)にて確認したときにその確変回数報知指定コマンドによって確変回数を認識し、その後は特別図柄の可変表示を実行する毎(変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)にて変動パターンコマンドの受信を確認する毎)に1減算していくことで、遊技制御手段における確変回数カウンタの値を知ることができる。また、演出制御手段は、偽確変回数報知指定コマンドを受信したことをコマンド解析処理(ステップS704)にて確認したときにその偽確変回数報知指定コマンドによって偽確変回数を認識し、その後は特別図柄の可変表示を実行する毎(変動パターンコマンド受信待ち処理(ステップS800)にて変動パターンコマンドの受信を確認する毎)に1減算していくことで、遊技制御手段における偽確変回数カウンタの残りを知ることができる。 【0132】 図17は、上述した実施の形態における遊技状態が変化する様子の一例を示す説明図である。図17には、図9に示した変化の様子と異なり、確変時短図柄が最終停止表示され、抽選判定によって確変状態の終了条件が判定されることに決定され、そして、大当り遊技状態が終了したときに確変状態に制御され、50回の特別図柄の変動が終了しても、確変状態が終了しない、すなわちランダム10にもとづく確変パンクが生じなかった例が示されている。この例では、偽確変回数が50回に決定されたものとする。偽確変回数カウンタの初期値が50であり時短回数カウンタの初期値は100であるが、確変状態に制御されたときから歩進されるので、50回の変動が終了すると時短回数カウンタの値は50になる。その後、抽選判定によって確変状態の終了条件が成立したときに、未だ時短回数カウンタの値が0になっていなければ、確変状態の終了に時短状態が開始されることになる。 【0133】 この例では、演出制御手段(具体的には演出制御用CPU101)は、偽確変回数カウンタの値が0になると、図16(A)に例示された画像を偽確変終了報知画像として可変表示装置9に表示する制御を行う。本例では、演出制御手段は、自己が認識している遊技制御手段での偽確変回数カウンタの値が0になったと判定すると、偽確変終了報知画像を表示する制御を行う。 ・・・ 【0135】 そして、演出制御手段は、偽確変終了報知画像を表示したあと、所定回数(例えば演出制御手段が、偽確変回数カウンタの値が0になったと判定したときに、抽選により1回、3回、5回などあらかじめ定められている複数種類の回数の中から決定する)の識別情報の変動表示を行ったときに、まだ抽選判定により確変状態が終了されていなければ(具体的には、確変状態に移行したあと通常状態指定コマンドあるいは確変終了指定コマンドの何れも受信していない状態であれば)、確変状態が継続していることを遊技者に報知するために、図16(B)に例示された確変継続報知画像を可変表示装置9に表示する。その後、演出制御手段は、抽選判定により確変状態が終了されたことを確認すると(具体的には、確変状態に移行したあと通常状態指定コマンドまたは確変終了指定コマンドの何れかの受信を確認したとき)、偽確変終了報知画像と同じ画像である図16(A)に例示された画像を確変終了報知画像として可変表示装置9に表示する。 ・・・ 【0138】 なお、確変状態が終了した旨の偽りの報知と、確変状態が終了した旨の真の報知とを、同じ内容の報知用の画像を表示する演出表示を行うことによって実行していたが、その演出表示にて、パンク抽選などの演出を行うようにしてもよい。具体的には、確変状態が終了した旨の真の報知および確変状態が終了した旨の偽りの報知にて、パンク抽選を行っている動画像を表示したあと、その抽選結果に落選(確変継続となる選択がなされたことを意味する)した様子を示す動画像を表示するようにすればよい。なお、確変状態が終了した旨の偽りの報知がなされたあと、確変継続報知の演出表示にて、パンク抽選を行っている動画像を表示したあと、その抽選結果に当選(確変終了となる選択がなされたことを意味する)してしまった様子を示す動画像を表示するようにしてもよい。この抽選結果に当選してしまった様子を示す確変継続報知演出は、偽りの確変終了報知を行うことなく実行するようにしてもよい。 【0139】 上記のパンク抽選による確変終了報知演出や、偽りの確変終了報知を行うことなく実行される確変継続報知演出は、例えば、確変回数または偽確変回数における最後の特別図柄の変動表示の際に行うようにすればよい。この場合、パンク抽選演出にて、例えば、特別図柄の変動表示を通常通り実行し、登場キャラクタの種類・動作、標識、文字などによって、抽選結果の当落を報知するようにすればよい。また、パンク抽選演出にて、例えば、可変表示の表示結果が所定の図柄であるか否かによって、抽選結果の当落を報知するようにしてもよい。当選したことを示す表示結果としては、例えば左中右図柄がそれぞれ「7,6,7」である場合や「1,2,3」である場合などが考えられる。「7,6,7」を当選結果とした場合には、大当りとなるか否か、および確変が継続するか否かについて同時に報知する演出を実行することができ、その回の変動に対する興趣を高めさせることができる。 【0140】 また、上述した実施の形態では、確変状態が終了した旨の偽りの報知を行ったあとに、確変状態が継続している旨の確変継続報知を行う構成としているので、確変状態が終了した旨の報知(真報知または偽報知)が実行されたあとに、確変継続報知が実行されるか否かの期待を遊技者に持たせることができ、確変状態が継続している可能性があるとの期待感を遊技者に持たせることができる。 【0141】 また、上述した実施の形態では、偽りの確変回数の特別図柄の変動表示が消化されたときに、確変継続報知を行う時機を抽選により決定し、決定した時機が到来したときに確変継続報知を行う構成としたので、確変状態が継続していることを遊技者に報知するタイミングをランダムにすることができ、確変状態の終了条件が成立したあとの特定遊技状態の発生への遊技者の期待感をより向上させることができ、遊技の興趣をより向上させることができる。なお、報知タイミング(確変継続報知を行う時機)は、具体的には、偽りの確変回数の特別図柄の変動表示が消化されたあと何回目の特別図柄の可変表示が実行されたあとのタイミングとするか、偽りの確変回数の特別図柄の変動表示が消化されたあと次に実行される特別図柄の可変表示の実行中におけるどのタイミングとするか、偽りの確変回数の特別図柄の変動表示が消化されたあと何回目の特別図柄の可変表示のあとに実行される特別図柄の可変表示の実行中におけるどのタイミングとするかなどによりランダムにすることが考えられる。」 (ク) 【図17】には、大当り遊技が終了したのち確変状態となる場合について、大当り遊技が終了してから特別図柄の変動が行われ、偽確変回数カウンタの値が0になる50回の特別図柄の変動が終了すると、確変終了報知(偽)を行い、その後複数回の識別情報の変動表示を行ったのちに確変継続報知を行うことが図示されている。 上記(ア)?(キ)の記載事項および(ク)の図示内容から、以下の事項がいえる。なお、(a)?(g)は、本件補正発明の構成A?Gに対応した事項を示している。 (a)上記(ウ)の【0034】に「可変表示装置9において特別図柄が可変表示(変動)を始める。」、【0035】に「可変表示装置9における特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。」と記載されている。 したがって、刊行物には、特別図柄の可変表示及び停止を行う可変表示装置9が記載されているといえる。 (b)上記(エ)の【0045】に「演出制御基板80において、演出制御用CPU101は、・・・演出制御コマンドを受信する。演出制御用CPU101は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)106に、LCDを用いた可変表示装置9の表示制御を行わせる。」と記載されている。 また、上記(オ)の【0076】に「CPU56は、・・・ステップS300?S308のうちのいずれかの処理を行う。」、【0078】に「特別図柄停止図柄設定処理(ステップS301):特別図柄の可変表示後の左中右図柄の停止図柄を決定する。」、【0079】に「変動パターン設定処理(ステップS302):特別図柄の可変表示の変動パターン(可変表示態様)を、ランダム4の値に応じて決定する。・・・このとき、演出制御基板80に対して、左中右最終停止図柄と変動態様(変動パターン)を指令する情報とが演出制御コマンドとして送信される。」、【0081】に「特別図柄停止処理(ステップS304):可変表示装置9において表示される全図柄が停止されるように制御する。具体的には、特別図柄停止を示す演出制御コマンドが送信される状態に設定する。」と記載されている。 したがって、刊行物には、演出制御基板80に演出制御コマンドを送り、可変表示装置9において特別図柄の可変表示を実行した後に表示される全図柄が停止されるように制御するCPU56が記載されているといえる。 (c)上記(キ)の【0132】に「・・・確変時短図柄が最終停止表示され、抽選判定によって確変状態の終了条件が判定されることに決定され、・・・偽確変回数が50回に決定されたものとする。」、【0131】に「確変状態中は、例えば可変表示装置9の表示部に、・・・終了条件が抽選判定であるときには偽りの確変変動回数の残り(偽確変回数カウンタの値)が表示される。」と記載されている。 また、上記(カ)の【0106】に「・・・CPU56は、大当り遊技の起因となった特別図柄の停止図柄(大当り図柄である)が確変時短図柄であったか否か確認する(ステップS101)。確変時短図柄であった場合には、確変時短フラグをセットする・・・」と記載されており、遊技状態を確変状態に制御するCPU56が記載されているといえる。 したがって、刊行物には、確変時短図柄が最終停止表示され、抽選判定によって確変状態の終了条件が判定されることに決定された場合に、可変表示装置9の表示部に偽確変回数カウンタの値が表示される確変状態中となるように遊技状態を制御するCPU56が記載されているといえる。 (d)上記(キ)の【0131】に「確変状態中は、例えば可変表示装置9の表示部に、・・・終了条件が抽選判定であるときには偽りの確変変動回数の残り(偽確変回数カウンタの値)が表示される。」と記載されている。 また、上記(エ)の【0045】に「演出制御基板80において、演出制御用CPU101は、・・・演出制御コマンドを受信する。演出制御用CPU101は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)106に、LCDを用いた可変表示装置9の表示制御を行わせる。」と記載されている。 したがって、刊行物には、確変状態中は、可変表示装置9の表示部に、偽りの確変変動回数の残り回数を表示させる演出制御用CPU101が記載されているといえる。 (e)上記(キ)の【0133】に「演出制御手段(具体的には演出制御用CPU101)」、【0135】に「演出制御手段は、偽確変終了報知画像を表示したあと、所定回数(例えば演出制御手段が、偽確変回数カウンタの値が0になったと判定したときに、抽選により1回、3回、5回などあらかじめ定められている複数種類の回数の中から決定する)の識別情報の変動表示を行ったときに、まだ抽選判定により確変状態が終了されていなければ(具体的には、確変状態に移行したあと通常状態指定コマンドあるいは確変終了指定コマンドの何れも受信していない状態であれば)、確変状態が継続していることを遊技者に報知するために、図16(B)に例示された確変継続報知画像を可変表示装置9に表示する。」と記載され、【0141】に「報知タイミング(確変継続報知を行う時機)は、・・・偽りの確変回数の特別図柄の変動表示が消化されたあと次に実行される特別図柄の可変表示の実行中におけるどのタイミングとするか・・・によりランダムにすることが考えられる。」と記載されているから、演出制御用CPU101は、確変状態が継続している確変状態中において、偽りの確変回数の特別図柄の変動表示が消化されたあと次に実行される特別図柄の可変表示の実行中に確変継続報知を行うことが記載されているといえる。 ここで、上記偽りの確変回数の特別図柄の変動表示が消化された時とは、上記(ク)の【図17】に図示されている偽確変回数カウンタの値が0になる50回の特別図柄の変動が終了した時であるといえる。 また、この偽確変回数カウンタの値が0になる50回の特別図柄の変動が終了した時とは、上記(キ)の【0131】に「確変状態中は、例えば可変表示装置9の表示部に、・・・終了条件が抽選判定であるときには偽りの確変変動回数の残り(偽確変回数カウンタの値)が表示される。」と記載され、上記(ウ)の【0034】に「可変表示装置9において特別図柄が可変表示(変動)を始める。」、【0035】に「可変表示装置9における特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。」と記載されているから偽確変回数カウンタが「0」であって特別図柄の可変表示が停止した画像を表示している時であるといえる。 したがって、刊行物には、演出制御用CPU101は、確変状態が継続している確変状態中において、偽確変回数カウンタが「0」であって特別図柄の可変表示が停止した画像を表示したあと、次に実行される特別図柄の可変表示の実行中、確変継続報知を行うことが記載されているといえる。 (f)上記(キ)の【0135】に「演出制御手段は、偽確変終了報知画像を表示したあと、所定回数(例えば演出制御手段が、偽確変回数カウンタの値が0になったと判定したときに、抽選により1回、3回、5回などあらかじめ定められている複数種類の回数の中から決定する)の識別情報の変動表示を行ったときに、まだ抽選判定により確変状態が終了されていなければ(具体的には、確変状態に移行したあと通常状態指定コマンドあるいは確変終了指定コマンドの何れも受信していない状態であれば)、確変状態が継続していることを遊技者に報知するために、図16(B)に例示された確変継続報知画像を可変表示装置9に表示する。」と記載されているから、確変継続報知画像を可変表示装置9に表示するのは、確変状態に移行したあと通常状態指定コマンドあるいは確変終了指定コマンドの何れも受信していない状態であって、確変状態が継続していることを遊技者に報知するものであるから、次の変動表示も確変状態が継続している確変状態中であることを示唆する演出であるともいえる。 また、上記(キ)の【0138】に「なお、確変状態が終了した旨の偽りの報知がなされたあと、確変継続報知の演出表示にて、パンク抽選を行っている動画像を表示したあと、その抽選結果に当選(確変終了となる選択がなされたことを意味する)してしまった様子を示す動画像を表示するようにしてもよい。この抽選結果に当選してしまった様子を示す確変継続報知演出は、偽りの確変終了報知を行うことなく実行するようにしてもよい。」と記載されているから、該「抽選結果に当選してしまった様子を示す確変継続報知演出」とは、上記のとおり確変継続報知の演出であるから確変状態が継続しているものの、確変継続報知画像を可変表示装置9に表示する演出表示にて、パンク抽選を行っている動画像を表示したあと、その抽選結果に当選(確変終了となる選択がなされたことを意味する)してしまった様子を示す動画像を表示するものであるので、ガセの確変継続報知の演出を含むものであるといえる。 そして、上記(キ)の【0138】に「この抽選結果に当選してしまった様子を示す確変継続報知演出は、偽りの確変終了報知を行うことなく実行するようにしてもよい。」、【0139】に「偽りの確変終了報知を行うことなく実行される確変継続報知演出は、・・・偽確変回数における最後の特別図柄の変動表示の際に行うようにすればよい。」と記載されており、該「偽確変回数における最後の特別図柄の変動表示」は、偽確変回数カウンタが「0」と表示される変動表示であって、その変動表示の最後には、報知残回数が「0」であって特別図柄の可変表示が停止した画像を表示するものであるといえる。 したがって、刊行物には、演出制御用CPU101は、偽確変回数カウンタが「0」と表示される変動表示において、特別図柄の可変表示が停止した画像を表示するよりも前に、次の変動表示も確変状態が継続している確変状態中であることを示唆する、偽りの確変終了報知を行うことなく確変継続報知演出を実行することが記載されているといえる。 (g)上記(ア)の【0025】には「遊技機の一例であるパチンコ遊技機」と記載されている。 したがって、刊行物には、パチンコ遊技機が記載されている。 したがって、上記(ア)?(キ)の記載事項、(ク)の図示内容および上記(a)?(g)認定事項を総合すれば、刊行物には、次の発明が記載されている(以下、「刊行物発明」という。a?gは刊行物発明を分説するため当審で付した。)。 「a 特別図柄の可変表示及び停止を行う可変表示装置9と、 b 演出制御基板80に演出制御コマンドを送り、可変表示装置9において特別図柄の可変表示を実行した後に表示される全図柄が停止されるように制御するCPU56と、 c 確変時短図柄が最終停止表示され、抽選判定によって確変状態の終了条件が判定されることに決定された場合に、可変表示装置9の表示部に偽確変回数カウンタの値が表示される確変状態中となるように遊技状態を制御するCPU56と、 d 確変状態中は、可変表示装置9の表示部に、偽りの確変変動回数の残り回数を表示させる演出制御用CPU101と、 を備え、 e 演出制御用CPU101は、確変状態が継続している確変状態中において、偽確変回数カウンタが「0」であって特別図柄の可変表示が停止した画像を表示したあと、次に実行される特別図柄の可変表示の実行中、確変継続報知を行い、 f 偽確変回数カウンタが「0」と表示される変動表示において、特別図柄の可変表示が停止した画像を表示するよりも前に、次の変動表示も確変状態が継続している確変状態中であることを示唆する、偽りの確変終了報知を行うことなく確変継続報知演出を実行する g パチンコ遊技機。」 (3)対比・判断 本件補正発明と刊行物発明とを対比する。対比の見出しとしての(a)?(g)は刊行物発明の分説構成と対応させた。 (a)刊行物発明の「特別図柄」は、本件補正発明の「識別情報」に相当するから、刊行物発明の「可変表示装置9」は、本件補正発明の「変動表示手段」に相当する。 したがって、刊行物発明の「特別図柄の可変表示及び停止を行う可変表示装置9」は、本件補正発明の「識別情報の変動表示及び停止表示を行う変動表示手段」に相当する。 (b)刊行物発明の「CPU56」は、「可変表示装置9において特別図柄の可変表示を実行した後に表示される全図柄が停止されるように制御する」から、本件補正発明の「遊技実行手段」としての機能を有する。 (c)刊行物発明の「確変時短図柄が最終停止表示され、抽選判定によって確変状態の終了条件が判定されることに決定された場合」、「可変表示装置9の表示部に偽確変回数カウンタの値が表示される確変状態中」は、それぞれ本件補正発明の「所定の移行条件を満たした場合」、「遊技者にとって有利な遊技状態である報知期間」に相当する。 したがって、刊行物発明における「CPU56」は、本件補正発明における「報知期間制御手段」としての機能を有する。 (d)刊行物発明の「偽りの確変変動回数の残り回数を表示させる」ことは、その回数により確変状態が継続するか否かを示しているので、本件補正発明の「継続演出」に相当する。 また、刊行物発明の「確変状態中」は、本件補正発明の「報知期間中」に相当する。 したがって、刊行物発明の、「演出制御用CPU101」は、本件補正発明の「演出制御手段」としての機能を有する。 (e)本件補正発明の構成Eに記載される「報知期間を終了させる終了演出」とは、本願明細書の【0239】に「図22の(d)は、所定の報知期間が終了した場合の表示画面の一例である。図22の(d)に示すように、液晶表示装置32の表示領域には、識別情報94が停止表示(「362」で停止表示)されている。また、液晶表示装置32の表示領域には、所定の報知期間が終了したことを示す態様で文字画像93が表示(「チャンスタイムあと0回」という文字画像が表示)されている。」、【0240】に「・・・図22の(d)で遊技者は、所定の報知期間(チャンスタイム)が終了したと認識してしまうが、図22の(e)によって、所定の報知期間(チャンスタイム)が継続していると認識することが可能になる。」、【0244】に「・・・偽表示ゲーム数消化時にチャンスタイムが終了する旨を表示する・・・」と記載されているから、液晶表示装置32の表示領域に、識別情報94が停止表示され、所定の報知期間が終了したことを示す態様で文字画像93が表示(「チャンスタイムあと0回」という文字画像が表示)される演出であるといえる。 そうすると、刊行物発明の構成eの「偽確変回数カウンタが「0」であって特別図柄の可変表示が停止した画像を表示」すること、および、刊行物発明の構成fの「偽確変回数カウンタが「0」と表示される変動表示において、特別図柄の可変表示が停止した画像を表示する」ことも、該表示によって報知期間が終了することを報知する演出といえるから、本件補正発明の「終了演出」に相当する。 また、刊行物発明の「確変継続報知」も確変状態が継続することを報知する演出であるから、本件補正発明の「逆転継続演出」に相当する。 したがって、上記(d)で言及したように、刊行物発明の「演出制御用CPU101」は、本件補正発明の「演出制御手段」に相当するから、刊行物発明の「演出制御用CPU101は、確変状態が継続している確変状態中において、偽確変回数カウンタが「0」であって特別図柄の可変表示が停止した画像を表示したあと、次に実行される特別図柄の可変表示の実行中、確変継続報知を行」うことは、本件補正発明の「前記演出制御手段は、前記報知期間が継続することが決定されている前記報知期間中において、前記報知期間を終了させる終了演出を実行した次の遊技において、前記報知期間が継続することを報知する演出である逆転継続演出を実行可能とし」ていることに相当する。 (f)刊行物発明の「偽りの確変終了報知を行うことなく実行される確変継続報知演出」は、「偽確変回数カウンタが「0」と表示される変動表示において、特別図柄の可変表示が停止した画像を表示するよりも前に」「実行する」ものであって、その後に実行される偽確変回数カウンタが「0」であって特別図柄の可変表示が停止した画像を表示した後、「次の変動表示も確変状態が継続している確変状態中であることを示唆する」演出であるから、本件補正発明の「その後実行される前記終了演出実行後に前記報知期間が継続することを示唆する途中継続演出」に相当する。 ここで、本件補正発明の構成Fに記載される「途中継続演出」とは、本願明細書の【0269】に「また、本実施形態において、偽表示を行う場合にあっては偽表示ゲーム数消化後・・・にチャンスタイムの継続表示を行ったが、本発明はこれに限定されず、当該ゲーム消化以前に継続表示を行うものであってもよい。」と記載されているから、本件補正発明の構成Eに記載される「逆転継続演出」とは、演出内容が同じ「チャンスタイムの継続表示」であるが、タイミングが異なるものである。 そうすると、刊行物発明の構成eの「確変継続報知」と構成fの「偽りの確変終了報知を行うことなく実行される確変継続報知演出」とは、同じ確変継続報知画像を可変表示装置9に表示し、そのタイミングが異なるものであるから、本件補正発明の構成Eに記載される「逆転継続演出」と構成Fに記載される「途中継続演出」と同様の関係であるから、刊行物発明の「偽りの確変終了報知を行うことなく実行される確変継続報知演出」は、本件補正発明の「途中継続演出」に相当する。 また、刊行物発明の「変動表示」は、本件補正発明の「遊技」に相当するから、刊行物発明の「偽確変回数カウンタが「0」と表示される変動表示」における「特別図柄の可変表示が停止した画像を表示するよりも前」の「特別図柄の可変表示」が行われる「変動表示」は、本件補正発明の「前記終了演出を実行する遊技以前の遊技」に相当する。 そして、上記(e)で言及したように、刊行物発明の「偽確変回数カウンタが「0」と表示される変動表示において、特別図柄の可変表示が停止した画像を表示する」ことは、本件補正発明の「終了演出」に相当する。 したがって、刊行物発明の「偽確変回数カウンタが「0」と表示される変動表示において、特別図柄の可変表示が停止した画像を表示するよりも前に、次の変動表示も確変状態が継続している確変状態中であることを示唆する、偽りの確変終了報知を行うことなく実行される確変継続報知演出を実行する」ことは、本件補正発明の「前記終了演出を実行する遊技以前の遊技において、その後実行される前記終了演出実行後に前記報知期間が継続することを示唆する途中継続演出を実行可能とし」ていることに相当する。 (g)刊行物発明の「パチンコ遊技機」は、本件補正発明の「遊技機」に相当する。 上記(a)?(g)の検討より、本件補正発明と刊行物発明とは、 「A 識別情報の変動表示及び停止表示を行う変動表示手段と、 B 前記識別情報を変動表示させた後に停止表示させる遊技を実行する遊技実行手段と、 C 所定の移行条件を満たした場合に、遊技者にとって有利な遊技状態である報知期間を実行する報知期間制御手段と、 D 前記報知期間中に前記報知期間が継続するか終了するかの継続演出を実行可能とされた演出制御手段と、 を備え、 E 前記演出制御手段は、 前記報知期間が継続することが決定されている前記報知期間中において、前記報知期間を終了させる終了演出を実行した次の遊技において、前記報知期間が継続することを報知する演出である逆転継続演出を実行可能とし、 F 前記終了演出を実行する遊技以前の遊技において、その後実行される前記終了演出実行後に前記報知期間が継続することを示唆する途中継続演出を実行可能とした G ことを特徴とする遊技機。」 である点で一致し、相違点がない。 (4)審判請求人の主張について 平成29年6月7日付け審判請求書において請求人は 「今般の本願請求項1の補正によって、引用文献2に開示された発明の確変継続報知演出は、本願発明の途中継続演出に相当しないものとなりました。 つまり、本願発明における途中継続演出は、報知期間を終了させる終了演出を実行する遊技以前の遊技において、当該終了演出後に報知期間が継続することを、事前に遊技者に示唆するというものであり、一方、引用文献2に記載の発明において偽確変回数における最後の変動表示の際に行われる確変継続報知演出は、引き続き確変状態が継続することを報知する継続演出であって、事前に確変状態が継続することを遊技者に示唆するもの、すなわち終了演出を実行する遊技以前の遊技において実行されるものではありません。 よって、引用文献2に記載の発明の「確変継続報知演出」は、本願発明の「途中継続演出」に相当しません。 また、引用文献2に記載の発明が、終了演出を実行する遊技以前の遊技において、報知期間が終了演出の実行後に継続することを示唆する途中継続演出を実行可能としたという構成要件を備えていない以上、本願発明の上述のような効果を期待できるものでないことも明確です。 したがって、本願発明は、引用文献2に記載された発明と同一でも、引用文献2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明することができたものでもなく、本願は、特許法第29条第1項第3号及び同法第29条第2項の規定に該当せず、理由2、3の拒絶の理由は解消されたものと思料します。」と主張している。 しかしながら、上記(3)において既に検討したように、偽確変回数における最後の変動表示の際に確変継続報知演出が行われる場合には、該確変継続報知演出の後に偽確変回数カウンタが「0」であって特別図柄の可変表示が停止した画像を表示するものであり、また、該偽確変回数カウンタが「0」であって特別図柄の可変表示が停止した画像を表示することは、本件補正発明の「終了演出」に相当する。そして、刊行物発明の「偽確変回数カウンタが「0」と表示される変動表示」における「特別図柄の可変表示が停止した画像を表示するよりも前」の「特別図柄の可変表示」は、本件補正発明の「前記終了演出を実行する遊技以前の遊技」に相当するから、前記確変継続報知演出は終了演出を実行する遊技以前の遊技において実行されるものであって、刊行物発明の「確変継続報知演出」は、本件補正発明の「途中継続演出」に相当する。 よって、本件補正発明は、刊行物に記載された発明と同一であって、仮に相違点があったとしても、本件補正発明は、刊行物発明から当業者が容易に発明できたものであるから、上記主張は採用できない。 (5)小括 本件補正発明は、刊行物発明と同一である。また、仮に相違点があったとしても、本件補正発明は、刊行物発明から当業者が容易に発明できたものである。 よって、本件補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し又は特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4.むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 本件補正発明は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、平成29年2月15日付けの手続補正書により補正された、上記「第2 1.」の本件補正の概要において示したとおりのものである。 1.刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された特開2005-334266号公報の記載事項は、上記「第2 3.(2)」において示したとおりのものである。 2.対比・判断 本願発明は、本件補正発明の発明を特定するために必要な事項である「途中継続演出」について、「前記終了演出を実行する遊技以前の遊技において、その後実行される前記終了演出実行後に前記報知期間が継続することを示唆する途中継続演出を実行可能とした」の下線部の「終了」と限定する補正をした記載を限定前の記載に戻すものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2 3.(3)」において示したとおり、本件補正発明と刊行物発明とに相違点はないから、本願発明と刊行物発明との相違点もない。 したがって、本願発明は、刊行物発明と同一であり、刊行物に記載された発明であるということができる。また、仮に相違点があったとしても、本願発明は、刊行物発明から当業者が容易に発明できたものである。 3.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。または、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-01-09 |
結審通知日 | 2018-01-16 |
審決日 | 2018-01-29 |
出願番号 | 特願2016-3244(P2016-3244) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 秋山 斉昭 |
特許庁審判長 |
長崎 洋一 |
特許庁審判官 |
青木 洋平 蔵野 いづみ |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 特許業務法人タス・マイスター国際特許事務所 |