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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1338661
審判番号 不服2016-17264  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-18 
確定日 2018-04-10 
事件の表示 特願2012-535348「スプリットゲート電界効果トランジスタ」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 4月28日国際公開,WO2011/050115,平成25年 3月 7日国内公表,特表2013-508980,請求項の数(6)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2010年10月20日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2009年10月20日,米国,2010年8月26日,米国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成25年 5月31日 審査請求・手続補正書
平成26年 3月 6日 拒絶理由通知
平成26年 8月12日 意見書・手続補正書
平成27年 1月20日 最後の拒絶理由通知
平成27年 7月28日 意見書
平成28年 1月26日 拒絶理由通知
平成28年 6月28日 意見書・手続補正書
平成28年 7日13日 拒絶査定(以下,「原査定」という。)
平成28年11月18日 審判請求・手続補正書
平成30年 1月31日 最後の拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知」という。)
平成30年 3月 1日 意見書・手続補正書

第2 本願発明
本願請求項1ないし6に係る発明(以下,「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は,平成30年3月1日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
トレンチと,ゲート電極と,ソース電極とを有するスプリットゲート構造を有するスプリットゲート金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)装置であって,
前記ソース電極に接続されかつ前記トレンチ内に配置された第1のポリ層と,
前記第1のポリ層をソース電極に接続するソースコンタクトと,
前記ゲート電極に接続されかつ前記トレンチ内の前記第1のポリ層の上側に配置された第2のポリ層であって,前記第1のポリ層は分離酸化物によって前記第2のポリ層から遮蔽されている,前記第2のポリ層と
前記第2のポリ層をゲート電極に接続するゲートコンタクトと,
を含み,
前記トレンチ内の酸化物の上面と,活性領域本体の上面と,前記ソースコンタクトの上面と,前記ゲートコンタクトの上面とは同一平面上にあり, 前記トレンチ内の前記酸化物は,前記第2のポリ層と接触しておりかつ前記第2のポリ層の上にある,
前記スプリットゲートMOSFET装置。
【請求項2】
前記活性領域本体および前記ソースコンタクトは前記トレンチの外部に配置される,
請求項1の装置。
【請求項3】
前記スプリットゲート構造上に配置された金属層をさらに含む,請求項1の装置。
【請求項4】
前記活性領域本体および前記ソースコンタクトは前記トレンチの外部に配置される,請求項3の装置。
【請求項5】
前記スプリットゲート電界効果トランジスタ装置は,平面スプリットゲート電界効果トランジスタ装置であり,
前記第2のポリ層を前記ゲート電極に接続するゲートコンタクトであって,前記第1のポリ層および前記第2のポリ層は,いずれも実質的にその全体が前記トレンチ内に配置される,前記ゲートコンタクトと,
を含む,請求項1の装置。
【請求項6】
前記活性領域本体および前記ソースコンタクトは前記トレンチの外部に配置される,請求項5の装置。」

第3 引用文献,引用発明等
1 原査定の引用文献1について
原査定で引用された,特表2005-528796号公報には,図面とともに,次の記載がある。(下線は当審において付加した。以下同じ。)

ア 「【技術分野】
【0001】
この発明は,トレンチ・ゲート半導体装置,例えば,絶縁ゲート電界効果型電力トランジスタ(通例としてMOSFETと称する)又は絶縁ゲート・バイポーラトランジスタ(通例としてIGBTと称する)に関する。」

イ 「【0012】
複数実施形態において,前記フィールド・プレートが前記ゲートから絶縁され,前記フィールド・プレートは前記ソース領域に接続されてもよい。代わりに,それはゲート電位より高く,そして,前記ドレイン・ドリフト領域のバルク破壊電圧に近いバイアス電位に接続されてもよい。このように接続されたフィールド・プレートを有する装置とこれの製造方法とは本出願人の同時継続英国出願番号0212564.9に記載されており,この内容が関連技術として本出願の開示の一部とされる。」

ウ 「【0017】
図6はこの発明の電力半導体装置の実施形態を示している。各々が第一の導電型(この例ではn型)であるソース,ドレイン領域2,4が反対の第二の導電型(即ち,この例ではp型)であるチャネル形成領域6により分離されている。
【0018】
例として,図6は,領域4aが基板上のより高抵抗(より低ドープ)のエピタキシャル層により形成されたドレイン・ドリフト領域であり,ドレイン・コンタクト領域4bが比較的高導電性を有してもよい縦型構造を示している。ドレイン・ドリフト及びコンタクト領域4a,4bが両者間にジャンクション4cを形成している。ドレイン・コンタクト領域4bは領域4aと同じ導電型(この例ではn型)で縦型MOSFETを形成し,又は,それとは反対の導電型(この例ではp型)でIGBTを形成してもよい。
【0019】
領域2,6を貫き,そしてドレイン・ドリフト領域4a下部部位まで延在する第一のトレンチ部分10a内部にゲート8が存在している。この装置がオン状態時に電圧信号をゲート8に与えると,周知のように,領域6内に導電チャネル16を誘起させ,そしてソ-ス,ドレイン領域2,4間で,この導電チャネル16に流れる電流を制御する。
【0020】
MOSFETの場合には,装置の半導体本体20(通常は単結晶シリコン)の上部主面20aにおいてソ-ス領域2がソ-ス電極18とコンタクトがとられる。装置の半導体本体20の底部主面20bにおいて,ドレイン・コンタクト領域4bが,MOSFETの場合にはドレイン電極と呼ばれる電極22とコンタクトがとられる。IGBTにおいては,ソ-ス,ドレイン電極18,22はエミッタそしてコレクタとして知られる。
【0021】
フィールド・プレート24がゲート8とドレイン・ドリフト領域4aとの間の第二のトレンチ部分10b内に設けられている。このフィールド・プレートは,好ましくは,第一の導電型のドープされた多結晶シリコンにより形成される。代わりに,それは,例えば,金属で形成されてもよい。フィールド・プレート24はフィールド・プレート絶縁層26bにより周囲の半導体本体20から絶縁されている。ゲート8はゲート絶縁層26aによりフィールド・プレート24,半導体本体20,そして,ソ-ス,ドレイン電極28から絶縁されている。この層は,例えば,二酸化シリコンにより形成されてもよい。
【0022】
図6に示す実施形態においては,第二のトレンチ部分10bがドレイン・ドリフト,コンタクト領域4a,4bとの間のジャンクション4c近くの深さまで半導体本体20内に延在している。この分野において知られているように,実際には,領域4a,4bとの間にはドーピング変移領域があり,より高濃度にドープされたドレイン・コンタクト領域からドレイン・ドリフト領域へとドーパント原子の主な拡散が行われる。通常,この外方拡散はジャンクション4cの1から1.5ミクロン上部まで達する。好ましくは,第二のトレンチ部分10bは変移領域の直ぐ上の深さまで延在する。
【0023】
フィールド・プレート24が厚みt1の絶縁材料26bの層により第二のトレンチ部分10bの底部並びに横壁から分離されている。ゲート8が厚みt2の絶縁材料の層により半導体本体並びにフィールド・プレートから分離されている。例えば,厚みt2は38nm程度,これに対し,t1は0.4ミクロン程度でもよい。フィールド・プレートの下部(即ち,t1)に,特に,ドレイン・ドリフト領域4aのドーピング濃度を高めるために,比較的厚い層があると好ましく,これにより,トレンチのコーナ部に発生される高電界に耐えることができる。
【0024】
図7は図6の装置の線A-Aにおける断面図である。それは,如何にして,ゲート,ソース電極とは無関係に,半導体本体20の外部からフィールド・プレート24へ接続が成されるかの例を示している。
【0025】
ドープされた多結晶シリコン・コンタクト層39が第一のトレンチ部分10aの一端方向に設けられており,そして,フィールド・プレート24に電気的に接続されている。それはフィールド・プレートから装置の半導体本体20の上部主面20aへと延び,そこでフィールド・プレート・コンタクト電極41とコンタクトがとられている。第一のトレンチ部分10aの他端方向にゲート8がゲート・コンタクト電極40に電気的に接続されている。」

エ 図6,7には,以下の事項が記載されていると認められる。
第一のトレンチ部分10a,第二のトレンチ部分10bと,ゲート・コンタクト電極40,ソース電極18とを有する縦型MOSFETであって,
フィールド・プレートコンタクト電極41に接続する第二トレンチ部分10bに配置されたフィールド・プレート24と,
前記フィールド・プレート24をフィールド・プレートコンタクト電極41に接続する多結晶シリコン・コンタクト層39と,
ゲート・コンタクト電極40に接続する第二トレンチ部分10b内のフィールド・プレート24の上側に配置されたゲート8であって,ゲート絶縁層26aによって,フィールド・プレート24から絶縁されているゲート8と,
ゲート8とゲート・コンタクト電極40が接続され,
第1のトレンチ部分10a内のゲート絶縁膜26aは,ゲート8と接触している縦型MOSFET。

(2)引用発明
前記(1)の記載から,引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

第一のトレンチ部分10a,第二のトレンチ部分10bと,ゲート・コンタクト電極40,ソース電極18とを有する縦型MOSFETであって,
フィールド・プレートコンタクト電極41に接続する第二トレンチ部分10bに配置された第一の導電型のドープされた多結晶シリコンからなるフィールド・プレート24と,
前記フィールド・プレート24をフィールド・プレートコンタクト電極41に接続する多結晶シリコン・コンタクト層39と,
ゲート・コンタクト電極40に接続する第二トレンチ部分10b内のフィールド・プレート24の上側に配置されたゲート8であって,ゲート絶縁層26aによって,フィールド・プレート24から絶縁されているゲート8と,
ゲート8とゲート・コンタクト電極40が接続され,
第一のトレンチ部分10a内のゲート絶縁層26aは,ゲート8と接触している縦型MOSFET。

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)本願発明1と引用発明との対比
ア 引用発明の「第一のトレンチ部分10a,第二のトレンチ部分10b」,「ゲート・コンタクト電極40」,「ソース電極18」,「縦型MOSFET」は,各々本願発明1の「トレンチ」,「ゲート電極」,「ソース電極」,「金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)装置」に相当する。

イ 引用発明の「フィールド・プレート24」は,第二トレンチ部分10bに配置された第一の導電型のドープされた多結晶シリコンからなることから,後記相違点2の点を除き,本願発明1の「トレンチ内に配置された第1のポリ層」という意味で共通する。

ウ 引用発明の「ゲート8」は,ゲート・コンタクト40に接続する第二トレンチ部分10b内のフィールド・プレート24の上側に配置され,ゲート絶縁層26aによって,フィールド・プレート24とは分離されていることから,後記相違点3の点を除き,本願発明1の「ゲート電極に接続されかつトレンチ内の前記第1のポリ層の上側に配置された第2のポリ層であって,前記第1のポリ層は分離酸化物によって第2のポリ層から分離されている第2のポリ層」という意味で共通する。

エ 引用発明の「ゲート8とゲート・コンタクト電極40が接続」されている点は,本願発明1の「第2のポリ層をゲート電極に接続するゲートコンタクト」の点に相当する。

オ 引用発明の「第一のトレンチ部分内10aのゲート絶縁層26aは,ゲート8と接触している」点は,本願発明1の「トレンチ内の前記酸化物は,前記第2のポリ層と接している」点に相当する。

そうすると,本願発明1と引用発明とは,以下のカの点で一致し,以下のキの点で相違する。

カ 一致点
トレンチと,ゲート電極と,ソース電極とを有する金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)装置であって,
前記トレンチ内に配置された第1のポリ層と,
前記ゲート電極に接続されかつ前記トレンチ内の前記第1のポリ層の上側に配置された第2のポリ層であって,前記第1のポリ層は分離酸化物によって前記第2のポリ層から分離されている,前記第2のポリ層と,
前記第2のポリ層をゲート電極に接続するゲートコンタクトと,
前記トレンチ内の前記酸化物は,前記第2のポリ層と接触している
MOSFET装置。

キ 相違点
相違点1
本願発明1では,「スプリットゲート構造を有するスプリットゲート金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)装置」であるのに対して,引用発明では,スプリットゲート型構造であることを明示していない点。

相違点2
本願発明1では,「第1のポリ層」は,「ソース電極に接続するソースコンタクト」を有するのに対して,引用発明では,そのような接続を有しない点。

相違点3
本願発明1では,「第1のポリ層は分離酸化物によって第2のポリ層から遮蔽されている」のに対して,引用発明では,ゲート8は,ゲート絶縁層26aによって,フィールド・プレート24とは分離されているが,遮蔽されているとは明示されていない点。

相違点4
本願発明1では,「トレンチ内の酸化物の上面と,活性領域本体の上面と,ソースコンタクトの上面と,ゲートコンタクトの上面とは同一平面上にあ」るのに対して,引用発明では,そのような構成になっていない点。

相違点5
本願発明1では,「トレンチ内の酸化物は」,「第2のポリ層の上にある」のに対して,引用発明では,トレンチ内のゲート絶縁膜26aは,ゲート8の上部にはない点。

(2)相違点についての検討
相違点4について検討する。
相違点4に係る構成は,引用文献1には記載も示唆も無い。
また,上記相違点4を有する事により,本願発明1は,活性領域及びソースコンタクトと同一平面上において,第1のポリ層を前記ソース電極への接続し,前記第2のポリ層を前記ゲート電極へと接続する事を可能にする,という有利な効果を奏する。(本願明細書の段落【0009】,【0014】参照)

(3)まとめ
したがって,本願発明1は,引用文献1に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2 本願発明2ないし6について
本願発明2ないし6は,本願発明1を引用し,本願発明1の発明特定事項を全て含み,さらに他の発明特定事項を付加したものに相当するから,本願発明1が引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上,本願発明2ないし6も引用文献1に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとは認められない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は,請求項1ないし6について,上記引用文献1に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることできない,及び請求項1ないし6について,「電界効果トランジスタ」としての具体的な構成を把握することができないから,特許法第36条第6項第2号により,特許を受けることができない,というものである。
しかしながら,平成30年3月1日付け手続補正書により補正された請求項1には,「前記トレンチ内の酸化物の上面と,活性領域本体の上面と,前記ソースコンタクトの上面と,前記ゲートコンタクトの上面とは同一平面上にあ」る構成を含むものであり,前記第4で検討したとおり,上記引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また,請求項1ないし6に係る発明は,IGBT等と併記して説明されていることから,「電界効果トランジスタ」として一般的な縦型素子であることが理解できるから,縦型素子として一般的なチャネル領域やドレイン領域を備えていることは明らかであり,請求項1ないし6に係る発明は具体的な構成を把握することができる。
したがって,原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
当審では,「第1のポリ層の下側に配置された第2のポリ層」という記載が「第1のポリ層の上側に配置された第2のポリ層」の誤記であることから,特許法第36条第6項第2号について拒絶の理由を通知しているが,平成30年3月1日付けの補正によって,「第1のポリ層の上側に配置された第2のポリ層」と補正された結果,この拒絶理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり,本願発明1は当業者が引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではなく,また不明確なものでもない。
したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-03-29 
出願番号 特願2012-535348(P2012-535348)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H01L)
P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 綿引 隆杢 哲次  
特許庁審判長 鈴木 匡明
特許庁審判官 加藤 浩一
大嶋 洋一
発明の名称 スプリットゲート電界効果トランジスタ  
代理人 舛谷 威志  
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