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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
管理番号 1338738
審判番号 不服2016-2896  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-26 
確定日 2018-03-22 
事件の表示 特願2011-192427「包装体」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月21日出願公開、特開2013- 52904〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成23年9月5日の出願であって、平成27年11月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成28年2月26日に拒絶査定を不服として審判請求がなされると同時に手続補正書が提出された。
当審において、平成29年4月27日付けで拒絶理由通知を通知し、これに対し、平成29年7月6日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年10月6日付けで拒絶理由を通知し、これに対し、平成29年12月7日に意見書及び手続補正書が提出された。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成29年12月7日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1により特定される次のとおりのものと認める(以下、「本願発明」という)。
「最内層に熱接着性樹脂層を有する同一形状の積層体を2枚のみ対向配置して周縁を熱接着部により熱接着して形成された包装体であって、外側に向かって突出して先端及び両側が熱接着して形成された管状の注出部と、前記注出部に挿嵌された樹脂成型品の筒状体と、前記熱接着部に形成された吊り下げ用の孔部とを備え、前記孔部は前記注出部の突出方向とは反対方向に前記注出部と対向して配され、前記注出部の両側方の前記熱接着部が前記注出部の内側に突出して形成された突出部が前記筒状体に当接し、前記筒状体及び医療用内容物がともに内部に密封されていることを特徴とする包装体。」

3.当審拒絶理由の概要
平成29年10月6日付けの当審拒絶理由の概要は以下のとおりである。
「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1について
・引用文献1?2、5、6
・備考

引 用 文 献 等 一 覧

1.特開平10-258873号公報
2.特開2001-240084号公報
3.特開平10-236488号公報
4.実願昭56-54250号(実開昭57-167048号)のマイクロフィルム
5.特開2000-281061号公報
6.特開平10-129690号公報」

4.当審の判断
(1)引用文献及び引用発明
ア.上記当審の拒絶理由に引用された特開平10-258873号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図1?3とともに、次の事項が記載されている。
(a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スタンディングパウチに関し、詳しくは、内容物である界面活性剤を含有する液状組成物を、手軽に、迅速に且つ確実に他の容器に移し替えることのできるスタンディングパウチに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、二つの側面部と下部に空間を有する底面部とからなり、且つ上方に行くに従って横断面の断面積が漸減する立体形状を形成するように上記側面部の上端部が接着されてなる自立可能なスタンディングパウチが、詰替用組成物の収容容器等として食料品分野を中心に汎用されている。」
(b)「【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明のスタンディングパウチの一実施形態について図面を参照して説明する。ここで、図1?図3は、本発明に係るスタンディングパウチの一実施形態を示すもので、図1は全体斜視図、図2は要部拡大図、図3は図1のA-A線断面図である。本実施形態のスタンディングパウチ1は、図1に示すように、二つの側面部2,2と下部に空間Sを有する底面部3とからなり、且つ上方に行くに従って横断面の断面積が漸減する立体形状を形成するように上記側面部2,2の上端部が接着されたパウチ本体4を主体として構成され、該パウチ本体4には内容物として液状組成物が充填されると共に該パウチ本体4の上端隅部に該内容物の取出部5が設けられている。上記取出部5内には注出円筒体6が嵌挿され、上記取出部5の先端5aを切断することにより注出口が開口するようになしてある。」
(c)「【0010】上記内容物の取出部5は、図2に示すように、上記パウチ本体4の上端隅部に略45の角度で上方に突出するような形態とされており、該取出部5内には、上記側面部2,2それぞれに形成された窪み部を対向させて近接配置することによって形成された薬のカプセル様の連通空間7が形成されている。上記連通空間7は、パウチ本体4内部側の端部7aにおいては上記液状組成物が充填された内部空間8に連通されており、他端部7b及び両側端部は接合部9により囲繞され封止されている。尚、図2においては、上記取出部5における手前側の側面部2bの図示を省略してある。」
(d)「【0011】上記注出円筒体6は、所定の厚みを有するプラスティック製の円筒体であり、その外径は上記連通空間7の内径と略等しい。そして、その外周面を上記連通空間7の内周面に密着させた状態で該連通空間7内に配置されている。上記連通空間7内の注出円筒体6は、その外周面の一部10を連通空間7の内壁面に溶着されて該連通空間7の長さ方向略中央部に固定されている。そして、このような構成を有する取出部5の先端を切断することにより上記内容物の注出口が開口するようになしてある。より詳細には、上記連通空間7の取出部5先端よりの位置(図2中、一点鎖線Bで示す。)を、挟み等で切断することにより上記連通空間7に囲繞された注出口が開口するようになっている。以上のような構成は従来公知のスタンディングパウチにおけるの同様である。」
(e)「【0017】上記底面部及び両側面部に使用されるシート(フィルム)の素材は、特に制限されるものではないが、本発明のスタンディングパウチを詰替え用のリフィール容器として使用する場合には、…、シートは単層シートであっても積層シートであっても良いが、特に厚さ60?200μmのLLDPE製フィルムを少なくとも一層とする積層シートが好ましい。このような積層シートを使用すると、上記形態の注出口の形成を容易に行うことができる。また、注出操作時にスタンディングパウチの形状が安定して詰め替え作業がより容易になる。また、シート同士の接合方法も、熱溶着等の従来公知の各種の方法を用いることができる。また、本発明のスタンディングパウチに充填する特定の含有率で界面活性剤を含み且つ特定の粘度を有する液状組成物としては、食器用洗剤、住居用洗剤、衣料用洗剤等を挙げることができる。」

上記(e)より、LLDPE製フィルムを少なくとも一層とする積層シートを使用して、シート同士の接合方法として、熱溶着を用いることができることより、技術常識からみて、LLDPE製フィルムを最内層に積層するものと認められ、以上の記載事項及び図面によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認めることができる。
「最内層にLLDPE製フィルム層を有する積層シートからなる二つの側面部2,2と底面部3とからなり、且つ上方に行くに従って横断面の断面積が漸減する立体形状を形成するように上記側面部2,2の上端部が接着されたパウチ本体4の周縁を熱溶着等の接合部9により接合したパウチ本体4からなるスタンディングパウチであって、上端隅部に上方に向かって突出するように、先端5a及びその両側が接合部9により熱溶着して形成された管状の取出部5と、前記取出部5に嵌挿されたプラスチック製の注出円筒体6とを備え、前記取出部5内には一端部を液体組成物が充填された内部空間8に連通し、他端部を接合部9により封止した連通空間7が形成されており、前記注出円筒体6は前記連通空間7内に配置されているスタンディングパウチ。」

イ.上記当審の拒絶理由に引用された特開2001-240084号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図1?21とともに、次の事項が記載されている。
(a)「【0022】図3は本実施態様のための液体等用注出袋の一例の部分平面図を示す。袋の周囲はシーリングされて、収納物質は密封されており、収納物質を取り出すための連通路10が液体等収納部分11に面して設けられており、さらに当該連通路10は開口予定部位9に通じている。ここで、連通路10及び開口予定部位9はそれら周囲をシーリングすることによって形成されている。」
(b)「【0023】収納物質を取り出す際、開口予定部位9の位置する部分の一個所を前記開口予定部位9に面する連通路10の幅を確保し、開口できるように切除し、連通路10に両端が開口した管状体を挿着する。」
(c)「【0024】また、図4に本発明液体等用注出袋の他の一例の部分平面図として示すように、連通路16の両側面に凸状部13を形成するようにシーリングすれば、管状体を挿着した場合、上記凸状部13による滑り止め効果のため、管状体がより強く固定され、注出作業時の安定性が更に向上する。さらに、注出時にも管状体と上記凸状部とが圧接するため、液状物等が開口部と管状体間の隙間から漏出することもない。」
(d)「【0025】図5に収納物質の注出部位の部分拡大図の一例を示す。連通路22の両側面に付与する凸状部19は図5に示すように連続的なものであってもよいし、凸状部間に間隔がある間欠的なものであってもよいし、又は双方の側面の凸状部が互い違いに設けてもよい。さらに、凸状部の形状は限定されず、半円形、反楕円形、三角形、四角形の他、多角形等であっても良い。」

以上の記載事項及び図3?5によれば、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2に記載の事項」という。)が記載されていると認めることができる。
「袋の周囲をシーリングされ、液体等を抽出可能な袋において、収納物質を取り出すための連通路の両側面に凸状部を形成するようにシーリングし、連通路に装着した管状体と前記凸状部を圧接させ、抽出時に液体等が連通路の開口部と前記管状体間の隙間から漏出することが無いようにする点。」

(2)対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「最内層にLLDPE製フィルム層を有する」「積層シート」は本願発明の「最内層に熱接着性樹脂層を有する積層体」に相当し、同じく「熱溶着」は「熱接着」に、「接合部9」は「熱接着部」に、「スタンディングパウチ」は「包装体」に、「上端隅部に上方に向かって突出する」は「外側に向かって突出し」に、「先端5a及びその両側」は「先端及び両側」に、「先端5a及びその両側が接合部9により熱溶着して形成された管状の取出部5」は「先端及び両側が熱接着して形成された管状の注出部」に、「前記取出部5に嵌挿されたプラスチック製の注出円筒体6」は「前記注出部に挿嵌された樹脂成型品の筒状体」に、「液体組成物」は「内容物」に、「取出部5内には一端部を液体組成物が充填された内部空間8に連通し、他端部を接合部9により封止した連通空間7が形成されており、前記注出円筒体6は前記連通空間7内に配置されている」は「筒状体及び内容物がともに(包装体)内部に密封されている」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「積層シートからなる二つの側面部2,2と底面部3とからなり、且つ上方に行くに従って横断面の断面積が漸減する立体形状を形成するように上記側面部2,2の上端部が接着されたパウチ本体4の周縁を熱溶着等の接合部9により接合したパウチ本体4からなる」「前記取出部5内には一端部を液体組成物が充填された内部空間8に連通し、他端部を接合部9により封止した連通空間7が形成されており、前記注出円筒体6は前記連通空間7内に配置されているスタンディングパウチ」と、本願発明の「同一形状の積層体を2枚のみ対向配置して周縁を熱接着部により熱接着して形成され」「前記筒状体及び医療用内容物がともに内部に密封されている包装体」とは「積層体を周縁を熱接着部により熱接着して形成され」「前記筒状体及び内容物がともに内部に密封された包装体」の限りにおいて共通する。
したがって、両者は、
「最内層に熱接着性樹脂層を有する積層体を周縁を熱接着部により熱接着して形成された包装体であって、外側に向かって突出して先端及び両側が熱接着して形成された管状の注出部と、前記注出部に挿嵌された樹脂成型品の筒状体と、前記注出部の両側方の前記熱接着部が前記注出部の内側に突出して形成された突出部が前記筒状体に当接し、前記筒状体及び内容物がともに内部に密封されている包装体。」
である点で一致し、次の点で相違している。

[相違点1]
本願発明では、包装体が「同一形状の積層体を2枚のみ対向配置して周縁を熱接着部により熱接着して形成され」、「医療用内容物が内部に密封されている」のに対して、引用発明では包装体が「二つの側面部2,2と底面部3とからなり、且つ上方に行くに従って横断面の断面積が漸減する立体形状を形成するように上記側面部2,2の上端部が接着されたパウチ本体4の周縁を熱溶着等の接合部9により接合したパウチ本体4からな」り、液体組成物が内部に密封されている点。

[相違点2]
本願発明では、「注出部の両側方の前記熱接着部が前記注出部の内側に突出して形成された突出部が前記筒状体に当接し」ているのに対して、引用発明では、このような構成を有していない点。

[相違点3]
本願発明では、「熱接着部に形成された吊り下げ用の孔部とを備え、前記孔部は前記注出部の突出方向とは反対方向に前記注出部と対向して配され」ているのに対して、引用発明では、このような構成を有していない点。

上記相違点1について検討すると、
周縁を熱溶着し、外側に向かって突出する注出部を設けたプラスチックフィルムの袋は汎用性があり、様々な液体組成物に使用することは周知技術にすぎない(例えば、上記4.(1)(a)、特開2011-111186号公報の段落【0002】、【0020】、図2、又は特開2011-73782号公報の段落【0002】?【0003】、図1、又は特開2007-30944号公報の段落【0010】?【0012】、図13参照)。
そして、袋の内容物を、医療現場で医療従事者が使用するような医療用の内容物に限定したことで、それによって当業者が予測できないような格別な効果を奏するものとも認められないから、引用発明のスタンディングパウチを、液体組成物を内部に密封する替わりに、「医療用の内容物」を内部に密封するために用いることは当業者が適宜なす程度の事項にすぎないと認める。
また、上記引用文献5(特開2000-281061号公報)には、液体組成物を内部に密封するプラスチック袋を、同一形状のフィルムを2枚のみ対向配置して周縁を熱接着部により熱接着して形成する点(図8において吊下穴13bを設けた縁部が1つである点をを参照)が記載されており、液体組成物が「医療用の内容物」の場合にも、プラスチック袋として、(自立性のある袋を用いずに)同一形状のフィルムを2枚のみ対向配置して周縁を熱接着部により熱接着して形成される自立性のない普通の形態の袋を用いることが適宜行われていると認められる(例えば、実願昭56-46034号(実開昭57-160740号)のマイクロフィルムの3頁6?10行、第1?2図参照)。
よって、液体組成物を内部に密封するプラスチック袋を、同一形状のフィルムを2枚のみ対向配置して周縁を熱接着部により熱接着して形成することは周知技術にすぎないと認める。
以上を総合すると、本願発明が包装体の内容物を「医療用」に、包装体の形態を「同一形状の積層体を2枚のみ対向配置して周縁を熱接着部により熱接着して形成され」としたことは、いずれも当業者が適宜なし得た事項にすぎず、それによって当業者が予測できないような格別な効果を奏したとも認められないから、これらの点は当業者が容易になし得たことであると認める。
次に、上記相違点2について検討すると、
引用文献2には、上記「引用文献2に記載の事項」(4.(1)イ参照)が記載されており、当該事項は「袋の周囲をシーリングされ、液体等を抽出可能な袋において、収納物質を取り出すための連通路の両側面に凸状部を形成するようにシーリングし、連通路に装着した管状体と前記凸状部を圧接させ、抽出時に液体等が連通路の開口部と前記管状体間の隙間から漏出することが無いようにする点。」というものであるところ、これを本願発明の用語で表現すれば、引用文献2に記載の事項の「袋」は本願発明1の「包装体」と表現でき、同様に「連通路」は「注出部」と、「凸状部」は「突出部」と、「管状体」は「筒状体」と、それぞれ表現できる。
したがって、当該事項は「包装体の周囲をシーリングされ、液体等を抽出可能な包装体において、収納物質を取り出すための注出部の両側面に突出部を形成するように熱接着し、注出部に装着した筒状体と前記突出部を圧接させ、抽出時に液体等が注出部の開口部と前記筒状体間の隙間から漏出することが無いようにする点。」と表現できる。
そして、上記「引用文献2に記載の事項」は、「周縁を熱接着部により熱接着して形成された包装体であって」、「注出部に挿嵌された筒状体と」、「前記注出部の両側方の前記熱接着部が前記注出部の内側に突出して形成された突出部が前記筒状体に当接し」た構成を有し、「抽出時に液体等が注出部の開口部と前記筒状体間の隙間から漏出することが無い」と言い改めることができ、当該事項を引用発明に適用して、引用発明の注出円筒体6を嵌挿する取出部5の両側方の接合部9が前記取出部5の内側に突出して形成された突出部が抽出円筒体6に当接するように前記接合部9を形成し、前記取出部5の連通空間7と前記注出円筒体6の間に隙間ができることを防ぎ、抽出時に液体等が前記隙間から漏出することが無いようにすることは当業者が容易になし得たことであると認める。
また、包装体の内容物を「医療用」に限定した場合でも、同様な効果を奏することは明らかであり、当業者が予測できないような格別な効果を奏したとは認められない。
次に、上記相違点3について検討すると、
一般に、液状組成物を内部に密封するプラスチック袋を「熱接着部に形成された吊り下げ用の孔部とを備え、前記孔部は前記注出部の突出方向とは反対方向に前記注出部と対向して配され」ている構成とすることは周知技術にすぎない{例えば、引用文献5(特開2000-281061号公報)の段落【0026】及び図9、又は実願昭56-46034号(実開昭57-160740号)のマイクロフィルムの4頁8?10行参照}。
したがって、引用発明のパウチに当該周知技術を適用して「熱接着部に形成された吊り下げ用の孔部とを備え、前記孔部は前記注出部の突出方向とは反対方向に前記注出部と対向して配され」ている構成とすることは当業者が容易になしえたことであると認める。

また、本願発明の作用効果も、引用発明及び引用文献2に記載の事項並びに周知技術から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものとは認められない。

5.請求人の主張について
なお、請求人は平成29年12月7日提出の意見書において、「詰め替え用洗剤を密封する包装体は、プラスチック容器に、移し替えるために必要な量の洗剤が予め密封されています。また、プラスチック容器への充填時に、包装体を逆さまに保持しながら充填作業を行う必要があります。このため、包装体の容量に対して、縦横のサイズが大きくなる平パウチ型の包装体は採用せず、スタンディングパウチ型の包装体が採用されることが一般的です。」と主張しているが、上記引用文献5には平パウチ型包装体に相当する詰め替え用パック13が示されており、必ずしも、詰め替え用洗剤を密封する包装体は、平パウチ型の包装体は採用せず、スタンディングパウチ型の包装体が採用されることが一般的とはいえず、前記主張は根拠がない。
一方、食品や洗剤、薬剤を内部に密封可能なプラスチック袋に、底のある自立型のものを用いること及び平袋型のものを用いることは、いずれも周知技術にすぎず(例えば、特開平11-301700号公報の段落【0002】?【0003】、図5(d)?(e)、又は登録実用新案第3152771号公報の段落【0017】、【0026】、図1、図4参照)、(構造)製造の難易や保存・運搬の形態等を考慮して、当業者が適宜選択し得たものと認める。
よって、請求人の主張には理由がない。

6.むすび
以上より、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載の事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-01-18 
結審通知日 2018-01-23 
審決日 2018-02-05 
出願番号 特願2011-192427(P2011-192427)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長谷川 一郎  
特許庁審判長 長屋 陽二郎
特許庁審判官 関谷 一夫
熊倉 強
発明の名称 包装体  
代理人 特許業務法人 佐野特許事務所  

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