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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1338757 |
審判番号 | 不服2017-4304 |
総通号数 | 221 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-03-27 |
確定日 | 2018-03-22 |
事件の表示 | 特願2013- 63004「携帯電子機器及びその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 2日出願公開、特開2014-187663〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯及び本願発明 1 手続の経緯 本件出願は、平成25年3月25日の出願であって、平成28年8月23日付けで拒絶理由の通知がなされ、これに対し、平成28年10月25日付けで手続補正がなされたが、平成28年12月20日付け(発送日平成29年1月4日)で拒絶査定がなされた。 本件は、上記拒絶査定を不服として平成29年3月27日付けで請求された拒絶査定不服審判である。 2 本願発明 本願の請求項1?5に係る発明は、平成28年10月25日付け手続補正により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?5に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項3に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 (本願発明) (A)筐体と、 (B)前記筐体に設けられて、画像を撮影する撮影部と、 (C)前記筐体に設けられて、被写体に向けて光を出射する光出射部と、 (D)前記筐体と被写体との間の距離又は撮影領域の明るさに基づいて前記光出射部から出射される光量を制御する処理部と、 を備え、 (E)前記処理部は、前記撮影部のフレームレートに同期させて前記光量を制御する (F)ことを特徴とする携帯電子機器。 ((A)?(F)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。) 第2 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明 1 引用文献の記載事項 原査定における拒絶の理由に引用された特開2009-159410号公報(以下「引用文献」という。)には、「撮像装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 (下線は当審が付与した。) 「【0002】 近年、デジタル機器の製造技術、及び情報処理技術の急速な発展に伴い、高性能で低価格なデジタル機器が容易に手に入るようになり、種々のデジタル機器が広く一般に普及してきた。その中でも、デジタルスチルカメラは、広く一般に普及したデジタル機器の1つである。デジタルスチルカメラを含め、撮像機能を搭載したデジタル機器(以下、撮像装置)には、被写体を照明するための照明手段としてフラッシュが搭載されているものが多い。また、最近の撮像装置には、動画像を撮影する動画撮影機能が搭載されている。」 「【0019】 図1に示すように、撮像装置100は、主に、CCD(charge coupled device)102と、CDS/AMP部104と、A/D変換部106と、画像入力制御部108と、バス110と、測光部112と、画像信号処理部114と、記録媒体制御部116と、記録媒体118と、タイミングジェネレータ120と、照明光量制御部122と、光源124と、CPU(central processing unit)126と、シャッター128と、メモリ132と、圧縮処理部134と、ビデオエンコーダ136と、画像表示部138と、動画シーケンサ202と、動画メモリ204とにより構成される。」 「【0034】 (タイミングジェネレータ120) タイミングジェネレータ120は、CCD102の各画素による露光期間や電荷の読み出しタイミングを制御すると共に、CDS/AMP部104によるノイズ低減回路を制御する手段である。そのため、タイミングジェネレータ120は、CCD102、CDS/AMP部104の各々に対してタイミング信号を入力する。さらに、タイミングジェネレータ120は、照明光量制御部122、動画シーケンサ202に対し、CCD102から電荷を読み出す際の垂直同期信号を入力する。 【0035】 (照明光量制御部122、光源124) 照明光量制御部122は、光源124から発光される照明光の光量を制御する手段である。つまり、照明光量制御部122は、光量制御部の一例である。照明光量制御部122は、後述するCPU126の総合照度判定機能、及び外光照度判定機能による判定結果に応じて光源124の消灯又はその光量を低減させる。このとき、照明光量制御部122は、光源124が消灯又は所定光量に達するまで段階的に光量を低減させてもよい。但し、照明光量制御部122は、タイミングジェネレータ120により入力された垂直同期信号に同期して段階的に光量を低減させることができる。」 「【0044】 図6に示すように、通常、CPU126から入力される制御信号は、その強度が変化するタイミングが垂直同期信号に同期していない。この垂直同期信号は、CCD102の上から下へと電荷を読み出すタイミングを示したものである。そのため、読み出し開始位置(A)間で照明光量が変化すると、その照明光量の変化に応じて画像の途中で輝度レベルが変化してしまい、例えば、下半分だけが明るい画像になってしまう。そのため、CPU126から入力される制御信号の光量変更タイミングを垂直同期信号の電荷読み出しタイミングに同期させる必要がある。そこで、同期回路1228は、制御信号の光量変更タイミングを垂直同期信号に同期させ、図6に示すような同期後の制御信号を電流制限回路1230に入力する。」 「【図6】 」 2 引用文献に記載された発明 段落【0002】、【0019】によると、「撮像機能を搭載したデジタル機器」は、「CCD」、「タイミングジェネレータ」、「照明光量制御部」、「光源」、「CPU」を備えている。 段落【0034】によると、「タイミングジェネレータは、照明光量制御部に対し、CCDから電荷を読み出す際の垂直同期信号を入力する」。 段落【0035】によると、「照明光量制御部は、垂直同期信号に同期して、CPUの総合照度判定機能、及び外光照度判定機能による判定結果に応じて光源の光量を低減させる」。 段落【0044】によると、「光量変更タイミングを垂直同期信号の電荷読み出しタイミングに同期させる」。 以上によれば、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 (引用発明) (a)CCDと、 (b)タイミングジェネレータと、 (c)光源と、 (d)照明光量制御部と、 (e)CPUとを備え、 (f)前記タイミングジェネレータは、前記照明光量制御部に対し、前記CCDから電荷を読み出す際の垂直同期信号を入力し、 (g)前記照明光量制御部は、前記垂直同期信号に同期して、前記CPUの総合照度判定機能、及び外光照度判定機能による判定結果に応じて前記光源の光量を低減させ、 (h)光量変更タイミングを前記垂直同期信号の電荷読み出しタイミングに同期させる (i)ことを特徴とする撮像機能を搭載したデジタル機器。 なお、(a)?(i)は、構成を識別するために付与した。以下各構成を「構成a」等という。 第3 対比及び一致点、相違点 1 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)構成要件Aと構成iとを対比する。 引用発明は、「撮像機能を搭載したデジタル機器」であって、1つの独立した機器と認められ、筐体を有することは明らかである。 したがって、本願発明と引用発明とは、「筐体」を備える点で一致する。 (2)構成要件Bと構成aとを対比する。 構成aの「CCD」は、構成要件Bの「画像を撮影する撮影部」に相当する。 上記(1)を考慮すると、本願発明と引用発明とは、「前記筐体に設けられて、画像を撮影する撮影部」を備える点で一致する。 (3)構成要件Cと構成cとを対比する。 構成cの「光源」は、「撮像機能を搭載したデジタル機器」が備える「光源」であるから、構成要件Cの「被写体に向けて光を出射する光出射部」に相当する。 上記(1)を考慮すると、本願発明と引用発明とは、「前記筐体に設けられて、被写体に向けて光を出射する光出射部」を備える点で一致する。 (4)構成要件Dと構成d、gとを対比する。 構成d、gの「照明光量制御部」は、「前記垂直同期信号に同期して、前記CPUの総合照度判定機能、及び外光照度判定機能による判定結果に応じて前記光源の光量を低減させ」るものであって、「前記CPUの総合照度判定機能、及び外光照度判定機能による判定結果に応じ」ることは、「撮影領域の明るさに基づく」ことといえるから、「照明光量制御部」は「撮影領域の明るさに基づいて前記光出射部から出射される光量を制御する処理部」といえる。 構成要件Dの「前記筐体と被写体との間の距離又は撮影領域の明るさに基づいて」は、択一的なものであり、「前記筐体と被写体との間の距離」と「撮影領域の明るさ」とのどちらかに基づくことであるから、上記「撮影領域の明るさに基づいて前記光出射部から出射される光量を制御する処理部」といえる構成d、gの「照明光量制御部」は、構成要件Dに相当する。 したがって、本願発明と引用発明とは、「前記筐体と被写体との間の距離又は撮影領域の明るさに基づいて前記光出射部から出射される光量を制御する処理部」を備える点で一致する。 (5)構成要件Eと構成f、g、hとを対比する。 引用発明の「照明光量制御部」は、前記CCDから電荷を読み出す際の垂直同期信号に同期して、前記光源の光量を低減させるから、「前記処理部は、同期させて前記光量を制御する」として、本願発明と共通する。 しかしながら、「同期させて」が、本願発明においては、「前記撮影部のフレームレートに」同期させるのに対し、引用発明においては、「前記CCDから電荷を読み出す際の垂直同期信号に同期」させ、さらに、「光量変更タイミングを前記垂直同期信号の電荷読み出しタイミングに同期させる」点で一応相違する。 (6)構成要件Fと構成iとを対比する。 構成iの「撮像機能を搭載したデジタル機器」は、携帯できることが普通に想定され、構成要件Fの「携帯電子機器」と一致する。 2 一致点、相違点 以上上記対比から、本願発明と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。 (一致点) 筐体と、 前記筐体に設けられて、画像を撮影する撮影部と、 前記筐体に設けられて、被写体に向けて光を出射する光出射部と、 前記筐体と被写体との間の距離又は撮影領域の明るさに基づいて前記光出射部から出射される光量を制御する処理部と、 を備え、 前記処理部は、同期させて前記光量を制御する ことを特徴とする携帯電子機器。 (相違点) 「同期させて」が、本願発明においては、「前記撮影部のフレームレートに」同期させるのに対し、引用発明においては、「前記CCDから電荷を読み出す際の垂直同期信号に同期」させ、さらに、「光量変更タイミングを前記垂直同期信号の電荷読み出しタイミングに同期させる」点 第4 判断 はじめに、本願発明における「上記処理部は、前記撮影部のフレームレートに同期させて前記光量を制御する」がどのようなことを意味しているのか検討する。 本願明細書の段落【0042】、【0063】、【0078】には、 「処理部22がモバイルライト42の光量を少しずつ目標値まで変化させる場合には、処理部22がフレームレートに同期してモバイルライト42の光量を少しずつ変化させても良い。」 と記載され、同段落【0043】、【0064】、【0079】には、 「フレームレートが15fpsの場合には、フレーム間隔は、約67ms(=1/15)であるので、処理部22が、67ms毎にモバイルライト42の光量の上げ下げを行い、例えば20フレームでモバイルライト42の光量を目標値に合わせるようにすればよい。」と記載されている。 上記記載を参酌すると、本願発明における「上記処理部は、前記撮影部のフレームレートに同期させて前記光量を制御する」ことは、処理部が「フレーム間隔毎に光量を変化させる」ことを意味しているものと認められる。 一方、引用発明は、「前記CCDから電荷を読み出す際の垂直同期信号に同期」させて光量を制御し、さらに、「光量変更タイミングを前記垂直同期信号の電荷読み出しタイミングに同期させる」ものである。引用発明の垂直同期信号は、CCDから電荷を読み出すための信号であるから、画像を確定するための信号といえる。また、引用発明は、「光量変更タイミングを前記垂直同期信号の電荷読み出しタイミングに同期させる」から、垂直同期信号が入力される前の期間においては、光量が一定になっているものである。そうすると、垂直同期信号と次の垂直同期信号との間隔は、1つの画像を得るための間隔であり、フレーム間隔といえる。 したがって、引用発明における処理部が「前記CCDから電荷を読み出す際の垂直同期信号に同期」させて光量を制御し、さらに、「光量変更タイミングを前記垂直同期信号の電荷読み出しタイミングに同期させる」ことは、引用発明における処理部が「フレーム間隔毎に光量を変化させる」こと、すなわち、「フレームレートに同期して光量を変化させる」ことといえる。 よって、上記相違点は実質的な相違点ではなく、本願発明と引用発明とは一致する。 第5 むすび 以上のとおり、本願の請求項3に係る発明は、引用文献に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-01-16 |
結審通知日 | 2018-01-23 |
審決日 | 2018-02-05 |
出願番号 | 特願2013-63004(P2013-63004) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 佐藤 直樹 |
特許庁審判長 |
篠原 功一 |
特許庁審判官 |
樫本 剛 小池 正彦 |
発明の名称 | 携帯電子機器及びその制御方法 |
代理人 | 特許業務法人酒井国際特許事務所 |