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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H02G
管理番号 1338874
審判番号 不服2017-6808  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-11 
確定日 2018-04-17 
事件の表示 特願2013- 29579「ワイヤハーネス用外装部材及びワイヤハーネス」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 3月 6日出願公開、特開2014- 42443、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年2月19日の出願(優先権主張平成24年7月25日)であって、平成28年12月27日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年2月13日付けで手続補正がされ、同年2月28日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年5月11日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成30年1月15日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年3月2日付けて手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年2月28日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献A-Bに記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
A.特開2004-187426号公報
B.特開2009-143326号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1-8に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された以下の引用文献1-2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引 用 文 献 等 一 覧

引用例1:特開2000-152469号公報(当審において新たに引用した文献)
引用例2:特開2009-143326号公報(拒絶査定時の引用文献B)

第4 本願発明
本願請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、平成30年3月2日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
導電路を覆うワイヤハーネス用外装部材において、
当該ワイヤハーネス用外装部材は、曲げ部分になる曲げ管部と、該曲げ管部のような可撓性を積極的に持たせず曲がらない部分になる非曲げ管部とを有するとともに、該非曲げ管部の本体を、同じ形状の外面が軸方向に連続する状態に形成し、
該同じ形状の外面が軸方向に連続する範囲の複数箇所、且つ、前記曲げ管部の端部から前記軸方向に所定長さで離れた箇所には、後付け部品に対する取り付け位置の決定部分を前記本体の前記外面の形状を含んだ状態で形成し、
前記複数箇所の取り付け位置の決定部分に関しては、前記後付け部品に対する取り付け位置を前記範囲の中で認識できる部分として形成し、且つ、前記複数箇所の取り付け位置の決定部分における前記外面の形状の部分に関しては、前記後付け部品を直接取り付ける部分として形成するとともに、前記後付け部品の前記軸方向の移動を規制した状態で必要となる大きさ及び移動を許容した状態で必要となる大きさの2つに形成する
ことを特徴とするワイヤハーネス用外装部材。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤハーネス用外装部材において、
樹脂製の管体であり、樹脂成型時に前記取り付け位置の決定部分として目印部を設ける
ことを特徴とするワイヤハーネス用外装部材。
【請求項3】
請求項1に記載のワイヤハーネス用外装部材において、
樹脂製の管体であり、樹脂成型時に前記取り付け位置の決定部分として取り付け部を一体に形成する
ことを特徴とするワイヤハーネス用外装部材。
【請求項4】
請求項3に記載のワイヤハーネス用外装部材において、
前記取り付け部を前記外面の周方向及び/又は管体軸方向に配置される部分を含んで形成する
ことを特徴とするワイヤハーネス用外装部材。
【請求項5】
請求項4に記載のワイヤハーネス用外装部材において、
前記取り付け部を前記外面から突出する凸形状又は突条形状の部分を含んで形成する
ことを特徴とするワイヤハーネス用外装部材。
【請求項6】
請求項3、4又は5に記載のワイヤハーネス用外装部材において、
全体を略直線状に成形してなる
ことを特徴とするワイヤハーネス用外装部材。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6に記載のワイヤハーネス用外装部材と、該ワイヤハーネス用外装部材に覆われる導電路とを含む
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項8】
請求項7に記載のワイヤハーネスにおいて、
車両床下を通り該車両床下の前後に跨る長さに前記導電路を形成し、前記ワイヤハーネス用外装部材も前記車両床下を通り該車両床下の前後に跨る長さに形成する
ことを特徴とするワイヤハーネス。」

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
平成30年1月15日付けの拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロテクタに関し、詳しくは、ワイヤハーネス等の線材束を保護するとともに、車体のパネル等に係止可能な結束バンドが取付け可能なプロテクタに関する。」(下線は当審で付与。以下、同様。)

b)「【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、上記課題を解決するために、基体と、該基体に取付けられ、プロテクタの外周部に巻回可能なバンド部材と、前記基体に立設され、相手側部材に係止可能な係止部材とを有する結束バンドが取付け可能であって、線材束の外周部に取付けられた筒状のプロテクタにおいて、前記プロテクタの外周部から突出するとともに、該プロテクタの円周方向に亘って 延在する一対の環状突起を少なくとも1組以上設け、該環状突起は、前記バンド部材を挟持可能なように前記プロテクタの長手方向に離隔するとともに、前記基体を挟んで延在方向前後端部が離隔するように構成され、該環状突起の延在方向前後端部の間に、前記基体に係合可能なようにプロテクタの長手方向に延在する係合突起を設けたことを特徴としている。
【0008】その場合、環状突起の間に結束バンドのバンド部材を位置させるとともに、係合突起に基体を係合させるようにして結束バンドをプロテクタに取付けることにより、バンド部材を環状突起に挟持させてバンド部材が横ずれするのを防止することができるとともに、基体を係合突起に係合させてバンド部材が回転するのを防止することができる。」

c)「【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1?3は本発明に係る結束バンドの第1実施形態を示す図であり、請求項1記載の発明に対応している。まず、構成を説明する。図1において、11は円形または楕円形に構成された高い強度を有するプロテクタであり、このプロテクタ11はワイヤハーネス(線材束)12の外周部に取付けられている。
【0013】なお、このプロテクタ11はヒンジを介して接続された一対の半円状の部材から構成され、ワイヤハーネス12に取付けられた後にヒンジを介して円形または楕円形に構成され、一対の半円状の部材に設けられた係合手段を係合させることにより、円形または楕円形が維持されるようになっている。また、プロテクタ11には結束バンド13が取付けられるようになっており、この結束バンド13は、図2に示すように構成される。
【0014】図2において、14は基体であり、この基体14には挿通孔14aが形成されている。この基体14にはプロテクタ11に巻回されるとともに延在方向に鋸状凹凸部15aが形成されたバンド部材15が設けられており、このバンド部材15の先端部を挿通孔14aに挿通してプロテクタ11の径と略一致した時点で鋸状凹凸部15aを挿通孔14a内に形成された係合爪に係合させることにより、プロテクタ11の径を吸収しつつプロテクタ11を強固に保持する。
【0015】また、基体14には逆止係止体(係止部材)16が立設されており、この逆止係止体16は車体パネル(相手側部材)17に形成された開口部17aに挿入され、開口部17aの一側面側の周縁に可動片16a、16bの先端部が当接することにより、パネル17に抜け止め係止されるようになっている。また、基体14は厚肉部と薄肉部から構成されており、厚肉部と薄肉部の段差は係合部14bを構成している。
【0016】また、基体14には逆止係止体16を取り囲むようにして皿状部材18が突出しており、この皿状部材18は逆止係止体16が開口部17aに抜け止め係止されたときに、パネル4の他側面側に逆止係止体16を引っ張ることにより、パネル17の厚みを吸収して、逆止係止体16の当接力がばらつくのを防止するようになっている。一方、図1、3に示すようにプロテクタ11の外周部には1対の環状突起19、20が設けられており、この環状突起19、20はプロテクタ11の円周方向に亘って延在し、バンド部材15を挟持可能なようにプロテクタ11の長手方向に離隔するとともに基体14を挟んで延在方向前後端部が離隔している。
【0017】また、環状突起19、20の延在方向前後端部の間には係合突起21が突出しており、この係合突起21はプロテクタ11の長手方向に延在し基体14の係合部14bに係合可能になっている。なお、環状突起19、20および係合突起21は1組だけではなく、2組以上設けられていても良い。
【0018】次に、プロテクタ11を車体パネル17に取付ける方法を説明する。まず、環状突起19、20の間にバンド部材15を位置させるとともに、環状突起19、20の前後後端部の間に基体14を位置させて係合部14bを係合突起21に係合させた後、バンド部材15の先端部を挿通孔14aに挿通してプロテクタ11の径と略一致した時点で鋸状凹凸部15aを挿通孔14a内に形成された係合爪に係合させることにより、結束バンド13をプロテクタ11を取付ける。
【0019】次いで、逆止係止体16と開口部17aを位置合わせした後、逆止係止体16を開口部17aに挿入してパネル17に抜け止め係止させる。この結果、ワイヤハーネス12がプロテクタ11を介して車体パネル17に取付けられる。このように本実施形態では、プロテクタ11に環状突起19、20および係合突起21を設けたため、バンド部材13を環状突起19、20に挟持させてバンド部材13が横ずれするのを防止することができるとともに、基体14の係合部14bを係合突起21に係合させてバンド部材13が回転するのを防止することができる。この結果、結束バンド13を車体パネル17に確実に位置決めすることができ、ワイヤハーネス12を車体パネル17に容易に取付けることができる。」

d)図1には、プロテクタ11の端部から軸方向に所定長さで離れた箇所に、一組の環状突起を設けることが、示されている。

上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、プロテクタとして、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

「ワイヤハーネス等の線材束を保護するとともに、車体のパネル等に係止可能な結束バンドが取付け可能なプロテクタであり、
基体と、該基体に取付けられ、プロテクタの外周部に巻回可能なバンド部材と、前記基体に立設され、相手側部材に係止可能な係止部材とを有する結束バンドが取付け可能であって、線材束の外周部に取付けられた筒状のプロテクタにおいて、
前記プロテクタの外周部から突出するとともに、該プロテクタの円周方向に亘って 延在する一対の環状突起を、前記プロテクタの端部から軸方向に所定長さで離れた箇所に、少なくとも1組以上設け、
該環状突起は、前記バンド部材を挟持可能なように前記プロテクタの長手方向に離隔するとともに、前記基体を挟んで延在方向前後端部が離隔するように構成され、
該環状突起の延在方向前後端部の間に、前記基体に係合可能なようにプロテクタの長手方向に延在する係合突起を設けた
プロテクタ。」

2.引用文献2について
平成30年1月15日付けの拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

e)「【0008】
前記課題を解決するため、第1の発明として、車両に三次元に屈曲させて配索される外装保護材で保護されたワイヤハーネスの形成方法であって、
前記外装保護材は、ワイヤハーネスを包囲する直管部と蛇腹管部とを軸線方向に連続的に備えた硬質樹脂で一体成形されたパイプからなり、長さ方向に凸部と凹部が交互に連続するコルゲート状とした前記蛇腹管部は、前記ワイヤハーネスの車両配索時に屈曲位置となる領域に設けており、
前記外装保護材のパイプを真っすぐとした状態で前記ワイヤハーネスを貫通させた後に、前記蛇腹管部をベンダー機で所要方向に屈曲させ、該パイプの肉厚と材質とから復元不可として、該外装保護材で保護した前記ワイヤハーネスを三次元配索姿勢に賦形していることを特徴とする三次元姿勢のワイヤハーネスの形成方法を提供している。」

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。

ア.引用発明1の「ワイヤハーネス等の線材束」は、本願発明1の「導電路」に相当し、引用発明1の「ワイヤハーネス等の線材束を保護するとともに、車体のパネル等に係止可能な結束バンドが取付け可能なプロテクタ」は、本願発明1の「導電路を覆うワイヤハーネス用外装部材」に相当する。

イ.引用発明1の「プロテクタ」を「線材束の外周部に取付けられた筒状」とすることは、本願発明1の「当該ワイヤハーネス用外装部材は、曲げ部分になる曲げ管部と、該曲げ管部のような可撓性を積極的に持たせず曲がらない部分になる非曲げ管部とを有するとともに、該非曲げ管部の本体を、同じ形状の外面が軸方向に連続する状態に形成」することと「当該ワイヤハーネス用外装部材は、曲げ管部のような可撓性を積極的に持たせず曲がらない部分になる非曲げ管部を有するとともに、該非曲げ管部の本体を、同じ形状の外面が軸方向に連続する状態に形成」する点では共通するといえる。

ウ.引用発明1の「基体と、該基体に取付けられ、プロテクタの外周部に巻回可能なバンド部材と、前記基体に立設され、相手側部材に係止可能な係止部材とを有する結束バンド」は、本願発明1の「後付け部品」に相当し、引用発明1の「プロテクタ」のうち、「プロテクタの円周方向に亘って延在する一対の環状突起を、前記プロテクタの端部から軸方向に所定長さで離れた箇所に、少なくとも1組以上設け」た部分は、本願発明1の「後付け部品に対する取り付け位置の決定部分」に相当するから、引用発明1が「前記プロテクタの外周部から突出するとともに、該プロテクタの円周方向に亘って延在する一対の環状突起を、前記プロテクタの端部から軸方向に所定長さで離れた箇所に、少なくとも1組以上設け、該環状突起は、前記バンド部材を挟持可能なように前記プロテクタの長手方向に離隔する」ように構成することは、本願発明1の「該同じ形状の外面が軸方向に連続する範囲の複数箇所、且つ、前記曲げ管部の端部から前記軸方向に所定長さで離れた箇所には、後付け部品に対する取り付け位置の決定部分を前記本体の前記外面の形状を含んだ状態で形成」することと、「該同じ形状の外面が軸方向に連続する範囲の複数箇所、且つ、端部から前記軸方向に所定長さで離れた箇所には、後付け部品に対する取り付け位置の決定部分を前記本体の前記外面の形状を含んだ状態で形成」する点では共通するといえる。

エ.引用発明1の「環状突起」が形成された位置が「認識できる」ことは明らかであり、また、引用発明1の「プロテクタの外周部から突出する」「環状突起は、前記バンド部材を挟持可能なように前記プロテクタの長手方向に離隔する」ように構成されたものであるから、「環状突起」間の「プロテクタの外周部」が「バンド部材」を直接取り付ける部分となることも明らかであるから、引用発明1が「前記プロテクタの外周部から突出するとともに、該プロテクタの円周方向に亘って延在する一対の環状突起を、前記プロテクタの端部から軸方向に所定長さで離れた箇所に、少なくとも1組以上設け、該環状突起は、前記バンド部材を挟持可能なように前記プロテクタの長手方向に離隔する」ように構成することは、本願発明1の「前記複数箇所の取り付け位置の決定部分に関しては、前記後付け部品に対する取り付け位置を前記範囲の中で認識できる部分として形成し、且つ、前記複数箇所の取り付け位置の決定部分における前記外面の形状の部分に関しては、前記後付け部品を直接取り付ける部分として形成するとともに、前記後付け部品の前記軸方向の移動を規制した状態で必要となる大きさ及び移動を許容した状態で必要となる大きさの2つに形成する」ことと、「前記複数箇所の取り付け位置の決定部分に関しては、前記後付け部品に対する取り付け位置を前記範囲の中で認識できる部分として形成し、且つ、前記複数箇所の取り付け位置の決定部分における前記外面の形状の部分に関しては、前記後付け部品を直接取り付ける部分として形成するとともに、前記後付け部品の前記軸方向の移動を規制した状態で必要となる大きさに形成する」する点では共通するといえる。

したがって、両者は以下の一致点と相違点とを有する。

〈一致点〉
「導電路を覆うワイヤハーネス用外装部材において、
当該ワイヤハーネス用外装部材は、曲げ管部のような可撓性を積極的に持たせず曲がらない部分になる非曲げ管部を有するとともに、該非曲げ管部の本体を、同じ形状の外面が軸方向に連続する状態に形成し、
該同じ形状の外面が軸方向に連続する範囲の複数箇所、且つ、端部から前記軸方向に所定長さで離れた箇所には、後付け部品に対する取り付け位置の決定部分を前記本体の前記外面の形状を含んだ状態で形成し、
前記複数箇所の取り付け位置の決定部分に関しては、前記後付け部品に対する取り付け位置を前記範囲の中で認識できる部分として形成し、且つ、前記複数箇所の取り付け位置の決定部分における前記外面の形状の部分に関しては、前記後付け部品を直接取り付ける部分として形成するとともに、前記後付け部品の前記軸方向の移動を規制した状態で必要となる大きさに形成する
ことを特徴とするワイヤハーネス用外装部材。」

〈相違点1〉
本願発明1は、「ワイヤハーネス用外装部材」は、「曲げ部分になる曲げ管部」を有するものであり、「後付け部品に対する取り付け位置の決定部分」を前記「曲げ管部」の端部から前記軸方向に所定長さで離れた箇所に形成したものであるのに対し、引用発明1では、「プロテクタ」は「曲げ部分になる曲げ管部」を有するものではなく、「結束バンド」の「バンド部材」を挟持可能な「一対の環状突起」は「プロテクタ」の端部から軸方向に所定長さで離れた箇所に形成したものであり、「曲げ管部」の端部から前記軸方向に所定長さで離れた箇所に形成したものではない点。

〈相違点2〉
本願発明1の「複数箇所の取り付け位置の決定部分」を「後付け部品の前記軸方向の移動を規制した状態で必要となる大きさ及び移動を許容した状態で必要となる大きさの2つに形成する」ものであるのに対し、引用発明1は、「一対の環状突起」を「バンド部材」を挟持可能なように、1組以上設ける、すなわち、「バンド部材」の軸方向の移動を規制した状態で必要となる大きさに、複数箇所に形成するものであるが、「バンド部材」の「前記軸方向の移動を許容した状態で必要となる大きさ」に形成するものではない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討すると、相違点2に係る本願発明1の「複数箇所の取り付け位置の決定部分」を「後付け部品の前記軸方向の移動を規制した状態で必要となる大きさ及び移動を許容した状態で必要となる大きさの2つに形成する」という構成は、上記引用文献1-2には記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明1、引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.請求項2-8について
本願発明2-8は、本願発明1を直接または間接的に引用するものであり、上記「1.請求項1について」にて述べたのと同様の理由により、引用発明1及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断
平成30年3月2日付けの補正により、補正後の請求項1-8は、「複数箇所の取り付け位置の決定部分」を「後付け部品の前記軸方向の移動を規制した状態で必要となる大きさ及び移動を許容した状態で必要となる大きさの2つに形成する」という技術的事項を有するものとなった。当該「複数箇所の取り付け位置の決定部分」を「後付け部品の前記軸方向の移動を規制した状態で必要となる大きさ及び移動を許容した状態で必要となる大きさの2つに形成する」という構成は、原査定における引用文献A-Bには記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1-8は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Bに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-04-02 
出願番号 特願2013-29579(P2013-29579)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H02G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中木 努藤原 敬子  
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 山田 正文
山澤 宏
発明の名称 ワイヤハーネス用外装部材及びワイヤハーネス  
代理人 陸名 智之  
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