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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G09G |
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管理番号 | 1338914 |
審判番号 | 不服2017-5808 |
総通号数 | 221 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-04-21 |
確定日 | 2018-03-29 |
事件の表示 | 特願2016-187420「表示制御装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月10日出願公開、特開2017-138571〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年2月3日を出願日とする特願2016-19040号の一部を、平成28年9月26日に新たな特許出願としたものであって、平成28年10月25日付けで拒絶理由が通知され、平成29年1月4日に手続補正がなされたが、平成29年1月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成29年4月21日に審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成29年4月21日にされた手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の結論] 平成29年4月21日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は補正箇所である。) 「ディスプレイに表示された矢印形状のポインタを移動させる操作を検出すると、 前記ポインタの可動領域端までは、前記操作に応じて前記ポインタを移動させて、 前記ポインタの前記可動領域端においては、前記操作に応じて前記ディスプレイに表示する画面をスクロールさせるコントローラを備え、 前記ポインタの矢柄部分は、前記可動領域端の外に出ることを可能とする 表示制御装置。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、平成29年1月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「ディスプレイに表示されたポインタを移動させる操作を検出すると、 前記ポインタの可動領域端までは、前記操作に応じて前記ポインタを移動させて、 前記ポインタの可動領域端においては、前記操作に応じて前記ディスプレイに表示する画面をスクロールさせるコントローラを備え、 前記ポインタの一部は、可動領域端の外に出ることを可能とする 表示制御装置。」 2 補正の適否 本件補正は、上記のとおり、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ポインタ」について「矢印形状のポインタ」との限定を付加し、「可動領域端」(2箇所)について「前記可動領域端」との限定を付加し、「前記ポインタの一部」について「前記ポインタの矢柄部分」との限定を付加することを含むものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-73365号公報(平成25年4月22日公開。以下「引用例」という。)には、図面と共に、次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。) ア 段落【0035】-【0044】 「【0035】 <実施形態2> 次に、本発明の第2の実施形態を、図6及び図7を参照して説明する。図6及び図7は、情報処理装置に対する操作の様子を示す図である。 【0036】 本実施形態における情報処理装置1は、上述した実施形態1と同様の構成をとっており、さらに、表示制御部3が、以下の機能を備えている。なお、表示制御部3は、上述同様に、情報処理装置1に装備された演算部にプログラムが組み込まれることで構築されている。 【0037】 表示制御部3(表示制御手段)は、タッチパネル式表示装置5の表示面に、背景画面となる表示画面G(後述)を表示する。このとき、表示制御部3は、表示画面Gのうち、表示面の大きさに対応して予め設定された表示領域部分Rを表示しており、ポインタPの移動に伴い、表示画面Gの表示領域部分Rを移動して表示する機能を有する。特に、表示制御部3は、ポインタPの操作位置P1がタッチパネル式表示装置5の表示面の周囲(端)からはみ出ないよう、操作位置P1の移動に追従して表示画面Gの表示領域部分Rを移動し、換言すると、表示面に対する表示画面Gの位置を移動して、表示する。 【0038】 ここで、図6(A)に示すように指Fの接触位置F1に対してポインタPの操作位置P1が離れている状態で、図6(B)に示すように指Fの操作位置F1’の移動に伴いポインタPの操作位置P1’が表示面の上端に移動した場合を考える。かかる状況で、さらに矢印sに示す方向への指Fの移動に伴い、ポインタPの操作位置P1が表示面の上端からはみ出る矢印tに示す方向に移動した場合には、この移動方向とは反対方向の矢印uに示す方向に、タッチパネル式表示装置5の表示面に対して表示画面Gを移動する。つまり、表示面に表示されている表示画面G中の「画像A」が、ポインタPの移動方向である上方向とは逆方向の下方向に移動して表示されるよう、表示画面Gの表示領域部分Rを移動する。 【0039】 上述した処理の内容を、さらに図7を参照して説明する。この図において符号Rは、タッチパネル式表示装置5の表示面の大きさと同等の表示領域部分Rを示している。また、符号Gは、表示画面Gを示しており、当該表示画面Gは表示領域部分Rよりも広く形成されている。なお、表示画面Gは、表示領域部分Rよりも広い論理的な領域が設定された画像にて形成されていてもよく、一枚の画像にて形成されていてもよい。 【0040】 まず、図7(A)に示すように、表示画面Gの一部である表示領域部分Rが、タッチパネル式表示装置5の表示面に表示されているとする。このとき、ポインタPの操作位置P1が、表示面の上端からさらに矢印sに示すように指Fの移動に伴い、当該表示面の上端からはみ出る方向である矢印tに示す上方に移動した場合には、図7(B)に示すように、操作位置P1の移動と同様に、上方へ表示画面Gに対して表示領域部分Rを移動する。このとき、表示領域部分Rの移動量は、表示画面Gに対するポインタPの操作位置P1の移動量と同等である。すると、ポインタPの操作位置P1は、表示領域部分Rからはみ出ることなく、表示面の上端に位置したままとなり、一方で、表示面には、表示されていたデータがそれぞれ下方に移動して表示されることとなる。つまり、図7(B)の例では、「画像A」は下方に移動し、「画像C」は一部が表示面から消えることとなり、表示面に表示されていなかった「画像B」が表示されることとなる。 【0041】 以上のようにすることで、ポインタPの操作位置P1が表示面から消えることを抑制でき、また、表示面を仮想的に広く使用することができる。その結果、タッチパネル式表示装置5を装備した情報処理装置1に対する操作性の向上を図ることができる。なお、上記では、表示領域部分Rをタッチパネル式表示装置5の表示面の大きさと同等としたが、表示領域部分Rは、表示面より小さな当該表示面の一部領域であってもよい。 【0042】 また、上記では、ポインタPの操作位置P1が表示面の上端からはみ出る方向に移動した場合を一例として説明しているが、ポインタPの操作位置P1がはみ出る方向とは、X-Y平面上で、図7の表示領域部分Rより外側で移動することを指している。例えば、ポインタPの操作位置P1が表示面の上端からはみ出した状態で、さらに表示面の左右の端からはみ出る方向(左右方向)に移動した場合には、この操作位置P1の移動と同様の方向に、表示画面Gに対して表示領域部分Rを移動する。 【0043】 また、上記では、ポインタPの操作位置P1が上端からはみ出る方向に移動した量に応じて表示領域部分Rを移動する量を設定していたが、操作位置P1が上端からはみ出している期間中は所定の速度で表示領域部分Rを移動してもよい。また、ポインタPの操作位置P1の表示面の端に対するはみ出る方向における距離に応じて、表示領域部分Rの移動速度を変更してもよい。 【0044】 また、上記では、ポインタPの操作位置P1と表示面の上端との位置関係で、表示領域部分Rを移動するスクロール処理を行うか判定しているが、操作位置P1の座標に対して所定幅の判定範囲を設定し、かかる判定範囲内に表示面の上端などの端が位置している場合に、表示領域部分Rを移動するスクロール処理を行ってもよい。この所定幅の判定範囲は、ポインタPを画面に描画する際における当該ポインタPを囲う範囲の矩形領域としてもよい。なお、表示面の上端などの端に対して操作位置P1やその判定範囲が位置している場合だけでなく、操作位置P1やその判定範囲が表示領域部分Rの上端などの端に位置している場合も同様に、当該表示領域部分Rを移動するスクロール処理を行ってもよい。」 イ 【図6】について 図6(A)、(B)における「ポインタP」は、「左上向きの矢印形状のポインタP」であることが記載されていると認定できる。 図6(B)における「矢印sに示す方向」、「矢印tに示す方向」は、「上方向」であり、「矢印uに示す方向」は、「下方向」であると認定できる。 図6(B)における「左上向きの矢印形状のポインタP」は、さらに「矢先部分」と「矢柄部分」とからなり、ここで、長方形の「矢柄部分」は、表示領域の内部にあり、鈍角二等辺三角型の「矢先部分」の先端である、ポインタPの操作位置P1は、表示領域の内部にあるが、「矢先部分」の一部分は、表示領域をはみ出していると認定できる。 上記ア-イから、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「表示制御部3は、表示画面Gのうち、表示面の大きさに対応して予め設定された表示領域部分Rを表示しており、ポインタPの移動に伴い、表示画面Gの表示領域部分Rを移動して表示する機能を有し、 特に、表示制御部3は、ポインタPの操作位置P1がタッチパネル式表示装置5の表示面の周囲(端)からはみ出ないよう、操作位置P1の移動に追従して表示画面Gの表示領域部分Rを移動し、換言すると、表示面に対する表示画面Gの位置を移動して、表示し、 指Fの接触位置F1に対してポインタPの操作位置P1が離れている状態で、指Fの操作位置F1’の移動に伴いポインタPの操作位置P1’が表示面の上端に移動した場合、 かかる状況で、さらに上方向への指Fの移動に伴い、ポインタPの操作位置P1が表示面の上端からはみ出る上方向に移動した場合には、この移動方向とは反対方向の下方向に、タッチパネル式表示装置5の表示面に対して表示画面Gを移動し、つまり、表示面に表示されている表示画面G中の「画像A」が、ポインタPの移動方向である上方向とは逆方向の下方向に移動して表示されるよう、表示画面Gの表示領域部分Rを移動し、 ここで、ポインタPは、左上向きの矢印形状のポインタPであり、 左上向きの矢印形状のポインタPのうち、長方形の「矢柄部分」は、表示領域の内部にあり、鈍角二等辺三角型の「矢先部分」の先端である、ポインタPの操作位置P1は、表示領域の内部にあるが、「矢先部分」の一部分は、表示領域をはみ出しており、 以上のようにすることで、ポインタPの操作位置P1が表示面から消えることを抑制でき、また、表示面を仮想的に広く使用することができる結果、タッチパネル式表示装置5を装備した情報処理装置1に対する操作性の向上を図ることができ、 上記では、ポインタPの操作位置P1と表示面の上端との位置関係で、表示領域部分Rを移動するスクロール処理を行うか判定している、 情報処理装置1。」 (3)引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア) 引用発明の「タッチパネル式表示装置5」は、本件補正発明の「ディスプレイ」に相当する。 引用発明の「左上向きの矢印形状のポインタP」は、本件補正発明の「矢印形状のポインタ」に相当する。 引用発明の「表示制御部3」は、本件補正発明の「コントローラ」に相当する。 引用発明の「表示面の上端」を含む「表示面の周囲(端)」は、「ポインタPの操作位置P1がタッチパネル式表示装置5の表示面の周囲(端)からはみ出ないよう、操作位置P1の移動に追従して表示画面Gの表示領域部分Rを移動」しているから、本件補正発明の「前記ポインタの可動領域端」に相当する。 よって、引用発明の「表示制御部3」が、「指Fの操作位置F1’の移動に伴いポインタPの操作位置P1’が表示面の上端に移動」させていることは、本件補正発明の「ディスプレイに表示された矢印形状のポインタを移動させる操作を検出すると、前記ポインタの可動領域端までは、前記操作に応じて前記ポインタを移動させて」いることに相当する。 (イ) 引用発明の「表示制御部3」が、「指Fの操作位置F1’の移動に伴いポインタPの操作位置P1’が表示面の上端に移動した場合、かかる状況で、さらに上方向への指Fの移動に伴い、ポインタPの操作位置P1が表示面の上端からはみ出る上方向に移動した場合には、この移動方向とは反対方向の下方向に、タッチパネル式表示装置5の表示面に対して表示画面Gを移動し」ていることは、ここで、引用発明は「ポインタPの操作位置P1と表示面の上端との位置関係で、表示領域部分Rを移動するスクロール処理を行うか判定して」いるから、本件補正発明の「前記ポインタの前記可動領域端においては、前記操作に応じて前記ディスプレイに表示する画面をスクロールさせるコントローラを備え」ることに相当する。 (ウ) 引用発明の「左上向きの矢印形状のポインタPのうち、長方形の「矢柄部分」は、表示領域の内部にあり、鈍角二等辺三角型の「矢先部分」の先端である、ポインタPの操作位置P1は、表示領域の内部にあるが、「矢先部分」の一部分は、表示領域をはみ出して」いることは、本件補正発明の「前記ポインタの矢柄部分は、前記可動領域端の外に出ることを可能とする」ことと、「前記ポインタの一部分は、前記可動領域端の外に出ることを可能とする」ことで共通するといえる。 (エ) 引用発明の「情報処理装置1」は、本件補正発明の「表示制御装置」に相当する。 イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「ディスプレイに表示された矢印形状のポインタを移動させる操作を検出すると、 前記ポインタの可動領域端までは、前記操作に応じて前記ポインタを移動させて、 前記ポインタの前記可動領域端においては、前記操作に応じて前記ディスプレイに表示する画面をスクロールさせるコントローラを備え、 前記ポインタの一部分は、前記可動領域端の外に出ることを可能とする 表示制御装置。」 [相違点1] 可動領域端の外に出ることを可能とする「ポインタの一部分」が、本件補正発明では矢印形状のポインタの「矢柄部分」であるのに対し、引用発明では、矢印形状のポインタの「矢先部分」の一部分であって「矢柄部分」ではない点。 (4)判断 以下、[相違点1]について検討する。 引用発明は、「ポインタPの操作位置P1’が表示面の上端に移動」した場合、「ポインタPの操作位置P1がタッチパネル式表示装置5の表示面の周囲(端)からはみ出ないよう、操作位置P1の移動に追従して表示画面Gの表示領域部分Rを移動」するもの、すなわち、ポインタPが「表示部の上端」に移動すると、スクロールを行うものである。 しかし、引用例の段落【0042】には、「ポインタPの操作位置P1が表示面の上端からはみ出る方向に移動した場合を一例として説明しているが、ポインタPの操作位置P1がはみ出る方向とは、X-Y平面上で、表示領域部分Rより外側で移動することを指しており、例えば、ポインタPの操作位置P1が表示面の上端からはみ出した状態で、さらに表示面の左右の端からはみ出る方向(左右方向)に移動した場合には、この操作位置P1の移動と同様の方向に、表示画面Gに対して表示領域部分Rを移動する」と記載されており、引用例には、スクロールを開始するための、ポインタの移動方向として、「表示面の上端」は一例であって、一般的には、「X-Y平面上で、表示領域部分Rより外側」へのポインタの移動に対して、スクロールを行うことが記載されていると認定できる。 そして、「X-Y平面上で、表示領域部分Rより外側」の方向には、例示された「表示面の上端」方向以外に、「表示面の下端」方向があることは自明であるから、引用例の上記記載に接した当業者であれば、引用発明の「ポインタPの操作位置P1」を「表示面の下端」に移動した場合にも、同様にスクロールが行われると理解するといえる。 引用発明は、主に引用例の<実施形態2>に基づき認定されたものであるが、引用例には、後続する<実施形態3>(段落【0045】-【0051】、特に段落【0048】、図8)として、さらに、「本実施形態における表示制御部3は、ポインタPの表示向きを、上述したように接触位置検出部21にて検出した指Fの接触位置F1に応じた向きに設定して表示する機能を有する。」もの、すなわちポインタの向きを可変とするものが別の実施形態として記載されることから、先行する<実施形態2>では、ポインタの向きは固定されていると考えるのが自然である。 そして、通常、左上向きの矢印形状のポインタの先端を「表示面の下端」まで移動させた場合、ポインタの向きを変化させるなどの特段の対応を行わない限り、ポインタPの先端部よりも右下に位置している、ポインタの矢柄部分は画面端の外に出ることになるという技術的事項が、文献を挙げるまでもなく、周知であることに鑑みれば、引用発明において、「左上向きの矢印形状のポインタP」の「矢先部分」の先端である、「ポインタPの操作位置P1」が「表示面の下端」まで移動した場合に、「ポインタP」の「矢柄部分」が、表示面の下端の外に出るように構成することで、上記[相違点1]に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。 そして、本件補正発明の奏する作用効果は、当業者であれば、引用発明及び周知技術から予測できる範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成29年4月21日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年1月4日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由(「理由2」)は、この出願の請求項1に係る発明は、本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2013-73365号公報 3 引用例 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「ポインタ」、「可動領域端」(2箇所)、「前記ポインタの一部」係る各限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-01-23 |
結審通知日 | 2018-01-30 |
審決日 | 2018-02-13 |
出願番号 | 特願2016-187420(P2016-187420) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G09G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 境 周一、片岡 利延 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
山田 正文 稲葉 和生 |
発明の名称 | 表示制御装置 |
代理人 | 甲原 秀俊 |
代理人 | 太田 昌宏 |
代理人 | 杉村 憲司 |