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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1339020
審判番号 不服2017-2411  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-02-20 
確定日 2018-04-02 
事件の表示 特願2012-194738「プリント配線板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年3月20日出願公開、特開2014-53342〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年9月5日の出願であって、平成28年6月8日付けで拒絶理由が通知され、同年7月19日付けで手続補正書が提出されたが、同年11月15日付け(発送日:11月24日)で拒絶査定がなされ、これに対し平成29年2月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、その後、当審において、平成29年9月28日付けで拒絶理由が通知され、同年12月11日付けで手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?4に係る発明は、平成29年12月11日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される発明であるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
200μm以下の厚みの絶縁層の両面に、金属箔層と、接合界面層と、15μm以下の厚みのキャリア箔とを当該絶縁層側から順にそれぞれ備えた両面金属張積層体に対して、少なくとも片面側のキャリア箔の表面に黒色酸化処理を施す黒色酸化処理工程と、
黒色酸化処理後に、前記片面側のキャリア箔の表面にレーザを照射して、他面側の金属箔層を底部とする有底バイアホールを形成するバイアホール形成工程と、
有底バイアホール形成後に、片面の金属箔層と他面の金属箔層との導通を図るための層間接続用のめっき処理を有底バイアホール内に施すめっき工程と、
めっき処理後に、各キャリア箔を各金属箔層の表面から剥離するキャリア箔剥離工程と、
を備えることを特徴とするプリント配線板の製造方法。」

第3 引用文献
1 引用文献1
平成29年9月28日付けの当審の拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)で引用した、本願の出願前に頒布された国際公開第2009/054456号(以下、「引用文献1」という。)には、図面(特に図2Aを参照。)とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。以下同様である。

(1)「[0001] 本発明は、ビアを有するプリント配線板の製造方法に関する。
[0002] 銅箔積層ポリイミドフィルムは、薄くて軽量である特長を有するため、高性能の電子機器、とりわけ小型軽量化に好適な、高密度に配線されたフレキシブル回路基板(FPC)、テープ・オートメイティッド・ボンディング(TAB)等に用いられている。電子機器の高集積化、微細化に伴い、さらに高密度実装に対応できる配線板が求められており、高密度実装に対応できる配線板として、両面配線板、多層配線板が提案されている。両面、多層の配線板を生産するためには、生産性の高いビア形成が必要とされている。」

(2)「[0055] <実施形態2> この実施形態では、キャリア付銅箔を両面に積層したポリイミドフィルムを用いてサブトラクティブ法により、回路を形成する方法の一例を図2Aおよび図2Bに示す。
[0056] 図2A(a)に示すように、両面にキャリア付き銅箔を積層したポリイミドフィルム101を用意する。この両面キャリア付き銅箔積層ポリイミドフィルム101は、キャリア付き銅箔3とポリイミドフィルム2とキャリア付き銅箔3’が順に積層されており、キャリア付き銅箔(3、3’)は、それぞれ銅箔(4、4’)と保護層であるキャリア箔(5、5’)の積層体である。ここで、銅箔の厚みは、1?8μmの範囲(好ましくは1?6μmの範囲)である。
[0057] 次の工程では、図2A(b)に示すように、この両面キャリア付き銅箔積層ポリイミドフィルム101の片面のキャリア付き銅箔3およびポリイミドフィルム2の所定箇所にレーザーなどを用いて、ビア6を形成する。ビアは複数設けることができる。ビア6の形成は、図2B(b)のように、ポリイミドフィルムまでを除去し裏面の銅箔4’を残した孔として形成して、または裏面の銅箔4’を除去してキャリア箔5’に達する孔として形成しても(キャリア箔5’の剥離後に貫通孔となる)、あるいは裏面のキャリア箔5’も含めキャリア付き銅箔3’を貫通する貫通孔として形成してもよく、種々の形態が可能である。
[0058] ビア形成後、特にレーザ加工によりビア形成後、樹脂スミアと樹脂バリおよび金属スミアと金属バリ7が発生しているので(図2A(b))、実施形態1と同様に、ビア6の内部および3表面のビア周囲をウェットブラスト処理によりクリーニングし、ビア形成両面キャリア箔付き銅箔積層ポリイミドフィルム112を得る(図2A(c))。
[0059] 次の工程では、図2A(d)に示すように、両面キャリア付き銅箔積層ポリイミドフィルム112より保護層であるキャリア箔5及びキャリア箔5’を剥がし、銅箔4とポリイミドフィルム2と銅箔4’とが直接積層している両面銅箔積層ポリイミドフィルムを得る。通常は、ハーフエッチングにより、銅箔表面に残存している剥離層を除去することすることが好ましい。
[0060] 次の工程では、図2A(e)に示すように、両面銅箔積層ポリイミドフィルムのビア6のポリイミド表面に導電化皮膜(8)を形成し、銅箔4と銅箔4’を導通させる。次の工程では、図2A(f)に示すように、両面銅箔積層ポリイミドフィルムの導電化皮膜(8)と銅箔(4、4’)の上部に銅めっき層(21、21’)を設ける。銅めっき工程としては、実施形態1で説明したものと同じである。 次の工程では、図2B(g)に示すように、両面銅箔積層ポリイミドフィルムの銅めっき層の上部にフォトレジスト層(9、9’)を設け、次いで図2B(h)に示すように、配線パターンのマスクを用いて、フォトレジスト層を露光し、配線パターンとならない部位を現像除去する。レジストが現像除去された開口部分から、配線パターンとならない複数の銅箔部分(22、22’)が現れる。レジスト開口部(レジスト除去部)は、配線パターンに対応するため、銅配線部分の形成が可能なように、開口線幅、ピッチ等のパターンが設定される。ここで使用できるフォトレジストは、実施形態1で説明したものと同じである。」

(3)「[0090] キャリア付き銅箔において、キャリアの厚さは、特に限定されないが、厚みの薄い銅箔を補強できるものであればよく、キャリアの厚みが好ましくは10?40μm、さらに好ましくは10?35μm、より好ましくは10?18μmである。銅箔4の厚みは好ましくは1?8μm、さらに好ましくは1?6μm、より好ましくは2?5μm、より好ましくは2?4μmであり、銅箔のポリイミドフィルムと積層する側の表面粗さRzが好ましくは1.0μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下、より好ましくは0.7μm以下である。」

(4)「[0103] ポリイミドフィルムの厚みは、特に限定されないが、キャリア箔付き銅箔との積層が問題なく行なえ、製造や取扱が行なえ、銅箔を充分に支持できる厚みであれば良く、好ましくは1?500μm、より好ましくは2?300μm、さらに好ましくは5?200μm、より好ましくは7?175μm、特に好ましくは8?100μmのものを用いることが好ましい。」

上記記載事項及び図面の図示内容を総合して、本願発明の記載ぶりに倣って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「5?200μmの厚みのポリイミドフィルム2の両面に、銅箔4、4’と、剥離層と、10?18μmの厚みのキャリア箔5、5’とを当該ポリイミドフィルム2側から順にそれぞれ備えた両面キャリア付き銅箔積層ポリイミドフィルム101に対して、片面側のキャリア箔5の表面にレーザーを照射して、他面側の銅箔4’を底部とするビア6を形成する第1の工程と、
ビア6形成後に、各キャリア箔5、5’を各銅箔4、4’の表面から剥がす第2の工程と、
キャリア箔5、5’を剥がした後に、片面の銅箔4と他面の銅箔4’との導通を図るための層間接続用の導電化被膜8と銅めっき層21形成処理をビア6内に施す第3の工程と、
を備えるプリント配線板の製造方法。」

2 引用文献2
当審拒絶理由で引用した、本願の出願前に頒布された特開2004-87697号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面(特に図1(b)、(c)、(d)を参照。)とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は配線基板の製造方法に関し、より詳細には銅キャリア付き銅箔を利用した配線基板の製造方法に関する。」

(2)「【0012】
図1(b)は、銅キャリア付き銅箔30をコア材12の両面に被着した基板にドリルあるいはレーザ加工等によって孔あけ加工を施し、貫通孔16を形成した状態を示す。孔あけ加工後は、デスミア処理を施して、貫通孔16の内面の汚れを除去する。
図1(c)は、次に、貫通孔16の内面にめっき給電層を形成するため無電解銅めっきを施し、電解銅めっき(パネルめっき)を施して、貫通孔16の内面および銅キャリア付き銅箔30の銅キャリア30bの外面にめっき皮膜として銅層18を形成した状態である。
【0013】
図1(d)は、本実施形態の製造工程において特徴的な工程で、銅キャリア付き銅箔30から銅キャリア30bを剥離して除去し、コア材12の表面に銅箔30aを残した状態を示す。前述したように、銅キャリア30bは銅箔30aから剥離するようにして簡単に除去することができる。本工程では、銅キャリア付き銅箔30から銅キャリア30bを除去することによって、同時に銅キャリア30bの外面に被着している銅層18をも除去し、コア材12の表面に銅箔30aのみが残るようにしたものである。なお、この操作の際に、貫通孔16の内面に被着している銅層18は銅キャリア30bに接続する端部で破断され、そのまま貫通孔16の内面に被着した状態で残り、貫通孔16の内面の銅層18とコア材12の表面に被着している銅箔30aとの電気的導通が確保される。」

(3)「【0016】
本実施形態の配線基板の製造方法によれば、銅キャリア付き銅箔30の銅キャリア30bを銅箔20aから剥離して除去することにより、貫通孔16の内面が銅層18によって被覆された状態で、コア材12の表面に銅箔30aのみを残すことができるから、コア材12の表面に残した銅箔30aをエッチングすることによって容易に配線パターン20を形成することができる。銅キャリア付き銅箔30の銅箔30aはきわめて薄く、かつ均一な厚さに形成されているから、きわめて高精度に微細な配線パターンを形成することができる。配線パターンを微細なパターンで高精度に形成する際に、このように導体層の厚さが均一に形成されていることはきわめて有効である。研磨加工によって導体層の厚さを制御する場合は、導体層の厚さが部分的にばらついたりすることから、配線パターンの形成精度が低下する。」

(4)段落【0012】の記載を図1(c)と合わせみれば、「めっき給電層」は両面の銅箔30aどうしを接続する層間接続用のものであることは明らかといえる。

上記記載事項及び図面の図示内容を総合して、本願発明の記載ぶりに倣って整理すると、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2に記載の技術事項」という。)が記載されている。

「貫通孔16形成後に、片面の銅箔30aと他面の銅箔30aとの導通を図るための層間接続用の無電解銅めっき及び電解銅めっきを貫通孔16内に施す工程と、無電解銅めっき及び電解銅めっき後に、銅キャリア30bを各銅箔30aから剥離して除去する工程と、を備える配線基板の製造方法。」

第4 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、その構成、機能又は技術的意義からみて、後者の「5?200μmの厚みのポリイミドフィルム2」は、厚さが200μm以下であるから、前者の「200μm以下の厚みの絶縁層」に相当し、以下同様に、「銅箔4、4’」は「金属箔層」に、「剥離層」は「接合界面層」に、「両面キャリア付き銅箔積層ポリイミドフィルム101は「両面金属張積層体」に、「他面側の銅箔4’を底部とするビア6」は「他面側の金属箔層を底部とする有底バイアホール」に、それぞれ相当する。

また、引用発明における「10?18μmの厚みのキャリア箔5、5’」は、本願発明における「15μm以下の厚みのキャリア箔」と、「キャリア箔」という限りで共通する。
引用発明の第1の工程では有底バイアホールに相当するビア6を形成しているから、引用発明における「片面側のキャリア箔5の表面にレーザーを照射して、他面側の銅箔4’を底部とするビア6を形成する第1の工程」は、本願発明における「黒色酸化処理後に、前記片面側のキャリア箔の表面にレーザを照射して、他面側の金属箔層を底部とする有底バイアホールを形成するバイアホール形成工程」と、「片面側のキャリア箔の表面にレーザを照射して、他面側の金属箔層を底部とする有底バイアホールを形成するバイアホール形成工程」という限りで共通する。
引用発明の第2の工程では、キャリア箔5、5’を剥離しているから、引用発明における「ビア6形成後に、各キャリア箔5、5’を各銅箔4、4’の表面から剥がす第2の工程」は、本願発明における「めっき処理後に、各キャリア箔を各金属箔層の表面から剥離するキャリア箔剥離工程」と、「キャリア箔を各金属箔層の表面から剥離するキャリア箔剥離工程」という限りで共通する。

したがって、両者は、
「200μm以下の厚みの絶縁層の両面に、金属箔層と、接合界面層と、キャリア箔とを当該絶縁層側から順にそれぞれ備えた両面金属張積層体に対して、
片面側のキャリア箔の表面にレーザを照射して、他面側の金属箔層を底部とする有底バイアホールを形成するバイアホール形成工程と、
各キャリア箔を各金属箔層の表面から剥離するキャリア箔剥離工程と、
を備えるプリント配線板の製造方法。」
である点で一致し、次の点で相違している。

〔相違点1〕
本願発明は、「15μm以下の厚みの」キャリア箔を有するのに対して、引用発明は10?18μmの厚みのキャリア箔5、5’を有する点。

〔相違点2〕
本願発明は、バイアホール形成工程の前に、「少なくとも片面側のキャリア箔の表面に黒色酸化処理を施す黒色酸化処理工程」を有するのに対して、引用発明は、そのような工程を有さない点。

〔相違点3〕
本願発明は、キャリア箔剥離工程の前に、「有底バイアホール形成後に、片面の金属箔層と他面の金属箔層との導通を図るための層間接続用のめっき処理を有底バイアホール内に施すめっき工程」を有するのに対して、引用発明は、キャリア箔5、5’を剥がした後に、片面の銅箔4と他面の銅箔4’との導通を図るための層間接続用の導電化被膜8と銅めっき層21形成処理をビア6内に施す第3の工程を有する点。

2 相違点についての判断
各相違点について以下検討する。
(1)相違点1について
引用発明の10?18μmの厚みのキャリア箔5、5’を、レーザ加工の容易化や省資源の観点から、15μm以下の厚みのキャリア箔5、5’とし、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜になし得る設計事項であり、容易になし得ることといえる。

(2)相違点2について
本願の出願前に頒布された特開昭61-99596号公報の第1頁右下欄第20行ないし第2頁左上欄第3行における「銅の表面層をあらかじめ酸化処理等を行って黒色化しておき、レーザが反射しないようにしてレーザのエネルギーを吸収し易いようにする」、及び第2頁左上欄第17行における「銅表面に黒褐色の酸化皮膜を形成」するとの記載や、本願の出願前に頒布された特開2006-339259号公報の段落【0011】の「レーザ加工に先立って、外層に位置する銅箔表面には、表面反射率が波長9.3?10.6μmの範囲において30?80%であり、且つ、厚さが1.0?2.0μmである銅酸化物を形成する。」との記載に例示されるように、低エネルギーのレーザ-での穴開け加工のために、銅箔表面を黒色酸化処理すること(なお、特開2006-339259号公報の銅酸化膜が黒色であることの明記はないが、酸化銅が黒色を含む色を示すことは技術常識である。)は周知の事項である。

引用発明において、低エネルギーのレーザーでの穴開け加工を行うために、周知の事項を適用し、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることといえる。

(3)相違点3について
本願発明と引用文献2に記載の技術事項とを対比すると、後者の「銅箔30a」は前者の「金属箔層」に相当し、以下同様に、「無電解銅めっき及び電解銅めっき」は「めっき処理」に、「銅キャリア30b」は「各キャリア箔」に、「銅キャリア30bを各銅箔30aから剥離して除去する工程」は「各キャリア箔を各金属箔層の表面から剥離するキャリア箔剥離工程」に、それぞれ相当する。

引用文献2に記載の技術事項における「貫通孔16」は、本願発明における「有底バイアホール」と、「バイアホール」という限りで共通し、前者における「貫通孔16形成後に、片面の銅箔30aと他面の銅箔30aとの導通を図るための層間接続用の無電解銅めっき及び電解銅めっきを貫通孔16内に施す工程」は、後者における「有底バイアホール形成後に、片面の金属箔層と他面の金属箔層との導通を図るための層間接続用のめっき処理を有底バイアホール内に施すめっき工程」と、「バイアホール形成後に、片面の金属箔層と他面の金属箔層との導通を図るための層間接続用のめっき処理をバイアホール内に施すめっき工程」という限りにおいて共通する。

そうすると、引用文献2に記載の技術事項は、本願発明の用語を用いれば、「バイアホール形成後に、片面の金属箔層と他面の金属箔層との導通を図るための層間接続用のめっき処理をバイアホール内に施すめっき工程と、めっき処理後に、各キャリア箔を各金属箔層の表面から剥離するキャリア箔剥離工程」を示唆しているといえる。

引用文献2の段落【0016】には、引用文献2に記載の技術事項の効果として、「高精度に微細な配線パターンを形成する」ことが記載されている。また、引用文献1の段落【0002】には引用発明の背景技術として、銅箔積層ポリイミドフィルムが高密度に配線されたフレキシブル回路基板(FPC)等に用いられる旨が記載されていることから、高精度に微細な配線パターンを形成するという課題は、引用発明にも内在しているといえる。
引用発明と引用文献2に記載の技術事項とは、ビア形成後に、キャリア箔を剥がす点で共通している。また、引用文献2に記載の技術事項は、貫通孔のみならず、有底バイアホールにも適用可能なことは明らかである。
そうすると、引用発明において、上述の引用発明に内在する課題を解決するために、引用文献2に記載の技術事項を適用し、相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることといえる。

そして、本願発明の奏する作用及び効果を検討しても、引用発明、引用文献2に記載の技術事項、及び周知の事項から予測できる程度のものであって格別のものではない。

よって、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載の技術事項、及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明(本願発明)は、引用発明、引用文献2に記載の技術事項、及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-02-02 
結審通知日 2018-02-06 
審決日 2018-02-19 
出願番号 特願2012-194738(P2012-194738)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齊藤 健一  
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 中川 隆司
滝谷 亮一
発明の名称 プリント配線板の製造方法  
代理人 吉村 勝博  

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