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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1339049
審判番号 不服2017-999  
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-01-24 
確定日 2018-04-05 
事件の表示 特願2015- 56547「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月18日出願公開、特開2015-110116〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年5月14日に出願した特願2012-111023号の一部を平成27年3月19日に新たな特許出願(特願2015-56547号)としたものであって、平成28年3月2日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年5月12日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成28年11月2日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年1月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に特許請求の範囲及び明細書に係る手続補正がなされ、これに対し、当審において、平成29年7月19日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年9月21日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年10月26日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成29年12月21日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 平成29年12月21日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年12月21日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成29年9月21日付けの手続補正書における、

「【請求項1】
特別図柄に対応した可変表示を行う遊技機であって、
所定条件を満たしたことに関連して大入賞口を遊技媒体が入賞しやすい状態に制御する大入賞口制御手段と、
未だ開始されていない可変表示が前記所定条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されるか否かを示唆する所定演出を可変表示中に実行する所定演出実行手段と、
前記判定手段による判定にもとづいて、判定の対象となった可変表示が実行される前に、前記所定演出とは異なる予告演出を実行する予告演出実行手段とを備え、
前記予告演出が実行されたときは、前記予告演出が実行されないときに比べて、前記所定演出が実行される割合が高く、前記所定演出が実行されない場合にも前記予告演出を実行可能であり、
前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されないことを示唆する前記所定演出を実行した後に前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されることを示唆する前記所定演出を実行可能である、
ことを特徴とする遊技機。」

から、平成29年12月21日付けの手続補正書における、

「【請求項1】
A 特別図柄に対応した可変表示を行う遊技機であって、
B 所定条件を満たしたことに関連して大入賞口を遊技媒体が入賞しやすい状態に制御する大入賞口制御手段と、
C 未だ開始されていない可変表示が前記所定条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
D 前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されるか否かを示唆し、可変表示の表示結果を導出する過程における態様とは異なる演出である所定演出を可変表示中に実行する所定演出実行手段と、
E 前記判定手段による判定にもとづいて、判定の対象となった可変表示が実行される前に、前記所定演出とは異なる予告演出を実行する予告演出実行手段とを備え、
F 前記予告演出が実行されたときは、前記予告演出が実行されないときに比べて、前記所定演出が実行される割合が高く、前記所定演出が実行されない場合にも前記予告演出を実行可能であり、
G 前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されないことを示唆する前記所定演出を実行した後に前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されることを示唆する前記所定演出を実行可能である、
ことを特徴とする遊技機。」

に補正された(下線部は補正箇所を示す。また、A?Gは、分説するために当審にて付した。)。

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「所定演出」に関して、「可変表示の表示結果を導出する過程における態様とは異なる演出である」点を限定したものである。
また、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1の本件補正の概要において示したとおりのものである。

(2)刊行物
(2-1)刊行物1に記載された発明
平成29年10月26日付け拒絶理由通知に刊行物1として引用され、本願の出願遡及日前に頒布された刊行物である特開2011-103968号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

(1-a) 「【0023】
〔第1実施形態〕
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。」

(1-b) 「【0027】
遊技盤6における下部の左側には、各々が識別可能な複数種類の識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器(第1変動表示部)8aが設けられている。この実施の形態では、第1特別図柄表示器8aは、「1」?「8」の8種類の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、「1」?「8」の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。遊技盤6における下部の右側には、各々が識別可能な複数種類の識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器(第2変動表示部)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、「1」?「8」の8種類の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、「1」?「8」の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。」

(1-c) 「【0030】
遊技球が第1始動入賞口13に入賞することにより、始動条件のうち第1始動条件が成立し、遊技球が第2始動入賞口14に入賞することにより、始動条件のうち第2始動条件が成立する。第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示は、第1始動条件または第2始動条件が成立した後、変動表示の開始を許容する開始条件(たとえば、大当り遊技中でなくかつ先に始動入賞した保留記憶に起因する変動表示が終了しているとき)が成立したことに基づいて開始され、変動表示時間が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、始動条件は、始動領域に入賞することにより成立するものに限らず、始動領域を通過することにより成立するものであってもよい。また、変動表示の開始を許容する開始条件は、大当り遊技中でなくかつ先に始動入賞した保留記憶に起因する変動表示が終了することにより成立する。始動条件は成立しているが開始条件が成立していない保留記憶、すなわち遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に入賞したが未だ変動表示の開始を許容する開始条件が成立していない保留記憶に関するデータは、開始条件が成立するまで保留記憶データとして保留して記憶される。具体的に、保留記憶データは、後述する遊技制御用マイクロコンピュータ560のRAM55の所定領域に記憶される。」

(1-d) 「【0041】
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aによる第1特別図柄の変動表示時間中、および第2特別図柄表示器8bによる第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を複数の図柄表示エリア9L、9C、9R各々において行なう。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときとには、演出表示装置9において大当りを想起させるような特定表示結果としての演出図柄の組合せが停止表示される。」

(1-e) 「【0045】
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときと、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。」

(1-f) 「【0055】
図2は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図2は、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムにしたがって制御動作を行なうCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ560に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともCPU56のほかRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路503が内蔵されている。」

(1-g) 「【0059】
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aからの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載されている。また、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、および大入賞口を形成する特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21を遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令にしたがって駆動する出力回路59も主基板31に搭載されている。」

(1-h) 「【0108】
演出図柄の変動表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリア9L、9C、9Rにおいて停止図柄が導出表示されるまでの期間(変動表示期間=変動時間)で、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。リーチ状態は、演出表示装置9の表示領域において停止表示された演出図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない演出図柄の変動が継続している表示状態、または、全部もしくは一部の演出図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。リーチ状態における表示演出が、リーチ演出表示(リーチ演出)である。リーチ演出には、後述するように、実行された変動表示において大当りとなる信頼度が低く設定されたノーマルリーチ演出と、当該ノーマルリーチ演出よりも信頼度が高く設定されたスーパーリーチ演出とを含む。」

(1-i) 「【0135】
図7(C)は、変動パターン種別の判定を行なうときに用いる変動パターン種別判定テーブルを示す図である。変動パターン種別とは、リーチの種類等の変動パターンを大分類(種別)した区分をいう。変動パターン種別としては、たとえば、リーチ演出が実行されない非リーチ、ノーマルリーチ演出が実行されるノーマルリーチ、スーパーリーチ演出が実行されるスーパーリーチが設けられている。変動パターン種別は、大当り判定および大当り種別判定の判定結果に応じた振分率となるように定められた判定値と、変動表示を開始することが許容されたときにランダム3から抽出した値とを用いて行なわれる。」

(1-j) 「【0176】
演出制御用マイクロコンピュータ100では、当該始動入賞指定コマンドに基づき、保留表示するための処理、先読み演出を実行するか否かを判定するための処理などを行なう。先読み演出とは、先読み判定結果に関する情報を、当該始動入賞に起因する変動表示開始前の段階から、複数回の変動表示に亘り連続して予告報知する演出をいい、本実施の形態においては保留表示の表示態様を変化させることにより実行される。」

(1-k) 「【0189】
図11は、S301の始動口スイッチ通過処理を示すフローチャートである。第1始動口スイッチ13aと第2始動口スイッチ14aとのうちの少なくとも一方がオン状態の場合に実行される始動口スイッチ通過処理において、CPU56は、オンしたのが第1始動口スイッチ13aであるか否かを確認する(S211)。第1始動口スイッチ13aがオンしていれば、CPU56は、第1保留記憶数をカウントするための第1保留記憶数カウンタの値が4であるか否かを確認する(S212)。第1保留記憶数カウンタの値が4であれば、S221に移行する。
・・・
【0191】
この実施の形態では、第1始動口スイッチ13aがオン状態となった場合(すなわち、第1始動入賞口13に遊技球が始動入賞した場合)には「第1」を示すデータをセットし、第2始動口スイッチ14aがオン状態となった場合(すなわち、第2始動入賞口14に遊技球が始動入賞した場合)には「第2」を示すデータをセットする。たとえば、CPU56は、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)において、第1始動口スイッチ13aがオン状態となった場合には「第1」を示すデータとして01(H)をセットし、第2始動口スイッチ14aがオン状態となった場合には「第2」を示すデータとして02(H)をセットする。なお、この場合、対応する保留記憶がない場合には、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)には、00(H)がセットされている。」
・・・
【0198】
先読み大当りフラグがセットされていないときには、後述する第1先読み処理を行ない(S218)、S219に移行する。第1先読み処理においては、今回の第1始動入賞により抽出した乱数値に基づき、当りになるか否かおよび変動パターン種別がどの種別であるかを先読みする処理が行なわれる。
【0199】
S219においては、第1先読み処理における先読み判定結果に応じた第1始動入賞指定コマンドをセットする。セットされたコマンドは、演出制御コマンド制御処理(図5のS33)において、送信する処理が行なわれる。先読み判定結果に応じた第1始動入賞指定コマンドとは、第1始動入賞があったこと、および当該始動入賞の当り判定結果および変動パターン種別を特定するためのコマンドをいう。」

(1-l) 「【0206】
図12は、S218の第1先読み処理を示すフローチャートである。CPU56は、S215において抽出したランダムRの値が通常時(非確変状態)の大当り判定値、すなわち共通の大当り判定値(図7(A)参照))であるか否かを判定する(S241)。このように、先読み処理での大当り判定においては、通常時の大当り判定値(共通の大当り判定値)が用いられる。このため、実際に変動表示を開始するときの遊技状態が確変状態であるか否かまで先読みすることなく、先読み処理において大当りと判定されたにも関わらず実際の変動表示においてはずれになるといった不都合の発生を防止することができる。なお、先読み処理における大当り判定は、確変状態中であるときには確変時であるときの大当り判定値を用いて行なってもよい。この場合でも、図11のS217やS227において先読み大当りフラグがセットされているときには先読み処理自体行なわれないため、先読み処理において大当りと判定されたにも関わらず変動開始時において大当りにならないと判定されるような、先読み処理時と変動開始時とにおいて齟齬が生じることを防止することができる。」

(1-m) 「【0235】
次に、演出制御手段の動作を説明する。図17は、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。演出制御用CPU101は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(たとえば、2ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行なうための初期化処理を行なう(S551)。その後、演出制御用CPU101は、タイマ割込フラグの監視(S552)を行なうループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU101は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされていたら、演出制御用CPU101は、そのフラグをクリアし(S553)、S554?S559の演出制御処理を実行する。
【0236】
演出制御処理において、演出制御用CPU101は、まず、受信した演出制御コマンドを解析し、受信した演出制御コマンドに応じたフラグをセットする処理等をするコマンド解析処理を行なう(S554)。次いで、演出制御用CPU101は、合算保留記憶表示部18cの表示状態の制御を行なう保留記憶表示制御処理を実行する(S555)。前述した先読み演出は、保留記憶表示制御処理により、合算保留記憶表示部18cにおいて行なわれる。また、演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理を行なう(S556)。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出表示装置9の表示制御を実行する。」

(1-n) 「【0277】
図22は、図21のS666において先読み演出を実行するか否かを決定するために用いる先読み演出決定テーブルを説明するための図である。先読み演出決定テーブルは、演出制御基板側のROMに記憶されている。先読み演出決定テーブルは、受信した始動入賞指定コマンドから特定される先読み判定結果、および現在の保留記憶数に応じて、図22に示す確率となるように、先読み演出の実行を決定するための判定値が定められている。
【0278】
先読み演出を実行するか否かは、大当り時であるときには、大当り種別および変動パターン種別の組合せ毎に定められた振分率に従って決定される。
【0279】
図22(A)は、大当り時に参照される大当り時先読み演出決定テーブルを説明するための図である。先読み演出実行確率は、第1特別図柄側において大当りとなるときであって、確変当り+ノーマルリーチであるときには「80%」、確変当り+スーパーリーチであるときには「70%」、通常当り+ノーマルリーチであるときには「75%」、通常当り+スーパーリーチであるときには「60%」、突確当り+ノーマルリーチであるときには「80%」に設定されている。
【0280】
また、第2特別図柄側において大当りとなるときの先読み演出実行確率は、第1特別図柄側で説明した確率と同じ確率に設定されている。なお、大当りとなるときの先読み演出実行確率は、第1特別図柄側と第2特別図柄側とで異ならせてもよい。
【0281】
図22(B)は、はずれ時に参照されるはずれ時先読み演出決定テーブルを説明するための図である。先読み演出実行確率は、はずれかつ現在(先読み時)の保留記憶数(未変動の保留記憶数)が2以下である場合、ノーマルリーチであるときには「25%」、スーパーリーチであるときには「30%」に設定されている。また、はずれかつ現在の保留記憶数が3以上である場合、ノーマルリーチであるときには「30%」、スーパーリーチであるときには「40%」に設定されている。」

上記(1-a)?(1-n)の記載事項及び図面から、以下(1-o)?(1-t)の事項が導かれる。

(1-o)段落【0027】には「各々が識別可能な複数種類の識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器(第1変動表示部)8a」と記載されており、第1特別図柄の変動表示に関して、段落【0030】には、「遊技球が第1始動入賞口13に入賞することにより、始動条件のうち第1始動条件が成立し、・・・第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示は、第1始動条件または第2始動条件が成立した後、変動表示の開始を許容する開始条件・・・が成立したことに基づいて開始され、」と記載されているから、刊行物1には、遊技球が第1始動口13に入賞し、変動表示の開始を許容する開始条件が成立したことに基づいて第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄を変動表示する点が記載されているといえる。
また、段落【0041】には、「演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aによる第1特別図柄の変動表示時間中、および第2特別図柄表示器8bによる第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を複数の図柄表示エリア9L、9C、9R各々において行なう。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。」と記載されているから、刊行物1には、第1特別図柄の変動表示と同期して、演出表示装置9により演出図柄の変動表示を行う点が記載されているといえる。
以上より、刊行物1には、遊技球が第1始動口13に入賞し、変動表示の開始を許容する開始条件が成立したことに基づいて第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄を変動表示し、第1特別図柄の変動表示と同期して、演出表示装置9により演出図柄の変動表示を行う点が記載されているといえる。

(1-p)段落【0045】には、「特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときと、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。」と記載されているから、刊行物1には、第1特別図柄表示器8aに大当り図柄が導出表示されたときに、特別可変入賞球装置20を開放状態に制御する点が記載されているといえる。
また、段落【0059】には、「大入賞口を形成する特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21を遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令にしたがって駆動する出力回路59も主基板31に搭載されている。」と記載されているから、主基板31が特別可変入賞球装置20を開放状態に制御する機能を有していることは、明らかである。
以上より、刊行物1には、第1特別図柄表示器8aに大当り図柄が導出表示されたときに、特別可変入賞球装置20を開放状態に制御する主基板31の機能が記載されているといえる。

(1-q)刊行物1には、「図11は、S301の始動口スイッチ通過処理を示すフローチャートである。第1始動口スイッチ13aと第2始動口スイッチ14aとのうちの少なくとも一方がオン状態の場合に実行される始動口スイッチ通過処理において、CPU56は、オンしたのが第1始動口スイッチ13aであるか否かを確認する(S211)。」(段落【0189】)、「第1始動口スイッチ13aがオン状態となった場合(すなわち、第1始動入賞口13に遊技球が始動入賞した場合)」(段落【0191】)、「先読み大当りフラグがセットされていないときには、後述する第1先読み処理を行ない(S218)、S219に移行する。」(段落【0198】)、「S219においては、第1先読み処理における先読み判定結果に応じた第1始動入賞指定コマンドをセットする。」(段落【0199】)と記載されているから、刊行物1には、CPU56は、第1始動口13に遊技球が始動入賞した場合、先読み処理を行い、第1始動入賞指定コマンドをセットする点が記載されているといえる。
また、段落【0055】には、「主基板31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、・・・CPU56およびI/Oポート部57を含む。」と記載されているから、第1始動口13に遊技球が始動入賞した場合、先読み処理を行い、第1始動入賞指定コマンドをセットする機能は、主基板31が有しているといえる。
また、段落【0206】には「図12は、S218の第1先読み処理を示すフローチャートである。・・・先読み処理での大当り判定においては、」と記載されているから、先読み処理において大当り判定を行うといえる。
以上より、刊行物1には、第1始動口13に遊技球が始動入賞した場合、先読み処理において大当り判定を行い、第1始動入賞指定コマンドをセットする主基板31の機能が記載されているといえる。

(1-r)段落【0108】には、「演出図柄の変動表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリア9L、9C、9Rにおいて停止図柄が導出表示されるまでの期間(変動表示期間=変動時間)で、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。・・・リーチ状態における表示演出が、リーチ演出表示(リーチ演出)である。リーチ演出には、後述するように、実行された変動表示において大当りとなる信頼度が低く設定されたノーマルリーチ演出と、当該ノーマルリーチ演出よりも信頼度が高く設定されたスーパーリーチ演出とを含む。」と記載されているから、刊行物1には、演出図柄の変動表示期間に、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となると、大当りとなる信頼度が高いスーパーリーチ演出を実行する点が記載されているといえる。
また、段落【0041】には、「演出表示装置9は、・・・装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を複数の図柄表示エリア9L、9C、9R各々において行なう。」と記載されているから、演出図柄の変動表示は演出表示装置9によって行われるものであるといえ、さらに、演出図柄の変動表示の際に行われるスーパーリーチ演出も演出表示装置9によって行われることは明らかであるから、刊行物1には、演出表示装置9による演出図柄の変動表示期間に、大当りとなる信頼度が高いスーパーリーチ演出を実行する点が記載されているといえる。
さらに、刊行物1には、「演出制御手段の動作を説明する。図17は、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。」(段落【0235】)、「演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理を行なう(S556)。演出制御プロセス処理では、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出表示装置9の表示制御を実行する。」(段落【0236】)と記載されているから、演出表示装置9の表示制御を実行する機能は、演出制御基板80が有しているといえる。
以上より、刊行物1には、演出表示装置9による演出図柄の変動表示期間に、大当りとなる信頼度が高いスーパーリーチ演出を実行する演出制御基板80の機能が記載されているといえる。

(1-s)段落【0176】には、「演出制御用マイクロコンピュータ100では、当該始動入賞指定コマンドに基づき、保留表示するための処理、先読み演出を実行するか否かを判定するための処理などを行なう。先読み演出とは、先読み判定結果に関する情報を、当該始動入賞に起因する変動表示開始前の段階から、複数回の変動表示に亘り連続して予告報知する演出をいい」と記載されており、段落【0235】には「演出制御基板80に搭載されている演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)」と記載されているから、刊行物1には、演出制御基板80は、始動入賞指定コマンドにもとづいて、当該始動入賞に起因する変動表示開始前の段階から、複数回の変動表示に亘り連続して予告報知する先読み演出を実行するか否かを決定する点が記載されているといえる。
また、上記段落【0176】に記載の「始動入賞指定コマンド」が、段落【0199】の「S219においては、第1先読み処理における先読み判定結果に応じた第1始動入賞指定コマンドをセットする。」との記載における「第1始動入賞指定コマンド」を含むことは明らかである。
さらに、上記認定事項(1-r)にて示した通り、演出表示装置9の表示制御を実行する機能は、演出制御基板80が有しているといえるから、演出制御基板80が先読み演出を実行する機能を有することは、明らかである。
以上より、刊行物1には、第1始動入賞指定コマンドにもとづいて、当該始動入賞に起因する変動表示開始前の段階から、複数回の変動表示に亘り連続して予告報知する先読み演出を実行するか否かを決定し、先読み演出を実行する演出制御基板80の機能が記載されているといえる。

(1-t)刊行物1には、「先読み演出を実行するか否かは、大当り時であるときには、大当り種別および変動パターン種別の組合せ毎に定められた振分率に従って決定される。」(段落【0278】)、「先読み演出実行確率は、第1特別図柄側において大当りとなるときであって、確変当り+ノーマルリーチであるときには「80%」、確変当り+スーパーリーチであるときには「70%」、通常当り+ノーマルリーチであるときには「75%」、通常当り+スーパーリーチであるときには「60%」、突確当り+ノーマルリーチであるときには「80%」に設定されている。」(段落【0279】)、「先読み演出実行確率は、はずれかつ現在(先読み時)の保留記憶数(未変動の保留記憶数)が2以下である場合、ノーマルリーチであるときには「25%」、スーパーリーチであるときには「30%」に設定されている。また、はずれかつ現在の保留記憶数が3以上である場合、ノーマルリーチであるときには「30%」、スーパーリーチであるときには「40%」に設定されている。」(段落【0281】)と記載されているから、刊行物1には、先読み演出は、ノーマルリーチまたはスーパーリーチとなるときに所定の振分率で実行され、また、ノーマルリーチとなるものであってスーパーリーチとならない場合にも、先読み演出が実行されることがある点が記載されているといえる。
また、段落【0135】には「変動パターン種別としては、たとえば、リーチ演出が実行されない非リーチ、ノーマルリーチ演出が実行されるノーマルリーチ、スーパーリーチ演出が実行されるスーパーリーチが設けられている。」と記載されており、段落【0279】及び【0281】の上記記載においては、「非リーチ」となるときの先読み演出実行確率については記載されていないから、先読み演出は、非リーチとなるときには実行されないことは明らかである。
以上より、刊行物1には、先読み演出は、ノーマルリーチまたはスーパーリーチとなるときのみ所定の振分率で実行され、非リーチとなるときには実行されず、また、ノーマルリーチとなるものであってスーパーリーチとならない場合にも、先読み演出が実行されることがある点が記載されているといえる。

上記(1-a)?(1-n)の記載事項及び(1-o)?(1-t)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。(a?fは、本願補正発明のA?Fに対応させて付した。)

「a 遊技球が第1始動口13に入賞し、変動表示の開始を許容する開始条件が成立したことに基づいて第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄を変動表示し、第1特別図柄の変動表示と同期して、演出表示装置9により演出図柄の変動表示を行うパチンコ遊技機1であって、(段落【0023】、認定事項(1-o))
b 第1特別図柄表示器8aに大当り図柄が導出表示されたときに、特別可変入賞球装置20を開放状態に制御する主基板31の機能と、(認定事項(1-p))
c 第1始動口13に遊技球が始動入賞した場合、先読み処理において大当り判定を行い、第1始動入賞指定コマンドをセットする主基板31の機能と、(認定事項(1-q))
d 演出表示装置9による演出図柄の変動表示期間に、大当りとなる信頼度が高いスーパーリーチ演出を実行する演出制御基板80の機能と、(認定事項(1-r))
e 第1始動入賞指定コマンドにもとづいて、当該始動入賞に起因する変動表示開始前の段階から、複数回の変動表示に亘り連続して予告報知する先読み演出を実行するか否かを決定し、先読み演出を実行する演出制御基板80の機能とを備え、(認定事項(1-s))
f 先読み演出は、ノーマルリーチまたはスーパーリーチとなるときのみ所定の振分率で実行され、非リーチとなるときには実行されず、また、ノーマルリーチとなるものであってスーパーリーチとならない場合にも、先読み演出が実行されることがある(認定事項(1-t))
パチンコ遊技機1。」

(2-2)刊行物2に記載された事項
平成29年10月26日付け拒絶理由通知に刊行物2として引用され、本願の出願遡及日前に頒布された刊行物である特開2011-218045号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

(2-a) 「【0019】
[第1実施形態]
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、パチンコ遊技機に設けられた操作レバー30の側面図(パチンコ遊技機1を向かって右側から見たときの側面図)である。図3は、大当り種別の制御の特徴を表形式で説明する図である。」

(2-b) 「【0054】
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。」

(2-c) 「【0229】
次に、図16?図24を用いて第1スーパーリーチ?第4スーパーリーチの演出の具体例を説明する。図16は、第1スーパーリーチの演出の具体例を示す演出表示装置9の表示画面図である。図17および図18は、第2スーパーリーチの演出の具体例を示す演出表示装置9の表示画面図である。図19および図20は、第3スーパーリーチの演出の具体例を示す演出表示装置9の表示画面図である。図21?図24は、第4スーパーリーチの演出の具体例を示す演出表示装置9の表示画面図である。図16?図24においては、演出表示装置9に表示される画像が時間経過にしたがって変化する状態が示されている。
【0230】
まず、図16を参照して、第1スーパーリーチを説明する。第1スーパーリーチにおいては、(A)に示すように左図柄停止エリアでの左演出図柄91と、右図柄停止エリアでの右演出図柄93とが同じ図柄で停止し、中図柄停止エリアでの中演出図柄92が変動中であるリーチ状態が発生した後、リーチの演出として、(B)?(D),(F)に示すような第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが武器を持って対戦する画像を表示する第1演出態様での演出が行なわれる。その後、(E)のようなはずれ表示結果、または、(G)のような大当り表示結果が導出表示される。
【0231】
図16において、リーチ状態の発生直後、(B)に示すように、武器を持った第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが登場し、これらキャラクタが武器を持って対戦する第1演出態様での演出が開始される。そして、(E)のようなはずれ表示結果となるときには、(C),(D)に示すように第1キャラクタ71が敗北する画像が表示された後、表示結果が導出表示され、第1演出態様での演出が終了される。このような(C),(D)の画像は、大当り遊技状態に制御されないことを認識させる演出をするための画像であり、このような画像が表示されたときに、遊技者は、表示結果がはずれとなると認識することができる。一方、(G)のような大当り表示結果となるときには、(F)に示すように第1キャラクタ71が勝利する第1演出態様での画像が表示された後、表示結果が導出表示され、第1演出態様での演出が終了される。このような(F)の画像は、大当り遊技状態に制御されることを認識させる演出をするための画像であり、このような画像が表示されたときに、遊技者は、表示結果が大当りとなると認識することができる。
【0232】
次に、図17および図18を参照して、第2スーパーリーチを説明する。第2スーパーリーチにおいては、(A)に示すようなリーチ状態が発生した後、(B)?(D)に示すような第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが武器を持って対戦する画像を表示する第1演出態様での演出が行なわれる。第2スーパーリーチでは、第1演出態様での演出において、表示結果がはずれとなると認識されるような(D)の画像が表示される。しかし、その後、(H)に示すように第1キャラクタ71が第1演出態様とは異なる強力な武器を持って復活する画像が表示され、(H)?(J),(L)に示すように、第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが武器を持ってさらに対戦する画像を表示する第3演出態様での演出が行なわれる。その後、(K)のようなはずれ表示結果、または、(M)のような大当り表示結果が導出表示される。
【0233】
このように、第1演出態様での演出が行なわれた後、第3演出態様での演出が行なわれると、第1キャラクタ71が第1演出態様よりも強力な武器を持って戦うこととなり、演出態様の移行に基づいてキャラクタが対戦する演出内容が発展するような第1発展演出が行なわれる。
【0234】
図17および図18において、(H)に示すように、第1キャラクタ71が新たな武器を持って復活し、再度第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが対戦をする第3演出態様での演出が開始される。そして、(K)のようなはずれ表示結果となるときには、(I),(J)に示すように第1キャラクタ71が敗北する画像が表示された後、表示結果が導出表示され、第3演出態様での演出が終了される。このような(I),(J)の画像は、大当り遊技状態に制御されないことを認識させる演出をするための画像であり、このような画像が表示されたときに、遊技者は、表示結果がはずれとなると認識することができる。一方、(M)のような大当り表示結果となるときには、(L)に示すように第1キャラクタ71が勝利する第3演出態様での画像が表示された後、表示結果が導出表示され、第3演出態様での演出が終了される。このような(L)の画像は、大当り遊技状態に制御されることを認識させる演出をするための画像であり、このような画像が表示されたときに、遊技者は、表示結果が大当りとなると認識することができる。」

上記(2-a)?(2-c)の記載事項及び図面から、以下(2-d)?(2-f)の事項が導かれる。

(2-d)刊行物2には、「まず、図16を参照して、第1スーパーリーチを説明する。・・・第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが武器を持って対戦する画像を表示する第1演出態様での演出が行なわれる。その後、(E)のようなはずれ表示結果、または、(G)のような大当り表示結果が導出表示される。」(段落【0230】)、「そして、(E)のようなはずれ表示結果となるときには、(C),(D)に示すように第1キャラクタ71が敗北する画像が表示された後、表示結果が導出表示され、第1演出態様での演出が終了される。このような(C),(D)の画像は、大当り遊技状態に制御されないことを認識させる演出をするための画像であり、このような画像が表示されたときに、遊技者は、表示結果がはずれとなると認識することができる。一方、(G)のような大当り表示結果となるときには、(F)に示すように第1キャラクタ71が勝利する第1演出態様での画像が表示された後、表示結果が導出表示され、第1演出態様での演出が終了される。このような(F)の画像は、大当り遊技状態に制御されることを認識させる演出をするための画像であり、このような画像が表示されたときに、遊技者は、表示結果が大当りとなると認識することができる。」(段落【0231】)と記載されているから、刊行物2には、第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが対戦する画像を表示した後、遊技者が表示結果がはずれとなると認識することができる第1キャラクタ71が敗北する画像、または、遊技者が表示結果が大当りとなると認識することができる第1キャラクタ71が勝利する画像を表示する第1スーパーリーチの演出が記載されているといえる。
また、刊行物2には、「次に、図17および図18を参照して、第2スーパーリーチを説明する。第2スーパーリーチにおいては、(A)に示すようなリーチ状態が発生した後、(B)?(D)に示すような第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが武器を持って対戦する画像を表示する第1演出態様での演出が行なわれる。」(段落【0232】)、「そして、(K)のようなはずれ表示結果となるときには、(I),(J)に示すように第1キャラクタ71が敗北する画像が表示された後、表示結果が導出表示され、第3演出態様での演出が終了される。このような(I),(J)の画像は、大当り遊技状態に制御されないことを認識させる演出をするための画像であり、このような画像が表示されたときに、遊技者は、表示結果がはずれとなると認識することができる。一方、(M)のような大当り表示結果となるときには、(L)に示すように第1キャラクタ71が勝利する第3演出態様での画像が表示された後、表示結果が導出表示され、第3演出態様での演出が終了される。このような(L)の画像は、大当り遊技状態に制御されることを認識させる演出をするための画像であり、このような画像が表示されたときに、遊技者は、表示結果が大当りとなると認識することができる。」(段落【0234】)と記載されているから、第2スーパーリーチの演出についても、上記第1スーパーリーチの演出と同様に、第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが対戦する画像を表示した後、遊技者が表示結果がはずれとなると認識することができる第1キャラクタ71が敗北する画像、または、遊技者が表示結果が大当りとなると認識することができる第1キャラクタ71が勝利する画像を表示する演出であるといえる。
さらに、段落【0054】には、「特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。」と記載されているから、遊技者が表示結果が大当りとなると認識する際には、大入賞口が開放状態になることも認識するといえる。
以上より、刊行物2には、第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが対戦する画像を表示した後、遊技者が表示結果がはずれとなると認識することができる第1キャラクタ71が敗北する画像、または、遊技者が表示結果が大当りとなり、大入賞口が開放状態になると認識することができる第1キャラクタ71が勝利する画像を表示する第1スーパーリーチ及び第2スーパーリーチの演出を実行可能である点が記載されているといえる。

(2-e)段落【0229】には、「図16は、第1スーパーリーチの演出の具体例を示す演出表示装置9の表示画面図である。図17および図18は、第2スーパーリーチの演出の具体例を示す演出表示装置9の表示画面図である。」と記載されている。
また、図17(B)には、右側下方にそれぞれ91、92、93の符号が付与された「7」、「↓」、「7」の記号が表示され、中央部にそれぞれ71、72の符号が付与されたキャラクタの画像が表示される点が図示されている。そして、段落【0230】の「左図柄停止エリアでの左演出図柄91と、右図柄停止エリアでの右演出図柄93とが同じ図柄で停止し、中図柄停止エリアでの中演出図柄92が変動中であるリーチ状態が発生した後・・・第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが武器を持って対戦する画像」との記載より、上記91、92、93の符号が付与された「7」、「↓」、「7」の記号は、それぞれ、左演出図柄91、中演出図柄92、右演出図柄93の変動表示を表し、上記71、72の符号が付与されたキャラクタは、それぞれ、第1キャラクタ71、第2キャラクタ72を表すことは、明らかである。
また、第1スーパーリーチ及び第2スーパーリーチの演出の具体例を示す図16?18のうち、第1キャラクタ71または第2キャラクタ72が表示されるもの(図16(B)、(C)、(D)、(F)、図17(B)、(C)、(D)、(H)、図18(I)、(J)、(L))については、全て、第1キャラクタ71または第2キャラクタ72と共に、「7」、「↓」、「7」の記号が図示されている。
以上より、刊行物2には、第1スーパーリーチ及び第2スーパーリーチの演出における、第1キャラクタ71及び第2キャラクタ72の画像は、右側下方の左演出図柄91、右演出図柄93、中演出図柄92の変動表示と共に表示される点が記載されているといえる。

(2-f)刊行物2には、「第2スーパーリーチにおいては、(A)に示すようなリーチ状態が発生した後、(B)?(D)に示すような第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが武器を持って対戦する画像を表示する第1演出態様での演出が行なわれる。第2スーパーリーチでは、第1演出態様での演出において、表示結果がはずれとなると認識されるような(D)の画像が表示される。・・・第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが武器を持ってさらに対戦する画像を表示する第3演出態様での演出が行なわれる。」(段落【0232】)、「(M)のような大当り表示結果となるときには、(L)に示すように第1キャラクタ71が勝利する第3演出態様での画像が表示された後、表示結果が導出表示され、第3演出態様での演出が終了される。」(段落【0234】)と記載されているから、刊行物2には、第2スーパーリーチでは、第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが対戦する画像を表示した後、表示結果がはずれとなると認識されるような第1キャラクタ71が敗北する画像を表示し、その後、第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが対戦する画像を表示した後、第1キャラクタ71が勝利する画像を表示することが可能である点が記載されているといえる。

上記(2-a)?(2-c)の記載事項及び(2-d)?(2-f)の認定事項を総合すると、刊行物2には、次の事項が記載されていると認められる(以下「刊行物2記載の事項」という。)。
「パチンコ遊技機1において、(段落【0019】)、
第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが対戦する画像を表示した後、遊技者が表示結果がはずれとなると認識することができる第1キャラクタ71が敗北する画像、または、遊技者が表示結果が大当りとなり、大入賞口が開放状態になると認識することができる第1キャラクタ71が勝利する画像を表示する第1スーパーリーチ及び第2スーパーリーチの演出を実行可能であり、(認定事項(2-d))
第1スーパーリーチ及び第2スーパーリーチの演出における、第1キャラクタ71及び第2キャラクタ72の画像は、右側下方の左演出図柄91、右演出図柄93、中演出図柄92の変動表示と共に表示され、(認定事項(2-e))
第2スーパーリーチでは、第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが対戦する画像を表示した後、表示結果がはずれとなると認識されるような第1キャラクタ71が敗北する画像を表示し、その後、第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが対戦する画像を表示した後、第1キャラクタ71が勝利する画像を表示することが可能である点。(認定事項(2-f))」

(3)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)?(f)は、刊行物1発明の構成a?fに対応している。)。

(a)刊行物1発明の「第1特別図柄」及び「パチンコ遊技機1」は、それぞれ、本願補正発明の「特別図柄」及び「遊技機」に相当する。また、刊行物1発明の「第1特別図柄の変動表示と同期」した「演出表示装置9」による「演出図柄の変動表示」は、本願補正発明の「特別図柄に対応した可変表示」に相当する。
したがって、刊行物1発明における「遊技球が第1始動口13に入賞し、変動表示の開始を許容する開始条件が成立したことに基づいて第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄を変動表示し、第1特別図柄の変動表示と同期して、演出表示装置9により演出図柄の変動表示を行うパチンコ遊技機1」は、本願補正発明における「特別図柄に対応した可変表示を行う遊技機」に相当する。

(b)刊行物1発明の「第1特別図柄表示器8aに大当り図柄が導出表示された」こと、「特別可変入賞球装置20」及び「特別可変入賞球装置20を開放状態に制御する」ことは、それぞれ、本願補正発明の「所定条件を満たしたこと」、「大入賞口」及び「大入賞口を遊技媒体が入賞しやすい状態に制御する」ことに相当する。
したがって、刊行物1発明における「第1特別図柄表示器8aに大当り図柄が導出表示されたときに、特別可変入賞球装置20を開放状態に制御する主基板31の機能」は、本願補正発明における「所定条件を満たしたことに関連して大入賞口を遊技媒体が入賞しやすい状態に制御する大入賞口制御手段」の機能に相当する。

(c)刊行物1発明において、「演出図柄の変動表示」(可変表示)と同期する「第1特別図柄」の「変動表示」は、「遊技球が第1始動口13に入賞し」かつ「変動表示の開始を許容する開始条件が成立したことに基づいて」行われるものであるから(構成a)、刊行物1発明において「第1始動口13に遊技球が始動入賞した場合」の時点は、「第1始動口13に遊技球が始動入賞した」が、「変動表示の開始を許容する開始条件が成立」していない時点、すなわち、可変表示が未だ開始されていない時点であるといえる。よって、刊行物1発明において、「第1始動口13に遊技球が始動入賞した場合、先読み処理において大当り判定を行」うことは、「未だ開始されていない可変表示」について、「先読み処理において大当り判定を行」うことといえる。
また、刊行物1発明において、「大当り判定を行」うことが、「第1特別図柄表示器8aに大当り図柄が導出表示され」(構成b)るか否かを判定していることは明らかであるから、刊行物1発明において「先読み処理において大当り判定を行」うことは、本願補正発明において「前記所定条件を満たすか否かを判定する」ことに相当する。
したがって、刊行物1発明における「第1始動口13に遊技球が始動入賞した場合、先読み処理において大当り判定を行い、第1始動入賞指定コマンドをセットする主基板31の機能」は、本願補正発明における「未だ開始されていない可変表示が前記所定条件を満たすか否かを判定する判定手段」の機能に相当する。

(d)刊行物1発明の「演出表示装置9による演出図柄の変動表示期間」は、本願補正発明の「可変表示中」に相当する。また、刊行物1発明の「大当りとなる信頼度が高いスーパーリーチ演出」と、本願発明の「前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されるか否かを示唆し、可変表示の表示結果を導出する過程における態様とは異なる演出である所定演出」とは、大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されるか否かに関連する所定の演出である点で共通する。
したがって、刊行物1発明の「演出表示装置9による演出図柄の変動表示期間に、大当りとなる信頼度が高いスーパーリーチ演出を実行する演出制御基板80の機能」と、本願補正発明の「前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されるか否かを示唆し、可変表示の表示結果を導出する過程における態様とは異なる演出である所定演出を可変表示中に実行する所定演出実行手段」の機能とは、大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されるか否かに関連する所定の演出を可変表示中に実行する機能である点で共通する。

(e)刊行物1発明の「第1始動入賞指定コマンド」は、「第1始動口13に遊技球が始動入賞した場合、先読み処理において大当り判定を行い」、「主基板31」が「セットする」(構成c)ものであるから、刊行物1発明において「第1始動入賞指定コマンドにもとづ」くことは、本願補正発明において「前記判定手段による判定にもとづ」くことに相当する。そして、刊行物1発明の「当該始動入賞に起因する変動表示開始前」及び「先読み演出」は、それぞれ、本願補正発明の「判定の対象となった可変表示が実行される前」及び「予告演出」に相当する。また、刊行物1発明の「先読み演出」は、「当該始動入賞に起因する変動表示開始前の段階から、複数回の変動表示に亘り連続して予告報知する」ものであるから、「演出表示装置9による演出図柄の変動表示期間に」実行される「大当りとなる信頼度が高いスーパーリーチ演出」(構成d)とは異なる演出であることは、明らかである。
したがって、刊行物1発明の「第1始動入賞指定コマンドにもとづいて、当該始動入賞に起因する変動表示開始前の段階から、複数回の変動表示に亘り連続して予告報知する先読み演出を実行するか否かを決定し、先読み演出を実行する演出制御基板80の機能」と、本願補正発明の「前記判定手段による判定にもとづいて、判定の対象となった可変表示が実行される前に、前記所定演出とは異なる予告演出を実行する予告演出実行手段」の機能とは、判定手段による判定にもとづいて、判定の対象となった可変表示が実行される前に、所定の演出とは異なる予告演出を実行する機能である点で共通する。

(f)刊行物1発明の「先読み演出」は、「ノーマルリーチまたはスーパーリーチとなるときのみ所定の振分率で実行され、非リーチとなるときには実行され」ないから、先読み演出が実行されたときは、非リーチとなるときを含む先読み演出が実行されないときに比べて、スーパーリーチ演出が実行される割合が高いことは明らかである。また、刊行物1発明において、「ノーマルリーチとなるものであってスーパーリーチとならない場合にも、先読み演出が実行されることがある」ことは、「スーパーリーチ」の演出が実行されない場合にも「先読み演出」を実行可能であることといえる。
よって、刊行物1発明において、「先読み演出は、ノーマルリーチまたはスーパーリーチとなるときのみ所定の振分率で実行され、非リーチとなるときには実行されず、また、ノーマルリーチとなるものであってスーパーリーチとならない場合にも、先読み演出が実行されることがある」ことと、本願補正発明において「前記予告演出が実行されたときは、前記予告演出が実行されないときに比べて、前記所定演出が実行される割合が高く、前記所定演出が実行されない場合にも前記予告演出を実行可能であ」ることととは、予告演出が実行されたときは、予告演出が実行されないときに比べて、所定の演出が実行される割合が高く、所定の演出が実行されない場合にも予告演出を実行可能である点で共通する。

以上、(a)?(f)の対比より、本願補正発明と刊行物1発明とは、

「A 特別図柄に対応した可変表示を行う遊技機であって、
B 所定条件を満たしたことに関連して大入賞口を遊技媒体が入賞しやすい状態に制御する大入賞口制御手段と、
C 未だ開始されていない可変表示が前記所定条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
D’前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されるか否かに関連する所定の演出を可変表示中に実行する手段と、
E’前記判定手段による判定にもとづいて、判定の対象となった可変表示が実行される前に、前記所定の演出とは異なる予告演出を実行する手段とを備え、
F’前記予告演出が実行されたときは、前記予告演出が実行されないときに比べて、前記所定の演出が実行される割合が高く、前記所定の演出が実行されない場合にも前記予告演出を実行可能である、
遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)「所定演出」に関して、本願補正発明は、「前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されるか否かを示唆し、可変表示の表示結果を導出する過程における態様とは異なる演出である所定演出」(構成D)であると特定され、さらに、「前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されないことを示唆する前記所定演出を実行した後に前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されることを示唆する前記所定演出を実行可能である」(構成G)と特定されているのに対し、刊行物1発明の「スーパーリーチ演出」は「前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されるか否かを示唆し、可変表示の表示結果を導出する過程における態様とは異なる演出である」とは特定されておらず、また、「前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されないことを示唆する前記所定演出を実行した後に前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されることを示唆する前記所定演出を実行可能である」ことも特定されていない点。

(相違点2)刊行物1発明の「スーパーリーチ演出」は、「前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されるか否かを示唆し、可変表示の表示結果を導出する過程における態様とは異なる演出である」(構成D)とは特定されておらず、「所定演出」とはいえないから、結果として、刊行物1発明は、「前記判定手段による判定にもとづいて、判定の対象となった可変表示が実行される前に、前記所定の演出とは異なる予告演出を実行する手段とを備え」(構成E)、「前記予告演出が実行されたときは、前記予告演出が実行されないときに比べて、前記所定の演出が実行される割合が高く、前記所定の演出が実行されない場合にも前記予告演出を実行可能である」(構成F)との構成を有しているとはいえない点。

(4)判断
上記相違点1、2は、共に所定演出に関連するものであるから、併せて検討する。
上記(2)(2-2)で示した通り、刊行物2には、次の事項(刊行物2記載の事項)が記載されていると認められる。
「パチンコ遊技機1において、
第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが対戦する画像を表示した後、遊技者が表示結果がはずれとなると認識することができる第1キャラクタ71が敗北する画像、または、遊技者が表示結果が大当りとなり、大入賞口が開放状態になると認識することができる第1キャラクタ71が勝利する画像を表示する第1スーパーリーチ及び第2スーパーリーチの演出を実行可能であり、
第1スーパーリーチ及び第2スーパーリーチの演出における、第1キャラクタ71及び第2キャラクタ72の画像は、右側下方の左演出図柄91、右演出図柄93、中演出図柄92の変動表示と共に表示され、
第2スーパーリーチでは、第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが対戦する画像を表示した後、表示結果がはずれとなると認識されるような第1キャラクタ71が敗北する画像を表示し、その後、第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが対戦する画像を表示した後、第1キャラクタ71が勝利する画像を表示することが可能である点。」

刊行物2記載の事項の「第1スーパーリーチ及び第2スーパーリーチの演出」において、「遊技者が表示結果がはずれとなると認識することができる第1キャラクタ71が敗北する画像」を表示することは、「前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御され」ないことを「示唆」することといえ、「遊技者が表示結果が大当りとなり、大入賞口が開放状態になると認識することができる第1キャラクタ71が勝利する画像」を表示することは、「前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御される」ことを「示唆」することといえる。
また、刊行物2記載の事項において、「右側下方の左演出図柄91、右演出図柄93、中演出図柄92の変動表示」の態様は、本願補正発明の「可変表示の表示結果を導出する過程における態様」に対応するものといえる。そして、刊行物2記載の事項において、「右側下方の左演出図柄91、右演出図柄93、中演出図柄92の変動表示と共に表示され」る「第1スーパーリーチ及び第2スーパーリーチの演出における、第1キャラクタ71及び第2キャラクタ72の画像」を用いた演出の態様は、「右側下方の左演出図柄91、右演出図柄93、中演出図柄92の変動表示」の態様とは異なるものといえる。
よって、刊行物2記載の事項の「第1スーパーリーチ及び第2スーパーリーチの演出」において、「右側下方の左演出図柄91、右演出図柄93、中演出図柄92の変動表示と共に表示され」、「第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが対戦する画像を表示した後、遊技者が表示結果がはずれとなると認識することができる第1キャラクタ71が敗北する画像、または、遊技者が表示結果が大当りとなり、大入賞口が開放状態になると認識することができる第1キャラクタ71が勝利する画像を表示する」演出は、本願補正発明における「前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されるか否かを示唆し、可変表示の表示結果を導出する過程における態様とは異なる演出である所定演出」に対応するものといえる。
刊行物2記載の事項において、「第2スーパーリーチ」で、「第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが対戦する画像を表示した後、表示結果がはずれとなると認識されるような第1キャラクタ71が敗北する画像を表示」することは、本願補正発明の「前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されないことを示唆する前記所定演出を実行」することに対応し、刊行物2記載の事項において「その後、第1キャラクタ71と第2キャラクタ72とが対戦する画像を表示した後、第1キャラクタ71が勝利する画像を表示すること」は、本願補正発明の「前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されることを示唆する前記所定演出を実行」することに対応するといえる。
以上より、刊行物2記載の事項における「第1スーパーリーチ及び第2スーパーリーチの演出」は、本願補正発明の用語を用いて表現すると、大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されるか否かを示唆し、可変表示の表示結果を導出する過程における態様とは異なる演出である所定演出を実行し、また、大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されないことを示唆する所定演出を実行した後に大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されることを示唆する所定演出を実行可能であるものといえる。
そして、刊行物1発明と刊行物2記載の事項とは、遊技機において、スーパーリーチの演出を実行する点で共通し、また、スーパーリーチにより興趣を向上させるとの課題で共通するものであることも明らかであるから、刊行物1発明において、演出効果を一層高めて興趣をさらに向上させるために刊行物2記載の事項を適用し、「スーパーリーチ」において、大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されるか否かを示唆し、可変表示の表示結果を導出する過程における態様とは異なる演出である所定演出を実行し、また、大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されないことを示唆する所定演出を実行した後に大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されることを示唆する所定演出を実行可能とすることで、上記相違点1、2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、本願補正発明の効果は、刊行物1発明及び刊行物2記載の事項から予測される範囲内のものにすぎず、格別なものではない。

(5)請求人の主張について
請求人は、平成29年12月21日付けの意見書の【意見の内容】、「3.本願発明と引用発明との対比」において、「また、刊行物2には、キャラクタが登場する「第1スーパーリーチ演出」、「第2スーパーリーチ演出」について記載されておりますが、これらの演出も飾り図柄の変動状態がリーチ状態である場合に実行される演出であることから、刊行物2も同様に、本願発明の「所定演出」について開示も示唆もないのは明らかです。
以上述べましたように、刊行物1、2の何れにも、本願発明の「所定演出」について開示も示唆もない以上、当業者であっても刊行物1、2の記載から本願発明に想到することはできません。よって、本願発明は進歩性を有しております。」との主張をしている。
しかしながら、上記(4)で示したとおり、刊行物2記載の事項において、「第1キャラクタ71及び第2キャラクタ72の画像」は「左演出図柄91、右演出図柄93、中演出図柄92」とは別に表示されるものであるから、「第1キャラクタ71及び第2キャラクタ72の画像」を用いた演出は可変表示の表示結果を導出する過程における態様とは異なる演出であるといえる。よって、請求人の上記主張は採用することができない。

(6)まとめ
以上のように、本願補正発明は、当業者が刊行物1発明及び刊行物2記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年9月21日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである(A?Gは、分説するために当審にて付した。)。

「【請求項1】
A 特別図柄に対応した可変表示を行う遊技機であって、
B 所定条件を満たしたことに関連して大入賞口を遊技媒体が入賞しやすい状態に制御する大入賞口制御手段と、
C 未だ開始されていない可変表示が前記所定条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
D”前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されるか否かを示唆する所定演出を可変表示中に実行する所定演出実行手段と、
E 前記判定手段による判定にもとづいて、判定の対象となった可変表示が実行される前に、前記所定演出とは異なる予告演出を実行する予告演出実行手段とを備え、
F 前記予告演出が実行されたときは、前記予告演出が実行されないときに比べて、前記所定演出が実行される割合が高く、前記所定演出が実行されない場合にも前記予告演出を実行可能であり、
G 前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されないことを示唆する前記所定演出を実行した後に前記大入賞口が遊技媒体が入賞しやすい状態に制御されることを示唆する前記所定演出を実行可能である、
ことを特徴とする遊技機。」

2 拒絶理由通知の概要
平成29年10月26日付け拒絶理由通知は、本願発明は、当業者が特開2011-103968号公報(刊行物1)に記載された発明及び特開2011-218045号公報(刊行物2)に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

3 刊行物
刊行物1及びその記載事項並びに刊行物1発明、刊行物2及びその記載事項並びに刊行物2記載の事項は、それぞれ、上記「第2 3(2)(2-1)」、「第2 3(2)(2-2)」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、本願補正発明を特定するために必要な事項である「所定演出」に関して、「可変表示の表示結果を導出する過程における態様とは異なる演出である」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明と刊行物1発明との相違点は、上記「第2 3(3)」に示した相違点1、2の一部のみであり、上記「第2 3(4)」に示したとおり、刊行物1発明において、刊行物2記載の事項を適用し、当該相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、本願発明は当業者が刊行物1発明及び刊行物2記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-01-31 
結審通知日 2018-02-06 
審決日 2018-02-19 
出願番号 特願2015-56547(P2015-56547)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
P 1 8・ 575- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上田 正樹進藤 利哉  
特許庁審判長 服部 和男
特許庁審判官 萩田 裕介
石井 哲
発明の名称 遊技機  
代理人 木村 満  

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