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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G |
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管理番号 | 1339056 |
審判番号 | 不服2017-5221 |
総通号数 | 221 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-04-12 |
確定日 | 2018-04-05 |
事件の表示 | 特願2013- 77533「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月27日出願公開、特開2014-202844〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件出願は、平成25年4月3日の出願であって、平成28年9月23日付けで拒絶理由通知がなされ、同年11月22日付けで手続補正がなされ、平成29年1月6日付けで拒絶査定がなされ(同査定の謄本の送達(発送)日 同年同月17日)、これに対し同年4月12日付けで拒絶査定に対する審判請求及びこれと同時にする手続補正がなされ、さらに、当審において同年8月18日付けで拒絶理由が通知され、同年10月20日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年11月6日付けで最後の拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年12月27日付けで意見書及び手続補正書(以下、平成29年12月27日付けの手続補正書による補正を「本件補正」という。)が提出されたものである。 第2 本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.本件補正の内容 本件補正により、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1は、本件補正後の請求項1へ補正された。補正前の特許請求の範囲の請求項1、及び、補正後の特許請求の範囲の請求項1は、それぞれ以下のとおりである(下線は補正箇所を示すために審決で付した。以下の下線も同様に審決で付した。)。 (1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 複数のカートリッジと、前記複数のカートリッジをそれぞれ着脱可能に装着する装着部と、装置本体に対して回動可能に設けられて前記装着部を開閉する開閉部材と、前記開閉部材を閉じる動作に連動して前記カートリッジを画像形成位置へと移動させる移動手段と、各部の動作を制御する制御手段と、を備えて、前記移動手段は、それぞれのカートリッジに対応して設けられ、前記カートリッジに収容された記録材を用いて記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、 前記開閉部材を検出する第1検出手段と、 前記カートリッジが前記装着部内の適正な位置に配置されたか否かを検出する第2検出手段と、 前記カートリッジの検出結果をユーザに通知する通知手段と、を備え、 前記複数のカートリッジは、装置本体への装着方向に対して前記カートリッジの長手方向が装着方向と一致する向きで配置され、 前記第2検出手段は、前記複数のカートリッジに対応して複数配置され、 前記開閉部材は、前記装着部を閉じた状態のときに、前記移動手段と各々当接して前記カートリッジを前記装着部内の所定位置に付勢し、前記装着部を開放するときは、前記移動手段から各々離間する付勢部を複数備え、 前記制御手段は、前記第1検出手段により前記開閉部材が閉じられたことを検出し、前記第2検出手段により対応するカートリッジを検出しなかったとき、前記通知手段に前記第2検出手段によりカートリッジが検出されなかったことを通知する機能を備えることを特徴とする画像形成装置。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 複数のカートリッジと、前記複数のカートリッジをそれぞれ着脱可能に装着する装着部と、装置本体に対して回動可能に設けられて前記装着部を開閉する開閉部材と、前記開閉部材を閉じる動作に連動して前記カートリッジを画像形成位置へと移動させる移動手段と、各部の動作を制御する制御手段と、を備えて、前記移動手段は、それぞれのカートリッジに対応して設けられ、前記カートリッジに収容された記録材を用いて記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、 前記開閉部材を検出する第1検出手段と、 前記カートリッジが前記装着部内の適正な位置に配置されたか否かを検出する第2検出手段と、 前記カートリッジの検出結果をユーザに通知する通知手段と、を備え、 前記複数のカートリッジは、装置本体への装着方向に対して前記カートリッジの長手方向が装着方向と一致する向きで配置され、 前記第2検出手段は、前記複数のカートリッジに対応して複数配置され、 前記開閉部材は、前記装着部を閉じた状態のときに、各々の前記移動手段と直接当接して前記カートリッジを前記装着部内の所定位置に付勢し、前記装着部を開放するときは、前記移動手段から各々離間する付勢部を複数備え、 前記制御手段は、前記第1検出手段により前記開閉部材が閉じられたことを検出し、前記第2検出手段により対応するカートリッジを検出しなかったとき、前記通知手段に前記第2検出手段によりカートリッジが検出されなかったことを通知する機能を備えることを特徴とする画像形成装置。」 (3)本件補正の目的について 上記補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「付勢部」について、本件補正前の「前記装着部を閉じた状態のときに、前記移動手段と各々当接して前記カートリッジを前記装着部内の所定位置に付勢し」を本件補正後の「前記装着部を閉じた状態のときに、各々の前記移動手段と直接当接して前記カートリッジを前記装着部内の所定位置に付勢し」と限定することを含むものであって、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 したがって、本件補正は、第17条の2第5項第2号の規定に適合する。 さらに、本件補正は、新規事項を追加するものではない。 そこで、前記した事項により特定される、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 2.引用例 (1)当審拒絶理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2010-38973号公報(以下「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「【0017】 [実施例1] <画像形成装置例の全体的な概略構成> 図2は本実施例における画像形成装置1の概略構成を示す模式図である。この画像形成装置1は、電子写真プロセスを用いた、プロセスカートリッジ方式のレーザービームプリンタである。即ち、パソコン・イメージリーダ等のホスト装置2とラン接続されていて、ホスト装置2から制御回路部(制御手段:CPU)3に入力する電気的な画像情報に基づいてシート状の記録材(記録媒体)Pに対する画像形成動作を実行する。制御回路部3は、ホスト装置2や操作部4との間で各種の電気的情報の授受をすると共に、画像形成装置1の画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的に制御する。」 イ.「【0020】 本実施例において、カートリッジ5は、装置本体1Aの開閉ドア10を、ヒンジ部11を中心に2点鎖線示のように開いて装置本体1Aの内部を大きく開放することで着脱操作される。ドア10を開くと、装置本体1A内のカートリッジ装着部12が見える。この装着部12の左右の壁部には、ドア10が開いた開口から見ると、後下がりのガイドレール(不図示)が見える。カートリッジ5を、正面側を手で掴み、背面側を先にして、左右側をそれぞれ上記左右のガイドレールに係合させて、ガイドレールに沿って装着部12に差し入れる。カートリッジ5を十分に挿入すると、カートリッジ5は位置決め部材13に受け止められて所定の装着位置に保持されて、上面の露光開口部5aが、情報書き込み手段(露光装置)としてのレーザースキャナユニット14の折り返しミラー19に正対する。また、下面から露出した感光ドラム下面が転写ローラ(転写手段)15に正対して当接した状態になる。そして、装置本体1Aにドア10を閉じ込む。」 ウ.「【0031】 本実施例では、トナーが付着すべき画像部を露光するイメージ露光により静電潜像を形成し、現像手段8として、その静電潜像を負帯電磁性1成分トナー(ネガトナー)を用いたジャンピング現像方式の現像装置により反転現像している。現像装置8は、トナー(現像剤)tを貯留した現像剤容器81と、現像剤担持体としての非磁性の現像スリーブ82と、現像剤層厚規制部材としての現像ブレード83を有している。現像スリーブ82は現像剤容器81のドラム対向部に設けた開口部に回転可能に配設されている。現像スリーブ82の内部にはマグネットロール84が非回転に配設されている。現像ブレード83は弾性部材であり、現像スリーブ82に対して弾性に抗して撓められて腹当て接触にて配設されている。現像スリーブ82は感光ドラム6に対して並行であり、且つ感光ドラム6に対して所定の僅少な隙間を存して対向しており、矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。現像剤容器81内にはトナー攪拌部材89が配設されている。この攪拌部材89は現像スリーブ82の回転に連動して所定の速度で回転して、現像剤容器81内のトナーtを攪拌すると共に現像スリーブ82にトナーtを供給する。現像スリーブ82の現像剤容器81側の面にマグネットロール84の磁力によりトナーtが磁気的に吸着されて担持され、現像スリーブ82の回転で感光ドラム6と対向する現像領域に搬送される。その搬送の途中でトナーは現像スリーブ82と現像ブレード83との接触ニップ部を通過する。これによりトナーは層厚規制を受けて現像スリーブ82上で適正なコート量に規制されるとともに、負極性に摩擦帯電される。そして、引き続く現像スリーブ82の回転によって感光ドラム6との対向部である現像領域に搬送される。現像スリーブ82には装置本体1Aに設けられた現像バイアス電源(不図示)によって所定の現像バイアスが摺動接点(不図示)を介して印加される。本実施例においては、現像スリーブ82上のトナーが、現像領域において、感光ドラム6に飛翔して静電的に静電潜像に付着され、静電潜像がトナー像として現像される。 【0032】 一方、制御回路部3は所定の制御タイミングにて給送ローラ20を回転駆動する。これにより、カセット21内に積載収容させてある記録媒体である記録材Pが1枚分離給送される。その記録材Pはガイド板22を通って、所定の制御タイミングで回転がオン/オフ制御されるレジストローラ対23に至る。レジストローラ対23は回転オフ状態で記録材Pの先端を一時受け止めて記録材Pの斜行修正をする。そして、レジストローラ対23は所定の制御タイミングにて回転がオンされることで、記録材Pを、感光ドラム6と転写ローラ15との当接部である転写ニップ部に導入する。すなわち、記録材Pはレジストローラ23によって感光ドラム6上のトナー像と同期がとられて転写ニップ部に送られる。記録材Pが転写ニップ部を挟持搬送されていく過程において、転写ローラ15には、転写バイアス電源(不図示)からトナーの帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の所定電位の転写バイアスが印加される。これにより、感光ドラム6面のトナー像が記録材Pの面に順次に静電転写されていく。」 エ.「【0060】 カートリッジ5の新旧交換は、前記のように、ドア10を開いて、装置本体1Aのカートリッジ装着部12から旧カートリッジ5を取り出し、新カートリッジ5を装着する。この場合、前記のように、ドア10が開かれることでドアスイッチ16がOFFになり、メイン電源スイッチ18がONでも電源回路が開成されることで、画像形成装置が停止状態に保持されて電気的な安全確保がなされる。ドア10が再び閉じられることでドアスイッチ16がONになり、画像形成装置の電源回路が閉成される。」 オ.「【0062】 また、カートリッジ5の新旧交換のときだけでなく、ジャム処理や画像形成装置の保守・点検等の場合もドア10を開けてカートリッジ5を取り出すことが行われる。この場合も、ドア10が開かれることでドアスイッチ16がOFFになり、電源回路が開成されることで、画像形成装置が停止状態に保持されて電気的な安全確保がなされる。また、ジャム処理や画像形成装置の保守・点検等が終えたら、カートリッジ5が再び装着される。そして、ドア10が閉じられることでドアスイッチ16がONになり、電源回路が閉成される。このときも、制御回路部3は、前記2)の初期回転動作を実行してから3)のスタンバイに移行させる。或いは、画像形成ジョブが中断されていた状態であった場合には、2)の初期回転動作から3)のスタンバイ無しに4)の前回転動作を実行して5)の画像形成動作に移行することで残り分の画像形成を実行する。」 カ.「【0067】 カートリッジ有無検知手段31は、例えば、カートリッジ5が装着されていればカートリッジに押されてONとなり、カートリッジ5が装着されていなければOFFとなるマイクロスイッチである。カートリッジ有無検知手段31は、装置本体1Aにカートリッジ5が挿入されていても装着部12に対して正しく装着されていない(審決注:「装着さていない」は「装着されていない」の誤記であることが明らかなので、訂正して摘記した。)状態にあるときもOFFである。 【0068】 ステップS3・S4・S10:制御回路部3は、カートリッジ5が装着されていれば、駆動モータをON(S3)にして初期回転動作を開始させる(S4)。駆動モータのONにより、感光ドラム6と現像ローラ82が回転する。制御回路部3は、カートリッジ5が装着されていない場合は(正しく装着されていない場合も含む)、駆動モータをOFFのままにして、操作部4に表示部にカートリッジが未装着もしくは装着不良である旨の警告表示(エラーメッセージ)をする(S10)。」 キ.上記イ.及びウ.を参照すると、図2からは、カートリッジ5が現像剤容器81を有する点を看取できる。 上記の記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「カートリッジは、装置本体の開閉ドアを、ヒンジ部を中心に開いて装置本体の内部を大きく開放することで着脱操作され、開閉ドアを開くと、装置本体内のカートリッジ装着部が見え、 カートリッジの新旧交換は、開閉ドアを開いて、装置本体のカートリッジ装着部から旧カートリッジを取り出し、新カートリッジを装着し、 制御回路部は、画像形成装置の画像形成動作を統括的に制御し、 カートリッジは、トナー(現像剤)を貯留した現像剤容器を有し、 感光ドラム面のトナー像が記録材の面に静電転写され、 開閉ドアが開かれることでドアスイッチがOFFになり、開閉ドアが閉じられることでドアスイッチがONになり、電源回路が閉成され、 カートリッジ有無検知手段は、カートリッジが装着されていればカートリッジに押されてONとなり、カートリッジが装着されていなければOFFとなり、装置本体にカートリッジが挿入されていても装着部に対して正しく装着されていない状態にあるときもOFFであり、 制御回路部は、カートリッジが装着されていない場合は(正しく装着されていない場合も含む)、表示部にカートリッジが未装着もしくは装着不良である旨の警告表示(エラーメッセージ)をする 画像形成装置。」 (2)当審拒絶理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2008-310292号公報(以下「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「【0015】 この画像形成装置1は、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーのレーザービームプリンタであり、記録媒体にカラー画像形成を行う。また、この画像形成装置1は、第1から第4の4個のプロセスカートリッジP(PY・PM・PC・PK)を画像形成装置本体1Aに対して取り外し可能に装着して使用するプロセスカートリッジ着脱方式である。」 イ.「【0021】 本実施例の各カートリッジPは、ドラム3と、このドラム3に作用するプロセス手段としての帯電手段4・現像手段5・クリーニング手段6をカートリッジ枠体7内に一体的に組み付けたものである。帯電手段4としては帯電ローラを用いている。現像手段5としては現像ローラを用いている。クリーニング手段6としてはクリーニングブレードを用いている。」 ウ.「【0037】 即ち、装置本体1Aの前面板23には、装置本体1A内へカートリッジPを挿入させる、及び、装置本体1A内からカートリッジPを取り出すために、カートリッジPを通過させる開口部24(カートリッジの着脱を行うための開口部)が設けられている。カートリッジPの装置本体1Aに対する着脱方向はドラム3の軸線方向である。」 エ.「【0040】 装置本体1Aのカートリッジ収納部1B(画像形成装置本体の内側)には、第1から第4のカートリッジP(PY・PM・PC・PK)をそれぞれ支持する第1から第4のカートリッジ支持部材27(27Y・27M・27C・27K)が配設されている。:第1から第4のカートリッジ支持部材27(27Y・27M・27C・27K)が複数の支持部材である。 図5は、その各カートリッジ支持部材(以下、支持部材と記す)27の斜視図である。」 オ.「【0052】 昇降機構と前面ドア2との連動機構は、前面ドア2に連動して支持部材27を第1の位置と第2の位置との間を移動させる連結部材であって、水平方向に対して傾いた第2の回転軸を中心に画像形成装置本体に回動する連結部材を有する。即ち、第1から第4の4つの支持部材27(27Y・27M・27C・27K)は、連結部材100とそれぞれ連結している。連結部材100は、連結軸34、第1のアーム部材35(複数の第1の連結部)、および、リンクアーム40から構成されている。連結軸(第2の回転軸)34は、カートリッジPを装置本体1Aに装着する方向から見た時に前面ドア2の回転軸線B-Bと交差する軸線C-Cを有する。そして、第1のアーム部材35、リンクアーム40は、連結軸34に固定されている。また、リンクアーム40は、軸線C-Cの方向において第1のアーム部材35よりも前面ドア2に近い位置で連結軸34に固定されている。そして、連結軸34の軸線方向C-Cは各カートリッジPの昇降方向と垂直方向である。すなわち各カートリッジPの前記配列方向にほぼ平行である。連結軸34は、装置本体1Aの前面板23に設けられた軸受け部材(不図示)に回転可能に支持されている。各支持部材27の手前側端部は、連結軸34と一体的に回転する第1のアーム部材35を介して結合されている。そして、各支持部材27の手前側端部は、対応するアーム部材35に対して連結軸36を中心に回動自在に支持されている。図11は1つのアーム部材35部分の拡大図である。また、各支持部材27の奥側端部は、それぞれ、装置本体1Aにリンク37を介して連結されている。38は装置本体1A側とリンク37との連結軸、39はリンク37と支持部材27の奥側端部との連結軸である。各支持部材27において、アーム部材36の軸34と軸36の中心間距離と、リンク37の軸38と軸39の中心間距離は同じにしてある。 【0053】 即ち、各支持部材27は、連結軸34と、アーム部材36と、リンク37、軸38、軸39とで平行4辺形リンク機構を構成している。従って、各支持部材27は、連結軸34が回動されることで、斜めに平行移動する。連結軸34がアーム部材35を起立させる方向に回動されることで、各支持部材27は、図12の(a)のように、カートリッジPを装置本体1Aに対して画像形成可能な装着位置に移動させた第1の位置に上昇する。また、連結軸23がアーム部材35を手前側に倒す方向に回動されることで、各支持部材27は、図12の(b)のように、カートリッジPを装置本体1Aに対して着脱可能な位置に移動させた第2の位置に下降される。このように、連結軸34は各支持部材27を一緒に動作させる。」 カ.「【0072】 [実施例3] 図16は、第3の実施形態に係る画像形成装置の説明図である。実施例1・2の画像形成装置と共通する構成部材・部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。43は前面ドア2の内側に配設した載置部材である内扉である。この内扉43は連結軸34と平行な回転軸44を支点にして、装置本体1の開口部24に対して開閉回動自由である。連結軸34と一体に回転する第1のリンクアーム40Aは、内扉43の閉動作の途中で内扉43側の第2のリンクアーム40Bと係合し、内扉43の閉動作に連動して支持部材連結軸34を回転させる。」 キ.「【0075】 図16の(a)は、前面ドア2と内扉43が開状態になっていて、この状態時には第1のリンクアーム40Aと第2のリンクアーム40Bは、内扉43が閉まる向きにおいて係合していない。尚、連結部材は、実施例2と同様の構成である。即ち、図15Bに示すように、連結部材200は、連結軸34、第1のアーム部材35、および、第1のリンクアーム40Aから構成されることになる。 【0076】 図16の(b)は、前面ドア2と内扉43の閉動作途中状態である。この状態時には、第2のリンクアーム40Bは、内扉43がある程度閉まったところで、連結部材40Aと斜面で係合する。その間、カートリッジPは内扉43に押し込まれて、装置本体1A内へ移動する。」 ク.上記カ.及びキ.を参照すると、図16からは、第2のリンクアーム40Bが、内扉43に設けられるとともに、第1のリンクアーム40Aと係合する点を看取することができる。 ケ.段落【0072】(上記カ.参照)には「図16は、第3の実施形態に係る画像形成装置の説明図である。実施例1・2の画像形成装置と共通する構成部材・部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。」と記載されているから、第3の実施形態に係る画像形成装置は、同実施の形態が明細書で説明された以外の事項については、実施例1及び2の画像形成装置と共通するものと認められる。 上記の記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「第1から第4の4個のプロセスカートリッジを画像形成装置本体に対して取り外し可能に装着して使用するプロセスカートリッジ着脱方式で、 装置本体のカートリッジ収納部(画像形成装置本体の内側)には、第1から第4のカートリッジをそれぞれ支持する第1から第4のカートリッジ支持部材が配設され、 連結部材は、連結軸、第1のアーム部材、および、第1のリンクアームから構成され、 前面ドアに連動して支持部材を第1の位置と第2の位置との間を移動させ、 第2のリンクアームは内扉に設けられ、内扉がある程度閉まったところで、第1のリンクアームと斜面で係合し、その間、カートリッジは内扉に押し込まれて、装置本体内へ移動し、 各カートリッジは、ドラムと、このドラムに作用するプロセス手段としての帯電手段・現像手段・クリーニング手段をカートリッジ枠体内に一体的に組み付けたものであり、 カートリッジの装置本体に対する着脱方向はドラムの軸線方向であり、 前面ドアと内扉が開状態になった状態時には第1のリンクアームと第2のリンクアームは、内扉が閉まる向きにおいて係合しておらず、 カートリッジの装置本体に対する着脱方向はドラムの軸線方向である画像形成装置。」 (3)当審拒絶理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2008-216331号公報(以下「引用例3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「【0016】 図2に示す画像形成装置本体100は、上下斜め方向に並設した4個のカートリッジ7(7a?7d)に対応して、各カートリッジ7が取り外し可能に装着される装着部22(22a?22d)を有する。」 イ.「【0039】 カートリッジ7を装置本体100に装着する際は、まずカートリッジ7の装着部22の入口を開閉可能に構成している開閉部材21を装置本体100から開く。なお、第1の実施の形態においては、開閉部材21が装置本体100の外観面の部位を形成する。また、開閉部材21の開閉方向は、第1の実施の形態においては上下方向に開閉可能としたが、水平方向に開閉可能な構成であってもよい。さらに、開閉部材21は回転軸(回動軸)Tに軸支されて回動可能な構成である。」 ウ.「【0043】 カートリッジ7を装置本体100(装着部22)の内部の所定の挿入位置まで挿入した後、開閉部材21を閉じて、開閉部材21の内側面でカートリッジ7を装着位置に押し込むことで、カートリッジ7の装着動作が完了する。なお、開閉部材21には押し込み部としての付勢部31(31a?31d)が複数設けられ、各付勢部31がそれぞれカートリッジ7(被付勢部71)を付勢することで、カートリッジ7を押し込む構成である(図8)。」 上記の記載事項を総合すると、引用例3には、次の事項(以下「引用例3記載事項」という。)が記載されているものと認められる。 「4個のカートリッジに対応して、各カートリッジが取り外し可能に装着される装着部を有し、 カートリッジを装置本体に装着する際は、まずカートリッジの装着部の入口を開閉可能に構成している開閉部材を装置本体から開き、 開閉部材には押し込み部としての付勢部が複数設けられ、各付勢部がそれぞれカートリッジ(被付勢部)を付勢することで、カートリッジを押し込む 画像形成装置本体。」 (4)当審拒絶理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2005-134797号公報(以下「引用例4」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「【0018】 画像形成装置本体内には、図4に示すように、Y、M、C、Bkの各プロセスカートリッジ40がそれぞれ挿入されるためのステーション108Y、108M、108C、108Bkがそれぞれ設けられている。各ステーション108Y、108M、108C、108Bkの開口部付近には、各トナー色に対応した色表示部107Y、107M、107C、107Bkがそれぞれ設けられている。また、図5に示すように、各ステーション108Y、108M、108C、108Bkの奥側側面には、反射型フォトセンサ109Y、109M、109C、109Bkとプロセスカートリッジに取り付けられたICタグの情報を受信するアンテナ110Y、110M、110C、110Bkがそれぞれ備えられている。図6は、装置本体のM色のステーション108Mから、M色のプロセスカートリッジを引き出した状態を示す概略構成図である。他のY,C,Bkについてもそれぞれ同じ構成となっているので、それらの説明は省略する。図6に示すように、プロセスカートリッジ40Mの手前側側面42Mには、引き出しレバー43Mがついている。引き出しレバー43Mは、プロセスカートリッジが装置本体内に取り付けられている場合は、図6中矢印Aに示されるように上部に折り曲げられており、プロセスカートリッジ40Mを装置本体から、引き出すときは、レバー43Mを手前側に倒して、プロセスカートリッジ40Mを引き出し易いようにしている。」 イ.「【0020】 ここで、上述のプロセスカートリッジの交換方法について説明する。例えば、M色のプロセスカートリッジ40Mに寿命がきた場合、ユーザが装置本体の扉を開き、交換すべきプロセスカートリッジをステーション108Mから抜き出す。このとき、ユーザは、図4に示す、ステーション108Mの開口部付近に設けられた色表示部107Mによって、交換すべき色を確認する。そして、図7に示す交換すべきプロセスカートリッジの奥側側面に貼り付けた半透明のシールのうち、M色の反射板45Mに位置するシール46を剥がして、M色の反射板45Mを露出させる。そして、このプロセスカートリッジを装置本体内のステーション108Mに挿入する。このとき、ユーザは、ステーション108Mの開口部付近に設けられたM色の色表示107Mによって、反射板の色がM色であることを確認する。ユーザが、剥がしたシールの反射板がM色でなかった場合は、再び取り出し、剥がしたシールをもとの場所に貼り直して、色表示部107に示された色と同じ色の反射板に位置するシールを剥がして、ステーション108Mにプロセスカートリッジを再び挿入する。プロセスカートリッジ40Mをステーション108Mに挿入したら装置本体の扉をしめて、図5に示すような状態とする。図5に示すように、プロセスカートリッジ40Mがステーション108Mに装着されると、M色のステーション108Mの奥側に取り付けられたM色の反射型フォトセンサ109Mが反射板45Mと対向する。すると、LEDからの光は、反射板45Mにより反射され、フォトセンサ109Mに多くの光が検出される。これにより、M色のステーション108MにM色のプロセスカートリッジ40Mが取り付けられていることが検知される。もし、シールを剥がさずに装置に装着されたり、間違った色のところのテープを剥がして装着したりした場合、センサに対向する部分は、シールが貼り付けられており、反射板が露出していないので、LEDからの光はほとんど反射されないため、フォトセンサに光がほとんど検知されない。これにより、装置本体に正しい色のプロセスカートリッジが取り付けられていないことが判断され、警告表示をしてユーザに知らせる。」 上記の記載事項を総合すると、引用例4には、次の事項(以下「引用例4記載事項」という。)が記載されているものと認められる。 「Y、M、C、Bkの各プロセスカートリッジがそれぞれ挿入されるためのステーションがそれぞれ設けられ、 各ステーションの奥側側面には、反射型フォトセンサがそれぞれ備えられ、 プロセスカートリッジがステーションに装着されると、M色のステーションの奥側に取り付けられた反射型フォトセンサが反射板と対向し、LEDからの光は、反射板により反射され、フォトセンサに多くの光が検出され、M色のステーションにM色のプロセスカートリッジが取り付けられていることが検知される 画像形成装置本体。」 3.対比 本願補正発明と引用発明1とを対比する。 後者の「カートリッジ」は、その構造、機能、作用等からみて、前者の「カートリッジ」に相当し、同様に、「カートリッジ装着部」は「装着部」に、「装置本体」は「装置本体」に、「開閉ドア」は「開閉部材」に、「制御回路部」は「制御手段」に、「カートリッジ有無検知手段」は「第2検出手段」に、「表示部」は「通知手段」にそれぞれ相当する。 後者においては、「カートリッジの新旧交換は、開閉ドアを開いて、装置本体のカートリッジ装着部から旧カートリッジを取り出し、新カートリッジを装着」するから、後者の「カートリッジ装着部」と、前者の「前記複数のカートリッジをそれぞれ着脱可能に装着する装着部」とは、「カートリッジを着脱可能に装着する装着部」の概念で共通する。 後者の「開閉ドア」は、「開閉ドアを開くと、装置本体内のカートリッジ装着部が見え」、「カートリッジは、装置本体の開閉ドアを、ヒンジ部を中心に開いて装置本体の内部を大きく開放することで着脱操作され」るから、前者の「装置本体に対して回動可能に設けられて装着部を開閉する開閉部材」に相当する。 後者の「制御回路部」は、「画像形成装置の画像形成動作を統括的に制御」するから、前者の「各部の動作を制御する制御手段」に相当する。 後者の「画像形成装置」においては「カートリッジは、トナー(現像剤)を貯留した現像剤容器を有し、感光ドラム面のトナー像が記録材の面に静電転写され」るから、後者の「画像形成装置」は、前者の「カートリッジに収容された記録材を用いて記録媒体に画像を形成する画像形成装置」に相当する。 後者の「ドアスイッチ」は、「開閉ドアが開かれることでドアスイッチがOFFになり、開閉ドアが閉じられることでドアスイッチがONになり、電源回路が閉成され」るから、前者の「開閉部材を検出する第1検出手段」に相当する。 後者の「カートリッジ有無検知手段」は、「カートリッジが装着されていればカートリッジに押されてONとなり、カートリッジが装着されていなければOFFとなり、装置本体にカートリッジが挿入されていても装着部に対して正しく装着されていない状態にあるときもOFFであ」るから、前者の「カートリッジが装着部内の適正な位置に配置されたか否かを検出する第2検出手段」に相当する。 後者の「制御回路部は、カートリッジが装着されていない場合は(正しく装着されていない場合も含む)、表示部にカートリッジが未装着もしくは装着不良である旨の警告表示(エラーメッセージ)をする」と、前者の「前記制御手段は、前記第1検出手段により前記開閉部材が閉じられたことを検出し、前記第2検出手段により対応するカートリッジを検出しなかったとき、前記通知手段に前記第2検出手段によりカートリッジが検出されなかったことを通知する機能を備える」とは、「制御手段は第2検出手段により対応するカートリッジを検出しなかったとき、通知手段に第2検出手段によりカートリッジが検出されなかったことを通知する機能を備える」との概念で共通する。 したがって、両者は、 「カートリッジと、前記カートリッジを着脱可能に装着する装着部と、装置本体に対して回動可能に設けられて前記装着部を開閉する開閉部材と、各部の動作を制御する制御手段とを備えて、前記カートリッジに収容された記録材を用いて記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、 前記開閉部材を検出する第1検出手段と、 前記カートリッジが前記装着部内の適正な位置に配置されたか否かを検出する第2検出手段と、 前記カートリッジの検出結果をユーザに通知する通知手段と、を備え、 前記制御手段は、前記第2検出手段により対応するカートリッジを検出しなかったとき、前記通知手段に前記第2検出手段によりカートリッジが検出されなかったことを通知する機能を備える画像形成装置。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 前者が「複数の」カートリッジを有するのに対して、後者はそのようなものでない点。 [相違点2] 装着部に関して、前者では「複数のカートリッジをそれぞれ」着脱可能に装着するのに対して、後者ではそのようなものでない点。 [相違点3] 前者が、「開閉部材を閉じる動作に連動してカートリッジを画像形成位置へと移動させる移動手段」を備え、「移動手段は、それぞれのカートリッジに対応して設けられる」のに対して、後者はそのようなものでない点。 [相違点4] 前者は、「複数のカートリッジが、装置本体への装着方向に対してカートリッジの長手方向が装着方向と一致する向きで配置される」のに対して、後者はそのようなものでない点。 [相違点5] 第2検出手段に関して、前者では、「複数のカートリッジに対応して複数配置される」のに対して、後者ではそのようなものでない点。 [相違点6] 開閉部材に関して、前者では、「装着部を閉じた状態のときに、各々の移動手段と直接当接してカートリッジを前記装着部内の所定位置に付勢し、前記装着部を開放するときは、前記移動手段から各々離間する付勢部を複数備える」のに対して、後者ではそのようなものでない点。 [相違点7] 制御手段に関して、前者では、「第1検出手段により前記開閉部材が閉じられたことを検出し」、第2検出手段により対応するカートリッジを検出しなかったとき、通知手段に第2検出手段によりカートリッジが検出されなかったことを通知するのに対して、後者ではそのようなものでない点。 4.判断 上記相違点について検討する。 (1)相違点1ないし4及び6について 引用発明2の「(プロセス)カートリッジ」は、その構造、機能、作用等からみて、本願補正発明の「カートリッジ」に相当し、同様に、「カートリッジ収納部」は「装着部」に、「「前面ドア」及び「内扉」」は「開閉部材」に、「第2のリンクアーム」は「付勢部」に、「画像形成装置」は「画像形成装置」に、それぞれ相当する。 引用発明2の「第1から第4のカートリッジ」は、本願補正発明の「複数のカートリッジ」に相当する。 引用発明2は「第1から第4の4個のプロセスカートリッジを画像形成装置本体に対して取り外し可能に装着して使用する」から、「複数のカートリッジをそれぞれ着脱可能に装着する」といえる。 引用文献2の段落【0053】(上記「2.(2)オ.」参照)には、「各支持部材27は、図12の(a)のように、カートリッジPを装置本体1Aに対して画像形成可能な装着位置に移動させた第1の位置に上昇する。また、連結軸23がアーム部材35を手前側に倒す方向に回動されることで、各支持部材27は、図12の(b)のように、カートリッジPを装置本体1Aに対して着脱可能な位置に移動させた第2の位置に下降される。」と記載されているから、支持部材が第1の位置にある時、カートリッジは装着位置に移動し、支持部材が第2の位置にある時、カートリッジは着脱可能な位置すなわち着脱位置に移動するといえる。そうすると、引用発明2の「第1の位置と第2の位置との間を移動」する「支持部材」及び「連結軸、第1のアーム部材、および、第1のリンクアームから構成され、前面ドアに連動して支持部材を第1の位置と第2の位置との間を移動させ」る「連結部材」は、本願補正発明の「開閉部材を閉じる動作に連動してカートリッジを画像形成位置へと移動させる移動手段」に相当するといえる。 引用発明2の「各カートリッジは、ドラムと、このドラムに作用するプロセス手段としての帯電手段・現像手段・クリーニング手段をカートリッジ枠体内に一体的に組み付けたものであり」、「カートリッジの装置本体に対する着脱方向はドラムの軸線方向である」点は、ドラムの軸線方向がカートリッジの長手方向であることは明らかであるから、本願補正発明の「複数のカートリッジが、装置本体への装着方向に対してカートリッジの長手方向が装着方向と一致する向きで配置される」点に相当する。 引用発明2においては、「連結部材は、連結軸、第1のアーム部材、および、第1のリンクアームから構成され、前面ドアに連動して支持部材を第1の位置と第2の位置との間を移動させ、第2のリンクアームは内扉に設けられ、内扉がある程度閉まったところで、第1のアーム部材と斜面で係合し、その間、カートリッジは内扉に押し込まれて、装置本体内へ移動し、前面ドアと内扉が開状態になった状態時には第1のリンクアームと第2のリンクアームは、内扉が閉まる向きにおいて係合して」いないから、「第2のリンクアーム」は、内扉に設けられ、内扉がある程度閉まった時には連結部材と係合してカートリッジを内扉に押し込み、前面ドアと内扉が開状態になった時には連結部材と係合していないといえる。そうすると、引用発明2がこのような「第2のリンクアーム」を有する点と、本願補正発明の「前記開閉部材は、前記装着部を閉じた状態のときに、各々の前記移動手段と直接当接して前記カートリッジを前記装着部内の所定位置に付勢し、前記装着部を開放するときは、前記移動手段から各々離間する付勢部を複数備え」る点とは、「開閉部材は、装着部を閉じた状態のときに、移動手段と直接当接してカートリッジを装着部内の所定位置に付勢し、装着部を開放するときは、移動手段から離間する付勢部を備え」るとの概念で共通する。 引用発明1及び2は、ともに画像形成装置の技術分野に属し、カートリッジを装置本体に装着するという共通の作用・機能を有するから、引用発明1に引用発明2を適用することは当業者が容易になし得たことである。 また、引用発明1に引用発明2を適用してカートリッジを複数とすれば、その装着部は必然的に複数のカートリッジをそれぞれ着脱可能に装着することになる。 また、引用発明2においては、カートリッジが装置本体内へ移動する際に、第2のリンクアームと連結部材とが係合するところ、その係合する箇所は一箇所とするかカートリッジ毎とするかのいずれかであって、そのうちのいずれを選択するかは、カートリッジの装着の安定性等を考慮して当業者が適宜決定することができる設計事項であるといえる。そして、引用例3記載事項のように複数のカートリッジに対応して各々付勢部(第2のリンクアーム)を設けることが本願の出願前に公知であったことを踏まえれば、引用発明1に引用発明2を適用する際に、「第2のリンクアーム」と、第2のリンクアームと係合する「第1のリンクアーム」とを、カートリッジ毎に設けて、「第2のリンクアーム」が各々の「第1のリンクアーム」と直接当接するようになすことに困難性はない。 そうすると、引用発明1に引用例3記載事項を踏まえて引用発明2を適用して、本願補正発明の相違点1ないし4及び6に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (2)相違点5について カートリッジの有無を検出する検出手段を、複数のカートリッジに対応して複数配置することは、例えば、引用例4記載事項のように、本願の出願前に周知の技術(以下「周知技術」という。)である。 そして、引用発明1及び上記周知技術は、ともに画像形成装置の技術分野に属し、カートリッジを装置本体に装着するという共通の作用・機能を有するから、引用発明1に上記周知技術を適用することは当業者が容易になし得たことである。 そうすると、引用発明1に上記周知技術を適用して、本願補正発明の相違点5に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (3)相違点7について 引用発明1においては、「開閉ドアが開かれることでドアスイッチがOFFになり、開閉ドアが閉じられることでドアスイッチがONになり、電源回路が閉成され、カートリッジ有無検知手段は、カートリッジが装着されていればカートリッジに押されてONとなり、カートリッジが装着されていなければOFFとなり、制御回路部は、カートリッジが装着されていない場合は(正しく装着されていない場合も含む)、表示部にカートリッジが未装着もしくは装着不良である旨の警告表示(エラーメッセージ)をする」ところ、電源回路が閉成されなければ制御回路部が作動しないことは明らかであるから、制御回路部が表示部に警告表示をするのは、開閉ドアが閉じられてドアスイッチがONになり電源回路が閉成される場合であるといえる。 そうすると、引用発明1のこの点は、本願補正発明の「前記制御手段は、前記第1検出手段により前記開閉部材が閉じられたことを検出し、前記第2検出手段により対応するカートリッジを検出しなかったとき、前記通知手段に前記第2検出手段によりカートリッジが検出されなかったことを通知する機能を備える」に相当する。 また、仮にそうでないとしても、画像形成装置において、筐体の開閉部材の開閉を制御手段によって検出することは、本願の出願前の常套手段であって、筐体の開閉部材の開閉によって、電源回路を開閉するか、開閉を検出して制御手段で制御するかは当業者が必要に応じて選択することができる設計事項であるから、引用発明1において開閉部材の開閉を検出して制御手段で制御するようにすることは当業者が容易になし得たことである。 そうすると、相違点7は実質的な相違点ではないか、引用発明1において、本願補正発明の相違点7に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 そして、本願補正発明の発明特定事項の全体によって奏される効果も、引用発明1及び2、引用例3記載事項並びに上記周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものである。 よって、本願補正発明は、引用発明1及び2、引用例3記載事項並びに上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 5.むすび 以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 したがって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3.本願の発明について 1.本願の発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年10月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、「第1 [理由]1.(1)」に記載したとおりのものである。 2.引用例 当審拒絶理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である引用例1ないし4の記載内容及び引用発明は、上記「第2 2.引用例」に記載したとおりである。 3.対比及び判断 本願発明は、本願補正発明に係る「付勢部」について、本願補正発明の「前記装着部を閉じた状態のときに、各々の前記移動手段と直接当接して前記カートリッジを前記装着部内の所定位置に付勢し」を、「前記装着部を閉じた状態のときに、前記移動手段と各々当接して前記カートリッジを前記装着部内の所定位置に付勢し」とし、実質的に「直接当接して」から「直接」との限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した本願補正発明が、上記「第2 4.判断」で検討したとおり、引用発明1及び2、引用例3記載事項並びに上記周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから、本願発明も同様の理由により、容易に発明できたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項に該当し特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-01-31 |
結審通知日 | 2018-02-06 |
審決日 | 2018-02-20 |
出願番号 | 特願2013-77533(P2013-77533) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G03G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 齋藤 卓司、田代 憲司 |
特許庁審判長 |
黒瀬 雅一 |
特許庁審判官 |
森次 顕 畑井 順一 |
発明の名称 | 画像形成装置 |
代理人 | 宮尾 明茂 |
代理人 | 藤本 英介 |
代理人 | 神田 正義 |
代理人 | 馬場 信幸 |