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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 B63B 審判 全部申し立て 1項1号公知 B63B 審判 全部申し立て 1項2号公然実施 B63B 審判 全部申し立て 2項進歩性 B63B |
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管理番号 | 1339153 |
異議申立番号 | 異議2017-700092 |
総通号数 | 221 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-05-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-02-02 |
確定日 | 2018-02-19 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5963685号発明「タンカーの油槽」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5963685号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔7、8〕、9、10、11、12、13及び14について訂正することを認める。 特許第5963685号の請求項7及び8に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第5963685号の請求項1?12に係る特許についての出願は、平成25年1月7日に出願され、平成28年7月8日に特許権の設定登録がされ、その後、特許異議申立人有限会社増田経済研究所(以下、「特許異議申立人」という。)より請求項7及び8に係る特許に対して特許異議の申立てがなされ、平成29年5月10日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年7月14日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年8月4日付で訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項)、同年9月7日に特許異議申立人より意見書が提出され、同年10月12日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である同年12月8日に意見書が提出されたものである。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 平成29年7月14日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)は、特許第5963685号(以下、「本件特許」という。)の願書に添付した明細書(以下、「特許明細書」という。)及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は以下(1)?(9)のとおりである(なお、下線部は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項7に「前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置されることを特徴とする、油タンカーの油槽。」と記載されているのを、 「前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記油槽が、防食塗装が施された塗装鋼板または耐食鋼板からなることを特徴とする、油タンカーの油槽。」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項8に「前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が15m以下の位置に配置されることを特徴とする、請求項7に記載の油タンカーの油槽。」と記載されているのを、 「底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が8m以下の位置に配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項9に「前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置されることを特徴とする、請求項7に記載の油タンカーの油槽。」と記載されているのを、 「底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項10に「前記他の防撓材は、前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち最も下方に配置された防撓材であることを特徴とする、請求項7?9のいずれか1項に記載の油タンカーの油槽。」と記載されているのを、 「底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち最も下方に配置された防撓材である ことを特徴とする油タンカーの油槽。」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項11に「前記互いに間隔を空けて鉛直方向に複数並んで配置された防撓材のうち、底板からの鉛直方向の距離が15m以下の位置に配置された防撓材の少なくとも一つは、鉛直方向に隣り合って配置された防撓材のドレンホールが平面視において互いに重ならないように配置されることを特徴とする、請求項7に記載の油タンカーの油槽。」と記載されているのを、 「底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記互いに間隔を空けて鉛直方向に複数並んで配置された防撓材のうち、底板からの鉛直方向の距離が15m以下の位置に配置された防撓材の少なくとも一つは、鉛直方向に隣り合って配置された防撓材のドレンホールが平面視において互いに重ならないように配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項12に「前記互いに間隔を空けて鉛直方向に複数並んで配置された防撓材のうち、底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置された防撓材の少なくとも一つは、鉛直方向に隣り合って配置された防撓材のドレンホールが平面視において互いに重ならないように配置されることを特徴とする、請求項7に記載の油タンカーの油槽。」と記載されているのを、 「底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記互いに間隔を空けて鉛直方向に複数並んで配置された防撓材のうち、底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置された防撓材の少なくとも一つは、鉛直方向に隣り合って配置された防撓材のドレンホールが平面視において互いに重ならないように配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。」に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲に「【請求項13】底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が15m以下の位置に配置され、 前記他の防撓材は、前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち最も下方に配置された防撓材である ことを特徴とする油タンカーの油槽。」を追加する訂正をする。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲に「【請求項14】底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置され、前記他の防撓材は、前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち最も下方に配置された防撓材である ことを特徴とする油タンカーの油槽。」を追加する訂正をする。 (9)訂正事項9 特許明細書の段落【0024】?【0030】の記載を、 「【0024】 (8)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記油槽が、防食塗装が施された塗装鋼板または耐食鋼板からなる ことを特徴とする、油タンカーの油槽。 【0025】 (9)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が8m以下の位置に配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【0026】 (10)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【0027】 (11)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち最も下方に配置された防撓材である ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【0028】 (12)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記互いに間隔を空けて鉛直方向に複数並んで配置された防撓材のうち、底板からの鉛直方向の距離が15m以下の位置に配置された防撓材の少なくとも一つは、鉛直方向に隣り合って配置された防撓材のドレンホールが平面視において互いに重ならないように配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【0029】 (13)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記互いに間隔を空けて鉛直方向に複数並んで配置された防撓材のうち、底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置された防撓材の少なくとも一つは、鉛直方向に隣り合って配置された防撓材のドレンホールが平面視において互いに重ならないように配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【0030】 (14)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が15m以下の位置に配置され、 前記他の防撓材は、前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち最も下方に配置された防撓材である ことを特徴とする油タンカーの油槽。 (15)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置され、 前記他の防撓材は、前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち最も下方に配置された防撓材である ことを特徴とする油タンカーの油槽。」 と訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、一群の請求項及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、特許明細書の段落【0013】の「防食塗装が施された塗装鋼板や、耐食性の高い特殊鋼板(耐食鋼板)を用いて図2に示したように構成されたタンカーの油槽について、局部腐食の発生状況について鋭意調査を行った。」、及び、段落【0041】の「上述のタンカー1を構成する部材は、いずれも塗装鋼板や耐食鋼板などの船舶用鋼板が用いられる。」という記載を根拠として、訂正前の請求項7の「油槽」の構成に関して、「前記油槽が、防食塗装が施された塗装鋼板または耐食鋼板からなる」ものに限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、訂正前の請求項8における請求項7の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるものであり、それをさらに、特許明細書の段落【0057】の「ドレンホール42aの位置を変更する防撓材は、船底内板11からの鉛直方向の距離が15m以下、好ましくは8m以下、より好ましくは2m以下の位置に配置される。」という記載を根拠として、「15m以下」を、「8m以下」に限定するものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、上記訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、及び、同第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (3)訂正事項3、5及び6について 訂正事項3、5及び6は、それぞれ、訂正前の請求項9、11及び12の各請求項における請求項7の引用関係を解消し、独立形式請求項に改めるものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、上記訂正事項3、5及び6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (4)訂正事項4、7及び8について 訂正事項4、7及び8は、訂正前の請求項10における請求項7?9のいずれか1項を引用する引用関係を全て解消し、それぞれ独立形式請求項に改めるものであり(訂正事項4は、訂正前の請求項7を引用する請求項10を、訂正事項7は、訂正前の請求項7を引用している請求項8を引用する請求項10を、訂正事項8は、訂正前の請求項7を引用している請求項9を引用する請求項10を、それぞれ独立形式請求項に改めるものであり)、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、上記訂正事項4、7及び8に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (5)訂正事項9について 訂正事項9は、訂正事項1?8に係る特許請求の範囲の訂正に合わせて、特許明細書の記載を整合させるものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当し、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 (6)一群の請求項について 訂正事項1?8に係る訂正前の請求項7?12について、請求項8?12は直接又は間接的に請求項7を引用しているものであって、本件訂正請求は特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとに請求されたものである。 (7)特許明細書の訂正について 訂正事項9による特許明細書の訂正は、訂正前の請求項7?12に関係するから、訂正事項9による特許明細書の訂正に係る請求項は請求項7?12であり、訂正事項9は、これらの請求項を含む一群の請求項である請求項7?12の全てを対象とするものであり、特許法120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項に適合するものである。 3 小括 したがって、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔7、8〕、9、10、11、12、13及び14についての訂正を認める。 なお、訂正後の請求項9?14に係る訂正(訂正事項3?8)は、引用関係の解消を目的とする訂正であって、その訂正は認められるものであり、特許権者から、訂正後の請求項9?14について訂正が認められるときは請求項7及び8とは別の訂正単位として扱われることの求めがあったことから、訂正後の請求項9?14は、請求項7及び8とは別途訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正請求による訂正は認められるから、本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項7及び8に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明7及び8」という。)は、その特許請求の範囲の請求項7及び8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項7】 底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、前記油槽が、防食塗装が施された塗装鋼板または耐食鋼板からなる ことを特徴とする、油タンカーの油槽。 【請求項8】 底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が8m以下の位置に配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。」 第4 特許異議の申立てについて 1 取消理由の概要 本件発明7及び8に係る特許に対して、平成29年10月12日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。 (1) 本件発明7は、その出願前に日本国内又は外国において、以下の電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明、周知技術ないし技術常識に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2) 本件発明8は、その出願前に日本国内又は外国において、以下の電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明、周知技術ないし技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえないから、その発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものであるとはいえない。 [電気通信回線] 電気通信回線のウェブサイト:http://funegasuki.exblog.jp/d2012-06-28/ なお、平成29年2月2日に提出された特許異議申立人による特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に添付された甲第1号証は、上記ウェブサイトの記事の印刷書面(特許異議申立書の8頁17?19行参照)、すなわち、写しである。 2 当審の判断 上記1で述べた取消理由通知(審決の予告)について、以下、検討する。 2-1 各甲号証に記載された事項ないし発明等 甲第1号証及び甲第6号証(以下、それぞれ、「甲1」及び「甲6」という。)は、特許異議申立書に添付して特許異議申立人が提出した甲号証であるところ、甲1、甲6及びそれらの内容は、以下のとおりである。 甲1:電気通信回線のURL「http://funegasuki.exblog.jp/d2012-06-28/ 」のウェブサイトの「船が好きなんです.com」と題するブログの 記事内容の写し 甲6:JIS F 規格集 船体(2000) 「鋼製垂直はしご F 2602:1999」(4-5頁?4-7頁), 平成12年10月発行,編集 財団法人 日本船舶標準協会 (1)甲1について 甲1は、電気通信回線のURL「http://funegasuki.exblog.jp/d2012-06-28/」のウェブサイトの「船が好きなんです.com」と題するブログの記事内容を写したものであるから、以下、甲1を、「http://funegasuki.exblog.jp/d2012-06-28/」のウェブサイトの記事内容とみなすこととする。 ア 甲1に記載された事項 甲1には、画像とともに、以下の事項が記載されている。 (1a) 「今治造船 西条工場見学会[2012-06-28 23:43]」(1/11頁本文2?3行) (1b) 「・・・昨晩のNHK『探検バクモン』ご覧になられましたか・・・探検バクモン『超巨大船をつくれ!』・・・」(1/11頁本文5?6行) (1c) 「撮影したのは2004年とかなり古いものですが、いつか画像をアップしようと思っていたので・・・当時の画像を掲載いたします」(1/11頁本文15?16行) (1d) 「『鳥羽』の後ろ側ではすでに次のVLCCが組み立てられています。」(6/11頁本文2行) イ 甲1の公知日及び甲1の画像を撮影した日等 (ア) 甲1(各頁右下の「2017/01/16」を参照)と、特許権者が平成29年7月14日に提出した意見書に添付された乙1(各左上の「2017/06/27」を参照)とは、それぞれ別々の日に印刷されたといえるところ、いずれも、「http://funegasuki.exblog.jp/d2012-06-28/」及び「今治造船 西条工場見学会[2012-06-28 23:43]」という日時が示され、記事の本文及び画像(宣伝の記事等はこれに該当しない。)が同じであること(2017年10月5日においても、これらが同様であること)、並びに、「・・・昨晩のNHK『探検バクモン』ご覧になられましたか・・・探検バクモン『超巨大船をつくれ!』・・・」(摘記(1b))及び2012年6月27日(水)22:55?23:25に「探検バクモン 超巨大船をつくれ」が実際にNHKで放映されたこと(http://tvtopic.goo.ne.jp/program/nhk/32707/574151/等参照)から、甲1の記事の本文及び画像(宣伝の記事等はこれに該当しない。)の公知日は、「2012年6月28日」であるものと認められる。 (イ) 平成16年(2004年)6月20日に、今治造船(株)西条工場で、見学会が行われたことは事実であるといえるところ(特許異議申立人が平成29年9月7日に提出した意見書に添付された参考資料2)、甲1には、「今治造船 西条工場見学会」(摘記(1a))と記載され、甲1の画像から、建造中の船舶の見学会の様子が看取できる。 (ウ) 甲1の本文の内容、及び、上記(ア)(イ)を踏まえると、甲1は、平成16年(2004年)6月20日に、ドックで建造中の船舶(VLCC)の見学会に参加した時の、見学会の様子を撮影した画像を、本文と共に、2012年6月28日に、電気通信回線のURL「http://funegasuki.exblog.jp/d2012-06-28/」のウェブサイトのブログに掲載したものであると認められる。 ウ 甲1に記載された発明 (ア) 甲1の2/11?10/11頁には、各頁に撮影した画像が2つ掲載され、11/11頁の上方には、撮影した画像が1つ掲載され、画像の間に挿入されている本文の文章は、その文章よりあとの画像を説明しているといえるところ、以下、2/11頁?10/11頁の各頁の上の画像を、それぞれ、「画像2上?画像10上」と表記し、2/11頁?10/11頁の各頁の下の画像を、それぞれ、「画像2下?画像10下」と表記し、11/11頁の画像を、「画像11上」と表記することとする。 また、画像9上、画像9下、及び、画像10下については、部材の位置などを特定し易くするために、次に示すとおり、当審が、矢印を付した番号及び用語等を付した。 ![]() (イ) 6/11頁の本文及び画像7上及び画像7下を参照すると、画像6下及び画像8上?画像10下は、画像11上のVLCC「鳥羽」の後方に位置している建造中の船体を撮影したものといえる。 (ウ) 画像6下、画像9上及び画像10下から、「二重構造(ダブルハル)を形成するように、船底外板と両船側外板とからなる外板及び外板の内側に設けられた底板と両側の側板とからなる内板、側板よりも幅方向中央よりの2列の縦通隔壁、底板と側板とによって形成されると共に2つの縦通隔壁によって複数の船倉となる構造に分割される、船舶の船倉となる建造中の構造」が看取できる。 (エ) 画像9上から、「左側の縦通隔壁の幅方向の中央よりの面に、底板から上端までの間に、鉛直方向にほぼ等間隔で並んで配置され、水平方向に縦通隔壁に沿って延びる、21段の防撓材1?21を具備していること」が看取できる。 (オ) 画像9上から、「右側の縦通隔壁の幅方向の側方よりの面には、底板から鉛直方向の上方に、水平方向に縦通隔壁に沿って延びる足場(1)?(6)が6段設けられていること」、「下から2段目の足場(2)と3段目の足場(3)との間及び下から5段目の足場(6)と6段目の足場(6)との間には、いずれも梯子が掛けられており、下から2段目の足場(2)と3段目の足場(3)との間隔、及び、下から5段目の足場(5)と6段目の足場(6)との間隔は、いずれも、ほぼ梯子のステップの5段分であること」が看取できる。 (カ) 左右の縦通隔壁が、船舶の幅方向の中間位置において前後方向に延びる垂直な面に対して、左右対象であり、同じ構造の隔壁であることは技術常識といえるから、同じ工程で同時に建造されると考えるのが妥当であり、画像10下の足場(1)’?(6)’も合わせ見ると、画像9上の左側の縦通隔壁の幅方向の側方よりの面には、上記(オ)と同じ足場が設けられているといえるところ、その一部が見えており、「下から2段目の足場(2)’と3段目の足場(3)’の間隔、及び、下から5段目の足場(5)’と6段目の足場(6)’の間隔間隔は、いずれも、ほぼ等間隔の防撓材の間隔の2倍程度であること」が看取でき、併せて、画像10下の右の縦通隔壁を参照すると、画像9上の右側の縦通隔壁の足場についても同様のことがいえるから、「画像9上の右側の縦通隔壁の、下から2段目の足場(2)と3段目の足場(3)との間隔、及び、下からら5段目の足場(5)と6段目の足場(6)との間隔は、いずれも、ほぼ等間隔の防撓材の間隔の2倍程度である」といえる。 (キ) 画像9下は、画像9上の左側の縦通隔壁を含む部分を方向を変えて撮影した拡大画像といえるところ、画像9上及び画像9下から、「画像9上の防撓材のうち下から12?15番目の防撓材12?15のそれぞれと、ほぼ同じ高さで幅方向に延びる4つのストラット」が看取できる。 (ク) 画像9上及び画像9下の左側の縦通隔壁の上記4つのストラットが位置する付近の上下の防撓材13?19に着目すると、画像9下の明暗の状態(自然光が照射されていると考えられる部分が特に明るく、白色に写っていること)、及び、タンカーの油槽等の防撓材に多数のホールを設けることが周知・慣用技術(例えば、特開平6-255567号公報の段落【0003】及び図2、実願平2-84587号(実開平4-42600号)のマイクロフィルムの明細書1頁15?19行、4頁17行?5頁1行及び第2?5図、特開平10-128537号公報の段落【0001】?【0005】及び図3?4、並びに、特開昭62-263872号公報の2頁左上欄6行?同頁左下欄4行及び第2?3図を参照。)といえることから、画像9下において、引き出し線などによってホール14?19として指す箇所の白色に写っている部分は、光が通過している部分であり、明らかに孔すなわちホールであるといえる。 (ケ) 上記(エ)及び(ク)を踏まえると、画像9下には、「縦通隔壁の幅方向の中央よりの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材16?19を具備し、前記防撓材16?19は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたホール16?19とを具備している」構成、「縦通隔壁の幅方向の中央よりの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材14?15を具備し、前記防撓材14?15は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたホール14?15とを具備している」構成、及び、「縦通隔壁の幅方向の中央よりの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材13?19は、それぞれ平板部を有し、防撓材16?19は、ホール16?19が鉛直方向に整列して配置され、防撓材14?15は、ホール14?15が鉛直方向に整列して配置されている」構成が開示されていると理解できる。 (コ) 上記(ア)?(ケ)から、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 [甲1発明] 「底板と側板とによって形成されると共に2つの縦通隔壁によって複数の船倉となる構造に分割される、建造中の船舶の船倉となる構造において、 縦通隔壁の幅方向の中央よりの面に、底板から上端までの間に、鉛直方向にほぼ等間隔で並んで配置され、水平方向に縦通隔壁に沿って延びる、21段の防撓材1?21を具備し、 縦通隔壁の幅方向の中央よりの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材16?19を具備し、前記防撓材16?19は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたホール16?19とを具備し、 縦通隔壁の幅方向の中央よりの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材14?15を具備し、前記防撓材14?15は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたホール14?15とを具備し、 縦通隔壁の幅方向の中央よりの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材13?19は、それぞれ平板部を有し、防撓材16?19は、ホール16?19が鉛直方向に整列して配置され、防撓材14?15は、ホール14?15が鉛直方向に整列して配置されている、建造中の船舶の船倉となる構造。」 (2)甲6について 甲6には、図とともに、以下の事項が記載されている。 (6a) 「1.適用範囲 この規格は、船舶における鋼製垂直はしごの主要寸法及び特性について規定する。」(4-5頁10行) (6b) 「備考 ステップ間隔は,はしごの長さによって,300?340mmの間で等間隔配置としてもよい。」(4-6頁1行) 2-2 対比・判断 (1)本件発明7について ア 対比 本件発明7と甲1発明とを対比する。 (ア) 甲1発明の「縦通隔壁」は、本件発明7の「隔壁」に相当する。 (イ) 甲1発明の「船倉(上甲板の下の、貨物を積み込む所[株式会社岩波書店 広辞苑第六版])となる構造」と、本件発明7の「油槽」とは、「槽(中が空っぽの大きないれもの[株式会社岩波書店 広辞苑第六版])構造」の限りで共通する。 (ウ) 甲1発明の「建造中の船舶」は、「建造中」であるところ、建造が終了し完成した、本件発明7の「油タンカー」とは、「船舶構造」の限りで共通する。 (エ) 甲1発明の「ホール」と、本件発明7の「ドレンホール」とは、「ホール」の限りで共通する。 (オ) 上記(ア)及び(エ)を踏まえると、甲1発明の「縦通隔壁の幅方向の中央よりの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材16?19を具備し、前記防撓材16?19は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたホール16?19とを具備し」ている構成、及び、「縦通隔壁の幅方向の中央よりの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材14?15を具備し、前記防撓材14?15は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたホール14?15とを具備し」ている構成は、いずれも、本件発明7の「前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備している」構成と、「前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたホールとを具備している」構成の限りで共通する。 以上から、本件発明7と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される船舶構造の槽構造において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたホールとを具備している、船舶構造の槽構造。」 <相違点1> 「槽構造」、「船舶構造」及び「ホール」に関して、 本件発明7は、「油槽」、「油タンカー」及び「ドレンホール」であり、この「ドレンホール」に係る構成が、 「鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置される」のに対して、 甲1発明は、「船倉となる構造」、「建造中の船舶」及び「ホール」であり、この「ホール」に係る構成が、 「縦通隔壁の幅方向の中央よりの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材13?19は、それぞれ平板部を有し、防撓材16?19は、ホール16?19が鉛直方向に整列して配置され、防撓材14?15は、ホール14?15が鉛直方向に整列して配置されている」点。 <相違点2> 本件発明7は、「前記油槽が、防食塗装が施された塗装鋼板または耐食鋼板からなる」のに対して、甲1発明では、そのように特定されていない点。 イ 判断 以下、相違点について検討する。 <相違点1について> (ア) 甲1の「建造中の船舶」について検討する。 a 甲1には、「『鳥羽』の後ろ側ではすでに次のVLCCが組み立てられています。」(摘記(1d))と記載されている。 b また、一般的に船舶を建造する技術に関して、同じドックで連続して建造される船舶は、連続しているから、同じ設備で建造される同程度の構造の船舶である蓋然性が高いといえるところ、VLCC等の20万トン以上にもなる大型船舶を建造した後に、同じドックで、大きさや構造が異なる船舶を建造するためには、設備を入れ替えるために相当な時間と経費が必要であるといえることから、VLCC「鳥羽」(10/11の本文)を建造しているドックにおいて、そのVLCCに連続して建造されている船舶は、設備を入れ替えることなく建造できる、既に建造されているVLCC「鳥羽」と同程度の構造のVLCCであると、推測することもできる。 c しかしながら、上記aの事項は、ブログ管理者である、ドックの見学をした一個人が述べていることであり、甲1の「船舶構造」が、VLCCになると断言できる客観的な根拠であるとはいえない。 また、bで述べたことは、蓋然性は高いとはいえるものの、あくまでも推測の範囲内の事項であるから、甲1の「建造中の船舶」が、VLCCになると断定することはできない。 d したがって、上記a?cを踏まえると、甲1発明の「建造中の船舶」は、VLCCとして完成されるものであるか否かは不明であり、その完成後にはVLCCすなわち「油タンカー」になると断定することはできないから、甲1発明の「建造中の船舶」は、実質的に本件発明7の「油タンカー」に相当するとはいえない。 (イ) 甲1の「船倉となる構造」及び「ホール」について検討する。 上記(ア)dのとおりであるから、甲1発明の「船倉となる構造」及び「ホール」は、それぞれ、完成後に、本件発明7の「油槽」及び「ドレンホール」になると断定することはできず、甲1発明の「船倉となる構造」及び「ホール」は、それぞれ、本件発明7の「油槽」及び「ドレンホール」に相当するとはいえない。 (ウ) 甲1の防撓材のホールに対応する位置に、「ホール」が存在しているか否かについて検討する。 a 甲1の画像9下を参照すると、ホール16?19が鉛直方向に整列して配置されている列(以下、「1列目」という。)における、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したホールに重なる防撓材14,15の対応する位置(以下、「防撓材14,15のホールに対応する位置」という。)、及び、ホール14,15が鉛直方向に整列して配置されている列(以下、「2列目」という。)における、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したホールに重なる防撓材13の対応する位置(以下、「防撓材13のホールに対応する位置」という。)は、いずれも、その周囲の防撓材の部分と同様に暗く写っているから、白色に写っている部分は、光が通過している部分であり、明らかに孔すなわちホールであるといえることなど(上記2-1(1)ウ(ク))に照らせば、光が通過しているとはいえず、上下に貫通した孔すなわちホールとはなっていない蓋然性は高いともいえるが、暗く写っているからというだけで、直ちに、上記ホールの存在が否定されるとはいえない。 b 甲1の画像9下においては、上記防撓材13?15のホールに対応する位置(3箇所)に加えて、他にも、同様のホールに対応する位置(画像9下のストラットのホール部分とした箇所の下から2?3番目の防撓材を参照)が看取でき、これほど多数の箇所の全てにおいて、同時に、作業中に工具類が確実にホールを塞ぐように置かれている可能性は極めて低いといえる。 しかしながら、何らかの事情、例えば、塗装作業等の事情によって、シート類などにより、ホールが塞がれていることも考えられなくはなく、その結果として暗く写っている可能性を完全に否定はできない。また、例えば、ストラット(画像9下参照)などの何らかの構造物の影になって暗くなっている可能性も考えられなくはない。さらには、例えば、露光の程度や撮影角度など、写真の撮影状況によって写っていないだけである、ということも否定はできない。 したがって、画像9下において、防撓材13?15のホールに対応する位置が暗く写っているというだけで、この位置に上下に貫通した孔すなわちホールが存在していないと断定できるものではない。そして、他に、この位置にホールが存在していないといえる合理的な理由もない。 (エ) 甲1発明が船舶として完成した場合の、船倉における「ホール」に係る構造について検討する。 a 船舶の建造においては、ホールの位置等の細部も含めた全体構造を、事前に設計することが技術常識であり、その設計のとおりに、正確かつ効率的に(作業性がよく)建造できるよう、組立工程が決められていることも技術常識である。 そして、各防撓材に設けられるホールの総数は、非常に多数となるところ(例えば、特開平6-255567号公報の段落【0003】も参照)、その1つ1つについて、各防撓材が組み付けられた状態(画像9下)で、防撓材と防撓材との狭い空間において、ホールの孔空け作業を行うよりも、防撓材自体を加工する工程で防撓材にホールを空け、その防撓材を溶接して取り付ける方が、加工が正確で作業性が良いことは明らかであるところ、防撓材にホールを空けた後に、その防撓材を溶接して取り付けることも、技術常識(例えば、特開平10-128537号公報の段落【0001】?【0005】及び図3?4、並びに、特開昭62-263872号公報の2頁左上欄6行?同頁左下欄4行及び第2?3図を参照)である。 そうすると、画像9下の建造中の船舶が、完成に至るまでの間に、防撓材13?15のホールに対応する位置に、ホールが加工される蓋然性は極めて低いものであると理解することができるが、ホールが加工されることは一切無いと断定できる根拠は無い。 b したがって、仮に、画像9下(建造中の船舶)において、防撓材13?15のホールに対応する位置にホールが存在しないという構成を断定することができたとしても、完成した船舶で、これらの構成が、この建造中のままで維持されること、すなわち、完成した船舶となっても、甲1発明の「平板部を有し」ている「鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材13?19」は、1列目について、「鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材15?19のうち他の防撓材15を除いた複数の防撓材16?19は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材15の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置される構成」(以下、「構成1」という。)を、2列目について、「鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材13?15のうち他の防撓材13を除いた複数の防撓材14?15は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材13の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置される構成」(以下、「構成2」という。)を、それぞれ備えていると断定することはできない。 c 上記構成1又は構成2は、上記相違点1に係る本件発明7の「前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置される」構成に相当するといえるところ、上記構成1又は構成2が、上記相違点1に係る本件発明7の「鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、前記他の部材が他の防撓材であり、前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され」る構成にも相当することは明らかである。 しかしながら、上記a及びbのとおりであるから、引用発明が完成した船舶となった場合に、これらの相当関係がいえるとは限らない。 (オ) a 上記相違点1に係る本願発明7の構成を、甲1発明が備えているというためには、甲1発明において、「建造中の船舶」が「油用のタンカー」として完成されることを立証し、「船倉となる構造」及び「ホール」が「油槽」及び「ドレンホール」となることを立証し、さらに、「防撓材13,14,15のホールに対応する位置」に「ホール」が存在していないことを立証し、完成した船舶においても、これらの立証した構成が維持されていること立証する必要があるが、上記(ア)?(エ)のとおり、甲1に記載された技術事項ないし技術常識を勘案しても、甲1発明は、上記相違点1に係る本件発明7の構成を備えている蓋然性が高いと推測できるだけであり、上記の立証を行うには不充分であり、当該構成を備えていると断定することはできない。 b そして、甲1発明において、特に、防撓材のホールに対応する位置に「ホール」が存在しているか否かまで着目できるのは、上記(ウ)及び(エ)のとおり、本件発明7との比較においてできることであって、甲1及び甲6に記載された技術事項ないし技術常識を総合的に勘案したとしても、本件発明7を知らずに、甲1に記載も示唆もされていない本件発明7の課題(本件特許明細書の段落【0015】及び【0016】)を解決するために、甲1発明において、油用のタンカーを想定し、ホールが存在している部分と関連付け、ホールが存在していないと推測できる部分に着目し、その着目した部分が、完成した船舶で上記構成1及び構成2になると判断し、上記相違点1に係る本件発明7の構成を想到することは、当業者にとって格別に困難なことではないとはいえない。 <相違点2について> (ア) 油タンカーの油槽を、防食塗装が施された塗装鋼板または耐食鋼板で構成することは、甲1発明の建造中(2004年)以前に、周知の技術であったといえる(例えば、特開2002-60921号公報の段落【0001】、【0006】及び【0007】、特開昭50-52144号公報の2頁左上欄10?14行、並びに、特開2004-190123号公報の段落【0001】、【0007】?【0009】及び【0037】を参照。)。 (イ) しかしながら、上記<相違点1について>(イ)で述べたとおり、甲1発明の「船倉となる構造」は、「油槽」に相当するとはいえないから、甲1発明の「船倉となる構造」に、上記(ア)の油槽に係る周知技術を適用する動機付けがあるとはいえず、上記相違点2に係る本件発明7の構成を想到することは、当業者にとって格別に困難なことではないとはいえない。 ウ 小括 以上から、本件発明7は、甲1発明、甲1及び甲6に記載された技術事項、周知技術ないし技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、本件発明7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえないから、その発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものであるとはいえない。 (2)本件発明8について ア 対比 本件発明8と甲1発明とを対比すると、上記(1)アで述べたとおり、本件発明8と甲1発明とは、上記一致点で一致し、上記相違点1で相違し、さらに、次の相違点3で相違する。 <相違点3> 本件発明8は、「前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が8m以下の位置に配置される」のに対して、甲1発明は、そのように特定されていない点。 イ 判断 以下、相違点について検討する。 <相違点1について> 上記(1)イ<相違点1について>のとおり、上記相違点1に係る本件発明8の構成を想到することは、当業者にとって格別に困難なことではないとはいえない。 <相違点3について> (ア) 画像9上の右側の縦通隔壁の、下から2段目の足場(2)と3段目の足場(3)との間隔、及び、下から5段目の足場(5)と6段目の足場(6)との間隔は、いずれも、ほぼ等間隔の防撓材の間隔の2倍程度であり、ほぼ梯子のステップの5段分であること(上記2-1(1)ウ(オ)及び(カ))から、防撓材の間隔は、ほぼ梯子のステップの2.5段分であり、梯子のステップの1段分の寸法が分かれば、底板から13段目の防撓材13までの、およその高さを求めることができる。 (イ) 梯子のステップの1段分の寸法は、作業性に配慮した寸法、すなわち、ほぼ定まった範囲内の寸法(例えば、300?340mm程度)であることは、技術常識といえるところ(摘記(6a)及び(6b))、梯子のステップの1段分の寸法として、大きめの34cm(0.34m)を想定した場合と小さめの30cm(0.30m)を想定した場合とについて、それぞれ計算すると、底板から13段目の防撓材13までの高さは、概ね、大きめの場合、2.5×13×0.34m=11.05mとなり、小さめ大きめの場合、2.5×13×0.30m=9.75mとなる。 (ウ) また、仮に、底板から13段目の防撓材13までの高さが8mであるとすると、梯子のステップの1段分の寸法は、8m/(2.5×13)=約0.25mとなるが、ステップの1段分の寸法が、約25cm(0.25m)程度の通常規格品外の梯子を使用することになれば、登り下りする際の作業性が低下し、ステップ間が狭いために、ステップに足先を引っ掛ける虞が高まる等、安全性にも多々支障が出ることは明らかであり、甲1においては、そのような梯子を使用していないと理解することが妥当である。 (エ) そして、上記(1)イ<相違点1について>(ウ)aで述べたように、ホールに対応する位置がホールとはなっていない蓋然性は高いともいえる、底板から13段目の防撓材13、又は、防撓材13よりも高い位置の底板から15段目の防撓材15までの高さ(防撓材13の高さは、上記(イ)を参照)を、8m以下にすることの動機付けは、甲1及び甲6に記載も示唆もされていないから、甲1発明において、上記相違点3に係る本件発明8の構成を想到することは、当業者にとって格別に困難なことではないとはいえない。 (オ) また、特許異議申立人は、特許異議申立書(16頁23?28行)において、「なお、・・・中小型のタンカーに甲1発明の構成を適用した場合、『他の防撓材』は必然的に底板から鉛直方向の距離が15m以下の位置に配置され、小型タンカーでは概ね7m以下の位置に配置されることになる。」と主張するが、中小型タンカー(例えば、5千トンないし4万トン程度)の油槽と、建造中である甲1発明が完成した場合に想定され得る船舶の油槽とは、防撓材の数や大きさ及びその配置等を含めて構造自体が大幅に異なっていると考えられ、甲1発明を中小型タンカーの油槽に適用できるものではないから、当該主張は採用できない。 ウ 小括 以上から、本件発明8は、甲1発明、甲1及び甲6に記載された技術事項ないし技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、本件発明8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえないから、その発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものであるとはいえない。 3 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)採用しなかった特許異議申立理由 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかったが、以下のア?ウも特許異議申立理由とされ、甲第2?5号証(以下、それぞれ、「甲2?5」という。)も、特許異議申立理由の証拠として提示されているので、以下、検討する。 ア 本件発明7は、甲1に記載された技術事項に基き、特許法第29条第1項第1、2及び3号に規定された発明に該当するから、その発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである(以下、「特許異議申立理由A」という。)。 イ 本件発明7は、甲2及び甲3に記載された技術事項に基き、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである(以下、「特許異議申立理由B」という。)。 ウ 本件発明8は、甲2及び4?6に記載される技術常識に照らして、甲1に記載された技術事項に基き、特許法第29条第1項第1、2及び3号に規定された発明に該当するから、その発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである(以下、「特許異議申立理由C」という。)。 (2)甲2?5について ア 甲2?5は、以下のとおりである。 甲2:GUIDANCE MANUAL FOR TANKER STRUCTURES Tanker Structure Co-operative Forum WITHERBY (31,32,261,267,275頁) 1997年初版発行,Witherby & Co.Ltd. 甲3:船体各部名称図〔改訂版〕(12,15,18頁) 昭和50年2月4日四版発行,著者 池田勝,発行者 海文堂 甲4:らん 糸覽 第36号(1?8頁) 平成9年6月30日発行,発行所 関西造船協会 甲5:特開2011-136603号公報 イ 甲2?5には、それぞれ、以下の事項が記載されている。 (ア)甲2について 甲2には、267頁に「FIGURE VII.5」の画像、及び、275頁に「FIGURE VII.3」の画像が記載されている。 (イ)甲3について 甲3には、12頁に「第6図 タンカー(Oil tanker)名称図」という名称の図、15頁に「(C)断面名称図」という名称の図、及び、18頁に「(F)タンク部分構造名称図」とのいう名称の図が記載されている。 (ウ)甲4について 甲4には、4頁に「表1-2 タンカーの概略寸法と容量」という名称の表が記載されている。 (エ)甲5について 甲5には、図とともに、以下の事項が記載されている。 「【0029】 図4は、従来と本発明によるウイングタンクとセンタータンクとの隔壁(縦通隔壁)の構造図である。また、図5は、従来と本発明によるセンタータンク間の隔壁(横置隔壁)の構造図である。 これらの図において、(A)は従来例、(B)は本発明である。 【0030】 従来と本発明のタンカーにおいて、油槽10は、中央部に設けられたセンタータンク10aと、センタータンク10aの両舷に設けられたウイングタンク10bとからなる。 ・・・ 【0032】 図4(A)に示すように、従来のタンカーでは、センタータンク10aの内側にストラット21を設け、縦通隔壁11b及び横肋骨(トランス)を補強している。 これに対し、本発明のタンカーは、図4(B)に示すように、ウイングタンク10bの内側に設けられたストラット22を有し、縦通隔壁11b及び横肋骨(トランス)を補強している。またこの場合、センタータンク10aの内側にストラット21は廃止し、センタータンク10aの内面を平滑に保持している。」 (3)対比・判断 ア 特許異議申立理由Aについて 本件発明7と甲1発明とを対比すると、上記2 2-2(1)アで述べたとおり、相違点が存在するから、本件発明7は、甲1発明であるとはいえないし、公然知られた又は公然実施された発明であるともいえない。 したがって、本件発明7は、特許法第29条第1項第1、2及び3号に規定された発明に該当するとはいえないから、その発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものであるとはいえない。 イ 特許異議申立理由Bについて (ア) 甲2の「FIGURE VII.5」の画像(267頁)及び「FIGURE 1.2」の画像(275頁)は、いずれも、錆やその跡などが多々写っているため、ホールに関すると考えられる部分は著しく不鮮明であり、ホール自体が存在しているのか否かを確認することはできず、ホールに関して甲2に記載された発明を認定することはできない。 (イ) したがって、甲3に記載された技術事項を甲2に記載された発明に適用しても、上記相違点1及び2に係る本件発明7の構成を、当業者が容易になし得たとはいえず、本件発明7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえないから、その係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものであるとはいえない。 ウ 特許異議申立理由Cについて 本件発明8と甲1発明とを対比すると、上記2 2-2(2)アで述べたとおり、相違点が存在するから、甲2、4?6に記載される技術常識を参照するまでもなく、本件発明8は、甲1発明であるとはいえないし、公然知られた又は公然実施された発明であるともいえない。 したがって、本件発明8は、特許法第29条第1項第1、2及び3号に規定された発明に該当するとはいえないから、その発明に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものであるとはいえない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、取消理由及び特許異議申立理由によっては、本件の請求項7及び8に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件の請求項7及び8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 タンカーの油槽 【技術分野】 【0001】 本発明は、耐食性に優れるタンカーの油槽に関するものである。 【背景技術】 【0002】 原油などを輸送するタンカーでは、タンカーの船底外板又は船側外板が破損した際に、タンカーに積載する原油が船外に流出することを防止するために、二重船殻構造が義務付けられている。 【0003】 図1は、二重船殻構造を有するタンカーの構成を概略的に示す縦断面図である。すなわち、図1は、タンカーの前後方向(長さ方向)に対して垂直な方向にタンカーを切った断面図である。図1からわかるように、タンカー1の船底は船底外板10及び船底内板11によって構成され、船側は船側外板12及び船側内板13によって構成されている。したがって、タンカー1は、船底外板10及び船側外板12から構成される外板と、船底内板11及び船側内板13から構成される内板とによる二重船殻構造を有している。 【0004】 船側外板12と船側内板13の上端には上甲板14が設けられている。船底外板10と船底内板11との間及び船側外板12と船側内板13との間に形成された空間には、バラストタンク20が形成されている。一方、船底内板11、船側内板13及び上甲板14によって囲まれた空間には、油槽21が形成されている。 【0005】 タンカー1の油槽21には、例えば、タンカー1の前後方向に延びる二つの縦通隔壁30が設けられている。油槽21は、これら縦通隔壁30により一つのセンタータンク31と、二つのウイングタンク32とに分割されている。加えて、油槽21には、縦通隔壁30の表面及び船側内板13の内面からタンカー1の前後方向に対して垂直な方向に突出する隔壁横桁41が設けられている(図2参照)。 【0006】 加えて、船底内板11及び船側内板13のバラストタンク20側の表面には、タンカー1の前後方向に延びる平板状の複数の防撓材40が所定の間隔で設けられている。また、縦通隔壁30の、例えばセンタータンク31側の表面にも、船側内板13と同様に複数の防撓材40が設けられている。これら防撓材40は、船底内板11及び船側内板13の剛性を高めるための補強材として用いられる。 【0007】 このように構成された二重船殻構造のタンカー1においては、船底外板10と船底内板11との間及び船側外板12と船側内板13との間に形成されるバラストタンク20内に海水が積載される。加えて、船底内板11及び船側内板13により形成される油槽21内に原油が積載される。したがって、船底内板11及び船側内板13を構成する鋼板は、海水及び原油による腐食環境下に曝される。 【0008】 このため、船底内板11及び船側内板13には数mm/年程度の比較的腐食速度の速い局部腐食が発生することが知られている。この腐食への対策として、一般に、船底内板11及び船側内板13には防食塗装が施されている。更に、再塗装等のメンテナンスの頻度を少なくするために、船底内板11及び船側内板13を耐食性の高い特殊鋼板により形成することが行われている(例えば、特許文献1?4)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0009】 【特許文献1】特開2001-214236号公報 【特許文献2】特開2004-204344号公報 【特許文献3】特開2005-23421号公報 【特許文献4】特開2007-270196号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0010】 ところで、図1に示したように、油槽21内に設けられた縦通隔壁30の表面上には、タンカー1の前後方向に延びる平板上の複数の防撓材40が設けられている。図2は、このように縦通隔壁30に設けられた防撓材40近傍の構成を概略的に示す斜視断面図である。図2では、鉛直方向に並んだ互いに平行な4つの防撓材40のみを示しているが、一般的には、縦通隔壁30にはより多くの防撓材40が鉛直方向に並んで互いに平行に配置される。 【0011】 図2からわかるように、防撓材40は縦通隔壁30の表面からほぼ水平方向に延びる。このため、油槽21内に貯留されていた原油等を外部に放出するときであっても、防撓材40上、特に防撓材40と縦通隔壁30との接合部近傍には、原油やスラッジが残ってしまう場合がある。そこで、このような原油等の残留を抑制するために、防撓材40にドレンホール42aを設けると共に、防撓材40をドレンホール42aに向けて僅かに傾斜させることが考えられる。これにより、油槽21内に貯留されていた原油等を外部に放出するときには、防撓材40上の原油等は防撓材40の傾斜に沿ってドレンホール42aに向かって流れると共に、ドレンホール42aから流下することになるため、防撓材40上に原油等が残留してしまうことが抑制される。 【0012】 加えて、防撓材40にドレンホール42aを設ける際には、図2に示したように、鉛直方向に複数並べて平行に配置された防撓材40についてドレンホール42aを同一の鉛直線上に配置することが考えられる。これにより、上方の防撓材40のドレンホール42aから流下した原油等は、他の防撓材40に衝突することなく下方まで流下することになる。したがって、各防撓材40上に原油等が残留してしまうことをより確実に抑制することができる。 【0013】 ところで、本発明者らは、防食塗装が施された塗装鋼板や、耐食性の高い特殊鋼板(耐食鋼板)を用いて図2に示したように構成されたタンカーの油槽について、局部腐食の発生状況について鋭意調査を行った。その結果、局部腐食は船底内板の油槽側の面であって油槽内を複数の区画に分割する縦通隔壁の近傍に集中して発生していることを発見した。 【0014】 本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的はタンカーの油槽内に局所的に生じる腐食を抑制することが可能な油槽を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0015】 本発明者らは、船底内板の油槽側の面であって油槽内を複数の区画に分割する縦通隔壁の近傍に集中して発生している局部腐食について更に調査を行った。その結果、局部腐食の発生箇所は、縦通隔壁の補強材として設けられた防撓材に形成されたドレンホールの真下となる位置とほぼ一致し、ドレンホールの真下となる位置以外の箇所では局部腐食がほとんど発生していないことを発見した。 【0016】 そして、本発明者らは、ドレンホールから流下する原油が船底内板に直接衝突することが油槽内に発生する局部腐食の原因であることを突き止めた。更に、本発明者らは、油槽内に衝突防止構造を設け、タンカーの油槽における腐食、即ち、ドレンホールからの原油の流下に起因して発生する局部腐食を抑制することに成功した。 【0017】 本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。 (1)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが他の部材と重なるように配置されることを特徴とする、油タンカーの油槽。 【0018】 (2)前記他の部材が、一つの防撓材のドレンホールの下方に設けられた流体衝突部材であることを特徴とする、(1)に記載の油タンカーの油槽。 【0019】 (3)前記鉛直方向に並んで配置された防撓材に設けられたドレンホールは鉛直方向に整列して配置され、前記流体衝突部材はこれら鉛直方向に整列したドレンホールに平面視において重なるように配置されることを特徴とする、(2)に記載の油タンカーの油槽。 【0020】 (4)前記流体衝突部材は、前記底板からの鉛直方向の距離が15m以下の位置に配置されることを特徴とする、(2)又は(3)に記載の油タンカーの油槽。 【0021】 (5)前記流体衝突部材は、前記底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置されることを特徴とする、(2)又は(3)に記載の油タンカーの油槽。 【0022】 (6)前記流体衝突部材は、鉛直方向に複数並んで配置された防撓材のうち最も下方に配置された防撓材よりも下方に配置されることを特徴とする、(2)?(5)のいずれか1つに記載の油タンカーの油槽。 【0023】 (7)前記流体衝突部材は、該流体衝突部材に隣り合って配置される前記防撓材と同一の外形を有することを特徴とする、(2)?(6)のいずれか1つに記載の油タンカーの油槽。 【0024】 (8)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記油槽が、防食塗装が施された塗装鋼板または耐食鋼板からなる ことを特徴とする、油タンカーの油槽。 【0025】 (9)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が8m以下の位置に配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【0026】 (10)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【0027】 (11)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち最も下方に配置された防撓材である ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【0028】 (12)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記互いに間隔を空けて鉛直方向に複数並んで配置された防撓材のうち、底板からの鉛直方向の距離が15m以下の位置に配置された防撓材の少なくとも一つは、鉛直方向に隣り合って配置された防撓材のドレンホールが平面視において互いに重ならないように配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【0029】 (13)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記互いに間隔を空けて鉛直方向に複数並んで配置された防撓材のうち、底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置された防撓材の少なくとも一つは、鉛直方向に隣り合って配置された防撓材のドレンホールが平面視において互いに重ならないように配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【0030】 (14)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が15m以下の位置に配置され、 前記他の防撓材は、前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち最も下方に配置された防撓材である ことを特徴とする油タンカーの油槽。 (15)底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置され、 前記他の防撓材は、前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち最も下方に配置された防撓材である ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【発明の効果】 【0031】 本発明によれば、タンカーの油槽内に局所的に生じる腐食を抑制することができる。 【図面の簡単な説明】 【0032】 【図1】二重船殻構造を有するタンカーの概略構成を示す縦断面図である。 【図2】縦通隔壁に設けられた防撓材近傍の構成を概略的に示す斜視断面図である。 【図3】本発明の第一実施形態における防撓材近傍の構成を概略的に示す斜視断面図である。 【図4】図3の線IV-IVから見た断面平面図であり、防撓材近傍の構成を概略的に示す図である。 【図5】第一実施形態の第一変更例における防撓材近傍の構成を概略的に示す斜視断面図である。 【図6】船底から連続して存在するドレンホールの高さと局部腐食の発生確率との関係を示す図である。 【図7】第一実施形態の第二変更例における防撓材近傍の構成を概略的に示す斜視断面図である。 【図8】第一実施形態の第三変更例における防撓材近傍の構成を概略的に示す斜視断面図である。 【図9】本発明の第二実施形態における防撓材近傍の構成を概略的に示す斜視断面図である。 【図10】第二実施形態の変更例における防撓材近傍の構成を概略的に示す斜視断面図である。 【図11】本発明の第三実施形態における防撓材近傍の構成を概略的に示す斜視断面図である。 【発明を実施するための形態】 【0033】 以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明に係る油槽を有するタンカー1は、基本的に、図1に示したタンカーと同様な構成を有する。 【0034】 すなわち、タンカー1は、船底外板10及び船側外板12を有する外板と、船底内板11及び船側内板13を有する内板とを具備する二重船殻構造を有している。船側外板12及び船側内板13の上端には上甲板14が設けられている。外板(船底外板10及び船側外板12)と内板(船底内板11及び船側内板13)との間にはバラストタンク20が形成されている。また、船底内板11、船側内板13及び上甲板14で囲まれた空間には、油槽21が形成されている。なお、図1に示した例では、タンカー1は二重船殻構造を有している。しかしながら、タンカー1は、油槽21を形成する底板と側板を有していれば、三重船殻構造等、別の構造を有していてもよい。 【0035】 本発明に係る油槽21においても、図1に示した油槽と同様に、タンカー1の前後方向に延びる、例えば二つの縦通隔壁30が設けられている。油槽21はこの縦通隔壁30によりセンタータンク31とウイングタンク32とに分割されている。 【0036】 また、本発明に係る油槽21においても、図1に示した油槽と同様に、船底内板11及び船側内板13のバラストタンク20側の表面には、船底内板11及び船側内板13の剛性を高めるための補強材として、平板状の複数の防撓材40が設けられている。防撓材40はタンカー1の前後方向に水平に延びる(なお、現実的には製造誤差等により防撓材40は完全に水平にはならない場合があり、よって現実的には完全な水平に対して±10°又は±5°程度で延びるのもの含む)。船底内板11に設けられた防撓材40は、タンカー1の前後方向にほぼ鉛直に延びると共に、横方向(タンカー1の前後方向に対して垂直な方向)に所定の間隔で配置される。船側内板13に設けられた防撓材40は、タンカー1の前後方向にほぼ水平に延びると共に、上下方向に所定の間隔で配置されている。また、縦通隔壁30の、例えばセンタータンク31側の表面にも、船側内板13と同様に複数の防撓材40が設けられている。 【0037】 なお、図1に示した例では、防撓材40は、船底内板11及び船側内板13のバラストタンク20側の表面上、及び縦通隔壁30のセンタータンク31側の表面上に設けられている。しかしながら、防撓材40の設けられる箇所はこれらの箇所に限られるものではなく、例えば、船底内板11及び船側内板13の油槽21側の表面上や、縦通隔壁30のウイングタンク32側の表面上に設けられてもよい。 【0038】 図3は縦通隔壁30に設けられた防撓材40近傍の構成を概略的に示す斜視断面図である。図3に示すように、縦通隔壁30には、タンカー1の前後方向とは垂直な方向にほぼ鉛直に延びる隔壁横桁41が複数設けられている。各防撓材40は、平板部42bと、平板部42bを貫通するように形成されたドレンホール42aとを具備する。各防撓材40の平板部42bはドレンホール42aに向けて僅かに傾斜せしめられる。また、鉛直方向に複数並べて平行に配置された防撓材40についてはそのドレンホール42aが同一の鉛直線上に設けられている。換言すると、鉛直方向に複数並んで平行に配置された防撓材40に設けられたドレンホール42aは、互いに鉛直方向に整列するように、すなわち鉛直方向上部から平面視したときにこれらドレンホール42aの位置が一致するように設けられている。 【0039】 加えて、本発明の第一実施形態の油槽21では、図3に示したように、鉛直方向に複数並んで配置された防撓材40のうち、最も下方に配置された防撓材40のドレンホール42aの真下となる位置に、平板状の流体衝突部材43が設けられている。本実施形態では、流体衝突部材43は縦通隔壁30に溶接により結合されている。流体衝突部材43は、図4に示すように、ドレンホール42aの径よりも外形が大きくなるように形成されている。このため、流体衝突部材43は、平面視においてドレンホール42a全体が流体衝突部材43と重なるように、すなわち平面視においてドレンホール42a全体が流体衝突部材43の内部に位置するように配置されている。 【0040】 このように構成された本実施形態の油槽21によれば、例えば油槽21から原油等を放出する場合、ドレンホール42aから流下した原油等は、図3に矢印で示したように、流体衝突部材43に一旦衝突して流体衝突部材43上で分散する。分散した原油等は流体衝突部材43の側部から流下し、その後、船底内板11に到達する。したがって、上方に設けられた防撓材40のドレンホール42aから原油等が長距離を流下することによって、原油等が高い運動エネルギ(或いは速度)を有したとしても、その原油等は船底内板11には直接衝突せずに、流体衝突部材43に衝突する。このため高い運動エネルギは流体衝突部材43によって吸収され、原油等が船底内板11に到達するときには、その運動エネルギはかなり低いものとされている。この結果、ドレンホール42aからの原油等の流下に起因して発生する船底内板11の局部腐食を抑制することができる。 【0041】 また、本実施形態では、流体衝突部材43は、その縦通隔壁30側とは反対側の端部が、平面視において防撓材40の端部よりも縦通隔壁30側に位置するように形成されている。このように形成されることで、油槽21への原油等の積み降ろしの際に流体衝突部材43が油槽21内の原油の流れに外乱を与えてしまうことが抑制される。また、上述のタンカー1を構成する部材は、いずれも塗装鋼板や耐食鋼板などの船舶用鋼板が用いられる。 【0042】 なお、流体衝突部材43を用いてドレンホール42aから流下する原油等が船底内板11の上面に直接衝突することを防止するにあたっては、例えば図3に破線で示すようにドレンホール42aの真下となる位置において、船底内板11上に流体衝突部材43aを犠牲材として直接結合することも考えられる。ただし、現状は船級規則により船底内板11の減肉量が規定値以内に収まっているかを定期的に確認することが義務付けられており、犠牲材としての流体衝突部材43aが板厚測定の際に障害となることがある。そのため現状の船級規則の下では実施を制限されるものの、流体衝突部材43aを犠牲材として船底内板11に直接結合する態様は、本発明の技術的範囲に属するものである。 【0043】 また、ドレンホール42aの真下にあたる位置以外では局部腐食がほとんど認められないという発明者らの調査結果を勘案すると、防撓材40の縦通隔壁30側とは反対側の端部から流下する原油等の流れF(図2参照)によっては、局部腐食は生じないといえる。したがって、上記実施形態においては、各防撓材40はドレンホール42aに向けて傾斜するようにしているが、必ずしも防撓材40全体がドレンホール42aに向けて傾斜していなくてもよい。例えば、防撓材40は、防撓材40のうちの縦通隔壁30側とは反対側の端部近傍においては、縦通隔壁30側とは反対側の端部に向けて傾斜するように構成されてもよい。 【0044】 次に、図5及び図6を参照して、本発明の第一実施形態の第一変更例について説明する。上記第一実施形態では、流体衝突部材43が鉛直方向に複数並んで配置された防撓材40のうち、最も下方に配置された防撓材40のドレンホール42aの下方に配置されていた。これに対して、図5からわかるように、本変形例では流体衝突部材44は最も下方に配置された防撓材40と下から2番目の防撓材40との間に配置されている。また、流体衝突部材44は、下から2番目の防撓材40(すなわち、流体衝突部材44のすぐ上方に配置された防撓材40)のドレンホール42a全体が平面視において流体衝突部材44と重なるように配置されている。換言すると、流体衝突部材44は、下から2番目の防撓材40のドレンホール42a全体が平面視において流体衝突部材44の内部に位置するように配置されている。 【0045】 なお、図5に示した例では、流体衝突部材44は、下から2番目の防撓材40のすぐ下方に配置されているが、下から3番目、4番目の防撓材40等、他の防撓材40のすぐ下に配置されてもよい。ただし、流体衝突部材44は、船底内板11からの鉛直方向の距離が15m以下、好ましくは8m以下、より好ましくは2m以下の位置に配置される。 【0046】 図6は、底板から連続して同一鉛直線上に存在するドレンホールの高さと局部腐食の発生確率との関係を示した図である。換言すると、図6は、底板から連続して同一直線上にドレンホールが位置する防撓材40のうち最も上方に位置する防撓材40の高さと局部腐食の発生確率との関係を表している。図からわかるように、底板から連続して存在するドレンホールの高さが15mよりも高いときには局部腐食の発生確率は100%となっている。これに対して、底板から連続して存在するドレンホールの高さが15m以下になると、局部腐食の発生率は低下する。 【0047】 図6からわかるように、このうち底板から連続して存在するドレンホールの高さが10m程度になると、局部腐食の発生確率は80%程度、8m程度になると50%、7m程度になると40%、5m程度になると25%、4m程度で20%、3m程度で10%となる。そして、ドレンホールの高さが2m以下になると局部腐食の発生確率はほぼ0%となる。したがって、流体衝突部材44を配置する位置を、船底内板11からの鉛直方向の距離が15m以下の位置とすると、流体衝突部材44を設けない場合に比べて局部腐食の発生確率を低減することができる。流体衝突部材44を配置する位置を、船底内板11からの鉛直方向の距離が8m以下の位置とすると、流体衝突部材44を設けない場合に比べて局部腐食の発生確率を半分以下に低減することができる。流体衝突部材44を配置する位置を、船底内板11からの鉛直方向の距離が2m以下の位置とすると局部腐食の発生確率をほぼ0%とすることができる。 【0048】 このように流体衝突部材44を配置する位置を上記第一実施形態に比べて高くすることにより、流体衝突部材44に衝突する原油等の運動エネルギ(速度)を低下させることができる。これにより、流体衝突部材44に局部腐食が生じてしまうのを抑制することができる。 【0049】 次に、図7を参照して、本発明の第一実施形態の第二変更例について説明する。上記実施形態では、一列に整列された複数のドレンホール42aに対して一つの流体衝突部材のみが配置されている。これに対して、本変形例では、最も下方に配置された防撓材40の下方に設けられた流体衝突部材43に加えて、下から3番目の防撓材40と下から2番目の防撓材40との間にも流体衝突部材45が配置される。 【0050】 このように、一列に整列された複数のドレンホール42aに対して複数の流体衝突部材43、45を設けた場合、各流体衝突部材43、45に衝突する原油等の運動エネルギ(速度)を低下させることができる。加えて、複数の流体衝突部材43、45のうち最も下方に配置された流体衝突部材43を比較的下方に配置することで、船底内板11に衝突する原油等の運動エネルギ(速度)も低下させることができる。これにより、流体衝突部材43、45及び船底内板11のいずれについても局部腐食を低減させることができる。 【0051】 次に、図8を参照して、本発明の第一実施形態の第三変更例について説明する。上述した実施形態では、平板状の流体衝突部材43を用いて衝突防止構造が形成されていた。しかしながら、流体衝突部材43の形状は平板状に限られるものではない。流体衝突部材は、平面視においてドレンホール42a全体が流体衝突部材43と重なっていれば、如何なる形状であってもよい。本変更例では、一例として、図8に示すような角錐状の流体衝突部材46が用いられている。 【0052】 次に、図9を参照して、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態の油槽の構成は基本的に第一実施形態の油槽の構成と同様である。ここで、上記第一実施形態においては、防撓材40はドレンホール42aが同一の鉛直線上に設けられるように構成されていた。このような構成とするのは、上述したように各防撓材40上に原油等が残留するのをより確実に抑制するため、及び、同一形状の防撓材40を複数作成し、その防撓材40を縦通隔壁30に上下方向にわたって溶接結合することで建造コストを抑制するためである。したがって、防撓材40はドレンホール42aが必ずしも同一の鉛直線上に設けられるように構成される必要はない。 【0053】 そこで、第二実施形態では、例えば図9に示すように、鉛直方向に複数並んで配置された防撓材40のうち最も下方に配置された防撓材40aに設けられたドレンホール42aが、平面視においてその上方に位置する防撓材40のドレンホール42aと互いに重ならないように配置される。換言すると、最も下方に配置された防撓材40aに設けられたドレンホール42aは、平面視においてその上方に位置する防撓材40の平板部42bと重なるように配置される。特に、本実施形態では、最も下方に配置された防撓材40aを除いた防撓材40は、そのドレンホール42aが鉛直方向に互いに整列するように配置されている。したがって、最も下方に配置された防撓材40aのみドレンホール42aが設けられる位置が、他の防撓材40とは異なるものとなっている。加えて、第二実施形態では、第一実施形態のような流体衝突部材は設けられない。 【0054】 このように構成された第二実施形態の油槽21では、最も下方に位置する防撓材40aのドレンホール42aに流れ込む原油等は、これよりも上方に配置された防撓材40のドレンホール42aから流下したのち、一旦防撓材40aの上面に衝突して運動エネルギ(速度)が低下している。このため、最も下方に位置する防撓材40aのドレンホール42aから流下する原油等の運動エネルギ(流下速度)を低下させることができる。したがって、図9に示すように防撓材40、40aを配置することで、流体衝突部材43を設けずとも、流体衝突部材43を設けた場合と同様の効果を得ることができる。 【0055】 また、図9に示すように防撓材40、40aを配置すると、流体衝突部材43が不要となる。このため、溶接作業及びそれに伴う高所での作業も不要となり、流体衝突部材43を設ける場合と比較して、建造現場での作業コスト及び安全性が向上する。 【0056】 なお、図9に示した例では、最も下方に配置された防撓材40aのドレンホール42aの位置が他の防撓材40のドレンホール42aの位置と異なるものとされている。しかしながら、ドレンホール42aの位置を変更する防撓材は必ずしも最も下方に配置された防撓材40aである必要はなく、下から2番目の防撓材や下から3番目の防撓材等、他の防撓材であってもよい。また、鉛直方向に並んで配置された防撓材のうち一つの防撓材のみについてドレンホール42aの位置を変更するだけでなく、複数の防撓材についてドレンホール42aの位置を変更するようにしてもよい。 【0057】 ただし、ドレンホール42aの位置を変更する防撓材は、船底内板11からの鉛直方向の距離が15m以下、好ましくは8m以下、より好ましくは2m以下の位置に配置される。換言すると、互いに間隔を空けて鉛直方向に複数並んで配置された防撓材40のうち、船底内板11からの鉛直方向の距離が、15m以下、好ましくは8m以下、より好ましくは2m以下の位置に配置された防撓材の少なくとも一つは、鉛直方向に隣り合って配置された防撓材40のドレンホール42aが平面視において互いに重ならないように配置される。このようにドレンホール42aの位置を変更する防撓材40の位置を船底内板11に近づけることにより、図6を用いて説明したように、局部腐食の発生確率を低減することができる。 【0058】 なお、図9に示したように一部の防撓材40aについてドレンホール42aの位置を変更した場合、その防撓材40aの上面には、その上方に設けられた防撓材40のドレンホール42aから流下する原油等が衝突する。この場合、構造用部材である防撓材40に局部腐食が発生する可能性があり、腐食が生じた場合は防撓材40を交換する必要がある。このため、図10に示したように、例えば、防撓材40の上面であって、上方に設けられた防撓材40のドレンホール42aの真下となる位置に犠牲材61を設けて防撓材40の腐食を予防してもよい。 【0059】 次に、図11を参照して、本発明の第三実施形態について説明する。第三実施形態の油槽の構成は基本的に第一実施形態の油槽の構成と同様である。だだし、第三実施形態の油槽では、流体衝突部材として、防撓材40と基本的に同一の形状、外形を有すると共にドレンホールの設けられていない部材50が設けられる。 【0060】 図11からわかるように、本実施形態の油槽では、最も下方に位置する防撓材40の下方に流体衝突部材50が設けられている。流体衝突部材50は、防撓材40と同一の外形を有すると共にドレンホールが設けられていない。見方を変えると、流体衝突部材50は、防撓材40のドレンホール42aに対応する位置に、このドレンホール42aを塞ぐ閉止部材が設けられているといえる。流体衝突部材としてこのような部材50を用いた場合であっても、上述した第一実施形態の流体衝突部材43と同様な効果を得ることができる。 【0061】 加えて、流体衝突部材50としては、ドレンホール42aを形成するための孔開け加工をする前の防撓材40を用いることができる。このため、流体衝突部材50用にプレス金型等を別途作成する必要がなくなり、その結果、製造コストを低減することができる。 【0062】 なお、図11に示した例では、流体衝突部材50は、最も下方に配置された防撓材40の下方に配置されているが、下から2番目、3番目の防撓材40等、他の防撓材40のすぐ下に配置されてもよい。ただし、この場合でも、流体衝突部材50は、船底内板11からの鉛直方向の距離が15m以下、好ましくは8m以下、より好ましくは2m以下の位置に配置される。 【0063】 また、図11に示した例では、鉛直方向に並んで配置された防撓材40は全て同一の外形を有するように形成されている。しかしながら、防撓材40は必ずしも同一の外形を有するわけではなく、例えば幅(前後方向に対して垂直な方向における長さ)が防撓材40毎に異なる場合もある。このような場合には、流体衝突部材50は鉛直方向にならんで配置された複数の防撓材40のうち少なくともいずれか一つの防撓材40と同一の外形を有する。例えば、流体衝突部材50は、流体衝突部材50に隣り合って配置される防撓材40と同一の外形を有する。 【0064】 なお、上述した第一実施形態、第二実施形態及び第三実施形態をまとめて表すと、本発明では、防撓材は、それぞれ平板部と平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが他の部材と重なるように配置されていると言うことができる。 【0065】 以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。 【産業上の利用可能性】 【0066】 本発明は、原油やその他の液体を輸送するタンカーの油槽における腐食を抑制する際に有用である。 【符号の説明】 【0067】 1 タンカー 10 船底外板 11 船底内板 12 船側外板 13 船側内板 14 上甲板 20 バラストタンク 21 油槽 30 縦通隔壁 31 センタータンク 32 ウイングタンク 40 防撓材 41 隔壁横桁 42a ドレンホール 42b 平板部 43、44、45、46、50 流体衝突部材 61 犠牲材 F 流れ (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、前記他の部材が、一つの防撓材のドレンホールの下方に設けられた流体衝突部材であることを特徴とする、油タンカーの油槽。 【請求項2】 前記鉛直方向に並んで配置された防撓材に設けられたドレンホールは鉛直方向に整列して配置され、前記流体衝突部材はこれら鉛直方向に整列したドレンホールに平面視において重なるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の油タンカーの油槽。 【請求項3】 前記流体衝突部材は、前記底板からの鉛直方向の距離が15m以下の位置に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の油タンカーの油槽。 【請求項4】 前記流体衝突部材は、前記底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の油タンカーの油槽。 【請求項5】 前記流体衝突部材は、鉛直方向に複数並んで配置された防撓材のうち最も下方に配置された防撓材よりも下方に配置されることを特徴とする、請求項1?4のいずれか1項に記載の油タンカーの油槽。 【請求項6】 前記流体衝突部材は、該流体衝突部材に隣り合って配置される前記防撓材と同一の外形を有することを特徴とする、請求項1?5のいずれか1項に記載の油タンカーの油槽。 【請求項7】 底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記油槽が、防食塗装が施された塗装鋼板または耐食鋼板からなる ことを特徴とする、油タンカーの油槽。 【請求項8】 底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が8m以下の位置に配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【請求項9】 底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【請求項10】 底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち最も下方に配置された防撓材である ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【請求項11】 底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記互いに間隔を空けて鉛直方向に複数並んで配置された防撓材のうち、底板からの鉛直方向の距離が15m以下の位置に配置された防撓材の少なくとも一つは、鉛直方向に隣り合って配置された防撓材のドレンホールが平面視において互いに重ならないように配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【請求項12】 底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記互いに間隔を空けて鉛直方向に複数並んで配置された防撓材のうち、底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置された防撓材の少なくとも一つは、鉛直方向に隣り合って配置された防撓材のドレンホールが平面視において互いに重ならないように配置される ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【請求項13】 底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの小なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が15m以下の位置に配置され、 前記他の防撓材は、前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち最も下方に配置された防撓材である ことを特徴とする油タンカーの油槽。 【請求項14】 底板と側板とによって形成されると共に隔壁によって複数の槽に分割される油タンカーの油槽において、 前記側板の内面及び前記隔壁の表面のうちの少なくとも一つの面に、互いに間隔をあけて鉛直方向に並んで配置され、水平方向に延びる複数の防撓材を具備し、 前記防撓材は、それぞれ平板部と該平板部を貫通するように形成されたドレンホールとを具備し、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが、他の部材と重なるように配置され、 前記他の部材が他の防撓材であり、 前記防撓材は、鉛直方向上部から平面視したときに、各防撓材に設けられたドレンホールが前記他の防撓材の平板部と重なるように配置され、 前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち前記他の防撓材を除いた複数の防撓材は、ドレンホールが鉛直方向に整列して配置され、前記他の防撓材の平板部は、鉛直方向上部からの平面視において前記鉛直方向に整列したドレンホールに重なるように配置され、 前記他の防撓材は、前記底板からの鉛直方向の距離が2m以下の位置に配置され、 前記他の防撓材は、前記鉛直方向に並んで配置された複数の防撓材のうち最も下方に配置された防撓材である ことを特徴とする油タンカーの油槽。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-02-05 |
出願番号 | 特願2013-568(P2013-568) |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YAA
(B63B)
P 1 651・ 111- YAA (B63B) P 1 651・ 112- YAA (B63B) P 1 651・ 121- YAA (B63B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 志水 裕司 |
特許庁審判長 |
島田 信一 |
特許庁審判官 |
氏原 康宏 出口 昌哉 |
登録日 | 2016-07-08 |
登録番号 | 特許第5963685号(P5963685) |
権利者 | 新日鐵住金株式会社 日本郵船株式会社 |
発明の名称 | タンカーの油槽 |
代理人 | 亀松 宏 |
代理人 | 中村 朝幸 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 河野上 正晴 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 荒木 佳幸 |
代理人 | 河野上 正晴 |
代理人 | 福地 律生 |
代理人 | 福地 律生 |
代理人 | 中村 朝幸 |
代理人 | 福地 律生 |
代理人 | 中村 朝幸 |
代理人 | 河野上 正晴 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 亀松 宏 |
代理人 | 亀松 宏 |