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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1339410
審判番号 不服2017-4320  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-27 
確定日 2018-04-12 
事件の表示 特願2015-115606号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 9月 3日出願公開、特開2015-157156号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成25年2月18日に出願した特願2013-28507号の一部を平成27年6月8日に新たな特許出願としたものであって、平成28年2月23日に手続補正書が提出され、同年7月13日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月9日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月27日付け(発送日:平成29年1月10日)で拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年3月27日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
一方、当審において、平成29年9月28日付け(発送日:10月3日)で拒絶理由を通知し、応答期間内である平成29年11月28日に意見書及び手続補正書が提出されたところである。
そして、この出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年11月28日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める(A?Lについては、発明特定事項を分説するため当審で付した。)。

「【請求項1】
A 可変表示を行い、可変表示の表示結果としてあらかじめ定められた特定表示結果が導出表示されたことに応じて、遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機であって、
B 未だ開始されていない可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な保留記憶手段と、
C 前記保留記憶手段が記憶する前記保留記憶を特定可能な保留表示を行う保留表示手段と、
D 可変表示の表示結果を前記特定表示結果とするか否かを決定する決定手段と、
E 前記決定手段による決定前に、可変表示の表示結果が前記特定表示結果となるか否かを判定する判定手段と、
F 前記判定手段の判定結果にもとづいて、特定のタイミングで前記保留表示の表示態様を変化させる所定予告演出を実行する所定予告演出実行手段と、
G 予告演出を実行する予告演出実行手段と、
H 遊技に関する特定条件の成立回数をカウントするカウント手段と、
I 前記カウント手段によりカウントされた前記特定条件の成立回数に対応した第1報知を実行する回数報知手段と
を備え、
J 前記回数報知手段は、遊技機への電力供給が停止した後に再度電力供給が開始された場合に、電力供給が停止する前に報知していた前記特定条件の成立回数よりも少ない回数に対応した報知を実行し、
K 前記予告演出のうちの特定予告演出が実行されてから該特定予告演出が実行された可変表示の表示結果の導出表示が終了するまで、該特定予告演出の実行中に新たに記憶された保留記憶を特定する保留表示、及び該特定予告演出の実行前に記憶された保留記憶を特定する保留表示について、前記所定予告演出を実行しない
ことを特徴とする遊技機。」

2 刊行物
2-1 刊行物1
当審において通知した拒絶の理由に引用された特開2012-217546号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている(下線部は当審で付した。)。

(ア)「【請求項1】
図柄始動手段が遊技球を検出することに基づいて取得される変動記憶情報に基づいて図柄を変動表示する図柄表示手段と、前記変動記憶情報を前記図柄表示手段による図柄変動に供されるまで所定の上限個数を限度として記憶する情報記憶手段と、前記情報記憶手段に記憶された前記変動記憶情報のうちの特定判定乱数値が所定の特定判定値と一致し、前記図柄表示手段による変動後の停止図柄が予め定められた特定態様となることに基づいて利益状態を発生させる利益状態発生手段と、前記情報記憶手段に記憶されている前記変動記憶情報の個数に関する保留個数情報を表示する保留個数情報表示手段と、前記変動記憶情報の内容を、その変動記憶情報に基づく図柄変動開始時よりも前の所定のタイミングで判定する先読み判定手段とを備え、前記保留個数情報表示手段は、所定の先読み演出実行条件が成立した場合に、前記保留個数情報と共に前記先読み判定手段による判定結果に関する先読み判定情報を表示可能に構成されている弾球遊技機において、前記保留個数情報が表示されていない保留非表示期間中に前記先読み演出実行条件が成立した場合には、その後に前記保留非表示期間が終了して前記保留個数情報表示手段による前記保留個数情報の表示が開始された時点では前記先読み判定情報を表示させず、その後の所定のタイミングで前記先読み判定情報を表示させるように構成したことを特徴とする弾球遊技機。」

(イ)「【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1?図12は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の左右一側、例えば左側のヒンジ3を介して縦軸心廻りに開閉及び着脱自在に枢着された内枠4とを備えている。」

(ウ)「【0030】
第1,第2図柄変動演出表示手段37a,37bは、例えば第1,第2特別図柄表示手段32a,32bによる第1,第2特別図柄の変動表示と時間的に同調して図柄変動演出を行うもので、夫々1個又は複数個、例えば左右方向に3個の第1,第2演出図柄を各種の演出画像と共に画像表示手段21の表示画面21aに変動表示可能に構成されており、第1図柄変動演出表示手段37aは第1特別図柄始動手段18aが遊技球を検出することを条件に、また第2図柄変動演出表示手段37bは第2特別図柄始動手段18bが遊技球を検出することを条件に、夫々第1,第2特別図柄の変動開始と同時に所定の変動パターンに従って第1,第2演出図柄の変動を開始すると共に、第1,第2特別図柄の変動停止と同時に最終停止するように第1,第2演出図柄を左、右、中等の所定の順序で停止・確定させるようになっている。
・・・
【0032】
第1,第2演出図柄には、例えば「0」?「9」の10種類の数字図柄が用いられ、 「6・6・6」「7・7・7」等、3つの図柄が全て同じ図柄で揃ったものが大当たり態様、少なくとも1つの図柄が異なるものが外れ態様となっている。また、第1,第2図柄変動演出表示手段37a,37bによる第1,第2演出図柄の変動後の停止図柄は、第1,第2特別図柄表示手段32a,32bによる第1,第2特別図柄が大当たり態様で停止する場合には大当たり態様となり、第1,第2特別図柄が外れ態様で停止する場合には任意の外れ態様となる。
・・・
【0034】
またリーチ変動パターンは、図3に示すように、リーチ状態が成立するまでのリーチ前シナリオと、リーチ状態が成立してから変動停止するまでのリーチシナリオと、変動停止から確定までの確定シナリオとで構成され、それらリーチ前シナリオ、リーチシナリオ、確定シナリオが夫々1又は複数種類設けられており、それら各シナリオの組み合わせによって複数種類のリーチ変動パターンが形成されている。
・・・
【0036】
第1,第2特別保留個数表示手段(保留個数情報表示手段)38a,38bは、第1,第2特別保留個数分の第1,第2保留個数報知画像X,Yの表示個数により第1,第2特別保留個数を表示するもので、同一の表示画面21a上の所定部分、例えば下部側に、第1,第2保留個数分の第1,第2保留個数報知画像X,Yを互いに上下に対応させて表示するようになっている。即ち、第1,第2特別保留個数表示手段38a,38bは、第1,第2保留個数報知画像X,Yの表示数によって保留個数情報を表示するようになっている。」

(エ)「【0047】
第1,第2特別図柄処理手段74a,74bは、第1,第2特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、第1,第2特別図柄表示手段32a,32bが変動表示可能な状態となり且つ第1,第2特別乱数記憶手段73a,73bに1個以上の大当たり判定乱数値が記憶されていること(第1,第2特別保留個数が1以上であること)を条件に、第1,第2特別乱数記憶手段73a,73bに最も早く記憶された大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値(特定判定乱数値)が予め定められた大当たり判定値(特定判定値)と一致するか否かに応じて大当たり/外れの判定を行う大当たり判定機能、大当たり/外れの判定結果と、第1,第2特別乱数記憶手段73a,73bに大当たり判定乱数値と共に記憶されている大当たり図柄乱数値とに基づいて、第1,第2特別図柄の変動後の停止図柄を選択する特別停止図柄選択機能、大当たり/外れの判定結果に基づいて、第1,第2特別図柄の変動パターンとして複数種類の特別図柄変動パターンの中から1つを選択する第1,第2変動パターン選択機能等を備えている。」

(オ)「【0062】
図柄変動演出制御手段83は、第1,第2図柄変動演出表示手段37a,37bの表示制御及びそれに伴う音声出力手段81、ランプ手段82等の制御を行うもので、主制御基板51側から第1,第2変動パターン指定コマンドを受信し、その後所定時間内に停止図柄コマンドを受信することを条件に、第1,第2演出図柄の変動後の停止図柄を抽選により決定すると共に第1,第2変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンに基づいて所定の演出画像と共に第1,第2演出図柄の変動演出を開始させ、変動停止指定コマンドを受信したときに、抽選により決定された停止図柄で第1演出図柄又は第2演出図柄の変動を停止させ、またその第1,第2演出図柄の変動表示に合わせて音声出力手段81から所定の効果音を出力し、ランプ手段82を所定のパターンで発光させるようになっている。」

(カ)「【0070】
以上の特別保留個数表示管理処理により、リーチ変動パターンにおけるリーチシナリオ実行中は保留非表示期間となり、それ以外、即ちリーチ変動パターンにおけるリーチ前シナリオ、確定シナリオ実行中、及びリーチなし変動パターンによる変動中は保留表示期間となる(図12)。
【0071】
特別保留個数表示制御手段85は、第1,第2特別保留個数表示手段38a,38bの表示制御を行うもので、例えば図8に示す特別保留個数表示制御処理を例えば定期割り込み毎に実行するようになっている。図8に示すように、特別保留個数表示制御手段85による特別保留個数表示制御処理では、例えば保留増加時処理(S11)、保留表示制御処理(S12)及び保留減少時処理(S13)が順次実行されるようになっている。
【0072】
まず、図9に示す保留増加時処理(図8のS11)について説明する。この保留増加時処理では、まず第1,第2保留増加コマンドの何れかを受信したか否かが判定され(S21)、何れも受信していない場合(S21:No)にはここで保留増加時処理は終了する。S21において第1,第2保留増加コマンドの何れかを受信したと判定された場合には(S21:Yes)、先読み演出禁止期間中であるか否か、先読み演出フラグがONであるか否かが夫々判定される(S22,S23)。
【0073】
ここで、先読み演出禁止期間は、先読み演出を行うことができないものと特別に定められた期間であって、例えば遊技機規則、その他に基づいて予め設定されているものとする。なお、この先読み演出禁止期間の開始/終了に関する情報は、第1,第2保留増加コマンド等に組み込んで送信してもよいし、専用のコマンドを設けてもよい。また、先読み演出フラグは、後述する先読み演出を行うか否かの抽選(S24)に当選した場合に、その当選に係る保留記憶が図柄変動に供されるまでの期間中、ONに設定されるようになっている。
【0074】
先読み演出禁止期間中でなく(S22:No)、先読み演出フラグがONでもない(S23:No)場合には、先読み演出を行うか否かの抽選が行われ(S24)、これに当選した場合には(S25:Yes)、先読み演出フラグがONに設定される(S26)と共に、当該保留記憶に対応する先読み表示態様が抽選により選択される(S27)。なお、第1,第2特別図柄始動手段18a,18bに遊技球が入賞し、その保留記憶について先読み演出抽選に当選することが、所定の先読み演出実行条件成立の一例である。
【0075】
本実施形態では、第1,第2保留個数報知画像X,Yの表示態様として、先読み表示態様と先読み非表示態様とが設けられている。先読み表示態様は、先読み演出の抽選に当選した保留記憶に使用される表示態様で、図6に示すように、外れ保留記憶に対応する例えば緑色(図面上では斜線)の外れ表示態様と、通常確率時大当たり保留記憶に対応する例えば黄色(図面上では網掛け)の通常確率時大当たり表示態様と、確変時大当たり保留記憶に対応する例えば赤色(図面上では黒塗り)の確変時大当たり表示態様との3種類設けられている。また、先読み非表示態様は、先読み演出の抽選に当選していない保留記憶に使用される表示態様で、図6に示すように、例えば先読み表示態様の何れとも異なる白色(図面上では白抜きで示す)の表示態様となっている。即ち、第1,第2特別保留個数表示手段38a,38bは、第1,第2保留個数報知画像X,Yの表示色によって先読み判定情報を表示するようになっている。」

(キ)「【0087】
以上説明した特別保留個数表示管理手段84による特別保留個数表示管理処理(図7)及び特別保留個数表示制御手段85による特別保留個数表示制御処理(図8?図11)における、第1,第2保留個数報知画像X,Yの表示状態の変化の具体例を図12に示す。図12(a)(b)において、第2演出図柄がリーチ変動パターン3で変動を開始した段階では保留表示期間中であるため、画像表示手段21の表示画面21a上に第1,第2保留個数報知画像X,Yが通常表示状態で表示された状態となっている。
【0088】
その後、リーチが成立してリーチシナリオの実行が開始されると、保留表示期間から保留非表示期間に変化するため(S5,S41)、第1,第2保留個数報知画像X,Yが共に画像表示手段21の表示画面21aから消去される(S42)。この保留非表示期間中に例えば第2特別図柄始動手段18bに遊技球が入賞すると、第2特別保留個数が例えば1から2に増加し、第2保留増加コマンドが主制御基板51から演出制御基板52に送信されるが(S21)、保留非表示期間中であるため、この時点では第1,第2保留個数報知画像X,Yは非表示のままである。
・・・
【0090】
一方、保留非表示期間中の始動入賞時の先読み演出抽選(S24)で当選した場合には、その保留記憶に対して先読み表示態様が抽選により選択されると共に(S27)、表示変更待機フラグはONとなり(S31)、図12(b)に示すように、確定シナリオの開始時、即ち保留非表示期間から保留表示期間に変化した時点で、非表示状態であった第1,第2保留個数報知画像X,Yがその時点での第1,第2特別保留個数分だけ画像表示手段21の表示画面21aに先読み非表示状態で表示される(S48)。即ち、先読み演出抽選に当選した保留記憶であるか否かに拘わらず、その時点の全ての保留記憶に対応する第1,第2保留個数報知画像X,Yが先読み非表示態様で表示される。
【0091】
そして、次の図柄変動の開始時に主制御基板51から演出制御基板52に第2保留減少コマンドが送信されると(S51:Yes)、第1,第2保留個数報知画像X,Yが先読み非表示状態から通常表示状態に変更される(S54)。即ち、保留非表示期間中に先読み演出抽選に当選した保留記憶に対応する第2保留個数報知画像Yが、先読み非表示態様から先読み表示態様に切り換えられる。続いて、新たな図柄変動に係る第2特別保留個数が1減少し、第2保留個数報知画像Yが、画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトされる(S64)。」

(ク)【図12】には、パチンコ機のリーチ変動パターンでの図柄変動中における第1,第2保留個数報知画像の表示状態の例を示す図が図示され、演出図柄の変動が停止してリーチシナリオが終了すると、該リーチシナリオの後は確定シナリオが続くことが図示されている。

上記(ア)?(キ)の記載事項及び(ク)の図示内容から、以下の事項が導かれる。

(a)上記(ウ)の【0030】に「・・・第1,第2特別図柄表示手段32a,32bによる第1,第2特別図柄の変動表示と時間的に同調して図柄変動演出を行うもので、夫々1個又は複数個、例えば左右方向に3個の第1,第2演出図柄を各種の演出画像と共に画像表示手段21の表示画面21aに変動表示可能に構成されており、・・・」、【0032】に「第1,第2演出図柄には、・・・3つの図柄が全て同じ図柄で揃ったものが大当たり態様・・・となっている。」と記載されている。
また、上記(イ)の【0016】に「パチンコ機」と記載されている。
したがって、刊行物1には、特別図柄の変動表示と時間的に同調して演出図柄を変動表示し、演出図柄の3つの図柄が全て同じ図柄で揃って停止したことに基づいて大当たり態様となるパチンコ機が記載されているといえる。

(b)上記(ア)の【請求項1】に「・・・遊技球を検出することに基づいて取得される変動記憶情報・・・前記変動記憶情報を前記図柄表示手段による図柄変動に供されるまで所定の上限個数を限度として記憶する情報記憶手段」と記載されている。
したがって、刊行物1には、遊技球を検出することに基づいて取得される変動記憶情報を図柄表示手段による図柄変動に供されるまで所定の上限個数を限度として記憶する情報記憶手段が記載されている。

(c)上記(ア)の【請求項1】に「前記情報記憶手段に記憶されている前記変動記憶情報の個数に関する保留個数情報を表示する保留個数情報表示手段」と記載され、上記(ウ)の【0036】に「第1,第2特別保留個数表示手段(保留個数情報表示手段)38a,38bは、第1,第2特別保留個数分の第1,第2保留個数報知画像X,Yの表示個数により第1,第2特別保留個数を表示するもので、同一の表示画面21a上の所定部分、例えば下部側に、第1,第2保留個数分の第1,第2保留個数報知画像X,Yを互いに上下に対応させて表示するようになっている。」と記載されている。
したがって、刊行物1には、前記情報記憶手段に記憶されている前記変動記憶情報の個数に関する保留個数報知画像を表示する保留個数情報表示手段が記載されている。

(d)上記(エ)の【0047】に「第1,第2特別図柄処理手段74a,74bは、第1,第2特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、・・・記憶された大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値(特定判定乱数値)が予め定められた大当たり判定値(特定判定値)と一致するか否かに応じて大当たり/外れの判定を行う大当たり判定機能・・・を備えている。」と記載されている。
したがって、刊行物1には、特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、記憶された大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値(特定判定乱数値)が予め定められた大当たり判定値(特定判定値)と一致するか否かに応じて大当たり/外れの判定を行う大当たり判定機能を備えている特別図柄処理手段が記載されているといえる。

(e)上記(ア)の【請求項1】に「前記変動記憶情報の内容を、その変動記憶情報に基づく図柄変動開始時よりも前の所定のタイミングで判定する先読み判定手段」と記載されている。

(f)上記(カ)の【0071】に「特別保留個数表示制御手段85による特別保留個数表示制御処理では、・・・保留増加時処理(S11)・・・が・・・実行されるようになっている。」、【0072】に「保留増加時処理(図8のS11)について説明する。」、【0074】に「第1,第2特別図柄始動手段18a,18bに遊技球が入賞し、その保留記憶について先読み演出抽選に当選することが、所定の先読み演出実行条件成立の一例である。」、【0075】に「第1,第2特別保留個数表示手段38a,38bは、第1,第2保留個数報知画像X,Yの表示色によって先読み判定情報を表示するようになっている。」と記載されている。
また、上記(ア)の【請求項1】に「前記保留個数情報表示手段は、所定の先読み演出実行条件が成立した場合に、前記保留個数情報と共に前記先読み判定手段による判定結果に関する先読み判定情報を表示可能に構成されている」と記載されている。
したがって、刊行物1には、特別図柄始動手段に遊技球が入賞し、その保留記憶について先読み演出抽選に当選する場合、保留個数情報と共に前記先読み判定手段による判定結果に関する先読み判定情報を表示する特別保留個数表示制御手段が記載されているといえる。

(g)上記(ウ)の【0034】に「リーチ変動パターンは、・・・リーチ状態が成立するまでのリーチ前シナリオと、リーチ状態が成立してから変動停止するまでのリーチシナリオと、変動停止から確定までの確定シナリオとで構成され、・・・」と記載されている。
また、上記(オ)の【0062】に「図柄変動演出制御手段83は、・・・変動パターンに基づいて所定の演出画像と共に第1,第2演出図柄の変動演出を開始させ、・・・」と記載されている。
したがって、刊行物1には、リーチ状態が成立するまでのリーチ前シナリオと、リーチ状態が成立してから変動停止するまでのリーチシナリオと、変動停止から確定までの確定シナリオとで構成されるリーチ変動パターンに基づいて所定の演出画像と共に演出図柄の変動演出を開始させる図柄変動演出制御手段が記載されているといえる。

(k)上記(カ)の【0070】に「・・・リーチ変動パターンにおけるリーチシナリオ実行中は保留非表示期間となり、・・・」と記載され、上記(キ)の【0088】に「その後、リーチが成立してリーチシナリオの実行が開始されると、保留表示期間から保留非表示期間に変化するため(S5,S41)、第1,第2保留個数報知画像X,Yが共に画像表示手段21の表示画面21aから消去される(S42)。この保留非表示期間中に例えば第2特別図柄始動手段18bに遊技球が入賞すると、第2特別保留個数が例えば1から2に増加し、第2保留増加コマンドが主制御基板51から演出制御基板52に送信されるが(S21)、保留非表示期間中であるため、この時点では第1,第2保留個数報知画像X,Yは非表示のままである。」、【0087】に「第2演出図柄がリーチ変動パターン3で変動を開始した段階では保留表示期間中であるため、画像表示手段21の表示画面21a上に第1,第2保留個数報知画像X,Yが通常表示状態で表示された状態となっている。」と記載されているから、実行中は保留非表示期間となるリーチシナリオの実行が開始されると、該リーチシナリオの実行中に特別図柄始動手段に遊技球が入賞して新たに記憶された保留記憶に対応する保留個数報知画像、及びリーチシナリオの実行前に記憶された保留記憶に対応する保留個数報知画像は消去されて、該リーチシナリオの実行中は非表示となることが記載されているといえる。ここで、保留個数報知画像は消去されて非表示とされるから、該保留個数報知画像について上記(f)で言及した「先読み判定情報」を表示しないことは明らかである。
また、上記(ク)で言及したように【図12】には、演出図柄の変動が停止してリーチシナリオが終了すると、該リーチシナリオの後は確定シナリオが続くことが図示され、上記(キ)の【0090】に「確定シナリオの開始時、即ち保留非表示期間から保留表示期間に変化した時点で、非表示状態であった第1,第2保留個数報知画像X,Yがその時点での第1,第2特別保留個数分だけ画像表示手段21の表示画面21aに先読み非表示状態で表示される(S48)。」、【0091】に「次の図柄変動の開始時に主制御基板51から演出制御基板52に第2保留減少コマンドが送信されると(S51:Yes)、第1,第2保留個数報知画像X,Yが先読み非表示状態から通常表示状態に変更される(S54)。即ち、保留非表示期間中に先読み演出抽選に当選した保留記憶に対応する第2保留個数報知画像Yが、先読み非表示態様から先読み表示態様に切り換えられる。続いて、新たな図柄変動に係る第2特別保留個数が1減少し、第2保留個数報知画像Yが、画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトされる(S64)。」と記載されているから、演出図柄の変動が停止して、リーチシナリオが終了し、確定シナリオとなった後、次の図柄変動の開始時に第2保留減少コマンドが送信されて、新たな図柄変動に係る第2特別保留個数が1減少し、第2保留個数報知画像Yが、画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトされる前まで、保留個数報知画像について先読み判定情報を表示しないことが記載されているといえる。
さらに、上記(イ)の【0016】に「パチンコ機」と記載されている。
したがって、刊行物1には、演出図柄の変動が停止して、保留非表示期間中となるリーチシナリオが終了し、確定シナリオとなった後、次の図柄変動の開始時に第2保留減少コマンドが送信されて、新たな図柄変動に係る第2特別保留個数が1減少し、第2保留個数報知画像Yが、画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトされる前まで、該リーチシナリオの実行中に特別図柄始動手段に遊技球が入賞して新たに記憶された保留記憶に対応する保留個数報知画像、及び該リーチシナリオの実行前に記憶された保留記憶に対応する保留個数報知画像について、先読み判定情報を表示しないパチンコ機が記載されているといえる。

以上(ア)?(キ)の記載事項、(ク)の図示内容及び上記(a)?(g)、(k)の認定事項を総合すれば、刊行物1には、以下の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されている(a?g、kは発明の構成を分説するため当審で付した。)。
「a 特別図柄の変動表示と時間的に同調して演出図柄を変動表示し、演出図柄の3つの図柄が全て同じ図柄で揃って停止したことに基づいて大当たり態様となるパチンコ機であって、
b 遊技球を検出することに基づいて取得される変動記憶情報を図柄表示手段による図柄変動に供されるまで所定の上限個数を限度として記憶する情報記憶手段と、
c 前記情報記憶手段に記憶されている前記変動記憶情報の個数に関する保留個数報知画像を表示する保留個数情報表示手段と、
d 特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、記憶された大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値(特定判定乱数値)が予め定められた大当たり判定値(特定判定値)と一致するか否かに応じて大当たり/外れの判定を行う大当たり判定機能を備えている特別図柄処理手段と、
e 前記変動記憶情報の内容を、その変動記憶情報に基づく図柄変動開始時よりも前の所定のタイミングで判定する先読み判定手段と、
f 特別図柄始動手段に遊技球が入賞し、その保留記憶について先読み演出抽選に当選する場合、保留個数情報と共に前記先読み判定手段による判定結果に関する先読み判定情報を表示する特別保留個数表示制御手段と、
g リーチ状態が成立するまでのリーチ前シナリオと、リーチ状態が成立してから変動停止するまでのリーチシナリオと、変動停止から確定までの確定シナリオとで構成されるリーチ変動パターンに基づいて所定の演出画像と共に演出図柄の変動演出を開始させる図柄変動演出制御手段と、
を備え、
k 演出図柄の変動が停止して、保留非表示期間中となるリーチシナリオが終了し、確定シナリオとなった後、次の図柄変動の開始時に第2保留減少コマンドが送信されて、新たな図柄変動に係る第2特別保留個数が1減少し、第2保留個数報知画像Yが、画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトされる前まで、該リーチシナリオの実行中に特別図柄始動手段に遊技球が入賞して新たに記憶された保留記憶に対応する保留個数報知画像、及び該リーチシナリオの実行前に記憶された保留記憶に対応する保留個数報知画像について、先読み判定情報を表示しないパチンコ機。」

2-2 刊行物2
当審において通知した拒絶の理由に引用された特開2012-120627号公報(以下、「刊行物2」という。)の【0330】に「・・・ランクアップ演出に、現在の連荘数を表す文字表示(例えば「5連荘目」)を加え、装飾図柄表示装置208に表示させるようにしてもよい。この場合、復電時には、電断直前に表示されていた連荘数を表す文字表示よりも数が少ない文字表示(例えば、「1連荘目」)を表示させる・・・」と記載されている。
したがって、刊行物2には、ランクアップ演出に、現在の連荘数を表す文字表示(例えば「5連荘目」)を加えて装飾図柄表示装置208に表示させ、大当り遊技中に電源断が生じ、復電する場合、電断直前に表示されていた連荘数を表す文字表示よりも数が少ない文字表示(例えば、「1連荘目」)を表示させることが記載されている。

3 対比
本願発明と刊行物発明とを対比する。なお、見出しは(a)?(g)、(k)とし、本願発明、刊行物発明の分説に対応させている。
(a)刊行物発明の「演出図柄を変動表示」すること、「演出図柄の3つの図柄が全て同じ図柄で揃って停止したこと」、「大当たり態様」、「パチンコ機」は、それぞれ、本願発明の「可変表示を行」うこと、「あらかじめ定められた特定表示結果が導出表示されたこと」、「遊技者にとって有利な特定状態」、「遊技機」に相当する。
また、刊行物発明の「パチンコ機」は、「演出図柄の3つの図柄が全て同じ図柄で揃って停止したことに基づいて大当たり態様となる」ことから、大当たり態様となるように制御可能であることは明らかである。
したがって、刊行物発明の「特別図柄の変動表示と時間的に同調して演出図柄を変動表示し、演出図柄の3つの図柄が全て同じ図柄で揃って停止したことに基づいて大当たり態様となるパチンコ機」は、本願発明の「可変表示を行い、可変表示の表示結果としてあらかじめ定められた特定表示結果が導出表示されたことに応じて、遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機」に相当する。

(b)刊行物発明の「遊技球を検出することに基づいて取得される変動記憶情報」は、本願発明の「可変表示に関する情報」に相当する。
また、刊行物発明の「図柄表示手段による図柄変動に供されるまで所定の上限個数を限度として記憶する」ことは、図柄表示手段による図柄変動に供されるまで記憶するから、記憶されている間は図柄表示手段による図柄変動は未だ開始されていないといえるので、本願発明の「未だ開始されていない」「情報を保留記憶として記憶」することに相当する。
そして、刊行物発明の「情報記憶手段」は「記憶する」ことから、記憶可能であることを含むことは明らかである。
したがって、刊行物発明の「遊技球を検出することに基づいて取得される変動記憶情報を図柄表示手段による図柄変動に供されるまで所定の上限個数を限度として記憶する情報記憶手段」は、本願発明の「未だ開始されていない可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な保留記憶手段」に相当する。

(c)刊行物発明の「変動記憶情報の個数に関する保留個数報知画像を表示する」ことは、本願発明の「保留記憶を特定可能な保留表示を行う」ことに相当する。
したがって、上記(b)で言及したように刊行物発明の「情報記憶手段」は、本願発明の「保留記憶手段」に相当するから、刊行物発明の「前記情報記憶手段に記憶されている前記変動記憶情報の個数に関する保留個数報知画像を表示する保留個数情報表示手段」は、本願発明の「前記保留記憶手段が記憶する前記保留記憶を特定可能な保留表示を行う保留表示手段」に相当する。

(d)刊行物発明の「記憶された大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値(特定判定乱数値)が予め定められた大当たり判定値(特定判定値)と一致するか否かに応じて大当たり/外れの判定を行う」ことは、本願発明の「可変表示の表示結果を前記特定表示結果とするか否かを決定する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明の「特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、記憶された大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値(特定判定乱数値)が予め定められた大当たり判定値(特定判定値)と一致するか否かに応じて大当たり/外れの判定を行う大当たり判定機能を備えている特別図柄処理手段」は、本願発明の「可変表示の表示結果を前記特定表示結果とするか否かを決定する決定手段」に相当する。

(e)刊行物発明の「その変動記憶情報に基づく図柄変動開始時よりも前」とは、本願発明の「決定手段による決定前」に相当する。
また、刊行物発明の「前記変動記憶情報の内容を」「判定する」ことは、本願発明の「可変表示の表示結果が前記特定表示結果となるか否かを判定する」ことに相当する。
したがって、刊行物発明の「前記変動記憶情報の内容を、その変動記憶情報に基づく図柄変動開始時よりも前の所定のタイミングで判定する先読み判定手段」は、本願発明の「前記決定手段による決定前に、可変表示の表示結果が前記特定表示結果となるか否かを判定する判定手段」に相当する。

(f)刊行物発明の「先読み判定情報を表示する」ことは、本願発明の「所定予告演出」に相当する。
また、刊行物発明は、「特別図柄始動手段に遊技球が入賞し」たことに応じて、保留個数情報と共に先読み判定手段による判定結果に関する先読み判定情報を表示するから、刊行物発明の「特別図柄始動手段に遊技球が入賞」したタイミングは、本願発明の「特定のタイミング」に相当する。
したがって、刊行物発明の「特別図柄始動手段に遊技球が入賞し、その保留記憶について先読み演出抽選に当選する場合、保留個数情報と共に前記先読み判定手段による判定結果に関する先読み判定情報を表示する特別保留個数表示制御手段」は、本願発明の「前記判定手段の判定結果にもとづいて、特定のタイミングで前記保留表示の表示態様を変化させる所定予告演出を実行する所定予告演出実行手段」に相当する。

(g)刊行物発明の「リーチ状態が成立するまでのリーチ前シナリオと、リーチ状態が成立してから変動停止するまでのリーチシナリオと、変動停止から確定までの確定シナリオとで構成されるリーチ変動パターンに基づいて所定の演出画像と共に演出図柄の変動演出」は、本願発明の「予告演出」に相当する。
したがって、刊行物発明の「リーチ状態が成立するまでのリーチ前シナリオと、リーチ状態が成立してから変動停止するまでのリーチシナリオと、変動停止から確定までの確定シナリオとで構成されるリーチ変動パターンに基づいて所定の演出画像と共に演出図柄の変動演出を開始させる図柄変動演出制御手段」は、本願発明の「予告演出を実行する予告演出実行手段」に相当する。

(k)刊行物発明の「リーチシナリオ」、「該リーチシナリオの実行中に特別図柄始動手段に遊技球が入賞して新たに記憶された保留記憶に対応する保留個数報知画像」、「該リーチシナリオの実行前に記憶された保留記憶に対応する保留個数報知画像」は、それぞれ本願発明の「特定予告演出」、「該特定予告演出の実行中に新たに記憶された保留記憶を特定する保留表示」、「該特定予告演出の実行前に記憶された保留記憶を特定する保留表示」に相当する。
ここで、刊行物発明の「次の図柄変動の開始時に第2保留減少コマンドが送信されて、新たな図柄変動に係る第2特別保留個数が1減少し、第2保留個数報知画像Yが、画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトされる前」の時点では、前の図柄変動の演出図柄の変動停止が確定していることが明らかであるから、刊行物発明の「演出図柄の変動が停止して、保留非表示期間中となるリーチシナリオが終了し、確定シナリオとなった後、次の図柄変動の開始時に第2保留減少コマンドが送信されて、新たな図柄変動に係る第2特別保留個数が1減少し、第2保留個数報知画像Yが、画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトされる前まで」の期間と、本願発明の「前記予告演出のうちの特定予告演出が実行されてから該特定予告演出が実行された可変表示の表示結果の導出表示が終了するまで」の期間とを対比すると、「前記予告演出のうちの特定予告演出が実行されてから」、少なくとも、演出図柄の変動停止が確定するまでの期間が共通しているといえる。
したがって、刊行物発明の「演出図柄の変動が停止して、保留非表示期間中となるリーチシナリオが終了し、確定シナリオとなった後、次の図柄変動の開始時に第2保留減少コマンドが送信されて、新たな図柄変動に係る第2特別保留個数が1減少し、第2保留個数報知画像Yが、画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトされる前まで、該リーチシナリオの実行中に特別図柄始動手段に遊技球が入賞して新たに記憶された保留記憶に対応する保留個数報知画像、及び該リーチシナリオの実行前に記憶された保留記憶に対応する保留個数報知画像について、先読み判定情報を表示しないパチンコ機」と、本願発明の「前記予告演出のうちの特定予告演出が実行されてから該特定予告演出が実行された可変表示の表示結果の導出表示が終了するまで、該特定予告演出の実行中に新たに記憶された保留記憶を特定する保留表示、及び該特定予告演出の実行前に記憶された保留記憶を特定する保留表示について、前記所定予告演出を実行しない」「遊技機」とは、「前記予告演出のうちの特定予告演出が実行されてから」、少なくとも、演出図柄の変動停止が確定する「まで、該特定予告演出の実行中に新たに記憶された保留記憶を特定する保留表示、及び該特定予告演出の実行前に記憶された保留記憶を特定する保留表示について、前記所定予告演出を実行しない」「遊技機」という点で共通する。

上記(a)?(g)、(k)の対比により、本願発明と刊行物発明とは、
「A 可変表示を行い、可変表示の表示結果としてあらかじめ定められた特定表示結果が導出表示されたことに応じて、遊技者にとって有利な特定状態に制御可能な遊技機であって、
B 未だ開始されていない可変表示に関する情報を保留記憶として記憶可能な保留記憶手段と、
C 前記保留記憶手段が記憶する前記保留記憶を特定可能な保留表示を行う保留表示手段と、
D 可変表示の表示結果を前記特定表示結果とするか否かを決定する決定手段と、
E 前記決定手段による決定前に、可変表示の表示結果が前記特定表示結果となるか否かを判定する判定手段と、
F 前記判定手段の判定結果にもとづいて、特定のタイミングで前記保留表示の表示態様を変化させる所定予告演出を実行する所定予告演出実行手段と、
G 予告演出を実行する予告演出実行手段と、
を備え、
K’ 前記予告演出のうちの特定予告演出が実行されてから、少なくとも、演出図柄の変動停止が確定するまで、該特定予告演出の実行中に新たに記憶された保留記憶を特定する保留表示、及び該特定予告演出の実行前に記憶された保留記憶を特定する保留表示について、前記所定予告演出を実行しない
遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願発明では、「遊技に関する特定条件の成立回数をカウントするカウント手段と、前記カウント手段によりカウントされた前記特定条件の成立回数に対応した第1報知を実行する回数報知手段とを備え、前記回数報知手段は、遊技機への電力供給が停止した後に再度電力供給が開始された場合に、電力供給が停止する前に報知していた前記特定条件の成立回数よりも少ない回数に対応した報知を実行し」(構成H、I、J)ているのに対し、刊行物発明では、このような特定がされていない点。

[相違点2]
「該特定予告演出の実行中に新たに記憶された保留記憶を特定する保留表示、及び該特定予告演出の実行前に記憶された保留記憶を特定する保留表示について、所定予告演出を実行しない」のは、本願発明では「特定予告演出が実行された可変表示の表示結果の導出表示が終了するまで」(構成K)であるのに対し、刊行物発明では「次の図柄変動の開始時に第2保留減少コマンドが送信されて、新たな図柄変動に係る第2特別保留個数が1減少し、第2保留個数報知画像Yが、画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトされる前まで」である点。

4 判断
上記相違点1、2について検討する。
4-1 相違点1
刊行物2に、ランクアップ演出に、現在の連荘数を表す文字表示(例えば「5連荘目」)を加えて装飾図柄表示装置208に表示させ、大当り遊技中に電源断が生じ、復電する場合、電断直前に表示されていた連荘数を表す文字表示よりも数が少ない文字表示(例えば、「1連荘目」)を表示させることが記載されている。
ここで、刊行物2の【0312】に「一般的に、出球が減らない状態の間に、繰り返し特図の大当りに当選することを連荘と称する。したがって、電サポ状態の間に特図の大当りに繰り返し当選することが連荘と称される。」と記載されているから、上記刊行物2に記載される「連荘数」とは、電サポ状態の間に特図の大当りに当選した回数のことである。そうすると、刊行物2に記載される該「電サポ状態の間に特図の大当りに当選」することは、本願発明の「特定条件の成立」に相当するといえるから、刊行物2に記載される「連荘数」は、本願発明の「特定条件の成立回数」に相当する。
そして、刊行物1、2は共にパチンコ遊技機においての画像表示手段により演出を行う技術に関する点で共通するから、刊行物発明に刊行物2の記載事項を適用して、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
したがって、刊行物発明において、刊行物2の記載事項を採用して当該相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

4-2 相違点2
本願明細書の例えば【0040】に「表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。」と記載されている。そうすると、刊行物発明の「次の図柄変動の開始時に第2保留減少コマンドが送信されて、新たな図柄変動に係る第2特別保留個数が1減少し、第2保留個数報知画像Yが、画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトされる前」の時点では、前の図柄変動の演出図柄の変動停止が確定していることが明らかであるから、「図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させること」自体は終了している。
よって、刊行物発明の「演出図柄の変動が停止して、保留非表示期間中となるリーチシナリオが終了し、確定シナリオとなった後、次の図柄変動の開始時に第2保留減少コマンドが送信されて、新たな図柄変動に係る第2特別保留個数が1減少し、第2保留個数報知画像Yが、画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトされる前まで」と、本願発明の「前記予告演出のうちの特定予告演出が実行されてから該特定予告演出が実行された可変表示の表示結果の導出表示が終了するまで」とは一致し、相違しない。

また、仮に本願発明の構成Kにおける「可変表示の表示結果の導出表示が終了するまで」とは、特定予告演出が実行された可変表示において図柄を最終的に停止表示した後、その図柄の表示がなくなるまでであるとしても検討する。
まず、刊行物発明では先読み非表示態様から先読み表示態様に切り換えられるのは、次の図柄変動の開始時の処理である主制御基板51から演出制御基板52に第2保留減少コマンドが送信される時点である。ここで、該第2保留減少コマンドが送信される時点と、第2保留減少コマンドが送信されて、新たな図柄変動に係る第2特別保留個数が1減少し、第2保留個数報知画像Yが、画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトされて次の図柄変動の開始された時点とは、共に、次の図柄変動の開始であることから極めて短い時間であり、この極めて短い時間の中で先読み非表示態様から先読み表示態様に切り換えるタイミングをどこに設定するかは設計上の微差である。このため、該先読み非表示態様から先読み表示態様への切り換えを、次の図柄変動開始時の演出制御基板52が主制御基板51から保留減少コマンドを受信して新たな図柄変動に係る第2特別保留個数を1減少し、第2保留個数報知画像Yが画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトする前の時点から、次の図柄変動開始時の演出制御基板52が主制御基板51から保留減少コマンドを受信して新たな図柄変動に係る第2特別保留個数を1減少し、第2保留個数報知画像Yが画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトした時点または該シフトした後の時点に変更することに困難性はない。
また、刊行物1には、演出図柄の変動が停止して、保留非表示期間中となるリーチシナリオが終了し、確定シナリオが開始された後においては、該停止した演出図柄を変更するような実施形態は記載されていないので、確定シナリオが開始された後であって、かつ、次の図柄変動の開始時であれば、先読み非表示態様から先読み表示態様に切り換えられるのを、次の図柄変動の開始時の演出制御基板52が主制御基板51から保留減少コマンドを受信して新たな図柄変動に係る第2特別保留個数を1減少し、第2保留個数報知画像Yが画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトする前の時点とするのと、次の図柄変動の開始時の演出制御基板52が主制御基板51から保留減少コマンドを受信して新たな図柄変動に係る第2特別保留個数を1減少し、第2保留個数報知画像Yが画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトした時点または該シフトした後の時点とするのとでは、変動停止後、次の図柄変動の直前まで、最終的に停止した演出図柄が表示されていることに変わりはないから、リーチシナリオが実行された演出図柄の変動の表示結果として大当たり態様が導出表示されることへの期待感に差は生じない。
したがって、刊行物発明において、先読み非表示態様から先読み表示態様への切り換えを、次の図柄変動の開始時であって、演出制御基板52が主制御基板51から保留減少コマンドを受信して新たな図柄変動に係る第2特別保留個数を1減少し、第2保留個数報知画像Yが画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトした時点または該シフトした後の時点、つまり、リーチシナリオが実行された演出図柄の変動において表示された該演出図柄の停止図柄を表示するのを終了した後の時点に変更して、当該相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

5 審判請求人の主張について
請求人は、平成29年11月28日付けの意見書の第6頁第11-17行目に記載されるように「このように、刊行物1に記載の発明は、「・・・該特定予告演出が実行された可変表示の表示結果の導出表示が終了するまで、・・・前記所定予告演出を実行しない」との構成、及び「・・・該特定リーチ演出が実行された可変表示の表示結果の導出表示が終了するまで、・・・前記所定予告演出を実行しない」との構成を有するものではない。
そのため、刊行物1に記載の発明では、特定予告演出や特定リーチ演出が実行されたにもかかわらず、その可変表示の表示結果として特定表示結果が導出表示されることへの期待感を損ねてしまう蓋然性が高い。」と主張しているものの、上記4で検討したとおり、刊行物発明の「次の図柄変動の開始時に第2保留減少コマンドが送信されて、新たな図柄変動に係る第2特別保留個数が1減少し、第2保留個数報知画像Yが、画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトされる前」の時点では、「図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させること」自体は終了しているから、刊行物発明は「・・・該特定予告演出が実行された可変表示の表示結果の導出表示が終了するまで、・・・前記所定予告演出を実行しない」との構成(または「・・・該特定リーチ演出が実行された可変表示の表示結果の導出表示が終了するまで、・・・前記所定予告演出を実行しない」との構成)を有しているので、上記請求人の主張は採用できない。また、仮に本願発明の構成Kにおける「可変表示の表示結果の導出表示が終了するまで」とは、特定予告演出が実行された可変表示において図柄を最終的に停止表示した後、その図柄の表示がなくなるまでであるとしても、上記4で検討したとおり、刊行物発明において、先読み非表示態様から先読み表示態様への切り換えを、次の図柄変動の開始時であって、演出制御基板52が主制御基板51から保留減少コマンドを受信して新たな図柄変動に係る第2特別保留個数を1減少し、第2保留個数報知画像Yが画像表示手段21の表示画面21a上で前側にシフトした時点または該シフトした後の時点に変更することは、当業者が容易になし得たものであって、該変更によって上記期待感を損ねることにならないから、上記請求人が主張する効果は、刊行物発明から予測し得る範囲のものであり格別なものとはいえないので、上記請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、平成29年11月28日付けの意見書の第6頁第19-22行目に記載されるように「刊行物1に記載の発明は、「・・・該特定予告演出の実行前に記憶された保留記憶を特定する保留表示について、前記所定予告演出を実行しない」との構成、及び「・・・該特定リーチ演出の実行前に記憶された保留記憶を特定する保留表示について、前記所定予告演出を実行しない」との構成を有するものではない。」と主張しているものの、上記2で検討したとおり、刊行物発明においては、先読み非表示態様となり先読み判定情報を表示しないのは、リーチシナリオの実行中に特別図柄始動手段に遊技球が入賞して新たに記憶された保留記憶に対応する保留個数報知画像、及び該リーチシナリオの実行前に記憶された保留記憶に対応する保留個数報知画像であるから、刊行物発明は「・・・該特定予告演出の実行前に記憶された保留記憶を特定する保留表示について、前記所定予告演出を実行しない」との構成(または「・・・該特定リーチ演出の実行前に記憶された保留記憶を特定する保留表示について、前記所定予告演出を実行しない」との構成)を有しているので、上記請求人の主張は採用できない。

6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、刊行物発明及び刊行物2の記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-02-09 
結審通知日 2018-02-13 
審決日 2018-02-26 
出願番号 特願2015-115606(P2015-115606)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤脇 沙絵  
特許庁審判長 服部 和男
特許庁審判官 青木 洋平
蔵野 いづみ
発明の名称 遊技機  
代理人 佐伯 義文  
代理人 松沼 泰史  
代理人 平野 昌邦  
代理人 田▲崎▼ 聡  
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