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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1339567
審判番号 不服2017-5473  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-17 
確定日 2018-04-19 
事件の表示 特願2012-263782「設備管理プログラム、設備管理装置および設備管理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月12日出願公開、特開2014-109902〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成24年11月30日の出願であって、平成28年5月31日付けの拒絶理由通知が通知され、平成28年8月8日付けで意見書、手続補正書が提出されたが、平成29年1月10日付けで拒絶査定がなされた。
これに対して、平成29年4月17日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正書が提出されたものである。

2.平成29年4月17日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成29年4月17日付け手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正の内容
平成29年4月17日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成28年8月8日付け手続補正書による補正後の特許請求の範囲

(1-1)「 【請求項1】
コンピュータに、
ビル管理システムにより管理される設備毎に設置されたセンサー毎のエネルギー使用量に関する情報を取得すると、ビル内のエリアと該エリアに含まれるセンサーとを関連付けて記憶するとともに、前記センサーが設置された設備の使用年数を含む設備情報を記憶する記憶部に記憶された前記エリアと前記センサーの関連に基づき、該センサー毎のエネルギー使用量から該エリア毎のエネルギー使用量を算出し、
算出した前記エリア毎のエネルギー使用量を出力するとともに、前記記憶部に記憶された当該エリアに含まれるセンサーが設置された設備の設備情報を出力する、
処理を実行させることを特徴とする設備管理プログラム。
【請求項2】
前記設備情報は、前記センサーが設置された設備で使用されるエネルギーの種別を含み、
前記算出する処理は、
前記記憶部に記憶された前記エリアと前記センサーの関連に基づき、該センサー毎のエネルギー使用量から、前記エリアに含まれるセンサーが設置された設備の設備情報から特定されるエネルギーの種別毎に該エリア毎のエネルギー使用量を算出し、
前記出力する処理は、
前記エネルギーの種別毎に算出した前記エリア毎のエネルギー使用量を出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の設備管理プログラム。
【請求項3】
ビル内のエリアと該エリアに含まれるセンサーとを関連付けて記憶するとともに、前記センサーが設置された設備の使用年数を含む設備情報を記憶する記憶部と、
ビル管理システムにより管理される設備毎に設置されたセンサー毎のエネルギー使用量に関する情報を取得すると、前記記憶部に記憶された前記エリアと前記センサーの関連に基づき、該センサー毎のエネルギー使用量から該エリア毎のエネルギー使用量を算出し、算出した前記エリア毎のエネルギー使用量を出力するとともに、前記記憶部に記憶された当該エリアに含まれるセンサーが設置された設備の設備情報を出力する制御部と、
を有することを特徴とする設備管理装置。
【請求項4】
コンピュータが、
ビル管理システムにより管理される設備毎に設置されたセンサー毎のエネルギー使用量に関する情報を取得すると、ビル内のエリアと該エリアに含まれるセンサーとを関連付けて記憶するとともに、前記センサーが設置された設備の使用年数を含む設備情報を記憶する記憶部に記憶された前記エリアと前記センサーの関連に基づき、該センサー毎のエネルギー使用量から該エリア毎のエネルギー使用量を算出し、
算出した前記エリア毎のエネルギー使用量を出力するとともに、前記記憶部に記憶された当該エリアに含まれるセンサーが設置された設備の設備情報を出力する、
処理を実行することを特徴とする設備管理方法。」


(1-2)「 【請求項1】
コンピュータに、
各ビル管理システムにより管理される各ビルの設備毎に設置されたセンサー毎のエネルギー使用量に関する情報を取得すると、ビルと該ビル内のエリアと該エリアに含まれるセンサーとを関連付けて記憶するとともに、前記センサーが設置された設備の使用年数を含む設備情報を記憶する記憶部に記憶された前記ビルと前記エリアと前記センサーの関連に基づき、ビルとエリアとの指定に応じて、指定された前記ビル内の指定された前記エリアに含まれるセンサー毎のエネルギー使用量から該エリアのエネルギー使用量を算出し、
算出した前記エリアのエネルギー使用量を出力するとともに、前記記憶部に記憶された当該エリアに含まれるセンサーが設置された設備の設備情報を出力する、
処理を実行させることを特徴とする設備管理プログラム。
【請求項2】
前記設備情報は、前記センサーが設置された設備で使用されるエネルギーの種別を含み、
前記算出する処理は、
前記記憶部に記憶された前記ビルと前記エリアと前記センサーの関連に基づき、指定された前記ビル内の指定された前記エリアに含まれるセンサー毎のエネルギー使用量から、該センサーが設置された設備の設備情報から特定されるエネルギーの種別毎に該エリアのエネルギー使用量を算出し、
前記出力する処理は、
前記エネルギーの種別毎に算出した前記エリアのエネルギー使用量を出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の設備管理プログラム。
【請求項3】
ビルと該ビル内のエリアと該エリアに含まれるセンサーとを関連付けて記憶するとともに、前記センサーが設置された設備の使用年数を含む設備情報を記憶する記憶部と、
各ビル管理システムにより管理される各ビルの設備毎に設置されたセンサー毎のエネルギー使用量に関する情報を取得すると、前記記憶部に記憶された前記ビルと前記エリアと前記センサーの関連に基づき、ビルとエリアとの指定に応じて、指定された前記ビル内の指定された前記エリアに含まれるセンサー毎のエネルギー使用量から該エリアのエネルギー使用量を算出し、算出した前記エリアのエネルギー使用量を出力するとともに、前記記憶部に記憶された当該エリアに含まれるセンサーが設置された設備の設備情報を出力する制御部と、
を有することを特徴とする設備管理装置。
【請求項4】
コンピュータが、
各ビル管理システムにより管理される各ビルの設備毎に設置されたセンサー毎のエネルギー使用量に関する情報を取得すると、ビルと該ビル内のエリアと該エリアに含まれるセンサーとを関連付けて記憶するとともに、前記センサーが設置された設備の使用年数を含む設備情報を記憶する記憶部に記憶された前記ビルと前記エリアと前記センサーの関連に基づき、ビルとエリアとの指定に応じて、指定された前記ビル内の指定された前記エリアに含まれるセンサー毎のエネルギー使用量から該エリアのエネルギー使用量を算出し、
算出した前記エリアのエネルギー使用量を出力するとともに、前記記憶部に記憶された当該エリアに含まれるセンサーが設置された設備の設備情報を出力する、
処理を実行することを特徴とする設備管理方法。」
と補正しようとするものである。

そして、本件補正は、請求項3について、設備をビル毎に管理するものとし、それに伴って、本件補正の前の請求項3の「ビル内のエリア」と「該エリアに含まれるセンサー」とを関連付けて記憶するものである「記憶部」について、更に「ビル」を記憶するものである旨を特定するとともに、本件補正の前の請求項3の「制御部」における「エリア」の指定に応じた「エリアに含まれるセンサ」の「エネルギー消費量」から「エリア」の「エネルギー使用量」の算出にあたって、「ビルとエリアと」の指定に応じた「指定された前記ビル内の指定された前記エリアに含まれるセンサー」の「エネルギー消費量」から算出する旨を特定するものである。
この本件補正は、「設備」を「ビル毎」に管理するものとするに伴って、設備に設置されたセンサを用いた建物の管理のための発明特定事項である「記憶部」と「制御部」について、「ビル内のエリア」を指定するためのものであるという課題解決の枠組を変更することなく減縮するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

そこで、本件補正後の前記請求項3に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定を満たすか)について以下に検討する。

(2)独立特許要件

ア.本件補正発明
本件補正発明は、上記(1-2)の請求項3に記載されたとおりのものである。

イ.引用例1
原査定の拒絶理由で引用文献1として引用された特開2007-11919号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(a)「【0020】
次に、本実施形態の機器の運用評価情報提供装置について説明する。図1は、本実施形態の機器の運用評価情報提供装置を含むBEMS(Building and Energy Management System)を示す構成図である。ここで、BEMSは、ビルに設置されたエネルギーを消費する空調設備等の設備システムやそれを構成する設備機器を管理するシステムであり、監視機能、自動制御機能、データ測定、測定データの分析、記録機能、通信機能等を有している。本実施形態において、機器の運用評価情報提供装置10は、ネットワークで接続された中継装置等を介して、ビル12側に設けられたセンサから測定データを収集すると共に、運用評価情報を提供する。
【0021】
ビル12には、エネルギーを消費する設備システム14として、空気調和設備、給湯設備等が設置され、設備システム14は様々な機器16から構成されている。機器16は、冷凍機や空調機、電動機(ポンプ、エレベータ、エスカレータ等で使用)、照明器具等を含む。これら機器16には、その目的を果たすために必要とするエネルギーが供給される。このエネルギーは、電気や気体燃料のガス(都市ガス、LPG(液化石油ガス)等)、液体燃料の灯油、重油などである。また、ビル12には、設備システム14が運転したとき、機器16のエネルギー消費量を測定するセンサ18が多数設けられている。このセンサ18は、積算電力計、積算熱量計、積算流量計であって、機器16それ自体に組み込まれたり、エネルギー供給の大本となる電気室や制御盤等の所定箇所に付設されている。
【0022】
図2は、積算電力計の設置例を示す図である。図2において、電力の供給系統が示されると共に、複数の積算電力計24(図2において、管理番号と共にWHMで表示)が所定箇所に設置されている。図2に示すように、電力の供給系統の上流側、下流側等の複数の箇所で電力量が測定されている。また、熱量等も同様に所定箇所において測定される。これら積算電力計24を含むセンサ18が測定した測定データは、随時中央監視装置20に送られる。記録装置22は、例えば、1時間に1回、中央監視装置20の測定データを読み出し記録する。」
(b)「【0026】
測定データ・データベース34は、記録装置22から測定データを読み出し記憶する。記録装置22から読み出すべき測定データが多い場合には、この記憶作業は、例えば、深夜に行うことが好ましい。その測定データは、例えば、分、時間、日、月、年毎等の積算データである。なお、センサ18が積算計でない場合には、処理スピードを短縮化するために、分、時間、日、月、年の所定単位毎の積算データに合計して記憶しても良い。また、測定データは、基本的には、記録装置22から読み出されるが、後述する入力装置30によって別途入力しても好ましい。また、測定データは、測定日時や測定時間の属性情報も合わせて記憶されている。なお、測定データの単位が異なる場合には、所定の換算係数を用いて単位変換を行って記憶しても良い。
【0027】
本実施形態においては、これらの測定データは、所定のグループ毎に実エネルギー消費量を算出できるように、所定のグループの属性情報と関連付けられて記憶されている。この属性情報は、例えば、階別、系統別、用途別等である。
【0028】
階別とは、機器16の設置階についての属性である。例えば、1階、2階・・・階毎、又は2?5階の複数階に属するという属性が付される。」
(c)「【0032】
図3は、測定データ・データベース34の一例を示し、測定データ38と属性情報40を説明する図である。
【0033】
図3(A)は、B4階電気室から電力が供給される熱源ポンプの測定データの記憶例を示している。図3(A)に示すように、月毎に測定データ38が記憶されている。この測定データ38は、熱源ポンプの機器16毎に設置階(この例では、属性付けは行われていない)や、低層中層、高層といった系統の属性情報40と関連づけて記憶されている。
【0034】
図3(B)は、温水熱量関係の測定データ38の記憶例を示している。図3(B)に示すように、月毎に測定データ38が記憶されている。この測定データ38は、空調機の機器16毎に設置階、対人か対物かの用途別の属性情報40と関連づけて記憶されている。
【0035】
このように、属性情報を付することにより、後述するように、その属性を有する機器からなる機器グループ群の実エネルギー消費量を取得することができる。1階の実エネルギー消費量を取得したいときには、1階の属性を持つ測定データを合計し、1階の実エネルギー消費量を取得することができる。」
(d)「【0049】
実消費量取得部48は、実エネルギー消費量を取得する。すなわち、実消費量取得部48は、ユーザの入力指示等に従って、測定データ・データベース34から測定データを読み出し、所定の処理を行い、実エネルギー消費量を取得する。階別、系統別、用途別の機器グループ群のユーザ指示があった場合には、測定データの属性を区別し、必要に応じて加算処理等を行い実エネルギー消費量を取得する。例えば、階別で1階が指定された場合には、実消費量取得部48は、測定データ・データベース34から1階の属性を持つ機器のエネルギー消費量を読み出し、それらを加算して、1階の機器グループ群の実エネルギー消費量を取得する。また、測定データ・データベース34に、既に1階の積算データが記憶されている場合には、この積算データを取得し、実エネルギー消費量とする。これにより、ユーザ指示に対する処理スピードを短縮することができる。」
(e)「【0054】
表示制御部54は、標準エネルギー消費量に基づいて実エネルギー消費量を評価するための運用評価情報又は、その評価結果を出力する。例えば、表示制御部54は、実エネルギー消費量と標準エネルギー消費量を対比可能に出力する。具体的には、表やグラフ形式で出力する。また、実エネルギー消費量と標準エネルギー消費量のトレンドグラフを出力する。なお、複数の機器グループ群の実エネルギー消費量、標準エネルギー消費量を同時に表示させることもできる。これにより、1階や2階の実エネルギー消費量の比較などを行うことができる。なお、実エネルギー消費量と標準エネルギー消費量を比較評価し、その評価結果を表示しても良い。」
(下線は、当審による。)

以上の記載事項から、引用例1には
「ビルに設置されたエネルギーを消費する空調設備等の設備システムやそれを構成する設備機器を管理するシステム(BEMS)は、
運用評価情報提供装置10、
ビル12に設けられた機器16(冷凍機や空調機、電動機(ポンプ、エレベータ、エスカレータ等で使用)、照明器具等)、
機器16のエネルギー消費量を測定する、機器16それ自体に組み込まれたセンサ18、
センサ18が測定した測定データが随時送られる中央監視装置20、
(例えば、1時間に1回)中央監視装置20の測定データを読み出し記録する記録装置22、
からなり、
運用評価情報提供装置10は、
記録装置22から測定データを読み出し機器毎に設置階等の属性情報と関連付けて記憶する測定データ・データベース34と、
制御装置28と、
出力装置32と
を有し、
測定データ・データベース34では、測定データが、所定のグループの属性情報と関連付けられて記憶されており、この属性情報は、例えば、階別、系統別、用途別等であるって、階別とは、機器16の設置階についての属性(例えば、1階、2階・・・階毎、又は2?5階の複数階に属するという属性が付される。)であり、
制御装置28では、
実消費量取得部48にて、ユーザの入力指示等に従って、測定データ・データベース34から測定データを読み出し、所定の処理を行い、実エネルギー消費量を取得し(例えば、階別で1階が指定された場合には、実消費量取得部48は、測定データ・データベース34から1階の属性を持つ機器のエネルギー消費量を読み出し、それらを加算して、1階の機器グループ群の実エネルギー消費量を取得する)、
表示制御部54にて、実エネルギー消費量と標準エネルギー消費量を対比可能に、複数の機器グループ群の実エネルギー消費量、標準エネルギー消費量を同時に表示し、
管理するシステム(BEMS)。
」の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されている。

ウ.周知例
(ア)周知例1
原査定で周知例として引用された特開2010-263536号公報(以下、「周知例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(a)「【0054】
現在の機器の動作状況908は機器の動作状況を表示する。現在の機器の動作状況908に表示するデータは、管理サーバー6内の状態記憶部62に記録されている。機器の動作状況・履歴909は、機器の基本情報である型番や現在までの使用年数、本日の使用時間、総消費電力などが管理サーバー6内の状態記憶部62のデータに基づき表示される。制御機器として選択された場合に管理サーバー6内の管理機器群データ部60から状態記憶部62にロードされる。また制御や、時間の経過により状態記憶部62のデータは変更されるため、機器の動作状況・履歴909も変更される。」
(下線は、当審による。)

(イ)周知例2
当審において周知例として引用する特開平10-49552号公報(以下、「周知例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(a)「【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係るエネルギー集中管理・解析システムの実施の形態を示す図、図2はデータの収集処理を説明するための図、図3はセンサーの登録例を示す図、図4は記録されるデータの構成例を示す図、図5は建物別データの編集例を説明するための図、図6は積算データの編集の例を説明するための図、図7は複数センサーの合成編集の例を示す図である。
【0007】監視装置4は、解析対象建物側に設置され、当該建物の施設の監視・制御を行うものであり、予め登録されたセンサーから定時的に稼働状況を取り込み記録している。また、ビル総合管理センターのデータ収集装置3からの1回/日の夜間における要求に対して前日の記録されたデータを送出する。
【0008】データ収集装置3は、複数の解析対象となる建物の監視装置4から1回/日データを収集し、これを例えば光磁気記録媒体に格納する。データは、日付順に格納されており、建物名称と日付によって任意に検索が可能となっている。また、電話回線によって直接ビル総合管理センターと接続されていない建物のデータに関しては、フロッピィディスクによってデータの収集を行う。」
(b)「【0016】エネルギー解析装置では、まず解析対象の物件を選択し解析する機能を選択するために物件選択、そして機能選択を行うが、その物件選択画面の例を示したのが図8である。このようにデータの検索では、エネルギー解析の対象となっている建物名称を全て表示し、この中から解析の対象となる建物を選択する。これによりエネルギー解析装置1は、データベースサーバ2から選択された建物のセンサーマスター情報を取り込む。」(下線は、当審による。)

エ.対比
(ア)そこで、本件補正発明と引用例1発明を対比する。
引用例1発明の「運用評価情報提供装置10」は、ビルに設置されたエネルギーを消費する空調設備等の設備システムやそれを構成する設備機器のエネルギー使用を管理するものであるから、本件補正発明の「設備管理装置」に相当する。
引用例1発明の「ビル12」は、エネルギー消費を行う機器16が配置された建物であるから、本件補正発明の「ビル」に相当する。
引用例1発明の「機器16の設置階」は、属性(例えば、1階、2階・・・階毎、又は2?5階の複数階に属するという属性が付される。)で表されていて、ビル内のエリアが示されているから、本件補正発明の「ビル内のエリア」に相当する。
引用例1発明の「ビル12に設けられた機器16(冷凍機や空調機、電動機(ポンプ、エレベータ、エスカレータ等で使用)、照明器具等)」は、中央監視装置20により監視され、消費エネルギーの管理対象となるビル内の設備であるから、本件補正発明の「ビル管理システムにより管理される」「設備」に相当する。
引用例1発明の「機器16のエネルギー消費量を測定する、機器16それ自体に組み込まれたセンサ18」は、センサ18が設備毎に設置され、設備毎のエネルギー消費量を測定するものであることが示されているから、本件補正発明の「設備毎に設置されたセンサー」に相当する。
引用例1発明の「記録装置22から測定データを読み出し、機器毎に設置階等の属性情報と関連付けて記憶する測定データ・データベース34」は、測定データが、属性情報と関連付けられて記憶されており、この属性情報は、例えば、階別、系統別、用途別等であって、階別とは、機器16の設置階についての属性(例えば、1階、2階・・・階毎、又は2?5階の複数階に属するという属性が付される。)であることから、本件補正発明の「ビル内のエリアと該エリアに含まれるセンサーとを関連付けて記憶する」「記憶部」に相当する。
引用例1発明の「機器16のエネルギー消費量を測定する、機器16それ自体に組み込まれたセンサ18、センサ18が測定した測定データが随時送られる中央監視装置20、(例えば、1時間に1回)中央監視装置20の測定データを読み出し記録する記録装置22、」は、センサー毎のエネルギー使用量を取得することであるから、本件補正発明の「ビル管理システムにより管理される各」「設備毎に設置されたセンサー毎のエネルギー使用量に関する情報を取得する」ことに相当する。
引用例1発明の「制御装置28」は、実消費量取得部48にて、ユーザの入力指示等に従って、測定データ・データベース34から測定データを読み出し、所定の処理を行い、実エネルギー消費量を取得し(例えば、階別で1階が指定された場合には、実消費量取得部48は、測定データ・データベース34から1階の属性を持つ機器のエネルギー消費量を読み出し、それらを加算して、1階の機器グループ群の実エネルギー消費量を取得する)ているから、本件補正発明の「制御部」の「エリア」と「センサ」との「関連に基づき、」「エリア」の「指定に応じて、」「ビル内の指定された前記エリアに含まれるセンサー毎のエネルギー使用量から該エリアのエネルギー使用量を算出し」に相当する機能を有している。
引用例1発明の「制御装置28」は、表示制御部54にて、実エネルギー消費量と標準エネルギー消費量を対比可能に、複数の機器グループ群の実エネルギー消費量、標準エネルギー消費量を同時に表示するものであるから、本件補正発明の「制御部」の「算出した前記エリアのエネルギー使用量を出力する」に相当する機能を有している。

(イ)したがって、両発明の一致点、相違点は以下の通りである。

〈一致点〉
「ビル内のエリアと該エリアに含まれるセンサーとを関連付けて記憶する記憶部と、
ビル管理システムにより管理される設備毎に設置されたセンサー毎のエネルギー使用量に関する情報を取得すると、前記記憶部に記憶された前記エリアと前記センサーの関連に基づき、エリアの指定に応じて、指定された前記エリアに含まれるセンサー毎のエネルギー使用量から該エリアのエネルギー使用量を算出し、算出した前記エリアのエネルギー使用量を出力する制御部と、
を有する設備管理装置。」

〈相違点〉
(1)本件補正発明は、設備が「ビル毎」に管理されるものであり、「ビル内のエリア」と「該エリアに含まれるセンサー」とを関連付けて記憶する「記憶部」が、更に「ビル」を記憶し、「制御部」における「エリア」の指定に応じた「エリアに含まれるセンサ」の「エネルギー消費量」からの「エリア」の「エネルギー消費量」の算出にあたって、「ビルとエリアと」の指定に応じて「指定された前記ビル内の指定された前記エリアに含まれるセンサー」の「エネルギー消費量」から算出するものであるのに対し、引用発明は、「記憶部」が「ビル」を記憶するものでなく、「制御部」における「エリア」の指定に応じた「エリアに含まれるセンサ」の「エネルギー消費量」からの「エリア」の「エネルギー消費量」の算出にあたって、「ビルとエリアと」の指定に応じて「指定された前記ビル内の指定された前記エリアに含まれるセンサー」の「エネルギー消費量」から算出するものでない点。
(2)本件補正発明は「設備の使用年数を含む設備情報」を記憶し、出力しているのに対して、引用例1発明は、このような情報を記憶していない点。

オ.判断
相違点について検討する。

相違点(1)
設備に設置されたセンサを用いた建物の管理にあたって、複数棟の建物を管理し、そのために棟を指定できるよう設備及びセンサをその設備(及びセンサ)が設置された棟と関連させて記憶することは、周知例2の記載事項(ウ(イ))において示されているように、周知技術である。
そして、引用例1は、ビル内のエリアを指定するものであると共に、病院、デパート等の商業ビル、オフィス、学校など(引用例1【0044】、【0046】)、複数棟からなるものであり得る建物を管理の対象として想定しており、引用例1発明の運用評価情報提供装置が、ネットワークで接続された中継装置等を介してビル側に設けられたセンサから測定データを収集するとされているのも、このことを踏まえたものである。
してみると、引用例1発明において、複数棟からなる建物の管理のためにこの周知技術を採用し、設備を「ビル毎」に管理し、そのために「ビル内のエリア」と「該エリアに含まれるセンサー」とを関連付けて記憶する「記憶部」が棟を区別するために棟の情報である「ビル」を記憶し、「エリア」の「エネルギー消費量」の算出にあたって「ビルとエリアと」の指定に応じて「指定された前記ビル内の指定された前記エリアに含まれるセンサー」の「エネルギー消費量」から算出するように構成することは、当業者が容易になし得たことである。

相違点(2)
機器の状態を表示するにあたって、状態とともに状態に関係する使用年数等の情報を表示することは、周知例1の記載事項(ウ(ア))において示されているように、周知技術である。
そして、引用例1発明は、「ビル12に設けられた機器16(冷凍機や空調機、電動機(・・・)、照明器具等)」の「エネルギー消費量」という状態を表示するものであるから、そのよう「エネルギー消費量」という状態を表示するにあたって周知技術1を採用して、使用年数などの情報を表示するように構成することは、当業者が容易になし得たことである。

そして、上記相違点(1)?(2)を総合的に判断しても、本件補正発明が奏する効果は引用例1発明及び周知技術から当業者が十分予測できたものであって格別なものとはいえない。

カ.小括
以上のとおり、本件補正発明は、引用例1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであって、特許法第29条第2項の規定により独立して特許を受けることができないから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について

(1)平成29年4月17日付け手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願請求項3に係る発明は、平成28年8月8日付け手続補正書の特許請求の範囲請求項3に記載された発明(以下、「本願発明」という。)であって、前記2.(1)の(1-1)に記載したとおりのものである。

(2)引用例
原査定の拒絶理由に引用される引用例、およびその記載事項は、前記2.(2-2)に記載したとおりのものである。

(3)対比、判断
本願発明は、本件補正発明から、設備を「ビル毎」に管理できる旨、「記憶部」が「ビル」を記憶し、「制御部」における「エリア」の指定に応じた「エリアに含まれるセンサ」の「エネルギー消費量」からの「エリア」の「エネルギー消費量」の算出にあたって、「ビルとエリアと」の指定に応じて「指定された前記ビル内の指定された前記エリアに含まれるセンサー」の「エネルギー消費量」から算出するものであるものである旨の限定を省いたものに相当する
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、更に他の要件を付加したものに相当する本件補正発明が前記「2.(2)」に記載したとおり、引用例1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび

以上のとおり、本願発明は、引用例1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-02-16 
結審通知日 2018-02-20 
審決日 2018-03-05 
出願番号 特願2012-263782(P2012-263782)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 貝塚 涼宮地 匡人  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 石川 正二
相崎 裕恒
発明の名称 設備管理プログラム、設備管理装置および設備管理方法  
代理人 酒井 昭徳  
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