• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01R
管理番号 1339576
審判番号 不服2017-8660  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-14 
確定日 2018-04-19 
事件の表示 特願2015-158190「ガスセルおよび磁気測定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年12月10日出願公開、特開2015-222272〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年9月8日(優先権主張 平成23年2月16日(以下、「優先日」という。))の出願である特願2011-195974号の一部を、平成27年8月10日に新たな特許出願としたものであって、平成28年7月28日付けの拒絶理由通知に対して平成28年10月3日付けで手続補正がなされたが、平成29年3月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成29年6月14日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成28年10月3日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】
閉空間を形成する外壁と、
前記閉空間を複数のセルに仕切る内壁と、
前記内壁に形成され、隣接するセルのうち少なくとも1つのセル同士を結ぶ貫通孔と、
前記セル内に封入されたアルカリ金属原子と、
前記複数のセルのうち1つのセルに収容されたアンプルの破片と
を有するガスセル。」

第3 引用例及びその記載事項
(1)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2009-140984号公報(平成21年6月25日公開、以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。以下、同様。)。
a 「【0017】
図2はガスセルの断面図である。ガスセル20は、共鳴光が透過する方向に対して交差した仕切り部22を有しており、ガスセル20の内部を複数の部屋24に分割している。この仕切り部22は、共鳴光が透過することができるものであり、共鳴光が透過する光軸に対して直角または略直角になる設計となっている。このため各部屋24に封入された原子において、速度の速いものに対しての緩和が効率よく起きる。
【0018】
すなわち各部屋24には、ガス状の金属原子ととともに、バッファガス(緩衝用の充填ガス)を気密封入しているが、これらの原子には速度の速いものから遅いものまで色々の速度のものが混在して分布している。このうち速度の速い原子(励起状態の原子)がEIT現象に寄与すると、原子から見た光の波長がドップラー効果により見かけ上変化するため、このドップラー効果によりEIT現象における検出幅(Δω)を広げてしまうことが知られている(図3を参照)。なお図3は共鳴光(カップリング光ω1)と共鳴光(プローブ光ω2)との周波数差と、EIT信号強度との関係を示す図である。したがって、ドップラー効果による検出幅の拡大を防止するには、EIT現象に寄与する速度の速い原子をできるだけ少なくする必要がある。このため本実施形態ではガスセル20の内部に仕切り部22を設けて、速度の速い原子を仕切り部22に衝突させることにより、速やかに基底状態(速度が遅い状態)へと移行させている。
【0019】
そして速度の速い原子はすぐに仕切り部22に衝突してしまい、光と係わる時間が短くなるため、光吸収を起こさずに基底状態(速度が遅い状態)へと移行する確率が高くなる。一方、速度が遅くなった原子は仕切り部22に衝突するまでの時間が長くなり、光と係わる時間が充分長くなるため、光を吸収する確率が高くなる。つまり、光軸に対して垂直に仕切り部22を設けることにより、光路上に速度の速い原子がとどまっている確率を低くしているのである。
なお図2に示す場合では、仕切り部22が7個あるので、部屋24が8個ある。また金属原子は、ルビジウムやセシウム等のアルカリ金属であればよい。」

b 「【0029】
なおガスセル20は、図2に示す形態ばかりでなく、以下に説明する形態であってもよい。図5はガスセルの第1変形例を説明する断面図である。第1変形例のガスセル30は、仕切り部22に開口部32を設けており、各部屋24を開口部32によってつなげている。これによりバッファガスが互いに各部屋24へ流動できるようになり、各部屋24のバッファガスの圧力や温度が均一になるので、各部屋24間の特性のばらつきを無くすことができる。」

c 図5より、ガスセル30は、ガスセル30の内部を形成する外壁を有することが見て取れる。


ここで、段落【0029】に、「ガスセル30」は、「ガスセル20」の変形例であることが記載されているので、「ガスセル30」は、開口部32以外は「ガスセル20」の構成を踏襲している。
したがって、上記引用例1に記載された事項及び図面の記載を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている(括弧内は、認定に用いた引用例1の記載箇所である。)。
「ガスセル30の内部を形成する外壁と(図5)、
ガスセル30の内部を複数の部屋24に分割する仕切り部22とを有しており(【0017】)、
仕切り部22に開口部32を設けており、各部屋24を開口部32によってつなげており(【0029】)、
各部屋24には、ガス状のアルカリ金属原子を気密封入している(【0018】、【0019】)、ガスセル30。」

(2)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2005/0184815号明細書(2005年8月25日公開、以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
a 「[0022] Referring now to FIG. 1 , there is shown a cavity structure, or cell, 100 according to an aspect of the present invention. Structure 100 generally includes layers 110 , 120 and 130 forming closed cavity 140 . By way of non-limiting example, layers 110 , 120 may take the form of an amorphous silicate having an ion mobility and temperature expansion coefficient approximately that of silicon, such as a borosilicate glass like Pyrex, which is commercially available from DuPont, where layer 130 takes the form of single crystal silicon. Cavity 140 may contain an alkali metal atomic vapor, such as metallic cesium or other alkali metal, and a buffer gas, such as an inert buffer gas like argon or neon. The present invention will be discussed as it relates to Cs, however another alkali metal such as Rb may of course be used. 」
(当審訳:[0022] 図1を参照すると、本発明の一態様による空洞構造、あるいはセル100が示されている。構造100は、通常、閉じた空洞140を形成する層110、120および130を含む。非限定的な例として、層110、120は、シリコンとほぼ等しいイオン移動度および温度膨張係数を有する非晶質珪酸塩の形態を取ることができるが、その例としては、デュポン(DuPont)から市販されているパイレックス(Pyrex)のような硼珪酸ガラスがあり、そこでは、層130は単結晶シリコンの形態をとる。空洞140は、金属セシウムまたは他のアルカリ金属のようなアルカリ金属原子蒸気と、アルゴンまたはネオンのような不活性緩衝ガスのような緩衝ガスとを含むことができる。本発明はCsに関連して説明されるが、Rbのような別のアルカリ金属がもちろん使用されてもよい。)

b 「[0046] According to an aspect of the present invention, multiple cavities may be coupled together. Referring now also to FIG. 8A , there are shown cavities 140 ' and 140 " formed in a common silicon wafer 130 . FIG. 8B illustrates cross-section B-B of FIG. 8A . According to an aspect of the present invention, one or more ITO heaters 810 ' and 810 ", akin to heaters 710 , may be provided. ITO heaters 810 ' may be selectively operable. ITO heaters 810 " may be selectively operable. Accordingly, the temperature of cavity 140 ' may be varied with respect to cavity 140 ", and vice-a-versa. By selectively heating the cavities 140 ', 140 " differently, liquid cesium in cavities 140 ', 140 " may be accumulated in a desired one of the cavities, where it is less likely to undesirably obstruct transmissions through the other cavity. One or more of heaters 810 ', 810 " may be used to elevate one or more of the cavities 140 ', 140 " to operating temperature as well.」
(当審訳:[0046] 本発明の一態様によれば、複数の空洞を互いに結合することができる。ここで図8Aも参照すると、共通のシリコンウェハ130に形成された空洞140'と140''が示されている。図8Bは、図8Aの断面B-Bを示す。本発明の一態様によれば、ヒータ710に類似した1つ以上のITOヒータ810'および810''を設けることができる。ITOヒータ810'は選択的に動作可能であってもよい。ITOヒータ810''は選択的に動作可能であってもよい。したがって、空洞140'の温度を空洞140''に対して変化させることができ、その逆も可能である。空洞140'、140"を選択的に加熱することによって、空洞140'、140"内の液体セシウムが空洞の所望の1つに蓄積され、そこでは、他の空洞を通る透過を不必要に遮る可能性がより少なくなる。1つ以上のヒータ810'、810"を使用して、空洞140'、140"の1つ以上を動作温度まで昇温させることができる。)

c 図8A、図8Bより、空洞140'と空洞140''に仕切る内壁と、内壁に形成された空洞140'と空洞140''を結ぶ貫通孔が見て取れる。


ここで、段落[0046]の記載より、図8A、図8Bに記載されたものは、空洞140を、空洞140'と空洞140''に置き換えたものであるといえるので、
上記引用例2に記載された事項及び図面の記載を総合すると、引用例2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている(括弧内は、認定に用いた引用例2の記載箇所である。)。
「セル100は、閉じた空洞140'と空洞140''を形成する層110、120および130を含み、
空洞140'と空洞140''は、アルカリ金属原子蒸気と、緩衝ガスとを含むものであって([0022][0046])、
空洞140'と空洞140''が互いに結合され([0046])、
空洞140'と空洞140''に仕切る内壁と、
内壁に形成された空洞140'と空洞140''を結ぶ貫通孔(図8A、図8B)を有するセル100。」

(3)原査定の備考欄で周知技術を示す文献として引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許第3860311号明細書(1975年1月14日公開、以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
a 「A glass sphere 10 encloses what eventually will become the resonance chamber 12 of the completed cell. Two elongated tubes 14 and 16 communicate with the cell through orifices 18 and 20.」(第3欄第9-13行)(当審訳:ガラスの球10は、最終的には完成したセルの共鳴チャンバー12になるものを内包している。二つの引き伸ばされた管14および16は、オリフィス18および20を通してセルと繋がっている。)

b 「The other tube 16 has a necked-down portion or seal-off region 28 and an enlarged portion having two branches 30 and 32.」(第3欄第17-19行)(当審訳:もう一方の管16は狭幅領域または密封された領域28と、二つの分枝30および32のある拡大領域を有する。)

c 「The second branch 32 also contains a glass-enclosed magnet 44 similar to the one employed in branch 30.Above the glass-enclosed magnet 44 is an ampoule 46 having a frangible tip 48 which encloses an alkali metal 50.」(第3欄第27-31行)(当審訳:第二の分枝32も、分枝30と同様に、ガラスに内包された磁石44を含んでいる。ガラスに内包された磁石44の上部に、アルカリ金属50を内包する脆い先端48を有するアンプル46がある。)

d 「By means of the enclosed magnet 42 the ampoule 46 is moved into the seal-off region 28 just vacated by the wax carrier 34.Next the seal-off region 28 is heated at 58 with a hand torch to seal the region and remove the rest of the tubular extension arriving at the structure shown in FIG.3.Simply shaking the cell breaks the frangible tips 24 and 48.Breaking frangible tip 48 allows the alkali metal 50 in the ampoule 46 to evaporate into the cell.」(第4欄第4-12行)(当審訳:内包された磁石42を用いて、ワックス担体34がなくなった後の密封された領域28にアンプル46を移動させる。次に、手持ち用バーナーを用いて密封された領域28を58の箇所で加熱してこの部分を密封し、図3に示す構造になるまで、延長管の残りの部分を取り除く。セルを振りさえすれば、脆い先端24および48は壊れる。脆い先端48を壊すことで、アンプル46内のアルカリ金属50がセル中で蒸発する。)

上記記載より、引用例3には、次の技術が記載されている。
「セル内で、アルカリ金属50を内包するアンプル46の脆い先端48を壊すことで、アンプル46内のアルカリ金属50を、セル中に蒸発させる技術。」

(4)原査定の備考欄で周知技術を示す文献として引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である米国特許第3281709号明細書(1966年10月25日公開、以下、「引用例4」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

「Reterring to FIG.1 there is shown as an example of a a novel multi-region configuration utilizing the above-described non-relaxing wall coating a dumbbell shaped absorption cell 11 having spherical bulbs 12 and 13 joined by a neck portion 14. Located in finger exten-sion 15 off the smaller spherical bulb 12 is a glass ampoule 16 containing a small quantity 17 of an alkali metal,such as rubidium,and also a small copper slug or hammer 18.・・・the cell 11 which is then evacuated and sealed off・・・The ampoule 16 contain-ing the rubidiumu is then broken,as by shaking the copper hammer 18 against the ampoule 16,thereby filling the interior of the cell 11 with rubidium or other alkali vapor at about room temperature.」(第4欄第19-35行)(当審訳:図1においては、首部14で結合した球状バルブ12と13を持つダンベル状吸収セル11を被覆する上述の非緩和性壁を利用する新規な複数領域形態の例が示されている。小さい方の球状バルブ12からの指状延長部15には、ルビジウム等のアルカリ金属の少量17を内包するガラスアンプル16と、小さい銅スラグまたはハンマー18が位置している。・・・セル11は真空排気されて封止される。・・・ルビジウムを含んだアンプル16は続いて、銅ハンマー18をアンプル16に対して振ったりすることで、続いて破壊され、それにより、セル11内部をルビジウムや他のアルカリ蒸気でほぼ室温で充填する。)

上記記載より、引用例4には、次の技術が記載されている。
「セル11内で、アルカリ金属を含んだアンプル16を破壊し、セル11内部をアルカリ蒸気で充填する技術。」

第4 対比・判断
1 引用発明1を主たる発明とした場合
(1)対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「ガスセル30の内部を形成する外壁」は、本願発明の「閉空間を形成する外壁」に相当する。

イ 引用発明1の「ガスセル30の内部を複数の部屋24に分割する仕切り部22」は、本願発明の「前記閉空間を複数のセルに仕切る内壁」に相当する。

ウ 引用発明1の「仕切り部22」に設けられ、「各部屋24」をつなげている「開口部32」は、本願発明の「前記内壁に形成され、隣接するセルのうち少なくとも1つのセル同士を結ぶ貫通孔」に相当する。

エ 引用発明1の「各部屋24」に、「気密封入」された「アルカリ金属原子」は、本願発明の「前記セル内に封入されたアルカリ金属原子」に相当する。

すると、本願発明と引用発明1とは、次の(一致点)及び(相違点)を有する。
(一致点)
「閉空間を形成する外壁と、
前記閉空間を複数のセルに仕切る内壁と、
前記内壁に形成され、隣接するセルのうち少なくとも1つのセル同士を結ぶ貫通孔と、
前記セル内に封入されたアルカリ金属原子と、
を有するガスセル。」

(相違点)
本願発明の「ガスセル」は、「前記複数のセルのうち1つのセルに収容されたアンプルの破片」を有するのに対して、引用発明1の「ガスセル30」には、そのような特定がない点。

(2)判断
相違点について検討する。
セル内で、アルカリ金属を含んだアンプルを破壊し、セル内部をアルカリ金属の蒸気で充填する技術は、引用例3又は4に記載されているように周知技術である(上記「第3(3)」「第3(4)」)。
引用発明1は、「ガスセル30」の内部の「複数の部屋24に」「ガス状のアルカリ金属原子を気密封入」するものであるから、その製造に際して、上記周知技術を適用することは、当業者が容易に想到しうることである。
そして、上記周知技術の方法で製造した場合、ガスセル30の部屋24内にアンプル破片が残留することは自明であるから、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

さらに、本願発明が奏する効果は、引用発明1及び周知技術から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

2 引用発明2を主たる発明とした場合
(1)対比
本願発明と引用発明2とを対比する。
ア 引用発明2の「閉じた空洞140'と空洞140''」は、本願発明の「閉空間」に相当するので、引用発明2の「閉じた空洞140'と空洞140''を形成する層110、120および130」は、本願発明の「閉空間を形成する外壁」に相当する。

イ 引用発明2の「空洞140'と空洞140''」は、本願発明の「複数のセル」に相当する。
したがって、引用発明2の「空洞140'と空洞140''に仕切る内壁」は、本願発明の「前記閉空間を複数のセルに仕切る内壁」に相当する。

ウ 引用発明2の「内壁に形成された空洞140'と空洞140''を結ぶ貫通孔」は、本願発明の「前記内壁に形成され、隣接するセルのうち少なくとも1つのセル同士を結ぶ貫通孔」に相当する。

エ 引用発明2の「閉じた空洞140'と空洞140''」に含まれる「アルカリ金属原子蒸気」は、本願発明の「前記セル内に封入されたアルカリ金属原子」に相当する。

オ 引用発明2の「セル100」は、「空洞140'と空洞140''」に「アルカリ金属原子蒸気と、緩衝ガスとを含む」ので、本願発明の「ガスセル」に相当する。

すると、本願発明と引用発明2とは、次の(一致点)及び(相違点)を有する。
(一致点)
「閉空間を形成する外壁と、
前記閉空間を複数のセルに仕切る内壁と、
前記内壁に形成され、隣接するセルのうち少なくとも1つのセル同士を結ぶ貫通孔と、
前記セル内に封入されたアルカリ金属原子と、
を有するガスセル。」

(相違点)
本願発明の「ガスセル」は、「前記複数のセルのうち1つのセルに収容されたアンプルの破片」を有するのに対して、引用発明2の「セル100」には、そのような特定がない点。

(2)判断
相違点について検討する。
セル内で、アルカリ金属を含んだアンプルを破壊し、セル内部をアルカリ金属の蒸気で充填する技術は、引用例3又は4に記載されているように周知技術である(上記「第3(3)」「第3(4)」)。
引用発明2は、「セル100」の「空洞140'と空洞140''は、アルカリ金属原子蒸気と、緩衝ガスとを含むもの」であるから、その製造に際して、上記周知技術を適用することは、当業者が容易に想到しうることである。
そして、上記周知技術の方法で製造した場合、空洞140'又は空洞140''内にアンプル破片が残留することは自明であるから、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

さらに、本願発明が奏する効果は、引用発明2及び周知技術から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、 本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に論及するまでもなく、本願は拒絶するべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-02-19 
結審通知日 2018-02-20 
審決日 2018-03-05 
出願番号 特願2015-158190(P2015-158190)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 浩史  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 清水 稔
須原 宏光
発明の名称 ガスセルおよび磁気測定装置  
代理人 特許業務法人朝日特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ