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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04B
管理番号 1339599
審判番号 不服2016-16230  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-31 
確定日 2018-04-17 
事件の表示 特願2014-253909「マルチモードワイヤレスデバイスにおけるアンテナとトランシーバとのマッピング」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月14日出願公開、特開2015- 92706〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2012年(平成24年)7月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年8月12日 米国)を国際出願日として出願した特願2014-525050号の一部を、平成26年12月16日に新たな特許出願としたものであって、平成27年5月22日付けで手続補正書が提出され、同年11月24日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月26日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年3月15日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年6月15日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年6月28日付けで同年6月15日付けの手続補正について補正の却下の決定がなされ、同日付けで拒絶査定されたところ、同年10月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成28年10月31日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成28年10月31日にされた手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の概要
平成28年10月31日にされた手続補正は、平成28年2月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された

「 アンテナをトランシーバにマッピングすることのできるデバイスにおいて、
各アンテナが、複数の無線技術に従って無線信号を受信するように構成された複数のアンテナと、
各接触センサが、前記複数のアンテナのうちの対応するアンテナに関する接触を示す、
複数の接触センサと、
複数のトランシーバであって、
第1のトランシーバが、前記複数の無線技術のうちの第1の無線技術を利用するように構成され、
第2のトランシーバが、前記複数の無線技術のうちの第2の無線技術を利用するように構成された
複数のトランシーバと、
プロセッサであって、
前記複数のアンテナのサブセットを識別し、
前記複数の接触センサから接触指示を受け取り、
前記接触指示に基づいて、前記複数のアンテナの前記識別されたサブセットから第1のアンテナを選択する
ように構成されたプロセッサと
を備え、
各接触指示が、前記複数のアンテナのうちの対応するアンテナの接触測定値を示し、前記接触測定値が、前記対応するアンテナの被覆率を示す、デバイス。」(以下、「本願発明」という。)

を、

「 アンテナをトランシーバにマッピングすることのできるデバイスにおいて、
各アンテナが、複数の無線技術に従って無線信号を受信するように構成された複数のアンテナと、
各接触センサが、前記複数のアンテナのうちの対応するアンテナに関する接触を示す、
複数の接触センサと、
複数のトランシーバであって、
第1のトランシーバが、前記複数の無線技術のうちの第1の無線技術を利用するように構成され、
第2のトランシーバが、前記複数の無線技術のうちの第2の無線技術を利用するように構成された
複数のトランシーバと、
プロセッサであって、
前記複数のアンテナのサブセットを識別し、
前記複数の接触センサから接触指示を受け取り、
前記接触指示に基づいて、前記複数のアンテナの前記識別されたサブセットから第1のアンテナを選択する
ように構成されたプロセッサと
を備え、
各接触指示が、前記複数のアンテナのうちの対応するアンテナの接触測定値を示し、各接触指示の前記接触測定値が、所与の測定スケールにおける数値データに基づいて前記対応するアンテナの被覆率を示す、デバイス。」(以下、「本件補正発明」という。当審注:下線部は、補正箇所である。)

に変更することを含むものである。

2 補正の適否
請求項1についての上記補正は、本願発明を特定するために必要な事項である「接触測定値」、「アンテナの被覆率」について、上記1の下線部のとおり限定を付加するものであって、本願発明と本件補正発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

また、独立請求項である請求項11、17、22、27についての補正も、請求項1についての上記補正と同様である。

そして、これらの補正は、同法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。

そこで、本件補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(同法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1の「本件補正発明」のとおりのものと認める。

(2)引用発明と公知技術1、周知技術
ア 引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された特開2010-11027号公報(平成22年1月14日出願公開。以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、強調のために当審が付与した。)

(ア)「【0003】
近年、図1(b)に示されるようなタブレット型PCも登場した。タブレット型PCは、手に持たれた状態で使用される。そのため、ユーザがアンテナ102の登載部に触れることにより、アンテナ性能が低下する。また、ユーザがPCを傾けて使用することにより、アンテナ性能が低下する。」

(イ)「【0014】
図4は、図3に示される原理的形態における無線受信装置の構成を示す図である。この無線受信装置は、複数のアンテナ302、アンテナ選択部402、通信モジュール410、状態検出部420、記憶部430、及び比較部440を備える。アンテナ選択部402は、比較部440からのアンテナ選択信号に基づいて一つのアンテナ302を選択し、通信モジュール410に接続する。通信モジュール410は、選択されたアンテナ302からの信号を受ける受信回路部412、その受信回路部からの受信波を受けて復調する復調部414、及びその復調部からの受信データやRSSI(Received Signal Strength Indicator)データを受ける制御部416を含む。」

(ウ)「【0016】
記憶部430は、状態検出部420によって検出され得る利用状態に応じて各アンテナの選択優先度を順位付けすることで使用されるべきアンテナを予め規定するデータテーブル(優先度情報)432を記憶する。制御部としての比較部440は、状態検出部420からの接触情報、傾斜情報、LCD回転情報等と、データテーブル432からのテーブル情報と、を比較することにより、ユーザによる現在の端末利用状態に応じた最適のアンテナを決定し、選択制御情報としてのアンテナ選択信号をアンテナ選択部402へ出力する。比較部440は、プログラムがロードされるメモリと、そのメモリにロードされたプログラムを実行するプロセッサと、を備える。以下、より具体的な実施形態について説明する。」

(エ)「【0017】
図5は、本開示による端末装置の第一実施形態について説明するための図であって、(a)は外観、(b)はアンテナ及びセンサの配置、(c)は傾斜センサ、(d)は装置の傾斜、をそれぞれ示す。この携帯端末装置は、図5(a)に示されるようにノートブック型PCである。キーボード等が配置された操作面502には、図5(b)に示されるように、その四つの角の近くにアンテナA1?A4が設けられている。そして、アンテナA1?A4のそれぞれに対応して、その付近への接触を感知する接触センサS1?S4が設けられている。」

(オ)「【0019】
図6は、図5に示される第一実施形態における無線受信装置の構成を示す図である。アンテナA1?A4の各々は、UMTS(Universal Mobile Telecommunication System)用とWLAN(Wireless LAN)用とを兼ねる統合アンテナである。なお、統合アンテナの例としては、UMTS、WLAN、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、BT(British Telecommunications)、UWB(Ultra Wide Band)等の通信方式の中のいくつかに対応したものが挙げられる。」

(カ)「【0020】
この無線受信装置は、通信モジュールとして、UMTSモジュール620及びWLANモジュール630を備える。アンテナ選択部610は、比較部660からのUMTSアンテナ選択信号に基づいて一つのアンテナを選択してUMTSモジュール620に接続するとともに、比較部660からのWLANアンテナ選択信号に基づいてもう一つのアンテナを選択してWLANモジュール630に接続する。」

(キ)「【0021】
比較部660は、接触センサS1?S4からの接触情報、傾斜センサ504からの傾斜情報、及びユーザ設定部640からの優先インタフェース(IF)情報と、データテーブル650からのテーブル情報と、を比較することにより、ユーザによる現在の端末利用状態に応じた最適のアンテナを決定し、UMTSアンテナ選択信号及びWLANアンテナ選択信号をアンテナ選択部610へ出力する。この実施形態では、ユーザは、ユーザ設定部640を介して、UMTS又はWLANのいずれを優先IFとするかを設定することができる。」

(ク)「【0023】
なお、接触情報の内容は、対応するアンテナへの接触の検出又は未検出である。(後略)」

(ケ)「【0024】
アンテナA1?A4の優先順位については、まず、接触が検出されているか否かに基づき、接触が検出されているアンテナは低い優先順位の側に属するように、一方、接触が未検出のアンテナは高い優先順位の側に属するように、アンテナA1?A4が二つに分けられる。さらに、傾斜情報に基づいて、より高い位置にあるアンテナがより高い優先順位を有するように、最終的に優先順位が決められる。最後に、前述のように、ユーザ設定による優先IF情報に基づいて、使用されるべきアンテナが決定される。」

(コ)「【0034】
図13は、図12に示される第三実施形態における無線受信装置の構成を示す図である。図13におけるアンテナ選択部910及びWLANモジュール930は、第二実施形態(図9)のものと同一である。比較部1360は、リッドセンサ1320からのLCD回転情報と、データテーブル1350からのテーブル情報と、を比較することにより、ユーザによる現在の端末利用状態に応じた最適なアンテナを決定し、メインアンテナ選択信号及びサブアンテナ選択信号をアンテナ選択部910へ出力する。」

(サ)「【0036】
図14は、図13におけるデータテーブル1350の内容を示す図である。データテーブル1350においては、LCD回転情報に基づいてアンテナA1?A4の優先順位が定められている。すなわち、図12(a)のノートブック型としての利用状態にあるときには、LCD側のアンテナA1及びA2が、操作部側のアンテナA3及びA4よりも受信特性において良好であるため、アンテナA1及びA2が選択される。(中略)一方、図12(b)のタブレット型としての利用状態にあるときには、操作部側のアンテナA3及びA4が、LCD側のアンテナA1及びA2よりも受信特性において良好であるため、アンテナA3及びA4が選択される。(後略)」

(シ)「【0038】
以上の第一、第二及び第三実施形態のうちのいずれか二つ又は三つを組み合わせることも可能である。」

上記摘記事項の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

a 上記摘記事項(ア)の記載によれば、引用文献1の無線受信装置は、ユーザがアンテナの搭載部に触れることによるアンテナ性能の低下及びユーザがPCを傾けて使用することによるアンテナ性能の低下を課題とするものといえる。

b 上記摘記事項(イ)及び(カ)の記載によれば、アンテナを受信波から受信データを受ける通信モジュールに接続することのできる無線受信装置であって、通信モジュールとして、UMTSモジュール及びWLANモジュールを備え、比較部からのアンテナ選択信号に基づいて、選択したアンテナをUMTSモジュール又はWLANモジュールに接続するものといえる。

c 上記摘記事項(オ)に「アンテナA1?A4の各々は、UMTS(Universal Mobile Telecommunication System)用とWLAN(Wireless LAN)用とを兼ねる統合アンテナである。」と記載されているから、UMTS用とWLAN用を兼ねる複数のアンテナを備えるといえる。

d 上記摘記事項(エ)に「図5(b)に示されるように、その四つの角の近くにアンテナA1?A4が設けられている。そして、アンテナA1?A4のそれぞれに対応して、その付近への接触を感知する接触センサS1?S4が設けられている。」と記載されているから、各接触センサが、複数のアンテナのそれぞれに対応して、その付近への接触を感知する複数の接触センサを備えるといえる。

e 上記摘記事項(ウ)の「比較部440は、プログラムがロードされるメモリと、そのメモリにロードされたプログラムを実行するプロセッサと、を備える。」との記載によれば、「比較部」は、メモリとプロセッサを備え、また、上記摘記事項(キ)及び(ケ)の記載によれば、複数の接触センサからの接触情報及び傾斜センサからの傾斜情報を受け取り、まず、接触情報に基づいて、複数のアンテナを、低い優先順位の側と高い優先順位の側に分け、さらに傾斜情報からアンテナの優先順位が決められ、最後に優先IF情報に基づいて、使用されるべきアンテナを決定するものといえる。

f 上記摘記事項(ク)の記載によれば、無線通信装置の複数の接触センサからの各接触情報は、対応するアンテナへの接触の検出又は未検出を示すといえる。

上記aからfを総合すると、引用文献1には、ユーザがアンテナの搭載部に触れることによるアンテナ性能の低下(以下、「課題A」という。)及びユーザがPCを傾けて使用することによるアンテナ性能の低下に対処するための以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

(引用発明)

「 アンテナを受信波から受信データを受ける通信モジュールに接続することのできる無線受信装置において、
UMTS用とWLAN用を兼ねる複数のアンテナと、
各接触センサが、複数のアンテナのそれぞれに対応して、その付近への接触を感知する複数の接触センサと、
通信モジュールとして、UMTSモジュール及びWLANモジュールと、
メモリとプロセッサを備える比較部であって、
複数の接触センサからの接触情報と傾斜センサからの傾斜情報とを受け取り、
まず、接触情報に基づいて、複数のアンテナを、低い優先順位の側と高い優先順位の側に分け、さらに傾斜情報からアンテナの優先順位が決められ、最後に優先IF情報に基づいて、使用されるべきアンテナを決定する
比較部と
を備え、
各接触情報が、対応するアンテナへの接触の検出又は未検出を示し、
比較部からのアンテナ選択信号に基づいて、選択したアンテナをUMTSモジュール又はWLANモジュールに接続する、
無線受信装置。」

イ 公知技術1
特開2008-28910号公報(平成20年2月7日出願公開。以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、強調のために当審が付与した。)

(ア)「【0005】
ところが、機器の内部にアンテナを収容すると、外部アンテナに比べて人体に接近してその影響を受けやすい。また、ユーザはアンテナが機器のどの部分に収容されているかを知ることができない。このため、内部アンテナが通信上で影響を受けやすい位置の機器本体部分に指を掛けるような場合があり、これによってアンテナの特性が低下して、通信が断となる1つの原因にもなっている。」

(イ)「【0028】
接触センサ105は、タッチセンサあるいは触覚センサと呼ばれているもので、単に接触の有無を容量変化や導電性の変化等の電気的な変化により検出するものだけでなく、指の接触面積も加味した多値接触センサも存在する。多値接触センサを使用すれば、内蔵アンテナ104のどの程度を指が覆っているかを多値で検出することができる。」

(ウ)「【0059】
図9は、指の接触面積を加味した多値接触センサを使用した場合の携帯電話機の回路構成の要部を表わしたものである。図示しない内蔵アンテナに対応する比較的広い面積に配置された多値接触センサ401は、マトリックス状に複数の検出セクタ402を備えており、これにより指等の人体の接触している面積あるいは検出セクタ402の数を検出してその結果を多値で出力するセンサである。多値接触センサ401の出力レベル403は比較回路404に入力されて、予め設定された1つまたは複数の閾値405と比較される。この比較結果によって、内蔵アンテナに影響するとして警告を発生するか否かの判定信号406が出力されることになる。」

上記摘記事項(ア)から(ウ)によれば、引用文献2には、指等の人体の接触によるアンテナ性能の低下という課題に対し、アンテナに対応する多値接触センサにより、指等の人体の接触している面積あるいは検出セクタの数を検出してその結果を多値で出力し、出力を予め設定された閾値と比較して、内蔵アンテナに影響するとして警告を発生するか否かの判定をしているから、内蔵アンテナのどの程度を指が覆っているかを指標として内蔵アンテナの影響を判定することが、記載されているといえる。

そうすると、引用文献2には、指等の人体の接触によるアンテナ性能の低下に対処するための以下の公知技術(以下、「公知技術1」という。)が記載されているものと認められる。

(公知技術1)

「 内蔵アンテナに対応する比較的広い面積に配置され、マトリックス状に複数の検出セクタを備え、指等の人体の接触している面積あるいは検出セクタの数を検出してその結果を多値で出力する多値接触センサにより、内蔵アンテナのどの程度を指が覆っているかを指標として内蔵アンテナへの影響を判定する技術。」

ウ 周知技術

特表2008-538886号公報(平成20年11月6日出願公表。以下、「周知文献」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、強調のために当審が付与した。)

(ア)「【0016】
図4を参照すると、本発明による無線装置400の第1の実施形態が示され、第1のアンテナ42と、第2のアンテナ44と、第1の送信機60および第1の受信機61を備える第1の送受信機40と、第2の受信機62とを備える。第1の送受信機40は、たとえば、GSM(グローバル移動通信システム)ネットワーク、またはUMTS(汎用移動通信システム)ネットワーク、(中略)、第2の受信機62は、第1の受信機61とは異なるデータ・ビットを伝達する異なる信号を受信するように適応される。第2の受信機62は、例えば、DVB[Digital Video Broadcast?デジタルビデオ放送?](中略)を受信する放送受信機とすることができる。」

(イ)「【0017】
アンテナ・セレクタ手段46および経路指定手段45を含む、スイッチング手段45、46がある。アンテナ・セレクタ手段46は、切換スイッチとして機能し、経路指定手段45を経由してアンテナ42または44のいずれかを第1の送受信機40に結合し、他方のアンテナ42または44を第2の受信機62に結合する。(後略)」

(ウ)「【0029】
ステップ110のテストが、装置がGSM携帯電話およびDVB受信機の両方として同時に動作する必要があることを示す場合は、フローはステップ160から190へ進み、そこでは、どちらのアンテナを第2の受信機62に結合すべきかの決定は、ステップ160および180でDVB信号に対する選択基準を満たすことを基準とし、第1の送受信機40は、第2の受信機62によって用いられないアンテナ42または44に結合される。」

(エ)「【0046】
本発明について、2つのアンテナと2つの受信機、およびオプションとして2つの送受信機に関して説明してきたが、より多くのアンテナ、受信機、または送受信機の使用が除外されるものではない。」

a 上記引用文献1の摘記事項ア(コ)からア(シ)によれば、引用文献1には、複数のアンテナを備える無線受信装置において、使用されるべきアンテナを決定する前に、アンテナの全数より少ない複数のアンテナを選択し、選択されたアンテナの中から使用するアンテナを決定することが記載されているといえる。

b 上記周知文献の上記摘記事項ウ(ア)からウ(エ)によれば、周知文献には、複数のアンテナと複数の受信機を備える無線装置において、一方の受信機をあるアンテナに結合した場合、他方の受信機を、複数のアンテナのうち上記一方の受信機によって用いられないアンテナに結合することが記載されているといえる。

そして、上記aの使用されるべきアンテナを決定する前に、アンテナの全数より少ない複数のアンテナを選択することや、上記bの複数のアンテナのうち用いられないアンテナに結合することは、複数アンテナのサブセットを識別することといえる。

したがって、以下の事項は本願の優先日前に周知であったといえる(以下、「周知技術」という。)。

(周知技術)

「 複数のアンテナを備える無線装置において、複数のアンテナから、使用されるべきアンテナを決定する前に、複数のアンテナのサブセットを識別し、識別されたアンテナのサブセットから使用するアンテナを決定すること。」

(3)対比
本件補正発明を引用発明と対比すると、

ア 引用発明の「受信波から受信データを受ける通信モジュール」は、「UMTSモジュール又はWLANモジュール」であるから、送信する無線信号を処理する機能を兼ねた「トランシーバ」といえるかどうかは別として、本件補正発明の「トランシーバ」と引用発明の「受信波から受信データを受ける通信モジュール」とは、無線信号の処理手段である点で共通する。そして、UMTSモジュール及びWLANモジュールは、それぞれUMTS、WLANという無線技術を利用するように構成されたものといえ、これらを「第1の無線信号の処理手段」及び「第2の無線信号の処理手段」と呼ぶことは任意であるから、本件補正発明と引用発明とは、複数の無線信号の処理手段であって、第1の無線信号の処理手段が、複数の無線技術のうちの第1の無線技術を利用するように構成され、第2の無線信号の処理手段が、複数の無線技術のうちの第2の無線技術を利用するように構成された、複数の無線信号の処理手段を備える点で共通する。
また、引用発明の「アンテナを受信波から受信データを受ける通信モジュールに接続することができる無線受信装置」は、「選択したアンテナをUMTSモジュール又はWLANモジュールに接続する」ものであるから、本件補正発明の「アンテナをトランシーバにマッピングすることのできるデバイス」と引用発明の「アンテナを受信波から受信データを受ける通信モジュールに接続することができる無線受信装置」とは、アンテナを無線信号の処理手段にマッピングすることのできるデバイスといえる点で共通する。

イ 引用発明の「UMTS用とWLAN用を兼ねる複数のアンテナ」は、UMTSとWLANという複数の無線技術に従って、無線信号を受信するように構成されたものであるから、本件補正発明の「各アンテナが、複数の無線技術に従って無線信号を受信するように構成された複数のアンテナ」に相当する。

ウ 引用発明の「各接触センサが、複数のアンテナのそれぞれに対応して、その付近への接触を感知する複数の接触センサ」に関し、アンテナ付近の接触を感知することは、対応するアンテナに関する接触を示しているといえるので、本件補正発明の「各接触センサが、前記複数のアンテナのうちの対応するアンテナに関する接触を示す、複数の接触センサ」に対応する。

エ 引用発明の「メモリとプロセッサを備える比較部」は、複数のアンテナのそれぞれに対応する複数の接触センサからの対応するアンテナへの接触の検出又は未検出を示す接触情報と傾斜センサからの傾斜情報とを受け取り、まず接触情報に基づいて、複数のアンテナを、低い優先順位の側と高い優先順位の側に分け、さらに傾斜情報からアンテナの優先順位が決められ、最後に優先IF情報に基づいて、使用されるべきアンテナを決定するものであるから、上記課題Aに対処するために、接触情報に基づいて、複数のアンテナを、低い優先順位の側と高い優先順位の側に分け、高い優先順位に分けられたアンテナを優先して、使用されるべきアンテナを決定しているといえる。
そして、本件補正発明は、「前記接触指示に基づいて、前記複数のアンテナの前記識別されたサブセットから第1のアンテナを選択する」ものであって、「前記接触指示のみ」に基づいて上記「選択」を行うものと限定的に解釈しなければならない事情はないから、アンテナの被覆率が所定値以下であるアンテナの中から他の指標を用いて最終的に第1のアンテナを選択するような態様を排除するものではない。
そうすると、引用発明の「各接触情報」は、「アンテナの接触測定値を示し、前記接触測定値が、所与の測定スケールにおける数値データに基づいて前記対応するアンテナの被覆率を示す」「接触指示」ではなく、プロセッサは、複数の接触センサから「接触指示」を受け取り、「前記接触指示に基づいて、」第1のアンテナを選択するものではないものの、本件補正発明の「各接触指示」と引用発明の「各接触情報」とは、それぞれが複数のアンテナのうちの対応するアンテナに関する接触センサの出力である点で共通する。
また、引用発明の「プロセッサ」は、「複数のアンテナのサブセットを識別」した上で、「前記複数のアンテナの前記識別されたサブセットから」使用されるべきアンテナを選択するものではないものの、本件補正発明と同様、複数のアンテナのうちから使用すべきアンテナ(本件補正発明にいう「第1のアンテナ」に対応。)を選択しているから、本件補正発明の「プロセッサ」と引用発明の「比較部」が備える上記「プロセッサ」とは、複数の接触センサから接触センサの出力を受け取り、前記接触センサの出力に基づいて、複数のアンテナから第1のアンテナを選択するように構成されている点で共通するといえる。

したがって、本件補正発明と引用発明とは以下の点で一致ないし相違するものと認められる。

(一致点)

「 アンテナを無線信号の処理手段にマッピングすることのできるデバイスにおいて、
各アンテナが、複数の無線技術に従って無線信号を受信するように構成された複数のアンテナと、
各接触センサが、前記複数のアンテナのうちの対応するアンテナに関する接触を示す、複数の接触センサと、
複数の無線信号の処理手段であって、
第1の無線信号の処理手段が、前記複数の無線技術のうちの第1の無線技術を利用するように構成され、
第2の無線信号の処理手段が、前記複数の無線技術のうちの第2の無線技術を利用するように構成された
複数の無線信号の処理手段と、
プロセッサであって、
前記複数の接触センサから接触センサの出力を受け取り、
前記接触センサの出力に基づいて、複数のアンテナから第1のアンテナを選択する
ように構成されたプロセッサと
を備え、
各接触センサの出力が、前記複数のアンテナのうちの対応するアンテナに関する接触センサの出力である、デバイス。」

(相違点1)

無線信号の処理手段が、本件補正発明では、「トランシーバ」であるのに対し、引用発明では、「トランシーバ」といえるかは明らかでない点。

(相違点2)

複数のアンテナのうちの対応するアンテナに関する接触センサの出力が、本件補正発明では、「アンテナの接触測定値を示し、各接触指示の前記接触測定値が、所与の測定スケールにおける数値データに基づいて前記対応するアンテナの被覆率を示す」「各接触指示」であり、プロセッサは、複数の接触センサから「接触指示」を受け取り、「前記接触指示に基づいて」、第1のアンテナを選択するのに対し、引用発明では、アンテナへの接触の検出又は未検出を示す各接触情報であり、プロセッサは、複数の接触センサから接触情報を受け取り、前記接触情報に基づいて第1のアンテナを選択する点。

(相違点3)

本件補正発明では、プロセッサが「複数のアンテナのサブセットを識別」した上で「前記複数のアンテナの前記識別されたサブセットから」第1のアンテナを選択するのに対し、引用発明では、プロセッサが「複数のアンテナのサブセットを識別」しておらず、複数のアンテナから第1のアンテナを選択する点。

(4)当審の判断

上記相違点1について検討する。

引用発明の「受信波から受信データを受ける通信モジュール」は、「UMTSモジュール及びWLANモジュール」である。そして、「UMTS」や「WLAN」は、周知の無線通信技術であって、送信及び受信の双方向で通信を行うことは通常の態様であるから、引用発明の「受信波から受信データを受ける通信モジュール」を、送信する無線信号を処理する機能を兼ねた「トランシーバ」とすることは、当業者であれば適宜なし得ることである。

上記相違点2について検討する。

公知技術1において、多値接触センサからの出力は、マトリックス状の複数の検出セクタのうち指等の人体の接触している検出セクタの数を検出してその結果を多値で出力するものであり、これにより内蔵アンテナのどの程度を指が覆っているかを示すから、「アンテナの接触測定値を示し、前記接触測定値が、所与の測定スケールにおける数値データに基づいて前記対応するアンテナの被覆率を示す」「接触指示」といえ、公知技術1は、上記課題Aと同様の課題に対処するべく、上記多値接触センサを用いて、アンテナのどの程度を指が覆っているかを指標としてアンテナへの影響を判定するものである。

そうすると、引用発明に上記公知技術1を適用して、引用発明の「接触センサ」を上記公知技術1の「多値接触センサ」とし、プロセッサが、複数の接触センサから、「アンテナの接触測定値を示し、前記接触測定値が、所与の測定スケールにおける数値データに基づいてアンテナの被覆率を示す」「接触指示」を受け取り、「前記接触指示に基づいて」、アンテナのどの程度を指が覆っているかを指標としてアンテナへの影響を判定して、第1のアンテナを選択するよう構成することは、当業者が容易になし得ることである。

上記相違点3について検討する。

引用発明と上記周知技術は、複数のアンテナの中から使用されるべきアンテナを決定するものであるから、引用発明の複数のアンテナから第1のアンテナを選択する前に、上記周知技術の「複数のアンテナのサブセットを識別し、識別されたアンテナのサブセットから」使用するアンテナを決定することを適用し、相違点3に係る構成とすることは、当業者であれば適宜なし得ることである。

そして、本件補正発明の奏する効果は、技術常識を踏まえれば、引用発明、公知技術1及び上記周知技術から想定できる程度のものにすぎず、格別なものとはいえない。

したがって、本件補正発明は、引用発明、公知技術1及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定によって、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、本件補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合していない。

したがって、本件補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成28年10月31日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし28に係る発明は、平成28年2月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし28に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1の「本願発明」のとおりのものである。再掲すれば次のとおり。

「 アンテナをトランシーバにマッピングすることのできるデバイスにおいて、
各アンテナが、複数の無線技術に従って無線信号を受信するように構成された複数のアンテナと、
各接触センサが、前記複数のアンテナのうちの対応するアンテナに関する接触を示す、
複数の接触センサと、
複数のトランシーバであって、
第1のトランシーバが、前記複数の無線技術のうちの第1の無線技術を利用するように構成され、
第2のトランシーバが、前記複数の無線技術のうちの第2の無線技術を利用するように構成された
複数のトランシーバと、
プロセッサであって、
前記複数のアンテナのサブセットを識別し、
前記複数の接触センサから接触指示を受け取り、
前記接触指示に基づいて、前記複数のアンテナの前記識別されたサブセットから第1のアンテナを選択する
ように構成されたプロセッサと
を備え、
各接触指示が、前記複数のアンテナのうちの対応するアンテナの接触測定値を示し、前記接触測定値が、前記対応するアンテナの被覆率を示す、デバイス。」

2 引用発明と公知技術2、周知技術
(1)引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記第2[理由]2(2)アに記載したとおりである。

(2)公知技術2
原査定の拒絶の理由で引用された特開2002-217803号公報(平成14年8月2日出願公開。以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、強調のために当審が付与した。)

ア 「【0004】
【発明が解決しようとする課題】斯かる携帯無線端末を使用して通話するとき、イヤホンマイクを使用しない限り、一般に携帯無線端末を片手で持ち、頭部(耳)に接近させて使用される。携帯無線端末では、その携帯性を確保するために、アンテナは小型にする必要がある。しかし、その場合には、アンテナが使用者の手、頭又は耳等に接触してしまい、アンテナの特性が劣化する大きな要因である。また、小型化のためにアンテナを内蔵することも考えられるが、その場合にも手で持つとき又は通話時に内蔵されたアンテナ付近に使用者の手や頭が近づき、アンテナの特性が劣化する。」

イ 「【0010】使用者又は操作者が、筐体1の下部を手4で保持し、通常使用される第1送信アンテナ2を覆ったとき、これを感知するタッチセンサ8が、使用者の手4と触れる位置に配置されている。また、第1送信アンテナ2が、使用者の手4に比較して大きい場合には、複数個のタッチセンサ8を、第1送信アンテナ2の適所に配置しても良い。これにより、第1送信アンテナ2を使用者が手4で触れたことを一層高精度で検出することができる。即ち、第1送信アンテナ2のうち、使用者の手4で覆われる程度を検知可能にする。」

ウ 「【0011】次に、図1(B)を参照して説明する。この携帯無線端末装置は、上述した第1送信アンテナ2、第2送信アンテナ3およびタッチセンサ8に加えて、筐体1の内部に無線部5、制御部6および切換スイッチ7を有する。この携帯無線端末装置は、通常状態では、第1送信アンテナ2が切換スイッチ7を介して無線部5に接続されるよう制御部6により制御される。この第1送信アンテナ2の近傍に配置されているタッチセンサ8は、使用者が第1送信アンテナ2の付近を手4で持ったことを感知して、制御部6により切換スイッチ7を切り換える。そして、第2送信アンテナ3が無線部5に接続され、無線部5のデータは、第2送信アンテナ3を介して送信される。」

上記摘記事項アからウによれば、内蔵されたアンテナ付近に使用者の手や頭が近づき、アンテナの特性が劣化するという課題に対し、複数個のタッチセンサを、内蔵されたアンテナの適所に配置し、内蔵されたアンテナのうち、使用者が手で覆われる程度を検知可能とし、使用者がアンテナを手で触れたことを一層高精度に検出して、アンテナを切り換えているから、複数個のタッチセンサによる検知結果に基づいてアンテナ特性の劣化を判断しているといえる。

したがって、引用文献3には、使用者の接触によるアンテナ特性の劣化に対処するための以下の公知技術(以下、「公知技術2」という。)が記載されているものと認められる。

(公知技術2)

「 内蔵されたアンテナの適所に配置した複数個のタッチセンサにより、前記アンテナに関して使用者の手で覆われる程度を検知し、その検知結果に基づいてアンテナ特性の劣化を判断する技術。」

(3)周知技術
本願の優先日前に周知であった周知技術は、上記第2[理由]2(2)ウに記載したとおりである。

3 対比
本願発明と引用発明を対比する。

本願発明は、本件補正発明の「前記接触測定値」から「各接触指示の」という、「前記対応するアンテナの被覆率」から「所与の測定スケールにおける数値データに基づいて」という限定を省いたものであるから、本願発明と引用発明とは以下の点で一致ないし相違するものと認められる。

(一致点)

「 アンテナを無線信号の処理手段にマッピングすることのできるデバイスにおいて、
各アンテナが、複数の無線技術に従って無線信号を受信するように構成された複数のアンテナと、
各接触センサが、前記複数のアンテナのうちの対応するアンテナに関する接触を示す、複数の接触センサと、
複数の無線信号の処理手段であって、
第1の無線信号の処理手段が、前記複数の無線技術のうちの第1の無線技術を利用するように構成され、
第2の無線信号の処理手段が、前記複数の無線技術のうちの第2の無線技術を利用するように構成された
複数の無線信号の処理手段と、
プロセッサであって、
前記複数の接触センサから接触センサの出力を受け取り、
前記接触センサの出力に基づいて、複数のアンテナから第1のアンテナを選択する
ように構成されたプロセッサと
を備え、
各接触センサの出力が、前記複数のアンテナのうちの対応するアンテナに関する接触センサの出力である、デバイス。」

(相違点1)

上記第2[理由]2(3)の(相違点1)と同様。

(相違点2)

複数のアンテナのうちの対応するアンテナに関する接触センサの出力が、本願発明では、「アンテナの接触測定値を示し、前記接触測定値が、アンテナの被覆率を示す」「各接触指示」であり、プロセッサは、複数の接触センサから「接触指示」を受け取り、「前記接触指示に基づいて」、第1のアンテナを選択するのに対し、引用発明では、アンテナへの接触の検出又は未検出を示す各接触情報であり、プロセッサは、複数の接触センサから接触情報を受け取り、前記接触情報に基づいて第1のアンテナを選択する点。

(相違点3)

上記第2[理由]2(3)の(相違点3)と同様。

4 判断

上記相違点1について検討する。

上記第2[理由]2(4)のとおり。

上記相違点2について検討する。

公知技術2は、アンテナの適所に配置した複数個のタッチセンサにより、前記アンテナに関して使用者の手で覆われる程度を検知するものであるから、前記複数個のタッチセンサを一組として、前記アンテナに関する接触センサを構成しているといえる。そして、前記複数個のタッチセンサからの出力の組は、対応するアンテナに関して使用者の手で覆われる程度を示すものであるから、「アンテナの接触測定値を示し、前記接触測定値が、前記対応するアンテナの被覆率を示す」「接触指示」ということができ、公知技術2は、上記課題Aと同様の課題に対処するべく、対応するアンテナに関する接触センサを構成する複数個のタッチセンサにより、対応するアンテナに関して使用者の手で覆われる程度を検知して、その検知結果に基づいてアンテナ特性の劣化を判断するものといえる。

そうすると、引用発明に上記公知技術2を適用して、引用発明の「接触センサ」を上記公知技術2の「複数のタッチセンサ」とし、プロセッサが、複数の接触センサから、それぞれ「アンテナの接触測定値を示し、前記接触測定値が、前記対応するアンテナの被覆率を示す」「接触指示」を受け取り、「前記接触指示に基づいて」、対応するアンテナに関して使用者の手で覆われる程度を検知して、その検知結果に基づいてアンテナ特性の劣化を判断し、第1のアンテナを選択するよう構成することは、当業者が容易になし得ることである。

上記相違点3について検討する。

上記第2[理由]2(4)のとおり。

そして、本願発明の奏する効果は、技術常識を踏まえれば、引用発明、公知技術2及び上記周知技術から想定できる程度のものにすぎず、格別なものとはいえない。

第4 むすび
以上のとおり、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、引用発明、公知技術2及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない

したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-11-14 
結審通知日 2017-11-20 
審決日 2017-12-01 
出願番号 特願2014-253909(P2014-253909)
審決分類 P 1 8・ 575- WZ (H04B)
P 1 8・ 121- WZ (H04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石田 昌敏  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 山本 章裕
海江田 章裕
発明の名称 マルチモードワイヤレスデバイスにおけるアンテナとトランシーバとのマッピング  
代理人 村山 靖彦  
代理人 黒田 晋平  

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