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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01K |
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管理番号 | 1339623 |
審判番号 | 不服2015-4409 |
総通号数 | 222 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-03-05 |
確定日 | 2018-04-25 |
事件の表示 | 特願2010-513323「温度センサ・アセンブリ及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年12月31日国際公開、WO2009/002682、平成22年 9月 9日国内公表、特表2010-530540〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2008年6月6日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2007年6月22日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年8月9日付けの拒絶理由通知に対して同年11月14日付けで手続補正がなされ、平成24年9月4日付けの拒絶理由通知に対して平成25年3月7日付けで手続補正がなされ、同年10月25日付けの拒絶理由通知に対して平成26年4月30日付けで手続補正がなされたが、同年10月31日付け(同年11月6日送達)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成27年3月5日付けで拒絶査定不服審判が請求され、同年4月16日付けで手続補正書(方式)が提出されたものである。 第2 本願発明 1 本願発明 本願の請求項1に係る発明は、(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。 「【請求項1】 内部に空洞を画定するプローブ本体、前記空洞の中に位置決めされた温度センサ、及び前記空洞の中に位置決めされた少なくとも1つの導体を有する少なくとも1つの温度プローブであって、前記少なくとも1つの導体は、該少なくとも1つの導体上の温度を示す温度信号を提供するように構成されている少なくとも1つの温度プローブと、 前記プローブ本体のまわりに回転可能に位置決めされ、前記プローブ本体を実装アセンブリに固定するように構成された実装コネクタであって、前記プローブ本体は実装コネクタを通して挿入されている実装コネクタと、 前記少なくとも1つの導体に対応する少なくとも1つのワイヤを有するワイヤ・セットであって、前記少なくとも1つのワイヤは第1の端部及び第2の端部を有し、前記少なくとも1つのワイヤの前記第1の端部は、結合部において前記少なくとも1つの導体に結合されるワイヤ・セットと、 前記少なくとも1つの導体と前記ワイヤ・セットの前記少なくとも1つのワイヤとの前記結合部を取り囲んでそれらを結合する接続構成要素であって、前記少なくとも1つの導体と前記ワイヤ・セットの前記少なくとも1つのワイヤとのクリンプ終端部を提供し、且つ前記少なくとも1つの導体と前記ワイヤ・セットの前記少なくとも1つのワイヤとに溶接されている接続構成要素と、 前記ワイヤ・セットの前記少なくとも1つのワイヤの前記第2の端部を受け入れるように構成された入力部、及び温度測定システムに結合して温度特性を提供するための出力部を有するハウジングであって、前記温度測定システムは該ハウジングの外部にあるハウジングと、 前記プローブ本体の中間部分のまわりに配置されたカラーと、 前記ハウジングに封入される回路であって、前記温度プローブから前記温度信号を受け取り、また該受け取った温度信号に応答して前記温度特性を生成するように構成された回路とを有し、 前記実装コネクタおよび前記カラーは、前記温度プローブを実装面に実装するためにそれぞれ適合されている温度センサ・アセンブリ。」 2 引用例及びその記載事項 (1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物であるMTZ,2003年 9月,64巻,p704?706,708,710?712(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、引用発明を認定するにあたって必要な箇所には、当審訳を示した。また、下線は当審で付した。)。 a「3.排ガス温度センサー 自動車における熱電対 ABB Automation Products社は、熱電対と電子回路を組み合わせた排ガス温度センサー、DTS-Pを開発した。 (略)」 (705頁中欄18行ないし23行) b「5 現在の材料技術とセンサー技術 (略) 熱電対は高温で安定な鋼、2.4851製の保護管に収められる。この材料は、Inconel601に相当し、厳しい条件下でも、温度変化による腐食に対して強い。 (略) センサーは、長い被覆管を使って作られる。これに、熱伝導線を供給し、粉末を満たし、若干の引っ張り加工をし、1400℃度Cまで熱処理をしてから適当な長さに切る。 測定点は、2つの熱電導線を溶接ビーズで結合させて作る。 図3。高温側は、被覆された材料の栓でシールし、低温側は、特殊なエポキシ樹脂でシールする。この樹脂は220℃までの温度なら短時間耐える。このような構造により、高温でも優れた電気絶縁性が得られる。 排気システムにおいては、センサはー、圧入されたシールリングによって任意の位置に固定される。シールリングは、溶接によって排ガス管を閉塞する。図4。 ストップリングの位置が、挿入の深さを規定する。この深さは、一定の範囲内で、それぞれの用途に応じて変えられる。締め付け部に、接触圧力が必要な場合には、静圧ネジを使用する。 高温の測定部と、低温の解析用電子回路部は、シールドケーブルでしっかりと結合されている。この結合は、エンジンルーム内の温度変動や振動に抗する。」 (706頁右欄10行ないし11行、706頁右欄30行ないし33行、708頁左欄1行ないし3行、708頁左欄12行ないし46行) c「6.電子回路システム 1つの測定信号が正確であっても、測定回路内の誤差の総和がどうなるかは、わからない。この影響を最初から低減するには、熱電対が本来持っている利点に高品質の信号変換器を組み合わすことができる。 組み込む冷点補償機能には、高品質の測定素子を用いる。熱起電力は、パルス幅変調信号(PWM)に変換される。図5。この信号は、周波数を10Hzで一定とした場合の、デューティ比が可変の方形波信号に基づくものである。このデューティ比は、パーセント表示である。使用可能範囲は、4%と98%の間である。この場合、各温度は1つのデューティ比に対応している。ABB Automation Products社のDTS-Pの場合、排ガス温度が-40℃から+1110℃の範囲で解析ユニット装置が最適化されている。この計測方法では、排ガス温度センサーの精度は最高温度領域で±5Kとなっている。これは、従来、量産品では不可能であった。 PWM信号はエンジン制御ユニットに直接利用でき評価される。上述の計測装置の他にアナログの出力信号を出すDTS-Vもある。電子回路システムはエンジンルームに組み込まれ、そこで125℃までの熱や湿気、振動等の負荷にも問題なく耐える、電子部品はFR-5製の回路基板に無鉛ハンダを用いて付けられる。内部はPA-66製のプラスチックケースで保護される。このケースには3本プラグを受ける受け口が複数設けられている。電圧の供給は12VDC電池の電圧を、端子15(点火装置)を通じて行う。全てのEMVの要件を満たすためには、この電子回路システムに有効なフィルターを付け、各部品をうまく配列する。」 (708頁左欄47行ないし左欄7行) d 図3には、DTS-Pセンサーチップの構造が示され、また、解析用電子回路、センサーが示されている。 e 図3には、「先端にセンサーを有する円筒体」が示され、ここで、上記bにおいて、「熱電対は高温で安定な鋼、2.4851製の保護管に収められる。」と記載されていることから、「先端にセンサーを有する円筒体」が「金属製の保護管」であるといえ、また、「センサー」は「熱電対」に対応するものであるから、図3には、「先端に熱電対を収めた金属製の保護管」が示されているということができる。 f 図3に示されたナット形状の部品、及び図4から、雄ネジが形成されたナットが、「先端にセンサーを有する円筒体」、すなわち、「先端に熱電対を収めた金属製の保護管」(上記e)に取り付けられ、前記雄ネジが形成されたナットがソケットに係合する状態が見て取れる。 g 図3には、「先端にセンサーを有する円筒体」(先端に熱電対を収めた金属製の保護管(上記e))の中間部に、鍔部を有するリングが示されている。 h 図4には、「先端に熱電対を収めた金属製の保護管」が、「雄ネジが形成されたナット」を用いて「排ガス管」に取り付けられていることが見て取れる。 i 図3には、「先端に熱電対を収めた金属製の保護管」に、可撓性ケーブルの一端が接続されること、及び、可撓性ケーブルの他端が、電子回路システムの筐体と接続されることが見て取れる。 上記引用例1には、次の事項が記載されているということができる。 ア 上記aから、引用例1には、「熱電対と電子回路を組み合わせた排ガス温度センサー」が記載されている。 イ 上記b、eから、引用例1に記載の「排ガス温度センサー」は、「先端に熱電対を収めた金属製の保護管」を備えるものということができる。 ウ 上記fから、図3に示されたナット形状の部品をみると、雄ネジが形成されたナットが、「先端にセンサーを有する円筒体」、すなわち、「先端に熱電対を収めた金属製の保護管」(上記e)に取り付けられているということができる。また、上記bの「シールリングは、溶接によって排ガス管を閉塞する。図4。」との記載から、シールリングは溶接によって排ガス管に取り付けられるといえ、図4には、「雄ネジが形成されたナット」が排ガス管に取り付けられたソケットに係合する状態が見て取れることから、この「シールリング」は、図3、図4に示された「ソケット」に対応するということができる。したがって、図3、図4には、「雄ネジが形成されたナットは、先端に熱電対を収めた金属製の保護管に取り付けられ、排ガス管の溶接ソケットに係合する」ことが示されているということができる。 エ 上記gから、図3には、「先端にセンサーを有する円筒体」(先端に熱電対を収めた金属製の保護管(上記e))の中間部に、鍔部を有するリングが示されているから、先端にセンサー(Sensor)を有する円筒体(先端に熱電対を収めた金属製の保護管)の中間部に取り付けられているということができる。 したがって、図3には、「鍔部を有するリングが、先端に熱電対を収めた金属製の保護管の中間部に取り付けられる」ことが示されているということができる。 オ 上記hから、引用例1には、「先端に熱電対を収めた金属製の保護管が、雄ネジが形成されたナットを用いて排ガス管に取り付けられる」ことが記載されているということができる。 カ 上記iから、引用例1には、「先端に熱電対を収めた金属製の保護管に、可撓性ケーブルの一端が接続され、他端が、電子回路システムの筐体と接続される」ことが記載されているということができる。 キ 上記cの「6.電子回路システム 1つの測定信号が正確であっても、測定回路内の誤差の総和がどうなるかは、わからない。この影響を最初から低減するには、熱電対が本来持っている利点に高品質の信号変換器を組み合わすことができる。組み込む冷接点補償機能には、高品質の測定素子を用いる。熱起電力は、パルス幅変調信号(PWM)に変換される。図5。この信号は、周波数を10Hzで一定とした場合の、デューティ比が可変の方形波信号に基づくものである。このデューティ比は、パーセント表示である。使用可能範囲は、4%と98%の間である。この場合、各温度は1つのデューティ比に対応している。」との記載から、熱起電力は、パルス幅変調信号(PWM)に変換され、各温度がパルスのデューティ比に対応する信号を得るものである。 したがって、引用例1には、「電子回路システムにおいて、熱電対の測定信号である熱起電力をパルス幅変調信号(PWM)に変換し、各温度がパルスのデューティ比に対応する信号を生成する」ことが記載されているということができる。 ク 引用例1には、「6.電子回路システム」において「6.電子回路システム‥‥‥PWM信号はエンジン制御ユニットに直接利用でき評価される。上述の計測装置の他にアナログの出力信号を出すDTS-Vもある。電子回路システムはエンジンルームに組み込まれ、そこで125℃までの熱や湿気、振動等の負荷にも問題なく耐える、電子部品はFR-5製の回路基板に無鉛ハンダを用いて付けられる。内部はPA-66製のプラスチックケースで保護される。」と記載されており、引用例1には、「電子回路システムにおいて生成されるPWM信号は、エンジン制御ユニットに伝送される」ことが記載されているということができる。 したがって、上記引用例1に記載された事項、図面の記載、及び上記アないしクを総合すると、引用例1には、次の事項が記載されている(以下、引用発明という。)。 「熱電対と電子回路を組み合わせた排ガス温度センサーであって、 先端に熱電対を収めた金属製の保護管を備え、 雄ネジが形成されたナットは、先端に熱電対を収めた金属製の保護管に取り付けられ、排ガス管の溶接ソケットに係合し、 鍔部を有するリングが、先端に熱電対を収めた金属製の保護管の中間部に取り付けられ、 先端に熱電対を収めた金属製の保護管が、雄ネジが形成されたナットを用いて排ガス管に取り付けられ、 先端に熱電対を収めた金属製の保護管に、可撓性ケーブルの一端が接続され、他端が、電子回路システムの筐体と接続され、 電子回路システムにおいて、熱電対の測定信号である熱起電力をパルス幅変調信号(PWM)に変換し、各温度がパルスのデューティ比に対応する信号を生成し、 電子回路システムにおいて生成されるPWM信号は、エンジン制御装置に伝送される、 排ガス温度センサー。」 (2)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2004-212269号公報(平成16年7月29日公開、以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。 j「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は温度センサに関する。本発明の温度センサは、車両の排気ガス等の温度を検知する場合に用いて好適である。」 k「【0017】 図1に本実施形態の温度センサの断面図を示す。この温度センサは、図示しない車両の排気通路に設けられ、排気ガスの温度を広範囲にわたって検出するために用いられる。この温度センサは、ハウジング1と、ハウジング1内に収納され、温度により変化する電気的特性を電気信号として出力可能な感温素子としてのサーミスタ5と、サーミスタ5からの電気信号をハウジング1外に取り出すための一対のリード線6とを備えている。 【0018】 より詳細には、ハウジング1は第1ハウジング2とナット部3と第2ハウジング4とから構成されている。第1ハウジング2は先端が閉じられた円筒状をなし、その先端側には温度により変化する抵抗値を電気信号として一対の電極5aに出力するサーミスタ5が配置されている。一対の電極5aは、一対の芯線11の一端11aに接続されている。両芯線11はシース12により被覆され、第1ハウジング2の基端から突出している。 【0019】 第2ハウジング4は第1ハウジング2より大径の円筒状をなしている。そして、第2ハウジング4の先端側と第1ハウジング2の基端側とが重ね合わせられて同軸に配置され、フランジ13の後端にて結合されている。 【0020】 また、ナット部3は、温度が検知される流体の漏れを防止するフランジ13と、温度センサを排気通路等に固定するナット14とからなる。フランジ13は、第1ハウジング2の基端側に固定され、フランジ13の後端に第2ハウジング4の先端が固定されている。また、フランジ13の第2ハウジング4側には、ナット14が回動可能に設けられている。 【0021】 第1ハウジング2の基端から突出した一対の芯線11の他端11bは、第2ハウジング4内において、一対のリード線6の一端6aとかしめ端子16によりかしめられている。また、芯線11の他端11bとリード線6の一端6aには、かしめ端子16とともに絶縁チューブ17が被せられている。」 ア 上記j、kの記載をまとめると、 「車両の排気ガス等の温度を検知する温度センサであって、 ハウジング1と、ハウジング1内に収納されているサーミスタ5と、サーミスタ5からの電気信号をハウジング1外に取り出すための一対のリード線6とを備え、 ハウジング1は第1ハウジング2とナット部3と第2ハウジング4とから構成され、 ナット部3は、温度が検知される流体の漏れを防止するフランジ13と、温度センサを排気通路等に固定するナット14とからなり、 フランジ13は、第1ハウジング2の基端側に固定され、フランジ13の後端に第2ハウジング4の先端が固定され、 ナット14が回動可能に設けられている、 温度センサ。」 との事項が記載されているといえる。 ここで、「ハウジング1」は、サーミスタ5が収納されるものであるから、プローブと捉えることができ、ハウジング1(プローブ)に、フランジ13、ナット14を有し、フランジ13は、ハウジング1を構成する、第1ハウジング2及び第2ハウジング4に固定されていることから、「フランジ13は、プローブに固定されている」ということができ、また、ナット14は回動可能に設けられているといえる。 したがって、フランジ13(プローブ)、ナット14に着目すれば、引用例2には、次の技術事項が記載されているということができる。 「車両の排気ガス等の温度を検知する温度センサであって、 温度が検知される流体の漏れを防止するフランジ13と、温度センサを排気通路等に固定するナット14とからなり、 フランジ13は、プローブに固定され、ナット14が回動可能に設けられている、 温度センサ。」 イ 上記kの「【0021】第1ハウジング2の基端から突出した一対の芯線11の他端11bは、‥‥‥一対のリード線6の一端6aとかしめ端子16によりかしめられている。‥‥‥」との記載から、引用例2には、次の技術的事項が記載されているといえる。 「芯線11の他端11bは、リード線6の一端6aとかしめ端子16によりかしめられる、温度センサ。」 (3)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2002-122486号公報(平成14年4月26日公開、以下「引用例3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。 l「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、チューブ内を流れる流体の温度を検出する温度センサの取付構造に関するもので、エンジン(内燃機関)等の熱機関から排出される排気の温度を検出する排気温センサの取付構造に適用して有効である。 【0002】 【従来の技術】図2(a)は温度センサ(排気温センサ)100の取付構造を示す模式図であり、図2(b)は図2(a)のA部拡大図であり、温度センサ100は排気管200に溶接されたボス部201にネジ固定されている。 【0003】ここで、図2中、103はサーミスタ等のセンサ本体を保護するカバーであり、104はセンサ本体に電気的に接合されたシースピン芯線を保護すシースピンである。また、105はボス部201に接触して排気が温度センサ100の取付部から外部に漏れることを防止するリブであり、このリブ105は、シースピン104に接合されている。 【0004】そして、雄ねじが形成されたニップルナット106をボス部201の雌ねじ部に締め付けることにより、リブ105をボス部201に押圧してリブ105とボス部201とを密着させるとともに、温度センサ100をボス部201(排気管200)に取付固定している。」 ここで、上記lの記載から、シースピン104は、センサ本体に電気的に接合されたシースピン芯線を保護するものであるから、シースピン104は「プローブ」と捉えることができる。 上記lの記載において、シースピン104をプローブと捉えると、引用例3には、次の技術事項が記載されているということができる。 「チューブ内を流れる流体の温度を検出する温度センサの取付構造に関し、 温度センサ100は排気管200に溶接されたボス部201にネジ固定されるものであって、 ボス部201に接触して排気が温度センサ100の取付部から外部に漏れることを防止するリブ105が、プローブに接合され、 雄ねじが形成されたニップルナット106をボス部201の雌ねじ部に締め付けることにより、リブ105をボス部201に押圧してリブ105とボス部201とを密着させるとともに、温度センサ100をボス部201(排気管200)に取付固定する、 温度センサ。」 3 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「熱電対と電子回路を組み合わせた排ガス温度センサー」は、本願発明の「温度センサ・アセンブリ」に相当する。 (2)引用発明の「先端に熱電対を収めた金属製の保護管」は、温度センサーにおけるプローブ本体と捉えることができ、また、管状であって内部に空洞を有するものであるから、本願発明の「内部に空洞を画定するプローブ本体」に相当する。 (3)熱電対を用いたセンサーにおいて、熱電対を支持体に固定して動かないようにすることは常套手段であるから、引用発明の「金属製の保護管」に収められた「熱電対」は、保護管の「空洞の中に位置決めされた温度センサ」に相当する。 (4)引用発明の「先端に熱電対を収めた金属製の保護管」は、「可撓性ケーブルの一端が接続され、他端が、内部に回路を設けたケースと接続される」ものであって、保護管内に、熱電対をなす導体が設けられることは明らかであり、また、熱電対をなす導体を保護管内の空洞に位置決めして設けることは常套手段である。 したがって、熱電対をなす導体は、本願発明の「空洞の中に位置決めされた少なくとも1つの導体」に相当するものであり、また、このような導体は、導体上の温度を示す温度信号を生成するためのものであるから、本願発明の「該少なくとも1つの導体上の温度を示す温度信号を提供するように構成されている」ことに相当する。 (5)引用発明の「先端に熱電対を収めた金属製の保護管」は、温度センサーにおけるプローブと捉えることができるから、本願発明の「温度プローブ」に相当する。 (6)引用発明は、「先端に熱電対を収めた金属製の保護管が、雄ネジが形成されたナットを用いて排ガス管に取り付けられる」ものであって、「排ガス管」は「実装アセンブリ」と、「雄ネジが形成されたナット」は「実装コネクタ」と捉えることができ、また、「先端に熱電対を収めた金属製の保護管」は、本願発明の「プローブ本体」に相当し(上記(2))、また、「雄ネジが形成されたナット」を通して挿入されているということができる。 したがって、引用発明の「先端に熱電対を収めた金属製の保護管に取り付けられ、排ガス管の溶接ソケットに係合」する「雄ネジが形成されたナット」は、本願発明の「前記プローブ本体のまわりに回転可能に位置決めされ、前記プローブ本体を実装アセンブリに固定するように構成された実装コネクタであって、前記プローブ本体は実装コネクタを通して挿入されている実装コネクタ」と、「前記プローブ本体を実装アセンブリに固定するように構成された実装コネクタであって、前記プローブ本体は実装コネクタを通して挿入されている実装コネクタ」である点で共通する。 (7)引用発明は「先端に熱電対を収めた金属製の保護管に、可撓性ケーブルの一端が接続され、他端が、電子回路システムの筐体と接続され」るものであって、「可撓性ケーブル」に電線が設けられていることは自明である。 したがって、引用発明の「可撓性ケーブル」に設けられる電線と、本願発明の「前記少なくとも1つの導体に対応する少なくとも1つのワイヤを有するワイヤ・セットであって、前記少なくとも1つのワイヤは第1の端部及び第2の端部を有し、前記少なくとも1つのワイヤの前記第1の端部は、結合部において前記少なくとも1つの導体に結合されるワイヤ・セット」とは、「電線」である点で共通する。 また、引用発明の可撓性ケーブルの」「他端が、電子回路システムの筐体と接続され」ることにおける「電子回路システムの筐体」と、本願発明の「前記ワイヤ・セットの前記少なくとも1つのワイヤの前記第2の端部を受け入れるように構成された入力部」「を有するハウジング」とは、「電線を受け入れるように構成されたハウジング」である点で共通する。 (8)引用発明は、「電子回路システムにおいて生成されるPWM信号は、エンジン制御ユニットに伝送される」ものであるから、電子回路システムの筐体が、エンジン制御ユニットが結合され、また、結合にあたり、電子回路システムの筐体がPWM信号を提供するための出力部を設けることは常套手段である。そして、PWM信号は、「熱起電力は、パルス幅変調信号(PWM)に変換され、各温度がパルスのデューティ比に対応する信号を得るものである。」ことから、PWM信号は、温度を表す信号であるといえるから、引用発明と、本願発明の「温度測定システムに結合して温度特性を提供するための出力部を有するハウジングである」こととは、「温度(を表す信号)を提供するためのハウジングであ」る点で共通する。 (9)引用発明は「鍔部を有するリングが、先端に熱電対を収めた金属製の保護管の中間部に取り付けられ、」るものであるから、「鍔部を有するリング」は、本願発明の「前記プローブ本体の中間部分のまわりに配置されたカラー」に相当する。 (10) ア 引用発明は、「先端に熱電対を収めた金属製の保護管に、可撓性ケーブルの一端が接続され、他端が、電子回路システムの筐体と接続される」ものであって、「筐体」は本願発明の「ハウジング」に相当し、また、筐体に電子回路を封入して設けることは常套手段であるから、引用発明の「電子回路」は、本願発明の「前記ハウジングに封入される回路」に相当する。 イ 引用発明は、「電子回路システムにおいて、熱電対の測定信号である熱起電力をパルス幅変調信号(PWM)に変換し、各温度がパルスのデューティ比に対応する信号を生成」するものであって、「熱電対の測定信号」は温度信号であるといえ、「電子回路」は、「先端に熱電対を収めた金属製の保護管」(本願発明の「温度プローブ」に相当(上記(5))。)の「熱電対」から温度信号を受け取るものと捉えることができるから、本願発明の「前記温度プローブから前記温度信号を受け取」る「ように構成された回路」に相当する。 ウ 引用発明の「電子回路」は、「熱電対の測定信号である熱起電力をパルス幅変調信号(PWM)に変換し、各温度がパルスのデューティ比に対応する信号を生成」するものであって、ここで、パルス幅変調信号(PWM)に変換して得られる信号は、温度を表す信号ということができるから、本願発明の「該受け取った温度信号に応答して前記温度特性を生成するように構成された回路」と、「該受け取った温度信号に応答して前記温度を表す信号を生成するように構成された回路」である点で共通する。 エ 上記アないしウから、引用発明の「電子回路」と、本願発明の「前記ハウジングに封入される回路であって、前記温度プローブから前記温度信号を受け取り、また該受け取った温度信号に応答して前記温度特性を生成するように構成された回路」とは、「前記ハウジングに封入される回路であって、前記温度プローブから前記温度信号を受け取り、また該受け取った温度信号に応答して前記温度を表す信号を生成するように構成された回路」である点で共通する。 (11)引用発明は「先端に熱電対を収めた金属製の保護管」(本願発明の「プローブ本体」に相当(上記(2))。)が、「雄ネジが形成されたナットを用いて」「排ガス管」に取り付けられるものであるから(上記(6))、「雄ネジが形成されたナット」は、「排ガス管」の取り付けに適合しているということができる。 したがって、引用発明の「雄ネジが形成されたナット」が「排ガス管」の取り付けに適合していることと、本願発明の「前記実装コネクタおよび前記カラーは、前記温度プローブを実装面に実装するためにそれぞれ適合されている」こととは、「前記実装コネクタは、前記温度プローブを実装面に実装するために適合されている」点で共通する。 すると、本願発明と引用発明とは、次の<一致点>及び<相違点>を有する。 <一致点> 「内部に空洞を画定するプローブ本体、前記空洞の中に位置決めされた温度センサ、及び前記空洞の中に位置決めされた少なくとも1つの導体を有する少なくとも1つの温度プローブであって、前記少なくとも1つの導体は、該少なくとも1つの導体上の温度を示す温度信号を提供するように構成されている少なくとも1つの温度プローブと、 前記プローブ本体を実装アセンブリに固定するように構成された実装コネクタであって、前記プローブ本体は実装コネクタを通して挿入されている実装コネクタと、 電線と、 電線を受け入れるように構成され、及び温度を表す信号を提供するためのハウジングであって、 前記プローブ本体の中間部分のまわりに配置されたカラーと、 前記ハウジングに封入される回路であって、前記温度プローブから前記温度信号を受け取り、また該受け取った温度信号に応答して前記温度を表す信号を生成するように構成された回路とを有し、 前記実装コネクタは、前記温度プローブを実装面に実装するために適合されている温度センサ・アセンブリ。」 <相違点> (ア)本願発明は、「前記少なくとも1つの導体に対応する少なくとも1つのワイヤを有するワイヤ・セットであって、前記少なくとも1つのワイヤは第1の端部及び第2の端部を有し、前記少なくとも1つのワイヤの前記第1の端部は、結合部において前記少なくとも1つの導体に結合されるワイヤ・セット」であるのに対し、引用発明は、「電線」を有することが明らかなものの、このような構成が明確に特定されていない点。 (イ)本願発明は、「前記少なくとも1つの導体と前記ワイヤ・セットの前記少なくとも1つのワイヤとの前記結合部を取り囲んでそれらを結合する接続構成要素であって、前記少なくとも1つの導体と前記ワイヤ・セットの前記少なくとも1つのワイヤとのクリンプ終端部を提供し、且つ前記少なくとも1つの導体と前記ワイヤ・セットの前記少なくとも1つのワイヤとに溶接されている接続構成要素」を有するのに対し、引用発明は、このような接続構成要素を有するか否か不明な点。 (ウ)電線を受け入れるように構成されたハウジングについて、本願発明は、「前記ワイヤ・セットの前記少なくとも1つのワイヤの前記第2の端部」を受け入れるように構成された「入力部を有する」のに対し、引用発明は、このような構成が明確に特定されていない点。 (エ)本願発明は、「温度測定システムに結合して温度特性を提供するための出力部を有する」ハウジングであって、「前記温度測定システムは該ハウジングの外部にあるハウジング」であるのに対し、引用発明は、このような特定がない点。 (オ)本願発明は、「該受け取った温度信号に応答して前記温度特性を生成するように構成された回路」であるのに対し、引用発明はこのような特定がない点。 (カ)本願発明は、「前記プローブ本体のまわりに回転可能に位置決めされ、」前記プローブ本体を実装アセンブリに固定するように構成された実装コネクタであるのに対し、引用発明の「雄ネジが形成されたナット」(本願発明の「実装コネクタ」に相当。)について、このような構成が明確には特定されていない点。 (キ)本願発明は、前記実装コネクタおよび「前記カラー」は、前記温度プローブを実装面に実装するためにそれぞれ「適合されている」のに対し、引用発明の「鍔部を有するリング」(本願発明の「カラー」に相当(上記(9))。)について、このような構成が明確には特定されていない点。 4 判断 <相違点>(ア)について 引用発明は、「先端に熱電対を収めた金属製の保護管に、可撓性ケーブルの一端が接続され、他端が、内部に回路を設けたケースと接続される」ものであって、熱電対からの温度信号を回路に伝送するために、熱電対からなる導体を保護管内の空洞に位置決めして設けることは常套手段である(上記3(4))。 また、引用発明は、「先端に熱電対を収めた金属製の保護管に、可撓性ケーブルの一端が接続され、他端が、電子回路システムの筐体と接続され」るものであって、「電子回路システムにおいて、熱電対の測定信号である熱起電力をパルス幅変調信号(PWM)に変換」するものであるから、熱電対からなる導体において生成される温度信号(上記3(4))、すなわち、「熱電対の測定信号」は、「可撓性ケーブル」を介して電子回路に入力されるものとあるということができる。 ここで、熱電対からなる導体と可撓性ケーブルを用いた電線を接続することは周知慣用手段であり、また、可撓性ケーブルを用いた電線は「ワイヤ」ということができ、熱電対から測定信号を電子回路に入力するために、2本の電線、すなわち、ワイヤ・セットを用いることは当業者が適宜なし得る事項であるから、本願発明のように「少なくとも1つの導体に対応する少なくとも1つのワイヤを有するワイヤ・セット」を設けることに格別の困難性を有しない。 また、可撓性ケーブルを用いた電線(「ワイヤ」に相当。)が、両端、すなわち、第1の端部、第2の端部を有することは自明であり、熱電対からなる導体と可撓性ケーブルを用いた電線(「ワイヤ」に相当。)の第1の端部とが接続される部分は「結合部」ということができる。 したがって、本願発明のように、「少なくとも1つのワイヤは第1の端部及び第2の端部を有し、前記少なくとも1つのワイヤの前記第1の端部は、結合部において前記少なくとも1つの導体に結合されるワイヤ・セット」を設けることは当業者が適宜なし得る事項である。 <相違点>(イ)について 一般に、導電線どうしを接続にあたり、圧着端子を用いて導電線の終端部を加締めて圧着(クリンプ)することは、例えば、引用例2に記載されているように周知慣用手段(上記2(2)イ)であり、また、この際、溶接することも周知慣用手段である(例えば、特開2004-71372号公報(「【請求項4】超音波溶接後に、前記端子の圧着片で前記接続部材を圧着することを特徴とする請求項1?3の何れか1項に記載の電線と端子の接続方法。‥‥‥【0065】また、請求項4記載の発明によれば、端子に備わる圧着片を加締めることにより、接続部材と端子とが接続するから、溶接による固着力と加締めによる圧着力の双方の力で端子と接続部材とが接続する。従って、接続部材から端子が外れることが確実に防止されて、電気的接続の信頼性が向上する。))。 したがって、引用発明において、「導線」の終端部と「可撓性ケーブル」を用いた電線の終端部を、圧着端子によって取り囲み、それらを結合するよう圧着(クリンプ)し、溶接することに格別の困難性を有しない。 また、「圧着端子」は導電線の接続に寄与するものであるから、本願発明の「接続構成要素」と捉えることができ、導体の終端部と「可撓性ケーブル」を用いた電線(本願発明の「ワイヤ・セットの前記少なくとも1つのワイヤ」に相当(上記<相違点>(ア)について )。)の終端部は、圧着端子によって加締められるものであるから、本願発明の「クリンプ終端部」と捉えることができる。 したがって、引用発明に、前記周知慣用手段を用いて、本願発明のように、「前記少なくとも1つの導体と前記ワイヤ・セットの前記少なくとも1つのワイヤとの前記結合部を取り囲んでそれらを結合する接続構成要素であって、前記少なくとも1つの導体と前記ワイヤ・セットの前記少なくとも1つのワイヤとのクリンプ終端部を提供する」ことに、格別の困難性を有しない。 <相違点>(ウ)について 引用発明は、「可撓性ケーブルの」「他端が、電子回路システムの筐体と接続され」ているおり、また、「電子回路システムにおいて、熱電対の測定信号である熱起電力をパルス幅変調信号(PWM)に変換し、各温度がパルスのデューティ比に対応する信号を生成」するのであるから、「可撓性ケーブル」を用いた電線(本願発明の「ワイヤ・セットの前記少なくとも1つのワイヤ」に相当(上記<相違点>(ア)について )。)と、筐体内の電子回路システムが電気的に接続されることは明らかであって、このために、前記電線の端部を、受け入れるように筐体に入力部を設けることは、当業者が適宜なし得る事項である。 よって、本願発明の<相違点>(ウ)に係る構成のようにすることは格別なことではない。 <相違点>(エ)、(オ)について 引用発明は、「電子回路システムにおいて、熱電対の測定信号である熱起電力をパルス幅変調信号(PWM)に変換し、各温度がパルスのデューティ比に対応する信号を生成し、電子回路システムにおいて生成されるPWM信号は、エンジン制御装置に伝送される」ものであって、PWM信号は外部に出力されるものといえるから、「電子回路システムの筐体」に、出力部が設けられることは、当業者が適宜なし得る事項である。 そして、本願発明の「温度特性」について、本願明細書の「【0021】‥‥‥生成される温度特性は、温度信号に応じた情報を提供するために、所望され且つ実用的であり、また用途によって要求又は所望される任意の特性とすることができる。例えばこれは、抵抗値、周波数、デジタル・パルス列、電流、インピーダンス又は電圧を含むことができる。」との記載から、パルス列を含み得るものであるから、引用発明の「電子回路システムの筐体」は、「温度特性を提供するための」「ハウジング」ということができる。 したがって、本願発明のように、「該受け取った温度信号に応答して前記温度特性を生成するように構成された回路」とする点(上記<相違点>(オ))に格別の困難性を有しない。 そして、引用発明は、「電子回路システムにおいて生成されるPWM信号は、エンジン制御装置に伝送される」ものであるが、エンジン制御装置の制御入力信号の形態に応じて、PWM信号を外部にある温度測定システムのハウジングに伝送した後に、測定信号を制御装置に伝送するようにすることは、当業者が適宜なし得る事項であり、また、このために「出力部」を設けることは当業者が普通になし得る事項である。 よって、本願発明のように「温度測定システムに結合して温度特性を提供するための出力部を有する」ハウジングであって、「前記温度測定システムは該ハウジングの外部にあるハウジング」とすることは格別なことではない(上記<相違点>(エ))。 <相違点>(カ)について 引用発明は、「雄ネジが形成されたナットは、先端に熱電対を収めた金属製の保護管に取り付けられ、排ガス管の溶接ソケットに係合」されるものである。 ここで、排ガス管への温度センサーの取り付けにおいて、プローブにナットを回転可能に設け、雄ねじが形成されたナットを、排気管200に溶接されたボス部201の雌ねじ部に締めつけることにより行うことは周知技術である(上記2(2)アに記載の「ナット14」、上記2(3)に記載の「ニップルナット106」が、雄ねじが形成されたナットに対応。ここで、上記2(3)に記載の「温度センサ」は「雄ねじが形成されたニップルナット106をボス部201の雌ねじ部に締め付ける」ものであるから、ニップルナット106は回転可能に設けられているということができる。)。 したがって、引用発明の「排ガス温度センサー」の「排ガス管」への取り付けにあたり、前記周知技術を用いて、「雄ネジが形成されたナット」(本願発明の「実装コネクタ」に相当(上記3(6))。」)を、「保護管」(本願発明の「プローブ本体」に相当(上記3(2))。)に対し回転可能に位置決めし、保護管を排ガス管に固定するように構成することは、当業者が容易になし得る事項である。 よって、本願発明の<相違点>(カ)に係る構成のようにすることは格別なことではない。 <相違点>(キ)について 引用発明は、「鍔部を有するリングが、先端に熱電対を収めた金属製の保護管の中間部に取り付けられ」るものである。 ここで、温度センサーの排ガス管への取り付けにおいて、プローブに突起状の部材(引用発明の「鍔部を有するリング」に対応。)を固定して取り付け、プローブに設けられたナットとともに、排ガス管に取り付けることは、周知技術である(上記2(2)アに記載の「フランジ13」、上記2(3)に記載の「リブ105」がそれぞれ突起状の部材に対応。)。 したがって、引用発明に前記周知技術を適用して、「保護管の中間部に取り付けられ」た、突起状の部材である「鍔部を有するリング」(本願発明の「カラー」に相当(上記3(9))。)を、保護管を排ガス管に取り付けるために適合させるようにすることは、当業者が適宜なし得る事項である。 よって、本願発明の<相違点>(キ)に係る構成のようにすることは格別なことではない。 そして、上記相違点を総合的に判断しても、本願発明が奏する効果は引用発明及び周知技術から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。 よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 付記 請求人は、平成27年4月16日付けで手続補正書(方式)で補正された審判請求書において、「1.本願発明の説明 本願発明は、平成26年4月30日付け手続補正書で補正した請求項1?19(以下、係属中の請求項1?19)に記載されていますが、出願人は検討の結果、係属中の請求項1に係る発明を、係属中の請求項3に記載の構成によって限定すること(したがって係属中の請求項3は削除し、他の請求項は維持すること)を希望いたします。」と主張している。 請求人の前記主張による、補正案では、請求項1に記載の「温度センサ・アセンブリ」について、「前記温度センサが熱電対であり、前記温度信号が前記熱電対によって生成される電圧レベルを含み、前記回路が冷接点補償回路を含み、また前記温度特性が抵抗値である温度センサ・アセンブリ」と限定するものであるが、一般に、熱電対による温度センサにおいて、冷接点補償回路を設けることは周知慣用技術であり、また、温度信号に応答して温度特性を生成するにあたり、温度信号に応じた抵抗値を生成することは、当業者が適宜なし得る事項である。 したがって、請求人の前記主張を採用することができない。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-02-29 |
結審通知日 | 2016-03-01 |
審決日 | 2016-05-13 |
出願番号 | 特願2010-513323(P2010-513323) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G01K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 井上 昌宏、平野 真樹 |
特許庁審判長 |
森 竜介 |
特許庁審判官 |
堀 圭史 酒井 伸芳 |
発明の名称 | 温度センサ・アセンブリ及びその製造方法 |
代理人 | 特許業務法人浅村特許事務所 |