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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1339795
審判番号 不服2017-13681  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-13 
確定日 2018-05-22 
事件の表示 特願2013- 81902「表示制御プログラム、表示制御方法、表示装置および印刷システム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月27日出願公開、特開2014-203423、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年4月10日の出願であって、平成29年1月24日付けで拒絶理由が通知され、同年3月30日付けで手続補正がされたが、同年6月5日付けで拒絶査定がされ、それに対して同年9月13日に拒絶査定不服の審判請求がされたものである。

第2 原査定の理由の概要
原査定(平成29年6月5日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術的事項、及び、周知技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献一覧
1.特開2010-177931号公報
2.特開2012-163853号公報
3.特開2010-149465号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2007-166009号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願の請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成29年3月30日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-6は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
ラベルのサイズを設定するユーザーからの操作を受け付けるステップと、
印刷媒体に印刷画像が印刷された前記ラベルが貼付される貼付箇所の画像である貼付箇所画像と、前記ラベルのプレビュー画像と、を重ね合わせた合成画像を、表示部に表示する表示ステップと、
前記合成画像を前記表示部に表示した状態で、前記貼付箇所画像に対する前記プレビュー画像の相対サイズを変化させるユーザーからの操作を受け付ける操作ステップと、
前記操作ステップにおける前記相対サイズを変化させる操作に基づいて、変化した前記合成画像を前記表示部に表示する表示変化ステップと、
前記操作ステップにおける前記相対サイズを変化させる操作により前記ラベルのサイズの設定値を変更することなく、印刷データを作成するステップと、
をコンピューターに実行させることを特徴とする表示制御プログラム。
【請求項2】
前記操作ステップにおいて、前記印刷媒体が矩形状である場合に、前記合成画像の変化として、前記プレビュー画像を台形変化させるユーザーからの操作を受け付け、
前記表示変化ステップにおいて、前記操作ステップにおける前記プレビュー画像を台形変化させる操作に基づいて、変化した前記合成画像を前記表示部に表示することを、前記コンピューターに実行させることを特徴とする請求項1に記載の表示制御プログラム。
【請求項3】
ラベルのサイズを設定するユーザーからの操作を受け付けるステップと、
印刷媒体に印刷画像が印刷された前記ラベルが貼付される貼付箇所の画像である貼付箇所画像と、前記ラベルのプレビュー画像と、を重ね合わせた合成画像を、表示部に表示する表示ステップと、
前記合成画像が前記表示部に表示された状態で、前記貼付箇所画像に対する前記プレビュー画像の相対サイズを変化させるユーザーからの操作を受け付ける操作ステップと、
受け付けた前記相対サイズを変化させる操作に基づいて、変化した前記合成画像を前記表示部に表示する表示変化ステップと、
前記操作ステップにおける前記相対サイズを変化させる操作により前記ラベルのサイズの設定値を変更することなく、印刷データを作成するステップと、
を実行することを特徴とする表示制御方法。
【請求項4】
表示部と、
印刷媒体に印刷画像が印刷されたラベルが貼付される貼付箇所の画像である貼付箇所画像と、前記ラベルのプレビュー画像と、を重ね合わせた合成画像を、前記表示部に表示する表示制御部と、
前記ラベルのサイズを設定するユーザーからの操作と、前記合成画像が前記表示部に表示された状態で、前記貼付箇所画像に対する前記プレビュー画像の相対サイズを変化させるユーザーからの操作と、を受け付ける操作部と、
前記操作部が受け付けた前記相対サイズを変化させる操作により前記ラベルのサイズの設定値を変更することなく、印刷データを作成する印刷データ作成部と、を備え、
前記表示制御部は、前記操作部が受け付けた前記相対サイズを変化させる操作に基づいて、変化した前記合成画像を前記表示部に表示することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
作成された前記印刷データを出力するデータ出力部、をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示装置と、
出力された前記印刷データに基づいて、前記印刷媒体に前記印刷画像を印刷する印刷装置と、
を備えたことを特徴とする印刷システム。」

第4 引用文献・引用発明
(1)原査定の拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線は重要箇所につき、当審にて付与した。)

「【0053】
図7に示す印刷データ編集プログラムは、前述したように、HDD65のプログラム記憶領域651に記憶されており、ユーザが実行ファイルを起動させると、CPU61が、印刷データ編集プログラムに従い、各処理を実行する。印刷データ編集プログラムでは、まず、初期化が行われる(S1)。この処理では、プログラム内で使用される変数やフラグ、カウンタ等の初期化が行われる。また、各設定値や設定項目には初期値や標準設定が設定される。例えば、標準設定として、文字の書体には明朝体が設定され、文字枠形状には長円形が設定される。そして、PC2のモニタ21に編集画面7(図6参照)が表示され、各種ボタンやリストボックス等の押下(操作)待ちが開始される(S3:NO,S9:NO,S15:NO,S21:NO,S25:NO,S33:NO,S3)。編集画面7の各種ボタンやリストボックス等が押下されると、押下されたボタンやリストボックス等に対応する各処理が実行される。
【0054】
押下待ちの間に、編集画面7で、背景画像入力ボタンとして分類される、カメラ入力ボタン711、スキャナ入力ボタン712、およびファイル入力ボタン713のいずれかのボタンが押された場合には(S3:YES)、例えば図8に示す、背景画像100のデータ(背景画像データ)が読み込まれる(S5)。押されたボタンに応じて、カメラ(図示外)による撮影画像のデータ、スキャナ24による取り込み画像のデータ、およびHDD65に予め記憶されているファイル(画像データ)のいずれかのデータが、背景画像データとして読み込まれる。次いで、イメージ表示処理(S35)が行われる。イメージ表示処理の詳細については後述するが、サンプル表示部75にプレビュー画像が表示され、ラベルを貼りつける貼付対象面の画像として背景画像100が表示される。イメージ表示処理の後、S3に戻り、上記同様、図6に示す各種ボタンやリストボックス等の押下待ち(操作待ち)が行われる。
【0055】
押下待ちの間に、オブジェクト選択リストボックスとして分類される、ラベルサイズリストボックス721、文字枠形状リストボックス731、文字枠周囲ぼかしリストボックス733、書体リストボックス741、文字サイズリストボックス742、文字装飾リストボックス744、第1文字背景加工リストボックス781、および影加工リストボックス782のいずれかのリストボックスが押下された場合には(S9:YES)、各リストボックスに対応した選択候補が表示される(S11)。例えば、ラベルサイズリストボックス721においては、「12mm×48mm」、「12mm×auto」など、ラベルテープ8から切り出されるラベルの縦横の大きさ(サイズ)を設定するための選択候補が表示される。ここで、「12mm×auto」が選択されると、ラベルの縦の長さは12mmに設定され、横の長さは文字の大きさ等に応じて適宜設定される。
【0056】
そして、上記の各オブジェクト選択リストボックスにおいて選択されるそれぞれの選択候補は、対応する各項目(作成するラベルの縦横のサイズ、文字枠領域の形状、第2文字背景イメージの周囲をぼかす処理の有無や強度の設定、文字の書体、文字の装飾、第1文字背景に施す画像処理の種類)の設定値としてRAM63に記憶(登録)される(S13)。その後、後述するイメージ表示処理が行われ(S35)、S3に戻り、上記同様、図6に示す各種ボタンやリストボックス等の押下待ち(操作待ち)が行われる。
【0057】
押下待ちの間に、「色選択」関連リストボックスとして分類される、ラベル色リストボックス722、文字枠内色リストボックス732、および文字色リストボックス743のいずれかのリストボックスが押下された場合には(S15:YES)、各リストボックスに対応した選択候補が表示される(S17)。ラベル色や文字枠内色、文字色として選択された色は、設定値としてRAM63に記憶(登録)される(S19)。その後、後述するイメージ表示処理が行われ(S35)、S3に戻り、上記同様、図6に示す各種ボタンやリストボックス等の押下待ち(操作待ち)が行われる。
【0058】
押下待ちの間に、「ラベルサイズを示す枠」が押されている状態にある場合には(S21:YES)、マウスポインタの移動量分だけ、「ラベルサイズを示す枠」の位置が、背景画像100(図9参照)に対して移動される(S23)。後述するイメージ表示処理において、背景画像とラベルサイズが設定されていると、サンプル表示部75(図6参照)にはラベルテープ8から切り出されるラベルの大きさを示す、「ラベルサイズを示す枠」(以下、「枠」811ともいう。)が表示される。例えば図9に示すように、サンプル表示部75に背景画像100が表示されるとともに、背景画像100に重ねて枠811が表示される。ユーザが、マウス23のポインタで枠811をクリックし、ホールドすれば、ユーザは、枠811をドラッグして移動させることができるようになる。枠811は、初期状態において、サンプル表示部75に表示された背景画像100の範囲内で、右下に表示されるが、マウス23を操作して枠811をドラッグすれば、背景画像100上の任意の位置に移動させることもできる。このように、ユーザは、背景画像100内で、マウスを操作することによって、「ラベルサイズを示す枠」(枠811)を容易に動かすことができ、任意の貼り付け位置を設定することができる。その後、後述するイメージ表示処理が行われ(S35)、S3に戻り、上記同様、図6に示す各種ボタンやリストボックス等の押下待ち(操作待ち)が行われる。
【0059】
押下待ちの間に、印刷ボタン76が押された場合には(S25:YES)、「ラベルサイズを示す枠」内に表示された合成イメージを、ラベルテープ8に印刷する処理が行われる。ここでは、後述するイメージ表示処理(S35)で作成され、RAM63に記憶された合成データをもとに、印刷データを作成する処理が行われる。合成データは、上記したように、文字イメージと第1文字背景イメージ(第2文字背景イメージが作成された場合は第2文字背景イメージも含む)を合成した合成イメージのデータである。詳細には、RAM63の仮想第1文字背景領域(後述)において仮想的に形成された、第1文字背景データを表現した第1文字背景イメージの上に、仮想第2文字背景領域(後述)において仮想的に形成された、第2文字背景データを表現した第2文字背景イメージが重ねて配置される(第2文字背景イメージが作成された場合)。さらに第1文字背景イメージ(あるいは第2文字背景イメージ)の上に、仮想文字領域(後述)において仮想的に形成された、文字データを表現した文字イメージが重ねて配置され、合成イメージが作成される(S27)。PC2には、印刷データ編集プログラムとは別途、テーププリンタ1のドライバ(公知のプログラム)がインストールされており、合成イメージのデータ(合成データ)は、ドライバに受け渡される。ドライバでは、公知のカラープロファイルが参照され、例えばRGB形式で表現される合成データの各画素について、1画素ごとに、印刷用のCMY形式の色インクの種類と、画素を構成する複数の微細なドットの各印刷位置とを対応付けたデータに変換される。さらに、テーププリンタ1に対する制御コマンドが付加されて、印刷データとして作成される(S29)。作成された印刷データは、USBケーブル10を介してテーププリンタ1に送信され(S31)、テーププリンタ1において、ラベルテープ8に合成イメージが印刷され、さらにラベルサイズにカットされて、ラベルが作成される。印刷データ編集プログラムでは、テーププリンタ1への印刷データの送信後、S3に戻り、上記同様、図6に示す各種ボタンやリストボックス等の押下待ち(操作待ち)が行われる。
【0060】
押下待ちの間に、終了ボタン77が押された場合には(S33:YES)、印刷データ編集プログラムの実行が終了される。PC2のモニタ21(図1参照)における編集画面7(図6参照)の表示も終了される。
【0061】
次に、メイン処理のS35においてコールされるイメージ表示処理の詳細について説明する。図7に示す、印刷データ編集プログラムのメイン処理において、S35のイメージ表示処理は、上記した、S5、S13、S19、S23の各処理の後にコールされ、図10に示す、サブルーチンが実行される。図10に示すように、イメージ表示処理では、まず、背景画像が、カメラ、スキャナ、あるいはファイルから、既に読み込み済みであるか、確認が行われる(S41)。RAM63が参照され、背景画像データが記憶されていなければ(S41:NO)、イメージ表示処理を終了し、メイン処理へ戻ってS3へ進む。したがって、サンプル表示部75へのプレビュー画像の表示は行われない。RAM63に背景画像データが記憶されている場合には(S41:YES)、RAM63上で、サンプル表示部75の表示画面を仮想的に形成した領域(以下、「仮想表示領域」という。)に、背景画像データ(例えば図8に示す背景画像100)が展開され、背景画像のみを表示したプレビュー画像が作成される。
【0062】
次に、ラベルサイズ(ラベルサイズリストボックス721(図6参照)で指定されたラベルの縦横の大きさ(サイズ))が登録済みであるか、確認が行われる(S43)。上記同様、RAM63が参照され、ラベルサイズが記憶されていなければ(S43:NO)、イメージ表示処理を終了し、メイン処理に戻ってS3へ進む。このように、イメージ表示処理では、背景画像データおよびラベルサイズがRAM63に記憶されていないと、プレビュー画像の作成が行われず、メイン処理に戻ることになる。
【0063】
RAM63にラベルサイズが記憶されている場合(S43:YES)、RAM63に記憶された文字データと、文字の書体(フォント)、文字サイズおよび文字装飾とに基づいて、文字の占める領域が求められ、RAM63に記憶される(S45)。具体的に、CPU61のバッファ内で、文字データによって指定される文字(文字列)に対して書体、文字サイズおよび文字装飾を適用した状態で表現される文字イメージが作成される。次に、フォントの種類(プロポーショナルフォント、等幅フォントなど)に応じて文字間の幅が調整され、調整後の文字イメージの範囲(つまり、文字の占める領域)から、文字列全体の幅(本実施の形態ではラベルテープ8の延長方向に占める長さ)が算出される。同様に、調整後の文字イメージの範囲から、文字列全体の高さ(本実施の形態ではラベルテープ8の幅方向に占める長さ)も算出される。求められた文字列の幅および高さはRAM63に記憶され、後述する文字枠形状の調整や、ラベルサイズの決定(ラベルの横の長さをautoにした場合)、第2文字背景イメージが作成される場合にはその周囲をぼかす処理の適用範囲の調整、ラベル内における文字イメージのセンタリング(余白調整)などに利用される。さらに、仮想表示領域において、指定(autoの場合は上記で算出)されたラベルサイズに応じた枠(「ラベルサイズを示す枠」、図9の枠811)を背景画像に重ねて配置したプレビュー画像が作成される。」段落【0053】-【0063】

上記記載事項によれば、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「まず、初期化が行われ、設定値や設定項目には初期値や標準設定が設定、例えば、標準設定として、文字の書体には明朝体が設定され、文字枠形状には長円形が設定され、PC2のモニタ21に編集画面7が表示され、各種ボタンやリストボックス等の押下(操作)待ちが開始され、
編集画面7で、背景画像入力ボタンとして分類される、カメラ入力ボタン711、スキャナ入力ボタン712、およびファイル入力ボタン713のいずれかのボタンが押された場合には、押されたボタンに応じて、例えば、カメラによる撮影画像のデータが、背景画像データとして読み込まれ、
背景画像が、カメラ、スキャナ、あるいはファイルから、既に読み込み済みであるか、確認が行われ、背景画像データが記憶されていなければ、イメージ表示処理を終了し、背景画像データが記憶されている場合には、サンプル表示部75の表示画面を仮想的に形成した領域(以下、「仮想表示領域」という。)に、背景画像データが展開され、背景画像のみを表示したプレビュー画像が作成され、
次に、ラベルサイズ(ラベルサイズリストボックス721で指定されたラベルの縦横の大きさ(サイズ))が登録済みであるか、確認が行われ、ラベルサイズが記憶されていなければ、イメージ表示処理を終了し、ラベルサイズが記憶されている場合、CPU61のバッファ内で、文字データによって指定される文字(文字列)に対して書体、文字サイズおよび文字装飾を適用した状態で表現される文字イメージが作成され、フォントの種類(プロポーショナルフォント、等幅フォントなど)に応じて文字間の幅が調整され、
調整後の文字イメージの範囲(つまり、文字の占める領域)から、文字列全体の幅(ラベルテープ8の延長方向に占める長さ)が算出され、調整後の文字イメージの範囲から、文字列全体の高さ(ラベルテープ8の幅方向に占める長さ)も算出され、求められた文字列の幅および高さはRAM63に記憶され、
後述する文字枠形状の調整や、ラベルサイズの決定(ラベルの横の長さをautoにした場合)、第2文字背景イメージが作成される場合にはその周囲をぼかす処理の適用範囲の調整、ラベル内における文字イメージのセンタリング(余白調整)などに利用され、さらに、仮想表示領域において、指定(autoの場合は上記で算出)されたラベルサイズに応じた枠(「ラベルサイズを示す枠」)を背景画像に重ねて配置したプレビュー画像が作成されるイメージ表示処理が行われ、
印刷ボタン76が押された場合には、「ラベルサイズを示す枠」内に表示された合成イメージを、ラベルテープ8に印刷する処理が行われる、印刷データ編集プログラム。」

(2)原査定において周知技術を示す文献として引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【請求項6】
タッチパネルディスプレイとメモリとを備えるプリンタが、ディスクのラベル面への印刷を行う印刷方法であって、
前記メモリに格納された原画像のデータから表示画像のデータを生成して、前記タッチパネルディスプレイに表示するとともに、前記ディスクの前記ラベル面の印刷可能領域を示すディスク枠を、前記表示画像に重畳して前記タッチパネルディスプレイに第1のサイズで表示するステップと、
前記タッチパネルディスプレイへのユーザの入力に基づいて、前記表示画像を、前記第1のサイズで表示された前記ディスク枠に対して移動、拡大、縮小するデータ処理を行い、編集するステップと、
前記編集するステップのデータ処理に基づいて、前記表示画像を更新して表示するステップと、
前記更新された前記表示画像を、前記第1のサイズで表示された前記ディスク枠で切り取るデータ処理を行い、印刷画像のデータを生成して、前記ディスクの前記ラベル面に印刷するステップと、
を備えることを特徴とする印刷方法。」(【特許請求の範囲】【請求項6】)

「【0056】
図11(D)は、ここまで説明した拡大・縮小(S401?S407)及びプレビュー処理(S601?S605)後の表示パネル50の表示例を示す。拡大・縮小カーソル503A、503Bが表示パネル50の左画面に表示された、図11(C)の状態で、ユーザは、例えば、矢印が反時計回り方向である縮小カーソル503Aをタッチすることで、図11(D)に示されるように、左画面に表示された表示画像を縮小することができる。このように、ユーザは、半円弧状の拡大・縮小カーソル503A、503Bに対して、時計回り、反時計回りのいずれかの方向にタッチすることで、表示画像を拡大、縮小させることができる。したがって、カメラやプロジェクタのズーム操作と同様に、ユーザは、表示画像を拡大、縮小する入力操作を直感的に行うことができる。
【0057】
続いて、図9を参照して、印刷フローについて説明する。S501において、CPU22は、表示パネル50の左画面に表示されている画像をディスク枠501で切り取るデータ処理を行い、印刷画像のデータを生成する。具体的には、CPU22は、表示パネル50の左画面に表示された画像(図10、図11参照)に対して、ディスク枠501の内円と外円とに囲まれた領域を切り取るデータ処理を行う。そして、CPU22は、切り取ったデータを、ディスクのラベル面に印刷する印刷画像のデータとして、RAM26に格納する(S502)。」段落【0056】-【0057】

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「ラベルサイズ(ラベルサイズリストボックス721で指定されたラベルの縦横の大きさ(サイズ))が登録」される構成は、ラベルのサイズを設定しているといえるので、本願発明1の「ラベルのサイズを設定するユーザーからの操作を受け付けるステップ」に相当する。

(イ)引用発明の「仮想表示領域において、指定(autoの場合は上記で算出)されたラベルサイズに応じた枠(「ラベルサイズを示す枠」)を背景画像に重ねて配置したプレビュー画像が作成され」る構成は、本願発明1の「印刷媒体に印刷画像が印刷された前記ラベルが貼付される貼付箇所の画像である貼付箇所画像と、前記ラベルのプレビュー画像と、を重ね合わせた合成画像を、表示部に表示する表示ステップ」に相当するといえる。

(ウ)引用発明は、印刷ボタン76が押された場合には、「ラベルサイズを示す枠」内に表示された合成イメージを、ラベルテープ8に印刷する処理が行われるから、引用発明は、本願発明1と「印刷データを作成するステップ」を有する点では共通するといえる。

(エ)引用発明の「印刷データ編集プログラム」は、後述する相違点を除き、本願発明1の「コンピューターに実行させることを特徴とする表示制御プログラム」に相当するといえる。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、以下の一致点及び相違点があるといえる。

(一致点)
「ラベルのサイズを設定するユーザーからの操作を受け付けるステップと、
印刷媒体に印刷画像が印刷された前記ラベルが貼付される貼付箇所の画像である貼付箇所画像と、前記ラベルのプレビュー画像と、を重ね合わせた合成画像を、表示部に表示する表示ステップと、
印刷データを作成するステップと、
をコンピューターに実行させることを特徴とする表示制御プログラム。」

(相違点)
本願発明1は「前記合成画像を前記表示部に表示した状態で、前記貼付箇所画像に対する前記プレビュー画像の相対サイズを変化させるユーザーからの操作を受け付ける操作ステップと、前記操作ステップにおける前記相対サイズを変化させる操作に基づいて、変化した前記合成画像を前記表示部に表示する表示変化ステップと、前記操作ステップにおける前記相対サイズを変化させる操作により前記ラベルのサイズの設定値を変更することなく、印刷データを作成するステップ」をコンピューターに実行させるものであるのに対し、引用発明は、そのようなステップをコンピューターに実行させるものではない点。

(2)相違点についての判断
引用文献3には、「ディスクのラベル面への印刷を行う印刷方法」において、タッチパネルディスプレイへのユーザの入力に基づいて、ディスクのラベル面の印刷可能領域を示すディスク枠が第1のサイズで重畳表示されている表示画像を、前記ディスク枠に対して拡大、縮小するデータ処理を行い、印刷画像のデータを作成することが記載されているが、上記相違点に係る本願発明1の構成は、記載されておらず、示唆されてもいない。また、上記相違点に係る本願発明1の構成は、引用文献2、4にも記載されておらず、本願出願日前に周知技術であったともいえない。

したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

2.本願発明2について
本願発明2は、上記相違点に係る本願発明1の構成と同じ構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明3、4について
本願発明3、4は、本願発明1に対応する表示制御方法、表示装置の発明であり、上記相違点1に係る本願発明1の構成と同様の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により当業者であっても、引用発明1、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.本願発明5、6について
本願発明5、6は本願発明4を減縮した発明であって、上記相違点に係る本願発明1の構成と同様の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により当業者であっても、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-05-09 
出願番号 特願2013-81902(P2013-81902)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山崎 誠也渡部 博樹  
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 安久 司郎
松田 岳士
発明の名称 表示制御プログラム、表示制御方法、表示装置および印刷システム  
代理人 特許業務法人真菱国際特許事務所  
代理人 特許業務法人真菱国際特許事務所  

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